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2021年9月

2021年9月26日 (日)

山陰本線観光列車「○○のはなし」のはなし(往路:新下関駅-小串駅編)-みすゞのふるさと弁当-

 山口県の日本海・響灘(ひびきなだ)に沿って走る観光列車「○○のはなし(まるまるのはなし)」に乗車しました。

 「○○のはなし」とは,ちょっと変わった面白いネーミングです。

 このネーミングには,観光列車が走る沿線の頭文字,萩市の「は」,長門市の「な」,下関市の「し」の3市を舞台に,見て,聞いて,感じて,思い出に残る「はなし」にあふれた旅を楽しんでいただきたいという思いが込められています。

 この記事では,「○○」に食,鉄道,沿線などをあてはめたお話を中心に御紹介したいと思います。


新下関駅・○○のはなし乗車

 広島駅から新山口駅までは「新幹線 直前割きっぷ」を利用して新幹線「ひかり」で,新山口駅から新下関駅までは普通列車で新下関駅へ向かいました。

 広島駅から新幹線1本で新下関駅まで行かないところが私らしいのですが(笑),そのおかげで途中,山陽本線小月駅ホームで出発待ちの「○○のはなし」に出会いました。

 小月駅で「○○のはなし」を追い越し,1本早く新下関駅に到着しました。

(○○のはなし・看板・新下関駅)
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 新下関駅ホームに,長門市出身の童謡詩人・金子みすゞの「不思議」という詩とともに,「○○のはなし」の看板がありました。

 やがて多くの乗客が待ち構える中,「○○のはなし」がゆっくりと新下関駅に入線しました。

(○○のはなし・新下関駅ホーム入線)
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 ヘッドランプを輝かせながら,「○○のはなし」の登場です。

 新下関駅から下関駅(山陽本線)までは1号車が先頭車両に,下関駅で折り返して,下関駅から東萩駅(山陰本線)までは2号車が先頭車両になります。

 いよいよ「○○のはなし」の旅のはじまりです。


○○のはなし・下関駅停車

 新下関駅を出発し,次に「○○のはなし」は下関駅に到着しました。

 出発までしばらく時間があったので,ホームに降りてみました。

(○○のはなしと在来線・下関駅)
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 奥の黄色い列車が在来線,手前の赤い列車が「○○のはなし」です。

 在来線は電車,「○○のはなし」は気動車(ディーゼルカー)となります。

(下関駅・○○のはなし看板)
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 下関駅に設置された「○○のはなし」の看板です。

 左隣には,ACジャパンのCMでも流れた,金子みすゞの有名な詩「こだまでしょうか」の看板もあります。

 「私が往路で利用した新幹線はこだまでしょうか,いいえ,ひかりです(笑)」

(○○のはなし沿線マップ・下関駅)
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 ※画像をクリックすると拡大します。

 沿線マップを御覧いただくとおわかりのように,「○○のはなし」は山口県北西部を日本海・響灘沿いに走る観光列車です。

 多くの観光名所・ビュースポットがある,魅力にあふれたルートです。


○○のはなし・1号車と2号車の様子

 続いて「○○のはなし」の1号車と2号車を御案内します。

 まずは1号車です。

(○○のはなし・1号車外観・下関駅)
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 列車正面には,夏みかんとハマユウの花がデザインされています。

 1号車は緑色を基調とした和風車両となっています。

(○○のはなし・1号車車内)
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 1号車車内の様子です。和風レストランのような車両となっています。

(○○のはなし・1号車・テーブル席(2人用))
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 座席の一部が畳となっており,靴を脱いでくつろげる作りとなっています。

(○○のはなし・1号車・天井の扇風機)
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 天井の扇風機も和のテイストを盛り立てています。

 車内には,沿線にまつわる様々な展示品もありました。

(萩焼の展示)
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 「一楽二萩三唐津」と茶人に愛され,使いこむほどに味わいが生まれる「七化け」で有名な萩市の萩焼です。

(木育アートの展示)
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 長門市産の木材で制作された鯨や「○○のはなし」の案内板です。
 長門市は「木育(もくいく)」に力を入れておられます。

(やきとり・はぎ御膳・ふく恋盛りの展示)
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 こちらは,長門市の「やきとり」,萩市の「はぎ御膳」,下関市の「ふく恋盛り」です。

 長門市は,人口1万人あたりのやきとり店舗数が日本トップクラスです。
 長門市のやきとりの特徴は,①ガーリックパウダーや一味・七味の唐辛子をかけて食べること,②玉ねぎとちぎりキャベツが使われること,③海鮮料理も味わえるお店が多いこと,にあるそうです。

 「はぎ御膳」は,萩の味覚を贅沢に盛り合わせた御膳で,萩市内の料理店で味わうことが出来ます。

 「ふく恋盛り」は,ふぐ刺しをピンクの皿にハート形に盛り付けた料理です。
 「ふく恋実行委員会」が中心となった企画で,ホテル,飲食店,お取り寄せと様々な方法で味わうことが出来ます。

