« 2022年1月 | トップページ | 2022年3月 »

2022年2月

2022年2月27日 (日)

美術館とカフェ・レストランの魅力3 -ポーラ美術館の企画展コースメニュー「アイスランドへの旅」-

 2021年12月末に箱根へ行ってきました。

 その一番の目的は,ポーラ美術館を訪問することでした。

 ポーラ美術館には,印象派を中心とする西洋絵画をはじめ,日本の絵画,現代アート,東洋陶磁,ガラス工芸,化粧道具など多彩な芸術作品が所蔵されています。

 そうした美術作品をいつか観賞したいと思っていたのですが,今回,レストランの期間限定メニューがアイスランドにまつわる料理だと知り,どうしても味わってみたいという気持ちになって,訪問することを決めました。

 JRで小田原駅まで行き,小田原駅からは箱根登山電車に乗って箱根湯本駅へ向かいました。

(小田原駅・箱根湯本行き箱根登山電車)
Photo_20220227114001

 箱根湯本駅で電車を乗り換えました。

(箱根湯本駅・強羅行き箱根登山電車)
Photo_20220227114101

 箱根は初めてだったので,「同じ路線なのに,なぜ箱根湯本でわざわざ電車を乗り換えなければならないのだろう」と思いながら強羅(ごうら)行きの電車に乗り換えたのですが,その電車に乗ってみてわかりました。

 箱根湯本駅を出発してしばらくすると,電車は「こんな急な坂を電車が走るのか」と驚くほど急な勾配を走行し始めたからです。

 最大の勾配は80パーミル(1000分の80)で,この勾配は日本一,世界でも第2位を誇ります。

 イメージとして,車両2両だと前後で2m40cm,車両3両だと前後で3m60cmもの高低差ができるそうです。

 このレベルの勾配になると,車両に相当なパワーが必要となるだけでなく,進行方向をジグザグに「スイッチバック走行」をしたり,レールの摩耗を防ぐため車両の散水タンクからレールに水をまきながら走行する必要も出てきます。

 途中,電車は「キーキー」とレールをきしませながら走りました。

 以前,南海電鉄高野線に乗って高野山(和歌山県)へ行く途中にも聞こえた,登山列車ならではのレール音です。

 また,途中に半径30mという急カーブの箇所もあります。

 こうした条件をクリアする電車は特別仕様となるため,箱根湯本で一般的な電車と乗り換える必要があるのです。

 強羅駅に着き,ここからは箱根登山バス(観光施設めぐりバス)でポーラ美術館を目指しました。

 「いざ,ゴーラからポーラへ!」


ポーラ美術館

 「ポーラ美術館」バス停で下車すると,目の前にポーラ美術館が見えました。

(ポーラ美術館・正面入口)
Photo_20220227115301

 箱根の森の中に溶け込むように,ポーラ美術館の建物がありました。

(ポーラ美術館入口・佐藤忠良「カンカン帽」と小塚山)
Photo_20220227115501

 エントランスに佐藤忠良さんの彫刻「カンカン帽」が展示されており,バックには小塚山が見えました。

(ポーラ美術館・館内)
Photo_20220227133901

 建物が森の斜面に沿って作られているため,2階がエントランスで,そこからエスカレーターで1階,地下1階…と降りながら進んでいく構造となっています。

(カフェチューン)
Photo_20220227134101

 地下1階のカフェ「チューン」の全景です。

 都会風のおしゃれで先進的なイメージのカフェです。

 このあと,様々な美術作品を鑑賞しました。


ポーラ美術館・企画展コースメニュー「アイスランドへの旅」

 館内では,企画展「ロニ・ホーン 水の中にあなたを見るとき,あなたの中に水を感じる?」(会期:2021年9月18日~2022年3月30日)が開催されていました。

 ロニ・ホーンさんはニューヨークに住む芸術家で,アイスランドを主な舞台に,写真・彫刻・ドローイング(デッサン)・本など様々な芸術作品を生み出されています。

 展示場に色とりどりの丸く平べったいガラスの器が並べられた作品や,モノクロ写真に写った川の表情(渦,泡立ち,濃淡など)1つ1つに名前を付けて物語を書き記した作品など,時間をかけてゆっくり丹念に鑑賞したい作品ばかりでした。

