2018年9月24日 (月)

埼玉県秩父地域の国産メープルシロップ・カエデ糖菓子 -メープルドック・パンケーキとメープルシロップ食べ比べ-

「秩父の奇跡」とメープルプロジェクト

 埼玉県・秩父の森には日本全国に生息するカエデのほぼ全ての種類(28種類あるうちの21~22種類)が生息していると言われています。

 これは,秩父地域が暖温帯と冷温帯の間に位置し,温かい気候を好む植物と寒い気候を好む植物の両方が生息できる地域(中間温林帯)にあたるからです。

 こうしたカエデをはじめとした秩父地域の豊かな植生環境は「秩父の奇跡」と呼ばれています。

 このことに着目し,秩父地域で自生するカエデの木から樹液を採取し,秩父産のメープルシロップ「和メープル」や様々なカエデ糖菓子などを販売して,秩父地域の活性化と豊かな森林づくりを目指すプロジェクトに取り組む人々がおられます。

 多種多様なカエデが自生する秩父地域はどんなところなのか,国産のメープルシロップとはどんな味なのか,秩父地域ではどんな取組みがなされているのか,どんなカエデ糖菓子が販売されているのか,次々と興味がわいてきます。

 そこで今回,もみじの本場・広島からカエデの本場・秩父へ行ってみることとしました。


日本初のシュガーハウス「MAPLE BASE」

 当日は,広島空港から空路で羽田空港へ,羽田空港から京浜急行電鉄本線,JR横浜線,JR八高線,西武鉄道秩父線と乗り継いで秩父へ行きました。

(西武鉄道(各駅停車・西武秩父行))
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西武鉄道「東飯能駅」にて撮影

 ライオンズカラーの電車です。

 西武秩父駅に着き,メープルシロップが味わえるカフェや日本初のシュガーハウス(※)を有する「MAPLE BASE(メープルベース)」というお店を訪問しました。
 ※シュガーハウス…メープルシロップを製造する小屋

 西武秩父駅(または秩父鉄道・秩父駅)から西武観光バス「ミューズパーク線ぐるりん号」に乗って「ミューズパークスポーツの森」で下車し,ミューズパークの敷地に入って奥の右側にあります。

(「MAPLE BASE」店舗)
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 カフェのメニューを見ると,パンケーキ,フレンチトースト,ナッツ,ジェラート,ソーダ,マキアート,ラテなどメープル入りの軽食・デザート・飲み物がたくさん用意されていました。

 私はこの店オリジナルのものを味わいたいと思い,「メープルドック」と「オリジナルパンケーキ(3枚)カナダ産メープルシロップ付き」のドリンクセット(アイスコーヒー),それにオプションで「秩父産メープルシロップ食べ比べ<アンバー&ダーク>」を注文しました。

 各テーブルには様々な種類のカエデの鉢が置かれていました。

(コミネカエデ)
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 私が利用したテーブルには日本固有種のコミネカエデ(小峰楓)が置かれていました。

 さすがメープル専門店ですね。

 しばらくして,お店の方が出来上がった料理を運んできてくださいました。

 まずはメープルドックです。

(メープルドック)
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 見た目は普通のホットドッグです。

 緑のきゅうり,赤いプチトマト,黄色いパプリカのピクルス付きです。

(メープルドック(拡大))
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 いただいてみると,ジューシーなソーセージの下に,玉ねぎのメープルシロップ炒めがはさまれていました。

 ソーセージの塩気とメープルシロップで炒めた玉ねぎのほのかな甘みがマッチした,上品な味わいのホットドッグでした。

 野菜のピクルスもよいアクセントになっていました。


 しばらくすると,オリジナルパンケーキも焼き上がりました。

(オリジナルパンケーキと秩父産メープルシロップ食べ比べセット)
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 「MAPLE BASE」特製のオリジナルパンケーキとメープルシロップのセットです。

 3枚のパンケーキがのせられたプレートの左横には3種類のメープルシロップが用意されています。

 上の白いリーフ皿に入っているのが,このパンケーキとセットの「カナダ産メープルシロップ」です。

 そしてその下に2つある透明なガラスのリーフ皿に入っているのがオプションの「秩父産メープルシロップ」で,上側の色がやや濃いのが「ダーク」,下側の色がやや薄いのが「アンバー」と呼ばれるメープルシロップです。

 パンケーキ3枚とカナダ産メープルシロップのセットは700円,オプションで注文した秩父産メープルシロップ(2種類)は何とそれだけで1,500円です。

 つまり,パンケーキ3枚とカナダ産メープルシロップのセットよりも,オプションの秩父産メープルシロップ1種類の方が高いこととなります。

 お店の方から随時御説明いただきながら味わいました。

 まずはカナダ産をいただきました。

 濃厚なコクと甘味で,馴染み深いメープルシロップの味でした。


 次に秩父産をいただきました。

 「アンバー」と「ダーク」の2種類がありますが,その違いは収穫時期から生じます。

 メープルシロップのもととなる樹液の収穫時期は2月から3月が中心で,その期間でもわずか2~3週間の違いで,早い時期だと淡いアンバー(琥珀色)に,遅い時期になると濃いダークになるのだそうです。


 まずは「アンバー」からいただきました。

 とてもサラリとして,上品な香りと甘さを感じました。

 その淡い味わいは,まさに「和」のテイストです。


 次に「ダーク」をいただきました。

 「アンバー」に比べてコクがあるのですが,それでもカナダ産と比べるとはるかに淡い風味・甘さに感じました。


 「ダーク」の方が甘そうに見えますし,実際味わってみても甘いと感じたのですが,実は「アンバー」も「ダーク」も糖度は同じ67度なのだそうです。

 好みはそれぞれと思いますが,私は上品な甘さで程よいコクのある秩父産メープルシロップの「ダーク」が一番好みでした。

 いずれにせよ,とても高価で貴重なメープルシロップなので,一滴残らずいただきました。


メープルシロップ製造機

 食事後,お店の方の御好意でメープルシロップ製造機を見学させていただきました。

(メープルシロップ製造機)
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 樹液を煮詰め,蒸発させるエバポレーター(蒸発機)です。

 メープルシロップの本場,カナダ製の機械で,日本ではこのお店だけにあるそうです。

 手前に管の断面がありますが,製造時にはこれらの管をパイプでつなげて各槽を結びます。

 採取した樹液の糖度は2度前後なのですが,この製造機の樹液の水分を各槽で徐々に蒸発させて糖度を上げ,最終的には糖度が67度になるよう調節されます。

 メープルシロップは,元の樹液量の40分の1程度となります。

 燃料には山から採ってきた木(薪)が使われるそうです。

 カエデの樹液の採取時期が2月~3月なので,メープルシロップの製造時期はその後の3月~4月にかけて行われるとのお話でした。

 また,この製造機でメープルシロップを作るには丸一日かかるそうです。

 稼働中は,昼夜を問わず薪をくべて火加減を調節したり,シロップの仕上がりを確かめたりする必要があるとのことで,メープルシロップ作りはとても大変な作業だということが理解出来ました。

