コリコリ -イカに似た牛のホルモン-
広島市内のホルモン専門店で,「コリコリ」というホルモンが売られていました。
白い肉で,「コリコリ」という名称から,コリコリした軟骨ではないかと思い,お店の方に尋ねてみると,「牛の血管(大動脈)です。」と教えていただきました。
さらに,「名前のとおりコリコリした食感が特徴で,肉自体の味はあまりないので,主に食感を楽しむホルモンです。」とも教えていただきました。
珍しいので,買って食べてみることにしました。
(コリコリ(生))
写真左が外側から見た様子,右が内側から見た様子,上が側面から見た様子です。
外側はクリーム色でつやがあります。
一方,内側は白色でひだ状になっており,若干脂肪も残っています。
また,側面から見ると,厚みがあることもわかります。
次に,この生のコリコリを焼き,実際に食べてみることとしました。
コリコリ自体の味を確かめるため,味付けはシンプルに塩,こしょう,にんにくのみとしました。
フライパンで焼いてみたのですが,馴染み深いホルモン(小腸や大腸)に比べて,内側に脂肪がほとんどないため,肉に付いた脂を利用して焼くことはできませんでした。
これが肉を焼いた後の様子です。
(コリコリ(焼肉))
焦げ色はつくものの,肉は白色で,見た目はイカそっくりです。
ミノ(牛の第一胃,白肉)ともよく似ています。
実際にいただいてみると,確かにコリコリとした食感を楽しむことができました。
歯応えのよいコリコリ感ではなく,キュッキュッと固いイカかガムあるいはナタデココを噛みしめるような弾力のあるコリコリ感です。
これは血管の肉の特性と言えるでしょう。
こういうホルモンで,私が一番気になるのは,噛み切れる肉かどうかなのですが,噛む回数を多く必要とするものの,何とか噛み切ることが可能な肉でした。
手元の本では,別称を「タケノコ」,「ハツモト」とも呼ばれると説明されていますが,確かに筍にも似たコリコリした食感があり,「ハツモト」(心臓の付け根)の部分にあるホルモンでもあります。
味は,お店の方のお話のとおり,そんなに強い味がある訳ではなく,淡泊なミノ(白肉)の味に近いと思いましたが,逆に言うと,ホルモンには珍しく,くせのない肉だとも言えます。
また,食べ応えがある割には脂肪がほとんどなく,よく噛んでゆっくり食べる必要があるので,ダイエット中でもお腹いっぱい焼肉を食べたいという人にも向いている肉だと思います。
最近は用意されている焼肉店もあるとのことなので,興味を持たれた方はぜひお試しください。
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