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2016年5月

2016年5月28日 (土)

神龍の耳かき -愛知県岡崎市-

岡崎公園内の観光みやげ店で購入しました。
刀のつばに「神龍」と刻まれています。
「神龍」が岡崎城や徳川家康と関係があるのか,お店の方に聞いたり,ネットで検索してみましたが,特に関係はないようです。
「神龍」という言葉や日本刀からイメージされる「東アジア」,「日本」を売りにした,外国人観光客がメインターゲットのお土産品だと思います。
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2016年5月19日 (木)

味噌の研究 -八丁味噌・愛知県岡崎市で豆味噌が盛んに作られてきた理由-

 東海地方を中心に育まれてきた豆味噌文化。

 徳川家康の出身地である愛知県岡崎市の八丁味噌は,そうした豆味噌の代表格とも言えるでしょう。

 今や「名古屋めし」に欠かせない食材の1つともなっている豆味噌について理解を深めるため,八丁味噌で有名な愛知県岡崎市を訪問しました。


豆味噌のブランド「八丁味噌」

 「八丁味噌」ブランドで豆味噌を製造しているのは,岡崎市八帖町にある「まるや八丁味噌」と「カクキュー八丁味噌」の2社のみです。

 八丁味噌の名称は,岡崎城から西へ八丁(約870m)の地で作られていることに由来します。

 名鉄名古屋本線の岡崎公園前駅や愛知環状鉄道の中岡崎駅からだと,すぐ目の前なので,一丁(約109m)あるかないかで味噌工場にたどり着くことができます。

(八丁蔵通り)
Photo

 今回の訪問で,まるや八丁味噌とカクキュー八丁味噌,両社の豆味噌関係施設を見学させていただきました。


八丁味噌の味噌蔵

 まるや八丁味噌の外観です。

(まるや八丁味噌外観)
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続いて,カクキュー八丁味噌の外観です。

(カクキュー八丁味噌外観)
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 両社はすぐ隣にあるので,一度に続けて2社の工場見学をすることも可能です。


八丁味噌の製造工程

 八丁味噌の特徴は,米や麦を用いず,大豆,塩,水,麹だけで作られることにあります。

 その製造工程を簡単に説明すると,大豆を蒸して丸めた味噌玉を作り,さらに麹をつけて豆麹(味噌麹)を作り,これに塩と水を加えて蔵で2~3年(「二夏二冬」)熟成させて出来上がるという流れになります。

(八丁味噌製造工程)
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 まるや八丁味噌に展示されていた製造工程です。

 八丁味噌だけでなく,米味噌をブレンドした「赤だし(味噌)」の製造工程も記載されていることから,赤だし(味噌)としての出荷量も多いのではないかと思います。


味噌玉と仕込み風景

(味噌玉,赤だし味噌,八丁味噌,大豆)
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 これは,まるや八丁味噌で用意されていた材料や製品の見本です。

 左上が味噌玉,左上が赤だし(味噌)と八丁味噌の袋詰め,左下が八丁味噌,右下が大豆となっています。

 味噌玉は手で丸めたぐらいの大きさでしたが,1つの桶に作る味噌の量(約6トン)を考えると,かなり小さいイメージを持ちました。

 この味噌玉の大きさは,味噌玉と麹の配合割合などを考慮して決められた大きさだと思います。

 カクキュー八丁味噌史料館に,昔の仕込み風景が人形と模型で再現されていました。

(昔の仕込み風景)
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木桶と積み石

(仕込み桶の様子 まるや八丁味噌)
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(仕込み桶の様子 カクキュー八丁味噌)
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 高さ約2m,直径約1.8mの杉の木で作られた桶(「六尺」と呼ばれる)に味噌が仕込まれている様子です。

 温度調整はされず,蔵の自然の温度で貯蔵されています。

 1つの木桶で約6トンの味噌ができ上がります。

 木桶の上に積み上げられた石の重さは約3トンにもなります。

 大きい石で1つが約60kg,小さな石でも1つが10kg前後あります。そして,たくさん積めるよう,石は三角形に積まれています。

 ただ,これだけ石を積むと,途中で仕込みの経過を確認することができないため,発酵が進んだ味噌玉に塩と水を混ぜ合わせる作業は,まさに一発勝負の世界なのだそうです。

 この状態で二夏二冬,じっくり熟成されます。

(木桶と積み石)
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 木桶と積み石が天日干しされ,次の出番を待っている様子です。