 ひととおり作品を鑑賞した後,ロニ・ホーンさんが芸術活動の拠点とされたアイスランドにちなんだ料理を味わうため,館内のレストラン「アレイ」へ向かいました。

(レストランアレイ店内と小塚山)
Photo_20220227135101

 私は窓側の庭や小塚山が眺められるテーブル席を御用意いただきました。

(ポーラ美術館ロゴマーク入りシュガー)
Photo_20220227135301

 テーブルに整然とポーラ美術館のロゴマーク入りシュガーが並べられていました。

 シュガー1つにもアートが演出されていました。

 企画展コースメニュー「アイスランドへの旅」を注文し,やや緊張して待っていると,しばらくしてオードブルが運ばれてきました。

 オードブルは「オニテナガエビのポワレとビスクの盛り合わせ」です。

(オニテナガエビのポワレとビスクの盛り合わせ)
Photo_20220227135901

 軽くポワレされたオニテナガエビに,チコリやパセリなどの野菜,レモン,薄切りバゲットをカリカリに焼いたトーストが添えられていました。

 「ビスク」は甲殻類を殻ごと炒めて香味野菜と一緒に煮込み,甲殻類のうま味を濃縮させたポタージュです。

 レモンを軽く絞って海老にかけ,ビスクをつけていただきました。

 プリプリの食感の海老にビスクを加えることで海老のうま味がグンと増しました。

 濃厚なビスクは,海老はもちろん,野菜やトーストにもよく合いました。


 続いてメインディッシュが用意されました。

 メインディッシュは「仔羊もも肉のロースト」です。

(仔羊もも肉のロースト スパイス香る白いんげん豆の煮込みを添えて)
Photo_20220227140601

 香草でマリネした仔羊もも肉のローストと白いんげん豆の煮込みです。

 プレートに盛られた料理の配置や配色なども立派なアートだなと思いながら眺めていて,ふと思いました。

 「このプレートは,ロニ・ホーンさんのガラスの器の作品が表現されているのでは」

 広々とした展示会場にポツン,ポツンと置かれた色とりどりの丸く平べったいガラスの器の作品があったのですが,それがこのプレートに表現されているのではないかと思いました。

 この写真のイメージです。

(ロニ・ホーン「ウェル・アンド・トゥルーリー」ブレゲンツ美術館)
Photo_20220228195201
 ポーラ美術館企画展パンフレット「Roni Horn(ロニ・ホーン)」から一部引用

 「ロニ・ホーンさん,当たってますか?」
 「ピン・ホーン」…なーんておっしゃるわけないか(笑)

 アイスランドは牧羊が盛んで,ブランド化された良質なラム肉(仔羊肉)が世界各国に輸出されています。

 そのアイスランドを代表する食材の1つ,仔羊が使われたメイン料理です。

 仔羊のローストは,肉がとてもやわらかく,独特のにおいやクセも感じられない,美味しい肉でした。

 これにマスタード入りのソースを添えていただきました。

 白いんげん豆の煮込みはクミンなどの豊かなスパイスの香りを感じ,肉料理やパンとよく合う一品でした。


 デザートは「ブルーベリーのコンポートと2種のチーズを使ったガトー」です。

(ブルーベリーのコンポートと2種のチーズを使ったガトー)
Photo_20220227141501

 マスカルポーネとクリームチーズの2種類のチーズケーキを重ねたケーキ(ガトー)でした。

 バニラアイスも添えられていました。

 口当たりの軽いフレッシュなチーズケーキに,ブルーベリーコンポートの甘味と酸味がよく合いました。

 その後,小塚山を眺めながらポットの紅茶をいただき,しばらく食事の余韻を楽しみました。


まとめ

 アイスランドの代表的な食材として,今回の料理では仔羊(羊肉)が登場しましたが,このほかにも,魚(タラ(干しダラ),サーモン,カレイなど)や「スキール(スキル)」と呼ばれるヨーグルトに似た乳製品が挙げられます。

 「スキール」は2020年春から日本でも発売され,気軽にアイスランドの伝統食を味わうことが出来るようになりました。

 今回のポーラ美術館訪問では,ロニ・ホーンさんの芸術の世界に触れ,その舞台となったアイスランドやアイスランドの料理についても理解を深めることが出来ました。

 ポーラ美術館のコレクションのうち,私はルノワールの「レースの帽子の少女」という作品も鑑賞したかったのですが,残念ながら今回は展示されていなかったので,こちらは次回のお楽しみとなりました。

 そして次回訪問時も館内のレストランやカフェに寄り,芸術作品にまつわる食についても舌でじっくり味わいたいと思います。


<関連サイト>
 「ポーラ美術館」(神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285)
 「イーセイ スキル」(日本ルナ株式会社)

