2017年12月17日 (日)

日本料理の特徴と主な料理2 -料理人 平野寿将さんから熟成魚の魅力を学ぶ-

「引き算の料理」

 日本料理は「引き算の文化」です。

 「引き算の文化」とは,必要以上に手を加えないこと,本当に必要なものだけを用いること,そして素材そのものの味を引き出すことを良しとする文化のことです。

 引き算しても美味しい料理に仕上げるためには,産地や仕入先を厳選し,食材を新鮮な状態で入手し,その食材の最高の部位を用い,食材の味を引き立てる水・だし・調味料などにこだわり,瞬時に料理することが求められます。

 今回は,こうしたことを実践され,自らの料理を「引き算の料理」とおっしゃる和の料理人 平野寿将(ひらのひさま)さんの世界を御紹介したいと思います。


「馳走啐啄一十」での平野寿将さんとの出会い

 今回,知人の紹介で広島の日本料理店へ行く機会がありました。

 「馳走啐啄一十」(ちそうそったくいと)という,料理人 平野寿将さんが手がけておられるお店です。

 日本に住んでいながら,日本料理は高級で敷居が高いというイメージがあり,なかなか味わえる機会がなかっただけに,今回はあらゆることを勉強させていただこうと思いつつ,お店を訪問しました。

(「馳走啐啄一十」玄関)
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 「馳走啐啄一十」は一流の日本料理店なので,私が訪問すると知った瞬間,周囲の人達からは,「品良く」,「気の利いた話を」,「恥ずかしくない服装で」…など,親切に「御指導」いただきました(笑)。

 あまりに言われると,普段の私はその逆なのかと思ったりもしましたが,食事の際のマナーは自分のためではなく,店内のほかのお客さん達,お店の人々,そして同伴の人に対する敬意と気遣いだと心得ていますので,それなりの服装で訪問しました。

 お店の入口に,ワインセラーのような昆布の貯蔵庫「昆布セラー」が設置されていました。

(「昆布セラー」)
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 福井県敦賀市「奥井海生堂」の蔵囲(くらがこい)昆布です。

 1年以上蔵で寝かされた昆布で,ワインと同様,「ビンテージもの」として取り扱われています。

 昆布の旨味成分であるグルタミン酸の白い粉が浮いているのがわかります。

 これは期待できます。

 開店時刻少し前の店内に入ると平野さんが厨房で調理の準備をされていました。

 「あ,あの有名な平野さんだ」と思ったのもそこそこに,開口一番,私が平野さんにお話ししたのは,「あのーすみません,トイレに行かせてください。」でした。

 「品良く」,「気の利いた話を」…あの周りからのアドバイスは一体何だったのでしょう(笑)。

 最初に手を洗い,落ち着いてじっくり味わうのが私の流儀なのです。

 でも,これで場は一気に打ち解け,私は平野さんの調理台の真正面のカウンター席に案内していただきました。

 あの有名な平野さんと1対1でお話しが出来るとは何と言う幸運!
 緊張よりも嬉しさで一杯になりました。

 誘ってもらった隣席の知人に心から感謝しました。

 平野さんはとても気さくな方で,平野さんからいろいろ話しかけてくださったこともあり,会話が弾みました。

 冒頭,私は平野さんに「今回フランスの美食ガイドブック『ゴ・エ・ミヨ(Gault & Millau)』の日本版第2号にお店が紹介されることとなり,心からお祝い申し上げます。」とお話ししました。

 この話を皮切りに,広島の軟水とだしの話,広島の牡蠣養殖の話,生の刺身と熟成魚の違い,仕入れ先への並々ならぬこだわりの話など,いろんな興味深いお話を伺うことができ,とても勉強になりました。

 お菓子にも使われるほど甘味のある加賀蓮根の料理が出された際,私は金沢の料亭「大友楼」で味わった郷土料理の治部煮が頭に浮かびました。

 そこで,治部煮などに用いられる加賀野菜「金時草(きんじそう)」のお話をしました。

 すると平野さんの料理される手が一瞬止まり,常連の知人に向かって「(連れてきた彼は)詳しいねえ。」と言っていただけました。

 一流の和の料理人からそう言っていただけたことがとても嬉しかったです。

 その後,隣の知人からは「彼は食の知識はあるけど,それを発揮できる場がないから(笑)」と余計な事まで言われましたが…(笑)。

 終始和やかな雰囲気で接してくださった平野さんも料理を作る姿は真剣勝負そのものでした。

 料理が一品一品出されるたびに,一瞬ピーンと張りつめた緊張感を感じるのです。

 いただく私も全身全霊を料理に傾け,平野さんの料理に込めた思いを少しでも感じ取れるよう努力しました。


平野寿将さんの料理の世界

 今回味わった料理を御紹介します。

(加賀蓮根のすり身)
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 先程御紹介した加賀蓮根のすり身です。

 加賀蓮根はお菓子に使われているぐらい甘味の強い蓮根で,蓮根そのものの味を自慢のだしと一緒に堪能しました。

(香箱ガニの甲羅盛り)
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 香箱ガニは,北陸地方でとれる雌のズワイガニのことで,小ぶりながらカニの身,卵,カニ味噌がぎっしり詰まっていることが特徴です。

 写真左上が厚岸の雲丹,その下側には「内子(うちこ)」と呼ばれるカニ味噌,中心に白いカニの身,右上が「外子(そとこ)」と呼ばれるカニの卵で,カニ酢に合うよう彩り豊かなキュウリや食用菊も添えられています。

 カニの身や卵はそのままで飲めるほどすっきりした極上ポン酢をかけていただきました。

 雲丹は昆布や海藻を餌とするため,良質な昆布が採れる海には良質な雲丹がいることになります。

 広島に居ながら,その極上の昆布(だし)も雲丹もいただけるのですから,贅沢の極みですね。

(蕪のすり流し椀)
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 お店での正式名称は「広島の竹原市の湧水蔵囲い26年度収穫の船泊浜産天然利尻昆布がベースの蕪のすり流し椀」と長い名前となっています。

 お吸い物にすりおろした京都の蕪(かぶ)が入ったいわゆる「おろし汁」で,とてもシンプルな料理なだけに,水やだしの真価が問われることとなります。

 極められた昆布だしの旨味を直球勝負で味わえる一品でした。

(焼き白子と瀬戸内蛸の煮物)
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 備長炭で焼いた佐渡の鱈の白子と瀬戸内海で採れた蛸の煮物です。

 蛸がとてもやわらかかったのですが,これは香川県寄りの瀬戸大橋近くの海に生息する蛸だからこその食感だと教えていただきました。

 これとは別に,白子ポン酢で生の白子もいただきました。

 そしていよいよ,お店自慢の熟成魚の刺身です。

 熟成魚とは,釣った魚を「脳殺」→「放血」→「神経締め」→「氷結」といった手順で手当てした後,低温で寝かせ,釣ったばかりの魚の刺身よりも,一層香りと旨味を引き立たせた魚のことです。

(カワハギと鯛)
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 最初に72時間熟成のカワハギと58時間熟成の鯛の刺身が出されました。

 小皿には,刺身の調味料として27年継ぎ足している極上ポン酢,醤油,粗削りの塩の3種類が用意されていました。

 余分な水分は抜け,透き通ってプリプリした身になっていました。

(シマアジ)
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 こちらは五島列島で採れた30日間熟成のシマアジです。
 これ一切れで1,000円するそうです。

(クエ)
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 平野さんから,「これはねぇ,ヤバいよぉ。」と威勢よく出していただいた,長崎で採れた幻の高級魚クエの刺身です。
 そう言われると落ち着いてクエません(笑)。

(イシガキダイ 生ハムのせ)
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 22日間熟成のイシガキダイです。イベリコ豚の生ハムがのせられています。

 不思議な組み合わせに見えましたが,いただいてみるとその理由がすぐに理解できました。

 熟成したイシガキダイの刺身がまるでチーズのようにねっとりとしていて,チーズに生ハムを合わせる感覚でいただくことができるのです。

 平野さんが,カウンター越しの私の真正面で,見事な包丁さばきで切られた刺身をその都度「はい,これ食べてみて!」と自信たっぷりに出していただけたので,料理人と客との一体感が感じられました。

 御紹介した刺身のほかにも,金目鯛,ヒラマサ,カンパチなどいろんな熟成魚の刺身を味わうことができました。

 お店の奥にある魚の熟成用冷蔵庫を見せていただきました。

(熟成用冷蔵庫)
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 庫内温度は3.8℃となっていました。
 魚にきちんとした処理を施し,温度管理を行うことで,生の魚でも驚くほど日持ちさせることができるのだなと感心しました。

(源助大根・里芋・水菜の煮物)
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 こちらは,加賀野菜の源助大根と里芋・水菜の煮物です。おぼろ昆布がのせられています。

 この煮物の決め手は,やはり「だし」です。
 少々お行儀が悪いですが,平野さんにお許しを得た上で,だし汁も飲み干しました。
 でもこれは私から平野さんへの最高の敬意でもありました。

(ローストビーフと椎茸旨煮)
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 意表を突いて刺身のようなローストビーフと椎茸旨煮が出されました。

 わさびと和からしでいただきます。

 椎茸は岡山県美作市「ムサシ農園」の天然水かけ流しで作られた肉厚の椎茸で,アワビのような食感でした。そして調味料なし,水で煮ただけなのが信じられないほど旨味を強じました。

 添え野菜は「ハマボウフウ(浜防風)」と呼ばれる海岸に面した砂地に自生している珍しい植物です。

 そしていよいよシメのご飯となりました。これがサプライズでした。

(トリュフといくらの炊き込み御飯)
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 何とご飯にたっぷりのいくらと刻まれたトリュフがのせられているのです。

