2023年9月24日 (日)

幻の高級魚・アコウ(キジハタ)の魅力 -広島県尾道市「尾道あこう祭り」のあこう煮付御膳・おこぜ唐揚げ-

アコウ(キジハタ)について

 「アコウ(キジハタ)」と呼ばれる魚を御存知でしょうか。

 「冬のフグ、夏のアコウ」と評される高級魚で、全国的に水揚げ量が少ないため、「幻の高級魚」と呼ばれています。

 釣りの対象魚としても人気の魚で、広島県でも尾道市の「しまなみ海道」エリアなどで釣ることができるようです。

 茶褐色で、赤色やオレンジ色の斑点があり、見た目はカサゴ(ホゴメバル)やアイナメに似ています。

 私は過去に一度だけ、尾道の食堂でアコウの煮付けを食べたことがあります。

 その食堂は、棚に陳列されているおかずの中から食べたいものを取るセルフサービスのお店だったのですが、アコウのことを知らなかった私は「アイナメの煮付けだ」と思ってそのおかず皿を選び、いただきました。

 「脂がのって、とても美味しいアイナメだったな」と満足しつつ、帰りにレジで精算すると、予想をはるかに上回る金額を請求され、驚きました。

 そしてその時初めて、お店の方からこの煮魚がアコウであったことを教えていただきました。

 これが私のアコウとの出会いです。


尾道あこう祭り

 尾道で「尾道あこう祭り」が開催されています。(令和5年9月1日~30日)

(尾道あこう祭りチラシ(開催案内))
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 黒色と金色をベースにした、高級感のあるチラシです。

 尾道のアコウを広く知ってもらうことを目的に、尾道の飲食店16店舗でアコウ料理が提供されるイベントです。

 あこうの煮付けのほか、雑炊、アクアパッツァ、洗い(刺身)、ほうろく焼き、釜めし、キノコと貝のソース(パスタ)、活き造りと様々な料理が御用意されています。


事前予約しても食べられない可能性がある魚

 「尾道あこう祭り」でアコウ料理を食べようと決意し、2日前の夜、お店に予約の電話をしました。

 するとお店の方から「アコウが入荷できるかどうか、漁によって決まるのですが、今日はお店が休みなので、当日になってみないとわかりません。それでもよろしいですか」とお話がありました。

 まずは、知らなかったとは言え、お店が休みの日に電話してしまったことをお詫びしました。

 私の頭の中で、(遠く尾道まで行ってでも、アコウが味わえない可能性もあるのか…それでも賭けてみる価値があるだろうか…)と一瞬考え込みましたが、お店の方の誠意を感じ、「この方ならきっとアコウの入荷に一生懸命動いてくださる。それでもなかったなら、それを快く受け入れよう。あってもなくても尾道へ行こう」と思い、予約をお願いしました。

 漁で水揚げがあるかどうかに左右されるとは、やはりアコウは幻の魚なのだと実感しました。


尾道水道と尾道の街並み

 予約当日。広島のアコウ浪士は覚悟を決め、尾道へ向かいました。

(向島行き渡船と尾道水道)
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 写真手前は尾道と向島を結ぶ渡船、写真奥が尾道大橋です。

 穏やかな港町の様子は、いつも心を癒してくれます。

 尾道の路地も散策しました。

(尾道の路地(テーラーアダムと千光寺))
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 レトロな看板の先には千光寺の赤い本堂が見えました。

(尾道の路地(ひねもすのたり))
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 路地では、カラフルな旗や赤い鳥居が一層映えて見えました。

 尾道は海だけでなく、路地も魅力です。


尾道「青柳」の「あこう煮付御膳」

 予約時刻を迎えたので、お店を訪問しました。

(「青柳」店舗)
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 尾道市土堂海岸通りにあるお食事処「青柳」です。

(「青柳」と「尾道あこう祭り」ポスター)
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 店頭には「尾道あこう祭り」のポスターも掲示されていました。

 お店に入り、予約した名前を告げると、奥におられたお店の方が笑顔で「アコウ入っております」とおっしゃいました。

 目の前がパッと明るくなり、「それは良かったです」とお応えしながらテーブル席に着きました。

 「あこう煮付御膳」が出来上がるのを待つ間に、食事券の応募用紙を持ってきていただきました。

(尾道あこう祭り・食事券応募用紙)
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 「尾道あこう祭り」でアコウ料理を食事された方の中から抽選で20名に2,000円のクーポン券が当たるという企画です。

 しばらくして、待望の「あこう煮付御膳」が運ばれてきました。

(あこう煮付御膳)
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 思わず「おおっ」と声が出るほど大きなアコウでした。

 ご飯、味噌汁、小鉢3種(レンコン・ゴボウ・人参のきんぴら、厚焼き卵、青菜とミョウガの酢の物)、漬物がセットになっていました。

(あこう煮付け)
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 見てください、このボリューム、そして美味しそうな色つや!

 今日はやっと1尾だけ入荷できたとのことで、とても貴重な一皿となりました。

 あこうの煮付けをいただきました。

 とても新鮮で、その証拠に身がまだ骨にぎゅっとくっついていました。

 たっぷりと脂がのった白身は、弾力があってプリプリでした。

 見た目からはメバルやアイナメの煮付けをイメージしますが、脂の含有量が全然違います。

 上品で旨味が凝縮された白身は、鯛やフグに勝るとも劣らない味でした。

 私は魚の煮付けが大好物で、行く先々のお店で「猫にあげるエサがなくなった」と言われるほど、頭から尾っぽまで身をきれいに食べ尽くしてしまいます。

(あこうの骨)
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 今回もこんな感じで食べ尽くしました(笑)

 お店の方が頃合いを見計らって、デザートを運んで来られました。

(わらび餅)
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 ただ、この時点では、ご飯と味噌汁はまだ半分程度残していました。

 なぜなら、もう1品注文するつもりでいたからです(笑)


尾道「青柳」の「おこぜ唐揚げ」

 このお店の看板料理であり、アコウより前から尾道の地魚として有名な「オコゼ」の唐揚げを追加注文しました。

 しばらくして、揚げたてアツアツの「おこぜ唐揚げ」が運ばれてきました。

(おこぜ唐揚げ)
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 オコゼの頭をぶつ切りにし、唐揚げにした一品です。

 魚の頭を丸ごと唐揚げにして提供されるとは、よほどの自信を持っておられる証拠です。

 いただきました。

 鰻のような、ねっとりとしてたっぷりと脂がのった白身でした。

(おこぜの身)
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 淡白なメバルの唐揚げをイメージしていた私は、衝撃的な体験でした。

 アコウが無理だった場合、オコゼの料理をいただこうと思っていたのですが、オコゼの唐揚げも注文して正解でした。


まとめ

 食事を終え、帰り際にお店の方にお礼とアコウとオコゼをいただいた感想をお伝えしました。

 アコウが漁の水揚げに左右され、「あこう祭り」の時でさえも安定的に提供できないことも学びました。

 私が「予約を受けておられても、お客さんに提供できない時はつらいですね」とお話しすると、お店の方も「そうなんです。明日もお二人御予約いただいてますが、今日は漁がないので…多分入荷できないでしょう…」とおっしゃってました。

 東京や大阪などの大都市では世界各国・全国各地から食材が集まり、様々な料理を味わうことができます。

 でも、今回御紹介したアコウやオコゼのように、その地方へ行かないと味わえない新鮮な食材や料理、そして感動があることも事実で、それが地方の強みだと言えます。

 お近くの新鮮な地魚を御賞味ください。

 そして機会があれば、美味しいアコウやオコゼの料理が味わえる尾道へもお越しください。


<関連サイト>
 「尾道季節の地魚の店」(尾道季節の地魚の店連絡協議会)
 「青柳」(広島県尾道市土堂2-8-15)

2023年9月17日 (日)

ビッグ錠先生の世界11 -アルスノーバでの再会・映画「散歩屋ケンちゃん」鑑賞(高円寺シアターバッカス)-

バーの常連さんと湘南台の焼肉店へ

 2023年8月下旬に1日夏休みを取得し、久しぶりに神奈川県藤沢市湘南台の「アルスノーバ」に伺いました。

 当日、お店の常連さんに連絡したところ、「それならアルスノーバへ行く前に一緒に夕食を食べましょう」とお誘いいただきました。

 湘南台駅から近い「亀八」という焼肉店で、地元の人に人気のお店とのことでした。

 地元の人がおすすめのお店なら間違いないと思い、喜んでお受けしました。

 そして、その常連さんと「亀八」で合流しました。

 カルビ、ハラミ、上タン、ホルモンなどを注文し、目の前のロースターで焼きました。

(焼肉(亀八))
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 肉が新鮮でやわらかく、脂ものっていて、「あっ、いい肉を使っておられる。地元で人気のお店というのもわかる気がする」と思いました。

 このあとバーへ行こうとする客であれば、焼肉店でのドリンクもビールや酎ハイなどで乾杯するのが普通なのでしょうが、私は最初からウーロン茶とライスを注文しました(笑)

 でもその分、美味しくいただきました。


アルスノーバでマスターとビッグ錠先生に再会

 夕食を済ませた後、湘南台のバー「アルスノーバ」に伺いました。

 マスターに前もって今日伺うことをお伝えしていたこともあるのですが、「あっ、来たね」という感じで普通に受け入れてくださいました。

 それがとても心地よく、嬉しかったです。

 「何飲む?」と聞かれ、お酒の知識が乏しい私は「以前いただいたスイートベルモットが美味しかったので、それを使ったカクテルをお願いします」と注文しました。

 それなら…と作っていただいたのがこれです。

(ネグローニ)
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 ジン、スイートベルモット、カンパリで作られたカクテルです。
(後でネットで検索したら「ネグローニ」という名称のようですが、マスターがそれを意識して作られたのかどうかはわかりません…)

 普通のお店では飲めない、とびっきり良いお酒なのだそうです。

 普通のお店でも飲めない私が(笑)、これは美味しいと飲み干したのですから、雰囲気も手伝ったとは言え、やはり良いお酒だったのでしょう。

 隣の常連さんのカクテルと並べてみました。

(ダイキリ・ネグローニ)
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 写真左がダイキリ、右がネグローニです。

 常連さんから「ダイキリも少し飲んでみる?」と言われ、ほんのちょっといただきました。

 (心の中で)「わっ、アルコールが強い」

 マスターは私がお酒に弱いことを御存知なので、私の分はアルコール弱めに作ってくださっていることがわかりました。

 しばらくして、突然、ビッグ錠先生がお店に来店されました。

 偶然だったのか、マスターがビッグ錠先生にお話くださったのかわかりませんが、嬉しい再会です。

(スプモーニ)
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 2杯目は「スプモーニ」をいただきました。

