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2022年3月27日 (日)

岩手県大船渡市の早採りわかめと宮城県気仙沼市のめかぶ -生わかめ・めかぶ鍋・たたきめかぶ・冷奴・おでん(わかめ)-

 日本で流通するわかめのうち,国産は約2~3割で,そのうちの約7割が宮城県・岩手県を中心とした三陸産です。

 2011年3月11日に発生した東日本大震災では,三陸沿岸のわかめ養殖施設も甚大な被害を受けました。

 震災発生から11年を経た今,現地のわかめ漁の現状と,わかめの魅力について学ぶため,震災復興支援事業の一環でもあるオンラインイベントに参加しました。

 今回は岩手県大船渡市の早採りわかめと宮城県気仙沼市のめかぶを御紹介し,併せてオンラインで学んだ岩手県大船渡市のわかめ漁の現状やわかめ・めかぶの魅力などについてもお話ししたいと思います。


岩手県大船渡市の生わかめと宮城県気仙沼市のめかぶをお取り寄せ

 わかめ・めかぶは春が旬です。

 1年で海の水が一番冷たくなるのは冬ではなく春なのだそうで,その海水が一番冷たい時期にわかめ漁は行われます。

 2022年2月下旬,まだまだ寒さ厳しい岩手県大船渡市・宮城県気仙沼市から,採れたての生わかめ・めかぶをお取り寄せしました。

(生わかめ・めかぶ(梱包))
Photo_20220327114501

 わかめ(写真左側)とめかぶ(写真右側)がそれぞれ袋詰めされています。

 袋を開けると,遠く離れた三陸の潮の香りが漂いました。

(生わかめ)
Photo_20220327114601

 岩手県大船渡市で採れた生わかめの様子です。

 「早採りわかめ」と呼ばれる,間引きのために早く収穫したわかめです。

 そのため,あまり大きいものではなく,1本の長さは約1メートルでした。

 続いて,めかぶを袋から取り出しました。

(めかぶ)
Photo_20220327114602

 宮城県気仙沼市で採れためかぶです。

 この大きさのめかぶは,十分な大きさに育ったわかめから採れたものです。

 先程御紹介した「早採りわかめ」ではまだ十分な大きさのめかぶに育っていないため,わかめとめかぶは別々の産地から届けられました。

(生わかめ・めかぶ)
Photo_20220327114502

 今回届いた生わかめとめかぶの全体量はこんな感じです。取り出してみるとかなり量がありました。

 このわかめとめかぶを使っていろんな料理を作り,味わい尽くしたいと思います。


わかめ・めかぶについて理解を深める

 ここで,わかめとめかぶについて,岩手県大船渡市の漁師・千葉 豪(ちば ごう)さんから学んだことを中心にまとめてみます。

【わかめとめかぶの違い】
 植物の葉っぱや茎のように見えるところが「わかめ」と呼ばれる部分。
 葉っぱのように見える箇所を「葉状体」,茎のように見える箇所を「芯」と呼ぶ。
 その根元にあるのが「めかぶ」。
 わかめの生殖器にあたる部分で,正式名称は「胞子葉」。
 春になると胞子を出す。

(わかめとめかぶの構造)
Photo_20220327115301
(東北食べる通信「生若布」説明書の一部を引用)

 この絵は,天然のわかめ・めかぶの様子を描いたものです。
 養殖のわかめ・めかぶは,上から吊り下げられた状態で育てられるため,上下が逆になります。

【わかめ漁師とめかぶ漁師】
 成長のタイミングにずれがあるため,わかめを中心に栽培する漁師と,めかぶを中心に栽培する漁師がおられる。

【国産わかめと外国産わかめの比率】
 日本国内に流通しているわかめのうち,国産が約2~3割,外国産が約7~8割。
 地域によって比率が異なり,大阪など大都市部では国産が1割程度となる。

【早採りわかめ】
 大きく育つ前のわかめを,間引きのために早く収穫したもの。
 70cm~1m程度で収穫する。(大きく成長したわかめは4m前後になる)

【わかめ・めかぶの成長】
 海水温が高いと早く成長する。
 桜前線が日本列島を北上するのと同じイメージで旬が訪れる。
 岩手より南に位置する宮城の方が海水温が高いため,今回のお取り寄せは岩手の早採りわかめと宮城のめかぶという組み合わせとなった。

【わかめの保存】
 生わかめをしばらく保存させる場合は,できるだけ早めに湯通しして塩をまぶしておくと日持ちする。
 そのままにしておくと,例え冷蔵庫に入れておいてもすぐに傷む(劣化する)。

【生わかめの流通・販売】
 生わかめは痛み(劣化)が早いため,生産地=消費地となる。
 生わかめを流通させることは難しいため,生わかめが販売されている地域は限られる。


