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2018年8月

2018年8月29日 (水)

津軽鉄道食景色3 -東北・北海道新幹線車内で津軽鉄道「ストーブ弁当」を味わう-

 2018年3月に行った北東北(岩手・秋田・青森)旅行のお話も今回で最終話となります。

 青森市内に宿泊した後,青森駅からJR奥羽本線で新青森駅へ,新青森駅から東北新幹線で仙台駅へ,仙台駅から仙台空港アクセス線で仙台空港へ,仙台空港からIBEXエアラインズで広島空港へ,広島空港から車で自宅に戻りました。

 旅の締めくくりとして,帰りの東北新幹線車内でいただいた津軽鉄道の駅弁「ストーブ弁当」を御紹介したいと思います。


津軽鉄道「ストーブ列車」と「ストーブ弁当」

 津軽鉄道では,毎年12月~3月末までの間,「ストーブ列車」が運行されています。

 この列車は,車内にダルマストーブが設置されており,乗客がストーブを囲んで暖をとったり,スルメを焼いて味わったりできる冬のイベント列車です。

 ストーブの燃料は石炭で,その焚きつけには細かく割った古い枕木が使われています。

 走行中,ときどき車掌さんがストーブの様子をみて石炭を継ぎ足すのですが,暖房ではなく石炭ストーブというのがノスタルジックで情緒あふれますね。

 その「ストーブ列車」の運行に合わせて販売されているのが,津軽鉄道の「ストーブ弁当」です。

 私は時間の関係で「ストーブ列車」には乗ることができませんでしたが,この「ストーブ弁当」をぜひ味わいたいと思い,事前注文しました。


「ストーブ弁当」の注文

 この「ストーブ弁当」は,2個以上からの受付けで,利用日の3日前までに注文しておく必要があります。

 しかも受取時刻が午前11時から午後2時までの間となっているので,遠く離れた広島から1人で訪問する私には相当な覚悟が必要でした。

 でもどうしても味わってみたいという思いが強かったので,意を決して広島から津軽鉄道本社に電話し,「ストーブ弁当」を2個注文しました。

 その時一番不安だったのは,きちんと決めた日時に指定駅(津軽五所川原駅)で弁当を受け取れるかどうかでした。

 そこで私は津軽鉄道の方に事情を説明し,「万一受け取ることができなくても,代金はお支払いしますのでよろしくお願いします。」とお伝えしました。

 すると津軽鉄道の職員さんは「キャンセルになる場合は早めにお知らせください。別に御希望のお客様にお譲りできるかも知れませんので。」とおっしゃってくださいました。

 相手の気持ちに配慮した,ありがたいお言葉だなと思いました。

 これは何としてでも行かねばと思いつつ,当日を迎え,無事予定時刻に指定駅の津軽五所川原駅で弁当を受け取ることができました。

 津軽五所川原駅のホームの様子です。

(津軽五所川原駅ホーム)
Photo

 手書きの看板に温かみを感じます。

 列車「走れメロス号」が停車していたので,撮影しました。

(津軽鉄道「走れメロス号」)
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 オレンジ色と緑色が基調となった湘南色に似た塗装の列車です。

 この日は津軽鉄道に関係したグルメを堪能し,「ストーブ弁当」をお土産にして,五所川原市を後にしました。


JR北海道所有の新幹線H5系

 青森市内で1泊し,北東北旅行の最終日を迎えました。

 朝,青森駅から新青森駅へ行き,東北新幹線に乗車して仙台駅まで戻りました。

(新青森駅「ようこそ青森へ!」(ねぶた))
Photo_7

 やはり青森のねぶたは迫力があっていいですね。

 しばらく真新しい新青森駅構内を散策した後,新幹線ホームへ行き,7:43発東北新幹線・はやぶさ10号・東京行へ乗車しました。

(東北・北海道新幹線「はやぶさ」H5系)
Photo_8
盛岡駅のホームで撮影

 写真は盛岡駅での「はやぶさ10号」です。

 東海道・山陽新幹線のN700系などに比べ,先端が長細い形になっています。

 東北・北海道新幹線の「はやぶさ」に使われる車両は,主にJR東日本所有の「E5系」とJR北海道所有の「H5系」の2種類があるのですが,そのほとんどはJR東日本の「E5系」車両です。

 一方のJR北海道の「H5系」車両は,2018年現在,実質2編成しか運用されていないため(つまり2本の列車が新函館北斗駅と東京駅間を往復しているのみのため),「H5系」のはやぶさはとてもレアな列車なのです。