矢作川の恵みから生まれた八丁味噌

 積み石を眺めていて,「これは近くの川で採集された石ではないか」と思いました。

 そこで思い出したのが,名古屋から名鉄で岡崎公園前駅に到着する直前に視界に広がった「矢作川(やはぎがわ)」の風景です。

 「これは矢作川の石ではないか」と直感的に思ったのですが,説明を受けるとその直感は当たっていました。

 岡崎で八丁味噌が誕生した理由としては,
(1)矢作川の良質な伏流水や石など,豊かな自然に恵まれている地であること
(2)矢作川の水運や東海道の陸運など水陸交通の要となっており,大豆や塩などの原材料を調達しやすく,また,製品を流通させやすい地でもあること
(3)味噌作りをはじめとする醸造に適した気候風土であること
などが挙げられると思います。


日吉丸(豊臣秀吉)と八丁味噌の言い伝え


 両社には,それぞれ日吉丸(豊臣秀吉の幼名)にまつわる言い伝えがあります。

 まるや味噌には,日吉丸が当時のまるや味噌に忍び込んで勝手に飯を食べていたところ,蔵の人間に見つかってしまい,逃げる途中に味噌の積み石を井戸に放り込んでその井戸に落ちたものと思わせ,難を逃れたという言い伝えがあります。

(日吉丸「石投げの井戸」)
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 一方,カクキューには,日吉丸が矢作橋上で「こも」をかぶって寝ていたところ,蜂須賀小六と出会い,出世の糸口をつかんだが,その「こも」は当時のカクキューに忍び込んで盗んだものだったという言い伝えがあるのです。

(カクキューの商品図柄)
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(合資会社八丁味噌作成パンフレット「八丁味噌の郷」から引用)

 話は違えど,各社とも同じ豊臣秀吉にまつわる言い伝えがあることは,興味深い話です。


まとめ

 以上御紹介したお話から,愛知県岡崎市で今日まで豆味噌が盛んに作られてきた理由として,矢作川の豊かな自然の恵み,水陸交通の拠点,味噌作りに適した気候,そして徳川家康や豊臣秀吉などの武将による兵糧食としての豆味噌の重用といった,地理的・歴史的背景があることが御理解いただけるかと思います。

(関連サイト)
八丁味噌協同組合
http://www.hatcho.jp/

2016年5月14日 (土)

石川さんの耳かき -石川県金沢市-

石川さんは,石川テレビ放送のマスコットキャラクターです。
石川の「石」をイメージした髪や顔の形が特徴なのですが,この耳かきの石川さんは,更に石の上に座っています。
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台紙に,「石川さんの分まで耳をきれいにしてください!(※石川さんは届きません…)」と書かれており,実際に耳かきが届かない様子がイラストに描かれていました。
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テレビ局のマスコットキャラクターだけに,芸が細かいです。

2016年5月10日 (火)

イタリア料理の特徴と主な料理3 -カタラーナ・ミリアッチョ-

カタラーナ

 「カタラーナ」という名称は,もともとはスペインのカタルーニャ地方のお菓子であったことに由来していますが,イタリアでも定番のお菓子となっています。

(カタラーナ)
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 冷やしたり,凍らせて固くしたカスタードの上に,カラメルをかけ,表面を焦がし固めたお菓子です。

 カスタードが「冷たく,甘く,やわらかく」仕上げられているのに対し,表面のカラメルは「熱く,ほろ苦く,パリッと固く」仕上げられています。

 こうした対照的な要素をうまく一つに盛り込み,口の中で食感・風味・味覚の変化を楽しむことができるお菓子となっています。

 バニラアイスクリームに熱いエスプレッソをかけていただく「アフォガード」とよく似た発想のお菓子だと思います。


ミリアッチョ

 同じイタリア料理店で,「ミリアッチョ」なるデザートが用意されていたので,興味を持ち,注文してみました。

(ミリアッチョ)
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 いただいてみると,冷やしたチーズケーキのようなお菓子でした。

 細かく刻んだオレンジピールも混ぜ込まれており,オレンジの香りとほろ苦さがアクセントになっていました。

 イタリアではカーニバル(謝肉祭)の際に食べられるお菓子のようです。


 今回御紹介したカタラーナとミリアッチョは,1人分ずつ作るのではなく,一度に大勢の人数分作って,必要に応じて切り分けて食べるお菓子であることが共通点だと言えます。

2016年5月 7日 (土)