 とびっきり良いジンがあるとのことで、今回はこのジンをベースにグレープフルーツジュースとトニックウォーターで作っていただきました。

 このスプモーニを片手に、ビッグ錠先生と楽しくお話ししました。

 翌日(ビッグ錠先生が出演されている映画)「散歩屋ケンちゃん」を観に行こうと思っている旨をビッグ錠先生にお話しすると、映画全般の話題で盛り上がりました。

 映画のお話をたくさん教えていただきましたが、「映画はテレビよりもはるかに高いお金がかけられている」というお話が強く印象に残りました。

 スプモーニもすべて飲み、続いてアルスノーバ特製のコーヒーをいただきました。

(アルスノーバ特製コーヒー)
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 会話は尽きませんでしたが、次第に夜も更け、ビッグ錠先生は帰宅されました。


ささやかな誕生日パーティー

 私も頃合いを見て精算を済ませ、最後の最後、帰りがけにマスターと常連さんに「実は今日、私の誕生日なんです。おかげさまで素敵な1日になりました」とお話ししました。

 「(気を遣っていただくことになるので)最後までこの話はしないでおこう」と思っていたのですが、嬉しさのあまり、結局話してしまいました。

 すると、常連さんが「ちょっと待ってて」とおっしゃり、深夜だというのにコンビニへ駆けつけ、お祝いに杏仁豆腐を買ってきてくださいました。

(杏仁豆腐)
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 マスターもお店のシャッターを下ろされたにもかかわらず、再びコーヒーを御用意してくださり、お二人に私の誕生日を祝っていただきました。

(コーヒーと杏仁豆腐)
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 深夜の静まり返った店内で、涙が出るほど嬉しかった瞬間です。

 お二人に深々とお礼を申し上げ、お店を後にしました。

 宿泊先へ向かう途中、湘南台駅でイベントポスターを見つけました。

(湘南台まちたんポスター)
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 湘南台の街歩き探検(ウォークラリー)イベント「湘南台まちたん」です。

 ビッグ錠先生の漫画「一本包丁満太郎」の満太郎と「スーパーくいしん坊」の香ちゃんが描かれています。

 イラストの右下に小さく「錠」と書かれたサインもあります。

 ビッグ錠先生も一緒になって湘南台の街を盛り上げておられる様子が伺えました。


高円寺シアターバッカスと映画「散歩屋ケンちゃん」

 翌日、映画「散歩屋ケンちゃん」を観賞するため、東京・高円寺を訪問しました。

(高円寺純情商店街)
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 この日は「高円寺阿波おどり」の開催日だったこともあり、街全体が大勢の人で賑わっていました。

 高円寺純情商店街をしばらく歩き、映画館「高円寺シアターバッカス」を目指しました。

 お酒が弱い私が「バッカス(酒の神)」を目指すのも不思議な話ですが(笑)

(高円寺シアターバッカス入口)
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 入口に看板がなく、ビルの3階にあるので、初めての人にはわかりづらいのですが、ビルに入ると案内表示がありました。

(高円寺シアターバッカス案内表示)
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 案内表示と一緒に「散歩屋ケンちゃん」のポスターも掲示されていました。

 映画館に着くと、映画をこよなく愛する館長さんや映画を学ぶ学生さんがおられました。

 上映時間となり、ゆっくりくつろいで「散歩屋ケンちゃん」を観賞しました。

 スクリーンに映るビッグ錠先生を拝見すると、昨夜カウンターで御一緒した時のお姿と重なって見え、何とも不思議な気持ちになりました。

 主人公ケンちゃん(いしだ壱成さん)の父がグルメ漫画家の「ゆでぷりん先生」(石田純一さん)で、その漫画はビッグ錠先生が描かれたものという面白い設定でした。

 映画を観たあと、記念に映画のパンフレットを購入しました。

(散歩屋ケンちゃんを100倍楽しむパンフレット(表紙))
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 「散歩屋ケンちゃん」の解説・撮影秘話などが盛り込まれていて、映画鑑賞後も楽しめました。

(ラストシーン)
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 (「散歩屋ケンちゃんを100倍楽しむパンフレット」の一部を引用)

 感動的なラストシーン。でも映画では「完」ではなく「未完」となっています(笑)

 映画のサブタイトル「A Lifework Orange」にも「みかん(未完)のライフワーク」という意味が込められているのだとか。

 「散歩屋ケンちゃん」。ユーモアとペーソスあふれる映画です。


<関連サイト>
 「散歩屋ケンちゃん」(「散歩屋ケンちゃん」製作委員会
 「高円寺シアターバッカス」(東京都杉並区高円寺北2-21-6 レインボービル3F)

<参考文献>
 「散歩屋ケンちゃん」製作委員会「散歩屋ケンちゃんを100倍楽しむパンフレット」

2023年9月10日 (日)

メキシコ料理の特徴と主な料理 -ウェボスディボルシアドス・トルティーヤ・トマティーヨ・フリホーレス・ワカモレ・チョリソ・チチャロン-

メキシコの食文化

 メキシコ料理は、マヤ文明やアステカ文明など先住民から受け継がれてきた食文化と、スペインの征服によって持ち込まれたスペインの食文化が融合して形成されています。

 メキシコはトウモロコシ、トマト、アボカド、ピーマン、唐辛子などの食材の原産地で、これらの食材はスペインを通じて世界に広まりました。

 メキシコの代表的な料理として、トウモロコシを使ったパンや料理(「トルティーヤ」(トウモロコシの平焼きパン)、「タコス」(トルティーヤに肉や刻み野菜をはさんだ料理)、「エンチラーダ」(トルティーヤに炒めた肉や野菜を詰め、ソースやチーズをかけてオーブンで焼いた料理、「ポソレ」(豚肉とトウモロコシのスープ)など)、サボテンを使った料理、豆・唐辛子・トマトなどを使ったスープ、トマト・玉ねぎ・唐辛子などで作られる調味料「サルサ」、カカオや唐辛子を砕いて作られる「モレ(ソース)」、アボカドのディップ「ワカモレ」などがあります。

 お酒では、リュウゼツランから作られる蒸留酒(テキーラ・メスカルなど)やビール(コロナ・エキストラなど)が有名です。


メキシコの朝ごはんプレート

 東京・外苑前の「World Breakfast Allday」(ワールド・ブレックファスト・オールデイ)を訪問しました。

 2023年8月・9月のスペシャルメニューは,「メキシコの朝ごはん」です。

 今回は,この「メキシコの朝ごはん」を御紹介します。


【ウェボス・ディボルシアドス】

 今回のプレートのメイン料理は「ウェボス・ディボルシアドス」です。

(ウェボス・ディボルシアドス)
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 お店のリーフレットによると、「ウェボス・ディボルシアドス」は、メキシコの朝ごはんの定番「ウェボス・ランチェロス(※)」の一種で、直訳すると「離婚した卵」という意味を持つ料理なのだそうです。
 ※トルティーヤに卵と赤いサルサ(サルサ・ランチェラ)をかけた料理。「牧場の卵」という意味。

 トルティーヤに赤いサルサと緑のサルサがかけられているのが特徴です。

 日本の赤いきつねと緑のたぬきを一度に味わうような贅沢感があります(笑)

 赤と緑はメキシコの国旗にも採用されている、メキシコを象徴する色でもあります。

 写真左側はトウモロコシを原料とした濃い紫色のトルティーヤと赤いサルサの組合せ、写真右側はトウモロコシ粉や小麦粉を原料とした白いトルティーヤと緑のサルサの組合せです。

 赤いサルサ(サルサ・ロハ)はトマト・玉ねぎ・ニンニク・唐辛子などで、緑のサルサ(サルサ・ベルデ)はトマティーヨ(ほおずきトマト)・玉ねぎ・ニンニク・緑色の唐辛子などで作られています。

(トマティーヨ)
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(「World Breakfast Allday Mexico」紹介リーフレットから一部抜粋・引用)

 「トマティーヨ」は、見た目も呼び名も緑色のトマトを連想させますが、食用ホオズキの一種です。

 半熟卵の黄身をくずし、トルティーヤやサルサにまぶしていただきました。

(ウェボス・ディボルシアドス(目玉焼きの黄身をくずした様子))
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 トルティーヤの生地がサルサや卵でやわらかくなっており、フランスのガレットに似た料理だと思いました。

 プレートの中央には、2種類のトルティーヤの仲を取り持つように「フリホーレス」(塩茹でしたいんげん豆を炒めたペースト状の料理)がかけられ、その上に2種類のトルティーヤチップスが飾られていました。

(フリホーレスとトルティーヤチップス)
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 フリホーレスは、粘りとコクがあるいんげん豆のペーストで、トルティーヤチップスに添えたり、サルサと共にトルティーヤにまぶしたりしていただきました。

 また、プレート上部にはアボカドのディップ「ワカモレ」や挽き肉と唐辛子を炒めた「チョリソ」、「赤玉ねぎのピクルス」が盛り付けられており、こちらもトルティーヤやトルティーヤチップスと一緒にいただきました。

(ワカモレ)
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 こちらは「ワカモレ」です。

 アボカドに細かく刻んだトマトや玉ねぎなどを加え、ライム(レモン)と塩で味を調えたディップ(浸しソース)で、アボカドの濃厚なコクと旨味を楽しむことができました。


チチャロン

 単品で「チチャロン」を注文しました。

 「チチャロン」は、豚皮を油でカリカリに揚げた「豚皮せんべい」です。

 スペイン発祥のスナックなので、メキシコだけでなく、ペルーやフィリピンにも似た名称のスナックが存在します。

(チチャロン)
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 お皿にドサッと大量に盛られていました。

 中心部はトマト・玉ねぎ・ハーブ・唐辛子などを細かく刻み、ビネガー(酢)をベースに調味したサルサです。

 一瞬、「油で揚げた豚皮をこんなにたくさん食べられるだろうか」と思いましたが、豚皮の存在を感じさせないほど軽く、中国・東南アジアの海老せんべいのようなパリッとした食感で、スナック菓子感覚でいただけました。

 ビネガーベースのサルサを添えると、さっぱりとしてより一層美味しくいただけました。


 今回いただいたメキシコ料理は、いずれも酸味や辛さが生かされており、サルサやディップを添えることにより、多様な味を楽しむこともできました。

 「ビバ メキシコ!」(メキシコ万歳!)