<参考文献>
 地球の歩き方編集室「世界のグルメ図鑑」学研プラス
 佐原秋生・大岩昌子「食と文化の世界地図」名古屋外国語大学出版会
 池上英洋監修「マンガでわかる『西洋絵画』の見かた」誠文堂新光社
 企画展パンフレット「Roni Horn(ロニ・ホーン)」ポーラ美術館

2022年2月20日 (日)

第三回全国歴食サミット「令和歴食合戦」(オンライン歴座・2022年2月12日)-広島の歴食・亀屋の「川通り餅」-

第三回全国歴食サミット(令和歴食合戦)

 2022年2月12日に「第三回全国歴食サミット(令和歴食合戦)」がオンラインで開催されました。

(第三回全国歴食サミット開催案内)
Photo_20220220114801
 歴食JAPAN公式サイトの画像を一部引用

 昨年(2021年),山口市での「第三回全国歴食サミット」の開催を知ってから,山口市の会場へ行こうと楽しみにしていたのですが,新型コロナウイルス感染症拡大に伴う「まん延防止等重点措置」の実施に伴い,オンラインでの開催となりました。

(第三回全国歴食サミット「オンライン歴座」開催案内)
Photo_20220220114901
 歴食JAPAN公式サイトの画像を一部引用

 私は山口市で開催された「歴食JAPANサミット・第1回大会(2016年2月20~21日)」以来,6年ぶりの参加となります。

 今回は,この「第三回全国歴食サミット」がオンラインで開催された様子と,そのサミットで新たに歴食に登録された広島のお菓子を御紹介したいと思います。


開会・歴食研究表彰式

 第三回歴食JAPANサミットは,山口市の「山水園」をメイン会場に,代表・実行委員長の大原敏之さんと歴食アドバイザー・俳優の辰巳琢郎さん,そして司会の大和良子さんの3名で進められました。

 歴食研究の表彰式では,入選された4名の方の紹介・作品発表がありました。

 最優秀賞は高杉晋作の好物についての研究,山口市長賞は山口市で食べられてきたものについての研究,山口商工会議所会頭賞は薩長同盟うなぎ寿司についての研究,そして特別賞は奇兵隊ショコラについての研究でした。


歴食認定式

 続いて全国16団体の歴食認定式がありました。

1 新潟県十日町市「土器ドキ最中」(木村屋)
 火焔型土器の最中です。
 個人的には「つぼんこ」や「あささささ」も気になります。

2 福島県会津若松市「五郎兵衛飴」(五郎兵衛飴本舗)
 もち米,麦芽,寒天のみで作られた飴です。
 京から平泉へ向かう途中に源義経と武蔵坊弁慶が食べたと伝えられる飴です。

3 群馬県嬬恋村「嬬恋くろこ」(嬬恋村観光協会・嬬恋村くろこ保存会)
 ※次のプログラム「歴座」で詳しく御紹介します。

4 栃木県壬生町「壬生お殿様料理・壬生お姫様料理」(壬生お殿様料理促進の会)
 ※次のプログラム「歴座」で詳しく御紹介します。

5 栃木県足利市「古代瓦せんべい」(香雲堂
 足利地方の奈良・平安・鎌倉・足利時代の瓦を表現したせんべいです。

6 愛知県美浜町「源義朝御膳」(愛知県美浜町観光協会)
 ※次のプログラム「歴座」で詳しく御紹介します。

7 愛知県犬山市「忍冬酒」(和泉屋 小島醸造)
 徳川家康も愛飲した尾張最古の銘酒。
 甘い「スイカズラ(忍冬)」入りのウイスキーに甘みを加えたようなリキュール。

8 島根県浜田市「利休饅頭」(仲屋
 千利休→古田織部→古田公家(浜田藩主)→治右衛門(「仲屋」家祖)と連綿と伝えられる饅頭。

9 広島県広島市「川通り餅」(亀屋)
 私の地元・広島の歴食ということで,後ほど詳しく御紹介します。

10 佐賀県小城市「小城羊羹」(小城市観光協会)
 ※次のプログラム「歴座」で詳しく御紹介します。

11 長崎県大村市「純忠御膳」(大村市観光コンベンション協会)
 ※次のプログラム「歴座」で詳しく御紹介します。

12 長崎県対馬市「かすまき」(対馬観光物産協会)
 カステラ生地にあんこを巻いて作られる対馬の伝統的な銘菓。

13 山口県山口市「菜香亭料理再現 霜月の頃の御献立~昭和10年披露宴献立より~」(歴史の町山口を甦らせる会
 山口の迎賓館だった「菜香亭」で昭和10年11月21日の披露宴で出された料理を再現。