 メープルシロップに仕上げるまでには,このほかにも樹液の採取,木(薪)の運搬,スギ・ヒノキの間伐・運搬,カエデの植林など,その多くが人手に頼らざるを得ません。

 秩父産のメープルシロップが高価である一番の理由は,この人件費なのだそうです。


秩父産メープルシロップの魅力

 秩父産メープルシロップは,現在はまだ高価で贅沢な甘味料であることは間違いありませんが,それに勝る魅力があることも確かです。

 カナダ産のメープルシロップは数種類のカエデから作られるのですが,秩父産のメープルシロップは20種類以上ものカエデから作られています。

 そのため,ポリフェノール,カリウム,カルシウムなどが多く含まれ,風味豊かで上品な甘さの理由にもなっています。

 また,砂糖に比べてカロリーが低いという利点もあります。


 秩父地域の自然の恵みの結晶とも言える秩父産メープルシロップ(和メープル)とそれを使った秩父のカエデ糖菓子。

 皆さんも秩父産メープルシロップやカエデ糖菓子を味わい,その魅力を感じ取ってみてください。


<関連リンク>
 「MAPLE BASE(メープルベース)」(埼玉県秩父郡小鹿野町長留1129-1 秩父ミューズパーク内)

<参考文献>
 尾形希莉子・長谷川直子「地理女子が教えるご当地グルメの地理学」ベレ出版

2018年9月16日 (日)

ハンガリー料理の特徴と主な料理2 -冷たい桃のスープ・グヤーシュスープ・マンガリッツァ豚のソテー・ショムロ地方のスポンジケーキ-

冷たい桃のスープ

 ハンガリー料理の特徴の1つとして特筆すべきは,食事として冷たく甘い果物のスープが飲まれることです。

 果物を絞った汁にサワークリーム(または生クリーム),牛乳,香辛料などを加えて煮立たせた後,冷やしたスープです。

 ハンガリー出身の店員さんのお話では,桃のほかにも,サクランボやイチゴ(ベリー)など様々な果物が使われ,特に夏によく飲まれているそうです。

 店員さんが満面の笑顔で「デザート!デザート!」と言いながら出していただいたスープがこちらです。

(冷たい桃のスープ)
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 確かに見た目もデザートのようなスープです。

 でも,メインの前の食事用スープとして出されている訳ですし,ジャガイモの冷製スープ「ヴィシソワーズ」のような感じだろうと思いながらいただいてみました。

 「普通に甘い…。これはデザート…。」

 私の正直な感想です。

 桃の果汁がほとんどで,クリームが入った桃のジュースを飲んでいるかのようでした。

 中には賽の目に切った桃も入っていました。

 次にグヤーシュスープを御紹介しますが,通常のコースではこの「冷たい桃のスープ」か「グヤーシュスープ」いずれか1品を選ぶようになっていて,いずれも同等の「料理」の扱いです。


グヤーシュスープ

 伝統的なグヤーシュスープです。

 「冷たい桃のスープ」とは対照的に,寒い時期向けの温かいスープです。

 グヤーシュがハンガリーの国民的料理となったのは1800年代後半のことです。

 ハプスブルク家に支配された「オーストリア・ハンガリー二重帝国」の時代にあって,グヤーシュはハンガリーのアイデンティティを示す料理として確立したのです。

 屋外で大鍋で作られるグヤーシュを軽めにしたのがグヤーシュスープです。

 牛肉,玉ねぎ,トマト,パプリカ,香辛料などを煮込んで作られます。

 店員さんから,「グヤーシュは『牛飼い』という意味です。」と教えていただきました。

(グヤーシュスープ)
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 スープの表面に点々と浮かんでいる緑色はバジル入りのオイルです。

 そしてスープカップの左隣に置かれている緑色の野菜は,スープの辛さを調節するためのパプリカ(青唐辛子)です。

 いただいてみると,ビーフシチューのような深い味わいのスープで,中には角切りの牛肉・人参・ジャガイモがゴロゴロ入っていました。

 主な食材がパプリカかビーツかで異なりますが,ボルシチにも似ているように思いました。

 あまり辛味はないので,途中で試しに青唐辛子をスープに入れ,少しかじってみました。

 すると,この青唐辛子が激辛で,一気に辛いスープへと変化しました。

 ヨーロッパの料理の中でも辛い料理が多いとされるハンガリー料理ですが,グヤーシュはその意味でも代表的な料理と言えるでしょう。


マンガリッツァ豚のソテー ポテトと紫キャベツ添え

 ハンガリーの代表的な料理ということで,ハンガリーの食べる国宝「マンガリッツァ豚」のソテーを御用意いただきました。

(マンガリッツァ豚のソテー ポテトと紫キャベツ添え)
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 マンガリッツァ豚をソテーし,デミグラスソースに似た肉と香味野菜のうまみたっぷりのソースをかけた料理で,マッシュポテトや紫キャベツ,スライスしたリンゴ,ミニトマトなどが添えられています。

 マンガリッツァ豚は肉質がとてもやわらかく,脂肪も溶けやすいので,肉の食感と脂肪のうま味の両方をバランスよく味わうことができました。

 また,添え野菜やソースに着目すると,オリジナルソースはもとより,紫キャベツ,スライスリンゴ,ベリーソースなど甘い食べ物が多いことに気付きます。

 フォアグラとトカイワインの組み合わせもそうですが,肉と甘い食べ物を組み合わせた料理が多いのもハンガリー料理の特徴の1つと言えるでしょう。
(オーストリア料理のカツレツ(ウィンナーシュニッツェル)と甘いベリーソースの組み合わせも同じ流れにあると言えます。)

 お店の方から,マンガリッツァ豚のパンフレットを見せていただきました。

(マンガリッツァ豚(ピック))
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 モコモコした毛に覆われた,羊のような豚です。

 ハンガリーで誕生した特殊な豚で,その希少性からハンガリーの国宝にも認定されていますが,飼育と消費がうまく循環させることで頭数も安定するため,食べ続けることも必要なことのようです。

 このパンフレットはハンガリーサラミでも有名なピック社のものですが,このピック社のあるハンガリー南東部の都市セゲドはサラミとパプリカの主要産地となっています。

 そのため,ピック社の工場内に「ピックサラミ・セゲドパプリカ博物館」が設けられており,サラミとパプリカの歴史や製造法を学ぶことができます。


ショムロ地方のスポンジケーキ

 デザートは「ショムロ地方のスポンジケーキ」という珍しいケーキを用意していただきました。

(ショムロ地方のスポンジケーキ)
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 ケーキの底から順に,ナッツのスポンジケーキ,洋酒・ベリーのケーキ,その上に白いバニラクリームケーキがのせられ,仕上げにチョコレートソースがたっぷりとかけられています。