 続いて2号車を御紹介します。

(○○のはなし・2号車外観・下関駅)
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 2号車は濃い赤茶色を基調とした洋風車両となっています。

(○○のはなし・2号車車内)
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 2号車の車内の様子です。

 すべての席が海側に向けられており,階段のように段差も設けられていて,全体的に車窓の景色が楽しめる車両となっています。

(○○のはなし・2号車・販売カウンター)
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 2号車にはオリジナルグッズなどが販売される販売カウンターも設置されています。


○○のはなし・下関駅出発

 下関駅出発時刻が近づいてきました。

(○○のはなし・下関駅・出発待ち)
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 下関駅で折り返しとなり,2号車が先頭となります。

 私も車内の席へ戻り,出発を待ちました。

 販売カウンターでは乗務員の皆さんが営業の準備をされていました。

 10時20分,「○○のはなし」は東萩駅へ向け,下関駅を出発しました。


「みすゞのふるさと弁当」

 下関の流れゆく景色を眺めていると,しばらくして車掌さんから,車内放送で「○○のはなし」についての御案内がありました。

 締めくくりに「最高のみやげ話を持ち帰っていただければと思います」とおっしゃったのが印象的でした。

 幡生(はたぶ)駅で,乗務員の方が事前予約したお弁当を席まで持ってきてくださいました。

 下関の料亭「古串屋」の「みすゞのふるさと弁当」です。

(みすゞのふるさと弁当と緑茶)
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 長門出身の金子みすゞさんにちなんだ,長門ゆかりの美味しい食材を詰め込んだお弁当です。

 テーブル敷や箸袋は「○○のはなし」オリジナルです。

 この日は「乗り鉄」・「撮り鉄」など,鉄道ファンの方もたくさん乗車されていました。

 そんな中,「私は食べ鉄」と言い聞かせながら(笑),食事を楽しみました。

(みすゞのふるさと弁当)
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 料理を個別に御紹介します。

【出汁巻・蒲鉾・甘鯛若狭焼き・長州鶏焼き鶏】

(出汁巻・蒲鉾・甘鯛若狭焼き・長州鶏焼き鶏)
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 「出汁巻(玉子)」,「蒲鉾」,「甘鯛若狭焼き」,「長州鶏焼き鳥」です。

 長門市仙崎は蒲鉾が有名で,地元のお店には蒲鉾がずらりと販売されています。

 甘鯛の若狭焼きは,身とともに甘鯛のうろこもパリパリに焼いた料理です。

 出汁巻(玉子)や焼き鳥は,養鶏が盛んな長門ならではの料理です。
 焼き鳥は,今回は白ねぎ(ねぎま)でしたが,これを玉ねぎに変えて長門流の「やきとり」に仕上げても良いと思います。

【イカウニ和え・ふくあられ揚げ】

(イカウニ和え・ふくあられ揚げ)
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 細長く切ったイカにウニを和えた「イカウニ和え」と,丸いあられを衣にしてふぐを揚げた「ふくあられ揚げ」です。

 イカ,ウニ,ふぐと,どちらかというと下関をイメージさせる海産物の料理です。

 イカは豊北(ほうほく)地域で水揚げされる「下関北浦特牛イカ」が名産品です。

 「特牛」は地名で,「こっとい」と読みます。
 「○○のはなし」の停車駅の1つでもあり,全国の難読地名・駅名の1つとなっています。

【あじ南蛮漬け・筑前煮・イカゲソ辛子味噌掛け・オクラ】

(あじ南蛮漬け・筑前煮・イカゲソ辛子味噌掛け・オクラ)
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 アジやイカ(ゲソ)など,海の幸を使ったおかずが盛りだくさんです。

 「イカゲソ辛子味噌掛け」は,ゲソとは思えないほど身が柔らかく,辛子酢味噌とよく合う一品でした。

 オクラについては,山口県は白オクラが伝統野菜となっていることも見逃せません。

【鯨大和煮・長門産鰻のうざく・山口県産豚フライ】

(鯨大和煮・長門産鰻のうざく・山口県産豚フライ)
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 鯨と言えば下関というイメージが強いですが,実は長門も昔から捕鯨で有名な地域です。

 「下関さかな祭」などでは,下関の醤油仕立ての鯨汁と長門の味噌仕立ての鯨汁が用意され,両地域の鯨料理を味わうことができます。

 また,山口県産の豚が使われたフライや,海水で養殖した新名物「海うなぎ」を使った「長門産鰻のうざく」も美味しくいただきました。

【鶏五目飯・奈良漬け】

(鶏五目飯・奈良漬け)
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 長門の鶏料理として,鶏の五目めしが用意されていました。

 奈良漬けもアクセントとして五目飯とよく合いました。

【茄子田楽・夏みかん寒天寄せ】

(茄子田楽・夏みかん寒天寄せ)
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 長門はナスも多く作られており,中でも「田屋(たや)なす」は長門の伝統野菜として評価されています。