 これはいくら何でも文句のつけようがありません。

 あらかじめ米の中にトリュフを入れておき,米にトリュフの香りを浸み込ませておいたり,包丁で微妙に角度を変えながら刻むなど,トリュフの風味を最大限引き出すための工夫が施されています。

 また黒の秋トリュフと冬トリュフが使われており,トリュフの味の違いも楽しめました。

 さらに,山梨・甲府産の溶いた生卵をかけ,刻んだトリュフの香りを卵で閉じ込めた卵かけご飯もいただきました。

(トリュフといくらの炊き込み御飯(卵かけ))
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 お客様に今日の食事が忘れられない思い出となり,感動を味わっていただきたいという平野さんの気持ちが込められた料理でもあるのです。

 その後,小豆アイスの上に抹茶ムースがのせられたデザートも堪能しました。

 平野さんとの楽しい会話とともに,素材と技を極めた数々の美味しい料理を堪能させていただき,思い出に残る食事となりました。

 広島にお越しになられた際には,「広島の水は世界一」・「日本料理は水の料理」とおっしゃる平野寿将さんの料理を味わい,広島の味を堪能していただくのもよろしいかと思います。


熟成魚の魅力

 日本料理は,鮮度が重視され,生食が好まれる傾向にあります。

 日本人に刺身が好まれることは,その最たる例でしょう。

 ならば,「わざわざ魚を熟成させることなく,新鮮なうちに刺身で食べるとよいのでは」という考えもあるでしょう。

 その考えは正しいですし,実際私たちが刺身として食べているのは,そのほとんどが新鮮なうちに食べる刺身です。

 では手間暇かけて熟成魚にすることのメリットは何なのでしょうか。

 その一番のメリットは熟成させることでうま味成分(イノシン酸)を増加させることにあります。

 日本料理は,発酵や熟成によって「うま味」を強め,肉に代わるうまさを追及してきた料理でもあるのです。

 取ってきた魚を活け締めにすることで,なるべく新鮮な状態を継続しつつ,熟成させる(寝かせる)ことによってうま味を増加させるのが熟成魚の目指すところです。

 したがって,熟成魚には,魚を活け締めにし,保存・熟成させ,鮮度と熟成度のバランスがとれた時期を見極められる高度な技術,知識,経験や勘が求められることになります。

 熟成肉に比べ,熟成魚を売りにする料理店が少ないのも,こうした半端ないレベルの高さが1つの理由なのでしょう。

 魚が持つ本来のうま味を極限まで引き出したものが熟成魚であり,その熟成魚の刺身こそ,日本料理の特徴である「引き算の文化」を象徴するの料理の1つなのです。


<関連リンク>
 「馳走啐啄一十」(広島市中区富士見町5-1 随木ビル1階)
 「hisama.net」(平野寿将さんの公式ウェブサイト)
 「Gault & Millau」(「ゴ・エ・ミヨ」)

<関連記事>
 「日本料理の特徴と主な料理1 -日本料理は引き算の文化-

2017年12月10日 (日)

日本料理の特徴と主な料理1 -日本料理は引き算の文化-

日本料理の特徴

 日本料理というと,少しかしこまった表現ですが,日常の食事から料亭の料理まで,多種多用な料理があります。

 日本料理の特徴を列挙してみますと,

(1)季節感を大切にした目で楽しむ料理であり,全体的に淡泊で繊細な味付けが中心となっている。

(2)食材の鮮度を重視し,素材の持ち味を生かした料理が多い。

(3)海に囲まれており,長く肉食禁止とされていたため,米・野菜・魚中心の食文化が形成されてきた。

(4)世界でも稀な,乳製品や動物性脂肪に頼らない食生活を送ってきたため,それに代わる良い「水」,だしなどの「うま味」,(もち)米のような粘り気のある「もちもち感」が求められる。

(5)生の魚を切って盛り付ける刺身や,昆布・鰹節・いりこなどから一瞬にして作られる「だし」など,調理には時間よりも調理人の技が問われる。

(6)刺身,生卵,生野菜など生食を好む傾向がある。

(7)温暖湿潤な気候であることから,発酵食品(日本酒・味噌・食酢・醤油・納豆・鰹節・漬物など)が数多く作られ,食生活の基本となっている。

(8)長い歴史の中で主体性がなかったために,逆に世界中の食を受け入れて同化させている。(てんぷら・カレーライス・とんかつ・パン食など。)

 以上,いろいろと挙げてみましたが,世界の料理と比べて,日本料理はかなり特殊な料理であることは間違いありません。


日本料理は「引き算の文化」

 日本料理は,よく「引き算の文化」と表現されます。

 これに対し西洋料理,インド料理,中国料理などは,様々な食材を加え,スパイスやハーブを加え,乳製品や油脂を加え,熱を加え…と「足し算の文化」であると表現されます。

 日本料理の「引き算の文化」について刺身を例に御説明すると,魚に熱を加えず生のままで,血抜きをし,余分な部位を取り除き,形を揃え,そのたった何切れかを皿にのせ,盛り付けには皿の余白を重んじ,スパイスなどで味付けせず醤油や塩などシンプルな調味料のみで,素材そのものの味を楽しむ…というように常に「引く」ことが良しとされているのです。

(刺身と調味料)
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 写真の刺身は熟成させたカワハギと鯛の刺身です。
 調味料は左からポン酢,醤油,粗削りの塩で,とてもシンプルな構成です。

 煮物においても,昆布や鰹節,いりこなどからだしを引き,素材そのものの味をいかに引き出すかが問われます。

 日本酒も良い例です。

 特に純米大吟醸酒などは,原材料は米,米麹,水だけで,アルコールすら添加されません。
 酒米は雑味をなくすために丸い玉のようになるまで削られますし,米や水そのものの味や杜氏の技術力で日本酒の出来栄えが決まってしまいます。

 このように,日本料理には必要以上に手を加えないこと,本当に必要なものだけを用いること,そして素材そのものの味を引き出すことを良しとする「引き算の文化」があるのです。

 この文化は,日本においしい水が豊富にあるからこそ可能だったとも言えます。


まとめ

 現在,世界各国の様々な料理が流入している日本ですが,それらの料理によって日本人の食の価値観,嗜好,好まれる食感(テクスチャ)などまで大きく変化させられるわけではないと思います。

 それゆえに,こうした日本料理の基本的な特徴を理解しておけば,日本料理そのものだけでなく,日本の食に関係するあらゆる分野・業種で,研究やビジネスのヒントとなることでしょう。


<参考文献>
 石毛直道・鄭大聲 編「食文化入門」講談社
 岡田 哲「食の文化を知る事典」東京堂出版

2017年12月 8日 (金)

大阪のおばちゃんの耳かき -大阪府大阪市-

大阪はご当地耳かき・バラエティ耳かきの宝庫です。

お土産用耳かきは郊外の観光地や温泉街で売られていることが多いのですが,大阪は街中でもたくさんの耳かきが売られているのです。

今回は大阪のおばちゃんの耳かきを御紹介します。
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大阪のおばちゃんが「大阪のおばちゃん」と書かれたビニール袋(←ありえへん!)を手にぶらさげ,大声で笑っています。

包装の台紙に大阪のおばちゃんの特徴が書かれていました。

・髪はショートか軽いパンチパーマ
・髪の色は茶・紫・金
・小太り
・ヒョウ柄好き
・スパッツにサンダル
・目立ちたがり
・何でも値切る
・誰にでも声をかける
・しかも声がデカイ
・しゃべりながら叩く
・タダに目がない
・世話やき
・カバンにいつもあめちゃんが入っている
・人情味があふれている

いくら大阪とは言え,言い過ぎなのでは?と小心者の私はつい思ってしまうのですが,大阪には,むしろそれをネタにし,笑い飛ばせるだけの活力や雰囲気があるのでしょう。

そんな期待を裏切らない大阪がめっちゃ好きやねん(笑)。

2017年12月 3日 (日)

ベトナム料理の特徴と主な料理 -バインセオ・ブンチャー・バインベオ・バインフラン・フォー-

ベトナム料理の特徴

 東南アジア,インドシナ半島東部に位置するベトナムは,地理的に大国の中国やインドに近く,中国やフランスそしてアメリカに統治されてきた歴史も有しています。

 そのため,食文化についても,東南アジアの伝統的な料理(「ニョクマム」などの魚醤,パクチーをはじめとする各種ハーブ類,ココナッツミルクなどを用いた料理)を守りつつも,中国料理,フランス料理,アメリカ料理そしてインド料理(香辛料などを多用する料理)の影響も強く受けたものとなっています。

 中国や欧米の食文化の影響を受けていることもあり,食の制約(タブー)はゆるやかです。

 稲作が盛んなことから米食が中心で,米はご飯だけでなく,米粉を加工したライスヌードル(フォーなど)やライスペーパー(生春巻など)としてもよく食べられています。

 また,海岸線が長いので海の幸にも恵まれています。

 味で言えば,ベトナム料理は,タイ料理の特徴である5つの味覚(辛味,酸味,甘味,塩味,旨味)が複雑に絡み合った味と同じ傾向にあると言えるでしょう。

 ただ,タイ料理ほどそれぞれの味が強く主張していません。

 また,中国料理ほど油を多く使わず,フランス料理の洗練された調理法も取り入れられているため,比較的マイルドな味付けになっており,日本人にも食べやすい料理が多いと言えます。


バインセオ

 広島に本格的なベトナム料理店がオープンしたとの情報を得たので,訪問してみました。

 アラカルトでの注文だったので,ベトナムを代表する料理を選んでみました。

(バインセオとライスペーパー)
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 ベトナムの代表的な料理の1つ「バインセオ」です。

 もやし,豚肉,海老などを一緒に炒め,炒めた具をオムレツのように皮で包んだ料理です。

 皮は米粉・ココナッツミルク・ターメリックなどを混ぜた生地を薄く伸ばして焼いたものです。

 お店の方から,「ライスペーパーにバインセオをのせ,パクチーやレタスなどの野菜を添えて,それらを包み,つけダレをつけて召し上がってみてください。」と食べ方を教えていただきました。

