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2022年2月20日 (日)

第三回全国歴食サミット「令和歴食合戦」(オンライン歴座・2022年2月12日)-広島の歴食・亀屋の「川通り餅」-

第三回全国歴食サミット(令和歴食合戦)

 2022年2月12日に「第三回全国歴食サミット(令和歴食合戦)」がオンラインで開催されました。

(第三回全国歴食サミット開催案内)
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 歴食JAPAN公式サイトの画像を一部引用

 昨年(2021年),山口市での「第三回全国歴食サミット」の開催を知ってから,山口市の会場へ行こうと楽しみにしていたのですが,新型コロナウイルス感染症拡大に伴う「まん延防止等重点措置」の実施に伴い,オンラインでの開催となりました。

(第三回全国歴食サミット「オンライン歴座」開催案内)
Photo_20220220114901
 歴食JAPAN公式サイトの画像を一部引用

 私は山口市で開催された「歴食JAPANサミット・第1回大会(2016年2月20~21日)」以来,6年ぶりの参加となります。

 今回は,この「第三回全国歴食サミット」がオンラインで開催された様子と,そのサミットで新たに歴食に登録された広島のお菓子を御紹介したいと思います。


開会・歴食研究表彰式

 第三回歴食JAPANサミットは,山口市の「山水園」をメイン会場に,代表・実行委員長の大原敏之さんと歴食アドバイザー・俳優の辰巳琢郎さん,そして司会の大和良子さんの3名で進められました。

 歴食研究の表彰式では,入選された4名の方の紹介・作品発表がありました。

 最優秀賞は高杉晋作の好物についての研究,山口市長賞は山口市で食べられてきたものについての研究,山口商工会議所会頭賞は薩長同盟うなぎ寿司についての研究,そして特別賞は奇兵隊ショコラについての研究でした。


歴食認定式

 続いて全国16団体の歴食認定式がありました。

1 新潟県十日町市「土器ドキ最中」(木村屋)
 火焔型土器の最中です。
 個人的には「つぼんこ」や「あささささ」も気になります。

2 福島県会津若松市「五郎兵衛飴」(五郎兵衛飴本舗)
 もち米,麦芽,寒天のみで作られた飴です。
 京から平泉へ向かう途中に源義経と武蔵坊弁慶が食べたと伝えられる飴です。

3 群馬県嬬恋村「嬬恋くろこ」(嬬恋村観光協会・嬬恋村くろこ保存会)
 ※次のプログラム「歴座」で詳しく御紹介します。

4 栃木県壬生町「壬生お殿様料理・壬生お姫様料理」(壬生お殿様料理促進の会)
 ※次のプログラム「歴座」で詳しく御紹介します。

5 栃木県足利市「古代瓦せんべい」(香雲堂
 足利地方の奈良・平安・鎌倉・足利時代の瓦を表現したせんべいです。

6 愛知県美浜町「源義朝御膳」(愛知県美浜町観光協会)
 ※次のプログラム「歴座」で詳しく御紹介します。

7 愛知県犬山市「忍冬酒」(和泉屋 小島醸造)
 徳川家康も愛飲した尾張最古の銘酒。
 甘い「スイカズラ(忍冬)」入りのウイスキーに甘みを加えたようなリキュール。

8 島根県浜田市「利休饅頭」(仲屋
 千利休→古田織部→古田公家(浜田藩主)→治右衛門(「仲屋」家祖)と連綿と伝えられる饅頭。

9 広島県広島市「川通り餅」(亀屋)
 私の地元・広島の歴食ということで,後ほど詳しく御紹介します。

10 佐賀県小城市「小城羊羹」(小城市観光協会)
 ※次のプログラム「歴座」で詳しく御紹介します。

11 長崎県大村市「純忠御膳」(大村市観光コンベンション協会)
 ※次のプログラム「歴座」で詳しく御紹介します。

12 長崎県対馬市「かすまき」(対馬観光物産協会)
 カステラ生地にあんこを巻いて作られる対馬の伝統的な銘菓。

13 山口県山口市「菜香亭料理再現 霜月の頃の御献立~昭和10年披露宴献立より~」(歴史の町山口を甦らせる会
 山口の迎賓館だった「菜香亭」で昭和10年11月21日の披露宴で出された料理を再現。