 夏みかんは長門市仙崎で原樹が発見され,萩市から広まった柑橘です。
 萩市内には夏みかんのお土産がたくさん販売されています。
 夏みかん寒天寄せは,夏みかんの甘さとほろ苦さを寒天でうまく包み込んだデザートでした。

【紫蘇わかめ御飯】

(紫蘇わかめ御飯)
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 最後に「紫蘇わかめ御飯」を御紹介します。

 このご飯は,金子みすゞさんが「わかめむすび」が大好物だったことにちなんでいます。

 萩では,昔から天日干しのわかめを細かく刻んでご飯にふりかけて食べる食文化があります。

 私は「文豪」,「生まれ故郷の食」,「海産物のおむすび」というつながりで,太宰治が好物だった「若生(わかおい)おにぎり」を思い出しました。

 観光客にとっては,こうした地元で愛され続ける,地元ならではの食が一番の御馳走だったりします。

 紫蘇わかめ御飯は,山口県内を中心に,萩・井上商店の「しそわかめ」などふりかけタイプのものも多く販売されており,お手軽に味わうことが出来ます。

(みすゞのふるさと弁当と在来線・小串駅)
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 小串駅で在来線に出会いました。

(みすゞのふるさと弁当と響灘)
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 真っ青に広がる海を眺めながらお弁当をいただきました。

 日常から離れ,車窓からのんびりと景色を眺めながらいただく食事は最高だなと,「乗り鉄」や「撮り鉄」に囲まれた自称「食べ鉄」は思ったのでした(笑)


<関連サイト>
 「○○のはなし」(JRおでかけネット)
 「やきとりのまち ながと」(ながと観光なび「ななび」)
 「はぎ御膳・はぎ弁当」(萩市観光協会)
 「ふく恋盛り」(ふく恋実行委員会事務局)
 「料亭 古串屋」(山口県下関市長府南之町5-15)
 「白オクラ」(「おいでませ山口へ」山口県観光連盟)
 「くじら博物館」(ながと観光なび「ななび」)
 「田屋なす」(「おいでませ山口へ」山口県観光連盟)
 「萩夏みかんセンター」(山口県萩市大字椿東4860)
 「萩・井上 しそわかめ」(山口県萩市東浜崎町9-1)

<関連記事>
 「津軽鉄道食景色2 -若生おにぎり,中まで赤~いりんごジャム,干し餅,五農産米-
 観光列車・イベントの記事については,パソコン版サイト「食文化関連記事一覧表・索引」の「食文化体験・イベント」も御覧ください。

2021年9月19日 (日)

福島県桑折町「献上桃の郷」の川中島白桃 -桃の特徴・美味しい桃の選び方・グローバルギャップ-

「フルーツ王国」・「くだもの王国」福島県

 福島県はりんご,桃,梨,ぶどうなど果物の栽培が盛んな県で,「フルーツ王国」・「くだもの王国」と呼ばれています。

 JR東日本の磐越西線・東北本線では「フルーティアふくしま」という観光列車が運行されており,フルーツをふんだんに使ったオリジナルスイーツを味わうことが出来ます。

 今回はそんな「フルーツ王国」・「くだもの王国」福島県の桃に注目してみたいと思います。


福島の桃

 江戸時代まで,桃は主に花を愛でる観賞用として栽培されていました。

 福島で現在のような食用の桃の栽培が始まったのは,明治24年頃のことです。

 阿武隈川流域(現在の桑折町や伊達市など)に中国・河北系や欧米系品種の桃が導入され,栽培されたのが始まりと言われています。

 現在では,福島県の桃は山梨県に次いで全国第2位の生産量を誇り,福島県の代表的な果物の1つとなっています。


「献上桃の郷」福島県桑折町

 今回,私は「献上桃の郷」として知られる福島県桑折町(こおりまち)の桃をお取り寄せしました。

 「献上桃」とは,皇室や宮家へ献上される桃のことで,「献上桃の郷」は,それだけ立派で美味しい桃が生産・出荷されているふるさとの地という意味です。

 この桑折町の農家さんから送っていただいた魅力的な桃と,その農家さんから教えていただいた桃にまつわるお話などを御紹介したいと思います。


福島県桑折町「はねだ桃園」の桃をお取り寄せ

 2021年8月下旬に,福島県桑折町「はねだ桃園」の桃をお取り寄せしました。

 その約1か月前にネットで注文したのですが,その時点では「その時期にもっともおいしい(桃の)品種をお届けするため,品種の指定はできません」とのお話だったので,どんな品種の桃が届くのかワクワクしながら到着日を待ちました。

 そして,待ちに待った福島の桃が自宅に届きました。

 福島から遠い道のりを経て広島まで届いたかと思うと,とても感慨深いものがあります。

 箱を開けてみました。

(川中島白桃(箱詰め))
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 大きな「川中島白桃」が4個,箱詰めされていました。