(バインセオとヌクチャム)
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 つけダレはニョクマム,酢,ニンニク,レモンなどで作ったタレに人参や大根の千切りを加えたもので,「ヌクチャム」と呼ばれます。

 日本の「紅白なます」とよく似た味がしました。

 弾力のあるライスペーパー,パリパリの皮,シャキシャキのもやし,豚肉や海老の旨味,アクセントとなるパクチーを1つにまとめ,甘酸っぱいヌクチャムをつけていただくと,様々な味や食感を一度に楽しむことができました。

 バインセオは,クレープやお好み焼とよく似ていますが,この発想は,フランスのそば粉や小麦粉を使ったガレットやクレープにも相通じるところがあるように思いました。


ブンチャー

 数あるベトナム料理の中で,ぜひ一度味わってみたいと思っていた料理が「ブンチャー」です。

 ベトナムを旅行されたKhaawさんのブログ記事を読んで知りました。

 お店のメニューにブンチャーがあったのですが,平日のランチセットだけの料理となっていたため,訪問した日曜日のメニューにはありませんでした。

 でも,そこで簡単に諦めないのが私流(笑)。

 ブンチャーを味わってみたい旨をお店の方にお話しすると,こころよく応じてくださいました。

(ブンチャー)
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 大皿にボリュームたっぷりのブンチャーが用意されました。

 「ブン」はそうめんのような細い米粉麺(ビーフン),「チャー」は豚肉という意味だそうです。

 どっさり盛られたそうめんのようなブン,その上には炭火焼きの豚バラ肉がのせられています。

 さらに挽き肉・人参・春雨などの具が入った揚げ春巻や,パクチー・レタスなどの野菜も皿に盛られていました。

 そしてよく見ると,つけダレの甘酸っぱいヌクチャムの中にも炭火焼きのつくねが3つも入っていました。

(ブンチャー(ヌクチャム))
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 魚醤で味を調えた汁気の多い紅白なますのようなタレの中に,ビーフン,焼肉,つくね,野菜などを入れ,つけ麺としていただくイメージです。

 日本のそうめんのような食べ方ですが,肉があるので,もっと豪快でボリュームがあります。

 お店の方が,このブンチャーは,アメリカのオバマ前大統領がベトナムで召し上がったものと同じものだと自慢しておられました。

 韓国の「プデチゲ」やインドネシアの「ナシゴレン」・「ミーゴレン」など,少し前までマイナーな存在だった海外の料理が,日本で徐々に知られ,人気を得るようになった事例は多々ありますが,この「ブンチャー」も同様に今後日本で紹介され,ヒットする可能性は十分にあるように思いました。


バインベオ

 「バインベオ」は,米粉を蒸した餅料理・餅菓子のことで,ベトナム中央部に位置するフエの宮廷料理の1つです。

(バインベオ)
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 米粉を水で溶いた生地を型に流し,蒸して餅のように固められています。

 上にのせられた黄色いものは,小豆に似た豆を蒸したものだそうです。

 仕上げに餅の周りにココナッツミルクがかけられています。

 もっちりと仕上がった米粉の餅には,ほんのりと甘味が感じられ,ココナッツミルクや豆と一緒にいただくと,より美味しくいただけました。

 今回のバインベオは甘いデザートとして用意されていましたが,海老や豚肉をのせて料理の前菜やおやつとして食べられることも多いようです。

 ココナッツミルクは東南アジアの代表的な食材ですが,米粉を使って「蒸す」という調理法は中国から受けた調理法だと思います。


バインフラン(ベトナム風プリン)

 デザートは一品だけで済ませる予定でしたが,お店の方からいろんなお話を伺ううちに,プリンが一押しだと伺ったので,追加でいただくことにしました。

 ベトナムではプリンのことを「バインフラン」と呼ばれているようです。

(バインフラン(ベトナム風プリン))
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 卵の白身は使わず,黄身だけで作られたカスタードプリンなので,とても濃厚な,これぞカスタードプリンの王道と言えるような味がしました。

 残った白身は,まかないで出されているという涙ぐましいお話まで伺いました(笑)。

 併せて,ベトナムでプリンがよく食べられているのは,フランスがベトナムを統治していた時代に,フランスのお菓子としてもたらされたからだと教えていただきました。

 フランス料理には,卵や牛乳などの液体を型に入れて蒸し,プリンのように仕上げた「フラン」と呼ばれる料理・菓子があります。

 今回御紹介したベトナムのお菓子「バインフラン」の「フラン」も,このフランスの「フラン」と関連性があると思います。

 では頭に付く「バイン」はどういう意味でしょうか。

 次に,この「バイン」について少し整理しておきたいと思います。


ベトナム料理には「バイン」という名の料理・菓子が多い

 ベトナム料理には,今回御紹介した「バインセオ」,「バインベオ」,「バインフラン」をはじめ,「バインミー」(バゲット(フランスパン)のベトナム風サンド),「バインクオン」(ベトナム風水餃子),「バインスー」(シュークリーム)など,頭に「バイン」と付く料理やお菓子が数多く存在します。

 「バイン(bánh)~」はベトナム語で「餅,粉もの,お菓子」といった意味があり,漢字では「餅」と表現されます。

 これは中国の「餅(ビン)」という言葉に由来しているようです。

 中国では「麺(ミエン)」は穀物の粉の総称,「餅(ビン)」はその「麺」の中でも小麦粉食品を指す言葉として用いられています。

 その意味が派生して,ベトナムでは「餅,粉もの,お菓子」に「バイン」が使われるようになったのでしょう。

 ただ,ベトナムでの「粉もの」は小麦粉よりは米粉が中心となります。

 小麦粉ではなく米粉が中心となっているのは,ベトナムの米食中心の食事文化が反映されているからでしょう。

 こうして「バイン」という言葉は,ベトナムの米粉を中心とする様々な料理や菓子を表現する言葉として広く用いられるようになったのです。


食文化のオリジナリティとは

 中国での元来の意味からかけ離れてしまっている現象は興味深いですが,それは日本でもみられます。

 日本では「麺」と言えば(穀物の粉ではなく)粉ものを細長く加工したそばやうどん,ラーメンなどを言いますし,「餅」と言えば(小麦粉ではなく)もち米から作られるお餅を言うことが一般的ですよね。

 だから日本から見れば,逆に中国での意味の方が間違っているように思えるわけです(笑)。

 こうした現象がみられる一方で,当然ながら,中国での意味と同じ意味で用いられているベトナム料理もあります。

 その代表例が「フォー」(米粉の麺)です。

(フォー)
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 中国では米粉の麺を「粉」と表現しますが,フォーは,この「粉」のベトナム語での発音「ファン」が変化して「フォー」と呼ばれるようになったという説が有力です。

 今回御紹介した「ブンチャー」の「ブン」も「ビーフン(米粉)」の「粉」からそう呼ばれるようになったのでしょう。


 他の地域や国の食材,調理法,言語,文化などを受け入れる際には,一旦その地域や国で都合がよいように組み換え・加工がなされた上で受け入れられ,オリジナリティを持たせていることがよくわかる事例だと思います。


<関連記事>
 「ベトナムのつけ麺 ブンチャー Bun cha; Vietnamese noodle with pork soup
 (Khaawさんのブログ「-彩雲たなびく天使の街/City of angel under cloud iridescence-」)

<関連リンク>
 「HANOI PHO(ハノイ・フォー)」(広島市中区白島北町3-1 河瀬ビル101)

<参考文献>
 石毛直道『世界の食べ物 食の文化地理』講談社学術文庫
 沼野恭子編『世界を食べよう!東京外国語大学の世界料理』東京外国語大学出版会

2017年11月21日 (火)

昆虫食の研究5 -岐阜県恵那市「くしはらヘボまつり」ヘボの刺傷被害-

ヘボが多く飛び回る危険なイベント

 今回はヘボ(クロスズメバチ,シダクロスズメバチ)の刺傷被害について御報告したいと思います。

 昨年(2016年),私はスズメバチが黒色に対して激しく攻撃することを知らず,黒いジャンパーに黒いジーンズ姿,そして無帽の黒髪,黒い靴,黒いリュックサック,黒いカメラ…とまさに全身黒一色の無防備な姿で会場へ行き,帰りにヘボに刺されてしまいました。

 それを反省し,今年は白いジャージ上下,帽子,軍手を持参し,会場に着いたらその場で着ている服の上から着用しようと考えていました。

 しかしながら…。

 会場に着き,バスを降りた瞬間からヘボがたくさん飛び回っており,ジャージを着用しようとしても,服の中にヘボが飛び込んでくるほど多く飛び回っていたので,服の上からジャージを着用することすら大変な思いをしました。

 「今年は昨年以上にヘボがたくさん飛び交っている。刺されないよう気をつけないと。」というのが,会場に着いた時の感想でした。

 何とかジャージ上下,帽子,軍手を着用し,これで今年はひとまず安心と思いつつ,メイン会場へ向かいました。

 ヘボの巣の出品者やイベント関係者はもとより,見学客の皆さんも,ヘボに刺されないようしっかり防護されている方が多いように思いました。


ヘボが多く飛び回っていた理由

 ヘボが多く飛び回っていた理由として考えられるのは,

(1)晴天で日差しが強く,ヘボが活動しやすい天候・気温であったこと。

(2)ヘボの巣を車で移動させたり,会場で取り出したり,出品するために袋詰めにするなど,巣を防衛しようとするヘボに対し,過度に興奮・怒らせる行動をとっていたこと。

(3)ヘボの巣が1か所に集中するため,巣から飛び出すヘボを制御しきれないこと。

(4)スズメバチは黒に対して激しく攻撃する習性があり,それは主に人間をターゲットにしているからと言われているが,今回のイベントでは,そのターゲットである人間が多く存在していたこと。

(5)会場で飲食する人が多く,ヘボ飯やヘボ五平餅,ジュースなどヘボが好む炭水化物源が多く存在したこと。

 などが挙げられると思います。

(ヘボの巣コンテストの様子)
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(柳原望『高杉さん家のおべんとう 3』第20話「Have a good ヘボタイム」から引用)


人間が美味しいと思うものはヘボだって美味しい?