 生クリームと甘い果実のソースも添えられています。

 このケーキの特徴はたっぷりかかったチョコレートソースと白いバニラクリームケーキです。

 チョコレートソースはココアパウダーから作られています。

 白いバニラクリームケーキは,食感が牛乳かんか名古屋のういろうのように感じ,一般的なケーキ生地とは少し異なったものでした。

 3層のケーキに3種のソース。様々な味を楽しみながら,コーヒーと共に美味しくいただき,食事を締めくくりました。


モーツァルトクーゲル

 お土産として,店頭のミニショップで販売されていたオーストリアのチョコレート菓子「モーツァルトクーゲル」を買いました。

(モーツァルトクーゲル)
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 ヘーゼルナッツクリームとマジパンクリームをチョコレートでコーティングしたお菓子です。
 ※マジパン…砂糖とアーモンドを練り合わせた製菓材料。

 中のマジパンがしっとりとやわらかく,かたいチョコレートと対照的な組み合わせで,日本ではあまり見かけないチョコレート菓子です。

 ハンガリーとオーストリアと言えば,かつてのオーストリア皇紀で,ハンガリーびいきだった「エリザベート(シシー)」を思い浮かべますが,そのシシーのグッズも販売されていました。


 今回いただいた料理は,基本のコース料理とアラカルトの中から代表的なハンガリー料理をアレンジしていただいたものです。

 こころよく応対してくださったお店の方に感謝の意を申し上げ,お店を後にしました。

 その際,店主さんから,「また東京にお越しの際はお寄りください。今度は気負わずに。」と声をかけていただきました。

 ハンガリー政府から依頼を受けてオープンし,ハンガリー大使館のお墨付きで,ディナーはドレスコードもある東京のレストランとなると,それなりに意識して訪問したことは確かなのですが,お店はとても和やかな雰囲気で,興味深いハンガリーのお話もたくさん伺え,とても居心地の良いひとときを過ごすことができました。

 今度は気負わずに訪問できそうです(笑)。



<参考文献>
 キース・ベローズほか「世界の食を愉しむ BEST500」日経ナショナル ジオグラフィック社
 関田淳子「ハプスブルク家の食卓」新人物文庫

<店舗情報>
 「AZ Finom(アズフィノム)」(東京都渋谷区神宮前2-19-5 AZUMAビル地下1階)

<関連リンク>
 「ピック(ピックサラミハンガリー)」(ハンガリーサラミ・マンガリッツァ豚)

<関連記事>
 「ハンガリー料理の特徴と主な料理1 -トカイワイン・豚肉のパテ・ハンガリーサラミ・パプリカ・フォアグラ・スズキのソテー-
 「オーストリア料理の特徴と主な料理 -カイザーゼンメル,グーラッシュ,キプフェル,ウィンナーシュニッツェル-

2018年9月14日 (金)

千葉ロッテマリーンズ スティッチの耳かき -千葉県千葉市-

 2018年9月,千葉へ行ってきました。

 ネットで千葉ロッテマリーンズの耳かきがあることがわかっていたので,千葉ロッテマリーンズのオフィシャルショップ「マリーンズストア」を中心に千葉市内のお土産店を回ってみることとしました。

 東京を出発し,総武本線・新京成電鉄・京成電鉄と乗り継いで京成千葉駅に着きました。

 千葉駅やその周辺の店でご当地耳かきを探したのですが,見当たりませんでした。

 そこで更に千葉モノレール・京葉線と乗り継ぎ,海浜幕張駅へ行きました。

 ZOZOマリンスタジアム横の「マリーンズストア ミュージアム店」や海浜幕張駅前の「マリーンズストア 海浜幕張駅前店」へ行き,千葉ロッテマリーンズの耳かきを探したのですが見当たらず,お店の方に尋ねても販売されてない様子でした。

 万事休す…。

 再び京葉線に乗り,東京ディズニーランドを横目に東京へ戻りました。(東京ディズニーランドの耳かきは持っていますので…。)

 後日,私は千葉ロッテマリーンズの本拠地まで足を運んだのだからよかろうと意を決し,「マリーンズオンラインストア」(通信販売)で耳かきを購入しました。

 発送元の住所は千葉市美浜区美浜1番,やっぱり私が行った場所から送られてきました(笑)。

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 ディズニーアスリーツシリーズ,千葉ロッテマリーンズ スティッチの耳かきです。

 ただ…私はスティッチを知りません(笑)。

 なので,スティッチよりも千葉ロッテマリーンズのユニフォームの方に目がいってしまいます(笑)。

 通販で,耳かき本体(400円)より送料(540円)の方が高かったのですが(笑),千葉の球団・千葉ロッテマリーンズの耳かきが入手できて良かったです。

2018年9月 8日 (土)

ハンガリー料理の特徴と主な料理1 -トカイワイン・豚肉のパテ・ハンガリーサラミ・パプリカ・フォアグラ・スズキのソテー-

ハンガリーの概要と食文化

 ハンガリーは中央ヨーロッパに位置する国で,首都はブダペストです。

 「ブダペスト」のことを日本では「ブタペスト」と呼ぶ人もいますが,かつてドナウ川をはさんで両岸にあった王宮のある都市「ブダ」と商業で栄えた都市「ペスト」が一緒になった経緯を踏まえると,「ブタ」ではなく「ブダ」の方が正しい呼び方となります。

(ドナウ川から見るブダ王宮の夜景)
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菊池良生「図解雑学 ハプスブルク家」ナツメ社 p177から引用

 地理的にトルコに近いこともあり,ブダ王宮がオスマン・トルコ軍に占領され,支配された時代もありました。

 このトルコ支配からハンガリーを解放したのが隣のオーストリア・ウィーンを拠点にしていたハプスブルク家ですが,今度はハプスブルク家の支配下に置かれることとなりました。

 その後,独立機運が高まった中での「オーストリア・ハンガリー二重帝国」体制や,第一次世界大戦後のハプスブルク帝国崩壊など,幾たびかの政変を経て,現在のハンガリー国家が形成されました。

 ハンガリー人は自らをマジャール人と呼び,言語もマジャール語と呼んでいます。

 この「マジャール」はもともとアジア系遊牧民を指し,人名表記も日本と同じ姓・名の順となっているなどアジアとの関わりも強いことから,ハンガリーは「ヨーロッパの中のアジア」とも呼ばれています。

