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2015年12月20日 (日)

イギリス料理の特徴と主な料理3 -クリスマスプディングの謎に迫る(後編)-

クリスマスプディングを味わう

 購入したクリスマスプディングを取り出し,いただいてみることとしました。
 常温では脂肪分が多く,容易に容器から取り出せないため,湯せんで温めてから取り出します。

(クリスマスプディング(湯せん))
Photo

 今回購入したクリスマスプディングは,直径5~8cm,高さ5.5cmのプリンカップに似た容器で作られたものです。

 取り出して半分に切ってみました。

(クリスマスプディング)
Photo_2

 牛脂の割合が高いので,表面に光沢があります。

 小麦粉,砂糖,塩,香辛料(ナツメグ,シナモン,クローブなど)に牛脂を混ぜた生地にドライフルーツ(レーズン,プラムなど),りんご,人参,ナッツを加え,蒸してねかせることで作られています。
 より保存性を高めるため,洋酒(ブランデーなど)も入れられているように思います。

 見た目や味,香りはいわゆる「フルーツケーキ」と同じです。
 ただ,牛脂の割合がかなり高いので,食感はテリーヌ(パテ)に近いものがあります。

 人参が入っているのが珍しいですが,イギリスではすりおろした人参を生地に練り込んだ「キャロットケーキ」が昔から好まれており,甘味を増す効果もある人参をデザートに用いることはよくあるようです。
 人参は香辛料の香りと相まって,高麗人参のような味に仕上がっています。

 切ってそのまま食べるのもよいですが,ソースをかけて食べると,より本格的になります。

 このクリスマスプディングソースの作り方の説明書きが同梱されていました。


クリスマスプディングソース

(クリスマスプディングソースの作り方)
Photo_3
 英国食工房「Baps&Buns(バップス&バンズ)」による

 私はAのバター,砂糖,ブランデーで作るソースを作ることとしました。
 これらの材料をフライパンに入れて,火にかけ,液体のソースに仕上げました。

 薄く切ったクリスマスプディングにソースをかけた様子が次の画像です。

(クリスマスプディング(ソース添え))
Photo_5

 確かに,見た目も良くなりますし,バターの香りも加わって,より美味しくなりました。


クリスマスプディングを食べる際の注意点

 冬場にクリスマスプディングを食べる際は,油脂が多いこともあり,少し温めて食べるとよいのですが,電子レンジを使う際は,熱くなるほど温め過ぎないことがポイントとなります。
 温め過ぎると,油脂が溶けて原型を崩してしまいます。


まとめ

 クリスマスプディングは,かつてイギリスで「十二夜」(ここでは公現祭の前日の夜のこと)のお祝いとして食べられた特別な菓子でした。
 秋に収穫して保存しておいたドライフルーツやナッツ,めったに食べられない肉(その後の牛脂)を大変貴重な砂糖とともにパンの中に混ぜ込み,家族総出でおまじないをしながら作る,クリスマスシーズンにしか食べられないとっておきの御馳走だったことでしょう。

 イギリスのクリスマスプディングのほかにも,ドイツの「シュトレン」やフランスの「ブッシュ・ド・ノエル」,イタリアの「パネトーネ」など,ヨーロッパ各国でクリスマス菓子がみられますが,これらはみな,貴重な食材を利用した特別な食べ物という位置付けでは共通しています。

 同じ観点から,日本を含む東アジア・東南アジア各国で,正月やお祝い事の際に貴重なもち米を搗いて作られる「餅」も,ヨーロッパのクリスマス菓子と共通していると言えるでしょう。

 クリスマス菓子や餅などは,「日常生活ではできない手間暇をかけ,その地域の環境に応じた貴重な食材を使って作られる「特別な行事食」である」と結論付けることができます。

 Merry Christmas and Happy New Year!

(メモ)
十二夜(十二日祭)
 クリスマスから公現祭(1月6日,幼子イエスが東方の三博士から礼拝を受けたことを記念する日)までの期間のこと。公現祭の前日の夜という意味もある。
 欧米でクリスマスと新年のあいさつを一緒に行う根拠の1つと言えるだろう。

王様の菓子
 公現祭にちなんだ菓子は「王様の菓子」とも呼ばれる。この名前は,ケーキの中に豆や小さな陶器の人形を1つ入れておき,切り分けて当たった者がその時の王(女王)となって,パーティーの参加者にあれこれ命じることができるルールが設けられていることに由来するもので,クリスマスプディングが該当するほか,フランスの「ガレット・デ・ロワ」,ポルトガルの「ボーロ・レイ」などヨーロッパ各地に様々な名前で存在する。

参考文献
21世紀研究会『食の世界地図』文藝春秋

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コメント

私は、ただただ美味しい~っと言って食べるだけですが、
食の文化を追いかけて、何故、このような食べ物が生まれたのか、
食材にそれが使われているのには、理由が有って、なるほど!とか
以外~とか思いながら少しづつブログ記事を拝見しています。
これからも楽しみにしています。

食いしん坊倶楽部・海さん,いつもお世話になっております。

記事を御覧になって,何か1つでも御参考になることがあったなら,こんなに嬉しいことはありません。

食に関する記事を書いていると,人間が食べているものは,そこに住む環境に左右され,手に入る限られた食材を組み合わせ,何とか工夫することによって料理が作られていることに気付かされるのですが,そのことがわかると,面白いですよね。

私も「食いしん坊倶楽部活動記録」を拝読し,楽しませていただいてます。
いろんな写真や親しみのある文章で魅力的なブログに仕上がっていて,勉強になることも多いです。

年末でお忙しい中,コメントいただきありがとうございました。

コウジ菌

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