(東北・北海道新幹線「はやぶさ」H5系(シンボルマーク))
Photo_9
盛岡駅のホームで撮影

 E5系とよく似ているのですが,車体中央の帯がライラック,ルピナス,ラベンダーを想起させる「採香パープル」で,シンボルマークも北海道の地形がモチーフとされています。

 それでは,車内へどうぞ。


東北・北海道新幹線車内で「ストーブ弁当」を味わう

 新幹線の席の後方にある机を手前に出し,津軽鉄道の「ストーブ弁当」を置きました。

(津軽鉄道「ストーブ弁当」(包装))
Photo_10

 竹かご箱の弁当で,包装紙にはレトロなダルマストーブが描かれています。

 包装紙の裏には,「ストーブ弁当」の説明書きがあり,出来る限り地元の食材を使って,愛情込めて作った手作り弁当であることや,津軽鉄道を舞台にしたマンガ「ちゃぺ!津軽鉄道四季ものがたり」の中でもこの「ストーブ弁当」が紹介されていることなどが紹介されています。

 私は津軽五所川原駅の売店で「ストーブ弁当」を購入した際,お店の方からこのマンガ「ちゃぺ!津軽鉄道四季ものがたり」のお話を伺いました。

(「ちゃぺ!津軽鉄道四季ものがたり」表紙)
Photo_11

 津軽五所川原駅売店で購入した「ちゃぺ!津軽鉄道四季ものがたり」です。

 主人公のちゃぺ(津軽の愛称で「子猫」)ちゃんとストーブ列車が描かれています。

(「ちゃぺ!津軽鉄道四季ものがたり」「ストーブ列車」記事)
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(作/川上健一・画/ひきの真二「ちゃぺ!津軽鉄道四季ものがたり」小学館ビッグコミックス p142-143を引用)

 本には「ストーブ列車」と「ストーブ弁当」の紹介記事もあります。

 津軽鉄道のウェブページによると,そもそも「ストーブ弁当」は,小学館の関係者が津軽鉄道を盛り上げる企画の一環として販売されたものなのだそうです。

 「ストーブ列車」と「ストーブ弁当」について知識を得た上で,「ストーブ弁当」の箱を開けてみましょう。

(津軽鉄道「ストーブ弁当」)
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 写真左上から時計回りに,若生おにぎり,赤カブの漬物,フキとニシンの煮物,レンコンはさみ揚げ,右上角が鮭のハラス,海老フライ,ホタテの煮物,里芋黒ゴマ和え,人参とゴボウの煮物,松前漬け,そして梅干とスルメイカのおにぎりです。

「若生(わかおい)おにぎり」
 ごはんに1年ものの薄くて柔らかい昆布を巻いて作られたおにぎりです。
 海苔の代わりに昆布を使った,津軽ならではの食べ物です。

「赤カブの漬物」
 津軽地方には皮も果肉も赤いカブが漬物にされています。

「フキとニシンの煮物」
 フキ・ニシンは津軽ならではの食材です。

「レンコンはさみ揚げ」
 レンコンに海老のすり身をはさんで揚げた天ぷらです。

「鮭のハラス」
 ハラスは鮭の腹の部分のことです。
 脂ののったハラスの塩焼きです。

「海老フライ」
 フライの衣にあられが使われており,津軽地方の「つぶ雪」が表現されています。

「ホタテの煮物」
 青森はホタテの生産量が全国トップクラスで,ホタテ料理もたくさんあります。

「里芋黒ゴマ和え」
 だしで煮た里芋に黒ゴマがまぶされています。
 これは「ストーブ弁当」の石炭に見立てたおかずとなっています。

「人参とゴボウの煮物」
 全国出荷量で青森の人参は第4位,ゴボウは全国1位となっており,ともに青森で多く出荷されています。
 青森の人参と言えば,私は「リゾートしらかみ」に乗車した際に知った深浦町の「ふかうら雪人参」を思い出します。

「松前漬け」
 松前漬けは北海道の郷土料理ですが,数の子・昆布・スルメイカを使った料理は青森でもよく食べられています。
 青森には松前漬けに大根の漬物などを混ぜた「つがる漬」,「ねぶた漬」という料理もあるようです。

