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2014年9月

2014年9月28日 (日)

鯨の食文化3 -捕鯨問題を文化人類学的視点から考える-

(捕鯨の文化人類学的アプローチ)
 鯨肉は,食用とするか否か,必要としているか否かで,反応が白黒はっきり分かれる食べ物だと思います。その分,鯨の食文化を有したり,鯨を利用している人々と,鯨の食文化がなく,鯨を必要ともしてない人々との意見の対立は,国家レベルでの論争に発展するほど激しくなるのだと思います。

 鯨の食文化について考える際,その根幹となる「文化」の持つ性格について理解しようとする姿勢が必要だと思います。

(「文化」に制約された「食べ物」)
 食べられる物の概念を広げ,人間が食べることが可能な物(食べても生命に害のない物)を考えると,極端な話,道端の草木,犬・猫,ゴキブリそして人間自身も含めて無数に存在することとなります。その中で,私達はその土地の文化・慣習にそって「食べ物」と認めたものだけを限定して食べていると言えます。

 つまり,「食べ物」は「食べられる物」のほんの一部でしかなく,「食べ物」は,個々の人間集団によって築かれた「文化」による制約を大きく受けていることをまず理解しておく必要があると思います。

(他者への「文化」の押し付け)
 そして,この「文化」による制約を受けている顕著な例が,鯨だと私は思うのです。
 捕鯨推進派と捕鯨反対派の論争は,実は突き詰めて考えれば,それぞれがそれぞれの背景にある「文化」に制約を受けており,その自分達の「文化」を相手に無理矢理にでも理解させようとしていることが発端だと思います。

(自己集団中心主義(エスノセントリズム))
 こうした行動を「自己集団中心主義(エスノセントリズム)」と言います。
 自分達の価値観のみで優劣を付け,自らの集団の行いや他の自分達より上位にあると思う集団の行いだけを「文化」として認め,他の理解しえない集団,下位にあると思う集団の行いは文化ではなく「野蛮」な行いとして認めないという考えです。どの集団(民族)にもみられるもので,異文化間の対立の原因となります。

 鯨で言えば,次のようになると思います。

○捕鯨推進派の主張…鯨を余すところなく食べ,骨や鬚まで無駄なく利用し,命を提供してくれた鯨に対して供養までしている。これら全てを含んでの「文化」なのだ。捕鯨反対派は,その「文化」を理解・尊重しようという姿勢がないどころか,一方的に科学的根拠に乏しい理由をつけては,我々の貴重な「文化」を侵害するという「野蛮」な行為をしている。

(鯨の碑)
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(鯨の碑の説明文)
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○捕鯨反対派の主張…鯨はかつては鯨油としての利用価値はあったが,そもそも「食べ物」ではない。知性の高い鯨を食べること自体が「野蛮」な行為である。環境保護や動物愛護の観点からも,捕鯨は禁止すべきだ。鯨を食べなくても,ほかにもたくさん食べ物はあるだろう。

(「文化的嗜好」と世界の食料問題)
 同じ文化を持つ者同士でも,特に食に関する考えは,個人的な好き嫌いもあり,多少の見解の相違はあると思います。鯨の場合でも,積極的に捕鯨を賛成し,鯨の食文化の保護を訴える人もいれば,逆に,そこまで鯨にこだわらなくても,ほかに美味しい物はいくらでもあるではないかという意見を持った人もいるでしょう。

 ただ,こうした一見個人的な問題に思える嗜好も,実はそれぞれの文化によって大まかな傾向があることは確かです。例えば,日本の魚食文化によって育まれた「魚好き」という「文化的嗜好」は,昨今の回転寿司ブームなどもあり,世界中に魚を探し求める結果となっています。そして,このような「文化的嗜好」が過熱すると,資源の乱獲に至り,世界的な食料問題に発展することもあり得るのです。

 動物愛護や資源保護の観点から捕鯨を反対する声もありますが,実はこうした各国の「文化的嗜好」も踏まえた上で,何が本当に減少していて,何を優先的に資源保護をする必要があるのか,もっと世界規模の視点で,公平・公正に優先順位をつけて,資源保護・環境問題を考える必要もあると思います。