<関連リンク>
 「World Breakfast Allday」(外苑前店・東京都渋谷区神宮前3-1-23-1F ほか)

<参考文献>
 「メキシコ」(「World Breakfast Allday」リーフレット)
 地球の歩き方編集室「世界のグルメ図鑑」(学研プラス)
 「大使館の食卓 おうちで簡単レシピ集」(産経新聞出版)

2023年9月 3日 (日)

大阪・長居公園の「YANMAR MARCHÉ NAGAI(ヤンマーマルシェ長居)」と「OSSO MARKET&KITCHIEN(オッソマーケット&キッチン)」

大阪・長居公園

 大阪市東住吉区の長居公園(ながいこうえん)を訪問しました。

(長居公園・エントランス広場)
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 長居公園は大阪メトロ・御堂筋線の長居駅を下車してすぐの場所にあり、梅田やなんばからのアクセスも抜群です。

(長居公園マップ)
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 広大な敷地には、ヤンマースタジアム長居・ヤンマーフィールド長居(陸上競技場)、ヨドコウ桜スタジアム、長居障がい者スポーツセンター、プール、庭球場などのスポーツ施設のみならず、植物園や自然史博物館、飲食施設、ユースホステルまで揃っています。

 2022年春から夏にかけて一大リニューアルされ、注目を集めている公園です。

 興味深いのは、この公園が「食を楽しむ」公園でもあることです。

 レストランやカフェ、マルシェで食事や買い物ができたり、キッチンカーがやってきたり、食のイベントが開催されたりと、様々な「食」を楽しむこともできる公園なのです。

 長居公園のエントランス広場付近には、食のショップが集まっています。

(長居公園・ショップエリア)
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 3つのショップが並んでいます。

 写真右側から「confiteria S(コンフィテリア・エーセ)」、「桜珈琲 長居公園店」、「ヤンマーマルシェ長居」です。

 「confiteria S」はケーキや焼き菓子が揃った洋菓子店、「桜珈琲 長居公園店」は南大阪で人気のある喫茶店(特に14時までのモーニングがおすすめ)、そして「ヤンマーマルシェ長居」は農業機械などで有名な「ヤンマー」の直営レストランです。


ヤンマーマルシェ長居(YANMAR MARCHÉ NAGAI)

 「ヤンマーマルシェ長居」でランチをいただきました。

(ヤンマーマルシェ長居(店舗・遠景))
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 オープンテラス席もあります。

(ヤンマーマルシェ長居(店舗))
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 おしゃれな店舗で、ヤンマーのロゴマーク入りの看板も見えます。

 お店に入りました。

(セレッソ大阪・ユニフォーム等の展示)
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 店内には、セレッソ大阪(ヤンマーディーゼルサッカー部が前身)のユニフォームなどが展示されていました。

 ヤンマーのキャラクター、ヤン坊とマー坊も飾られています。

 「♪2人あわせてヤンマーだ、きみとぼくとでヤンマーだ(笑)」

 ヤンマーは農業との関わりが深い会社であることから、その強みやノウハウを生かしたメニューが揃えられています。

 レジで料理を注文し、テーブル席で待っていると、しばらくして料理が出来上がりました。

(特製ローストビーフとグリルなトマト&オニオン・特製グレイヴィーなニンニク醤油ソース)
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 お店の看板メニューの1つ「特製ローストビーフとグリルなトマト&オニオン・特製グレイヴィーなニンニク醤油ソース」です。

 14時まではドリンクバーが付いています。

 メインのローストビーフをご飯の上に盛り付け、新鮮なサラダもたっぷり添えられています。

 美味しいご飯や生産者の顔が見える新鮮な野菜も売りだからです。

(特製ローストビーフ・特製グレイヴィーなニンニク醤油ソースとライス)
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 ローストビーフには、肉汁をニンニク醤油で調味したグレイビーソースがたっぷりとかけられています。

 プレートに添えられたマヨネーズを付けていただくこともできます。

 ご飯には細かく刻んだ大葉が混ぜられており、そのさわやかな風味がローストビーフやグレイビーソースとよく合いました。

 ローストビーフがたっぷりで、お昼から贅沢な気分になりました。

 続いてサラダなどの野菜をいただきました。

 サラダは、フタ付きの筒状のガラス容器に詰められて提供されます。

(サラダ(フタ付き))
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 このフタをとり、ドレッシング(4種類の中から選べます)をかけていただきます。

(サラダ・すりおろし野菜ドレッシング・グリルなトマト&オニオン)
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 筒状の容器の中に葉物野菜を中心としたサラダがたっぷり詰められており、ドレッシング(写真右上)もたっぷり用意されているので、思いっきりサラダを食べたい人にもおすすめです。

 また「グリルなトマト&オニオン」は、厚切りのトマト、玉ねぎ、ニンニクをグリルした料理で、どれも甘みがあって美味しくいただけました。

 このトマトと玉ねぎは、同店のハンバーガーの具と同じものだと思いますが、これならハンバーガーも美味しいに違いありません。

 追加でデザートもいただきました。

(スフレなパンケーキ with 自家製はちみつレモン)
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 「スフレなパンケーキ with 自家製はちみつレモン」です。

 ランチタイムを終えた14時から販売されるスイーツです。

 私はこのパンケーキも食べたかったので、ランチタイムから長居して14時になった時点で注文しました。

 長居公園は長居しても許されるのです。知らんけど(笑)

(スフレなパンケーキ with 自家製はちみつレモン(中身))
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 このパンケーキの一番の売りは、生クリームにお米を加えて泡立てたシャンティクリーム(ホイップクリーム)が使われていることです。

 ふわっふわのスフレパンケーキに、甘酸っぱいレモンソース、お米のシャンティクリーム、自家製はちみつレモンを添えていただきました。


 大阪の「ヤンマーマルシェ長居」に続き、東京・八重洲にも「ヤンマーマルシェ東京」がオープンしておりますので、御興味を持たれた方はどうぞ。


オッソマーケット&キッチン(OSSO MARKET&KITCHIEN)

 続いて、同じ長居公園内にある食のお店「オッソマーケット&キッチン(OSSO MARKET&KITCHIEN)」を訪問しました。

(オッソマーケット&キッチン(店舗))
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 「おいしいをおすそわけ」、「おいしいが行き交う場所」がコンセプトのマーケット・カフェです。

 マーケットでは、大阪や関西圏の地場野菜のほか、九州の特産品・名産品なども販売されています。

 特に野菜は、大阪で100年以上栽培されている独自品種「なにわの伝統野菜」など、地元大阪ならではの新鮮なこだわり野菜がたくさん用意されています。

 私もいくつか購入しました。


【ゆず水なす】

 大阪府南部・泉州は「泉州水なす」の産地です。

(ゆず水なす)
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 こちらは、大阪府貝塚市の小池商店から販売されている「泉州水なす」の漬物です。

 水分が多くてやわらかく、漬物というよりは味付けした水なすそのものをいただいているように思いました。

 ゆずの皮も入っており、ゆずのさわやかな風味と水なすの相性が抜群でした。


【えごまの実入りバナナケーキ】

 店内には大阪府産の「えごま」を使った加工品・お菓子のコーナーもありました。

(えごまの実入りバナナケーキ(包装))
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 大阪府富田林市の「愛菜農園」で作られた「えごまの実」が入ったバナナケーキです。

 「えごまの実」は、見た目や大きさがポピーシードやマスタードシードに似た小さくて丸い実で、香ばしさとプチプチとした食感が特徴です。

(えごまの実入りバナナケーキ)
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 しっとりとしたバナナケーキにプチプチのえごまの実が良いアクセントになっていました。


【大阪府産天然うなぎ・八幡巻】

 冷蔵コーナーに大阪府産天然うなぎの八幡巻が販売されていました。

(大阪府産天然うなぎ・八幡巻の商品案内)
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 大阪・淀川で、江戸時代から続く伝統漁法で獲った天然うなぎが使われていると紹介されています。

 淀川で天然うなぎが獲れるのかと驚きました。

 とても珍しいので、購入しました。

(大阪府産天然うなぎ・八幡巻(包装))
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 大阪府堺市のあなご専門店「松井泉(まついいずみ)」で製造され、大阪市漁業協同組合から販売されている商品です。

 「八幡巻」は、ごぼうにうなぎをグルグルと巻き付け、醤油、砂糖、酒で甘辛く煮詰めた料理です。

 棒状の八幡巻を切って皿に盛り付けました。

(大阪府産天然うなぎ・八幡巻)
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 天然うなぎですので、身は薄いのですが、その分しっかりとした弾力がありました。

 養殖うなぎほど脂はのっていませんが、うなぎ本来の旨味が味わえました。


【OSSO特製・麻婆茄子と野菜&自家製野菜味噌ご飯】

 総菜・弁当のコーナーに、OSSOのオリジナル弁当が販売されていました。

 「OSSO特製・麻婆茄子と野菜&自家製野菜味噌ご飯」です。

(OSSO特製・麻婆茄子と野菜&自家製野菜味噌ご飯)
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 ご飯とおかずがそれぞれパッケージされ、お重のように2段重ねにして販売されていました。

(麻婆茄子と野菜・ポテトサラダ)
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 こちらはおかずの皿で、写真手前がポテトサラダ・サニーレタス・トマト(乙女の涙)、奥が「麻婆ナスと野菜」です。

 「麻婆ナスと野菜」は、細かく刻んだなす・人参・玉ねぎ、合い挽きミンチ、コールラビ、キャベツ、しめじをコチュジャンと鶏がらスープで炒め、ピリ辛のマーボー風に仕上げた料理です。

 野菜たっぷりの挽き肉料理で、コチュジャンのピリ辛な味付けも手伝って、ご飯がすすみました。

(自家製野菜味噌ご飯)
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 こちらはご飯に自家製野菜味噌が盛られた「自家製野菜味噌ご飯」です。

 「自家製野菜味噌」は、細かく刻んだズッキーニ・ナス・みょうがをゴマ油で香ばしく炒め、味噌・砂糖で味付けした一品です。

 甘辛の味噌とみょうがの香りが食欲をそそり、この野菜味噌とご飯だけで十分だと思いました(笑)

 たっぷりの野菜とマーボーの絶妙な組み合わせ。

 「♪ぼくは野菜のヤン坊 ぼくは中華のマーボー」と口ずさみながら美味しくいただきました。

 大阪の新鮮な野菜、レアな食材が購入できる「オッソマーケット&キッチン長居」。

 「ヤンマーマルシェ長居」と同様、食や農業に興味をお持ちの方におすすめのお店です。


 大阪の長居公園は、スポーツや学術だけでなく、大阪の様々な食も楽しめる魅力的な公園です。


<関連サイト>
 「長居公園」(大阪市東住吉区長居公園1-1)
 「ヤンマーマルシェ長居(YANMAR MARCHÉ NAGAI)」(大阪市東住吉区長居公園1-1)
 「セレッソ大阪
 「オッソマーケット&キッチン(OSSO MARKET&KITCHIEN)」(大阪市東住吉区長居公園1-1)
 「小池商店」(大阪府貝塚市清児518-6)
 「愛菜農園」(大阪府富田林市富田林町10-21)
 「松井泉」(大阪府堺市堺区楠町3-1-26)
 「大阪市漁業協同組合」(大阪市此花区常吉2-10-12)
 「大阪産(おおさかもん)」(大阪府環境農林水産部流通対策室ブランド戦略推進グループ)

