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2014年4月 6日 (日)

あずきの研究6 -小豆とささげの違い-

○あずきの疑問
 「小豆とよく似たささげはどんな豆なのか」

 実際にささげと普通小豆を購入してみました。

 ささげは煮崩れしないため赤飯などに用いられるとの話なので,煮崩れしやすい普通小豆と対照実験をしてみます。

 今回購入したささげは,岡山県産の「備中だるまささげ」です。140gで745円。別の店で中国産のささげが安く売られていましたが,せっかくなので購入してみました。ちなみに小豆は150gで225円で,大納言でもこの小豆より少し高いぐらいです。つまり,今回の小豆とささげでは,3.5倍以上の価格差があることになり,国産の値段のみで比較すれば,普通小豆<大納言小豆<ささげとなるようです。

 小豆です。つやがある明るい赤です。
Photo_2


 ささげです。つやがなく,くすんだ赤で,目のふちが黒くなっています。豆の端が少し角ばっていることから,漢字では「大角豆」と表記されます。
Photo_3

 実験は,鍋にささげ(小豆)と水を入れ,時間を計測しながら茹で上がる状態をみるというもので,いずれの豆も,豆,水の量,火加減は同条件で行いました。

○15分後 
 小豆…歯応えがあるが食べられる。
 ささげ…まだ少し生。かなり固い。

 煮汁のにおいは小豆もささげも大して変わりはなく,茹でた色もほぼ一緒です。

○30分後
 小豆…十分食べられる固さになる。
 ささげ…少し歯応え残るが,食べられる固さ。

 豆の味もよく似ており,驚くほどの差はありませんでした。

○45分後
 小豆…煮崩れが生じ,かなりやわらかくなる。
45

 ささげ…食べられるやわらかさになるが煮崩れはなし。
45_3


 この時点でそれぞれ,火を止め,砂糖と水あめで甘みを加え,あんこを作りました。

 さて,結果は…

 小豆は,煮崩れが生じたこともあり,あんこに近いものができました。
Photo_4

 一方のささげは…豆をつぶすのに力が入り,つぶせても,あんこ特有の粘りが十分に出ないのです。もちろん,茹で時間や作り方にもよるでしょうが,ほぼ同条件でも,小豆は粘りがあり,ささげはパサパサして,単に「豆をつぶした」だけの状態になりました。ここに有意な差がみられました。
(見た目はあんこだが,食感はパサパサで,小豆とは全く異なる)
Photo_5

 十分な粘りが出ず,まとまらないならば,加工して和菓子を作ることが難しくなります。そして何と言っても,大事なのが日本人の好むテクスチャ(食感)である「粘り」に欠けるということです。海外の菓子で用いられる乳製品などの油脂を用いることのなかった日本人は,それに代わる粘り気(重厚さ)を,米や小豆に求めたのだと思います。

 日本人の求める「粘り」を持った小豆に,「うまい」の語源となった「甘い」砂糖を組み合わせ,砂糖の作用で更に粘りのある小豆の「あんこ」が出来上がっているのです。これに更に粘りのあるもち米を加えると,あん餅やおはぎなどが出来上がり,こうした菓子を日本人が好む理由も説明出来ます。

 一方,お祝い事の赤飯などには,小豆では皮が破れ,切腹につながると連想されることから,関東を中心にささげが用いられています。ただ,この場合でも,もち米自体に粘りがあることから,やはり「粘り」のテクスチャは日本の食文化にとって重要な要素であることには間違いないでしょう。

 結論は,ささげは煮崩れしにくい特徴を生かし,赤飯などの料理として,小豆は煮崩れして粘りが出る特徴を生かし,お菓子として,それぞれ用いるのが,最適な使い方だということです。

 「あずきの研究1 -なぜ料理にはあまり使われないのか-」で述べた結論とは逆に,インターネットでささげのレシピを検索してみると,料理のおかずばかり紹介されています。見た目はよく似ているのに,用途はかなり違うことがレシピでも立証されていることがよく理解できます。

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食文化事例研究」カテゴリの記事

コメント

とても納得しました。記事ありがとうございます。

記事の御感想をいただき,ありがとうございます。
この記事は,当ブログの記事の中でも人気のある記事となっていますが,それだけ疑問に思っておられる方も多いのでしょうね。
かつて日本では,油脂をあまり用いなかったことに触れましたが,これは他の国々と比較すると,とても珍しい食文化だと思います。
せっかく御覧いただいている以上,何か1つでもお役に立つ話があればという思いで記事を書いております。
また興味を持たれた記事があれば,御覧いただければ幸いです。
コメントも大歓迎です。
引き続き,よろしくお願い申し上げます。
コウジ菌

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