(海の生き物たちと関門橋)
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(「文化」に求められる認識)
 食文化を含めた文化は,比較して優劣を付けるべきものではないという認識。そして,相手の文化を完全に理解することは,その文化で育ってない人間にはとても難しいことだという認識が必要だと思います。

その上で,

○自分の文化を相手に押し付けない。
○相手の文化を否定しない。
○できるだけ幅広い視野を持ち,相手の文化を理解し,尊重できるよう努める。

という姿勢が大切だと思います。

(まとめ)
 日本の捕鯨をめぐっては,捕鯨反対派が,日本に対し,自己集団中心主義(エスノセントリズム)的な見解から干渉している一方,日本は,調査捕鯨などの現体制維持に必死で,鯨の食文化の利点を国内外に十分アピールすることには,あまり対策がなされていないのが現状だと思います。

 捕鯨推進派と捕鯨反対派両者に,「文化」の持つ性格を理解し,「文化的嗜好」を踏まえた公平・公正な資源配分や食料問題の解決に取り組もうとする人が今後増えていけば,多少なりとも,流れは変わってくるようにも思います。

 また,鯨の食文化を本気で守りたいならば,一握りの人間・団体で解決させようとするのではなく,国内外に鯨食のファンを増やし,需要を拡大させていくことも,1つの方策ではないでしょうか。

(鯨の碑と関門橋)
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<参考文献>
西江雅之(文化人類学・言語学)『「食」の課外授業」』平凡社新書
石毛直道(文化人類学・民族学)『石毛直道 食の文化を語る』ドメス出版
小泉武夫(醸造学・発酵学・食文化論)『食べるということ-民族と食の文化-』NHK出版
森枝卓士(ジャーナリスト・食文化論)『食べてはいけない!』白水社

2014年9月26日 (金)

ヤマガラの耳かき -広島県廿日市市-

 宮島とは直接関係ありませんが,スタンド型で,鳥そのものの耳かきは珍しいので購入しました。
 木彫りの上に,絵の具で細かくきれいに色付けされており,手作り感があふれています。
 ヤマガラの卵が耳かきになっており,机の上などに置いておけば,装飾と実用の両方を兼ねると思います。
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2014年9月23日 (火)

日本食研食文化博物館見学2 -レストラン「食文化」-

 今回は,レストラン「食文化」でいただいた,「今週の世界料理」の内容を御紹介します。

(案内看板)
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 決められたテーブルに食事を御用意いただきました。テーブルには,私の名前が書かれたプレートも御用意いただいており,嬉しかったです。

(「今週の世界料理」)
 今回の「今週の世界料理」はベトナム料理でした。
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 生春巻き,茶巾包み,チキンココナッツ煮,牛肉のフォーです。

 生春巻きは,具に海老やチャーシューなどが入っており,もちもちした皮と,具が調和して,美味しかったです。つけだれは醤油ベースでした。

 茶巾包みはオムライス風のご飯で,かけられたスイートチリソースが甘辛いアクセントとなり,ご飯がすすみました。

 チキンココナッツ煮は,鶏肉をココナッツミルクで煮込んだ料理で,チンゲン菜も添えられており,中国料理の影響を受けているベトナム料理の特徴がよく表現された料理だと思いました。

 フォーは,生春巻きと同様,ベトナム料理の代表格です。具が牛肉で,麺が小麦粉の麺だったので,肉うどんのような,日本人に親しみやすいフォーでした。

(レストラン食文化)
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 本来は社員食堂なので,社員の皆さんの食事風景も見学することができ,それも良かったです。利用率を質問してみると,半数以上の社員が利用しているのではないかとのお話で,この利用率の高さには驚きました。また,食券売場がなく,どうやって利用されているのかも伺いましたが,各自事前にパソコンから注文し,支払いは給与天引きとのお話で,このシステムにも驚きました。

 レストランのネーミング「食文化」もいいですね。私が社員なら毎日利用しそうです。
 同様に,日本食研グループのホテル「ケーオーホテル」のフレンチレストラン「Ban San Kan(de Provence)」((プロバンス風の)晩餐館)というのも,最高のフランス料理を提供するという,日本食研グループの誇りと意気込みを感じるネーミングだと思います。フランス人には,この「晩餐館」が「25歳」という意味の「vingt-cinq ans(ヴァンサンカン)」と聞こえるかも知れませんが…(笑)。