「梅干とスルメイカのおにぎり」
 「ストーブ列車」で焼くスルメイカや松前漬けも含め,スルメイカがよく登場しますが,青森ではそれだけ馴染み深い食材なのでしょうね。
 梅干の酸味とスルメイカの旨味が加わることで,食が進みました。


 本来はのんびりと走る「ストーブ列車」の車内で味わうべき「ストーブ弁当」ですが,今回は日本最速の新幹線「はやぶさ」の車内で味わいました。

 こんな食べ方する人はなかなかいないと思います(笑)。

 素朴で都会の弁当とは一線を画した感がありますが,都会ではなかなか味わえないような贅沢な津軽の海の幸・山の幸がたくさん詰められていて,津軽のふるさとの味を堪能することができました。

 JR五能線経由で五所川原,弘前,青森と駆け足で回り,青森滞在は1泊2日とわずかなものでしたが,その数々の思い出がこの弁当に詰められているような気がしました。

 かの太宰治も,これと同じような弁当を持たせてもらって青森から上京したのかも知れませんね。


まとめ

 「ストーブ弁当」を味わった後,車窓から東北の風景を眺めていると,あっと言う間に仙台駅に到着しました。

(東北・北海道新幹線E5系とH5系)
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仙台駅のホームで撮影

 仙台駅に停車する新幹線E5系(写真左奥,はやぶさ103号・盛岡行)とH5系(写真右手前,はやぶさ10号・東京行)です。

 よく似ていますが,ボディー側面のラインがE5系はピンク色(つつじピンク),H5系は紫色(彩香パープル)となっています。

 今回の北東北旅行は,東北新幹線,秋田新幹線,「リゾートしらかみ」,五能線,奥羽本線と鉄道を乗り継ぐ旅でもありましたが,今度機会があればぜひ津軽鉄道の列車にも乗り,車内で津軽鉄道の駅弁を味わってみたいです。

 津軽鉄道の駅弁は,今回御紹介した「ストーブ弁当」(12月~3月)のほかに,「さくら弁当」(4月~5月),「だざい弁当」(6月~8月),「いなほ弁当」(9月~11月)と四季折々に多彩な弁当が用意されています。

 津軽鉄道の旅やグルメを楽しむことは,津軽の風土や文化を知ることにつながることを実感しました。


<関連リンク>
 「津軽鉄道株式会社

<参考文献>
 作/川上健一・画/ひきの真二「ちゃぺ!津軽鉄道四季ものがたり」小学館ビッグコミックス
 作/やまさき十三・画/北見けんいち「釣りバカ日誌 82 津軽鉄道冬景色!?の巻」小学館ビッグコミックス

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2018年8月23日 (木)

神戸異人館・風見鶏の館の耳かき -兵庫県神戸市-

神戸異人館街のお土産店で見つけた風見鶏の館の耳かきです。

風見鶏の館は,ドイツ人貿易商ゴッドフリート・トーマス氏の邸宅として建てられた建物です。

この耳かき,実は屋根に肝心の風見鶏がないのですが(笑),レンガ造りの建物や庭は細部まで表現されています。

神戸異人館街は,新神戸駅からも三ノ宮(三宮)駅からも気軽に歩いて行ける距離にあり,近くにお土産店や外国料理の店も多いので,おすすめの観光地です。

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2018年8月17日 (金)

津軽鉄道食景色2 -若生おにぎり,中まで赤~いりんごジャム,干し餅,五農産米-

 津鉄汁セット,ストーブ列車石炭クッキーに続き,津軽鉄道と津軽鉄道沿線の食べ物を御紹介します。


若生おにぎり

 津軽鉄道本社屋1階の「コミュニティカフェ でる・そーれ」で「若生(わかおい)おにぎり」を購入しました。

 「若生おにぎり」は,ごはんを海苔の代わりに昆布で巻いたおにぎりで,津軽の郷土料理です。

 「若生」は1年ものの薄くて柔らかい昆布を言います。

 広げた若生の上にご飯をのせ,ご飯の端を若生で包み,パタンと二つ折りにして作られます。

(若生おにぎり)
Photo

 太宰治も若生おにぎりが好物で,夜食としていたようです。

(若生おにぎり(中身))
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 いただいてみると,昆布の程よいしょっぱさがご飯の味を引き立て,海の香りが口の中に広がる美味しいおにぎりでした。

 ちなみに若生おにぎりは食べる際にちょっとしたコツがいります。

 昆布の繊維方向を考えて噛まないと,昆布が噛み切れないのです。

(若生おにぎりの食べ方)
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(コミュニティカフェ でる・そーれ『What's?若生おにぎり』から引用(抜粋))