 普段お店で見かける桃に比べて,一回り大きな印象を受けました。

(川中島白桃(拡大))
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 手に取ると,ずっしりと重みを感じました。そして,桃の甘い良い香りがしました。

(川中島白桃(サイズ))
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 川中島白桃のサイズ(直径)は約11cmありました。

 「はねだ桃園」の羽根田幸将さんからのメッセージカードも添えられていました。

 そのメッセージには,次のとおり書かれていました。

 こんにちは。はねだ桃園です。
 本日収穫したばかりの『川中島白桃』をお届けしました。
 川中島白桃は晩成の桃を代表する品種です。
 肉質がしっかりしていて,もっちりとした食感と強い甘みが特徴の品種です。
 暑い日が続きますが,旬の桃を食べて健やかな日をお過ごしください。
 直射日光を避け,風通しの良い涼しい場所で保管してください。
 やや硬いと感じたら数日間追熟してください。
 はねだ桃園 羽根田幸将

 深い愛情を込めて育てられた桃なのだろうなと思いながら,読ませていただきました。

 メッセージカードの裏には,羽根田幸将さんの描かれた絵がありました。

(羽根田幸将さんの絵「黄金桃」)
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 羽根田幸将さんは絵画がお得意で,美術を学ばれた御経験もあります。

 羽根田さんのお人柄そのもののような,やさしさや穏やかさが感じられる絵です。


最高の桃を最高の食べ方でいただく

 川中島白桃をじっくり眺めてみると,表面に細かな産毛がたくさん生えていることがわかりました。

(川中島白桃)
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 桃を氷水で冷やし,皮付きで食べるのが最高の食べ方なのだとか。

 桃を冷蔵庫でなく氷水で冷やす方法は,私が通うフランス料理店のシェフからも教わったことがあります。

 桃は冷やしすぎるとその甘みを感じにくくなってしまうからです。

 また,桃は皮と身の間に甘みや栄養素が最も多く含まれているため,皮付きのまま食べても美味しいようです。

 ならば最高の桃を最高の食べ方で食べてみようと,まずは桃を氷水で約15分間冷やしました。

(桃を氷水で冷やす様子)
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 桃を冷水に入れると,水面にたくさんの産毛(うぶげ)が浮きました。

 そこで,水の中で桃の表面をやさしくこすり,産毛を取り除きました。

(桃の産毛を取り除いた様子)
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 産毛を取り除くと,桃の皮が鮮やかな赤色に変化しました。

 この桃に,包丁で種にそってぐるりと切れ目を入れ,アボカドの種を取るように種から果肉を取り外しました。

(川中島白桃(四等分))
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 完熟の桃は種の周りの赤い部分も甘いため,カットは最小限にし,皮付きと皮なしの両方を味わいました。

(川中島白桃(皮付き・皮なし))
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 まずは皮付きからいただきました。

 桃の甘く魅惑的な果汁が口の中でほとばしり,一瞬にして幸せな気持ちになりました。

 皮も全く渋みがなく,桃の香りが一層引き立っていました。

 続いて皮なしをいただきました。

 皮を取り除くと,桃の果実の食感だけになり,贅沢感が増しました。

 結果的に私は「皮なし」が好みでしたが,皮付きの食べ方をおすすめできるとは,栽培に自信を持っておられ,安全な桃であることの証明だと思いました。


桃について理解を深める

 福島県桑折町「はねだ桃園」の羽根田 幸将さんと南 和希さんのお話をウェブで伺うことが出来ました。

 農園見学あり,桃にまつわるクイズありの楽しいひとときで,桃について色々と学べる機会となりました。

 今回,桃について学んだことなどを御紹介したいと思います。

【1本の木からできる桃の数】
 桃の木1本から約500個の桃ができる。

【桃栗三年柿八年】
 桃は果実がなるまで約3年かかり,4年目ぐらいから出荷できるようになる。その後10年から15年が結実のピークで,20年程度で寿命(桃の生産量減少)となる。

【桃がお尻の形をしている理由】
 桃はもともと左右に角が生えたような形をした果実だった。その後の品種改良によって徐々に現在の丸い形となった。

【美味しい桃の選び方】
 「色」…桃の軸があった方(日が当たってない方)の色(地色)がクリーム色のものがよい。
 「果点(かてん)」…太陽にしっかり当たった桃は,表面に白いそばかす(果点)ができる。これが多い桃は甘い。
 「大きさ・形」…縫合線(割れ目)から左右対称の桃を選ぶ。横幅が広がり過ぎている桃は,中の種が割れて渋くなっている可能性大。
 「触感」…表面がスベスベしている桃が食べ頃。(※鳥などに食べてもらいやすいよう,熟すと表面がスベスベになる。)

【収穫時期の違いによる特徴】
 「早生(わせ)」(早い時期に収穫する品種)の桃はジューシーで肉厚,「晩生(おくて)」(遅い時期に収穫する品種)の桃は甘くて大きい。

