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2017年4月27日 (木)

「バウムクーヘン博覧会」 -広島からはじまる日本のバウムクーヘンの歴史-

日本のバウムクーヘンは広島から

 バウムクーヘンで有名な「ユーハイム」の創業者,カール・ユーハイムは,日本軍の捕虜として現在の広島市南区似島の捕虜収容所に連行されたドイツ人で,彼の焼き上げたバウムクーヘンを広島県物産陳列館(現在の原爆ドーム)でお披露目したことにより,日本で初めてバウムクーヘンが知られることとなりました。

 このお披露目をしたのが1919年3月4日のことで,これを記念して毎年3月4日は「バウムクーヘンの日」とされています。


「バウムクーヘン博覧会」

 そんなバウムクーヘンとゆかりのある広島で,「バウムクーヘンの日」に近い2017年3月15日~21日に「バウムクーヘン博覧会」が初開催されました。

(「バウムクーヘン博覧会」ポスター)
Photo

 広島そごうの特設会場には,全国47都道府県,67ブランドのバウムクーヘンがずらりと勢ぞろいしました。

 ほかにも,焼きたてバウムが食べられるコーナーや,バウムクーヘンの食べ比べセットの販売など,バウムクーヘンにまつわる様々なイベントが用意されていました。

(会場パネル「バウムクーヘンの歴史」)
Photo_12
※写真をクリックすると拡大します。

 会場にバウムクーヘンの歴史について説明されたパネルが展示されていました。

 その内容をまとめると,

(1)紀元前のギリシャで木の棒にパン生地を巻き付けて焼いた「オベリアス」と呼ばれるパンがバウムクーヘンの元となった。
(2)やがてそのパンがドイツに渡り,現在のようなバウムクーヘンの形状となった。
(3)ドイツ人のカール・ユーハイムがドイツの租借地である中国の青島(チンタオ)で独立し,店を開いた。
(4)その青島が日本軍に占領され,カール・ユーハイムも捕虜として広島の収容所に強制連行され,広島にバウムクーヘンの技術が伝わった。

 とありました。


 ひととおり見学し,興味を持ったバウムクーヘンをいくつか購入してみました。
 
 そのバウムクーヘンを御紹介したいと思います。


焼きたてバウム

 会場内の実演コーナーで,ユーハイムのマイスターの方が手作りで丁寧に焼き上げられた,焼きたてのバウムクーヘンです。

(焼きたてバウム)
Photo_3

 焼きたてバウム1/4ピースです。

 しっかりと弾力があり,とてもしっとりとしたバウムクーヘンに仕上がっていました。


「瀬戸内レモンのバウムクーヘン」

 ユーハイムが将来販売を予定されている「瀬戸内レモンのバウムクーヘン」です。

 会場で先行販売されていました。

 ユーハイムの方に伺ったところ,一般的にいつから売り出されるかは,未定とのことでした。

(瀬戸内レモンのバウムクーヘン(外箱と中身))
Photo_4

 外箱にはカール・ユーハイムの写真や,似島と広島県物産陳列館(現在の原爆ドーム)のイラストがあり,「日本バウムクーヘン発祥の地 広島から」と記載されています。

 また,外箱の側面には,

 「1919年,広島県物産陳列館(現・原爆ドーム)で開催されたドイツ俘虜技術工芸品展覧会で,創業者カール・ユーハイムはバウムクーヘンを焼き上げました。ここから日本のバウムクーヘンの歴史は始まりました。」