 私がヘボまつりで楽しみにしているのは,飲食物などが販売されている販売会場です。

 昨年以上にヘボがたくさん飛び交っているのを警戒してか,会場内で最もヘボが多く飛び交っているコンテスト会場周辺は,イベント主催者,ヘボの巣の出品者,購入予定者など関係者以外の見学客は,あまり長居せず,販売会場の方へ向かわれる方が多いように思いました。

 私も今回刺されたら危険ですし,どちらかと言えば興味があるのはヘボの食文化の方なので,早々に飲食物などが販売されている販売会場の方へ向かいました。

(販売会場の様子)
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 まだこちらの販売会場の方が飛び交うヘボの数が少なく,安全な様子でした。

 そこで私は人気のくしはら名物「ヘボ五平」を購入するため,列に並んで順番を待っていました。

 しかしやはり,立ち止まっていると,販売会場にまでヘボがどんどん飛んできて,振り切るためにじっと立っていられないという状況で,ヘボに慣れない私は大変でした。

 逆に,私の後ろで並んでおられた地元の御夫婦は,先程ヘボに刺されたにもかかわらず,平気な様子で順番を待っておられました。

 私には信じられないことです。

 私はスズメバチ研究者の山内博美さんと御一緒させていただいたので,お互いヘボが体にとまったら(手で払いのけるのは危険なので)フッと息を吹きかけてヘボを追い払うことで何とかしのぎ,無事ヘボ五平餅を購入することが出来ました。

(くしはら名物「ヘボ五平」の看板)
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 「日本でここだけ!?…かも。」と案内されていますが,そのとおりだと思います(笑)。

(五平餅にヘボ入り味噌だれを塗る様子)
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 味噌だれに混ざっている黒い粒々がヘボです。

 飛び回っているヘボも,この香ばしくて甘味のある味噌だれが好物のようです。

(くしはら名物「ヘボ五平」)
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 くしはら名物「ヘボ五平」です。

 ヘボまつりへ来たからには,押さえておきたい一品です。

 私が五平餅を買っている間に,山内さんが「へぼ御飯」を2人分買ってきてくださいました。

 「へぼ御飯」は,醤油,酒,みりんなどで調味されたヘボの蜂の子入り炊き込みご飯で,蜂の子は幼虫から成虫に近いものまで,様々な成長過程のヘボが具として混ぜ込まれています。

(「へぼ御飯」(クローズアップ))
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 昨年,左手をヘボに刺されて激痛が走る中,複雑な思いで夕食としていただいた「へぼ御飯」。思い出深い一品です。

 当日,会場に来られると伺っていた大手衛生薬品メーカーの研究員Hさんとも合流でき,山内さん,Hさん,私の3人でヘボ料理の昼食をとることとなりました。

 販売会場周辺にもヘボがたくさん飛び回っていたので,さらに離れた場所の芝生広場に座って食事しました。

 それでも…いざ「ヘボ五平」や「へぼ御飯」を広げて食事しようとすると,ヘボが食べ物を目掛けてたくさん寄ってきました。

(「へぼ御飯」を食べるヘボ)
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 炭水化物源はヘボの好物なのでしょうが,これ共食いに近いですよね…。

 ゆっくり腰を落ち着けて食事や会話を楽しみたいと思ったのですが,どこへ行ってもヘボがたくさん飛び回っており,じっとしていると体にとまるので,その状況に耐えられず,私は立って移動しながら食事しました。

 行儀悪いなんて言っている状況ではないのです。

 一方で,山内さんとHさんは,私とは対照的に落ち着いて座ったまま食事をされていました。

 初めて参加されたHさんは,むしろ寄ってくるヘボと遊んでおられるようにさえ見受けられました。

 Hさんから会場内の施設「マレットハウス」で購入されたオオスズメバチの焼酎漬けを紹介していただきました。

 その時のHさんの目がとても輝いておられたのが印象的でした。


当日の刺傷被害状況

(芝生広場での刺傷被害)

 3人でヘボ料理を味わい,会話を楽しんでいた最中,山内さんがヘボに口元を刺されました。

 ヘボまつり参加5回目にして初めて刺されたらしく,すぐに水洗いし,救護所に行かれて応急処置を受けられていました。

 「口元は痛いだろうな」,「アナフィラキシー(ショック)は起きないだろうか」など山内さんのお体を心配しつつ,しばらく様子を伺ったのですが,大丈夫とのお話だったので,ひとまず安心しました。

 人間だけでなくヘボも「ヘボ五平」や「へぼ御飯」が大好物なのでしょう。
 ヘボが間断なく食べ物目がけて飛んでくるので,早々に食べ切って芝生広場から移動することとしました。

 3人で移動中,私が「こんなにヘボが呼び寄せる食べ物は持ち歩きたくない」と思っていたところ,「せっかくだからお土産に買って帰ろう」とさらに「ヘボ五平」を買っておられたHさんには,さすがだなと思わずにはいられませんでした。

(商業施設「マレットハウス」での刺傷被害)

 車で来場されたHさんは引き続き会場をまわり,ヘボの巣の出品者などにヒアリングされるとのお話だったので,帰りのバスの時刻が迫っていた山内さんと私はここで失礼させていただき,バスが来る時刻まで近くの施設「マレットハウス」でお土産などを見ながら過ごすこととしました。

 昨年,店内だから大丈夫と油断していた私がヘボに左手を刺された場所です。

 しばらく見て回っていると,山内さんがまたヘボに刺されてしまいました。

 今度は右手の親指です。

 親指の爪の近くだったこともあり,大きく腫れあがることはなかったようですが,もうこりごりだという御様子でした。

 「マレットハウス」を出て,なるべくメイン会場から離れた場所で帰りのバスを待つことにしました。

(バスを待つ道路上での刺傷被害)

 山内さんと私は,メイン会場からなるべく離れた場所へ移動して帰りのバスを待っていたわけですが,それでも今年のヘボは数が多く,ひっきりなしに私達の体に襲ってきました。

 お互いヘボが体にとまっていないか確認し,相手にヘボがとまっているのがわかると,お互いが息を吹きかけてヘボを追い払うという対処を何度も繰り返しながら,バスが来るのを待ちました。

 その時,私は首の後ろ側,カッターシャツの襟の奥の方がゴソゴソする感じがしました。

 後ろ側なので直接様子がわからなかったこともあるのですが,つい後ろに手を伸ばし,寄ってきたヘボを手で払い除けようとしてしまいました。

 その瞬間です。

 「いててててーっ!!!」

 私の首筋をヘボが刺してきました。

 二度目は危ないと,あれほど恐れていたことが起きてしまったのです。

(ヘボに刺された首筋)
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 大丈夫なんだろうかと不安に思いながら,私も救護所に駆け込みました。

(救護用品)
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 救護所には「エクストラクター」(写真左上の黄色い器具)や「インセクトポイズンリムーバー」(写真中央の3本の白い器具)といった毒液を吸い出すための器具や軟膏(写真右上)が用意されていました。

 私は針が残っていないか患部を見てもらい,これを塗って応急処置していただきました。

(キンカン)
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 キンカンです。

 山奥の会場で,ヘボに刺されたぐらいで動揺してはいけないのです(笑)。

 後でよく考えたら,首の後ろ側だったこともあり,毒出しの水洗いもしていませんでした。

 でも不思議と,去年刺された時のように後で激痛に襲われることもなく,腫れも蚊に刺された程度の大きさで済みました。

 むしろ首筋に鍼治療を受け,肩が軽くなったような感じすらしました。

 鍼治療と言っても,スズメバチの毒針ですが…(笑)。

 冗談はさておき,私の気持ちが軽くなったことは確かです。

 なぜなら,山内さんが同日ヘボに2か所も刺されてしまったので,私が山内さんをヘボまつりにお誘いしたことを申し訳なく思うようになっていたのですが,そんな矢先に私もヘボに刺されたからです。

 これでおあいこ。

 ヘボに刺された箇所は少し痛かったですが,その分気持ちや肩も軽くなって帰路につきました。

 ※スズメバチに刺された時の対処法につきましては,山内さんが「スズメバチに刺された時の対処法」としてまとめておられますので,こちらを参考になさってください。


ヘボに刺された私が癒されたのは…

 明知鉄道明智駅に向かうバスの中で,山内さんと「昨年診察してもらった広島の病院にはもう行けない。またヘボまつりへ行って刺されたなんて報告したら医者から怒られるに決まっている…。」と真面目に冗談話をしました。

 明智駅の駅舎では,数量限定で「寒天かすていら」が販売されていました。

(寒天かすていら)
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 恵那市は岩村町のカステラや山岡町の細寒天が有名なのですが,そのコラボ商品です。

(寒天かすていら(中身))
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 寒天入りのカステラなので,とてもしっかりした,弾力のある生地に仕上がっていました。

 甘味の強い,昔ながらの素朴なカステラという印象を持ちました。寒天入りなので,体にも良いことでしょう。

 恵那行きの電車を待っていると,駅構内やホームにアニメキャラか何かの着ぐるみをした皆さんがおられました。

 せっかくなので,記念に何枚か写真を撮らせていただきました。

(着ぐるみキャラ(セーラー服))
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(着ぐるみキャラ(ペア))
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 写真撮影している間は夢中になり,ヘボに刺されたことなどすっかり忘れていました。