【摘果(桃の間引き)】
 桃が多くなりすぎると木に負担がかかるため,「摘果(てきか)」が行われる。
 摘果した桃は,そのまま土に戻し,肥料とされる。

【地面からも太陽光】
 桃の木の地面に反射シートを敷き,下からも桃に太陽光を当てている。

【商品となる桃は1%の超エリート】
 桃の元になる100個の花芽(はなめ)から,選別作業が繰り返され,最後に商品になる桃はたった1個。

【日本の桃の生産量トップ3】
 1位:山梨県,2位:福島県,3位:長野県 (この3県で生産量の約6割を占める)

 最後の日本の桃の生産量トップ3については,中国地方(広島県)に住む私にとって「桃は岡山県」というイメージが強いので,少し意外に感じました。

 ちなみに,広島県内でも,三原市大和町の「阿部農園」(阿部白桃・阿部水蜜)や「部谷(ひや)桃園」など,オンリーワンの桃や美味しい桃が生産されています。

 何か1つでも参考になれば,そして桃に興味を持っていただけるきっかけとなれば幸いです。


まとめ

 「はねだ桃園」さんの美味しい桃を堪能し,桃のことをたくさん学べました。

 東日本大震災・福島第一原発の影響を受けた「フクシマ産」という風評被害からの克服,日本初となる桃農家の「グローバルギャップ(GLOBAL G.A.P)」の導入・販路拡大など,困難に立ち向かいながらも常に前向きに取り組まれている姿が印象的でした。
 ※農家が食品の安全性や環境保全,労働安全などに配慮して営農していることを認める国際的な認証制度。(G:GOOD(良質な),A:AGRICULTURAL(農業の),P:PRACTICES(実践・行い))

 そして,羽根田さんの「『誠実』って,言ったことを成して実らせるという意味だと思います」という言葉に,お人柄や「はねだ桃園」の桃のすべてが表されているように思いました。

 最後に私は,羽根田さんと南さんへウェブカメラから,「美味しい桃でした。桃を皮ごといただいたのは生まれて初めての経験でした(笑)」とお伝えしました。

 捨てるはずの種さえも愛おしく感じた福島県桑折町の桃。

 愛情をたっぷり込めて育てられた桃をぜひ御賞味ください。


<関連サイト>
 「はねだ桃園」(桑折町大字谷地字石近28-3)
 「献上桃の郷・桑折町」(福島県桑折町)
 「ふくしま。GAPチャレンジ」(福島県農林水産部環境保全農業課)
 「フルーティアふくしま」(のってたのしい列車・JR東日本)
 「阿部農園」(広島県三原市大和町大草20911-18)
 「部谷桃園」(広島県三原市大和町上徳良84)

<参考文献>
 「東北食べる通信」(2018年7月号「白桃」・NPO法人 東北開墾)

2021年9月12日 (日)

歯医者さんが作ったチョコレート -虫歯予防効果が期待されるキシリトール入りチョコレート-

歯医者さんおすすめのチョコレート

 先日,食事中に左下奥歯の詰め物(銀歯)がとれました。

 こういうことは突然やってくるものです。

 過去に虫歯の治療で斜め半分以上削り取られた箇所の銀歯なので,歯が1本抜けたかのような衝撃でした。

 近所の歯科医院へ連絡し,治療していただくこととなりました。

 歯科医院で受付を済ませ,待合室で診察・治療を待っていると,壁に興味深いポスターが掲示されていました。

 「歯医者さんが作ったチョコレート」のポスターです。

(歯医者さんが作ったチョコレート(ポスター))
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 チョコレートで虫歯予防,しかも食べると歯が強くなるとは,画期的な商品です。

 甘味料に天然素材の「キシリトール」が使われていることがポイントです。

 砂糖と異なり,キシリトールは歯を溶かす酸を作らせず,歯垢の細菌を少なくする効果があるようです。

 私は再度受付へ行き,職員の方に「この『歯医者さんが作ったチョコレート』1袋ありますか」と伺いました。

 すると職員の方から,「あっ,ありますよ。帰りに御用意しておきますね。お子様にお配りしているお試し用がありますので良かったらどうぞ」と,チョコレートを2~3個すすめていただきました。

 私は「このチョコレートはお子様にお渡しください。お気持ちだけありがたくいただきます」と感謝の意を申し上げました。

 子供達の楽しみや食体験の機会を奪いたくないという気持ちが強かったのと,(歯医者さんおすすめとは言え,)チョコレートを食べた直後に歯の治療をしてもらうことに少し後ろめたさを感じたからです。

 初日の治療(レントゲン,歯の型取り)を終え,受付で診療代とチョコレートの代金をお支払いしました。

 「診療費は保険適用なので,キシリトールチョコレートは別会計でキッチリトールのか(笑)」と思いつつ,帰宅しました。


「歯医者さんが作ったチョコレート」とは

 今回私が歯科医院で購入したチョコレートはこちらです。

(歯医者さんが作ったチョコレート(包装))
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 「歯医者さんが作ったチョコレート(2週間お試し用)」です。