14 山口県山口市「フィリョース」(イタリア食堂ベケ!?
 小麦粉を練って油で揚げて砂糖をまぶした,ポルトガルのクリスマス伝統菓子。

15 山口県山口市「歴食給食とクネンボフレーバーティー」(山口大学・山口学研究プロジェクト
 長州藩主・毛利敬親とイギリス海軍キング提督が山口県防府市で会見した際の日英饗応料理。
 山口大学教育学部附属光小・中学校の給食で再現。
 クネンボはかつて萩などで栽培されていた柑橘で,吉田松陰が獄中で食べたとされる。

16 山口県下関市「玄米バーガーと味噌玉」(人類学研究機構
 和食の原点・玄米を使ったバーガーと,戦国時代の武将たちが戦場に携行した「味噌玉」を再現


「歴座」-お国自慢バトル-

 続いて,全国各地の歴食に携わっておられる皆さんから,それぞれの歴食とその魅力について紹介していただくコーナーとなりました。

 今回は8団体の皆さんから,御自慢の歴食と地域の魅力を御紹介いただきました。

1 栃木県壬生町「壬生お殿様料理・壬生お姫様料理」(壬生お殿様料理促進の会)
 壬生藩四代目藩主・鳥居忠燾(とりい ただてる)の「御献立帳」の献立をもとに再現・アレンジされた料理です。
 「お殿様料理」は予約が必要な料理,「お姫様料理」は予約なしで女子会や家族で楽しめる料理・スイーツとなっています。
 17世紀に滋賀の水口(みなくち)からお殿様が持ち帰った「かんぴょう」を使った料理や,豆腐と卵を使ったフワフワした料理,壬生町産の「ごぼう」を使った料理などが使われているそうです。
 「かんぴょう」と言えば栃木県が一大産地ですが,そのルーツが滋賀・水口にあったとは驚きです。
 「水口かんぴょう」(甲賀市観光協会)

2 群馬県嬬恋村「嬬恋くろこ」(嬬恋村観光協会・嬬恋村くろこ保存会)
 群馬県嬬恋村と言えば,日本一の生産量を誇る「キャベツ」が有名ですが,じゃがいもを再利用した伝統料理もあります。
 「嬬恋くろこ」は,じゃがいもからでんぷんを取った残りかすを凍結・発酵・乾燥させて作られる伝統的な地域発酵食品です。
 ねぎや味噌を加えたり,そばに混ぜたり,白玉粉に入れてぜんざいにしたりと,いろんな食べ方があるようです。

3 愛知県美浜町「源義朝御膳」愛知県美浜町観光協会
 平治の乱に敗れた源義朝が京から野間(愛知県美浜町)へ逃れた時に食べた強飯(おこわ)を中心とした御膳です。
 源義朝が年末に正月用の餅になる前の強飯(こわめし)を手づかみで食べた話などをもとに再現されています。
 源平の紅白を表現した「源平鍋」(内容は食べてみてのお楽しみ)もあるようです。

4 佐賀県小城市「小城羊羹」(小城市観光協会)
 表面が砂糖でコーティングされている羊羹です。
 長崎街道「シュガーロード」の代表的なお菓子の1つとなっています。
 小城市は23軒もの羊羹を扱うお店がある日本一の羊羹のまちで,羊羹資料館や羊羹の自動販売機もあるとのお話でした。

5 長崎県大村市「純忠御膳」(大村市観光コンベンション協会)
 日本初のキリシタン大名「大村純忠(おおむら すみただ)」の時代に大村純忠邸で出されていた献立表をもとに再現・アレンジした御膳です。
 刺身や天ぷらが中心となっています。
 純米酒「純忠」と一緒にいただくと,より気分が高まりそうです。

6 熊本県熊本市「熊本城本丸御膳」(青柳)
 熊本城(肥後藩主・細川家)で出されていた料理を,当時の料理書をもとに再現した御膳です。
 「煎り酒」(現在の醤油のような調味料)や細川家の家紋「九曜紋」で彩った器が使われるなど,約200年前の料理が忠実に再現されています。

7 島根県益田市「毛利元就をもてなした祝膳 益田『中世の食』」(益田「中世の食」再現プロジェクト
 中世の豪族・益田氏が毛利元就の拠点・吉田郡山城(広島県安芸高田市)を訪れ,振舞った料理です。
 調味料に「煎り酒」を使い,魚のすり身を使った「はむ」(はんぺん),鮎の塩焼きなどが再現されました。