 この着ぐるみキャラの皆さんと一緒の電車で恵那駅まで戻り,恵那駅からはJR中央本線で名古屋駅へ。名古屋駅近くの喫茶店で山内さんとしばし会話を楽しんだ後,山内さんは帰宅され,私も新幹線で広島に戻りました。


ヘボの刺傷被害に遭わないために

 最後に,昨年に続き今年もヘボに刺された私が,その経験をもとにヘボまつりでヘボに刺されないための対策をまとめておきます。

 それは次の2つだと思います。

(1)ヘボが体にとまっても手で払い除けようとしないこと。

(2)そで口や襟元など衣服の開口部をしっかりふさいでおくこと。

 ヘボまつりではヘボが異常に飛び回っているので,黒い服・持ち物を避けるというのはもはやあまり関係ないレベルでした。

 実際,今回は山内さんも私も黒はなるべく避けたにもかかわらず,ヘボに刺された訳ですから。

 それよりも,巣の移動・搬入などですでに興奮し,怒っているヘボをこれ以上怒らせず(※(1)の対策),巣のような進入路を設けない(※(2)の対策)ことが防止策となるように思いました。

 そのためには,場の雰囲気を和ませ,全身を衣装で覆った「着ぐるみキャラ」の皆さんのような格好で参加するのが一番なのかも知れません(笑)。

(クロスズメバチ(ヘボ)の対処法)
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(柳原望『高杉さん家のおべんとう 3』第20話「Have a good ヘボタイム」から引用)

 今年もヘボに刺されてしまいましたが大したことはなく,山内さんとの再会やHさんとの出会いもあって,忘れられない良き思い出となりました。

 御興味を持たれた方は,ぜひ恵那へお越しください。


<関連リンク>
 「ヘボの巣コンテスト2017」(「都市のスズメバチ」山内博美氏 この記事と同じ刺傷被害が紹介されています。)
 「くしはらヘボまつり」(「え~な恵那」恵那市観光協会)
 「くしはらヘボまつり(ヘボの巣コンテスト)」(「ぎふの旅ガイド」岐阜県観光連盟)
 「明智鉄道株式会社

<関連記事>
 「昆虫食の研究1 -岐阜県恵那市「くしはらヘボまつり」ヘボの巣コンテスト-
 「昆虫食の研究2 -岐阜県恵那市「くしはらヘボまつり」ヘボ五平餅とヘボ飯-
 「昆虫食の研究3 -岐阜県恵那市「くしはらヘボまつり」ヘボの甘露煮とヘボ・蚕のロースト-
 「昆虫食の研究4 -岐阜県恵那市「くしはらヘボまつり」ヘボミュージアムとヘボ料理-

<参考文献>
 山内博美『都市のスズメバチ』中日出版社
 柳原望『高杉さん家のおべんとう 3』メディアファクトリー

2017年11月18日 (土)

福岡ソフトバンクホークスの耳かき -福岡県福岡市-

 ホークスグッズのショップ「ダグアウト小倉店」で購入しました。

 福岡ソフトバンクホークスのロゴ「Sh」の飾りが付けられた公式グッズの耳かきです。

 950円(2017年現在)しましたが,透明なケースに入れられており,ホークスファンの人への贈り物や福岡のお土産としても良さそうです。

 私は福岡ソフトバンクホークスの「いざゆけ若鷹軍団」という公式球団歌が好きです。

 地元ではダイエー時代にスーパーやダイエーグループ各店舗でBGMとして頻繁にかけられていた歌らしく,「この歌を聞くとスーパーを想像する」と言う人もいました(笑)。

 私の場合,この歌を聞くと福岡に来たことを実感します(笑)。

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 祝 2017年福岡ソフトバンクホークス パ・リーグ優勝!日本一!

2017年11月12日 (日)

昆虫食の研究4 -岐阜県恵那市「くしはらヘボまつり」ヘボミュージアムとヘボ料理-

今年(2017年)も「くしはらヘボまつり」に参加

 毎年11月3日(文化の日)には,岐阜県恵那市串原で「くしはらヘボまつり」(ヘボの巣コンテスト)が開催されます。

 ※ヘボ:クロスズメバチ,シダクロスズメバチの東濃地方での呼び名

 昨年(2016年),初めてこのイベントに参加して以来,私は職場などですっかり「虫好き」な人間とされてしまい(本当は大の苦手なのですが…),よく虫(昆虫食)の話題が出るようになりました。

 そうなると,開催日の11月3日が近づくにつれ,「くしはらヘボまつり」を意識するようになってしまいます。

 また,この日が近づくにつれ,昨年会場でお会いしたスズメバチ研究者の山内博美さんにもまたお会いできればと思うようになりました。

 ただ,私は昨年参加した際にヘボに刺されてしまい,病院でも医者に散々脅かされたので,今回も刺されたらアレルギー反応(アナフィラキシーショック)で最悪の場合生死に関わるのではないかという恐ろしさもありました。

 参加するかどうか数日悩みましたが,リスクを考えていたらリターンも得られないのは当然のことです。

 そこで,思い切って私から山内さんに連絡してみたところ,「会いましょう」と快諾していただけたため,今年も参加する決意を固めました。

 前日に長野県東御市にある「ヴィラデスト ガーデンファームアンドワイナリー」へ行き,同県松本市内のホテルに宿泊したため,今回は松本市から会場へ向かうこととしました。

 早朝,松本市からレンタカーで中央自動車道を走行して岐阜県中津川市へ向かいました。
 中津川駅からはJR中央本線で恵那駅へ行き,恵那駅にて山内さんと合流することができました。
 そして山内さんと一緒に恵那駅発の明智鉄道に乗って終点の明智駅へ行き,明智駅からは「恵那市自主運行バス」に乗って会場の串原に到着しました。

(明智駅に到着する急行「大正ロマン1号」)
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くしはらヘボまつり会場

 昨年広島から訪問するのも大変でしたが,今回松本から訪問するのも大変でした。

 当日はよく晴れており,日差しも強く感じました。

 それも影響してか,会場に着き,バスを降りた瞬間からたくさんのヘボが飛び回っていました。

 「危ないな,刺されないよう気をつけねば」と思いつつ,メイン会場に向かいました。

(日程表)
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(ヘボの巣コンテスト会場周辺の様子)
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 会場は今年も大勢の人で賑わっていました。

(ヘボの巣コンテスト会場の様子)
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 見学客の皆さんも,ヘボに刺されないようしっかり防護されている方が多いように思いました。

(車でヘボの巣が搬入される様子(ビニールハウス内))
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 会場奥のビニールハウス内でヘボの巣の搬入作業が行われていました。

 覆っているビニールシートにも,巣から飛び出したヘボがたくさんとまっています。

 搬入されたヘボの巣は,計量審査が行われた後,袋詰めされ,隣の展示会場で展示・販売されます。

(ヘボの巣の展示・販売)
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 展示会場いっぱいに山積みされた出品者自慢のヘボの巣です。

 ヘボの巣と一緒に,飛び交うヘボもたくさん袋詰めされていました。

 ヘボの巣の単価は1kgあたり8,000円となっていました。

 昨年は1kgあたり9,000円だったので,少し安くなっています。

 今年は全部で144の出品があったようです。

 私が買って,中でヘボがブンブン飛び回っているヘボの巣の袋を新幹線に持ち込んだら…恐らく規則違反で途中で降ろされ,広島には帰れないでしょう。それどころかニュースになって…。


ヘボミュージアム

 ヘボの巣コンテスト会場の一角に,今回初めて見る施設がありました。

 岐阜県立恵那農業高等学校(HEBO倶楽部)が2017年10月に制作した「ヘボミュージアム」です。

(ヘボミュージアム)
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 木造の小さな小屋で温かみのある手作り感いっぱいのミュージアムです。

(ヘボミュージアム案内ポスター)
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 入口にヘボミュージアムの案内ポスターが掲示されていました。

 ポスターには,ヘボやヘボ五平餅の写真とともに,「東濃のソウルフード”ヘボ” とる・そだてる・たべる 自然を味わい・活かす文化を受け継ぎたい。桧の小屋に私達の思いを詰めました。恵那農業高校 HEBO倶楽部」と書かれています。

 私もブログを通じてヘボの食文化をお伝えし,その一助になればと思いつつ,中を見学させていただきました。

(ヘボの巣)
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 ヘボの巣の標本が展示されていました。

 「新女王の巣盤の巣房の1セルは一回り大きい」と説明されています。

 働きバチがシングルルーム,女王バチがスイートルームに泊まっているようなイメージでしょうか。

 こうした標本それぞれの説明文が,日本語だけでなく英語も併記してされていることにも感心しました。

(パネル「ヘボは食べ物」)
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 ヘボはかつて全国各地で食べられていたようです。

 左半分の日本地図を見ると,宮城・千葉・大阪・徳島・佐賀以外は過去の文献・資料でヘボの記載が確認されていることがわかります。

 私自身も,広島に戻って職場で蜂の子のお土産を配った際,「昔クロスズメバチ(ヘボ)の巣を探して,巣の幼虫を食べていた。」と証言する人がいて,広島県の中山間地域でも食用としていた地域があることに驚きました。

 右半分の中部地方の地図を見ると,岐阜や長野を中心にヘボの食文化が広がっており,一般的にはヘボを煎る・煮付けるという調理法で食べられているのですが,ヘボの混ぜご飯や寿司,五平餅といったさらに手の込んだ調理法を持つ地域となると恵那市や中津川市に多いことが説明されています。

(パネル「ヘボ飯の準備と調理」)
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 ヘボ飯の準備と調理方法を紹介するパネルです。

 パネル中央上部から,時計回りにすごろくのように紹介されています。

 910g(9,000円)のヘボの巣を入手し,巣室から蜂の子を1匹ずつ引き抜く作業だけで約4時間!