 昆布の繊維に平行になるよう,おにぎりを縦に持って噛み切る必要があります。

 再度「若生おにぎり(中身)」の写真を御覧いただければ,昆布の切れ目が繊維に沿ってまっすぐに切れているのがお分かりいただけると思います。

 海苔の代わりにやわらかい昆布を使っておにぎりを作るとは,これも1つの生活の知恵であり,立派な食文化ですね。


「中まで赤~いりんごジャム」

 「中まで赤~いりんごジャム」は,五所川原市特産のりんご「御所川原」で作られたジャムです。

 この「御所川原」は皮だけでなく,中まで赤いとても珍しいりんごです。

(「中まで赤~いりんごジャム」(包装))
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 箱上側の絵は中まで赤いりんご「御所川原」を輪切りにしたもので,りんごの皮だけでなく,中心部まで赤くなっていることがわかります。

(「中まで赤~いりんごジャム」)
Photo_5

 粗めに切ったりんごをシンプルに砂糖だけで煮詰めて作られたジャムです。

 果肉まで赤いので,ジャムもやさしい赤色をしています。

 いただいてみると,甘さは控え目で,その分りんごの酸味を強く感じました。

 中まで赤いのですが,酸味が強いりんごです。

 「御所川原」の素材の味を大切にした手作りのジャムです。


干し餅

 津軽鉄道「津軽五所川原駅」の売店で五所川原名物の干し餅が売られていました。

(干し餅(包装))
Photo_6

 何だか食べにくそうだと思ったのですが,お店の方から「そのままでも食べられますよ。」と教えていただき,購入してみました。

 餅にゴマ,バターが入っています。

 そのままいただいてみると,サクサクした軽いせんべいのような食感で,ほのかにバターの香りがし,黒ゴマがアクセントになっていました。

 こんがりと焼いたり,油で揚げて食べても美味しいようです。

 餅を凍らせた上で干して乾燥させた保存食で,高野豆腐とよく似ています。

 私はこの干し餅をいただいた時,全く同じだと思った食べ物がありました。

 このブログで御紹介した宇宙食「ライスケーキ(おもち)」です。

 宇宙食のライスケーキは,フリーズドライ製法なのですが,フリーズドライとは凍らせて干す(乾燥させる)ことなので,干し餅の製法と一緒です。

 それならと,宇宙食のライスケーキと同様,この干し餅をしばらく水に浸してからいただいてみると,予想どおり粘りのある餅に戻りました。

 昔ながらの製法が実は宇宙食の製法と一緒であることに感動しました。


「五農産米」

 「五農」は青森県立五所川原農林高等学校の通称で,「五農産米(ごのうざんまい)」は五農で栽培・収穫したお米のことです。

 津軽鉄道の駅に「五農校前駅」という駅があるのですが,こちらも五所川原農林高等学校前を略した駅名となっています。

(「五農産米」)
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 米を炊いてごはんでいただきました。

(「五農産米」のごはん)
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 ごはんがまばゆいばかりに輝いて見えました。

 ちなみにこの茶碗は…普段私が使っている茶碗です(笑)。

 ふっくらと仕上がり,適度な弾力を感じました。

 雑味がなく,ほのかな甘味があります。

 冷めても美味しかったので,弁当やおむすびにも適していると思いました。

 「五農産米」は,国際標準である「グローバルG.A.P(※)」の認証を受けています。
 ※G.A.PはGood(適正な),AGRICULTURAL(農業の),PRACTICES(実践)の略。農業生産の環境的,経済的及び社会的な持続性に向けた取組みを認証する制度。

 また,いずれも期間限定ですが,米菓メーカー「岩塚製菓」(新潟県長岡市)から「五農産米」を使ったせんべい(商品名「五農米でつくった味しらべ」)が販売されたり,ANAグループが「五農産米」を羽田・成田発国際線ファーストクラスの機内食(ごはん)に採用するなど,各界からも高い評価を得ています。


 今回は時間の都合で津軽鉄道には乗れなかったのですが,津軽鉄道のグルメは盛りだくさんで,とても楽しめました。

 青森へお越しの際はぜひ津軽鉄道や津軽鉄道沿線のグルメをお楽しみください。


<関連リンク>
 「津軽鉄道株式会社
 「コミュニティカフェ でる・そーれ
 「青森県立五所川原農林高等学校

<参考文献>
 永松 潔・高橋遠州「テツぼん 13」小学館ビッグコミックススペシャル

<関連記事>
 「津軽鉄道食景色1 -津鉄汁セット,ストーブ列車石炭クッキー-

2018年8月15日 (水)

