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2015年11月10日 (火)

紅茶の研究4 -ラプサンスーチョン(正山小種)と茶葉のグレード(等級)-

ラプサンスーチョンとの出会い

 広島市内の紅茶専門店で,何か珍しい紅茶がないか尋ねたところ,「ラプサンスーチョンという中国の紅茶はいかがでしょう。独特の香りがあることから,好きな人とそうでない人に分かれますが…」とのお話がありました。

 店の方がここまで正直におっしゃるのなら,かなり個性の強い,どちらかと言えば「そうでない人」の方が圧倒的に多いだろうことは推測できますが,そう言われると勉強のためにも,余計に飲んでみたくなり,ラプサンスーチョンを注文しました。


ラプサンスーチョンの特徴

 お店の方が,ラプサンスーチョンの茶葉を見せてくださいました。
 黒い茶葉で,香りは中国の漢方薬か,正露丸のようにも感じました。
 普通にイメージする紅茶とは少しかけ離れていることから,好き嫌いが分かれるというお話も理解できるような気がしました。

 紅茶を持ってきていただいた際,お店の方から,「3分待ってからお飲みください。」と説明を受けたあとで,「この紅茶,正露丸の香りがしませんか」と聞かれ,人間,感じることは一緒なのだと改めて思いました(笑)。

 ポットの中の茶葉の様子です。

(ポットの中の茶葉の様子)
Pul_pul

 葉が厚く,短く,きつくよじられている様子がわかります。芽が含まれていないのも特徴です。

 十分に茶葉から抽出されるのを待って,ティーカップに注ぎました。

(ラプサンスーチョン)
Pul_pul_2

 キームン紅茶と同様,中国の紅茶らしい,濃い赤褐色をしています。
 漢方薬か正露丸のような,独特の薫香があります。
 この独特の香りは,茶葉を松葉でスモークされていることにも由来しているそうです。
 中国の紅茶らしく,烏龍茶にも似た奥深い味わいがあります。

 試しに,ミルクも入れて飲んでみましたが,いろんな風味が混ざって複雑な風味になるので,まずはストレートか砂糖だけで飲まれることをおすすめします。


茶葉のグレード(等級)と「スーチョン」

 ラプサンスーチョンの茶葉は,厚く,短く,きつくよじられています。
 中国の紅茶に多くみられるこのような茶葉は,「スーチョン」と呼ばれますが,このスーチョンは,ラプサンスーチョンの名前から付けられたものです。

 茶葉のグレード(等級)を一覧にまとめてみました。

(茶葉のグレード(等級))

「FOP(フラワリー・オレンジペコ)」
 芯芽(フラワリー)を多く含む茶葉の先端部分の茶葉

「OP(オレンジペコ)」
 やわらかな若い葉(1~2番目の葉)と芯芽が中心の茶葉

「P(ペコ)」
 2~3番目の茶葉を含み,オレンジペコより固く,短く太めによられている茶葉

「PS(ペコスーチョン)」
 3~4番目の茶葉を含み,ペコよりもさらに固く,太く短い茶葉

「S(スーチョン)」
 4~5番目の茶葉を含み,ペコスーチョンよりも丸みがあり,大きく固い茶葉

「B(ブロークン)」
 カットし,ふるいにかけた茶葉

「F(ファニングス)」
 ブロークンをふるい分けした時に落ちる小さな茶葉

「D(ダスト)」
 ファニングスよりも細かい,一番最後に残る茶葉

 以上のような分類となっていますが,その中にスーチョンも含まれていることがわかります。

 ちなみに,かつてのイギリスでは,輸入された中国紅茶の等級を,高級な順に「ペコ(白毫)」,「スーチョン(小種)」,「コングー(工夫)」,「ボヘア」と分類していましたが,ここでもスーチョンが登場しています。


武夷岩茶と正山小種

 ラプサンスーチョンはヨーロッパでの呼び名で,産地の中国では,「正山小種」(日本語読みで「せいざんしょうしゅ」)と呼ばれています。
 その正山小種は中国・福建省の「武夷岩茶」(日本語読みで「ぶいがんちゃ」)の茶葉で作られています。
 武夷岩茶からは,主に半発酵茶(烏龍茶,「青茶」(せいちゃ)に分類される)が作られますが,その発酵を進めると発酵茶(紅茶)となり,正山小種として流通することとなるのです。

 この話を踏まえると,ラプサンスーチョンが烏龍茶の風味に似ていることも理解できます。


「スーチョン」のグレードの茶葉が使われる理由

 ラプサンスーチョン(正山小種)の茶葉は,なぜ「スーチョン」の部分の茶葉しか使われないのでしょうか。
 これは標高が高く,低温な環境でも育つ「武夷岩茶」の茶葉の特性上,他の茶葉に比べて,新芽が出るのが遅く,スーチョンの部分が先に成長して,摘むのに適した状態になるためというのが理由のようです。

 紅茶について理解を深めようと思ったら,そのルーツである中国茶についても勉強する必要があるように思います。

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