8 山口県山口市「大内御膳」(歴食JAPAN事務局)
 室町幕府の第10代将軍・足利義稙(あしかが よしたね)が山口の大内義興(おおうち よしおき)を訪問した際に催された「中世最大の宴」の料理を再現した御膳です。
 食文化研究家・江後迪子さん監修,湯田温泉のホテル・旅館の料理人の方々の協力のもと,32献110品にも及ぶ料理が再現されました。
 「歴食JAPANサミット第1回大会 in 山口市」でも紹介された歴食を代表する料理で,山口市内のホテル・旅館・料理店で味わうことができます。


閉会式

 締めくくりの挨拶として,歴食アドバイザーの辰巳琢郎さんから,「ハレの料理(特別な料理)だけでなく,『嬬恋くろこ』など,ケの料理(日常の料理)もクローズアップしたらよい」,「旅と食をマッチングさせた地域おこしに取り組んではどうか」といったお話がありました。

 また代表・実行委員長の大原敏之さんからは,「『歴食』は地域をブランド化できる素材の1つ」,「まちの歴史を守り,未来を生きる子供たちに地域の誇りを伝えることが求められている」,「次回はリアルでの開催をしたい。今後も歴食のネットワークを広げていきたい」といったお話でまとめられました。


広島の歴食・亀屋の「川通り餅」

 今回の歴食サミットで認定された歴食は,当日に発表されたものも多くありました。

 その1つが広島・亀屋の「川通り餅」で,発表された瞬間,私は「地元・広島で有名なお菓子が歴食に認定された」と喜びました。

 「川通り餅」は,お餅(求肥)にクルミを加え,きな粉をまぶした広島の銘菓です。

 毛利元就の祖先・毛利師親(もうり もろちか)が,石見の佐波善四郎との戦いで江の川を渡ろうとした際,小石が鐙(あぶみ:馬の両わきにかけ,足を固定させる馬具)に引っかかったにもかかわらず,そのまま戦って勝利をおさめました。

 のちにその小石が宮崎八幡宮に奉納され,餅を小石に見立てて食べる風習が生まれました。

 やがてこの餅が「川通り餅」と呼ばれるようになり,現代に受け継がれています。

 広島県民でこの歴史話を知っている人はあまりいないでしょうが,インパクトのある「川通り餅」のテレビCMを知らない人はいないと思います(笑)

 オンラインでの歴食サミット終了後,私はすぐに「川通り餅」を製造・販売されている「御菓子処 亀屋」本店(広島市東区)を訪問しました。

(「御菓子処 亀屋」本店)
Photo_20220220145601

 歴食サミットの30分後にはお店に着いているというフットワークの軽さ(笑)

 お店で竹皮入りの「川通り餅」のほか「安芸路」と「もなか」も購入しました。

 私がお店の方に「先程の歴食サミットで『川通り餅』が歴食に認定されましたね。おめでとうございます」とお話しすると,お店の方はまだ御存知なかったようで,「えっ,そうなんですか。嬉しいお話をありがとうございます」とお返事いただきました。

(「川通り餅」竹皮)
Photo_20220220145901

 こちらが今回歴食に認定された「川通り餅」です。

(「川通り餅」竹皮(中身))
Photo_20220220145902

 中に7個入っています。

(「川通り餅」)
Photo_20220220150001

 一口サイズのきな粉餅で,中に細かいクルミが入っています。

(「川通り餅」(中身))
Photo_20220220150101

 やわらかいお餅(求肥)にクルミのコクときな粉の香ばしさが加わり,1個と言わず2個3個と食べたくなる誘惑にかられました。

 「歴史の息吹を味に伝える 名代(なだい)の銘菓 川通り餅」
 「味わいの奥に 歴史と人の技がある 亀屋 川通り餅」

 こうしたテレビCMのナレーションどおりの,歴食にふさわしいお菓子でした。


まとめ

 全国歴食サミットに関わる様々な歴食を御紹介しましたが,今回オンラインで参加した私の感想をいくつかまとめてみました。

・オンラインでの開催に合わせ,全国各地の歴食をオンラインで販売するのも効果的だと思います。
・オンラインで紹介するだけでなく,参加者同士で情報交換したり,実際に食べて理解する機会もあればさらに盛り上がるでしょう。
・オンライン開催をマスコミも注目する時代となっていることを感じました。
・歴食を知ること・理解することは,その地域の歴史や文化を知り,理解することにつながると思いました。
・歴食は観光客だけでなく,地元経済の活性化や地元の人々の消費拡大にもつながると思いました。


 今後も微力ながら,歴食や歴食サミットを応援していきたいと思います。


<関連サイト>
 「歴食JAPAN公式サイト」(歴食JAPAN事務局(山口商工会議所内))
 「御菓子処 亀屋」(本店:広島市東区光町1-1-13)