14 山口県山口市「フィリョース」(イタリア食堂ベケ!?
 小麦粉を練って油で揚げて砂糖をまぶした,ポルトガルのクリスマス伝統菓子。

15 山口県山口市「歴食給食とクネンボフレーバーティー」(山口大学・山口学研究プロジェクト
 長州藩主・毛利敬親とイギリス海軍キング提督が山口県防府市で会見した際の日英饗応料理。
 山口大学教育学部附属光小・中学校の給食で再現。
 クネンボはかつて萩などで栽培されていた柑橘で,吉田松陰が獄中で食べたとされる。

16 山口県下関市「玄米バーガーと味噌玉」(人類学研究機構
 和食の原点・玄米を使ったバーガーと,戦国時代の武将たちが戦場に携行した「味噌玉」を再現


「歴座」-お国自慢バトル-

 続いて,全国各地の歴食に携わっておられる皆さんから,それぞれの歴食とその魅力について紹介していただくコーナーとなりました。

 今回は8団体の皆さんから,御自慢の歴食と地域の魅力を御紹介いただきました。

1 栃木県壬生町「壬生お殿様料理・壬生お姫様料理」(壬生お殿様料理促進の会)
 壬生藩四代目藩主・鳥居忠燾(とりい ただてる)の「御献立帳」の献立をもとに再現・アレンジされた料理です。
 「お殿様料理」は予約が必要な料理,「お姫様料理」は予約なしで女子会や家族で楽しめる料理・スイーツとなっています。
 17世紀に滋賀の水口(みなくち)からお殿様が持ち帰った「かんぴょう」を使った料理や,豆腐と卵を使ったフワフワした料理,壬生町産の「ごぼう」を使った料理などが使われているそうです。
 「かんぴょう」と言えば栃木県が一大産地ですが,そのルーツが滋賀・水口にあったとは驚きです。
 「水口かんぴょう」(甲賀市観光協会)

2 群馬県嬬恋村「嬬恋くろこ」(嬬恋村観光協会・嬬恋村くろこ保存会)
 群馬県嬬恋村と言えば,日本一の生産量を誇る「キャベツ」が有名ですが,じゃがいもを再利用した伝統料理もあります。
 「嬬恋くろこ」は,じゃがいもからでんぷんを取った残りかすを凍結・発酵・乾燥させて作られる伝統的な地域発酵食品です。
 ねぎや味噌を加えたり,そばに混ぜたり,白玉粉に入れてぜんざいにしたりと,いろんな食べ方があるようです。

3 愛知県美浜町「源義朝御膳」愛知県美浜町観光協会
 平治の乱に敗れた源義朝が京から野間(愛知県美浜町)へ逃れた時に食べた強飯(おこわ)を中心とした御膳です。
 源義朝が年末に正月用の餅になる前の強飯(こわめし)を手づかみで食べた話などをもとに再現されています。
 源平の紅白を表現した「源平鍋」(内容は食べてみてのお楽しみ)もあるようです。

4 佐賀県小城市「小城羊羹」(小城市観光協会)
 表面が砂糖でコーティングされている羊羹です。
 長崎街道「シュガーロード」の代表的なお菓子の1つとなっています。
 小城市は23軒もの羊羹を扱うお店がある日本一の羊羹のまちで,羊羹資料館や羊羹の自動販売機もあるとのお話でした。

5 長崎県大村市「純忠御膳」(大村市観光コンベンション協会)
 日本初のキリシタン大名「大村純忠(おおむら すみただ)」の時代に大村純忠邸で出されていた献立表をもとに再現・アレンジした御膳です。
 刺身や天ぷらが中心となっています。
 純米酒「純忠」と一緒にいただくと,より気分が高まりそうです。

6 熊本県熊本市「熊本城本丸御膳」(青柳)
 熊本城(肥後藩主・細川家)で出されていた料理を,当時の料理書をもとに再現した御膳です。
 「煎り酒」(現在の醤油のような調味料)や細川家の家紋「九曜紋」で彩った器が使われるなど,約200年前の料理が忠実に再現されています。

