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2020年5月15日 (金)

黄檗山萬福寺の普茶料理(後編) -普茶料理の紹介(笋羹・麻腐・浸菜・油じ・雲片・飯子・寿免・醃菜・水果)-

 黄檗山萬福寺の普茶料理(前編)で普茶料理の概要を御紹介しましたが,後編では実際の普茶料理について御紹介したいと思います。

 今回は,私も煎茶道のメンバーとして,3人がまとまって料理をいただけるよう予約していただいたため,これから御紹介する料理は全て3人前であることを前提に御覧いただけたらと思います。

(普茶料理案内板(黄龍閣入口))
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 食事会場の黄檗山萬福寺「黄龍閣」入口です。

 普茶料理を目当てに広島からやってきただけに,期待が膨らみました。

 会場を案内していただき,いよいよ食事の開始です。

 普茶料理は,大皿に盛られた料理を個人の皿に取り分け,お茶を飲みながらいただくのが基本なので,それぞれの席には,箸,湯呑み,取り分け皿が用意されていました。

(個人用食器)
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 お茶を注いで飲みながら歓談していると,大皿に盛られた料理が運ばれてきました。


笋羹(シュンカン)

 「普茶料理の華」と称される「笋羹(シュンカン)」です。

(笋羹(シュンカン))
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 旬の野菜や乾物類の煮物などが大皿に盛られた料理です。

 萬福寺での行事や法要の際,来客のために修行僧が作ったのが始まりとされています。

 それでは個々の料理をみていきましょう。

(巻き湯葉の含め煮)
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(よもぎ麩の揚げ煮)
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(大徳寺麩のレモン添え)
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(かまぼこ擬き)
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 「擬き(もどき)」は本物そっくりという意味で,「擬き料理」は,見た目や味・食感までも本物そっくりに仕上げた料理を言います。

 精進料理には肉や魚が使えないことから擬き料理が発展しました。

 写真の「かまぼこ擬き」は,だしで長いもを煮て,周りに梅肉や食紅で色付けした後,油で揚げた料理です。


(黄檗豆腐)
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 醤油を含ませた押し豆腐です。「豆腐羹(とうふかん)」とも呼ばれます。

(しいたけの含め煮)
Photo_20200504220502

(ナスの田楽)
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(飛竜頭)
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 いわゆる「がんもどき」です。

(けんちん信田巻き)
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(もみじ麩)
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麻腐(マフ)

 麻腐(マフ)はごま豆腐のことです。

(麻腐(マフ))
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 胡麻豆腐の略なのでしょうが,私は麻婆豆腐を想像してしまいます(笑)


浸菜(シンツァイ)

 「浸菜(シンツァイ)」は「浸し物・浸し料理」という意味で,季節感のあるさわやかな味と色彩によって「淡味(たんみ)」の役割を果たす料理です。

(浸菜(シンツァイ))
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 写真上側の褐色の料理が「いんげんのきんぴら」,下側の白っぽい料理が「じゃがいもなます」です。


油じ

 「油じ」は食材ところもに下味をつけて油で揚げ,そのままいただく味付天ぷらのことです。

 「油じ」の「じ」は,食偏に「茲」と書きます。

(油じ)
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(大根)
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(高野豆腐アーモンド包み)
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(紅しょうが)
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(りんご)
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 なぜりんごまで天ぷらにするのか…私はまだまだ修行が足りません(笑)

(こんにゃく)
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(ごぼう)
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(里芋)
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(巴饅頭)
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 おかずと言うよりお菓子ですが,色どりのよさも重要なのだと思います。


雲片(ウンペン)

「雲片(ウンペン)」は野菜の葛あん煮のことです。

(雲片(ウンペン))
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 調理の際に出た野菜くずを雲のかけらのように細切りにし,さっと炒めて葛あんをかけた料理です。

 野菜は人参,レンコン,タケノコ,もやし,きくらげ,干しシイタケ,ゆり根,ぎんなん,グリーンピース,生姜などでした。

 揚げ素麺の上に野菜の葛あん煮がのせられていたので,あんかけかた焼きそばに似ていると思いました。

 無駄なく食材をいただくという仏教の教えに基づいており,普茶料理の代表的な料理の1つとなっています。


飯子(ハンツウ)・寿免(スメ)・醃菜(エンツァイ)