<関連記事>
 「歴食JAPANサミット -山口に誕生した「歴食」という新たな食の世界-
 「歴食JAPANサミット -発掘土器クッキー修復体験-
 「歴食JAPANサミット -長州鐔チョコレートづくり体験-
 「歴食の世界 -「平成大内御膳」の雑煮と中世の香物,私の教育論-
 「歴食の世界 -「幕末維新パン」と幕末維新期のパン開発物語-

2022年2月13日 (日)

油麦菜(ユーマーサイ)の特徴と魅力 -油麦菜と海老・豚肉炒め-

野菜売場のニューフェイス「油麦菜」

 ここ最近,広島市内のスーパーマーケットやデパートの野菜売場などで,ニューフェイスでありながら頻繁に見かけた野菜があります。

 「油麦菜」という野菜です。

 「油麦菜」と書いて「ユーマーサイ」,「ユーマーツァイ」,「ヨウマイツァイ」,「ユバクサイ」と読みます。

 このほか「ムギレタス」や「エーサイ」などの呼び方もあります。

 台湾では「A菜」という名で親しまれているようです。

 今回は,この「油麦菜」を御紹介したいと思います。


油麦菜について

 広島市南区にあるスーパーマーケットの野菜売場で油麦菜を購入しました。

(油麦菜(包装))
Photo_20220212222301

 こんな感じに包装された油麦菜が,一時期,野菜コーナーに大量に陳列されていました。

 「油麦菜」という名前から,「中国野菜」で「炒め物など油を使った調理に向いた野菜」ではないかとイメージしました。

 そして野菜売場で見かける度に,どういった野菜なのか食べてみたい気持ちが強まりました。

 これが買ってみようと思った理由です。

 ビニール包装から油麦菜の束を取り出してみました。

(油麦菜(束))
Photo_20220213070001

 35cm前後の細長い葉が4~5枚で束になっています。

 1枚の葉の形を確かめてみましょう。

(油麦菜(葉))
Photo_20220213070101

 細長く,レタスのような弾力とみずみずしさがあります。

 生でサラダとしても食べられるとあったので,まずは水で洗って豪快にかじってみました。

 これと言った香りもクセもなく,特に白い部分はシャキシャキとした食感でレタスそっくりです。

 青菜の部分はほうれん草や春菊のように多少厚みがあるので,サラダにするならマヨネーズや濃いドレッシングが合うでしょう。


油麦菜と海老・豚肉炒め

 油麦菜の生の味や食感がわかったところで,次に油で炒めてみることにしました。

 相性が良さそうな海老や豚肉と一緒に炒めてみることします。

 油麦菜は3~4cmにざく切りし,薄切りの豚バラ肉も1~2cmの幅に切ります。

 海老は殻をむき,ボウルに入れて酒と醤油を加え,軽く片栗粉(または小麦粉)をまぶして,手で揉みこんでおきます。

 フライパンに油をひき,豚肉に軽く火を通してから海老と油麦菜を加え,強火でさっと炒めて,全ての材料に火が通れば出来上がりです。

(油麦菜と海老・豚肉炒め)
Photo_20220213070801

 油麦菜を油で炒めると,薄い緑色からつやのある濃い緑色に変化しました。

 そして何より驚いたのが,油麦菜を炒めた時に発する香りです。

 油麦菜を炒めると,焼きトウモロコシのような,何とも香ばしくて食欲をそそる香りが漂ってくるのです。

 油麦菜を生で食べた時は香りなどなかったのに,油で炒めるとなぜこんな香ばしい香りが出てくるのだろうかと,不思議でなりませんでした。

 イメージどおり,海老や豚肉との相性は抜群で,海老や豚肉を押しのけて油麦菜が主役だと思うほど美味しい野菜でした。


まとめ

 油麦菜は炒めるととても香ばしい香りが出るため,炒め物を作る際にごま油やにんにくを使う必要はありません。

 油麦菜は,ほかの食材と一緒に油で炒め,塩で調味するだけで本格的な炒め物が出来てしまう優れものです。

 私は油麦菜のとりこになり,その後も野菜売場に油麦菜がないか探して回りましたが,いざ意識して探すとないもので,次の出荷時期を楽しみにしておこうと思います。

 油で炒めると焼きトウモロコシの香りがする「油麦菜」,お湯で茹でるとかつおだしのような味が出る「かつお菜」など,世の中には不思議な葉物野菜があるものですね。

 皆様も油麦菜を見かけたら,ぜひ一度お試しください。


<関連記事>
 「福岡県の特産品「かつお菜」 -茹でかつお菜・茹で汁のお吸い物-

2022年2月 6日 (日)