 皆様は生のわかめを召し上がったことがあるでしょうか。

 私は食べたことがあるのですが,今回のオンライン参加者20名のうち12名(6割)は「今回のお取り寄せで生わかめを初めて食べた」との回答でした。

 私の住む広島市はわかめの養殖が盛んな地域で,毎年2月頃に鮮魚店・鮮魚売場や漁業協同組合などで生わかめが販売され,広島市水産振興センターでも生わかめの魅力をPRされているのですが,これは沿岸部の限られた地域で行われていることなのだとわかりました。


わかめクイズ

 オンラインイベントの中で,わかめに関するクイズコーナーもありました。

1 わかめの養殖の発祥地は次のうちどれでしょうか。
(1)韓国 (2)三陸 (3)徳島(鳴門)

2 わかめは在来種・外来種どちらでしょうか。
(1)在来種 (2)外来種

3 今回の漁師・千葉 豪さんの好きなわかめ料理は何でしょう。
(1)しゃぶしゃぶ (2)天ぷら (3)漬物

 最後のクイズなど知っているわけありませんが(笑),正解は1…(2)三陸,2…(1)在来種,3…(3)漬物です。

 わかめの養殖は,岩手県大船渡市末崎町の小松藤蔵さんが取り組み,成功したのが始まりで,同町には「わかめ養殖発祥の地」の石碑があります。

 韓国では誕生日・女性の産後・お祝いする日などに「わかめスープ」を食べる習慣があり,わかめがたくさん食べられていることから,私は「わかめは外来種かも」と思ったのですが,在来種とのお話でした。
 逆に海外では,わかめを「外来種」の悪者扱いにしている国もあるようです。

 わかめの漬物は産地ならではの料理で,茎わかめ・人参・生姜などを刻んで塩や醤油,めんつゆなどで漬けて作られるようです。
 この漬物が絶品なのだそうです。


生わかめ・めかぶを茹でてみる

 わかめ・めかぶについて理解を深めたところで,調理と実食に移ります。

 めかぶをお湯で茹でてみました。

(茹でめかぶ)
Photo_20220327135201

 茹でた瞬間,鮮やかな緑色に変化し,表面にヌルヌル・ネバネバした粘りが出てきました。

(茹でめかぶ(粘り))
Photo_20220327135401

 めかぶは,この粘りが特徴です。

 次に生わかめを茹でてみました。

(茹でわかめ)
Photo_20220327135601

 生わかめも茹でた瞬間に鮮やかな緑色に変化しました。

 粘りは出ず,ハリとシャキシャキ感が増しました。

 茹でたわかめやめかぶは,醬油やポン酢,マヨネーズなどで刺身のようにいただきました。

 新鮮な生のわかめ・めかぶだからこそできる一品で,美味しくいただきました。


生わかめ・めかぶ鍋と雑炊

 生わかめ・めかぶを入れた寄せ鍋を作りました。

(生わかめ・めかぶ鍋)
Photo_20220327135801

 本当はわかめとめかぶがメインのしゃぶしゃぶにする予定でしたが,たくさん具を入れたので,寄せ鍋になってしまいました(笑)

 鍋を味わった後は,そのだし汁に生卵とねぎを入れて雑炊にしてみました。

(生わかめ・めかぶ鍋の雑炊)
Photo_20220327135802

 わかめとめかぶからとても良いだしが出て,鍋や雑炊に適していることがわかりました。

 わかめやめかぶを一度にたっぷりと食べられることも魅力です。


たたきめかぶ

 茹でためかぶを包丁で細かく刻み,たたきめかぶを作りました。

(たたきめかぶ)
Photo_20220327140101

 仕上げにうずらの卵の黄身をのせました。

 めかぶを茹でると表面にヌルヌルとした粘りが出るのですが,そのヌルヌルでめかぶが移動し,包丁で細かく刻むことが想像以上に大変でした。

 そのため,フードプロセッサーを使って刻む方法もあるようです。

 醤油をかけていただきました。


めかぶの冷奴

 たたきめかぶを豆腐の上にのせ,冷奴にしてみました。

(めかぶの冷奴)
Photo_20220327140301

 昆布にも似ためかぶの旨味が加わって,冷奴の味が格段に高まりました。


おでん(わかめ)

 わかめをおでんの具にしても美味しいに違いないと思い,おでんに生わかめを入れて煮込みました。

(おでん(わかめ))
Photo_20220327140601

 おでんの中心がわかめです。

 「うん,やっぱり美味しい!」

 あまり煮過ぎると崩れて溶けてしまいますが,適度に煮たわかめはシャキシャキとした歯ごたえがあり,おでんの汁を吸ってとても美味しい一品になりました。

 同時に,おでんのだしにもなり,一石二鳥の役割を果たしてくれます。


まとめ

 今回オンラインで中継された大船渡市吉浜地区は,東日本大震災に伴い約20メートルの津波が襲ってきたようです。

 海に近い漁港や養殖施設などは津波に流されたものの,高台にある住宅地帯は助かり,生活拠点が残ったことで漁業再開・地域復興につなげられた方も多くいらっしゃいます。

 今回お世話になった漁師の千葉 豪さんもそのお1人です。

 千葉 豪さんは,わかめの魅力を広め,ブランド化にも取り組むべく,青森・岩手・愛知・徳島・福岡・大分など全国のわかめ産地を訪問し,日々研究されています。

 他の産地・漁師を敵として競争するのではなく,わかめ漁師と加工業者が一緒になって,みんなでわかめの魅力を伝え,みんなのわかめを食べてほしいという思いで頑張っておられる千葉 豪さんのお姿が印象的でした。