 「チョコレート大好き,でも虫歯が心配,そんなあなたにキシリトールチョコレート」
 「キシリトールの作用で虫歯菌の繁殖を防ぎ,プラークが激減すると言われております。(個人差があります)」

 チョコレートで虫歯になるというイメージをひっくり返す,夢のようなお菓子です。

(歯医者さんが作ったチョコレート(中身))
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 袋の中にハート形のチョコレートが個別包装されていました。

 そして袋の裏面には,キシリトールの説明書きがありました。

(キシリトールの説明)
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 説明書きには,
 ・キシリトールはフィンランドで虫歯予防効果が認められている新甘味料
 ・口腔内の細菌による酸の産生がほとんどない
 ・歯の再石灰化が期待できる
 ・虫歯菌の繁殖を防ぎ,プラーク(歯垢)を減少させる
 ・キシリトールの代謝はインシュリンに依存せず,血糖値を上昇させない
と,キシリトールの特長が記載されていました。

 また別の欄には,チョコレート摂取の目安・方法が書かれていました。

(摂取の目安・方法)
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 摂取の目安として,
 「1回の摂取目安は,幼児(2歳以上)で1粒程度,小児(5歳以上)で1粒から3粒程度」
 「1日の摂取目安は1~3回程度」
と,薬と同じように説明されていました。

 さらに摂取方法として,「歯磨き後,寝る前に摂取すると効果的です」とありました。

 「歯磨きをしたら,もしくは寝る前には,甘いものを食べてはならない」
 という教えを固く信じて生きてきた私にとって,その教えを根底から覆す話なので,とても驚きました。


「歯医者さんが作ったチョコレート」を味わう

 治療2日目(歯の型取り(2回目),歯石除去)で歯科医院に伺った際,職員の方から「チョコレートはどうでしたか」と聞かれ,私は「あっ,実はまだ食べてないんですよ。歯が欠けた状態では食べる気になれなくて…」とありのままの複雑な心境をお話ししました。

 職員の方からは「確かにそうですね」とおっしゃっていただきましたが,私は心の中で「次回(最終日)こそはきちんと食べた感想をお伝えしよう」と決めました。

 そこで,まだ歯が完治してない状態でしたが,チョコレートをいただいてみました。

(歯医者さんが作ったチョコレート)
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 一口大でハート形のかわいいチョコレートです。

 いただいてみると,見た目,味,食感のいずれも一般的なチョコレートとほぼ一緒でした。

 強いて言えば,キシリトール特有のひんやり感が舌でわずかに感じられた程度です。

 これで虫歯を気にせず食べられるのですから,ありがたいチョコレートです。

 キシリトールで作られているため,少し高価なチョコレートですが,御興味を持たれた方は,歯科医院やネット通販などでお試しください。


 治療最終日(銀歯の詰め・仕上げ)に,今度は私から職員の方に「チョコレートいただきました。普通のチョコレートと同じ味わいで驚きました。美味しかったです」と御報告しました。

 すると,その職員の方から笑顔で「普通のチョコレートと一緒ですよね。チョコレートのお買い求めだけでもいいので,また(当院へ)お越しください」とおっしゃっていただきました。

 私の歯にも,歯医者さんが作った銀歯を詰めていただき,これで虫歯を気にせず何でも食べられるようになりました。


<関連サイト>
 「歯医者さんが作ったチョコレート・キシリの力チョコレート・キシリっ子クラブ」(株式会社ヘルスケア21)

2021年9月 5日 (日)

岩手県釜石市 初夏のドンコ -ドンコの刺身・ドンコのみそ焼き・ドンコの肝煮・ドンコ汁-

「鉄と魚とラグビーの街」釜石

 岩手県釜石市は,「日本製鉄株式会社(東日本製鉄所釜石)」,リアス式海岸による天然の良港「釜石港」,そしてラグビーチーム「釜石シーウェイブス(前身:新日鐵釜石ラグビー部)」を擁する「鉄と魚とラグビーの街」です。