<参考文献>
 大阪市高速電気軌道株式会社「Osaka Metro さんぽ。(2022 AUTUMN)」

2023年8月27日 (日)

菅原道真ゆかりの地(大阪府藤井寺市道明寺)で道明寺粉と道明寺桜餅について学ぶ

道明寺桜餅と道明寺

 和菓子の桜餅は、小麦粉の生地で作られた関東風の「長命寺桜餅」と、もち米(道明寺粉)で作られた関西風の「道明寺桜餅」の2種類に分類できます。

 その「道明寺」という名称のルーツである大阪府藤井寺市の道明寺。

 和菓子好きな方、和菓子を作っておられる方、食文化に興味をお持ちの方などで、このお寺の名前を御存知の方も多いと思います。

 今回、道明寺粉と道明寺桜餅について学ぶため、大阪府藤井寺市道明寺を訪問しました。


近鉄・道明寺駅と道明寺天神通り商店街

 近鉄南大阪線・準急列車で近鉄・道明寺駅に到着しました。

(近鉄列車と道明寺駅ホーム(準急・河内長野行きと普通・柏原行き))
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 道明寺駅は近鉄・南大阪線と道明寺線の駅です。

 駅を出てすぐの場所に、「大坂夏の陣・道明寺合戦記念碑」がありました。

(大坂夏の陣・道明寺合戦記念碑)
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 道明寺合戦は、大坂夏の陣で真田幸村軍と伊達政宗軍が激突した戦いです。

 それから約400年の時を経た夏、ようやく私が道明寺の地にたどり着きました(笑)

 道明寺駅周辺の地図を見ると、道明寺と道明寺天満宮があり、その寺社に続く商店街「道明寺天神通り商店街」がありました。

(道明寺天神通り商店街)
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 どこか懐かしさを感じる、地域に密着した商店街です。

 道明寺を訪問する前に、ぜひとも調達しておきたい食べ物がありました。

 桜餅です。

 道明寺周辺のお店で桜餅を買って、道明寺境内でいただく、名付けて「道明寺作戦」。

 戦いの火ぶたが切って落とされ、スマートフォンを片手に「桜餅はどこじゃ、どこにあるのじゃ」と目の色を変えて和菓子店を探しました。

 そうして見つけたお店が「御菓子司 梅屋店舗」です。

(御菓子司 梅屋店舗)
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 「見つけたり!」

 でもお店のシャッターがちょっと気になり…さらにお店に近づいてみると…。

(休業の貼り紙)
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 「誠に勝手ながら しばらくの間休業させていただきます」

 「無念じゃ、安芸の国から参ったのに、実に無念じゃ…」

 明らかにトーンダウンして引き戻しました。

 でも気分だけでも味わいたいと思い、道明寺近くのスーパーマーケットへ行きました。

(食品館アプロ 道明寺店)
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 和菓子コーナーへ行くと、季節外れなので桜餅はなかったものの、土用餅と柏餅のセットが販売されていました。

 この和菓子セットを購入し、道明寺へ向かいました。


道明寺

 道明寺入口にたどり着きました。

(道明寺入口)
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 少し緊張しつつ、山門に向かいました。

(道明寺山門)
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 気を引き締めて、山門をくぐりました。

 入ってすぐのところに、道明寺略縁起(りゃくえんぎ、起源・由来)がありました。

(道明寺略縁起)
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 道明寺の由来については、後ほどまとめて御紹介します。

(道明寺案内板)
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 こちらは道明寺の案内板で、現代版「道明寺略縁起」です。

(道明寺本堂(遠景))
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 こちらが道明寺の本堂です。

 さらに歩いて近づいてみました。

(道明寺本堂)
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 道明寺本堂を正面から眺めた様子です。

 心ばかりのお賽銭を納め、手を合わせました。

(伊藤柏翠の句碑)
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 境内に句碑がありました。

 その1つ、伊藤柏翠(いとう はくすい)の「大安で吉日 梅の道明寺」という句碑です。

 いくら桜餅に道明寺粉が使われようと、菅原道真と言えばやはり「梅」なのですね。

 ひととおり境内を散策した後で、椅子に腰かけ、休憩を兼ねて和菓子をいただきました。

 境内で食べることに少し申し訳なさを感じましたが、お賽銭を納めたことでお許しをいただこうと思います。

(土用餅・柏餅)
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 道明寺でいただいた土用餅と柏餅です。

 ここで道明寺桜餅をいただきたかった…(笑)


道明寺天満宮

 道明寺に隣接して道明寺天満宮があります。

 天満宮と言えば、菅原道真を祭神とする神社で、北野天満宮(京都)、大宰府天満宮(福岡)、防府天満宮(山口)など全国各地にありますが、道明寺天満宮もその1つです。

 この道明寺天満宮を訪問しました。

(道明寺天満宮神門)
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 天満宮の梅の紋章もあります。

(道明寺天満宮注連柱・灯籠)
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 道明寺天満宮の注連柱(しめばしら)と灯籠(とうろう)です。

 さらに中へと進みました。

(道明寺天満宮拝殿)
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 こちらが道明寺天満宮の拝殿です。

 梅の紋章があちこちに配されています。

 ならば天神さまお使いの「牛」もいらっしゃるのではないかと探してみると…

(撫で牛)
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 やはりいらっしゃいました。

 ここで私も一句。

 「東風(こち)吹かば におひおこせよ 桜餅 桜なしとて 餅を忘るな」

 意味「(道明寺や道明寺天満宮に)桜のおもかげはなくとも、桜餅のことも忘れないでほしい。せめて桜餅の匂いだけも感じられたら…」

 道明寺桜餅への深い思い入れが感じられる一句です(笑)


道明寺粉についてわかったこと

 今回道明寺や道明寺天満宮を訪問し、道明寺粉についてわかったことをまとめてみます。

○土師氏の寄進により建立された尼寺で、当初は「土師寺」と呼ばれていた。

○菅原道真の伯母の覚寿尼(かくじゅに)が住職をしていたこともあり、菅原道真自身もよくこのお寺を訪問した。

○菅原道真は、土師氏の後裔(こうえい)にあたる。

○本尊の国宝十一面観音菩薩像は、菅原道真が自ら刻んだ像だと伝えられている。

○菅原道真の左遷が決まった時、菅原道真は土師寺を訪れ、覚寿尼と別れを惜しんだ。

○菅原道真の死後、「土師寺」は菅原道真の号「道明」にちなんで「道明寺」と改められた。

○桜餅の材料として有名な「道明寺粉(糒、ほしい、ほしいい)」は、菅原道真が太宰府に左遷された後、覚寿尼が毎日お供えした御膳のお下がりを多くの人に分け与える為に乾燥・貯蔵したことが始まり。

 道明寺粉は、お供えした後のごはんをパラパラに乾燥させた「干し飯(ほしいい)」のことで、それを蒸したり茹でたりすることで、再びごはんやお餅に戻して食べられたようです。

 「菅原道真へのお供えしたご飯のお下がり」が「道明寺糒(道明寺粉)」へとつながり、やがてその道明寺粉が和菓子の材料として用いられるようになり、道明寺粉の名前を冠した道明寺桜餅として西日本を中心に広まったのです。


まとめ

 藤井寺市道明寺は、「道明寺桜餅」発祥の地というよりは、桜餅の材料となる「道明寺粉(糒、干し飯)」発祥の地であり、菅原道真ゆかりの地であることがわかりました。

 そのため、本来は菅原道真と関わりの深い「梅」の街なのですが、全国的には道明寺粉を使った道明寺桜餅が有名になったため、「桜」の街だと思われることもあるのです。

 ちなみに、後になって知ったのですが、道明寺では「道明寺糒(どうみょうじほしい)」が1本千円で販売されているようです。

 私も「あっ、ほしい」と思ったのですが、時すでに遅しでした。

(近鉄列車と道明寺駅ホーム(普通・古市行きと普通・柏原行き))
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 菅原道真ゆかりの地を訪問したことで、様々なことを学べました。


<関連サイト>
 「蓮土山 道明寺」(大阪府藤井寺市道明寺1-14-31)
 「道明寺天満宮」(大阪府藤井寺市道明寺1-16-40)

<関連記事>
 「関東の和菓子と関西の和菓子 -和菓子の比較検証-

2023年8月20日 (日)

北海道の食文化探訪5 -「ココトマカフェ」のコーヒーとレモンケーキ、とまチョップサブレ、とまチョップ旨味ほっき貝ひも、新千歳空港の「えびそば」-

苫小牧駅・とまチョップ・苫小牧西港フェリーターミナル

 札幌駅から北海道苫小牧市を目指しました。

 札幌駅ホームで「ロイズタウン駅開業1周年記念特別列車」を見かけました。

(ロイズタウン駅開業1周年記念特別列車(はまなす編成)と普通列車(札幌駅ホーム))
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 写真右側のピンク色の列車が、札幌駅とロイズタウン駅を往復する特別列車(はまなす編成)です。

 ロイズタウン駅は、北海道のチョコレートメーカー「ロイズ」の生産拠点が置かれていることにちなんで設置された駅です。

 この日は工場見学・体験施設「ロイズカカオ&チョコレートタウン」の見学など、様々なイベントが用意されていたようです。

 やがて向かいのホームに、私が乗車する特急北斗・函館行きが入線しました。

(特急北斗と快速エアポート(札幌駅ホーム))
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 この特急北斗(写真左側の列車)に乗車し、苫小牧駅へ向かいました。

(苫小牧駅)
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 札幌駅から約50分で苫小牧駅に到着しました。

 苫小牧市は日本を代表する港湾都市であることから、いつか訪問したいと思っていました。

(苫小牧駅と特急列車)
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 苫小牧駅の周辺を散策してみました。

(苫小牧駅と製紙工場の煙突)
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 苫小牧は製紙業が盛んで、苫小牧駅のすぐ近くにも王子製紙の工場があります。

 バスで苫小牧港フェリーターミナルへ行き、フェリーを見学したいと思い、苫小牧駅に隣接する「ふれんどビル」の1階にある「苫小牧観光案内所」に伺いました。

(とまチョップ(苫小牧観光案内所))
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 苫小牧市公式キャラクター「とまチョップ」です。

 3月の卒業シーズンに訪れたことから、とまチョップも学生服で卒業証書を手に持っています。

 学生帽がホッキ貝(苫小牧は日本でトップクラスの水揚げ量を誇ります)のデザインとなっています。

 観光案内所の職員の方にフェリーターミナル行きのバスについて尋ねると、苫小牧駅と苫小牧西港フェリーターミナルを結ぶ「道南バス・フェリー線」が1日3往復半運行されており、そのうちの1便がもうすぐ苫小牧駅から出発するとのお話でした。