 こうした歴史的・地理的・民族的背景から,ハンガリーはヨーロッパとアジア,キリスト教圏とイスラム教圏,農耕民と遊牧民など様々な文化を受け入れてきた国だと言えます。

 そのため,食文化においても,トルコ料理,オーストリア料理をはじめとして,多種多様な料理・食材・調理法が存在しています。


 それでは代表的なハンガリー料理を御紹介しながら,ハンガリー料理の特徴についてお話ししたいと思います。


トカイワイン

 東京のハンガリー料理店でハンガリー料理をいただきました。

 予約時に「いろんなハンガリー料理を味わってみたい」と御相談したところ,わがままな要望にもかかわらず快く応じてくださり,私向けのコースを組み立てていただきました。

 ドレスコードがスマートカジュアルとあったので,少しおしゃれして伺いました。

 カウンターでハンガリーのお話を伺いながら,ハンガリー料理を味わいました。

 最初に飲み物を何にするか問われたのですが,ハプスブルク家やハンガリーの食文化について学んだ上で,どうしても飲んでみたいワインがありました。

 トカイワインです。

 ハンガリー東北部トカイ地方から産出されるワインで,建国の祖イシュトバーン1世がキリスト教を国教とするにあたり,ブドウ(フルミント種)の栽培・ワインの製造をはじめた時から続くハンガリーを代表するワインです。

 フランス国王ルイ14世をして「これぞ王様のワイン,これぞワインの王様」言わしめたワインでもあります。(ちなみにルイ14世は日本の醤油も好んだことでも有名です。)

 店主さんから,「世界三大貴腐ワイン」(フランスの「ソーテルヌ」,ドイツの「トロッケンベーレンアウスレーゼ」,ハンガリーの「トカイワイン」)の1つであることを教えていただきました。

 そしてグラスに注いでいただきました。

(トカイワイン)
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 トカイワインはよく「黄金色に輝くワイン」と称されますが,本当に黄金色の輝きをもつワインでした。

 オーストリアのマリア・テレジア(マリー・アントワネットの母)が,トカイワインの黄金色の輝きを見て,本当の金が入っているかどうか調べさせたという逸話も残っているほどです。

 口に含んでみると,アプリコット(アンズ)のお酒のような,甘みが強くフルーティーなお酒でした。

 一般的にランクの高いトカイワインほど,甘美な味わいが増すとされています。

 田舎者の私をして「田舎者にしてトカイワイン」と言わしめた,おすすめのワインです。


豚肉のパテ・パン・ハンガリーサラミ・パプリカ・フォアグラ

 ハンガリーの代表的な食材を使ったオリジナルの前菜盛合せを作っていただきました。

(豚肉のパテ・パン・ハンガリーサラミ・パプリカ・フォアグラ)
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 写真上から時計回りに,甘いパン(フォアグラ用),豚肉のパテと自家製パン,ハンガリーサラミ,パプリカとフォアグラのパテ・ソース,立ててある切身がフォアグラ,そして紫キャベツのピクルスです。

(豚肉のパテ)
 ハンガリー料理の特徴の1つに豚肉の料理が多いことが挙げられます。
 豚肉のパテもその1つで,自家製パンと共に美味しくいただきました。

(ハンガリーサラミ)
 程よい塩味でやわらかく,脂肪のしつこさもなかったので,お店の方に「このサラミは美味しいですね」とお話しすると,「ハンガリーの食べられる国宝『マンガリッツァ豚』で作られたサラミです」と教えていただき,納得しました。
 ハンガリーサラミはサラミの原点とも言われ,有名なイタリアのサラミもハンガリーをお手本に作られたという説もあります。

(パプリカ)
 輪切りのパプリカにフォアグラのパテやソースをかけた料理を御用意いただきました。
 パプリカは,オスマン帝国のトルコ人によってハンガリーに持ち込まれた唐辛子をもとにハンガリーで生まれた食材とされています。
 パプリカも含め,ハンガリーはヨーロッパの中で最も唐辛子類が食べられる国で,辛い料理が多いのも特徴の1つです。
 ハンガリーには,グヤージュ・ロールキャベツ・鶏の煮込み・鯉やナマズの煮込みなどパプリカを使った料理が多く,「パプリカなくしてハンガリー料理は存在しない」と言われるほどハンガリー料理には必要不可欠な食材となっています。

(フォアグラ)
 フォアグラは,紫キャベツで作られた甘いピクルスや甘いパン,そしてトカイワインと一緒にいただきました。
 フォアグラは甘い食べ物や飲み物と相性が良いことで知られています。(フォアグラとソーテルヌ・トカイワインの相性の良さは有名で,昔から最高の贅沢とされてきました。)
 ハンガリーはフォアグラの生産がフランスに次いで世界第2位で,日本が輸入しているフォアグラの約8割はハンガリー産です。
 ハンガリーはフォアグラの一大生産国と言えますが,これはハンガリーが水鳥(グース(ガチョウ)やダック(アヒル)など)を飼育するのに適した自然環境に恵まれており,良質の羽毛(ダウン)を産出してきたことと関係していると言えるでしょう。


スズキのソテー ポルチーニのソース

 ハンガリーはヨーロッパの内陸にあるため,魚料理は淡水魚が中心となります。

 鯉やナマズなどの淡水魚をパプリカと一緒に煮込んだ辛いスープ「ハラースレー」などが有名です。

 今回のコース料理では,スズキのソテーを御用意いただきました。

(スズキのソテー ポルチーニのソース)
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 皿の中心にスズキのソテーにマッシュポテト,きのこ,ディル,白いパプリカが添えられ,全体にポルチーニソースがかけられています。

 外は皮も含めてパリッと,中は柔らかくジューシーにソテーされたスズキを,ポルチーニ茸と生クリームで仕上げられたソースでいただきました。

 マッシュポテトは刻んだホウレンソウとクリームチーズが入っており,コクのあるグラタンのような仕上がりでした。


【メモ】
貴腐ワイン
 ブドウの収穫を遅らせ,乾燥させたり,カビ(貴腐菌)をつけさせたりすることでブドウの水分を減らし,糖度を増した果汁で作られたワイン。
 トカイワインの場合,糖度を増したブドウ果汁と通常のブドウ果汁を混ぜて作られ,前者の果汁の含有率は「プトーニュ」という単位で表現される。

酒精強化ワイン
 貴腐ワインと同様に甘いワイン。
 ワインの製造過程の途中でブランデーなどのアルコール(酒精)を添加し,アルコール濃度を高めてその後の発酵を止めてしまうことでブドウ本来の甘さを残したワイン。
 スペインの「シェリー酒」,ポルトガルの「ポルト酒(ポートワイン)」や「マディラ酒」などが有名。