 この作業で蜂の子が600g採れたとあります。ということは実質100gあたり1,500円(9,000円÷(600g÷100g))の食材!黒毛和牛やうなぎと同等の値段ですね。

 そうして苦労して採取した蜂の子(お好みでゴボウ,ショウガも加える)を醤油,砂糖,酒で煮付け,煮汁で炊いたご飯とまぜて,ヘボ飯の出来上がりです。

 ヘボの巣を自分で育てるとなると,さらに時間が必要となる訳で,ヘボ飯に限らず,ヘボを使った料理には想像をはるかに超えた時間や労力,お金が必要となることが御理解いただけるかと思います。

(ヘボ料理の紹介)
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 ミュージアムの中央に様々なヘボ料理が紹介されていました。

 食器の上に料理の写真が貼られたイメージ展示品ですが,ヘボを食べるといっても,佃煮やローストだけでなく,いろんな料理があるものだと思いました。

 紹介されている料理は,少し見えづらいと思いますが,左下から時計回りにヘボ飯,オオスズメバチ焼酎,ヘボ朴葉寿司,ヘボのデザート(柿とチーズ),ヘボ煮付け(佃煮),ヘボ成虫のかき揚げ,ヘボちらし寿司,ヘボ箱寿司などです。

 中山間部で貴重なタンパク源であるヘボを様々な料理に応用し,美味しく食べる工夫がなされてきたことがよく理解出来ます。


ヘボ料理を民俗学の視点から理解する

 今回,ヘボの食文化という視点からヘボミュージアムの展示品や資料を見学させていただきましたが,改めて思ったのは「ヘボ料理は『ハレ』の日のごちそう」だということです。

 ヘボを佃煮やローストにして保存性を高め,おかずとして日常から食べられていたかも知れませんが,ここまで手間暇かかる料理が毎日のように作られていたわけではないでしょう。

 当日,地元の方にお話を伺った際にも,「ヘボ料理はお祝いの日など特別な日に食べる高級料理だ」とおっしゃっていました。

 民俗学の世界では,お祝いごとなど特別な日を「ハレ」,日常を「ケ」と定義して民俗研究を行う方法があります。

 民俗学者 柳田国男の研究では,日常(ケ)の食事が粒食(主に雑穀)中心なのに対し,特別な日(ハレの日)の食事は粉食(小麦粉,米粉,餅(米),そば粉など)が中心であるとまとめられています。

 この違いを一言で説明すると,「料理を作るのに手間暇かかるかどうかの違い」だと言うことが出来ます。

 ヘボ料理は粒食か粉食かで区別されるものではありませんが,ヘボの巣を見つけ,育て,(または高額なお金を出して購入して,)その巣から蜂の子を何時間もかけて取り出し,さらにそれを調理する作業は,とても手間暇かかるということを踏まえれば,明らかに「ハレ」の日の食事に分類されることとなるでしょう。

 こうした観点でヘボミュージアムで紹介されているヘボ料理を振り返ってみると,餅(五平餅は山の講(山の神)にお供えしたのが起源とされる)や寿司など「ハレ」の日を象徴する料理が多いことに気付きます。

 言い換えると,ヘボ料理は「ハレ」の日の料理が中心で,特に現代においては日常から作られる機会があまりないため,地域の食文化として継承させることは大変なことでもあるのです。

 だからこそ,岐阜県立恵那農業高等学校やくしはらヘボ愛好会などを中心とした「ヘボ食文化」の継承・情報発信活動は,地元恵那市にとっても大きな文化的・社会的意義を持った活動であると評価できるのです。


<関連リンク>
 「ヘボの巣コンテスト2017」(「都市のスズメバチ」山内博美氏のホームページ)
 「岐阜県立恵那農業高等学校
 「くしはらヘボまつり」(「え~な恵那」恵那市観光協会)
 「くしはらヘボまつり(ヘボの巣コンテスト)」(「ぎふの旅ガイド」岐阜県観光連盟)

<関連記事>
 「昆虫食の研究1 -岐阜県恵那市「くしはらヘボまつり」ヘボの巣コンテスト-
 「昆虫食の研究2 -岐阜県恵那市「くしはらヘボまつり」ヘボ五平餅とヘボ飯-
 「昆虫食の研究3 -岐阜県恵那市「くしはらヘボまつり」ヘボの甘露煮とヘボ・蚕のロースト-

<参考文献>
 山内博美『都市のスズメバチ』中日出版社
 岡田 哲『食の文化を知る事典』東京堂出版
 福田アジオ『柳田国男の民俗学』吉川弘文館
 毎日新聞社編『東海の味』毎日新聞社

2017年11月 5日 (日)

長野県東御市 ヴィラデスト ガーデンファームアンドワイナリー訪問ノート

玉村豊男さんの本から食の世界の面白さを学ぶ

 私が食の世界に興味を持つようになったきっかけは,玉村豊男さんの本によるところが大きいと言っても過言ではありません。

 玉村さんの作品は,世界や日本での食体験やそれにまつわる食文化を中心として,深く研究された成果を,読みやすく痛快な文章で読者に紹介されていることが魅力となっています。

 また,玉村さんはパリ大学に留学されていたことから,私が好きなフランスやイギリスについても精通されており,少しマニアックに(笑)紹介された作品もあります。

 さらには,『食卓は学校である』や『今日よりよい明日はない』など,食の世界だけでなく,人生観まで学べる作品も数多くあります。

 そんな玉村さんの本の1つに,『田舎暮らしができる人,できない人』という本があります。

 東京生まれ,東京育ちの玉村さんが長野に移住し,ワイナリーを開設されるまでのストーリーを苦労話を折り混ぜながら紹介されている本ですが,この作品を読んでから,長野に開設されたワイナリーとはいったいどんなところなのか,いつか訪問してみたいと思うようになりました。

 今回,岐阜へ行く用事があったので,「せっかくの機会だから足を延ばして玉村さんのワイナリーにも行ってみよう」と思い立ち,ヴィラデスト ガーデンファームアンドワイナリー内のヴィラデストカフェに予約をさせていただきました。


ヴィラデストカフェを予約

 予約時,私は少し勇気を出して,カフェの御担当に「玉村豊男さんのファンです。当日直接お会いすることは難しいでしょうが,玉村さんのサイン入りの本を御用意いただき,訪問時に購入させていただけないでしょうか。無理でも食事の予約が可能なら喜んで伺いたいと思います。」と私の素直な気持ちやお願いをお伝えしました。

 すると,翌日,カフェの御担当からメールで「ご予約を承りました。御希望の本はショップでお取り置きしておきます。なお,当日玉村はこちらに居る予定です。」とのお返事をいただきました。

 訪問当日,玉村さんが同じ場所におられる,そしてもしかしたら玉村さんにお会いできるかもしれないと思うと,予約の時点で既に興奮し,待ち遠しく思いながら,当日を迎えました。


ヴィラデスト ガーデンファームアンドワイナリー訪問

 私は出来るだけゆっくりと食事をしたかったので,平日に長野県東御市(とうみし)にあるヴィラデストを訪問しました。

 とは言え,広島を出発してランチ予約時刻の13時30分までに,全く地理感のない長野県東御市まで行くことは大変でした。

 東御市は軽井沢に近く,群馬県と接しており,関東寄りの場所にあるからです。

 前日の夜,仕事を終えて,夜行の高速バスで広島から名古屋へ向かい,翌朝に名古屋に着きました。
 名古屋から電車で岐阜県の中津川まで行き,中津川からはレンタカーで中央道,長野道,岡谷インターからは国道142号,国道152号などを走り,やっとの思いで13時前にヴィラデストに到着しました。

 予約時刻まで少し余裕があったので,ガーデンファーム・ワイナリーなどを見学させていただきました。

(フラワー・ハーブガーデン)
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 色とりどりの花やハーブが植えられた庭園です。

 旅の疲れを癒してくれました。

(ヤギ子とブドウ畑)
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 「ヤギ子」ちゃんとブドウ畑(ソーヴィニョン・ブラン)です。

(ブドウ畑)
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 ヴィラデストカフェ側から眺めたブドウ畑の様子です。

 シャルドネ,メルロー,ピノ・ノワールなどが栽培されています。

 ひととおり見学した後,はやる気持ちを抑えながらヴィラデストカフェに向かいました。


ヴィラデストカフェ

(ヴィラデストカフェ・ショップ遠景)
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 第1駐車場から歩道を下りた先にヴィラデストカフェ・ショップがあります。

(ヴィラデストカフェ・ショップ)
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 こちらがヴィラデストカフェ・ショップの正面です。

 入口にショップがあり,その奥がカフェとなっています。

 しばらくショップを眺めた後,お店の方に名前を告げると,「お待ちしておりました。お席は御用意できております。玉村も来ると思います。」と御案内いただきました。

 最後の言葉が気になり,私は動揺して「えっ,あっ,ハイ。お願いします。」とお答えし,席を御案内いただきました。

 プリフィックス方式のランチコースなのでメイン料理と飲み物を選んで注文し,いよいよ待ちに待った食事の開始です。

(マッシュルームのファルス)
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 アミューズはマッシュルームのファルスでした。

 ファルスは,肉,魚,野菜などを細かく刻んで(挽いて)調味した「詰め物」を言います。

 今回のファルスは,マッシュルームに細かく刻んだ肉やパプリカを詰め,オーブンで焼かれた料理でした。

(フラワーシャンパン)
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 今日は私にとって記念日のようなものなので,飲み物でも雰囲気を盛り上げようとノンアルコールの「フラワーシャンパン」を注文しました。

 エルダーフラワーのシャンパンで,軽い口当たりがアミューズや前菜とよく合いました。

(前菜・パン・本日のスープ)
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 コースの前菜とパン,そして別に注文した本日のスープです。

