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2022年9月

2022年9月25日 (日)

山口の食文化探訪3 -山口市のばりそば・菜香亭・そば寿し-

 山口県山口市を訪問しました。

 新山口駅から山口駅へは,趣のある赤いディーゼルカー(ワンマン)で向かいました。

(山口駅・キハ47形・山口線・宮野行)
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 今回は,山口市の名物料理と,かつて「山口の迎賓館」と呼ばれた施設「菜香亭」を御紹介します。


ばりそば

 山口市とその周辺地域で食べられている御当地グルメ「ばりそば」を味わうため,本町にある「春来軒 本町店」を訪問しました。

 ばりそばはこれまで何度か食べたことがあるのですが,山口市に来ると食べたくなる料理です。

 「春来軒」という名のお店は山口市内にいくつかあって,私を含む県外の人間には,それぞれのお店が同じ系列なのか異なる系列なのか理解しづらい状況となっています。

 「春来軒 本町店」は食券制だったので,私は一人前のばりそば「やきそば(並)」を購入しました。

 メニューはほかにも「やきそば(大盛)」や「やきそば定食(餃子とおむすび付き)」,「やきそば(3人前)」,「やきそば(5人前)」などがあり,それとは別に「ちゃんぽん」や「中華丼」も用意されていました。

 「ばりそば」は「あんかけかた焼きそば」のことなので,その「あん」を「かた焼きそば(揚げ麺)」にかければ「やきそば(ばりそば)」に,茹で麺にかければ「チャンポン」に,ごはんにかければ「中華丼」になるのでしょう。

 お店に方に席を御案内いただき,食券をお渡しすると,麺のかたさを聞かれました。

 麺の仕上がりを「かため」・「普通」・「やわらかめ」と好みのかたさに注文できるのですが,私は「普通」でお願いしました。

 注文を受けてから麺を油で揚げ,あんをかけるので,少々待つこととなります。

 しばらくして,出来上がったばりそばが運ばれてきました。

(ばりそば)
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 油で揚げた麺に,野菜や海鮮を炒めてとろみをつけた「あん」をたっぷりかけた「あんかけかた焼きそば」です。

 「ばりそば」の名称の由来は,油で揚げた麺を食べた時にバリバリと音がするからとか,山口弁で「すごい」を意味する「バリ」からきているといった説があります。

 麺はやや太めで,油で揚げると膨張するため,平たく大きな皿に盛られます。

 あんは鶏がらスープがベースで,ゆるめにとろみがつけられています。

 あんの具は,キャベツ,タケノコ,シイタケ,キクラゲ,ネギ,豚肉,イカ,さつま揚げ,かまぼこなどです。

 お好みで卓上の酢醬油をかけていただきます。

 熱々のあんをパリパリの麺にかけ,やわらかくしながらいただきました。

 大皿なので多いかなと思いましたが,意外とすんなり食べられ,「これなら大盛りでもいける」と思いました。

 実際,大盛りを注文されていたお客さんも多く見かけました。

 また,家族や仲間同士などで来られたお客さんは,3人前や5人前の大皿を注文し,それを皆で分けて食べておられました。

 大皿を皆で取り分けて食べる姿はよく見受けられ,特にお盆や年末年始などの帰省ラッシュ時にはこうしたグループで一杯になることから,山口のばりそばは地元の人たちに愛される郷土料理の1つにもなっていることが理解できました。

 「春来軒 本町店」(山口県山口市本町2-2-18)


菜香亭

 明治時代から山口の料亭・迎賓館として親しまれ,現在は山口市の観光拠点・市民交流の場となっている「菜香亭(さいこうてい)」を訪問しました。

(菜香亭(全景))
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 隣接する「歴史巡りの庭」には「明治維新策源地」と刻まれた石碑があります。

(明治維新策源地の石碑)
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 長州藩の藩主,毛利敬親(もうり たかちか)が藩庁を萩から山口に移転して以来,山口は明治維新の大きな流れを作り,その中心的な役割を果たす「明治維新策源地」となりました。