甘いワインとフォアグラのマリアージュ
 フォアグラは貴腐ワインと相性が良いが,これは酒精強化ワインにも当てはまる。
 例えばフランス料理では,フォアグラのソテーやテリーヌなどにマディラ酒のソース(ソース・マディラ)やポルト酒のソース(ソース・ポルト)が組み合わされることが多い。
 ちなみに「牛フィレ肉とフォアグラのロッシーニ風」に用いられるソース「ソース・ペリグー」はソース・マディラに刻んだトリュフを加えて作られる贅沢なソースである。


<参考文献>
 岡田 哲「世界の味探究事典」東京堂出版
 関田淳子「ハプスブルク家の食卓」新人物文庫
 菊池良生「図解雑学 ハプスブルク家」ナツメ社
 21世紀研究会編「食の世界地図」文春新書
 21世紀研究会編「民族の世界地図」文春新書
 玉村豊男「食卓は学校である」集英社新書

<店舗情報>
 「AZ Finom(アズフィノム)」(東京都渋谷区神宮前2-19-5 AZUMAビル地下1階)

<関連記事>
 「ハンガリー料理の特徴と主な料理2 -冷たい桃のスープ・グヤーシュスープ・マンガリッツァ豚のソテー・ショムロ地方のスポンジケーキ-

2018年8月29日 (水)

津軽鉄道食景色3 -東北・北海道新幹線車内で津軽鉄道「ストーブ弁当」を味わう-

 2018年3月に行った北東北(岩手・秋田・青森)旅行のお話も今回で最終話となります。

 青森市内に宿泊した後,青森駅からJR奥羽本線で新青森駅へ,新青森駅から東北新幹線で仙台駅へ,仙台駅から仙台空港アクセス線で仙台空港へ,仙台空港からIBEXエアラインズで広島空港へ,広島空港から車で自宅に戻りました。

 旅の締めくくりとして,帰りの東北新幹線車内でいただいた津軽鉄道の駅弁「ストーブ弁当」を御紹介したいと思います。


津軽鉄道「ストーブ列車」と「ストーブ弁当」

 津軽鉄道では,毎年12月~3月末までの間,「ストーブ列車」が運行されています。

 この列車は,車内にダルマストーブが設置されており,乗客がストーブを囲んで暖をとったり,スルメを焼いて味わったりできる冬のイベント列車です。

 ストーブの燃料は石炭で,その焚きつけには細かく割った古い枕木が使われています。

 走行中,ときどき車掌さんがストーブの様子をみて石炭を継ぎ足すのですが,暖房ではなく石炭ストーブというのがノスタルジックで情緒あふれますね。

 その「ストーブ列車」の運行に合わせて販売されているのが,津軽鉄道の「ストーブ弁当」です。

 私は時間の関係で「ストーブ列車」には乗ることができませんでしたが,この「ストーブ弁当」をぜひ味わいたいと思い,事前注文しました。


「ストーブ弁当」の注文

 この「ストーブ弁当」は,2個以上からの受付けで,利用日の3日前までに注文しておく必要があります。

 しかも受取時刻が午前11時から午後2時までの間となっているので,遠く離れた広島から1人で訪問する私には相当な覚悟が必要でした。

 でもどうしても味わってみたいという思いが強かったので,意を決して広島から津軽鉄道本社に電話し,「ストーブ弁当」を2個注文しました。

 その時一番不安だったのは,きちんと決めた日時に指定駅(津軽五所川原駅)で弁当を受け取れるかどうかでした。

 そこで私は津軽鉄道の方に事情を説明し,「万一受け取ることができなくても,代金はお支払いしますのでよろしくお願いします。」とお伝えしました。

 すると津軽鉄道の職員さんは「キャンセルになる場合は早めにお知らせください。別に御希望のお客様にお譲りできるかも知れませんので。」とおっしゃってくださいました。

 相手の気持ちに配慮した,ありがたいお言葉だなと思いました。

 これは何としてでも行かねばと思いつつ,当日を迎え,無事予定時刻に指定駅の津軽五所川原駅で弁当を受け取ることができました。

 津軽五所川原駅のホームの様子です。

(津軽五所川原駅ホーム)
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 手書きの看板に温かみを感じます。

 列車「走れメロス号」が停車していたので,撮影しました。

(津軽鉄道「走れメロス号」)
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 オレンジ色と緑色が基調となった湘南色に似た塗装の列車です。

 この日は津軽鉄道に関係したグルメを堪能し,「ストーブ弁当」をお土産にして,五所川原市を後にしました。


JR北海道所有の新幹線H5系

 青森市内で1泊し,北東北旅行の最終日を迎えました。

 朝,青森駅から新青森駅へ行き,東北新幹線に乗車して仙台駅まで戻りました。

(新青森駅「ようこそ青森へ!」(ねぶた))
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 やはり青森のねぶたは迫力があっていいですね。

 しばらく真新しい新青森駅構内を散策した後,新幹線ホームへ行き,7:43発東北新幹線・はやぶさ10号・東京行へ乗車しました。

(東北・北海道新幹線「はやぶさ」H5系)
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盛岡駅のホームで撮影

 写真は盛岡駅での「はやぶさ10号」です。

 東海道・山陽新幹線のN700系などに比べ,先端が長細い形になっています。

 東北・北海道新幹線の「はやぶさ」に使われる車両は,主にJR東日本所有の「E5系」とJR北海道所有の「H5系」の2種類があるのですが,そのほとんどはJR東日本の「E5系」車両です。

 一方のJR北海道の「H5系」車両は,2018年現在,実質2編成しか運用されていないため(つまり2本の列車が新函館北斗駅と東京駅間を往復しているのみのため),「H5系」のはやぶさはとてもレアな列車なのです。

(東北・北海道新幹線「はやぶさ」H5系(シンボルマーク))
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盛岡駅のホームで撮影

 E5系とよく似ているのですが,車体中央の帯がライラック,ルピナス,ラベンダーを想起させる「採香パープル」で,シンボルマークも北海道の地形がモチーフとされています。

 それでは,車内へどうぞ。


東北・北海道新幹線車内で「ストーブ弁当」を味わう

 新幹線の席の後方にある机を手前に出し,津軽鉄道の「ストーブ弁当」を置きました。

(津軽鉄道「ストーブ弁当」(包装))
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 竹かご箱の弁当で,包装紙にはレトロなダルマストーブが描かれています。

 包装紙の裏には,「ストーブ弁当」の説明書きがあり,出来る限り地元の食材を使って,愛情込めて作った手作り弁当であることや,津軽鉄道を舞台にしたマンガ「ちゃぺ!津軽鉄道四季ものがたり」の中でもこの「ストーブ弁当」が紹介されていることなどが紹介されています。

 私は津軽五所川原駅の売店で「ストーブ弁当」を購入した際,お店の方からこのマンガ「ちゃぺ!津軽鉄道四季ものがたり」のお話を伺いました。

(「ちゃぺ!津軽鉄道四季ものがたり」表紙)
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 津軽五所川原駅売店で購入した「ちゃぺ!津軽鉄道四季ものがたり」です。