 博物館や工場を見学するだけでなく,実際に世界の料理を味わうことによっても食文化を学ぶことが出来るのは,とても良いアイデアだと思いました。

2014年9月20日 (土)

雲州そろばんの耳かき -島根県奥出雲町-

 道の駅奥出雲おろちループで購入しました。
 奥出雲町(旧横田町)の「雲州そろばん」は,兵庫県小野市の「播州そろばん」と並び,日本有数の生産高を誇っています。町の活性化や国際化を目的に,タイなどで,そろばんの指導・普及を通じた国際協力も行われています。
 お土産としてそろばんが売られている中,そろばんの珠で作られた耳かきを見つけました。そろばんの耳かきまであるとは思ってなかっただけに,嬉しい発見でした。
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2014年9月15日 (月)

日本食研食文化博物館見学1 -博物館・工場見学-

 夏休みを利用し,以前からとても興味のあった日本食研食文化博物館を見学させていただきました。

(事前予約)
 予約時に,見学コース(食文化博物館コース[3時間半]か宮殿コース[1時間15分])と昼食のメニュー(今週の世界料理,料理長おすすめ,日替りランチなど)を決めておく必要があるのですが,私は食文化を学ぶという大きな目的があるため,迷わず「食文化博物館コース」,昼食は「今週の世界料理」でお願いしました。

(KO宮殿工場・宮殿食文化博物館)
 当日,本社ビルで受付を済ませ,午前中はオーストリア・ウィーンのベルベデーレ宮殿を模して作られたKO宮殿工場と宮殿食文化博物館を見学しました。

(KO宮殿工場・宮殿食文化博物館外観)
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 ホールでは,アルプホルンを吹く「バンコ」(日本食研のキャラクター)が出迎えてくれました。
(ホルンバンコ)
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 工場や博物館内は写真撮影できないため,画像では御紹介できませんが,基本的に正面の一部が博物館,奥の大部分が吹き抜けの工場(正面向かって右が粉体工場,左が液体工場)となっています。粉体工場では,唐揚げ粉などブレンドされた各種粉末調味料が,液体工場では焼肉のたれ「晩餐館」や業務用のたれなど各種液体調味料が製造されている様子が見学できました。

 「宮殿食文化博物館」では,ウィーンのハプスブルク家を中心にした宮廷食文化の紹介(宮廷料理の再現,食器,絵画等)や,世界三大香辛料(コショウ,クローブ,ナツメグ)の説明,世界の調味料や王室御用達,国際儀礼の展示などを見学することができます。

 なぜ宮殿の工場を作られたのか,以前から疑問に思っていましたが,職員の方から,「珍しい食材は宮殿に集まり,晩餐館で食文化が向上されたことによります。」と教えていただきました。

(ベルベデーレ宮殿とハプスブルク家)
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(マーブルホール)
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(マリーアントワネットのロイヤルダイニングルーム)
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(レストラン食文化)
 昼食は,社員食堂としても利用されている「レストラン食文化」でいただきました。私は「今週の世界料理」で,ベトナム料理をいただきました。明るく広いレストランでした。

(世界ハム・ソーセージ博物館)
 ハム研究工場と併設された世界ハム・ソーセージ博物館を見学しました。日本食研はハム・ソーセージを製造することを目的に,ハム・ソーセージの製造に必要な塩せき剤や調味料,機械の販売から事業を拡大された経緯もあり,ハム・ソーセージに関する展示も豊富です。ドイツ最新鋭の機械やドイツ人マイスター直伝の技術の成果を見学することが出来ます。

(世界食文化博物館)
 私が以前から一番興味があったのが,この世界食文化博物館です。

「食文化の始まりと変遷」
 世界四大主食「米」,「麦」,「とうもろこし」,「イモ」の伝播をパネルで紹介されていたり,「火」との出会いから始まり,四大文明を経て,食文化が形成される様子を映像で学習することが出来ました。
○人類は「共食(皆で,限りある食物を分かち合って食べる)」をする動物である。
○フランス料理は鼻で味わい,中国料理は舌で味わい,日本料理は目で味わう
というメッセージが印象的でした。