 菜香亭の外観や「歴史巡りの庭」を眺めた後,館内に入場しました。

 職員の方に館内を案内していただきました。

 観覧料100円では申し訳ないと思うほど,とても丁寧に御案内いただきました。

(菜香亭大広間)
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 百畳の大広間です。

 この大広間で要人がもてなされたり,結婚式や大宴会が開かれたようです。

 また,この大広間を中心に,歴代の総理大臣9名を含む29名の書(揮毫)が掲げられています。

 「菜香亭」の名付け親でもある井上馨をはじめ,三条実美,木戸孝允,伊藤博文,山県有朋,岸信介,寺内正毅,佐藤栄作,田中義一,桂太郎などそうそうたるメンバーです。

 いずれもこの料亭を利用された際に贈られたもので,「菜香亭」が山口の迎賓館として利用されていたことがわかります。

 扁額(へんがく)の一部を御紹介します。

(扁額(竹下登・田中角栄))
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 竹下登さんの「我が道を行く」(写真左側)と田中角栄さんの「微風和暖(びふうわだん)」(写真右側)という書です。

(扁額(安倍晋三))
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 こちらは山口県出身の安倍晋三さんの「寂然不動(じゃくぜんふどう)」という書です。

 「心は静かに穏やかだけれど,何事にも動ぜず,信念は曲げない」という意味です。

(菜香亭(中庭))
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 こちらは中庭の様子です。落ち着いた雰囲気で心が癒されました。

 ひととおり見学し,職員の方にお礼申し上げた後,記念にオリジナルポストカードを購入しました。

(菜香亭ポストカード)
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 上半分が菜香亭の建物や中庭でワイワイ過ごす様子を描いたポストカード,下半分が菜香亭の大広間で皆が揃って食事を楽しむ様子を描いたポストカードです。

 菜香亭でみんなが楽しく過ごしている様子がかわいらしく描かれています。

 山口市の観光スポットとして,菜香亭は最高でぃ!


そば寿し

 菜香亭を後にし,徒歩で瑠璃光寺(るりこうじ)へ向かいました。

(瑠璃光寺)
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 日本三名塔(奈良・法隆寺,京都・醍醐寺,山口・瑠璃光寺)の1つ,瑠璃光寺の五重塔です。

 その瑠璃光寺・香山(こうざん)公園の近くにある「東京庵 香山店」で名物の「そば寿し」をいただきました。

(そば寿し(そばつゆ・そば湯))
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 すし飯の代わりに麺のそばが使われている珍しい巻き寿司です。

 そばつゆとそば湯が付きます。

(そば寿し)
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 ざるそばと同様,そばつゆにつけていただきます。

(そば寿し(拡大))
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 中の具は,でんぶ,厚焼き玉子,かんぴょう,しいたけ煮,青菜で,全体的に甘めの味付けとなっています。

 海苔と薄焼き玉子の二層で巻かれており,彩りもきれいです。

 すし飯に比べ,具やつゆの味がよりダイレクトに伝わってきました。

 一般的な巻き寿司に比べ,ずっしりとしてないので,軽食としていただくことも可能です。

 巻き寿司感覚で,お手軽にそばを味わうことができる一品です。

 「東京庵 香山店」(山口県山口市香山町6-16)


まとめ

 山口県には,今回御紹介した「ばりそば」や「そば寿し」以外にも,下関の「瓦そば」や「コーヒーラーメン(七色ラーメン)」,防府の「みそ焼きマイマイ」,下松の「牛骨ラーメン」,萩発祥のうどんチェーン店「どんどん」など様々な麺料理(店)があります。

 この理由の1つとして,隣接する福岡県のラーメンやうどんの食文化や,明治維新以降の東京とのつながりの中でもたらされたそばの食文化の影響が挙げられるでしょう。

 また,明治維新に見られるように,既成概念にとらわれず新しいことに積極的に取り組む「進取の気性」にあふれた県民性も関係しているように思います。

 山口で様々な麺料理を御堪能ください。


<関連サイト>
 「山口市 菜香亭」(山口県山口市天花1-2-7)

<関連記事>
 「山口の食文化探訪1 -防府市の「みそ焼きマイマイ」-
 「山口の食文化探訪2 -岩国市「いろり山賊」のポテトチップス山賊焼味-

2022年9月18日 (日)