名古屋のモーニング -小倉トーストとおかず・スープとの相性-

 名古屋市内の飲食店でモーニングをいただきました。

 ドリンクの値段のみでトーストやゆで卵などがついたり,朝から食べ放題のメニューが用意されているという,ボリューム満点の食事が魅力です。

 小豆が大好きな私は,「小倉トースト」を味わうことを一番の目的として店を探しました。


バイキング形式のモーニング

 祝日の早朝だったので,開店している店は少なかったのですが,名古屋駅前のホテルに併設したレストランで,バイキング形式のモーニングを提供している店を見つけました。

 小倉トーストの写真が象徴的だったので,この店でいただくこととしました。

 値段は1,100円と,さすがにドリンク一杯の値段ではありませんが,バイキング形式というのが魅力です。

(モーニング(バイキング形式))
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 この後の食事も考えて,小倉あん以外は控え目に盛り付けています(笑)。
 本当はもっと種類がありました。

 小倉トーストを食べるため,食パンを皿に取ろうとすると,お店の方から,「トーストして席にお持ちするので,小倉あんだけ別皿に用意しておいてください。」と教えていただきました。

 この辺の勝手を知らなかったので,少し恥ずかしい思いをしました。

 見よう見まねで,トーストにマーガリンを塗り,その上に小倉あんを乗せて小倉トーストを作ってみました。

(小倉トーストとコーヒー)
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 市販の「ゆであずき」のような,ゆるめの小倉あんなので,受け皿のパンが水気を吸わないよう,あらかじめトーストし,マーガリンを塗っておくことは,理に適っていると思いました。


終日提供されるモーニング

 夕方,終日モーニングが食べられるというお店に行きました。

 やはり目当ては小倉トーストです。

 こちらのお店では,ドリンク1杯の値段(コーヒーなら410円)で,プレスサンドと豆がつくとの話なので,私は迷わず小倉プレスサンドを注文しました。

(モーニング(小倉プレスサンドとコーヒー))
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 山形のイギリスパンが耳も含めてプレスされており,もの珍しさを感じました。

 軽食として食べる,夕方のモーニングもなかなか乙な体験でした。


モーニングは小倉トーストとおかず・スープとの相性を考えて

 今回,バイキング形式での小倉トーストとドリンクに付く小倉プレスサンドの両方を味わってみて,気付いたことがあります。

 小倉トースト(パン)は,単品またはコーヒーなどのドリンクとの組み合わせで食べるには軽食としてとても相性がよいのですが,バイキング形式や他のおかず・スープも付く場合には,食べる順番を考慮する必要があります。

 なぜなら,気合いを入れて最初からパンにぎっしり小倉あんをのせてしまうと,お菓子とおかず・スープを一緒に食べるような,不自然な食事になってしまうからです。

 ですので,パンについては,そのまま,またはマーガリンだけを塗っておかずやスープと一緒に食べる分と,小倉あんをのせてデザートのように食べる分に分けて食べるのが,スマートな食べ方ではないかと思います。

 もちろん好みにもよりますが,私の場合は結局,おかず・スープと小倉トーストを別々に食べることとしました。

 小倉あんが別の皿に用意される理由も,こうした個々人の好みに応じた食べ方を可能にするためではないでしょうか。

 「欲張り」というのも名古屋や岐阜のモーニングを理解するためのキーワードの1つだと思いますが,最初から小倉あんを欲張ると,あとの食事が大変になる可能性もあることは,理解しておいて損はないと思います。

2016年5月 4日 (水)

歴食の世界 -「幕末維新パン」と幕末維新期のパン開発物語-

 歴食JAPANサミットで販売されていた「幕末維新パン」です。

 官軍が用いた「菊花紋官軍指揮旗」(萩博物館蔵)が掲載されており,激動の幕末維新を感じさせるパッケージとなっています。

(幕末維新パン(包装))
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奇兵隊や振武隊の陣中食糧

 説明書きには,
 「安政6年1859年 萩藩 中嶋治平が最初にパンを製造 慶応元年1865年 奇兵隊の陣中食糧として また慶応2年 大村益次郎指揮下の振武隊も陣中兵糧として重用しました」
 とあります。