津軽鉄道食景色1 -津鉄汁セット,ストーブ列車石炭クッキー-

津軽五所川原駅と津軽鉄道本社

 秋田駅から「リゾートしらかみ1号」に乗り,五所川原駅へ行きました。

 終点の青森駅までではなく五所川原駅で下車した理由は,津軽鉄道と「立佞武多の館(たちねぷたのやかた)」を見学するためです。

 津軽鉄道は鉄道ファンの間でも有名な鉄道で,ストーブ列車などのイベント列車の運行やオリジナルグッズの販売など魅力的な企画・イベントをたくさん手がけておられます。

 津軽鉄道「金木(かなぎ)駅」からは,太宰治の生家「斜陽館」なども観光でき,太宰治ファンにもおすすめの鉄道です。

 訪問当日は,列車に乗車できるほどの時間的余裕はなかったのですが,津軽鉄道の魅力の一端に触れたいと思い,JR「五所川原駅」に隣接する津軽鉄道「津軽五所川原駅」と津軽鉄道本社1階にある「コミュニティカフェ でる・そーれ」を訪ねました。

(津軽鉄道「津軽五所川原駅」と津軽鉄道本社)
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 写真の左側にある建物が津軽鉄道本社,右側にある建物が津軽鉄道「津軽五所川原駅」です。

 津軽鉄道本社1階には「サン・じゃらっと」と呼ばれる地域交流施設があり,その中に飲食コーナー「コミュニティカフェ でる・そーれ」があります。


津鉄汁セット

 私は「コミュニティカフェ でる・そーれ」で津鉄汁セットをいただきました。

(津鉄汁セット)
Photo

 写真右下が津鉄汁で,手前がいなり寿司とおにぎり,写真左上から横にお茶,厚焼き玉子とふきの佃煮,野菜のゴマ和えです。

 メインの津鉄汁は,醤油仕立てのすまし汁で,長芋入りの丸いすいとん,青森シャモロック,人参,舞茸,ごぼう,白髪ねぎなど具だくさんです。

 大きなおにぎりの中には塩鮭がたっぷり入っていました。

 いなり寿司は酢飯に紅しょうがが混ぜられているため,ピンク色をしています。
 もち米も入っているので,つやつやしています。
 甘めの寿司飯をきめの細かいいなりで包み,くるみをのせた津軽特有のいなり寿司です。

 そして,注目すべきは箸入れです。

 「箸入れ」と太宰治の作品「走れメロス」をかけて「はしいれメロス」と記載されているのです(笑)。

 ちなみに,津軽鉄道の列車は「走れメロス号」で,過去には期間限定列車「人間失格号」も運行されたようです。

 津軽鉄道,面白い!


ストーブ列車石炭クッキー

 食事後,「コミュニティカフェ でる・そーれ」で販売されていたお土産を購入しました。

 何にしようか眺めたところ,ひと際目立っていたのが「ストーブ列車石炭クッキー」です。

 津軽鉄道では,冬の間,客車に石炭ストーブを設置した「ストーブ列車」が運行されており,乗客はこのストーブを囲んで暖をとったり,スルメを焼いて食べたりしながら冬の津軽を楽しむことができます。

 「ストーブ列車石炭クッキー」は,その「ストーブ列車」の燃料である石炭に似せたオリジナルクッキーです。

(ストーブ列車石炭クッキー(包装))
Photo_2

 モノクロのパッケージが石炭っぽさを演出しています。

(ストーブ列車石炭クッキー)
Photo_3

 見た目や形が石炭そっくりなクッキーです。

 ブラックココアが使われていることで真っ黒でほろ苦いクッキーに仕上がっています。

 売上の一部はストーブ列車の維持に役立てられているようです。

 「列車の中でストーブを焚く」,これはよく考えたらスゴイことで,津軽地方ならではの冬の風物詩と言えるでしょう。


 青森・五所川原へお越しの際はぜひ津軽鉄道と津軽鉄道グルメをお楽しみください。


<関連リンク>
 「津軽鉄道株式会社
 「コミュニティカフェ でる・そーれ

<参考文献>
 永松 潔・高橋遠州「テツぼん 13」小学館ビッグコミックススペシャル

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2018年8月12日 (日)