 今回はそんな釜石の「魚」の1つ「ドンコ」を御紹介したいと思います。


ドンコについて

 「ドンコ(鈍子)」は,東北以北に生息する深海魚で,タラの仲間です。

 正式名称は「エゾイソアイナメ」です。

 確かに見た目は大きなアイナメに似ています。

 紫色の鱗(ウロコ)と,肝が大きいことが特徴の白身魚です。

 三陸の冬の味覚として有名ですが,実は通年で漁獲でき,初夏の方が脂がのって肝も大きいようです。

 私は子供の頃よく釣りに行き,その際に釣れたハゼのような魚をドンコと呼んでいました。

 西日本でドンコと言えば,このハゼのような魚をイメージされる方も多いと思います。

 「ドンコ」は,北日本と西日本では異なる魚の呼び名となっています。


ドンコ漁について

 釜石市の漁師・佐々木洋裕(ひろやす)さんのドンコ漁を御紹介します。

 佐々木さんは,陸から5~6km沖で漁を行われています。

 漁法は「カゴ漁」で,100個前後のカゴが付いた長いロープを水深120~180mの海底に約2kmに渡って仕掛け,カゴに入った魚介を獲るというものです。

 カゴには,エサとしてサバやサンマを投入します。

 このカゴを1日に600~700個(6~7セット)水揚げされています。

 ドンコのほかに,タコ,毛ガニ,ツブ貝,カレイなどが水揚げされます。

 ウェブで実際に水揚げされた魚介を見せていただいたのですが,ほかにもメガラ(沖メバル),キツネメバル,ニジイロカジカ,オコゼ,ナメタガレイ,タラ,アイナメ,バイ貝など様々な種類の魚介が並べられていました。

 ちなみに,獲れて嬉しい魚介は,大きなタコや毛ガニだそうで,これまでに20~30kgもある巨大ダコを獲られたこともあるそうです。

 夜中から明け方にかけて出航し,漁を終えての帰港は昼前後と,長時間労働になるようです。


ドンコをお取り寄せ

 今回,漁師・佐々木洋裕さんが岩手県釜石市沖で獲られたドンコをお取り寄せしました。

 漁獲後すぐに氷詰めされたドンコが,岩手から広島まで,遠い道のりをクール便で送られてきました。

 発泡スチロールの箱を開けると,大きなドンコが2尾詰められていました。

(ドンコ(箱詰め))
Photo_20210905074701

 ふたを開けた瞬間,潮の香りがパーッと部屋中に広がりました。

 氷は溶けていましたが,冷たくて新鮮な状態で届きました。

 佐々木洋裕さんのお話では,ドンコの鮮度を保つため,水揚げ後に神経締めをし,エラを外したものをお送りいただいたそうです。


ドンコの見た目

 ドンコを箱から取り出してみました。

(ドンコ)
Photo_20210905075001

 ずっしりと重く,大きなドンコが入っていました。

 体長を測ってみました。

(ドンコ(体長))
Photo_20210905075101

 体長は40cm近くありました。

 ところで,ドンコの口から白く丸いものが飛び出ているのが気になりませんか。

 魚にお詳しい方や釣り好きの方は御存知だと思いますが,これは深海魚が海上に引き上げられた際に,水圧が急激に低くなる関係で口から胃袋が飛び出したものです。

(ドンコ(胃袋))
Photo_20210905075401

 正面から眺めると,とてもかわいい顔をしています。

 それだけに,口から胃袋が飛び出た様子は,ちょっと痛々しいです。


ドンコをさばく

 それではドンコをさばいてみます。

 まずは出刃包丁でウロコを除きました。

(ドンコ(出刃包丁でウロコを除いた様子))
Photo_20210905075501

 ウロコを除くと,全身が白っぽくなりました。

 ちなみにこのウロコ,三陸では「こけら」と呼ばれているそうです。

 次にお腹を割いてみました。

(ドンコ(腹を開いた様子))
Photo_20210905075801

 ドンコのお腹の中の様子です。

 内臓がたっぷり入っています。

 ここでいったん,口から飛び出ている胃袋を口の中に押し込み,元に戻しました。

(ドンコ(口から飛び出た胃袋を戻した様子))
Photo_20210905080101

 ドンコの顔,特に目がかわいいなと思いつつ,調理という名の解剖は続きます(笑)