 奇兵隊と振武隊,いずれも「陣中食糧」として重用したとのことですが,この「陣中食糧」は,日本のパンの開発・普及につながるキーワードの1つだと言えるでしょう。

 ここで,幕末維新の情勢と日本のパンの関係について,少し触れておきたいと思います。


兵糧食として注目されたパン

 幕末にペリーが浦賀に来航し,幕府に開国を要求します。

 この事件をきっかけに,幕府は国土防衛に,雄藩は尊王攘夷,やがては倒幕運動に力を注ぐこととなります。

 そして,保存性や携帯性に優れたパンが,兵糧食として注目されることとなったのです。

 この時,幕府の軍備増強の視点からパンの研究開発に取り組んだのが江川坦庵(英龍,太郎左衛門)です。

 そののち,江川坦庵は「日本のパン祖」とされ,パンを初めて試作した日(1842年(天保13年)4月12日)にちなんで,毎月12日が「パンの日」と定められました。

 一方,長州,薩摩,水戸などの雄藩も,兵糧食の必要性から,江川坦庵と同様に長崎のオランダ屋敷からパンの製法を学び,独自にパンの研究開発に取り組むこととなります。

 こうした流れの中で,長崎に滞在した経験のある萩の科学者 中嶋治平(なかしま じへい)が陶磁器で焼いた「備急餅」という名前のパンを作りました。

 長州藩はこのパンを兵糧食として採用し,幕末維新の際,奇兵隊や振武隊などに重用されたのです。

 こうして概観してみると,「激動の幕末維新期を支えたのは,実はパンだった」と言っても過言ではないと思います。


幕末維新パンについて

 山口で再現されている幕末維新パンは,横約15cm,高さ約7cmの比較的大きなパンです。

(幕末維新パン)
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 説明書きには,「麦粉一斤,卵五ツ,糖少許,本五勺」と書かれていることから,小麦粉,卵,砂糖,そして本(もと)と呼ばれる酒母が材料に使われていることがわかります。

 イーストの代わりに日本酒を作る過程で必要となる酒母(酒種)を利用して作られたパンなのです。

 卵が使われているからか,生地がやや黄色っぽく仕上がっています。

 また,バターなどの油脂が使われてないこともあり,若干パサパサした感じもします。

 甘味や塩味はあまり感じられませんが,よく噛みしめて食べると,酒饅頭と同じような,日本酒のよい香りが漂います。

 現在のパンと比べると,少しもの足りない気もしますが,「パンを焼くオーブンもイーストもなかった時代に,試行錯誤の上にこうしたパンを作っていたのだろうな」と当時の様子を想像しながら,興味深くいただきました。

2016年5月 1日 (日)

広島の名物・郷土料理1 -ホルモン天ぷら,ホルモン天ぷらの種類と特徴-

 広島に住む私が,地元の食文化を発信し,皆様に知っていただくことはとても意義のあることだと思います。

 そこで,この趣旨に沿った料理として,私が最初に思いついたのが,地元の人間でも知る人ぞ知る広島の隠れた名物「ホルモン天ぷら」です。

 今回は,この「ホルモン天ぷら」を御紹介します。


ホルモン天ぷら店

 ホルモン天ぷら店は,広島市西区小河内町,都町,福島町などにあります。

 店内に天ぷらの種類まで書かれている訳ではないので,常連の方はホルモンの種類別に注文されますが,ホルモンの種類や店をよく知らない方は,お店の方に尋ねるか,必要な数だけ言っておまかせで注文するのがよいと思います。

 正直な話,素人が入りづらい雰囲気が感じられることも否めません。

 私はこれまで食事,持ち帰りそれぞれ1回しか訪問したことがなく,ホルモンについても詳しくないので,やや緊張気味にお店の方に尋ねてから注文することにしました。

私:「ホルモンの天ぷらをいただきたいのですが,何種類ぐらいありますか。」

店員:「今できるのは5種類ぐらいじゃね。」

私:「ではその5種類を揚げてください。そのうちいくつかは持ち帰りでお願いします。」

 これで注文完了です。
 緊張するという意味では,このお店も,フランス料理店も同レベルでしたが,実際は親切に対応していただけたので,ありがたかったです。


ホルモン天ぷらの食事法

 しばらくして,ホルモン天ぷらが揚がりました。

 ホルモンの天ぷらは,1個が10cm前後あるため,小皿に盛られて供されます。

 客は,その天ぷらを自らまな板の上に載せ,包丁で食べやすい大きさに切っていただきます。

(まな板に載せたホルモン天ぷらと包丁)
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 皿にナイフとフォークではなく,単刀直入にまな板に包丁と箸(または素手)。
 この潔さ,豪快さがたまりません。