スリランカ料理の特徴と主な料理1 -デビルチキン,デビル・悪魔風と名のつく料理の意味-

スリランカの食文化

 スリランカはインドの南東に位置する島国です。

 周りが海に囲まれているため,日本と同じく魚介類の料理が多く,魚のカレーが代表的な料理の1つとなっています。

 地理的条件からみると,南インドに近いことから,南インド料理との共通点が多いと言えます。

 また,ヨーロッパや北西アフリカから中東,インド,東南アジア,東アジアを結ぶ海の商業ルート上に位置していることから,これらの国々の食文化の影響も受けています。

 さらに歴史的背景から,ポルトガル,オランダ,イギリスによる植民地時代があったため,これらの国々の食文化の影響も受けています。

 つまりスリランカの食文化は,スリランカ独自の食文化に幅広い様々な国の食文化が組み込まれて成り立っていると言えるのです。


デビルチキン

 スリランカ料理店で面白い名前の料理を見つけました。

 デビルチキンです。

(デビルチキン)
Photo

 鶏とトマトと野菜のチリソース炒めです。

 鶏肉,トマト,玉ねぎ,ピーマンなどを一口大のザク切りにし,甘辛いチリソースで炒めた料理です。

 今回味わった料理は,甘辛いというよりは甘酸っぱい味付けでした。

 見た目も味も中国料理の「酢豚」に近いと感じました。

 ただ,お店の人にお話を伺うと,酢は使っていないとのことでしたので,甘味や酸味は主にトマトによるものなのでしょう。

 デビルチキンと一緒にライスやパパダン,アチャールをいただきました。

(デビルチキンとジャスミンライス・パパダン・アチャール)
Photo_2

 写真右上の皿にライス,そして時計回りにパパダン,アチャール2種です。

 長細いチップスかパスタのような食べ物がパパダンです。

 パパダンは豆の粉末や小麦粉から作られるパリパリしたせんべいのような食べ物で,焼いたり油で揚げたりしてカレーなどと一緒に食べられます。

 インドのパパドとよく似ています。

 一方,アチャールは野菜や果物の漬物のことです。

 カレーの付合せとして食べられるもので,インドやネパールなどにも同名の漬物があります。

 写真のアチャールはターメリックで漬けた大根とオクラのアチャールです。

 これらの食べ物は,日本の食事で例えると,主菜につくご飯と漬物のようなイメージでしょう。


デビル・悪魔風と名のつく料理の意味

 「デビルチキン」とは何ともインパクトの強いネーミングですが,料理名に「デビル」,「悪魔風」,「ディアボラ風(イタリア料理)」などと名のつく料理は,次のいずれかに該当する場合だと思います。

 (1)味付けをチリソースなどで辛くしている料理
 (2)見た目が赤く燃え上がるような色をした料理
 (3)形がマントを広げた悪魔のように見える料理
 (4)仕上げに残酷な悪魔を想像させる焼き目を付けた料理

 今回の「デビルチキン」は主に(1)や(2)の意味で,イタリアの鶏料理の場合は主に(3)や(4)の意味でネーミングされています。


 どんな料理にも言えますが,作ったり味わったりする際,一歩踏み込んで,その料理の名前の意味や歴史的背景なども調べてみると,その料理の基本や本質をつかむ手助けとなり,やがて応用もきくようになると思います。


<関連記事>
 「ネパール料理の特徴と主な料理3 -アルアチャール・マルプア・チャイ-

2018年8月 9日 (木)

SLやまぐち号(ヘッドマーク)の耳かき -山口県山口市-

新山口駅(山口県)と津和野駅(島根県)間を走る蒸気機関車「SLやまぐち号」のヘッドマークの耳かきです。

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「C571」は「C57形蒸気機関車(愛称:貴婦人)」の第1号機という意味です。

ヘッドマークの鳥は「ナベツル」で,山口県の県鳥でもあります。

この耳かきはJR西日本関連グッズとして新大阪駅で売られていたものです。

お土産としても喜ばれると思うので,もっといろんなヘッドマークの耳かきを販売してもらいたいです。

2018年8月 6日 (月)