7 島根県益田市「毛利元就をもてなした祝膳 益田『中世の食』」(益田「中世の食」再現プロジェクト
 中世の豪族・益田氏が毛利元就の拠点・吉田郡山城(広島県安芸高田市)を訪れ,振舞った料理です。
 調味料に「煎り酒」を使い,魚のすり身を使った「はむ」(はんぺん),鮎の塩焼きなどが再現されました。

8 山口県山口市「大内御膳」(歴食JAPAN事務局)
 室町幕府の第10代将軍・足利義稙(あしかが よしたね)が山口の大内義興(おおうち よしおき)を訪問した際に催された「中世最大の宴」の料理を再現した御膳です。
 食文化研究家・江後迪子さん監修,湯田温泉のホテル・旅館の料理人の方々の協力のもと,32献110品にも及ぶ料理が再現されました。
 「歴食JAPANサミット第1回大会 in 山口市」でも紹介された歴食を代表する料理で,山口市内のホテル・旅館・料理店で味わうことができます。


閉会式

 締めくくりの挨拶として,歴食アドバイザーの辰巳琢郎さんから,「ハレの料理(特別な料理)だけでなく,『嬬恋くろこ』など,ケの料理(日常の料理)もクローズアップしたらよい」,「旅と食をマッチングさせた地域おこしに取り組んではどうか」といったお話がありました。

 また代表・実行委員長の大原敏之さんからは,「『歴食』は地域をブランド化できる素材の1つ」,「まちの歴史を守り,未来を生きる子供たちに地域の誇りを伝えることが求められている」,「次回はリアルでの開催をしたい。今後も歴食のネットワークを広げていきたい」といったお話でまとめられました。


広島の歴食・亀屋の「川通り餅」

 今回の歴食サミットで認定された歴食は,当日に発表されたものも多くありました。

 その1つが広島・亀屋の「川通り餅」で,発表された瞬間,私は「地元・広島で有名なお菓子が歴食に認定された」と喜びました。

 「川通り餅」は,お餅(求肥)にクルミを加え,きな粉をまぶした広島の銘菓です。

 毛利元就の祖先・毛利師親(もうり もろちか)が,石見の佐波善四郎との戦いで江の川を渡ろうとした際,小石が鐙(あぶみ:馬の両わきにかけ,足を固定させる馬具)に引っかかったにもかかわらず,そのまま戦って勝利をおさめました。

 のちにその小石が宮崎八幡宮に奉納され,餅を小石に見立てて食べる風習が生まれました。

 やがてこの餅が「川通り餅」と呼ばれるようになり,現代に受け継がれています。

 広島県民でこの歴史話を知っている人はあまりいないでしょうが,インパクトのある「川通り餅」のテレビCMを知らない人はいないと思います(笑)

 オンラインでの歴食サミット終了後,私はすぐに「川通り餅」を製造・販売されている「御菓子処 亀屋」本店(広島市東区)を訪問しました。

(「御菓子処 亀屋」本店)
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 歴食サミットの30分後にはお店に着いているというフットワークの軽さ(笑)

 お店で竹皮入りの「川通り餅」のほか「安芸路」と「もなか」も購入しました。

 私がお店の方に「先程の歴食サミットで『川通り餅』が歴食に認定されましたね。おめでとうございます」とお話しすると,お店の方はまだ御存知なかったようで,「えっ,そうなんですか。嬉しいお話をありがとうございます」とお返事いただきました。

(「川通り餅」竹皮)
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 こちらが今回歴食に認定された「川通り餅」です。

(「川通り餅」竹皮(中身))
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 中に7個入っています。

(「川通り餅」)
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 一口サイズのきな粉餅で,中に細かいクルミが入っています。

(「川通り餅」(中身))
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 やわらかいお餅(求肥)にクルミのコクときな粉の香ばしさが加わり,1個と言わず2個3個と食べたくなる誘惑にかられました。