「食文化世界旅行」
 世界各国(99か国・196種)の料理が,地域別に食品サンプルで展示・紹介されています。このサンプルは1皿,数万円~数十万円し,独自に注文されたと伺いましたが,それ相当の価値があると思います。日本の赤飯そっくりのキューバのコングリという米料理など,初めて知った料理も多く,1皿ずつ,興味深く見学しました。それぞれの料理の説明書きが書かれたクリアファイルがありましたが,その原稿のコピーをいただけたらとか,このコーナーだけずっと見学させていただけたらと思うほど,内容が充実し,私が一番興味を持ったコーナーでした。

(世界の料理サンプルの展示:「総合ガイドブック」から抜粋)
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 このほか,最先端のデジタル技術で当時描かれた絵を再現した,レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」や,世界の代表的な食材,食事道具なども展示されていました。

(日本食研歴史館・日本食研商品展示館)
 「日本食研歴史館」では,映像や写真,展示物で1971年創業の日本食研の歩みを学ぶことができました。映像は,スメタナの「モルダウ」の曲と共に会社の歩みが紹介され,エルガーの「威風堂々」の曲で現在を迎える,一大ストーリーとなっています。社内での御縁をサポートする「社内恋愛神社」もありました。

 「日本食研商品展示館」では,実際の商品が各部門別に展示されていました。焼肉のたれなどお馴染みですが,実際には,唐揚げ粉など業務用商品の割合が大半を占めるとのことで,少し驚きました。外食・中食の様々な料理に活躍しているのだと思います。

 最後にロビーで自社商品のお土産をいただき,食文化博物館コースを終了しました。

 とても充実した内容で,興味の尽きない私は,個人的にもっとじっくり見学させていただけたらとも思いましたが,また機会があれば訪問させていただくこととし,職員の方にお礼を述べて,見学を終了しました。

(さらばバンコちゃん,また会う日まで)
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(ケーオーホテル)
 せっかくの機会なので,日本食研グループのホテル「ケーオーホテル」にも足を運びました。南仏プロバンスをイメージしたオーベルジュとなっています。

(ケーオーホテルの外観)
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 ティーラウンジ「アテネ」でコーヒーを飲み,しばしゆっくりとした時間を過ごしました。このホテルでフランス料理をいただくのもいいなあと思いつつ,帰路につきました。

 とても有意義な1日でした。

2014年9月11日 (木)

韓国・朝鮮料理の特徴と主な料理2 -秋夕(チュソク)の松餅(ソンピョン)-

 「秋夕(チュソク)」は,朝鮮半島において旧暦の8月15日を示す言葉で,収穫を祝い,先祖に感謝するとても大切な日とされています。

 その秋夕に欠かせない食べ物が「松餅(ソンピョン)」です。

 松餅は,米粉を餅にし,中にゴマの餡などを入れて,松の葉で蒸して作られます。
 松の葉が使われるのは,香りづけのほかに,殺菌効果(日持ちをよくする効果)や尖った松の葉に魔除けの意味も込められているようです。

 この松餅なる食べ物。一体どんな味,香りがするのか,興味を持ち,一度食べてみたいと思うようになりました。

 秋夕は,日本では十五夜のお月見の時期です。この時期なら,韓国食材店や飲食店で売られているのではないかと,5~6軒,電話で問い合わせたり,店を訪ねたりしましたが,見つけることができませんでした。

 しかしながら,どうしてもあきらめきれず,ならば自分で作ってみようと思いました。松の香りがする餅を食べることが目的なので,餅は市販の月見団子(串団子)で代用し,松の葉は山で採ってくることとしました。

 松葉を採りに,車で山へ出掛けてみようと自宅の外に出た時,何と自宅アパートの庭に松の木が植えられているのを発見しました。ラッキーでした。この松葉を少しだけいただくこととしました。これぞまさしく,正真正銘「地産地消」です!