2018年8月6日 広島からのメッセージ

今年も8月6日を迎えた。

(原爆ドーム)
Photo

 今日は,広島をはじめ西日本に甚大な被害をもたらした「平成30年7月豪雨」からちょうど1か月が経過した日でもある。

 いまさらながら,いつもどおり毎日暮らせることが実は一番幸せなことだと思う。

 人生は偶然の積み重ねで,一瞬の出来事が後の人生を大きく左右することも多い。

 自然の脅威を人間が防ぐことには限界がある。

 しかし,平和な世界を築くことは,一人ひとりにその意識があれば,我々の努力でできることだ。

 人が罪なき人の命を奪うことに何の価値があろうか。

(原爆犠牲国民学校教師と子どもの碑)
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 戦争という愚かな行為で犠牲者を出すのはもうたくさんだ。



 平和記念式典を前に原爆ドーム周辺を散策し,元安川をしばらく眺めた。

(元安川と原爆ドーム)
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 穏やかな川に鳥が羽ばたき,観光遊覧船が走っている。

 国内外からの訪問者が原爆ドームを見学し,写真撮影をしている。

 のんびりとしたひとときを,私を含めみんなで享受している。

 「平和っていいな」と心から思う。

 いつもどおりの,私が好きな広島の姿だ。

 こうした「いつもどおり」が実はどんなに幸せなことか。

 失ってからそれに気付くことも多い。

 そして豪雨災害の被災地では,今でも「いつもどおり」の生活を取り戻すために昼夜休日を問わず,猛暑の中みんな必死で頑張っている。

 一瞬一瞬を大切に,感謝の気持ちを持って生きたい。


<関連記事>
 「被爆72年を迎えたヒロシマ」(2017年8月6日)

2018年8月 2日 (木)

広島のレモン菓子・レモンケーキ11 -菓子・パンメーカーの全国展開と地域(店舗)限定ビジネス-

 広島で売られているレモン菓子・レモンケーキを御紹介します。


不二家「瀬戸内大長レモンケーキ」

 「不二家」の「瀬戸内大長(せとうちおおちょう)レモンケーキ」です。

(不二家「瀬戸内大長レモンケーキ」(包装))
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 「大長(おおちょう)みかん」で有名な広島県呉市豊町大長地区で採れたレモンが41%使用されています。

(不二家「瀬戸内大長レモンケーキ」)
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 開封した瞬間,さわやかなレモンの香りが広がりました。

 サイズは横約7cm,幅約4.5cm,高さ約3cmです。

 レモンチョコのコーティングはありませんが,レモンピールがざくざく入っており,表面にもいくつかレモンピールが確認できます。

(不二家「瀬戸内大長レモンケーキ」(中身))
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 ケーキ生地はしっとりとしており,バターよりもレモン風味を強く感じる,レモン好きには嬉しい仕上がりとなっています。


 「不二家」(広島県内の各店舗ほか)


八天堂「ひろしま檸檬ケーキ」

 広島県三原市で創業し,今や全国で知られるようになったパン屋「八天堂」の「ひろしま檸檬ケーキ」です。

 広島空港に近いスイーツパン工房「八天堂カフェリエ」で購入しました。

(八天堂「ひろしま檸檬ケーキ」(包装))
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 レトロなイメージの包装紙がレモンケーキとよく合っています。

(八天堂「ひろしま檸檬ケーキ」)
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 ケーキとは言え,パン屋さんで売られているケーキなので,横約12cm,幅約7cm,高さ約3cmと,広くひらべったい形をしており,その大きさは菓子パンに近いです。

 レモンチョコはなく,カステラのようなふわふわしたとてもやわらかい生地です。

 これは看板商品の「くりーむパン」と同様,スイーツのようなパンを作る発想が生かされているからでしょう。

(八天堂「ひろしま檸檬ケーキ」(中身))
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 ケーキ生地には,レモンピールが練り込まれており,その食感を楽しみながらいただくことができます。


 「八天堂カフェリエ」(広島県三原市本郷町善入寺用倉山10064番190)


ガトーフェスタ ハラダ「ティグレス シトロン」

 ラスク「グーテ・デ・ロワ」で有名な「ガトーフェスタ ハラダ」から,広島限定のレモンケーキ「ティグレス シトロン」が販売されています。(2018年7月10日販売開始)