 簡単に歩いて行って帰れる距離ではないため、御案内いただいたバスに乗ってフェリーターミナルへ向かうこととしました。

 バスは苫小牧駅を11時10分に出発し、苫小牧西港フェリーターミナルには11時27分に到着しました。

 このバスは折り返し苫小牧駅へ向かうのですが、停車時間はわずか3分しかありません。

 「よーいドン!」

 駆け足でフェリーターミナル施設に入場しました。

(苫小牧西港フェリーターミナル待合ロビーから眺めたフェリー)
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 ロビーからフェリーを約30秒眺め、フェリーターミナルショップで北海道ご当地耳かきがないか約1分半探し回り(結局ありませんでしたが…)、駆け足で玄関のバス停に戻りました。

(苫小牧西港フェリーターミナルと道南バス)
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 「出発するなよー」と祈る気持ちで撮影した1枚です(笑)

 こうして再び同じバスに乗り、苫小牧駅へ戻りました。

 バスの車窓からもカーフェリーなどの大型船舶が係留されている様子を見ることができ、苫小牧港の雰囲気は何となくわかりました。


「ココトマカフェ」のコーヒー・レモンケーキと苫小牧のお土産

 再び「ふれんどビル」に戻った私は、カフェで少し休憩することにしました。

 施設内のカフェ「ココトマカフェ」に立ち寄ってみると、レモンケーキが山積みで販売されていました。

 このレモンケーキに吸い寄せられるようにカフェに入店しました。

 コワーキングスペースが併設されており、子供たちが遊んだり、大人たちが会話を楽しんだりして、のびのびと過ごしておられました。

 しばらくして、コーヒーとレモンケーキを御用意いただきました。

(ココトマカフェのコーヒーとニシムラファミリーのレモンケーキ)
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 北海道のカフェでコーヒーとレモンケーキを味わえるとは、嬉しい偶然です。

(ニシムラファミリーのレモンケーキ)
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 「ニシムラファミリー(合同会社どさんこエナジー)」のレモンケーキです。

 北海道産の小麦粉、鶏卵、砂糖、バター、食用こめ油が使われており、包装には「道産原料使用登録食品」のシールが貼られています。

(ニシムラファミリーのレモンケーキ(中身))
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 いただいてみると…きめ細かいケーキ生地の中に大きなオレンジピール漬けがザクザク入っていました。

 表面にはレモンチョコレートが厚めにコーティングされていました。

 今回の北海道旅行では、札幌グランドホテル「ザ・ベーカリー&ペイストリー」のレモンケーキと、この「ニシムラファミリー(合同会社どさんこエナジー)」のレモンケーキをいただきましたが、どちらも「当たり」で、取り寄せてでも食べたいレモンケーキでした。

 コーヒーはブラックで、レモンケーキと一緒にその深いコクとほろ苦さを味わいました。

 「苫小牧観光案内所」で苫小牧のお土産を購入しました。

 カフェのテーブルをコワーキングスペースとさせていただき、お土産を並べてみました。

(とまチョップサブレ、とまチョップボールペン、とまチョップ旨味ほっき貝ひも)
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 とまチョップがデザインされた「とまチョップサブレ」、その箱の上にあるのが「とまチョップ」ボールペン、写真右側にあるのが「とまチョップ旨味ほっき貝ひも」です。

 「とまチョップサブレ」は、北海道銘菓「よいとまけ」で有名な「三星(みつぼし)」の商品です。

 「とまチョップ旨味ほっき貝ひも」は、地元の大丸水産が、お刺身ほっきのヒモをピリ辛の珍味に仕上げた商品です。

 苫小牧駅に隣接する「ふれんどビル」で、カフェを楽しんだり、お土産を買ったりと、有意義なひとときを過ごすことができました。


新千歳空港の大空ミュージアムとスタンプラリー

 北海道旅行の締めくくりは、新千歳空港で楽しみました。

 新千歳空港は北海道の玄関口として利用者も多いことから、数多くのグルメスポットやエンターテイメントスポットがあります。

(新千歳空港・飛行機とマーシャラー)
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 待合ロビーでマーシャラーが飛行機を誘導されている様子です。

(飛行機(新千歳空港)と北海道の模型)
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 航空体験施設「大空ミュージアム」へも行ってみました。

(大空ミュージアム・お仕事体験ソーン・飛行機用コンテナ展示)
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 飛行機用コンテナが展示されていました。

 上底が広く下底が狭い、独特な形をしたコンテナですが、これは円筒形をした飛行機の機体の下部にすき間なく積み込むための形(扇形、四分円)なのだそうです。

(大空ミュージアム・お仕事体験ソーン・キャビンアテンダント体験コーナー)
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 キャビンアテンダント体験コーナーでは、キャビンアテンダントの座席に座り、インターフォンを使って機内アナウンスの体験をすることができます。

 こうした業務に憧れを持ち、本当にやってみたいと思っている私は、周りに子供がいないことを確認した上で(笑)、インターフォン片手に機内アナウンス体験を楽しみました。

 空港内の施設を巡るスタンプラリーも開催されていたので、これも子供だけが対象でないことを確認した上で(笑)参加しました。

 新千歳空港の施設をひととおり見て回ることができるポイント設定になっていました。

 6か所のポイントでスタンプを押し、台紙をゴールのショップへ持参すると、新千歳空港のオリジナルグッズの1つがプレゼントしていただける企画です。

 全てクリアした私は新千歳空港のクリアファイルをいただきました。

(新千歳空港スタンプラリー台紙とクリアファイル)
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 新千歳空港の良い思い出となりました。


「えびそば一幻」のえびそば

 新千歳空港で夕食をいただきました。

 新千歳空港ターミナルビル3階の「北海道ラーメン道場」にある「えびそば一幻」に伺いました。

 甘エビの旨味と風味を凝縮させたスープでいただくラーメン「えびそば」で有名なお店です。

 メニューには、塩スープがベースの「えびしお」、味噌スープがベースの「えびみそ」、そして醤油スープがベースの「えびしょうゆ」の3種類が用意されていました。

 お店の方に「塩か味噌かどちらかにしようと思いますが、どちらが人気ですか?」と尋ねると、「どちらも同じ、半々ぐらいですね」と教えていただいたので、「えびしお」を注文しました。

 あわせて「えびおにぎり」も注文しました。

(えびそば(えびしお))
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 こちらが「えびそば(えびしお)」です。

 えびスープ、えび風味の天かす、えび粉と、まさに海老づくしのラーメンです。

 太麺に濃厚な海老のスープが絡み、海老の美味しさがダイレクトに伝わるラーメンでした。

(えびおにぎり)
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 こちらはサイドメニューの「えびおにぎり」です。

 海老の旨味と風味がきいたおにぎりで、焼き海苔に包んでいただきました。

 このおにぎりを、えびそばの残りのスープに入れると雑炊風に楽しめるとのことなので、こちらも試してみました。

(えびそばスープにえびおにぎりを加えた様子)
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 確かに、えびそばスープとえびおにぎりの相乗効果で、とても濃厚な海老の旨味と風味が楽しめる雑炊になりました。

 お腹を満たし、幸せな気分に浸りながら出発ロビーへ向かいました。


まとめ

 広島から飛行機で北海道へ行き、道内では主に「ANAきた北海道フリーパス」を活用して千歳市、北広島市、札幌市、小樽市、稚内市、白老町、苫小牧市を訪問しました。

 北海道はとても広いので、限られた時間内に、しかも公共交通機関のみでこれだけの場所を訪問しようとすると、スケジュール作りにとても苦労しました。

 予想外の出来事で、現地でスケジュールを再調整することも多々ありましたが、その分、思わぬ発見や新たなチャンスにも恵まれました。

 食の宝庫「北海道」。

 またいつか訪問できればと思いつつ、新千歳空港から飛行機で広島空港へ戻りました。


<関連サイト>
 「苫小牧西港フェリーターミナル」(北海道苫小牧市入船町一丁目2-34)
 「COCOTOMA(ココトマ)」(北海道苫小牧市表町五丁目11-5)
 「ニシムラファミリー」(北海道千歳市新富2丁目4-1ほか)
 「三星(みつぼし)」(北海道苫小牧市字糸井141)
 「大丸水産」(北海道苫小牧市新開町4-8-15)
 「えびそば一幻」(「新千歳空港店」新千歳空港国内線ターミナルビル3F ほか)

<関連記事>
 「北海道の食文化探訪1 -北広島市と広島のつながり・「くるるの杜」の農村レストラン・農畜産物直売所-
 「北海道の食文化探訪2 -小樽「美園」のアイスクリーム・札幌「日曜日のクッキー。」・札幌「ノースマン」-
 「北海道の食文化探訪3 -札幌グランドホテル ノーザンテラスダイナーの「北海道朝食」とザ・ベーカリー&ペイストリーの「レモンケーキ」-
 「北海道の食文化探訪4 -宗谷黒牛の照り焼きステーキ てっぺん丼・稚内駅弁「四大かに弁当」-

2023年8月13日 (日)

アイヌの食文化研究2 -トノト・チタタプ・オハウ・チポロシト・鮭(ルイベ)・ヒグマ・合鴨・エゾシカ・プクサ・シケレペ・エント-

札幌・すすきの

 札幌市の繁華街・すすきのを訪問しました。

(すすきの)
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 ニッカウヰスキーのネオン看板などがある「すすきの交差点」です。

 大阪・道頓堀(戎橋)のネオン看板と同様に、記念撮影する観光客の方がたくさんおられました。

 今回はすすきのにある北海道郷土料理・アイヌ料理店「海空のハル」でいただいたアイヌ料理を御紹介します。


アイヌ料理

 お店に入り、予約している旨をお伝えして、席を御案内いただきました。

 席には毛筆で私の名前とともに「イランカラプテ(こんにちは)」と書かれたメッセージカードが用意されており、その温かいおもてなしに感動しました。

 代表的なアイヌ料理が揃った「アイヌ創作料理セット」をいただきました。

(アイヌ創作料理セット)
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 木製の皿や器、笹の葉などにアイヌ料理が美しく盛り付けられています。


【トノト】

 まずは食前酒として「トノト」をいただきました。

(トノト)
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 「トノト」はお酒のことですが、「殿様の乳」に由来する言葉だそうです。

 「ピヤパ(ひえ)」と「カムタチ(麹)」を混ぜて作られたお酒です。

 ドロッとした口あたりで、ほのかに甘みも感じる、甘酒に似た飲みやすいお酒でした。


【チタタプ】

 続いては「チタタプ」です。

(チタタプ)
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 こちらは鮭のチタタプです。

 「チタタプ」は、鮭などを細かく刻んだ「たたき」のことです。

 アイヌの人々は、ナタや包丁で「チタタプ、チタタプ」と言いながら鮭などを細かくたたいて作られるそうです。

 鮭のチタタプは主にアラ(頭・エラ・中骨・ヒレ・白子・内臓など)を細かくたたいて作る料理ですが、今回御用意いただいたチタタプは食べやすさに配慮し、主に鮭の身を細かくたたいたものを御提供いただきました。