広島のレモン菓子・レモンケーキ18 -ショコラトリーエス「瀬戸内レモン」とパティスリーメイ「レモンケーキ」(「バトンドール」と「はじけるキャンディチョコレート」)-

 広島で売られているレモン菓子・レモンケーキを御紹介するシリーズです。

 今回は広島市東区のレモン菓子・レモンケーキを御紹介します。

 そして最後に,今回の情報を提供してくださった方とのエピソードでまとめたいと思います。


ショコラトリーエス・ボンボンショコラ「瀬戸内レモン」

 広島市東区尾長にあるチョコレート専門店「ショコラトリーエス(Chocolaterie S)」

 2021年10月16日にオープンしたお店です。

 高級チョコレートを取り扱われており,パティシエの辻口博啓さんとも親交がおありのお店との情報を得て,伺いました。

 お店には,ボンボンショコラ(一口サイズの詰め物入りチョコレート)をはじめ,キャラメリゼ,チョコレートシュークリーム,ショコラタブレットなど様々なチョコレートが販売されていました。

 私は,ボンボンショコラをいくつか購入することにしました。

 20種類前後あるので,どれを買おうか迷いますが,まずは純粋にハイカカオチョコレートが味わえる「エクアドル75%」と「ペルー75%」を選びました。

 そして新発売の「ヴァンルージュ」(フランス語で「赤ワイン」という意味)も選びました。

 さらに陳列棚を眺めていると…さりげなく「おすすめ」と書かれたボンボンショコラを見つけました。

 「瀬戸内レモン」のボンボンショコラです。

 「これだっ!」と思い,「瀬戸内レモン」も選びました。

(ボンボンショコラと一覧表)
Photo_20220206110801
 ※画像をクリックすると拡大します。

 プレゼント用も含めて,単品で4種・6個のボンボンショコラを購入しました。

(ボンボンショコラ4種)
Photo_20220206110901

 写真左上の無地が「エクアドル75%」,右上が「ペルー75%」,右下のキラキラのチョコレートが「ヴァンルージュ」,そして左下の黄色いチョコレートが「瀬戸内レモン」です。

(ボンボンショコラ「瀬戸内レモン」)
Photo_20220206111101

 ボンボンショコラ「瀬戸内レモン」です。

 一口サイズ(横約3.5cm,幅約2.5cm,高さ約1.5cm)のチョコレートです。

 黄金色に輝くレモンの形をしたボンボンショコラです。

 いただいてみると…「おおっ,これは!」という驚きがありました。

 中のガナッシュがふわっと柔らかくてレモンの酸味があり,まるでレモン風味のレアチーズケーキを食べているかのような味・食感だったからです。

 中身を確認してみましょう。

(ボンボンショコラ「瀬戸内レモン」(中身))
Photo_20220206111401

 ボンボンショコラ「瀬戸内レモン」の中身です。

 瀬戸内レモンの果汁を使った白いガナッシュが,レモンチョコレートとダークチョコレートでコーティングされています。

 底はマカダミアナッツを使ったプラリネです。

 薄くきれいにコーティングされたレモンチョコレートとダークチョコレート,レモン風味のレアチーズケーキのようなガナッシュ,そしてサクサクとした食感のナッツプラリネが口の中で1つとなり,幸せな気持ちになりました。

 この「瀬戸内レモン」は,私もおすすめの一品です。

 このほか「エクアドル75%」や「ペルー75%」は,中に濃厚なチョコレートのガナッシュが入っていて,タブレットチョコレート(板チョコ)よりさらに深いカカオの風味とコクを味わえました。

 この2つのチョコレートには,エクアドルやペルーの最高品質のカカオが使われているとのことです。

 また「ヴァンルージュ」は,中に濃い赤ワイン風味のガナッシュが入っており,まさにワインとチョコレートのマリアージュが楽しめる一品でした。

 一粒のチョコレートが人をこんなに幸せにするとは…すごいパワーを感じました。


 「ショコラトリーエス」(広島市東区尾長西1-6-37 メゾンドツルヤ102)