 これまでの写真でもおわかりのように,ドンコのお腹には大きな肝(キモ)があります。

(ドンコの肝)
Photo_20210905080201

 この写真を御覧になって「キモい!」と思われた方,正解です。

 これがドンコの肝です。

 このほかにも,ドンコのお腹には内臓がたっぷり入っていました。

(ドンコ(胆のう(苦玉)・腸・肝))
Photo_20210905080401

 こちらはドンコの胆のう(苦玉),腸,肝などです。

 写真中央にある深緑色の胆のう(苦玉)は食べられないので,慎重に取り除きます。

(ドンコ(胃袋・肝))
Photo_20210905081101

 ドンコの胃袋(写真左下)と肝(写真右下)などを取り出した様子です。

 体に比べて肝の割合が大きく,アンコウの肝やフォアグラのようだと思いました。

(ドンコの卵)
Photo_20210905081201

 透明感のある赤みを帯びた卵もありました。

 ひととおり内臓(ワタ)を取り出したところで,ドンコを三枚おろしにしました。

(ドンコ(三枚おろし))
Photo_20210905081401

 私の包丁捌きが未熟なため,骨にいっぱい身が残っています。

 冷水に浸かった状態で届いたドンコをすぐに捌いたのも原因です。

 ただ,身がとてもやわらかく,さばくのが難しい魚であることは確かです。

 私はアンコウをさばいた経験はありませんが,やわらかい身を吊るし切りするアンコウと似た特徴を持つ魚だと思います。

 肝が大きく珍重されるところも,アンコウとそっくりです。


ドンコの刺身

 三枚おろしにした身の部分(フィレ)の皮を包丁で除き,刺身にしてみました。

 身の水分が多いので,皮を除くのも苦労しました。

(ドンコの刺身)
Photo_20210905094701

 ドンコの刺身です。

 身が捌きにくいため,生のドンコは刺身だけでなく,ネギ・味噌・肝などを和えて包丁で叩いた「なめろう」にして食べられることも多いようです。

 見た目はいまいちですが,ふわっとしたやわらかさで,甘みがある美味しい白身でした。


ドンコのみそ焼き

 下処理をしたドンコの切り身(フィレ)のお腹の部分に「肝味噌」を詰めて焼いた「ドンコのみそ焼き」も作りました。

 お腹に詰めた「肝味噌」は,ボウルにドンコの肝・味噌・酒を加え,混ぜ合わせたものです。

(ドンコに肝味噌を詰めた様子)
Photo_20210905100901

 本来は,三枚おろしではなく,内臓を取り出した段階で,そのお腹の中に「肝味噌」を詰め直し,1尾丸ごと焼くのが正しい調理法です。

 こうして下拵えしたドンコを,オーブンレンジの「焼き魚メニュー」で焼きました。

(ドンコのみそ焼き(焼き上がり))
Photo_20210905101101

 肝味噌をしっかりとお腹に詰めて焼かないと,こうなります(笑)

 写真右下は,ドンコの卵を焼いたものです。

 お皿に盛り付け,いただきました。

(ドンコのみそ焼き)
Photo_20210905101102

 やわらかくて淡白な味のドンコの身に,濃厚でコクのある肝味噌がよく合いました。

 焼いた姿はホッケにも似ています。

 いずれにせよ,ドンコのみそ焼きを作る際は,ドンコのお腹の中に肝味噌をしっかり詰めて焼くことを肝に銘じておく必要があります。


ドンコの肝煮

 肝がたくさんあったので,シンプルな肝煮も作ってみました。

(ドンコの肝煮)
Photo_20210905101501

 ドンコの肝を,酒・みりん・醤油で煮詰めたものです。

 煮汁に肝の美味しい脂がプワーッと出てきました。

 アンコウやカワハギの肝と同様,ドンコは肝も美味しい魚であることを改めて認識しました。


ドンコ汁

 下処理したドンコをぶつ切りにし,細かく刻んだ内臓と一緒に煮込んで,「ドンコ汁」を作りました。

 具材は,ドンコのほかに,大根・白ねぎ・豆腐を入れました。

 鍋に水と大根を入れて茹で,大根がやわらかくなったら,残りの食材と酒を加えてひと煮立ちさせ,最後に味噌で調味した料理です。

 全てを味わってみたいと,ドンコの頭・胃袋・腸なども入れ,土鍋で豪快に作りました。

(ドンコ汁)
Photo_20210905102201

 ドンコ汁というより,ドンコ鍋です。

 酒と味噌だけのシンプルな味付けですが,ドンコや野菜から美味しい出汁(だし)が出て,ドンコを丸ごと美味しくいただくことができました。

 ドンコはタラの身に近い食感,味わいでした。

 余ったドンコ汁は皿に移し,冷蔵庫に入れておいたのですが,翌日取り出してみると,ゼラチン質でゼリー状に固まっていました。

 やっぱりアンコウと似ています。


まとめ

 今回初めて釜石沖のドンコをいただきました。

 ドンコをさばき,調理し,味わった感想をまとめてみます。

 ①ドンコは,見た目はアイナメ,身はアンコウ,食感や味はタラ,脂ののり具合や小骨の多さはホッケと似ている。
 ②大きな肝が最大の特徴で,アンコウやカワハギ,スルメイカと似ている。
 ③冬だけでなく,脂がのって肝が大きくなる初夏のドンコもおすすめ。
 ④アンコウやタラと似ていることから,鍋料理や汁もの料理が中心となる。
 ⑤胆のう(苦玉)以外の内臓も調理して美味しく食べることができる。

 ドンコを捌き,調理するのは手間がかかりますが,それだけの価値がある美味しさです。

 東日本大震災・大津波にも負けず,むしろ前向きに生きておられる佐々木さんが印象的でした。

 最後に,ウェブで佐々木さんに「美味しいドンコをありがとうございました。いつか釜石へも行ってみたいです」とお話ししました。

 インターネット通販を利用すれば遠くの物でも簡単に入手でき,ウェブカメラを使って離れた人同士がリアルタイムで会話することも可能な時代となりましたが,こうしたつながりをきっかけに現地を訪問すれば,得るものも大きいように思います。

 新型コロナウイルスがまん延している現状では難しいものがありますが…。

 早くドンコでも行ける世の中になってほしいです。


<参考文献>
 「東北食べる通信」(2019年5月号「鈍子の人」)
 「港湾」(2021年5月号「震災からの復興と新たなビジョンを目指して」 公益社団法人日本港湾協会)

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