 ねっとりとした食感で、鮭の濃厚な旨味を楽しむことができました。

 ちなみに鮭の目玉はチタタプには入れず、子供の大切なおやつ(※)にされたようです。
 ※目玉を生のままくり抜き、あめ玉のようにしゃぶりながら食べられたようです。


【オハウ】

 「オハウ」は「汁物」のことです。

(オハウ)
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 このオハウは、野菜(ゴボウ、冬瓜、人参、フキ、インゲン、ネギなど)と焼き鮭が入っていました。

(オハウ(中身))
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 昆布と焼き鮭でだしをとり、塩で味を調えたシンプルな味付けの汁です。

 骨ごと焼いた鮭から香ばしさがにじみ出て、滋味深い味わいの汁でした。


【チポロシト】

 「チポロシト」です。

(チポロシト)
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 じゃがいもにデンプンを加え、油脂で揚げた「いももち」(エモシト)にイクラをのせた料理です。

 「チポロ」は「イクラ」、「シト」は「お餅、団子」という意味です。

 イクラをすり鉢ですりつぶしたものを「いももち」と一緒に食べるのが伝統的な食べ方だと教えていただきました。

 「いくらなんでも、イクラをすりつぶすなんてもったいない…」と思いましたが、すりつぶすとねっとりとして美味しさが増すのだそうです。

 モチモチしたじゃがいものお餅に、ほんのり塩気の効いたイクラがとてもよく合っていました。


【鮭の塩焼き】

 「鮭の塩焼き」です。

(鮭の塩焼き)
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 鮭はアイヌ語で「カムイチェプ(神の魚)」と呼ばれることからもわかるように、アイヌ料理には欠かせない食材の1つです。

 ほんのりと塩味が効いた、厚切りの鮭の塩焼きでした。


【北海道ジビエ(ヒグマ・合鴨・エゾシカ)】

 北海道ジビエの低温調理ロースト3種盛り(ヒグマ・合鴨・エゾシカ)です。

(北海道ジビエ(ヒグマ・合鴨・エゾシカ))
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 写真左から、ヒグマ、合鴨、エゾシカです。

 ヒグマは、肉に適度な弾力があり、赤身の美味しさを堪能できました。
 新鮮だからか、獣臭さが全くないのが不思議でした。

 合鴨は赤身がやわらかくクリーミーで、脂身は口の中で溶けてその甘みとコクを楽しめました。

 エゾシカは、やわらかくきめ細かい赤身が印象的で、ヒグマと同様に臭みは全く感じられませんでした。

 3種のジビエは、いずれも新鮮で肉がやわらかく、そのレベルの高さに驚きました。

 お店の看板メニューの1つに違いないと思いました。

 ヒグマや鮭を堪能したところで、ふと目の前の置物に目が留まりました。

(熊と鮭の置物)
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 熊が鮭を食べ、その両方を私が嬉しそうに食べている…。

 カムイ(神)は私をどう御覧になっているでしょうか(笑)

 「ヒンナヒンナ(感謝、感謝)」


【鮭のルイベ】

 続いて、単品料理をいくつかいただきました。

(鮭のルイベ)
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 鮭の身を凍らせ、厚く切った刺身です。

 昆布エキスを抽出した「海水醤油」という透明な調味料でいただきました。

 半解凍状態でひんやり冷たく、シャリッ、もちっとした食感を楽しめました。


【プクサ(行者ニンニク)の醤油漬け】

 アイヌ料理の代表的な食材の1つに「プクサ(行者ニンニク)」があります。

(プクサ(行者ニンニク))
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 (藤村久和監修「自然の恵み アイヌのごはん」デーリィマン社 p80の一部を引用)

 「キト」、「キトビロ」とも呼ばれる山菜で、ニンニクのような強い香りを持っています。

 私は石川県能登地方でいただいたことがあります。

 お店のメニューに、このプクサ(行者ニンニク)の料理があったので注文しました。

(プクサ(行者ニンニク)の醤油漬け)
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 「プクサ(行者ニンニク)の醤油漬け」です。

 シャクシャクした食感で甘味があり、「わけぎ」に似ていると思いました。


【シケレペ茶】

 シケレペを使ったお茶が御用意されていたので注文しました。

(シケレペ茶(茶器))
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 「シケレペ」はミカン科の樹木で、和名は「きはだ」です。

 茶器のフタを開けて中の様子をのぞいてみましょう。

(シケレペ茶(中身))
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 湯気とお湯でよくわかりません…(笑)

 しばらく抽出させて、カップに注ぎました。

(シケレペ茶)
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 シケレペ茶は、しょうが茶のような刺激のあるお茶でした。

 シケレペの実を取り出してみました。

(シケレペの実)
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 見た目(色・大きさ・形)は黒い粒コショウのようです。

 このシケレペの実について、お店の方から教えていただいたことは、
①たくさん食べるとお腹の調子が悪くなる可能性があるので、食べるなら少量に留めること
②実に「当たりはずれ」があり、ピリピリと辛味を感じる実も混じっていること
でした。

 シケレペの実を食べてみると、甘くて柑橘の風味を感じましたが、たまにピリピリと山椒の実のような辛い実がありました。

 その辛い実に当たると舌や口の中がしびれ、その状態がしばらく続くことになります。

(ラタシケプとエモシト)
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 これは国立アイヌ民族博物館に展示されている「ラタシケプ」と「エモシト」のサンプルですが、このラタシケプ(カボチャの和え物)にポツポツと見える黒い点がシケレペです。

 シケレペはアイヌ料理に欠かせない食材とされていますが、人によって好き嫌いが分かれるため、最近ではシケレペを使わないケースもあるそうです。


【エントプリン・エント茶】

 「エント(なぎなたこうじゅ)」はシソ科の植物で、花が咲いている時に採取し、乾燥保存させ、主にお茶として利用されます。

(エント(なぎなたこうじゅ))
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 (藤村久和監修「自然の恵み アイヌのごはん」デーリィマン社 p98の一部を引用)

 この「エント」から作られた「エントプリン」と「エント茶」のセットをいただきました。

(エントプリンとエント茶)
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 エント茶は上品な香りがするハーブティーでした。

 また、エントプリンには「ほうじ茶プリン」のような香ばしさも感じられました。


まとめ

 今回のお店や北海道白老町の「ウポポイ」でたくさんのアイヌ料理を味わい、アイヌの食文化を学ぶことができました。

 そこでわかったことは、アイヌの人々は自然の恵み(山菜・果実・魚・肉(ジビエ)・穀物など)をそのまま受け入れ、様々な工夫をして無駄なく食べておられることです。

 その根底には、自然の恵みをもたらすカムイ(神)への尊敬や感謝の気持ちがあるでしょう。

 アイヌ料理を通じて、北海道の自然の恵みを味わうことができました。


<関連サイト>
 「海空のハル」(札幌市中央区南4条西5丁目8 F-45ビル地下1F)
 「ウポポイ(民族共生象徴空間)」(北海道白老郡白老町若草町二丁目3)

<関連記事>
 「アイヌの食文化研究1 -北海道白老町「ウポポイ」のクンネチュプ・パピリカパイ・ペネイモぜんざい-

<参考文献>
 藤村久和監修「自然の恵み アイヌのごはん」デーリィマン社
 萩中美枝・畑井朝子・藤村久和・古原敏弘・村木美幸「聞き書 アイヌの食事」農山漁村文化協会

2023年8月 6日 (日)

北海道の食文化探訪4 -宗谷黒牛の照り焼きステーキ てっぺん丼・稚内駅弁「四大かに弁当」-

 今回は日本最北の地・北海道稚内の魅力を御紹介します。

特急宗谷で稚内へ

 朝、札幌駅から特急「宗谷」に乗り、稚内駅を目指しました。

(札幌駅・9番線)
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 札幌駅と稚内駅を結ぶ特急宗谷は、1日1往復運行されています。

(特急宗谷・運転室)
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 特急宗谷の運転室です。

 ヘッドマークには、北海道北部の地図がデザインされています。

(特急宗谷・261系ロゴマーク(4号車ドア付近))
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 こちらは特急宗谷・261系のロゴマークです。

 私は4号車(自由席車両)に乗車しました。

 やがて発車時刻の7時30分を迎えた特急宗谷は、ゆっくりと札幌駅を出発しました。

 片道(営業キロ)396.2km、所要時間5時間12分の列車旅の始まりです。

 今回私が利用したきっぷは「ANAきた北海道フリーパス」です。

(ANAきた北海道フリーパス)
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 ANAとJR北海道の共同企画きっぷで、新千歳空港駅のみどりの窓口でANA搭乗券を提示することで購入できます。

 広島空港-新千歳空港間はANA直行便で、新千歳空港から先の北北海道エリアは「ANAきた北海道フリーパス」を利用して鉄道で北海道旅行を楽しみました。

 自由席には大勢の人が乗車されていましたが、旭川駅で下車される人が多く、旭川駅から先は余裕をもって座ることができました。

 旭川から先は、北海道の大自然(山林と河川)の中を北上しました。

 途中の音威子府(おといねっぷ)駅には、木で作られた蒸気機関車が展示されていました。

(音威子府駅ホーム)
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 山林を走るため、特急宗谷は途中何度も野生の鹿に遭遇して、急ブレーキをかけていました。

 そしてその都度、遅れが発生してしまいます(笑)

 その後も特急宗谷は美しい天塩川沿いに北上を続けました。

 車窓から景色を眺める、本を読む、スマホを見る、うたた寝をするを繰り返すうち、特急宗谷は稚内駅に到着しました。

(稚内駅に到着した特急宗谷)
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 何度も野生の鹿が出没した影響で約20分の遅れが生じ、約5時間30分かかりましたが、これも旅の良い思い出です。


日本最北端の地・宗谷岬

 稚内駅からは宗谷バス・天北宗谷岬線に乗り、日本最北端の地・宗谷岬を目指しました。

(宗谷バス・天北宗谷岬線)
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 稚内駅から宗谷岬までは約30km、バスで約50分と意外に距離があります。

 乗客の多くは宗谷岬を目指す観光客でした。

 そして日本最北端の地・宗谷岬に到着しました。

(日本最北端の地の碑)
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 日本最北端の地の碑です。

(間宮林蔵の立像)
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 近くに江戸時代に樺太に渡った探検家・間宮林蔵の立像もありました。

 なぜ正面を向いてないのでしょうか…。

(間宮林蔵の立像と日本最北端の地の碑)
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 なるほど、北を向いているのですね。

(宗谷岬沖)
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 宗谷岬というと、その先は絶壁で荒波の海を想像していたのですが、実際は遠浅の穏やかな海が広がっていました。