 今回のオンラインは,復興支援の取組みとして,岩手めんこいテレビのニュースでも紹介されたのですが,その中で千葉 豪さんは「生のワカメはおいしい。ワカメにも旬があると伝えてほしい」とわかめの魅力を語っておられました。

 最後に,私から千葉 豪さんに「広島市でも旬になると生わかめが流通すること」,「福岡市早良区の食育レシピに生わかめを使ったおにぎり(サザエさん家の子供たちのおにぎり)があること」,「大船渡市・吉浜産のわかめには大きな強み・魅力があると思ったこと」などをお伝えしました。


 わかめは,普段から味噌汁などでよく食べられているだけに,国産か外国産か,乾燥わかめか塩蔵わかめか生わかめか,などにあまりこだわらない(関心がない)方が多いようです。

 ただ,本当に良いわかめ,新鮮なわかめは,美味しいだけでなく,身体に感動と喜びを与えてくれる力を持っていると思います。

 美味しいわかめを御賞味ください。


<関連サイト>
 「わかめ養殖発祥地顕彰碑・わかめ養殖の碑」(三陸DMOセンター)
 「第1回ワカメサミット開催!全国のフィッシャーマンが集い、ワカメを語り尽くした1日」(フィッシャーマンズ・リーグ,東の食の会)

<関連記事>
 「福岡市早良区「サザエさん通り」誕生記念料理 -サザエさん家の子供たちのおにぎり-

<参考文献>
 「東北食べる通信」(2019年1月号「生若布」・NPO法人 東北開墾)

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コメント

わかめとめかぶの違いは何か?
気になって調べようと思ったら、図解入り^^
ありがたいです^_^
できれば輸入先も教えていただければと存じますo(^_-)O
神奈川には三浦わかめや茅ヶ崎のえぼしわかめがありますが、野菜嫌いのなーまんは三浦といえば三崎マグロ!
茅ヶ崎といえばタタミイワシで、地元産の生わかめは食べた記憶がありません(⌒-⌒; )
味噌汁やサラダ、酢の物でイヤイヤ食べる程度です)^o^(
コウジ菌様は食べるだけでなく、自ら調理し綺麗な食器に盛り付けておられるところが素晴らしいですね(^_^)

1年中見かけるので、旬があるなんて考えたことなかったです(^^;)
めかぶは納豆と混ぜるとねばねばが増してご飯が進みますね。
ちなみに、刺身ワカメのサンドイッチ、結構美味しいですよ。
パンにバターを塗り、スモークサーモンとワカメを適量はさむだけです。

なーまん 様

なーまんさん,こんばんは!
いつもコメントいただき,ありがとうございます(^-^)

わかめとめかぶ,同じ海藻の一部でありながら,粘りも歯ごたえも全然違うので不思議です。
わかめの輸入先,調べてなかったのですが,やはり中国と韓国が圧倒的に多いようです。
神奈川県もわかめがたくさん獲れるようですね。
三浦わかめにえぼしわかめ,勉強になりました<(_ _)>
タタミイワシ,私は食べたことがないのですが,相模湾のものが有名なようで,そちらに伺った際は味わってみたいです!
京急に乗って三崎マグロも食べに行ってみたいです。

わかめ,私も酢の物は少し苦手です(>_<)

私の料理は,レシピとかあまり読まずに作っているので,お恥ずかしい限りですが,イメージしていただきやすいかと思い,作っております。
調理の合間に写真を撮るので,時間がかかって仕方ありません(笑)

chibiaya 様

chibiayaさん,こんばんは!
いつもコメントいただき,ありがとうございます(^^♪

そうですよね。私もごく最近までわかめに旬があるとは知りませんでした。
それどころか,海岸へ行けば,どこでもあるものではないかとさえ思っていました(^^ゞ
養殖しないと,まとまった数量を安定的に獲ることはできませんよね…。

実はめかぶ納豆を作ろうかとも考えていたのですが,めかぶだけの純粋な味を知りたいと思い,「たたきめかぶ」にしました。
めかぶを細かく刻むのにとても時間がかかりました。
写真を意識してなかったら,おそらく途中でやめていたでしょう(笑)

刺身わかめのサンドイッチ,初めて伺いました。
これは完全に未知な味なので,いつか作って味わってみたいと思います。
興味深い情報,ありがとうございました!!

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