 主人公のちゃぺ(津軽の愛称で「子猫」)ちゃんとストーブ列車が描かれています。

(「ちゃぺ!津軽鉄道四季ものがたり」「ストーブ列車」記事)
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(作/川上健一・画/ひきの真二「ちゃぺ!津軽鉄道四季ものがたり」小学館ビッグコミックス p142-143を引用)

 本には「ストーブ列車」と「ストーブ弁当」の紹介記事もあります。

 津軽鉄道のウェブページによると,そもそも「ストーブ弁当」は,小学館の関係者が津軽鉄道を盛り上げる企画の一環として販売されたものなのだそうです。

 「ストーブ列車」と「ストーブ弁当」について知識を得た上で,「ストーブ弁当」の箱を開けてみましょう。

(津軽鉄道「ストーブ弁当」)
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 写真左上から時計回りに,若生おにぎり,赤カブの漬物,フキとニシンの煮物,レンコンはさみ揚げ,右上角が鮭のハラス,海老フライ,ホタテの煮物,里芋黒ゴマ和え,人参とゴボウの煮物,松前漬け,そして梅干とスルメイカのおにぎりです。

「若生(わかおい)おにぎり」
 ごはんに1年ものの薄くて柔らかい昆布を巻いて作られたおにぎりです。
 海苔の代わりに昆布を使った,津軽ならではの食べ物です。

「赤カブの漬物」
 津軽地方には皮も果肉も赤いカブが漬物にされています。

「フキとニシンの煮物」
 フキ・ニシンは津軽ならではの食材です。

「レンコンはさみ揚げ」
 レンコンに海老のすり身をはさんで揚げた天ぷらです。

「鮭のハラス」
 ハラスは鮭の腹の部分のことです。
 脂ののったハラスの塩焼きです。

「海老フライ」
 フライの衣にあられが使われており,津軽地方の「つぶ雪」が表現されています。

「ホタテの煮物」
 青森はホタテの生産量が全国トップクラスで,ホタテ料理もたくさんあります。

「里芋黒ゴマ和え」
 だしで煮た里芋に黒ゴマがまぶされています。
 これは「ストーブ弁当」の石炭に見立てたおかずとなっています。

「人参とゴボウの煮物」
 全国出荷量で青森の人参は第4位,ゴボウは全国1位となっており,ともに青森で多く出荷されています。
 青森の人参と言えば,私は「リゾートしらかみ」に乗車した際に知った深浦町の「ふかうら雪人参」を思い出します。

「松前漬け」
 松前漬けは北海道の郷土料理ですが,数の子・昆布・スルメイカを使った料理は青森でもよく食べられています。
 青森には松前漬けに大根の漬物などを混ぜた「つがる漬」,「ねぶた漬」という料理もあるようです。

「梅干とスルメイカのおにぎり」
 「ストーブ列車」で焼くスルメイカや松前漬けも含め,スルメイカがよく登場しますが,青森ではそれだけ馴染み深い食材なのでしょうね。
 梅干の酸味とスルメイカの旨味が加わることで,食が進みました。


 本来はのんびりと走る「ストーブ列車」の車内で味わうべき「ストーブ弁当」ですが,今回は日本最速の新幹線「はやぶさ」の車内で味わいました。

 こんな食べ方する人はなかなかいないと思います(笑)。

 素朴で都会の弁当とは一線を画した感がありますが,都会ではなかなか味わえないような贅沢な津軽の海の幸・山の幸がたくさん詰められていて,津軽のふるさとの味を堪能することができました。

 JR五能線経由で五所川原,弘前,青森と駆け足で回り,青森滞在は1泊2日とわずかなものでしたが,その数々の思い出がこの弁当に詰められているような気がしました。

 かの太宰治も,これと同じような弁当を持たせてもらって青森から上京したのかも知れませんね。


まとめ

 「ストーブ弁当」を味わった後,車窓から東北の風景を眺めていると,あっと言う間に仙台駅に到着しました。

(東北・北海道新幹線E5系とH5系)
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仙台駅のホームで撮影

 仙台駅に停車する新幹線E5系(写真左奥,はやぶさ103号・盛岡行)とH5系(写真右手前,はやぶさ10号・東京行)です。

 よく似ていますが,ボディー側面のラインがE5系はピンク色(つつじピンク),H5系は紫色(彩香パープル)となっています。

 今回の北東北旅行は,東北新幹線,秋田新幹線,「リゾートしらかみ」,五能線,奥羽本線と鉄道を乗り継ぐ旅でもありましたが,今度機会があればぜひ津軽鉄道の列車にも乗り,車内で津軽鉄道の駅弁を味わってみたいです。

 津軽鉄道の駅弁は,今回御紹介した「ストーブ弁当」(12月~3月)のほかに,「さくら弁当」(4月~5月),「だざい弁当」(6月~8月),「いなほ弁当」(9月~11月)と四季折々に多彩な弁当が用意されています。

 津軽鉄道の旅やグルメを楽しむことは,津軽の風土や文化を知ることにつながることを実感しました。


<関連リンク>
 「津軽鉄道株式会社

<参考文献>
 作/川上健一・画/ひきの真二「ちゃぺ!津軽鉄道四季ものがたり」小学館ビッグコミックス
 作/やまさき十三・画/北見けんいち「釣りバカ日誌 82 津軽鉄道冬景色!?の巻」小学館ビッグコミックス

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2018年8月23日 (木)

神戸異人館・風見鶏の館の耳かき -兵庫県神戸市-

神戸異人館街のお土産店で見つけた風見鶏の館の耳かきです。

風見鶏の館は,ドイツ人貿易商ゴッドフリート・トーマス氏の邸宅として建てられた建物です。

この耳かき,実は屋根に肝心の風見鶏がないのですが(笑),レンガ造りの建物や庭は細部まで表現されています。

神戸異人館街は,新神戸駅からも三ノ宮(三宮)駅からも気軽に歩いて行ける距離にあり,近くにお土産店や外国料理の店も多いので,おすすめの観光地です。

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2018年8月17日 (金)

津軽鉄道食景色2 -若生おにぎり,中まで赤~いりんごジャム,干し餅,五農産米-

 津鉄汁セット,ストーブ列車石炭クッキーに続き,津軽鉄道と津軽鉄道沿線の食べ物を御紹介します。


若生おにぎり

 津軽鉄道本社屋1階の「コミュニティカフェ でる・そーれ」で「若生(わかおい)おにぎり」を購入しました。

 「若生おにぎり」は,ごはんを海苔の代わりに昆布で巻いたおにぎりで,津軽の郷土料理です。

 「若生」は1年ものの薄くて柔らかい昆布を言います。

 広げた若生の上にご飯をのせ,ご飯の端を若生で包み,パタンと二つ折りにして作られます。

(若生おにぎり)
Photo

 太宰治も若生おにぎりが好物で,夜食としていたようです。

(若生おにぎり(中身))
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 いただいてみると,昆布の程よいしょっぱさがご飯の味を引き立て,海の香りが口の中に広がる美味しいおにぎりでした。