(「宗谷岬」音楽碑)
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 「宗谷岬」の歌もあります。
 この歌も、春を迎えた穏やかな宗谷岬の様子が歌われています。

(日本最北端の土産店「柏屋」)
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 近くに日本最北端のおみやげ店がありました。

 背後の小高い丘に登ってみました。

(大岬旧海軍望楼)
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 写真の「大岬旧海軍望楼」は、1902(明治35)年に建設されたロシアとの国境の監視所の遺構です。

(宗谷岬灯台)
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 こちらは宗谷岬灯台です。
 雪の中でも見えやすいように、赤と白のツートンカラーになっています。


宗谷黒牛の照り焼きステーキ てっぺん丼

 再び宗谷バスに乗り、稚内の市街地へ戻りました。

 バス停・港1丁目で下車し、稚内副港市場へ行きました。

(稚内副港市場)
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 この施設に併設されている「稚内市樺太記念館」で樺太の歴史を学びました。

 その後、稚内駅へ向かって海沿いを歩きました。

(稚内港)
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 岸壁に係留する船を見ながら歩いていると、飲食店を見つけました。

(うろこ亭)
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 「海鮮炉端 うろこ亭」(うろこ市)です。

 稚内の食材を使った料理を提供されているお店だったので、このお店で食事することとしました。

 稚内は、漁獲量日本一を誇るホッケやミズダコをはじめ、海藻の「銀杏草」、もずく、カニ、ホタテ、ウニ、宗谷黒牛、勇知いも、稚内牛乳などがそろう食の宝庫です。

 料理も、タコしゃぶ、宗谷黒牛のステーキやハンバーグ、炒麺(チャーメン)、ラーメンなど魅力ある料理がいっぱいです。

 「うろこ亭」にも、稚内の食材が使われたたくさんの料理が用意されていましたが、私はその中から「宗谷黒牛」のステーキ丼をチョイスしました。

 「うろこ亭」は海鮮料理店ですが、地元の宗谷黒牛も味わうことができます。

(宗谷黒牛の照り焼きステーキ てっぺん丼(セット))
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 こちらが「宗谷黒牛の照り焼きステーキ てっぺん丼」です。

 海の幸がたっぷり入ったみそ汁と小鉢、漬物がセットになっています。

(宗谷黒牛の照り焼きステーキ てっぺん丼)
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 宗谷黒牛のステーキ1枚がどーんとのせられています。

 やわらかい肉で、適度な霜降りもあり、とてもジューシーでした。

 お店の方に宗谷黒牛のお話を伺いました。

 宗谷黒牛は宗谷の海に近い、海底が隆起してできた「宗谷丘陵(北海道遺産)」にある牧場で育てられているそうです。

 牧場の草を食べ、潮風にあたりながら、すくすくと育った牛なのだとか。

 「そうや、だから旨いんや!」と納得しました。

 北海道には様々な北海道和牛が飼育されており、「にくのくに北海道」として全国に発信されています。

(北海道和牛マップ)
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 (ホクレン農業協同組合連合会「GREEN」No.315から一部引用)

(にくのくに北海道)
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 (ホクレン農業協同組合連合会「GREEN」No.315から一部引用)

 上から読んでも下から読んでも「にくのくに」。

 お肉は必ず両面を焼くからという意味も込められているそうです(笑)

 お店を後にし、少し歩いた場所から稚内港北防波堤ドームを眺めました。

(稚内港北防波堤ドーム)
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 映画のロケ地やCM撮影地に選ばれるほど美しい建築物で、北海道遺産にも指定されています。


稚内駅・四大かに弁当

 夕方、稚内駅に戻ってきました。

(稚内駅)
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 再び特急宗谷に乗り、日帰りで札幌に戻ります。

(稚内駅発車時刻案内板(特急宗谷))
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 特急宗谷が稚内駅ホームに入線してきました。

(稚内駅・最北端の線路)
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 ここから日本の鉄道の線路は南へ延びています。

 自由席に乗車し、再び5時間超えの旅が始まりました。

 札幌駅22時56分着なので、車内で夕食をいただきました。

 夕食は、稚内駅に隣接する地域交流・観光施設「キタカラ」のショップ&グルメコーナーで販売されていた駅弁「四大かに弁当」です。

(四大かに弁当(包装))
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 北海道の4種のカニを食べ比べることができる豪華な駅弁です。

(四大かに弁当)
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 それぞれのカニをいただきました。

(たらばがに)
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 「たらばがに」は、白くてしっかり太めの身が特徴です。

 シャキシャキした食感で、食べ応えがありました。

 ずわいがにとよく似た味だと思いました。

(花咲がに)
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 「花咲がに」は、濃い褐色の身で、カニの風味がとても濃厚でした。

 4種のカニの中でもっとも深いコクを感じました。

(毛がに)
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 「毛がに」は、黄色味を帯びた糸のように細い身が特徴です。

 細かい身ですが、コクがあり、しっかりと存在感のある味でした。

(ずわいがに)
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 「ずわいがに」は、上品な白い色とまとまった身が特徴です。

 カニの風味がとても良いのが印象的でした。

 北海道ならではの、カニづくしの駅弁をいただくことができました。


 やがて特急宗谷は旭川駅に到着し、この駅で大勢のお客さんが乗車されました。

 残り約137km。特急宗谷は終点・札幌駅へ向け走りました。

 そして23時近くに無事、札幌駅に到着しました。

(札幌駅に到着した特急宗谷)
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 往復で約800km、11時間近く特急宗谷に乗車しました。

 稚内の滞在時間は約5時間30分でしたが、その倍の時間をかけて列車で移動したこととなります。

 それでも、それだけの時間を費やす価値が十分にありました。

 また機会があれば訪問したいです。


<関連サイト>
 「The Wonders of WAKKANAI(WOW!) 稚内の楽しみ方50」(わっかない観光活性化促進協議会)
 「稚内副港市場」(北海道稚内市港一丁目6-28)
 「稚内市樺太記念館」(北海道稚内市港一丁目6-28)
 「うろこ亭」(北海道稚内市中央五丁目6-8)
 「にくのくに北海道」(ホクレン農業協同組合連合会)
 「キタカラ」(北海道稚内市中央三丁目6-1)

<参考文献>
 わっかない観光活性化促進協議会「稚内公式ガイドブック The Wonders of WAKKANAI(WOW!) 稚内の楽しみ方50」
 わっかない観光活性化促進協議会「稚内市 すみっこ観光MAP」
 「GREEN No.315(2023冬号)」ホクレン農業協同組合連合会

2023年7月30日 (日)

広島のレモン菓子・レモンケーキ21 -「ひろしまんきつフェア」宮島レモンクリーム大福・4種の生レモンケーキ-

ヒロシマルシェエット「ひろしまんきつフェア」

 「ヒロシマルシェエット(Hiroshimarche Etto)」(そごう広島店5階)で、広島・瀬戸内の魅力ある商品が集められたイベント「ひろしまんきつフェア」(2023年7月18日~30日)が開催されています。

(「ひろしまんきつフェア」広告)
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(「ひろしまんきつフェア」広告を一部抜粋・引用)

 広電宮島口旅客ターミナルに直結する観光商業施設「etto(エット)」と「ヒロシマルシェエット」のコラボレーションイベントで、「etto(エット)」に出店されているお店の商品やイベントオリジナル商品が販売されています。

 「えっと(エット)」とは、広島弁で「たくさん」とか「ずいぶん」という意味の言葉です。

 例えば「えっと食べんさい(たくさん食べてね)」、「えっと考えたんよ(ずいぶん考えたのよ)」、「えっと先じゃ(ずいぶん先のことだ)」という風に使います。

 「ヒロシマルシェエット」や「etto(エット)」の「えっと」には「広島の魅力をたくさん集めたお店」という意味が込められているように思います。

 私も先日「ヒロシマルシェエット」のカフェコーナーに伺い、「ひろしまんきつフェア」に出展されたお菓子をいただきました。


パティスリーパック「宮島レモンクリーム大福」

 「ひろしまんきつフェア」のカフェ(イートイン)コーナーで2種類のレモンのお菓子をいただきました。

 まずは「宮島レモンクリーム大福」から御紹介します。

(宮島レモンクリーム大福)
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 広島県廿日市市の洋菓子店「パティスリーパック(Pâtisserie Pâques)」の「宮島レモンクリーム大福」です。

 冷やした状態で御提供いただきました。

(宮島レモンクリーム大福(中身))
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 やわらかい求肥(餅)の中には、クリームチーズ風味のクリームと広島県産レモンジャムが包まれていました。

 ひんやりとして甘酸っぱいクリームチーズに、レモンの酸味・風味が凝縮されたレモンジャムがアクセントとなり、レモン風味の効いた冷たいクリームチーズケーキをいただいている感じでした。

 レモン風味の白あんを餅で包んだ和菓子のレモン大福をよく見かけるようになりましたが、今回のような洋菓子感覚でいただけるレモン大福は珍しく、今後の動向が注目されます。


島ごころ「生レモンケーキ」

 続いては、広島県尾道市瀬戸田町のレモン菓子店「島ごころ」の「生レモンケーキ」を御紹介します。

 このレモンケーキは、今回のイベントのために作られた特別なレモンケーキです。

 目の前に出された瞬間、「えっ」と驚きました。

(「ひろしまんきつフェア」限定・4種の生レモンケーキ)
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 4種の生レモンケーキ(島ごころオリジナル・スイカゼリー・ラムネゼリー・レモネードゼリー)をそれぞれ十字に4等分し、その4分の1ずつのパーツを集めて1個のレモンケーキの形に再現されています。

 つまり、1個で4種の味を楽しむことができるレモンケーキなのです。

(「ひろしまんきつフェア」限定・4種の生レモンケーキ(中身))
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 レモンケーキに各種ゼリーがコーティングされ、冷やすことで生タイプのレモンケーキに仕上げられています。

 ケーキ生地の中にはレモンピールがザクザク入っています。

 いただいてみました。

 4等分にカットされたレモンケーキ1つ1つが、ちょうど良い一口サイズになっていました。
 (すぐバラバラになるのでテイクアウトは難しいですが…(笑))

 夏らしいスイカ、ラムネ、レモネードのレモンケーキを味わうことができました。

 お店の方に「このレモンケーキはとても珍しいですね」とお話しすると、お店の方は「欲張ったレモンケーキにしたいと、今回のイベントのために無理言って特別に作ってもらったんです」と嬉しそうにおっしゃっていました。

 「ひろしまんきつフェア」で広島のレモン菓子を「えっと」満喫しました。

<関連サイト>
 「ヒロシマルシェエット(Hiroshimarche Etto)」(広島市中区基町6-27 そごう広島店本館5階)
 「etto(エット)」(広島県廿日市市宮島口 宮島口旅客ターミナル隣)
 「パティスリーパック(Pâtisserie Pâques)」(宮島口etto店 広島県廿日市市宮島口1-11-8)
 「島ごころ」(広島県尾道市瀬戸田町沢209-32)