 そして,いよいよ実験開始です。

 脚付きのゴム製蒸し目皿を水を張った鍋にセットし,その蒸し目皿の上によく洗った松葉を敷き,松葉の上に1つづつ団子を並べ,蒸すことにしました。

(蒸す前の様子)
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約15分間蒸しました。蒸し上がった時の様子です。

(蒸し上がりの様子)
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 蒸したので,団子がとても艶やかになっています。松葉の蒸されてすっかり変色しています。肝心の香りですが,期待したほどの松の香りはありませんでした。

 皿の上に生の松葉を敷き,その上に蒸した団子をのせて松餅風団子の出来上がりです。

(松餅風団子)
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 実際に食べてみると,かすかに松の香りがしました。ただ,私の調理法に問題があるのか,期待が大きすぎたのか,想像していたほどの香りは付いていませんでした。
 もしかすると,松葉を使う大きな理由は,蒸す際に餅がくっつかないためや,日持ちをよくするためで,香り付けは副産物のようなものかもしれないとも思いました。

 また,ゴマの風味も大切だと思い,団子の一部は,ストックしている練りゴマをつけて食べてみましたが,ここまでくると,松の香りは全くせず,中国のゴマ団子「芝麻球」そっくりの風味になってしまいました。

(練りゴマ)
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 せっかくなので,よく洗った松葉と,蒸し上がった松葉も少し食べてみました。生葉も蒸した葉も,噛むと少し酸味を感じますが,特徴的な味はありませんでした。レモングラスと同様,繊維質が多く,噛みきることができないので,そのまま食べるのは少し無理があると思いました。

 韓国・朝鮮料理では,粥などで松の実もよく利用されますが,それだけ松は身近な植物であり,食べ物なのでしょう。

 日本で松と言えば,お城の松をイメージする方も多いと思いますが,お城に松が植えられたのは,景観のためだけでなく,いざという時,葉や皮が非常食となるという理由もあったようです。

 松を調理に利用したり,食用にするのは,まさに先人の知恵の結晶です。

 李氏朝鮮以降,儒教を尊ぶ朝鮮半島の人々にとって,秋夕に松餅を作り,食べることの意義は,こうした先祖の残してくれた素晴らしい知恵を学び,改めて先祖に感謝し,後世にその知恵を引き継ぐことにあるのではないかと思います。

2014年9月 7日 (日)

お月見 -月見団子と月餅-

 お月見は,主に旧暦の8月15日から16日の夜(十五夜)に行われる行事で,この夜の月は「中秋の名月」と呼ばれます。

 中国から伝わった祭事で,ススキを飾ったり,「月見団子」や「里芋」(芋名月とも呼ぶ地方もある),酒を供えて月を眺める風習があります。

 「月見団子」は月になぞらえて丸い形に作ります。当初は丸い里芋や豆類が供えられたようで,その後,米を使った団子が供えられるようになりました。「あずきの研究9 -小豆ともちの深い関係-」でも触れましたが,日本を含む東アジア・東南アジアでは,餅と行事食は密接に関わっており,その事例として月見団子を挙げることができます。

(月見団子)
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 中国では,「中秋節」として「月餅」(団円・一家団欒を表す「団月餅」とも呼ばれる)や西瓜(スイカ)を食べて幸福を祈ります。

(月餅)
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 中国の影響を受けた朝鮮半島でも,「秋夕(チュソク)」として松餅(ソンピョン,松葉蒸し餅)や酒を祖先に供える風習があります。秋夕の時期にソウルに旅行したところ,ソウルの人々は祝日で,皆故郷に帰省するので,観光に行っても休みばかりだったという経験があります。

 このほか,台湾やベトナムでもお祝いする風習があるようです。

2014年9月 5日 (金)

安来節人形(その2)の耳かき -島根県安来市-

 安来市内の土産物店で購入した耳かきです。
 安来節人形シリーズです。「安来節人形(その1)の耳かき -島根県安来市-」よりも以前に購入したもので,こちらの安来節人形がお兄さんにあたります。
 どちらもよく似ていますが,衣装に変化がみられます。
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2014年9月 1日 (月)

ロシア料理の特徴と主な料理2 -コース料理-

ロシア料理(コース)の事例です。

(ロシア料理の事例)