 ちなみに若生おにぎりは食べる際にちょっとしたコツがいります。

 昆布の繊維方向を考えて噛まないと,昆布が噛み切れないのです。

(若生おにぎりの食べ方)
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(コミュニティカフェ でる・そーれ『What's?若生おにぎり』から引用(抜粋))

 昆布の繊維に平行になるよう,おにぎりを縦に持って噛み切る必要があります。

 再度「若生おにぎり(中身)」の写真を御覧いただければ,昆布の切れ目が繊維に沿ってまっすぐに切れているのがお分かりいただけると思います。

 海苔の代わりにやわらかい昆布を使っておにぎりを作るとは,これも1つの生活の知恵であり,立派な食文化ですね。


「中まで赤~いりんごジャム」

 「中まで赤~いりんごジャム」は,五所川原市特産のりんご「御所川原」で作られたジャムです。

 この「御所川原」は皮だけでなく,中まで赤いとても珍しいりんごです。

(「中まで赤~いりんごジャム」(包装))
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 箱上側の絵は中まで赤いりんご「御所川原」を輪切りにしたもので,りんごの皮だけでなく,中心部まで赤くなっていることがわかります。

(「中まで赤~いりんごジャム」)
Photo_5

 粗めに切ったりんごをシンプルに砂糖だけで煮詰めて作られたジャムです。

 果肉まで赤いので,ジャムもやさしい赤色をしています。

 いただいてみると,甘さは控え目で,その分りんごの酸味を強く感じました。

 中まで赤いのですが,酸味が強いりんごです。

 「御所川原」の素材の味を大切にした手作りのジャムです。


干し餅

 津軽鉄道「津軽五所川原駅」の売店で五所川原名物の干し餅が売られていました。

(干し餅(包装))
Photo_6

 何だか食べにくそうだと思ったのですが,お店の方から「そのままでも食べられますよ。」と教えていただき,購入してみました。

 餅にゴマ,バターが入っています。

 そのままいただいてみると,サクサクした軽いせんべいのような食感で,ほのかにバターの香りがし,黒ゴマがアクセントになっていました。

 こんがりと焼いたり,油で揚げて食べても美味しいようです。

 餅を凍らせた上で干して乾燥させた保存食で,高野豆腐とよく似ています。

 私はこの干し餅をいただいた時,全く同じだと思った食べ物がありました。

 このブログで御紹介した宇宙食「ライスケーキ(おもち)」です。

 宇宙食のライスケーキは,フリーズドライ製法なのですが,フリーズドライとは凍らせて干す(乾燥させる)ことなので,干し餅の製法と一緒です。

 それならと,宇宙食のライスケーキと同様,この干し餅をしばらく水に浸してからいただいてみると,予想どおり粘りのある餅に戻りました。

 昔ながらの製法が実は宇宙食の製法と一緒であることに感動しました。


「五農産米」

 「五農」は青森県立五所川原農林高等学校の通称で,「五農産米(ごのうざんまい)」は五農で栽培・収穫したお米のことです。

 津軽鉄道の駅に「五農校前駅」という駅があるのですが,こちらも五所川原農林高等学校前を略した駅名となっています。

(「五農産米」)
Photo_7

 米を炊いてごはんでいただきました。

(「五農産米」のごはん)
Photo_8

 ごはんがまばゆいばかりに輝いて見えました。

 ちなみにこの茶碗は…普段私が使っている茶碗です(笑)。

 ふっくらと仕上がり,適度な弾力を感じました。

 雑味がなく,ほのかな甘味があります。

 冷めても美味しかったので,弁当やおむすびにも適していると思いました。

 「五農産米」は,国際標準である「グローバルG.A.P(※)」の認証を受けています。
 ※G.A.PはGood(適正な),AGRICULTURAL(農業の),PRACTICES(実践)の略。農業生産の環境的,経済的及び社会的な持続性に向けた取組みを認証する制度。

 また,いずれも期間限定ですが,米菓メーカー「岩塚製菓」(新潟県長岡市)から「五農産米」を使ったせんべい(商品名「五農米でつくった味しらべ」)が販売されたり,ANAグループが「五農産米」を羽田・成田発国際線ファーストクラスの機内食(ごはん)に採用するなど,各界からも高い評価を得ています。


 今回は時間の都合で津軽鉄道には乗れなかったのですが,津軽鉄道のグルメは盛りだくさんで,とても楽しめました。

 青森へお越しの際はぜひ津軽鉄道や津軽鉄道沿線のグルメをお楽しみください。


<関連リンク>
 「津軽鉄道株式会社
 「コミュニティカフェ でる・そーれ
 「青森県立五所川原農林高等学校

<参考文献>
 永松 潔・高橋遠州「テツぼん 13」小学館ビッグコミックススペシャル

<関連記事>
 「津軽鉄道食景色1 -津鉄汁セット,ストーブ列車石炭クッキー-

2018年8月15日 (水)

津軽鉄道食景色1 -津鉄汁セット,ストーブ列車石炭クッキー-

津軽五所川原駅と津軽鉄道本社

 秋田駅から「リゾートしらかみ1号」に乗り,五所川原駅へ行きました。

 終点の青森駅までではなく五所川原駅で下車した理由は,津軽鉄道と「立佞武多の館(たちねぷたのやかた)」を見学するためです。

 津軽鉄道は鉄道ファンの間でも有名な鉄道で,ストーブ列車などのイベント列車の運行やオリジナルグッズの販売など魅力的な企画・イベントをたくさん手がけておられます。

 津軽鉄道「金木(かなぎ)駅」からは,太宰治の生家「斜陽館」なども観光でき,太宰治ファンにもおすすめの鉄道です。

 訪問当日は,列車に乗車できるほどの時間的余裕はなかったのですが,津軽鉄道の魅力の一端に触れたいと思い,JR「五所川原駅」に隣接する津軽鉄道「津軽五所川原駅」と津軽鉄道本社1階にある「コミュニティカフェ でる・そーれ」を訪ねました。