<レモンケーキ関連記事>
 「レモンのお菓子」(「chibiaya日記」)
 埼玉県在住のchibiayaさんが,関東で販売されているレモンケーキを中心に,レモンケーキの情報を詳しく紹介されています。
 当ブログ「食文化関連記事一覧表・索引」の「食文化事例研究」にある「レモンケーキ・レモン菓子」も御参照ください。

2023年7月23日 (日)

あずきの研究17 -小倉トーストの美味しい食べ方を考える(「小倉バタバタトースト」の提案)-

広島ガーデンパレスの「大名古屋モーニング」

 JR広島駅の新幹線口から歩いて約5分の場所に、ホテル「広島ガーデンパレス」があります。

(広島ガーデンパレス)
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 このホテルの1階にあるレストラン「メイプル」には、「大名古屋モーニング」という朝食が用意されています。

(大名古屋モーニング看板)
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 ホテル玄関の看板です。

 私は2022年9月末、会議でこのホテルを利用させていただいた際にこの「大名古屋モーニング」のことを知りました。

(大名古屋モーニングの案内)
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 広島で小倉トーストをはじめとする名古屋のモーニングが味わえるとは、「名古屋めし」好きにはたまらないサービスです。

 名古屋ではなく「大名古屋」というネーミングが、名古屋駅前の「大名古屋ビルヂング」と同様にインパクトがあり、いかにも名古屋らしくて魅力的です。

 尾張名古屋から広島に来られた支配人の方がプロデュースされたメニューで、「どえりゃーうみゃー」と紹介されています。

 ホテルで格安の値段で特別なモーニングが味わえるのはどえりゃー嬉しい話なのですが、時間的制約があります。

 毎朝9時~11時の時間帯(朝食と昼食の間の時間帯)限定のサービスなのです。

 私は休日か出張の前にタイミングが合えば行けるレベルですが、それでも名古屋めしのモーニングを求めて、タイミングを作って何度も伺いました。

(大名古屋モーニング(2022.11.6))
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 こちらが「大名古屋モーニング」のセットです。

 ドリンク(コーヒー・紅茶・ミルク)に、トースト、小倉あん、バター、味噌ドレッシングサラダ、スクランブルエッグ、きしめんが付いた「大名古屋」と呼ぶにふさわしい豪華なモーニングです。

 現在は700円ですが、この当時は600円でした。

 こんなにリーズナブルなお値段でもテーブルカトラリー(箸、スプーン、フォーク、バターナイフなど)がずらりとセットされるところに、ホテルレストランのプライドを感じます。

(味噌ドレッシングサラダ)
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 サラダには、赤味噌ドレッシングがかけられています。

(大名古屋モーニング(2023.1.17))
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 この日のサラダは、なぜかフレンチドレッシングだがね(笑)

 とろくしゃーこと言わんと、次へいこまい。(つべこべ言わず、次へ行きましょう。)

(大名古屋モーニング(2023.1.20))
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 きしめんには、かまぼこ、甘い油揚げ、かつお節、青ねぎがトッピングされています。

 かつお節がたっぷりとのせられ、しっかりとかつお風味が効いたきしめんです。

(大名古屋モーニング(2023.5.4))
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 コーヒー以外はサービス品と考えると、とても豪華です。

(大名古屋モーニング(2023.5.6))
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 トーストの配置も日によって違うもんで(笑)

(大名古屋モーニング(2023.6.10))
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 小倉あんはアイスクリーム1個分(アイスクリームディッシャー1個分)ぐらいの量があるので、トーストに塗るには十分な量です。

(大名古屋モーニング(2023.7.15))
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 この日はトーストが立ててあるでよー。

(大名古屋モーニング(2023.7.22))
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 こうして並べてみると、いろんな配置パターンがあることがわかります。

(大名古屋モーニング(2023.7.23))
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 この「大名古屋モーニング」、皆さんはどういう順番で召し上がるでしょうか。

 私の場合は、まず第1ステージとして、①前菜感覚で味噌ドレッシングサラダを食べ、②次にスクランブルエッグと青菜を食べ、③温かいきしめんを食べて1つの山場を迎えます。
 続いて第2ステージとして、④小倉トーストを食べ、⑤残った小倉あんをデザート感覚でパクっと食べてから、⑥締めのコーヒーを楽しむという順番です。

 この順番は、何度食べても変えられません。

 ただ、この順番だと、せっかく御用意いただいた温かいトーストもコーヒーも冷めてしまいますが(笑)

 トーストについては、こんな食べ方をしたこともありました。

(スクランブルエッグトースト)
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 小倉トーストを楽しむためのモーニングだもんで、だちゃかん(ダメだ)って(笑)

 様々な料理があり、人それぞれの食べ方で楽しめることも「大名古屋モーニング」の利点だと思います。


小倉トーストの美味しい食べ方

 「大名古屋モーニング」の小倉トーストを何度もいただくうちに、小倉トーストのベストな作り方・食べ方を見つけました。

 トーストにバターを塗ったり、あんこを塗ったりして、その都度写真を撮りながら「ああでもない、こうでもない」と試しながら味わう姿は、お店の方々から見ると、きっと変な人間だと思われたことでしょう。

 でもそのおかげで、皆様にも自信を持っておすすめできる小倉トーストの食べ方を見つけることができましたので、御紹介したいと思います。

 当初、私が作っていた小倉トーストは、熱々のトーストにバターを塗り、その上に小倉あんを塗ったものでした。

(「小倉あんのせバタートースト」)
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 バターとトーストの一体感を重視した小倉トーストで、この方法が一般的だと思います。

 これを「小倉あんのせバタートースト」と呼ぶことにします。

 ただ、この「小倉あんのせバタートースト」は、小倉あんの味が勝ってしまい、小倉あんとバターが口の中で溶け合う感動までは味わうことはできません。

 そこで、この方法とは逆に、トーストにまず小倉あんを塗り、その上にバターを塗る方法にしてみました。

 これを「あんバタートースト」と呼ぶことにします。

(「あんバタートースト」)
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 この「あんバタートースト」だと、バターを直に味わえるため、小倉あんだけでなく、バターのリッチなコクとうま味も味わうことが出来ます。

 この「あんバタートースト」は、市販の「あんバターサンド」、「小倉ネオマーガリン」、「小倉&マーガリン」などに近い味わいです。

 ただ逆に、バタートーストとしての一体感には欠けることになります。

 何とかして「小倉あんのせバタートースト」と「あんバタートースト」のいいとこ取りはできないものか…。

 そこで思い付いたのが、バターを二度使用する「小倉バタバタトースト」です。


【「小倉バタバタトースト」の作り方】

(1)熱いトーストにバターを塗り、バタートーストを作ります。

(「バタートースト」を作った様子)
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 こうしてまずはトーストとバターの一体感を図ります。

(2)その「バタートースト」の上に小倉あんをやや厚めに塗り、「小倉あんのせバタートースト」を作ります。

(「小倉あんのせバタートースト」を作った様子)
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(3)その「小倉あんのせバタートースト」の上にバターをたっぷりとのせれば「小倉バタバタトースト」の完成です。

(「小倉バタバタトースト」)
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 こうすると、バターとトーストの一体感も、「あんバター」の特有の小倉あんとバターの溶け合いも同時に味わうことが出来るのです。

 この「小倉バタバタトースト」を美味しく作るコツは、1つ1つの作業を終えるごとに、バターナイフをよくぬぐうことです。

 バター→小倉あん→バターの順番に塗るので、その都度バターナイフをきれいにしないと、バターと小倉あんが途中で混ざってしまいます。

 あと、トーストに直接「塗る」バターの量は控えめにし、その分、最後に小倉あんの上に「のせる」バターの量を多めにすることです。

 こうすることで、味にメリハリがつきます。

 そして最後に、作業工程が多いのですが、できるだけゆったりとした気持ちで作ることです。

 バタバタ作るのが一番よくない(笑)

 御興味を持たれた方は、ぜひお試しください。
 (※中京圏では一般的な食べ方ではないかもしれませんが御容赦ください。)


広島ガーデンパレスのお土産商品

 この広島ガーデンパレスのフロントには、シェフ手作りのお土産商品がいくつか販売されています。

【厚切りポテトチップス】

(厚切りポテトチップス(包装))
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 こちらは「厚切りポテトチップス」です。

(厚切りポテトチップス)
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 厚切りのジャガイモを油で揚げ、シンプルに塩だけで味付けしたポテトチップスで、手作りならではの美味しさを楽しめます。

 ほかにはないポテトチップスで、私は何度も購入しています。


【せんじがら】

 続いては、知る人ぞ知る広島の珍味「せんじがら」です。

(手作りせんじがら(包装))
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 豚の胃を油でじっくりと揚げ、塩で味付けした食べ物です。

(手作りせんじがら)
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 弾力があるので、ゆっくり噛みながら食べる必要がありますが、噛みしめるたびに肉のうま味がにじみ出てきます。

 広島のせんじがらは、塩とうま味調味料で調味されていることが多いのですが、こちらの商品は珍しくシンプルに塩のみで調味されています。

 遠方から広島に来られたお客さんにとっては、広島土産として最適です。

 また一般的なせんじがらと比べて小さめにカットされているので、移動中の手軽なおつまみにもなります。


まとめ

 今回は小倉トーストのおすすめの食べ方を中心に御紹介しましたが、1つ残念なことがあります。

 「大名古屋モーニング」を提供されているレストラン「メイプル」が、今月末(2023年7月末)で閉店される御予定なのです。

 閉店後の宿泊者への食事は「お弁当スタイル」で提供されるとのことです。

 「大名古屋モーニング」は他のホテルにはない独創的なモーニングで、宿泊客だけでなく私のような地元客にも魅力的なモーニングなのですが…。

 私はこのレストラン「メイプル」で「大名古屋モーニング」をいただいた後、コーヒーを片手に中庭や外の景色を眺めてぼーっと過ごすひとときが好きでした。

(大名古屋モーニングと中庭)
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 常に時間に追われる生活から解放され、ホテルのレストランでゆったりと過ごすひとときがとても贅沢に感じられたのです。

 様々な御事情があっての御決断だと思いますが、残念でなりません。

 ただ、「大名古屋モーニング」や手作りスナック、地元野菜の産直市など様々な企画をされている広島ガーデンパレスさんなら、また何か面白い企画を提供していただけるものと期待しております。

 広島ガーデンパレスのレストラン「メイプル」さん、ありがとうございました。


<関連サイト>
 「広島ガーデンパレス」(広島市東区光町1-15-21)

«アイヌの食文化研究1 -北海道白老町「ウポポイ」のクンネチュプ・パピリカパイ・ペネイモぜんざい-

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