 と説明されており,日本のバウムクーヘンの歴史を知ることができる商品となっています。

(瀬戸内レモンのバウムクーヘン(外箱側面))
Photo_5


 瀬戸内レモンのバウムクーヘンを取り出し,いただいてみました。

(瀬戸内レモンのバウムクーヘン)
Photo_6

 しっとりとした食感をした,ほのかなレモン風味のバウムクーヘンです。

 生地には小さな粒々のレモン果皮も入っています。

 これはユーハイムの原点を伝える商品として,また広島土産としても最適だと思いました。


バウムパン

 すでに御紹介したように,バウムクーヘンの起源は,木の棒に生地を巻きつけて焼いたパンのような食べ物だったようです。

 この製法にならって,棒にパン生地をぐるぐる巻きつけて焼き,昔のバウムクーヘンを現代に再現したパンが「バウムパン」として販売されていました。

(バウムパン説明文)
Photo_7

 とても面白い発想のパンなので,私も買って,自宅でいただいてみることとしました。

(バウムパン(断面))
Photo_8

 説明文には「ぐるぐる,ほどいてお召し上がりください」とありましたが,いつもの調子で輪切りに切ってしまいました(笑)。

 外側はグラニュー糖がまぶされてカリカリに焼かれており,ちょうど甘いクロワッサンのような感じの仕上がりです。

 逆に,中身はしっとりときめ細かく,綿菓子のようにふわふわな仕上がりです。
 ほんのりした甘味とバターの風味が感じられました。

 残ったパンをぐるぐるほどいてみました。

(バウムパン(ほどいた様子))
Photo_9

 バネを伸ばすように,面白いようにほどくことが出来ました。
 1個のパン全てを伸ばすと,かなりの長さにほどけたことと思います。

 ほどいて食べた方が,食べやすく,何より楽しむことが出来ました(笑)。


まとめ

 食文化史を学ぶ上では,「他国からの食材や食文化は,世界のどの国においても,戦争とその影響によってもたらされたものが多い」という事実を認識しておく必要があると思います。

 捕虜として日本に強制連行されながらも,それにめげず,自国ドイツのバウムクーヘンを日本に広めたカール・ユーハイム。

 彼がその後の日本の食文化に及ぼした影響は大きいと言えるでしょう。

(カール・ユーハイムによるバウムクーヘン披露)
Photo_11
(広島市『南区七大伝説 菓子伝説(バウムクーヘン上陸秘話)』南区魅力発見委員会から引用)

 同時に,そうしたドイツ人捕虜が持ち備えていた文化や技術を,寛大に受け入れた当時の日本人関係者の対応にも注目すべきだと思います。

 カール・ユーハイムが強制連行先の日本でバウムクーヘンを作り,日本人に披露出来た背景には,敵味方を超えた人と人との交流があり,それを受け入れる寛容な心があったからに違いありません。

 そうした人間の持つ本来のやさしさや素晴らしさによって,日本に伝わり,広まったドイツ菓子。

 それが日本のバウムクーヘンなのです。


<参考文献>
 広島市『南区七大伝説 菓子伝説(バウムクーヘン上陸秘話)』南区魅力発見委員会

<関連サイト>
 「日本で初めてバウムクーヘンが焼かれた地、似島」広島市役所
 「3月4日はバウムクーヘンの日」株式会社ユーハイム
 「ドイツ・ウィーン菓子の特徴と主な菓子 -シュトロイゼルクーヘン・レープクーヘン・バウムクーヘン-」コウジ菌のブログ

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食文化体験・イベント」カテゴリの記事

コメント

まわりがカリカリのバームクーヘン絶対美味しい奴だ~o(*^▽^*)o
流石広島。レモン味。レモンの生産99%広島と聞きまして~
はぁ~スゴイw(゚o゚)wと思ったのです。
バームクーヘンは今やどこにでもあるお菓子。
子供の頃からあった記憶があります。

ヒナタ 様

コメントいただき,ありがとうございます。

そうです!!おっしゃるとおり,皮がカリカリのバウムクーヘンは美味しいですよ~。
中がフワフワのクロワッサンを食べている感じでした。

そして広島と言えばやっぱりレモン。
99%は少し多いと思いますが(笑),日本一のレモン生産県なので,広島らしいバウムクーヘンとなるとレモン入りバウムクーヘンになるのでしょうね。

バウムクーヘンは今はどこでも売られていますが,今回御紹介した内容まで御存知の方は少ないと思います。
今回の記事は,私の地元広島の事を皆さまにもっと知っていただきたいという思いで作成しました。
今度バウムクーヘンを召し上がる時,広島発祥のバウムクーヘンの話を思い出していただければ幸いです。

余談ですが,今回の博覧会,福島からは「お菓子の蔵 太郎庵」というお店のバウムクーヘンが販売されていましたよ。
このお店のバウムクーヘンも美味しそうです(^o^)

私が勤めていた店のバームクーヘンオーブン、ガスオーブンだったので

レードルで生地流し込む時手の甲が熱かったな~
しかし、ユーハイムのバームってば結構焼き色薄いんだ~eyeglassshine
って、このブログの見どころそこじゃねえ!と突っ込まれそうですが元作り手としては変な所が気になる(笑)