 パンはバスケットに温かい3種類のパンを御用意いただきました。

 「秋のヴィラデスト」と名付けられた前菜は,ガラスカップに盛られたコールスロー,カブ・大根・山芋という白い根菜のグリル,サツマイモのバター煮,サラダでした。

 コールスローには,キヌアも入っていました。

 根菜のグリルに添えられた緑のソースは春菊のソースで,根菜の甘味とさわやかな春菊の風味を味わうことができました。

 バターで煮たサツマイモは,スイートポテトのような感じで,前菜のアクセントにもなっていました。

 サラダはレタスにスプラウトがのせられていますが,その中にはさらに麦や赤米などの雑穀も添えられ,ドレッシングには黒酢が使われていたので,どことなく和風のサラダに仕上げられていました。

 本日のスープですが,こちらはお店の方から「本日はバターナッツ・スカッシュのスープです。」と御説明いただいたことから,興味を持って追加注文しました。

 と言うのも,最近,広島でも産直市やスーパーなどでこのバターナッツと呼ばれるカボチャをよく目にするからです。

 この場をお借りして,少しバターナッツも御紹介します。

(バターナッツ)
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 バターナッツは黄色いヒョウタン形のカボチャです。バターナッツ・スカッシュとも呼ばれます。

(バターナッツ(断面))
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 縦に半分に切ってみると,カボチャの一種であることがよくわかります。

 底の丸い箇所は甘くてやわらかく,茎のような上部の細長い箇所はあっさりしていて,やや繊維質があります。

 形の珍しいカボチャだと理解していただければいいのですが,本日のスープはこのバターナッツ・スカッシュが使われた甘くとろみのあるスープでした。

 次のメインを待つ間,ドリンクメニューに「ヴィラテスト リンゴジュース」と呼ばれるソフトドリンクがあったので,お店の方に「こちらで作られているリンゴジュースですか」と尋ねたところ,「はい,スタッフがリンゴを絞って作ったジュースです。」とお話があったので,興味を持って注文しました。

(ヴィラデスト リンゴジュース)
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 そのお店の名称を冠している料理・お菓子・飲み物は,店のプライドもあり,外してしまう可能性は低いですが,このヴィラデスト リンゴジュースも同じことが言えると思いました。

 手作りのリンゴジュースは,食物繊維が一緒になるので,白く濁ってしまいますが,ヴィラデスト リンゴジュースは透明ですっきりした甘さのジュースに仕上げられていました。

(信州豚のコンフィと手作りソーセージ 白いんげん豆と茸のトマト煮を添えて)
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 メイン料理をどれにするか少し迷ったのですが,地元の信州豚と手作りソーセージに魅かれ,こちらの料理に決めました。

 写真手前が太い手作りソーセージ,奥が信州豚のコンフィ,下に添えられているのが白いんげん豆と茸のトマト煮です。

 粗挽きの太い手作りソーセージは,とてもジューシーで肉本来の味が楽しむことができました。

 信州豚のコンフィは,信州豚の塊を約60℃の油でじっくり茹で煮された料理で,厚めの塊ですが中はやわらかく,トマト煮のソースとの相性も抜群でした。

 白いんげん豆と茸のトマトソースもよく煮込まれており,それだけでも十分美味しいソースでした。

 白いんげん豆と肉を煮込んだフランスの料理「カスレ」をイメージするような,ボリュームがあってパンともよく合う,とても美味しい料理でした。

(デザートプレート)
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 さあ,お待ちかねのデザートです。

 写真手前が栗のアイスクリームの巨峰ソース添え,奥がキャラメルムースです。

 アイスクリームには栗がふんだんに入っており,モンブランをいただいているかのようでした。長野で有名な巨峰の甘酸っぱいソースともよく合いました。
 お口直しにチュイール(フランス語で「瓦」のこと)ものせられています。
 私は今回のコースで一番のお気に入りでした。

 キャラメルムースにはキャラメルソースと少しブリュレした(焦がした)甘めの生クリームや巨峰がのせられていました。

 こちらも異なるキャラメルの味が一度に楽しめ,口いっぱいに幸せを感じました。

(ハーブティー)
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 デザートと一緒にいただいた飲み物は,ハーブティーです。

 普段はコーヒーしか選びませんが,ハーブ園を目の前にするとやはりハーブティーを飲みたいと思いました。

 窓からブドウ畑や信州の山々を眺めながら,香り豊かなハーブティーをゆっくりと味わい,ランチをしめくくりました。


玉村豊男さんとお会いする

 食事中にもしかしたら玉村さんがレストランにお見えになるかもという一抹の期待を持っていましたが,そんな様子でもなかったので,「有名な方だから,お会いできなくて当然。」と思い,玉村さんと同じ空間で食事できたことを素直に喜び,会計を済ませて帰ろうと入口のレジへ向かいました。

 その時です。

 何とレジ近くの厨房カウンターで玉村豊男さん御本人がお待ちくださっていたのです。

 「うわぁー。」言葉にならない感動が込み上げてきました。

 美味しい料理を堪能出来たことや,こうして会っていただけたことについて,深々とお礼申し上げ,いろんな本を拝読してファンであることをお伝えしました。


玉村さん「今日は東京から来たの?」

私「(地理的に関東から来られる人の方が多いのだろうなと思いつつ)広島から参りました。」

スタッフの方「こちらがお取り置きしておいた本です。こちらにサインを。」

玉村さん「それではサインしますね。」

(お願いしておいた2冊の本(『料理の四面体』,『おいしいものは田舎にある 日本ふーど記』)に私のフルネームとともに玉村さんのフルネームの直筆サインをいただく)

私「ありがとうございます。この本は一生の宝にします。もし良かったら(「コウジ菌のブログ」を紹介する名刺を差し出し)こちらのブログも御覧いただければ幸いです。食文化について私なりの視点でまとめているブログです。」

玉村さん「わかりました。コウジ菌…あーお名前と同じですね(笑)。」

私「そうです。麹は酒・味噌・食酢・醤油など日本の食文化に欠かせませんので,麹(菌)と私の名前とかけてコウジ菌としています(笑)。ヴィクトリアケーキの記事など,玉村さんの本を参考にさせていただくことも多いんですよ。」

玉村さん「そうですか。」

私「あのー,もしよろしかったら,一緒に写真撮らせていただけませんか。」

玉村さん「もちろん,いいですよ。」

(満面の笑みで私の背中に手を差し伸べてくださった玉村さんと,緊張気味で不自然な笑顔の私(笑)とで記念撮影。)

玉村さん「写真,ブログに載せてもいいよ(笑)。」

私「あっ,本日はどうもありがとうございました。Merci Beaucoup!(メルシーボーク,フランス語で「大変ありがとうございました」の意)」


 「最後に何言ってるんだ私は…」と,今思い出しても恥ずかしいのですが(笑),そんなこんなでサプライズで玉村さんとお会いすることができ,お話しもすることもできました。

 玉村さんにお礼申し上げ,ヴィラデストカフェを後にしました。

 よく「自分で自分をつねって,これは夢ではないか」と思うシーンがありますが,玉村さんにお会いした瞬間は,まさにそんな感じでした。

 その日の晩,松本市内のホテルでヴィラデストカフェの皆様にお礼のメールをお送りしました。

 玉村さんにお会いできたこともとても嬉しかったですが,そのために私の気持ちを汲み取り,御準備いただいていたスタッフの皆様のサービスにも強く感動したからです。

 一生の思い出になる1日となりました。

 また機会を見つけて訪問したいです。


<関連サイト>
 「ヴィラデスト ガーデンファームアンドワイナリー」(長野県東御市和6027)

<関連記事>
 「イギリス料理の特徴と主な料理4 -ヴィクトリアケーキ-
(ヴィクトリア女王について玉村豊男『ロンドン旅の雑学ノート』(新潮文庫)を参考にさせていただきました。)

 「しょうゆの研究6 -しょうゆは日本独自の調味料なのか(前編)-
 「イースター(復活祭)を基準としたキリスト教行事 -なぜ卵とウサギが一緒なのか-
(袁枚の『随園食単』の話やカーニバル・四旬節の話は玉村豊男『グルメの食法』(中公文庫)を参考にさせていただきました。)

2017年10月30日 (月)

「アパ社長カレーショップ」1号店が広島にオープンした理由 -テストマーケティングからの考察-

 石川県小松市で創業し,今や日本全国にホテルを展開されているアパホテル。

 ホテルとともに数多くのレストランも経営されていますが,日本で唯一,広島でしか味わえないアパオリジナルの料理があります。

 「アパ社長カレー」です。

 2017年2月19日にアパホテル広島駅前に隣接する「アパ社長カレーショップ広島駅前店」(広島市南区松原町10-11)がオープンしました。

 オープン後,ずっと気になっていた「アパ社長カレー」をいただきに,アパ社長カレーショップ広島駅前店へ伺いました。


アパ社長カレーショップ広島駅前店

 お店のドアには,カレーを手にしたシェフ姿のアパホテルの社長 元谷芙美子氏のオリジナルマークがありました。

(「アパ社長カレー」オリジナルマーク)
Photo

 コック帽にはアパホテルのロゴ入りです。

 ドアの隣には,「アパ社長カレー」の広告ポスターもありました。

(「アパ社長カレー」広告ポスター)
Photo_2

 モンドセレクション銀賞を受賞されたカレーです。

 「アパ社長カレー」レセプション&無料食事会のアンケートで,

 「99.3%の人が「美味しい」と回答」
 「94.3%の人が「備蓄用・日常用に適している」と回答」

 されたと紹介されています。

 もし私がまずいと感じたら,わずか0.7%の仲間に入ることになるのです(笑)。

 大いなる期待を胸に,店内に入りました。


「牛ステーキ社長カレー」

 入口の券売機で食券を購入し,席に着いて注文する方式でした。

 「アパ社長カレー」のほかに,「ロースカツ社長カレー」,「ラタトゥイユ社長カレー」,「ハンバーグ社長カレー」,「エビフライ社長カレー」など様々なカレーが用意されていました。

