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2015年1月12日 (月)

ロシア料理の特徴と主な料理3 -ライ麦パン・クワス・サモワール-

 日本ユーラシア協会広島支部の出店で,ライ麦パンやクワスなどが売られていたので購入しました。

(ライ麦パン)
 ロシアの伝統的なパンはライ麦パンです。精製された小麦から作られた白いパンに対して黒パンとも呼ばれています。ロシアのライ麦パンの特徴はそのずっしりとした重量感とライ麦のコクのある風味,そして独特の酸味です。食感はしっとりとしていて,ライ麦が詰まっているので噛み応えもあります。
 私はそのまま食べたり,クリームチーズなどを塗って,ライ麦本来の味を楽しみながらいただきました。
 ロシアでは,トーストやオープンサンドで食べられたり,ウオツカなどの酒のつまみにもなるようです。

(ライ麦パン「ロシアの黒パン」)
1

 このライ麦パンは秋田県北秋田市にある「ベーカリー サンドリヨン」で作られたものです。「ベーカリー サンドリヨン」はロシア本場の黒パンを製造・販売されている日本で数少ない貴重なパン屋さんです。

(クワス)
 ライ麦と麦芽を発酵させて作られた微炭酸・微アルコール飲料で,ロシア・東欧の国民的飲料となっています。家庭でも,お湯にライ麦パン(黒パン),砂糖,イースト,レーズンなどを入れて発酵させることで作ることが出来ます。
(「クワスの研究 -ライ麦パンからクワスを作る(前編)-」及び「クワスの研究 -ライ麦パンからクワスを作る(後編)-」に掲載。)

(クワス)
Photo_3

 売られていたクワスについて,ロシアの黒パンから作られたのかと伺ったところ,黒パンのパン粉から作られているとのことでした。このクワスは,アルコール飲料と言うよりは微炭酸の甘い黒パンジュースで,ライ麦の香りが楽しめる気軽な清涼飲料でした。

(サモワール)
 ロシアは,ヨーロッパの中で,イギリスに次いで茶を好む国です。
 そして,「ロシア人の行くところサモワールと茶がある」と言われるぐらい,サモワールはロシアの茶文化に欠かせない器具となっています。

(サモワール)
Photo_6

 サモワールは,湯沸し器と給茶器を合わせたような機能を備えており,かつては暖房機としても使われたようです。画像のサモワールは,ロシアンティーを販売するために用意されたもので,木炭式だと思います。
 中心部の筒の中に着火した木炭を入れ,周囲の水を沸かします。上部はティーポットになっており,茶葉と少量のお湯を入れておくと,下からお湯の蒸気で温められ,かなり濃い紅茶エキスができることになります。その紅茶エキスをカップに注ぎ,下で沸かしたお湯を注ぎ足して,適当な濃さに薄め,温かい紅茶を飲むという仕組みです。
 イギリス人と同様,紅茶好きのロシア人にとって,紅茶をいつでも自分の好きなように飲めるサモワールは,やはり必要不可欠だったのだろうと思います。

(研究)
○ライ麦パンの独特の酸味はサワー種(サワードウ)というパン種が発酵する際の乳酸によるもので,このサワー種が発酵する過程で発生する二酸化炭素によってパンが膨らむ。(ライ麦は「ペントザン」と呼ばれる吸水力の強い繊維質の一種が多く含まれており,グルテンの形成を妨げる要因となっている。また,小麦粉でんぷんに比べて低い温度で凝固するライ麦でんぷんは,「アミラーゼ(凝固したでんぷんを糖に分解する酵素)」の影響を受けやすく,パン作りに必要なでんぷんが糖に分解されやすい。その分,アミラーゼの活動を抑制するための酸を必要とするため,イースト菌のみを膨張剤としてライ麦パンを作るのは困難。)

○一方,クワスは,そのライ麦パンにイースト菌を加え,糖分をアルコールと炭酸に変えることで作られている。

○厳しい気候の中で得られるライ麦から,何とかしてライ麦パンを作り,そのライ麦パンから何とかしてアルコール飲料が作り出されている。限られた資源の中で,創意工夫によって生み出された食文化の一例と言える。

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コメント

ボロジンスキーを自分で焼いているものです。
本物を食べたことないで上出来かどうか判断できませんが・・・

ライ麦パンについてですが、

http://www.geocities.co.jp/Foodpia/6377/Brotland/Roggenmehl.html
ここによると、生地を酸性にしておかないと焼いた時に固まらないそうです。

なので、お酢とイースト菌でもライ麦パンは焼けます。
実際に発酵不足の時にイースト菌を混ぜることがあります。

またグルテンが少ないので、気泡が膨らみにくい→ふわふわのパンにならない。

ということだそうです。

ありがとうございます。

ボロジンスキーというライ麦パン,恥ずかしながらお話で初めて知りました。おかげさまで,新たな食を知るきっかけにもなりました。

ウェブページを拝読すると,ライ麦は小麦と比べ,大きく2つの特徴を理解しておく必要があるようですね。

「ペントザン」
非常に強い吸水力を持った繊維質。ライ麦パン独特の食感を持たせる反面,グルテンの形成を妨げる要因になる。

「アミラーゼ」
凝固したでんぷんを糖に分解する酵素。
小麦粉でんぷんに比べて低い温度で凝固するライ麦でんぷんは,このアミラーゼの影響を受けやすく,でんぷん質が少なくなるので,モチモチしたパンが焼きにくい。

まさに「ペントザンとアミラーゼを制する者はライ麦パンを制す」ですね。

また,「ドイツでは「ザワータイク」と呼ばれるサワー種が使われているが,レモン汁や酢の持つ酸によっても,アミラーゼの活動を抑制して,でんぷんを凝固させることができる。」というお話も興味深かったです。

これらの特徴をよく理解・研究され,実際にイースト菌や酢などを上手に使ってライ麦パンを作られているとのこと。とても説得力があるお話で,大変勉強になりました。

今回の記事では,ライ麦パンには主にサワー種が,クワスには主にイースト菌が使われていることを知り,これは面白いと思ったのでやや誇張した表現で記載しました。
ライ麦パンを作る際,イースト菌も使われることもあることを理解してなかったために,こうした記事になってしまい,失礼致しました。
記事を次のように修正してみました。

(修正前)
「(ライ麦は小麦のようにグルテンを十分に含んでないため,イースト菌が膨張剤として作用しない。つまりイースト菌からライ麦パンを作るのは困難。)」

(修正後)
「(ライ麦は「ペントザン」と呼ばれる吸水力の強い繊維質の一種が多く含まれており,グルテンの形成を妨げる要因となっている。また,小麦粉でんぷんに比べて低い温度で凝固するライ麦でんぷんは,「アミラーゼ(凝固したでんぷんを糖に分解する酵素)」の影響を受けやすく,パン作りに必要なでんぷんが糖に分解されやすい。その分,アミラーゼの活動を抑制するための酸を必要とするため,イースト菌のみを膨張剤としてライ麦パンを作るのは困難。)」


(修正前)
「(ライ麦パンでは使い物にならない)」

(修正後)
「(削除)」←申し訳ありませんでした…。

それにしてもボロジンスキー,美味しそうですね。私も食べてみたいです。

食材の特徴をきちんと理解しておくと,最低限何があればその料理が作れるのかがわかってきて,既存のレシピが必要なくなり,応用もきくようになるのではないかと思います。
ますますの御健闘をお祈り申し上げます。

コメントを投稿いただいたことで,より深みのある記事になりました。
心から感謝申し上げます。
コウジ菌

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