 「飯子(ハンツウ)」はご飯もののことで,ご飯は「行堂(ヒンタン)」と呼ばれる木の桶で用意されます。

 普茶料理では野菜や木の実を入れて炊き込むことが多く,銘茶の産地・宇治にある萬福寺では,お茶の葉が入れられることもあるようです。

 「寿免(スメ)」は汁もののことです。主に昆布だしが使われます。

 「醃菜(エンツァイ)」は香の物のことです。

(飯子(ハンツウ)・寿免(スメ)・醃菜(エンツァイ))
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 今回は「飯子」が豆ご飯,「寿免」がお吸い物(梅干しの天ぷらとゴマ入りすり豆腐),そして「醃菜」が昆布の佃煮,しば漬け,ひょうたん漬けでした。


水果(スイゴ)

 
普茶料理では,お菓子と果物を総称して「水果(スイゴ)」と呼びます。

 普茶料理は油を使った料理も多いので,甘味はその口直しという意味でも重要な役割を担っています。

(水果(スイゴ))
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 オレンジ,きなこ羊羹,抹茶団子をいただきました。


まとめ

 普茶料理がなんとなく中国料理っぽい雰囲気があることが御理解いただけたでしょうか。

 また,中国の陰陽五行説にも通じる「五味五色」(五味…甘・酸・鹹・苦・辛,五色…青・黄・赤・白・黒)の考えを重んじ,色も味もそのすべてがバランスよく盛り込まれているのも特徴です。
 ※鹹(カン)は塩味

 黄檗山萬福寺の境内の建物も,中国風の建物様式(中国・明の時代(末期)の建物様式)となっています。

(売茶堂・有声軒入口)
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 この門をくぐると,煎茶道の祖・賣茶翁をまつるお堂(賣茶堂)とお茶室(有声軒)があります。

 全国煎茶道連盟の本部も設置されています。

(文華殿)
Photo_20200509221201

 宝物館です。黄檗文化研究所も設置されています。


 京都・萬福寺でいただいた普茶料理。
 おなかも心も満腹になりました。


<参考文献>
 黄檗山萬福寺監修『萬福寺の普茶料理』学習研究社

<関連リンク>
 「普茶料理」(黄檗山萬福寺)

<関連記事>
 「黄檗山萬福寺の普茶料理(前編) -中国から伝えられた精進料理「普茶料理」の概要-
 「黄檗山萬福寺の全国煎茶道大会 -隠元と煎茶道-

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宗教・食文化史」カテゴリの記事

コメント

羊羹、がんもどき、人間もどき、もどき料理は精進料理の傑作ですね( ̄∇ ̄)
確かに油を多用する料理が多い気がします。
鎌倉の鉢の木という有名な精進料理店で白子の天ぷらを食べた事がありますが、
純粋な精進料理ではなく、懐石料理のコースだったと思います。
総持寺の食事、箱膳と申し上げましたが勘違いで、禅宗なのにお膳もなかった
様です(^。^)

なーまん 様

なーまんさん,続いてコメントいただき,ありがとうございます。
温かいお心遣いに感謝しております。

人間もどき…(笑)
もどき料理が多いですが,もどき料理は,本物を食べたい願望がある(または本物の味を知っている)にもかかわらず,それが食べられない状況があるから生み出されるものだと,グルメもどきの私は理解しています。
ベジタリアン向けの肉もどき料理も同じ考えだと思います。

野菜と大豆(植物性たんぱく質)中心の食で,満足できる料理をとなると,油が重要な役割を果たすのだと思います。
鎌倉の「鉢の木」,建長寺の精進料理のお店なんですね。
白子の天ぷら,これはぜひ味わってみたいです。魚ですから会席料理かな…。

総持寺のお話も興味深いです。
禅寺の食事は,最初にお経を唱え,最後に茶碗をお茶で洗って膳に戻すイメージがあります。

グルメな信徒の集まり「膳宗」を結成しますか(笑)

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