 一方,天ぷらを盛っていた小皿は,棚にある酢醤油を入れ,粗挽き唐辛子を加えて,つけだれの皿とします。

(粗挽き唐辛子とつけだれ)
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 つけだれの酢醤油は,若干酢の割合が高いように感じましたが,これは天ぷらをさっぱりといただくための工夫だと思います。


ホルモン天ぷらの種類と特徴


(ホルモン天ぷら(店内))
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 左から横に,白肉,ビチ,センマイ,ヤオギモ,下の1個がオオビャクだと思います。

 私には少し量が多いので,一部は持ち帰り用にしていただきました。

 近くの他の店でも白肉とヤオギモの天ぷらを買い,改めて自宅に戻って天ぷらを皿の上に並べてみました。

(ホルモン天ぷら(自宅))
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 皿の左上がヤオギモ,右上が持ち帰り用のつけだれ,手前左からビチ,白肉,中央がセンマイ,右の2つがハチノスだと思います。

 各天ぷらの特徴など,簡単に御紹介します。

 なお,広島での呼び名を尊重して名称を記載していますので,御留意ください。

○白肉(ミノ)
 牛の第一胃袋です。
 広島では,その色からだと思いますが,白肉(しろにく)と呼ぶ人が多いです。
 人気が高く,店でも,名指しで注文する人は,ほとんどがこの白肉でした。
 弾力があって,噛むほどに肉のうまみが引き出されます。
 特に揚げたては,意外とやわらかく,噛みきれなくて困るという心配はありません。

○ビチ(ギアラ)
 ビチは牛の第四胃袋です。
 いかの天ぷらのような食感で,やわらかく,噛むほどに味わいのある肉です。

○センマイ
 センマイは牛の第三胃袋です。
 黒く,ブツブツした細かい突起が特徴です。
 多少グロテスクですが,ホルモン特有のくせは少なく,皮が薄いので食べやすいです。

○ヤオギモ
 ヤオギモは牛の肺です。
 レバーのような見た目と食感ですが,レバー臭はないので,食べやすいです。
 包丁で切り分けながら食べるにはもってこいの天ぷらだと思います。

○オオビャク(シマチョウ,テッチャン)
 オオビャクは牛の大腸です。
 小腸とともに,ホルモン焼肉の定番部位でもあります。
 焼いた場合,ぐにゅぐにゅした食感の腸壁と脂のかたまりに分かれますが,天ぷらにすると,腸壁がやわらかくなり,脂は揚げることでしつこさがなくなるという利点があります。

○ハチノス
 ハチノスは牛の第二胃袋です。
 白く厚みのある層と,表面のでこぼこした灰色の層で構成されています。
 これも多少グロテスクな肉ですが,天ぷらの衣に包まれると,むしろおいしそうに見えます。
 見た目とは裏腹に,肉質がやわらかく,もっちりした食感で,ボリュームがあるのが特徴です。

 以上,ホルモンの天ぷらを御紹介しましたが,私自身,食べ慣れている訳ではないので,この説明で間違いないかと言われたら,100%の自信はありません。
 もし,誤った説明などありましたら,御指摘いただければ幸いです。


ホルモンを天ぷらで食べることのメリット

 このように概観すると,ホルモンを天ぷらにして食べることにより,

(1)そのまま焼いたのでは固くて食用に向かないホルモンを,天ぷらにすることにより,やわらかく,食べやすい食品に変化させる。(物理的変化)

(2)見た目がよいとは言えないホルモンを,衣をつけて揚げることにより,視覚的な欠点を補うことができる。(視覚的変化)

(3)油で揚げることにより,ホルモン本来の味に,油脂のうまさやボリュームが加わり,よりおいしく食べることができる(味の相乗効果)

(4)高温の油で瞬時に調理でき,手間がかからない。(時間節約・負担軽減効果)

(5)安価でボリュームがあるので,日常の食事や酒のつまみとして食べることができる。(経費節減効果)

 などのメリットが挙げられると思います。

 食材を知り尽くし,その特徴を最大限に生かした料理だと思います。

 興味を持たれた方は,ぜひ広島で味わってみてください。


<関連記事>
 「広島の名物・郷土料理2 -ホルモン天ぷら(ビチ・チギモ),スマートな注文方法-

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