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2018年9月24日 (月)

埼玉県秩父地域の国産メープルシロップ・カエデ糖菓子1 -メープルドック・パンケーキとメープルシロップ食べ比べ-

「秩父の奇跡」とメープルプロジェクト

 埼玉県・秩父の森には日本全国に生息するカエデのほぼ全ての種類(28種類あるうちの21~22種類)が生息していると言われています。

 これは,秩父地域が暖温帯と冷温帯の間に位置し,温かい気候を好む植物と寒い気候を好む植物の両方が生息できる地域(中間温林帯)にあたるからです。

 こうしたカエデをはじめとした秩父地域の豊かな植生環境は「秩父の奇跡」と呼ばれています。

 このことに着目し,秩父地域で自生するカエデの木から樹液を採取し,秩父産のメープルシロップ「和メープル」や様々なカエデ糖菓子などを販売して,秩父地域の活性化と豊かな森林づくりを目指すプロジェクトに取り組む人々がおられます。

 多種多様なカエデが自生する秩父地域はどんなところなのか,国産のメープルシロップとはどんな味なのか,秩父地域ではどんな取組みがなされているのか,どんなカエデ糖菓子が販売されているのか,次々と興味がわいてきます。

 そこで今回,もみじの本場・広島からカエデの本場・秩父へ行ってみることとしました。


日本初のシュガーハウス「MAPLE BASE」

 当日は,広島空港から空路で羽田空港へ,羽田空港から京浜急行電鉄本線,JR横浜線,JR八高線,西武鉄道秩父線と乗り継いで秩父へ行きました。

(西武鉄道(各駅停車・西武秩父行))
Photo
西武鉄道「東飯能駅」にて撮影

 ライオンズカラーの電車です。

 西武秩父駅に着き,メープルシロップが味わえるカフェや日本初のシュガーハウス(※)を有する「MAPLE BASE(メープルベース)」というお店を訪問しました。
 ※シュガーハウス…メープルシロップを製造する小屋

 西武秩父駅(または秩父鉄道・秩父駅)から西武観光バス「ミューズパーク線ぐるりん号」に乗って「ミューズパークスポーツの森」で下車し,ミューズパークの敷地に入って奥の右側にあります。

(「MAPLE BASE」店舗)
Photo_2

 カフェのメニューを見ると,パンケーキ,フレンチトースト,ナッツ,ジェラート,ソーダ,マキアート,ラテなどメープル入りの軽食・デザート・飲み物がたくさん用意されていました。

 私はこの店オリジナルのものを味わいたいと思い,「メープルドック」と「オリジナルパンケーキ(3枚)カナダ産メープルシロップ付き」のドリンクセット(アイスコーヒー),それにオプションで「秩父産メープルシロップ食べ比べ<アンバー&ダーク>」を注文しました。

 各テーブルには様々な種類のカエデの鉢が置かれていました。

(コミネカエデ)
Photo_3

 私が利用したテーブルには日本固有種のコミネカエデ(小峰楓)が置かれていました。

 さすがメープル専門店ですね。

 しばらくして,お店の方が出来上がった料理を運んできてくださいました。

 まずはメープルドックです。

(メープルドック)
Photo_4

 見た目は普通のホットドッグです。

 緑のきゅうり,赤いプチトマト,黄色いパプリカのピクルス付きです。

(メープルドック(拡大))
Photo_5

 いただいてみると,ジューシーなソーセージの下に,玉ねぎのメープルシロップ炒めがはさまれていました。

 ソーセージの塩気とメープルシロップで炒めた玉ねぎのほのかな甘みがマッチした,上品な味わいのホットドッグでした。

 野菜のピクルスもよいアクセントになっていました。


 しばらくすると,オリジナルパンケーキも焼き上がりました。

(オリジナルパンケーキと秩父産メープルシロップ食べ比べセット)
Photo_6

 「MAPLE BASE」特製のオリジナルパンケーキとメープルシロップのセットです。

 3枚のパンケーキがのせられたプレートの左横には3種類のメープルシロップが用意されています。

 上の白いリーフ皿に入っているのが,このパンケーキとセットの「カナダ産メープルシロップ」です。

 そしてその下に2つある透明なガラスのリーフ皿に入っているのがオプションの「秩父産メープルシロップ」で,上側の色がやや濃いのが「ダーク」,下側の色がやや薄いのが「アンバー」と呼ばれるメープルシロップです。