(津軽鉄道「津軽五所川原駅」と津軽鉄道本社)
1

 写真の左側にある建物が津軽鉄道本社,右側にある建物が津軽鉄道「津軽五所川原駅」です。

 津軽鉄道本社1階には「サン・じゃらっと」と呼ばれる地域交流施設があり,その中に飲食コーナー「コミュニティカフェ でる・そーれ」があります。


津鉄汁セット

 私は「コミュニティカフェ でる・そーれ」で津鉄汁セットをいただきました。

(津鉄汁セット)
Photo

 写真右下が津鉄汁で,手前がいなり寿司とおにぎり,写真左上から横にお茶,厚焼き玉子とふきの佃煮,野菜のゴマ和えです。

 メインの津鉄汁は,醤油仕立てのすまし汁で,長芋入りの丸いすいとん,青森シャモロック,人参,舞茸,ごぼう,白髪ねぎなど具だくさんです。

 大きなおにぎりの中には塩鮭がたっぷり入っていました。

 いなり寿司は酢飯に紅しょうがが混ぜられているため,ピンク色をしています。
 もち米も入っているので,つやつやしています。
 甘めの寿司飯をきめの細かいいなりで包み,くるみをのせた津軽特有のいなり寿司です。

 そして,注目すべきは箸入れです。

 「箸入れ」と太宰治の作品「走れメロス」をかけて「はしいれメロス」と記載されているのです(笑)。

 ちなみに,津軽鉄道の列車は「走れメロス号」で,過去には期間限定列車「人間失格号」も運行されたようです。

 津軽鉄道,面白い!


ストーブ列車石炭クッキー

 食事後,「コミュニティカフェ でる・そーれ」で販売されていたお土産を購入しました。

 何にしようか眺めたところ,ひと際目立っていたのが「ストーブ列車石炭クッキー」です。

 津軽鉄道では,冬の間,客車に石炭ストーブを設置した「ストーブ列車」が運行されており,乗客はこのストーブを囲んで暖をとったり,スルメを焼いて食べたりしながら冬の津軽を楽しむことができます。

 「ストーブ列車石炭クッキー」は,その「ストーブ列車」の燃料である石炭に似せたオリジナルクッキーです。

(ストーブ列車石炭クッキー(包装))
Photo_2

 モノクロのパッケージが石炭っぽさを演出しています。

(ストーブ列車石炭クッキー)
Photo_3

 見た目や形が石炭そっくりなクッキーです。

 ブラックココアが使われていることで真っ黒でほろ苦いクッキーに仕上がっています。

 売上の一部はストーブ列車の維持に役立てられているようです。

 「列車の中でストーブを焚く」,これはよく考えたらスゴイことで,津軽地方ならではの冬の風物詩と言えるでしょう。


 青森・五所川原へお越しの際はぜひ津軽鉄道と津軽鉄道グルメをお楽しみください。


<関連リンク>
 「津軽鉄道株式会社
 「コミュニティカフェ でる・そーれ

<参考文献>
 永松 潔・高橋遠州「テツぼん 13」小学館ビッグコミックススペシャル

<関連記事>
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2018年8月12日 (日)

スリランカ料理の特徴と主な料理 -デビルチキン,デビル・悪魔風と名のつく料理の意味-

スリランカの食文化

 スリランカはインドの南東に位置する島国です。

 周りが海に囲まれているため,日本と同じく魚介類の料理が多く,魚のカレーが代表的な料理の1つとなっています。

 地理的条件からみると,南インドに近いことから,南インド料理との共通点が多いと言えます。

 また,ヨーロッパや北西アフリカから中東,インド,東南アジア,東アジアを結ぶ海の商業ルート上に位置していることから,これらの国々の食文化の影響も受けています。

 さらに歴史的背景から,ポルトガル,オランダ,イギリスによる植民地時代があったため,これらの国々の食文化の影響も受けています。

 つまりスリランカの食文化は,スリランカ独自の食文化に幅広い様々な国の食文化が組み込まれて成り立っていると言えるのです。


デビルチキン

 スリランカ料理店で面白い名前の料理を見つけました。

 デビルチキンです。

(デビルチキン)
Photo

 鶏とトマトと野菜のチリソース炒めです。

 鶏肉,トマト,玉ねぎ,ピーマンなどを一口大のザク切りにし,甘辛いチリソースで炒めた料理です。

 今回味わった料理は,甘辛いというよりは甘酸っぱい味付けでした。

 見た目も味も中国料理の「酢豚」に近いと感じました。

 ただ,お店の人にお話を伺うと,酢は使っていないとのことでしたので,甘味や酸味は主にトマトによるものなのでしょう。

 デビルチキンと一緒にライスやパパダン,アチャールをいただきました。

(デビルチキンとジャスミンライス・パパダン・アチャール)
Photo_2

 写真右上の皿にライス,そして時計回りにパパダン,アチャール2種です。

 長細いチップスかパスタのような食べ物がパパダンです。

 パパダンは豆の粉末や小麦粉から作られるパリパリしたせんべいのような食べ物で,焼いたり油で揚げたりしてカレーなどと一緒に食べられます。

 インドのパパドとよく似ています。

 一方,アチャールは野菜や果物の漬物のことです。

 カレーの付合せとして食べられるもので,インドやネパールなどにも同名の漬物があります。

 写真のアチャールはターメリックで漬けた大根とオクラのアチャールです。

 これらの食べ物は,日本の食事で例えると,主菜につくご飯と漬物のようなイメージでしょう。


デビル・悪魔風と名のつく料理の意味

 「デビルチキン」とは何ともインパクトの強いネーミングですが,料理名に「デビル」,「悪魔風」,「ディアボラ風(イタリア料理)」などと名のつく料理は,次のいずれかに該当する場合だと思います。

 (1)味付けをチリソースなどで辛くしている料理
 (2)見た目が赤く燃え上がるような色をした料理
 (3)形がマントを広げた悪魔のように見える料理
 (4)仕上げに残酷な悪魔を想像させる焼き目を付けた料理

 今回の「デビルチキン」は主に(1)や(2)の意味で,イタリアの鶏料理の場合は主に(3)や(4)の意味でネーミングされています。


 どんな料理にも言えますが,作ったり味わったりする際,一歩踏み込んで,その料理の名前の意味や歴史的背景なども調べてみると,その料理の基本や本質をつかむ手助けとなり,やがて応用もきくようになると思います。


<関連記事>
 「ネパール料理の特徴と主な料理3 -アルアチャール・マルプア・チャイ-

2018年8月 9日 (木)

SLやまぐち号(ヘッドマーク)の耳かき -山口県山口市-

新山口駅(山口県)と津和野駅(島根県)間を走る蒸気機関車「SLやまぐち号」のヘッドマークの耳かきです。

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「C571」は「C57形蒸気機関車(愛称:貴婦人)」の第1号機という意味です。

ヘッドマークの鳥は「ナベツル」で,山口県の県鳥でもあります。

この耳かきはJR西日本関連グッズとして新大阪駅で売られていたものです。

お土産としても喜ばれると思うので,もっといろんなヘッドマークの耳かきを販売してもらいたいです。

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