パティスリーメイ「レモンケーキ」

 続いて,広島市東区若草町にある洋菓子店「パティスリーメイ」の「レモンケーキ」を御紹介します。

 このお店のウェブサイトのトップページにレモンケーキが紹介されていることから,レモンケーキが看板商品の1つであることは間違いありません。

(パティスリーメイ「レモンケーキ」(包装))
Photo_20220206113101

 レモンケーキは,お店の入口に箱売り・バラ売りともたくさん用意されていました。

 包装の中には,レモンケーキが型崩れしないよう受け皿(トレー)まで入っており,お店のレモンケーキにかける思い入れが感じられました。

(パティスリーメイ「レモンケーキ」)
Photo_20220206113201

 サイズは横約7.5cm,幅約5cm,高さ約3.5cmです。

 レモンの形でレモンチョコレートがコーティングされている,クラシカルなレモンケーキです。

(パティスリーメイ「レモンケーキ」(中身))
Photo_20220206113701

 いただいてみました。

 きめ細かくしっとりとしたバター風味のケーキで,中にはマーマレードのようなレモンピールが入っています。

 これだけでも美味しいレモンケーキなのですが,今回最も感動したのがコーティングされているレモンチョコレートです。

 パリパリした食感のレモンチョコレートで,かみしめる度にジュワっとレモンの強い酸味を感じるのです。

 これまで数多くのレモンケーキをいただきましたが,このレモンチョコレートのレモンの酸味は間違いなくトップクラスです。

 レモンのさわやかさと酸味が強く感じられるレモンチョコレートとケーキ生地を一緒にいただくと,まるで生のレモンをかじっているかのような味わいでした。


 「パティスリーメイ」(広島市東区若草町1-15)


職場仲間から食仲間へ

 今回御紹介したお店「ショコラトリーエス」は,同じ職場の職員から教えてもらった情報です。

 そこで後日,その方にお礼として「エクアドル75%」を1個プレゼントしました。

 喜んでもらえたようで,その後,また珍しいお菓子をいただきました。

 グリコの「バトンドール」とメリーの「はじけるキャンディーチョコレート」です。

(グリコ「バトンドール」とメリー「はじけるキャンディチョコレート」(包装))
Photo_20220206134901

 「バトンドール」はグリコの拠点・関西の店舗を中心に限定販売されているお菓子です。

 メリーの「はじけるキャンディチョコレート」も期間限定で販売されているようです。

(グリコ「バトンドール」とメリー「はじけるキャンディチョコレート」)
Photo_20220206135001

 「バトンドール」は「ショコラ」と「シュガーバター」を,「はじけるキャンディチョコレート」は「メロンクリームソーダ」をいただきました。

 「バトンドール」はポッキーの豪華版です。

 「ショコラ」はエクアドルのチョコレートをプレッツェルにたっぷりとコーティングしたもので,深みのある高級チョコレートとバターの香り豊かなプレッツェルが見事にマッチしていました。

 「エクアドルチョコレート返し」という意味が込められているのかも知れません(笑)

 「シュガーバター」は澄ましバターのリッチな美味しさをダイレクトに味わえるスティックで,「プリッツ・バター味」が好きな私にぴったりのお菓子でした。

 一方,「はじけるキャンディチョコレート」の「メロンクリームソーダ」は,メロンフレーバーのチョコレートの中にはじけるキャンディが散りばめられていて,メロンの香りと舌でプチプチはじける粒々キャンディの食感が楽しいチョコレートでした。

 「味の素ゼネラルフーヅ(味の素AGF)」のはじけるキャンディ「ドンパッチ」を思い起こさせる美味しくて楽しいチョコレートでした。


 仕事に食に様々な形でお世話になった方ですが,先日,任期満了でこの職場を卒業されました。

 最後のお別れの時,彼女が冗談交じりに私のことを「(食の)先生です」と言ってくれたことが嬉しかったです。

 東京限定のお菓子「萩の調 釉」も含め,むしろ私の方がいろんな食の情報を教えていただきました。

 これまでは職場仲間として,これからは食仲間として当ブログの読者であり続けてくれたらいいなと思いつつ,感謝の気持ちでお見送りしました。


 「バトンドール(Bâton d'or)」(江崎グリコ)
 「メリーチョコレート」(メリーチョコレートカムパニー)


<関連リンク>
 「レモンのお菓子」(「chibiaya日記」)
 chibiayaさんが,関東で販売されているレモンケーキを中心に,レモンケーキの情報を詳しく紹介されています。

<レモンケーキ関連記事>
 「食文化関連記事一覧表・索引」の「食文化事例研究」にある「レモンケーキ・レモン菓子」を御参照ください。

<関連記事>
 「萩の調 釉(はぎのしらべ ゆう) -仙台「菓匠三全」の東京限定お菓子-

« 2022年1月 | トップページ | 2022年3月 »

最近のコメント

最近のトラックバック

2022年11月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      
無料ブログはココログ