しっかし、流石、コウジ菌さんブログ!いろんな方向で読み所満載ですね( ^ω^ )

バームクーヘンの歴史と、日本におけるバームの歴史は、昔から何度もいろんな形で聞いておりますが
元パティシエとして改めて
Herr.ユーハイムの愛国心と故郷の御菓子に対しての情熱に変わらぬ心からの敬意を。

ちなみに私は、バームは1枚ずつはがして食べる派です!(≧∇≦)

ホットケーキミックスでもできるから今度作ってみようかな~♪

おはようございます!この場をお借りして~ヒナタの愚痴とアドバイス
ありがとうございますまた、宜しくお願い致します。(笑)

太郎庵は会津にしかないお店です。
だから~県内でもココのお店のお菓子が大好評です(o^-^o)

tomo 様

コメントいただき,ありがとうございます。

そうですか。バウムクーヘンも焼いておられたのですね。
見た目の華やかさとは逆に,パティシエのお仕事は重労働ですからね。
バウムクーヘンをガスオーブンで手作業となると,年輪を作るために何度も何度も生地を流し込んで焼く作業を繰り返されたのでしょう。頭の下がる思いです。
ホムセンはもっと大変なようで,もはや尊敬の域ですが(笑)。

焼きたてバウムの焼き色,確かに私も思いました。生焼けに近いなと(笑)。
でも,ユーハイムの方が,特設会場の限られた器具で,それこそ何度も何度も生地を流し込んで焼いておられる姿を拝見して,「手作りならではの味だ!」と感動しました。
機械にはない手作りの味がしました。

バウムクーヘンの歴史も勉強されてきたとは,さすがです!
お菓子にお詳しいtomoさんには,私の記事はお恥ずかしい限りです。
カールユーハイムの愛国心と情熱について,tomoさんは人一倍よく理解されていることでしょう。

と,ここまで感想を述べた後で,「バウムクーヘンを1枚ずつはがして召し上がる?はぁー?」と思ってしまいました(笑)
そんな食べ方初めて知りました。でも,大きなバウムクーヘンを豪快に1枚ずつはがして食べると贅沢感あって美味しいでしょうね!
パティシエの御経験があるから,1枚ずつ敬意を表して召し上がるとか(笑)

併せて,また登場したホットケーキミックス。スコーンには使わず,バウムクーヘンにはありなんですね(笑)
面白い!!

ヒナタ 様

こんばんは!

今回のお話,とりあえず頑張ってみられるというお話となり,良かったですね(^o^)
立派なアドバイスはできませんが,私の経験や考えをお伝えして,参考にしていただくことはできるかと思いますので,何なりとお話しください。

私だって,愚痴をつぶやいて,ヒナタさんにいつも助けていただいてるのですから,当然です。
こうしてコメントいただいていることにも,いつも感謝しております。

いろんな方からお声掛けやアドバイスがあったことと思いますが,それは普段からのヒナタさんの優しいお人柄によるものです。
ヒナタさんなら,どんな難局も乗り越えられますよ,きっと!

こちらこそ,今後ともよろしくお願い申し上げます。

「太郎庵」やっぱり御存知でしたか(笑)。良かった~!

こんにちは。
バウムクーヘンが輸入?されたのが、伊藤博文が生きてた時代じゃなくて良かったですね(笑)
子供の頃は、バウムクーヘンってどうやって作っているのか分からず不思議なお菓子だと
思っていました。

じもん 様

こんにちは。
引き続きこうしてお話できることを嬉しく思っています。

伊藤博文も,ドイツでバウムクーヘンを召し上がったのかもしれませんね。
伊藤博文とカールユーハイムが同じ時に広島で出会ってたら…広島の銘菓はもみじ饅頭ではなく,バウムクーヘンだったかも知れません(笑)
広島へ行くと,どこの店も棒をグルグル回してせっせとバウムクーヘンを作り,あんこやチョコが入ったバウムクーヘンまでもお土産で売られている…。
うーん,やっぱり想像し難い世界です(笑)。

日本のバウムクーヘン発祥の地,広島市南区似島(瀬戸内海の島)では,イベントで年何回かバウムクーヘン作り体験ができるようですよ。
茨城からだと,ちょっと遠いですが…(笑)

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