 どれにしようか考え,せっかくなら豪華なカレーをと思い,一日5食限定の「牛ステーキ社長カレー」の大盛を注文させていただきました。

 お店の方から「こちらのカレーは約10分程度お時間をいただくこととなりますが」とお話がありましたが,私は笑顔で「はい構いません」とお答えしました。

 優雅な気持ちでしばらく待っていると,注文したカレーが出来上がりました。

 これが日本で唯一,広島でしか味わえない「アパ社長カレー」の,さらに一日限定5食しか販売されない,まさに超レアなカレー「牛ステーキ社長カレー」(大盛)です。

(牛ステーキ社長カレー(大盛))
Photo_3

 なんと華麗なカレーでしょう。

 ほどよい焼き加減の牛のモモ肉のステーキをスライスし,「アパ社長カレー」にトッピングされています。

 カレーはよく煮込まれた欧風ビーフカレーで,カレールーがライスと別々ではなく,ライスの上にかけられているため,ドライカレーのようにライスとの一体感があります。

 千切りキャベツが添えられており,ステンレス製のカレー皿も独特です。

 ここまで御説明するとピンときた方もおられると思いますが,「アパ社長カレー」は全国的に有名になった「金沢カレー」がベースになっているのです。

 濃厚な欧風カレールー,一体感のあるカレールーとライス,キャベツの千切り,ステンレス製のカレー皿,トンカツやハンバーグなどボリュームのあるトッピング,先割れスプーンなど,アパグループの創業地石川県の「金沢カレー」の特徴が生かされたカレーとなっています。

 「アパ社長カレー」で用意される先割れスプーンもアパオリジナルで,スプーンの柄には「アパ社長カレー」と刻印されています。

(アパ社長カレー専用スプーン)
Photo_4

 コクと深みのある欧風ビーフカレーライスと絶妙な焼き加減の牛ステーキを交互にいただきながら,贅沢なひとときを過ごすことができました。


アパ社長コーヒーとアパオリジナル「うまい棒」

 贅沢なひとときに食後のコーヒーは欠かせないと思い,券売機へ戻って追加で「アパ社長コーヒー」の食券を購入し,注文しました。

 お店の方から,コーヒーとともに,記念のアパオリジナル「うまい棒」もいただきました。

(「アパ社長コーヒー」とアパオリジナル「うまい棒」)
Photo_5

 「アパ社長コーヒー」よりも「うまい棒」の方が目立ちますが(笑),コーヒーはすっきりとして雑味がなく,私好みの味でした。

 一方のアパオリジナル「うまい棒」は,「うまい棒」を販売している「株式会社やおきん」とアパグループのコラボ食品で,非売品です。

(アパオリジナル「うまい棒」)
Photo_6

 ソース,青さ,紅生姜が入った「たこやき味」の「うまい棒」です。

 やおきんオリジナルの「うまい棒」にも「たこやき味」がありますが,よく似た味だと思いました。


「アパ社長カレー」が広島だけで販売されている理由

 食事後,お店の方に「アパ社長カレー」が広島だけで販売されている理由を伺ってみました。


私:「アパ社長カレーのお店は,広島だけのようですね。」

お店の方:「そうですね。全国でこの広島だけです。」

私:「社長さんのお考えとか,何か理由がおありなんですか。」

お店の方:「私もはっきりとした理由を知っているわけではありませんが,社長が広島が好きだからという話は伺ったことがあります。」

私:「へぇー,そうなんですか。それは嬉しいお話です。カレーもコーヒーもとても美味しかったです。」

お店の方:「それはどうもありがとうございます。」


 広島の人間としては嬉しい限りのお話でした。


テストマーケティングに適した地 広島

 ここまで広島限定というお話を強調してきましたが,今後は2017年11月1日に首都圏1号店となる「アパ社長カレー飯田橋駅南店」(東京都千代田区飯田橋3-1-4)を,同年11月7日には関西1号店となる「アパ社長カレー御堂筋本町駅東店」(大阪市中央区瓦町2-3-6)をオープンされるようです。

 広島1号店から1年を待たずして,東京・大阪で「アパ社長カレーショップ」をオープンされるのです。

 ここで私は,アパホテルの元谷芙美子社長さんが広島がお好きだからという理由のほかにも,広島に1号店を先行オープンされた理由があったのではないかと思いました。

 その理由とは,広島がテストマーケティング(全国展開する前に試験的に販売すること)に適した地だからというものです。

 広島がテストマーケティングの地として選定されやすい理由としては,


(1)全国企業の支店が集まるブランチ(支店)経済であること

(2)所得や人口が全国の平均的な水準で,日本の縮図となっていること

(3)周囲を山と海に囲まれ,特定の地域に人が集中しているため,他地域の影響を受けにくく,人々の嗜好が把握しやすいこと

(4)広島圏内で完結したメディアが存在していること

(5)中国・四国・九州地方の企業は,一般的に,当初は関西圏への進出を試みるが,広島の企業は当初から東京(首都圏)への進出を試みる傾向が強いこと

(6)物価が高く,首都圏や関西圏と肩を並べる水準であること

(7)熱しやすく冷めやすい県民性から,広島で成功すれば他の地域でも成功する可能性が高いと見込まれること



 などが挙げられると思います。

 こうした広島の状況を踏まえた上で,アパホテルが全国展開されている状況や「アパ社長カレー」の今後の展開を考えると,広島にアパカレーショップ1号店をオープンされた理由が経営学的見地から説明することも出来るのです。


まとめ

 後半はマーケティングの話にまで発展しましたが,広島に住む私としては,元谷芙美子社長さんが広島がお好きで広島に1号店をオープンされたというお話を素直に喜び,嬉しかったことがこの記事を作成しようと思った動機であることは確かです。

 広島1号店でのマーケティング結果をもとに,「アパ社長カレー」が全国の人々に身近で愛されるカレーになることを心からお祈り申し上げます。

 なお,レトルトパウチの「アパ社長カレー」については,オンラインストア,全国のアパホテルフロント,アパホテル直営レストランでも販売されているようです。

 「アパ社長カレー」に興味を持たれた方は,通販やお店でぜひ召し上がってみてください。


<関連リンク>
 「アパ社長カレーショップ広島駅前店」(「アパホテルズ&リゾーツ」アパホテル<広島駅前>)
 「アパ社長カレー【2016年度モンドセレクション銀賞】」 (「アパホテルズ&リゾーツ」ニュース)

2017年10月28日 (土)

レモンとブロッコリーのマドレーヌ -「ひろしま給食100万食プロジェクト」-

 広島のセブンイレブンでちょっと面白い洋菓子を見つけました。

 「レモンとブロッコリーのマドレーヌ」です。

(「レモンとブロッコリーのマドレーヌ」(包装))
Photo_5

 この商品は,数年前から広島県内で実施されている「ひろしま給食100万食プロジェクト」により考案・商品化されたもので,広島県内のセブンイレブン各店で販売されています。

 「ひろしま給食100万食プロジェクト」は,広島ならではの給食メニューを開発し,給食実施校で提供したり,クックパッドでレシピを公開して家庭でも味わってもらうことによって食育の推進を目指すプロジェクトで,広島県教育委員会が実施しています。

 毎年,様々な広島らしいアイデア料理やお菓子が考案されているのですが,その中で株式会社セブン-イレブン・ジャパンによって商品化されたものの1つが,この「レモンとブロッコリーのマドレーヌ」なのです。

 レモンについては,広島はレモンの生産量日本一ですし,「広島レモン」や「瀬戸内レモン」というブランド商品としての地位を築くまでになっているので理解しやすいのですが,ブロッコリーについてはあまりピンときません。

 クックパッドで同じような「広島レモン入り小松菜マドレーヌ」のレシピが紹介されているのですが,その中で「野菜が苦手でもおいしく食べられるよう小松菜入りにした」と説明されていることから,今回の「レモンとブロッコリーのマドレーヌ」についても,広島のレモンと野菜が一緒になったお菓子というのがセールスポイントなのでしょう。

 セブンイレブンで購入した「レモンとブロッコリーのマドレーヌ」の袋を開けてみました。

(「レモンとブロッコリーのマドレーヌ」)
Photo_2

 なるほど。表面の焼き色は一般的なマドレーヌと同じですが,側面の生地の色が黄緑色になっており,丸くまとまった形も含めて,見た目がブロッコリーのようです。

(「レモンとブロッコリーのマドレーヌ」(中身))
Photo_6

 生地にブロッコリーのピューレが練り込まれているため,中身も薄い黄緑色をしています。

 アクセントにレモンピールも入っています。

 さて,肝心な味ですが,レモンの風味とブロッコリーの風味が半々といった感じがしました。

 レモンの香りや酸味が主張し過ぎず,ブロッコリーの風味も程よく感じられるのです。

 レモンとブロッコリーの組み合わせ。

 最初は珍しいと思いましたが,不思議とよく合い,美味しくいただくことが出来ました。

 栄養のバランスも考えられていることでしょう。

 不足しがちな野菜の摂取を補い,広島のレモンと一緒に美味しくいただけるということが大きなメリットだと思います。

 今回のお菓子に限らず,「ひろしま給食100万食プロジェクト」をきっかけに広島らしいオリジナルメニューが増えて給食の時間が楽しくなり,さらには,新たな広島の郷土料理や銘菓の誕生にまでつながればと期待しています。


<関連リンク>
 「ひろしま給食100万食プロジェクト」(広島県教育委員会)
 「クックパッド公式キッチン 広島県教委100万食」(クックパッド)

«箱根寄木細工の耳かき -神奈川県箱根町-

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