 パンケーキ3枚とカナダ産メープルシロップのセットは700円,オプションで注文した秩父産メープルシロップ(2種類)は何とそれだけで1,500円です。

 つまり,パンケーキ3枚とカナダ産メープルシロップのセットよりも,オプションの秩父産メープルシロップ1種類の方が高いこととなります。

 お店の方から随時御説明いただきながら味わいました。

 まずはカナダ産をいただきました。

 濃厚なコクと甘味で,馴染み深いメープルシロップの味でした。


 次に秩父産をいただきました。

 「アンバー」と「ダーク」の2種類がありますが,その違いは収穫時期から生じます。

 メープルシロップのもととなる樹液の収穫時期は2月から3月が中心で,その期間でもわずか2~3週間の違いで,早い時期だと淡いアンバー(琥珀色)に,遅い時期になると濃いダークになるのだそうです。


 まずは「アンバー」からいただきました。

 とてもサラリとして,上品な香りと甘さを感じました。

 その淡い味わいは,まさに「和」のテイストです。


 次に「ダーク」をいただきました。

 「アンバー」に比べてコクがあるのですが,それでもカナダ産と比べるとはるかに淡い風味・甘さに感じました。


 「ダーク」の方が甘そうに見えますし,実際味わってみても甘いと感じたのですが,実は「アンバー」も「ダーク」も糖度は同じ67度なのだそうです。

 好みはそれぞれと思いますが,私は上品な甘さで程よいコクのある秩父産メープルシロップの「ダーク」が一番好みでした。

 いずれにせよ,とても高価で貴重なメープルシロップなので,一滴残らずいただきました。


メープルシロップ製造機

 食事後,お店の方の御好意でメープルシロップ製造機を見学させていただきました。

(メープルシロップ製造機)
Photo_7

 樹液を煮詰め,蒸発させるエバポレーター(蒸発機)です。

 メープルシロップの本場,カナダ製の機械で,日本ではこのお店だけにあるそうです。

 手前に管の断面がありますが,製造時にはこれらの管をパイプでつなげて各槽を結びます。

 採取した樹液の糖度は2度前後なのですが,この製造機の樹液の水分を各槽で徐々に蒸発させて糖度を上げ,最終的には糖度が67度になるよう調節されます。

 メープルシロップは,元の樹液量の40分の1程度となります。

 燃料には山から採ってきた木(薪)が使われるそうです。

 カエデの樹液の採取時期が2月~3月なので,メープルシロップの製造時期はその後の3月~4月にかけて行われるとのお話でした。

 また,この製造機でメープルシロップを作るには丸一日かかるそうです。

 稼働中は,昼夜を問わず薪をくべて火加減を調節したり,シロップの仕上がりを確かめたりする必要があるとのことで,メープルシロップ作りはとても大変な作業だということが理解出来ました。

 メープルシロップに仕上げるまでには,このほかにも樹液の採取,木(薪)の運搬,スギ・ヒノキの間伐・運搬,カエデの植林など,その多くが人手に頼らざるを得ません。

 秩父産のメープルシロップが高価である一番の理由は,この人件費なのだそうです。


秩父産メープルシロップの魅力

 秩父産メープルシロップは,現在はまだ高価で贅沢な甘味料であることは間違いありませんが,それに勝る魅力があることも確かです。

 カナダ産のメープルシロップは数種類のカエデから作られるのですが,秩父産のメープルシロップは20種類以上ものカエデから作られています。

 そのため,ポリフェノール,カリウム,カルシウムなどが多く含まれ,風味豊かで上品な甘さの理由にもなっています。

 また,砂糖に比べてカロリーが低いという利点もあります。


 秩父地域の自然の恵みの結晶とも言える秩父産メープルシロップ(和メープル)とそれを使った秩父のカエデ糖菓子。

 皆さんも秩父産メープルシロップやカエデ糖菓子を味わい,その魅力を感じ取ってみてください。


<関連リンク>
 「MAPLE BASE(メープルベース)」(埼玉県秩父郡小鹿野町長留1129-1 秩父ミューズパーク内)

<参考文献>
 尾形希莉子・長谷川直子「地理女子が教えるご当地グルメの地理学」ベレ出版

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コメント

国産の、しかも埼玉産のメープルシロップなんてのがあるんですねえ!
もったいないから、出されたお皿をなめ回したくなりそうです(笑)
今回は、この店のために上京されたんですか?
コウジ菌さんの食の探求心には脱帽です!

chibiaya 様

コメントいただき,ありがとうございます。

そうです,高価で貴重なメープルシロップだけに,パンケーキできれいに拭っていただきましたよ。
自宅でしたらなめ回すでしょう(笑)
お土産に60gで3,240円のメープルシロップが売られてたのですが,買う勇気がありませんでした(笑)

chibiayaさんはお近くですし,御興味があればお出かけください。

今回の関東旅行のメインは,この秩父メープルとハンガリー料理でした。
あと…秩父は埼玉県有数の観光地なので,ご当地耳かき探しも目的でした(^^ゞ

このあともう1本,東京の食の記事を作成しますのでお楽しみに(^^)v

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