「ザクースカ(前菜)」

 前菜の盛合せです。ロシア漬物(きゅうり),鰯の酢漬け(エスカベッシュ),マッシュルームの天ぷら(フリット),骨付き羊肉の燻製,薫製サーモン,キャベツと玉ねぎのサラダ,チーズ,サラミ,玉ねぎの酢漬け,魚のフライ(酢漬け)です。
 概観すると,漬物や酢漬け,燻製などを中心に構成されていることがわかります。前菜なので,すぐ出せる食べ物だからという理由もあるでしょうが,これらは主に保存食料であり,冬が長く厳しいロシアの風土が生み出した,ロシア料理の特徴が凝縮された一品だと思います。前菜からボリュームがあるのも,ロシア料理ならではという感じがします。
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「ピロシキ」
 今回のピロシキは揚げられており,中の具は挽き肉,玉ねぎのみじん切り,春雨などでした。揚げ立て,あつあつを手でつまんで食べると美味しさも格別です。日本のカレーパンもピロシキからヒントを得て作られました。
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「ボルシチ」
 
今回のボルシチは,ざく切りにした大振りなじゃがいも,キャベツ,玉ねぎ,人参,牛肉など具だくさんで,トマトベースのスープに,仕上げにサワークリーム(スメタナ)がかけられていました。酸味のきいた黒パンと一緒に食べると美味しいと思います。
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「キエフスキー・カトレートゥイ(キエフ風カツレツ)」
 鶏肉の薄切りにバターを包み込んでパン粉で揚げたウクライナの伝統料理「キエフ風カツレツ」です。さっぱりとした胸肉と濃厚なバターがうまく調和しています。ソースはかけられておらず,バターがソースの役割を果たしています。アメリカンドッグのような形をしたボリュームのあるメイン料理です。
 店の説明書きには,「ロシアでは鶏が珍重されており,キエフ風カツレツのほかに,鶏の押し焼きのタバカも好まれる。」とありました。
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「アイスクリーム」
 バニラアイスクリームです。ロシアは乳製品が発達していて,アイスクリームは冬でも人気の食べ物のようです。
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「ロシアンティー(ロシア風紅茶)」
 ウォツカなどの酒を入れた苺ジャムが入った紅茶です。本場ロシアでは,ジャムをスプーンですくって舐めながら紅茶を飲むのが一般的なようです。飲んでみると,熱い紅茶にジャムの甘みと酒のアルコールで体がポカポカ温まり,ロシアの寒い気候に合う飲み物だと理解できました。
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 一皿ずつサービスされる「ロシア式サービス」(「ロシア料理の特徴と主な料理1 -アラカルト-」参照。)で,1人ゆっくりとディナーを楽しもう…と思っていましたが,食事の途中で,帰りの便の時間が迫っていることに気付き,無理をお願いして,メインからデザートまでを一度に出していただき,急いで食べて何とか間に合いました。ロシアの食文化を尊重してない行動ですね(笑)。次回は,もう少し時間に余裕をもたせて,ゆっくりと料理を味わいたいと反省しました。

(研究 -カツレツとウォツカの基礎知識-)
1 カツレツ(露:コトレータ,カトレートゥイ,仏:コートレット,英:カットレット)は,元来,骨付きの背肉やロース肉等の切身を少量の油で炒め焼きする料理である。

2 日本で天ぷらやフライと言えば,大量の油の中で調理されるディープ・ファット・フライング(deep fat frying)が中心だが,欧米では,少量の油で炒め焼きするシャロー・ファット・フライング(shallow fat frying)が中心である。

3 フランス料理で骨を抜いたカツレツの場合は,カツレツとは言わず,エスカロップと呼ばれる。

4 ウォツカはロシア語の「水(ヴァダー)」から転じた言葉。無臭・無色透明で,良質なアルコール分だけが求められる。徹底的に蒸留・濾過されるので,原料は小麦,大麦,じゃがいもなど,でんぷんであれば何でもよいとされる。

5 酒の蒸留器(アランビク)はモンゴルに支配された時代(いわゆる「タタールの軛(くびき)」)の影響を受けてイスラム商人からロシアに伝えられた。また,スミノフ(スミルノフ)が活性炭を用いた濾過法を考案したことで,クセのない良質なウォツカが生まれた。

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