 「歴史の息吹を味に伝える 名代(なだい)の銘菓 川通り餅」
 「味わいの奥に 歴史と人の技がある 亀屋 川通り餅」

 こうしたテレビCMのナレーションどおりの,歴食にふさわしいお菓子でした。


まとめ

 全国歴食サミットに関わる様々な歴食を御紹介しましたが,今回オンラインで参加した私の感想をいくつかまとめてみました。

・オンラインでの開催に合わせ,全国各地の歴食をオンラインで販売するのも効果的だと思います。
・オンラインで紹介するだけでなく,参加者同士で情報交換したり,実際に食べて理解する機会もあればさらに盛り上がるでしょう。
・オンライン開催をマスコミも注目する時代となっていることを感じました。
・歴食を知ること・理解することは,その地域の歴史や文化を知り,理解することにつながると思いました。
・歴食は観光客だけでなく,地元経済の活性化や地元の人々の消費拡大にもつながると思いました。


 今後も微力ながら,歴食や歴食サミットを応援していきたいと思います。


<関連サイト>
 「歴食JAPAN公式サイト」(歴食JAPAN事務局(山口商工会議所内))
 「御菓子処 亀屋」(本店:広島市東区光町1-1-13)

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コメント

私は岡本太郎と同じで縄文文化が大好きなので「火焔土器」と聞いただけでドキがムネムネします^o^
今古代史にハマっているので、一度対馬にも行ってみたいです^^
長崎県は古代から日本の玄関口だった様ですね(^_^)
御地の川通り餅も香りも味も栄養もありそうで、食べてみたいですね!
茅ヶ崎にもたて32センチよこ22センチのでかまんや、御領主大岡越前様に因んだ奉行最中がありますので、機会があれば取材したいと思います(^^)v

川通り餅ってくるみゆべしっぽいですね。
間違いなく美味しいやつ(笑)
利休饅頭、母に山口銘菓だと聞いたことがありますが島根にもあるんですね。
中国地方ではこの手の饅頭名はみんな利休饅頭と呼ばれているとか??
福島の柏屋薄皮饅頭にも似てますね。

なーまん 様

なーまんさん,こんばんは!
いつもコメントいただき,ありがとうございます。

なーまんさんの歴史の知識にはいつも感服しています。
確かに土器ではなく,火焔土器の最中というのは珍しいし面白いですね(^-^)
対馬へ行けば古代史のことが色々と勉強できそうで,私も行ってみたいです。
対馬の「かすまき」は,カステラ巻きの略なのではないかと辰巳琢郎さんはおっしゃってました。
対馬だけにアタってるカモしれません。
長崎は,古代から交易で栄え,歴史的に重要な地域だったのでしょうね。

川通り餅,久しぶりに食べましたが,美味しかったです。
どちらかと言えば広島のお土産としてのお菓子ですが,こうして歴食に採用されると無性に食べてみたくなりました(笑)
茅ヶ崎のでかまんや奉行最中,歴食候補ですね!
あんこ党の私としては,これはぜひ食べてみたいです。
興味深い情報,ありがとうございました。

chibiaya 様

chibiayaさん,こんばんは!
いつもコメントいただき,ありがとうございます。

ピンポーン!川通り餅はクルミゆべしそっくりです。
クルミゆべしにきな粉をまぶしたイメージです。

利休饅頭,おっしゃるとおり山口の銘菓です。一口サイズの小さな黒糖饅頭ですよね。私も先に山口の利休饅頭をイメージしました。
歴食JAPANの事務局は山口にあるのですが,地元の利休饅頭ではなく,浜田の利休饅頭を歴食に認定されているところに興味を持ちました。はっきりとした歴史的な背景があるからなのでしょうね。
どうやら利休饅頭は全国にあるようです。

確かに福島の粕屋薄皮饅頭にも似てるでしょうね。
大きさはかなり違いそうですが。
ということは…粕屋の薄皮饅頭と同じく,利休饅頭も衣をつけて油で揚げて,「天ぷらまんじゅう」にしても美味しいと思います(笑)

chibiayaさんのコメント,どれもよく御存知だなと感心しました\(^o^)/

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