(ガトーフェスタ ハラダ「ティグレス シトロン」(包装))
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 チラシには,
 「シトロンとは,フランス語でレモンを意味します。『ティグレスシトロン』は,ガトーフェスタ ハラダ自慢のチョコレートケーキ『ティグレス』を広島限定でレモンテイストにアレンジしたお菓子です。
 瀬戸内のレモンの果皮と果汁を生地に使用することで生み出される,フレッシュなレモンの魅力を焼き菓子にそのまま封じ込めたかのような味わいは,レモン本来の爽やかな酸味と香りを感じることができる逸品です。」
 と説明されています。

 そして,よく見ると,ロゴマークがレモン絞り器のデザインとなっています(笑)。

(ガトーフェスタ ハラダ「ティグレス シトロン」(レモンロゴマーク))
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 遊び心もありますね。

 期待を胸に,開封してみました。

(ガトーフェスタ ハラダ「ティグレス シトロン」)
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 横約7cm,幅約5.5cm,高さ約2cmの小判形(楕円形)です。

 中のくぼんだ部分にレモンチョコがたっぷりと入っています。

(ガトーフェスタ ハラダ「ティグレス シトロン」(中身))
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 断面を御覧いただくと,ケーキ生地にレモンチョコが厚めに流し込まれている様子がお分かりいただけるかと思います。

 このレモンチョコは,「酸っぱい」と感じるほどレモンの酸味が強く,レモンケーキ全体のレモン風味を引き立てています。

 ケーキ生地もしっとりとしてレモン風味が効いており,中には大きめのレモンピールもたくさん混ぜ込まれています。

 レモンケーキというよりは,レモンのショートケーキのような印象を持ちました。

 暑い時期は冷やすとより一層美味しくいただけるように思います。

 ちなみにガトーフェスタ ハラダでは,この広島限定ティグレスのほかにも,「ティグレス ノースホワイト」(ホワイトチョコ・北海道限定),「ティグレス 小倉餡」(小倉餡・愛知限定),「ティグレス マッチャ」(抹茶チョコレートと黒豆・京都限定)など地域限定菓子・お土産用菓子にも力を入れておられるようです。


(補足)「ティグレス」の意味について

 「ティグレス(Tigresse)」はどういう意味だろうかと手元のフランス語辞典で調べてみると,「ティグル(Tigre,「トラ」)」の女性名詞で「雌のトラ」という意味でした。

 フランス菓子の中に「ティグレ」と呼ばれる菓子があります。

 チョコチップなどを混ぜ込んだフィナンシェ生地の中心部にチョコレートなどを流し込んだ菓子で,その名称はフィナンシェ生地がトラ柄(ヒョウ柄)に見えることに由来しているものと思われます。

 そういう目で見てみると,ガトーフェスタ ハラダのティグレスシリーズは,パッケージがいずれも縦の縞模様ですし,ケーキ生地もチョコチップや小豆,黒豆などを混ぜ込んだトラ柄(ヒョウ柄)に仕上げられています。

 今回御紹介した「シトロン」の場合はレモンピールがそれに該当するのでしょう。


 「ガトーフェスタ ハラダ」(そごう広島店で販売)


 以上,レモン菓子・レモンケーキを購入される際の参考になれば幸いです。


<応用研究>
菓子・パンメーカーの全国展開と地域(店舗)限定ビジネス

 今回御紹介したレモンケーキは,いずれもオリジナル商品の強みを生かして全国に展開されている会社の商品です。

 ある地域の人気商品が全国で支持される人気商品へと発展し,やがて定番商品となると,新たな需要を喚起する新商品の開発も求められることとなります。

 そうした新商品を開発する際の有力な方法の1つが,地域の特長やオリジナリティを生かした「地域(店舗)限定商品」の掘り起しではないでしょうか。

 全国の店舗で人気のオリジナル商品を販売する一方で,地域・店舗を限定した商品にも力を入れるというビジネスモデルです。

 このビジネスモデルについては,とりわけ菓子・パンメーカーで顕著に取り組まれているように思います。

 地域の菓子・パンメーカーが全国展開し,やがて店舗を構える地域の特色を生かした「地域(店舗)限定商品」の開発・販売が行われ,その商品が地域(店舗)でヒットすれば再び全国展開させるという地域と全国の循環型ビジネスは,とても興味深いものがあります。


<関連リンク>
 「レモンのお菓子」(「chibiaya日記」)
 chibiayaさんが,関東で販売されているレモンケーキを中心に,レモンケーキの情報を詳しく紹介されています。

<レモンケーキ関連記事>
 「食文化関連記事一覧表・索引」の「食文化事例研究」にある「レモンケーキ・レモン菓子」を御参照ください。

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