ケニア料理の特徴と主な料理3 -アフリカフレンドシップウィークのビリヤニ(後編)-
アフリカフレンドシップウィークの料理体験プログラムで,ケニア料理のビリヤニを作りました。
後編ではビリヤニの調理方法から御報告します。
※「ケニア料理の特徴と主な料理2 -アフリカフレンドシップウィークのビリヤニ(前編)-」も御参照ください。
調理方法
玉ねぎを除く全ての食材(下拵えした鶏肉,じゃがいも,ピーマン,ナス,人参,にんにく,しょうが)を大きな鍋に入れ,その上からトマト缶とヨーグルトを加え,炒めるような感じで,よく混ぜ合わせたのち,煮込みます。
(鍋に全ての食材を入れた様子)
鶏肉にゴマだれで下拵えされている様子が伺えます。
鶏肉の下拵えはあらかじめなされていたのですが,その方法も気になるところです。
(かき混ぜる様子)
3人で一斉にかきまぜています。大鍋だからできる技です(笑)。
(かき混ぜた後の様子)
野菜やトマト缶などから十分な水分が出るので,水を加える必要はありません。
一方,別に用意したフライパンに油をひき,切った玉ねぎを入れて,あめ色になるまでよく炒め,この炒めた玉ねぎも一緒に大きな鍋に入れて更に煮込みます。
(しばらく煮込み,玉ねぎを炒める様子)
あとは野菜などが柔らかくなるまで,30分~1時間ひたすら煮込みます。
じゃがいもや人参を大きめに切っている分,時間を要しました。
その間に,タイ米(ジャスミンライス)とサフラン(サフランを水に浸けたサフラン水)で,サフランライスを炊いておきます。
仕上げの調味は,塩のほかに,「ロイコ」というケニアでよく使われる調味料が用いられました。
原材料には,コリアンダー,シナモン,フェンネル,ターメリック,生姜,にんにく,クミン,メティシード(フェヌグリーク)などが表記されています。
(ロイコ外観)
ビーフフレーバーとあり,牛の絵が描かれています。
ビリヤニはインド料理として有名ですが,牛を神聖化しているインドでは,さすがにこのロイコは入れないでしょうね(笑)。
(ロイコの様子)
ケニアで幅広い料理に使われているシーズニングスパイスで,舐めてみたところ,タンドリーチキン用のスパイスに近いように思いました。
ガラムマサラで代用できそうだという意見もありました。
ロイコは日本では手に入れることが難しく,今回の「日本にある材料で簡単に作れる」というキャッチフレーズからちょっとかけ離れているのでは…と思索に耽るうちに,コトコト煮込まれたビリヤニが出来上がりました。
ビリヤニの実食
(ビリヤニ)
サフランライスと煮込んだシチューを皿に盛り,完成です。
具材の1つ1つが大きく,豪快な一品に仕上がりました。
具材といい,盛り付け方といい,カレーライスと雰囲気がよく似ています。
味は,トマトとヨーグルトの酸味が7割,炒めた玉ねぎや煮込んだ野菜から出た甘味が2割,スパイスの味が1割ぐらいで,酸味が強い素朴な野菜シチューに仕上がっていました。
そして…多分仕上げに塩を入れ忘れたのだと思いますが(笑),肝心の塩味がほとんどなかったため,私を含む多くの参加者が,後から塩を加えて食べていました。
塩を入れると酸味が和らいで全体の味がうまくまとまったように思います。
豪快さを味わう料理でもあり,材料をかなり大きめに切るようにアドバイスがあった理由がわかりました。
ケニア紅茶とエチオピアコーヒー
実食時,アイスのケニア紅茶とエチオピアコーヒーが振る舞われました。
(ケニア紅茶)
量が少ないので,どちらか1つだけとの制約があったのですが,私の隣に座っていた研究熱心な高校生くらいの女の子が「どっちも飲んでみたい」と悩んでいる様子でした。
そこで,私が「紅茶とコーヒーを1人分ずつもらって2人で飲み比べたらいいよ。」と提案し,1つずつもらってきました。
すると,彼女は「うまいうまい」とあっという間に紅茶もコーヒーも1人で全て飲みきってしまいました(笑)。
本当は,彼女と私で半分ずつにし,私もどんな味か飲み比べたいと思っていたのですが…。
ケニア紅茶とエチオピアコーヒーは幻に終わりました(笑)。
ンジョヤ・ダイアナ講師への質問
ビリヤニを煮込んでいる間,せっかくの機会なので,講師のンジョヤ・ダイアナさんに質問してみました。
(質問)
ケニアではトウモロコシや小麦粉が主食となっているイメージがありますが,米も食べられるのですか。
(回答)
確かにトウモロコシの粉で作る餅のような「ウガリ」はよく食べます。
ただ,主食が統一している訳ではなく,地域によって,メインとなる穀物が異なっています。私の出身地では主に米を食べています。
(質問)
ダイアナさんの出身地は海の近くですか。
(回答)
そうです。
アフリカで米が食べられているという話には意外な印象を持ちましたが,「ケニア料理の特徴と主な料理1 -ケニアの食文化-」でも取り上げたように,インド洋を舞台に,アラブ人がアフリカなどに米料理を広めたことも,ケニアをはじめとするアフリカで米が食べられている理由の1つではないかと思いました。
特に,ケニアでも海(インド洋)の近くであれば,なおさらそういう歴史的背景もあるのではないかと思いつつ,料理体験プログラムを終えました。
(パネル展示の絵)
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