フードテックの世界 -培養肉と食用コオロギ(コオロギせんべい・コオロギチョコ)-

 広島バイオテクノロジー協議会が主催する「令和4年度 広島バイオフォーラム」(令和4年7月28日)に参加しました。

 今回のテーマは「機能性食品とフードテック」で,食の最先端の世界が紹介されました。

 「フードテック」は「フード」と「テクノロジー」を掛け合わせた造語で,最先端の技術を活用し,イノベーションによって食の可能性を広げる取組みのことです。

 今回は,この広島バイオフォーラムで学んだフードテックの世界と,それに関連する食を御紹介したいと思います。


「日本初!食べられる培養肉の作製」

 日本を含む世界中で「SDGs(エスディージーズ):持続可能な開発目標」に取り組まれている中,食肉の世界においても,その生産に伴う環境負荷や将来の世界的な人口爆発に伴う食糧難への懸念,菜食主義者(ヴィーガン・ベジタリアン)の増加などを受けて変化の兆しがみられます。

 具体的には,大豆ミートに代表される「プラントベースフード(植物由来食品)」,昆虫食をはじめとした「代替タンパク質」,食べられる「培養肉」などの研究が進められています。

 日本でもこうした分野の研究が進められており,このうち「培養肉」の分野では,東京大学と日清食品がトップランナーとなって研究されています。

 今回のフォーラムでは,東京大学大学院情報理工学系研究科特任助教の島 亜依さんから「培養肉」の研究成果について御報告いただきました。

【主な講演内容】
○世界人口の増加に伴い食肉需要が増え続ける見込みの中,現行の畜産を拡大させることには限界があり,近い将来,食肉の需要が供給を上回る事態となる可能性がある。

○そうした事態の解決策の1つとして,家畜から採取した筋肉の細胞を培養液の中で増やし,その増やした細胞を使って食肉を作る試みがある。

○食肉の世界は,「狩猟」(食肉1.0)→「畜産」(食肉2.0)→「培養肉」(食肉3.0)へと進んでいくだろう。

○培養肉には,①食糧難を解決できる,②環境負荷が少ない,③「アニマルウェルフェア」(動物愛護・動物福祉)を実現できる,④家畜伝染病などの影響を受けない,という大きな4つのメリットがある。

○オランダ・マーストリヒト大学のマーク・ポスト博士によって開発された世界初の培養肉バーガーの値段は,約3,250万円(25万ユーロ)。

○アメリカ・イートジャスト社がシンガポールで販売認可を受けた培養肉のチキンナゲットは,1皿約2,000円。

○東京大学の研究グループでは「培養ミンチ肉」の作製から,次のステップとなる筋繊維が同じ方向に並んだ「培養ステーキ肉」の作製に取り組んでいる。

○「培養ステーキ肉」は,動物の筋肉構造と同じく,組織の両端を固定して細胞を一方向に並べることで肉の食感を出すことを目標としている。

○培養肉を作るだけでなく,実際に人間が食べられる肉にすることが求められるが,このハードルが高い。


 現在,食肉を安定的に確保する主な手段は「畜産」ですが,これがいずれ「培養肉」にシフトする可能性もあるというお話は衝撃的でした。

 フォーラムには,畜産(行政)に携わっている方も多く参加されていたので,私と同じような感想を持たれた方も多かったのではないかと思います。

 また,培養液の中で筋肉細胞を増殖させるだけでなく,その細胞を一方向に並べて筋繊維を作り,肉の食感をも本物に近づけるという画期的な取組みも興味深く,培養肉の分野が現実の世界にどんどん近づいているように感じました。


「循環型食品としての食用コオロギの可能性」

 続いて,株式会社グリラスの代表取締役社長・徳島大学バイオイノベーション研究所講師の渡邉崇人さんから,代替タンパク質としての食用コオロギの研究成果について御報告いただきました。

【主な講演内容】
○今後,世界人口の増加に伴い,動物性タンパク質の不足が深刻となる事態「タンパク質クライシス」が到来すると言われている。

○環境負荷の低い新たな次世代タンパク源として「フタホシコオロギ」に注目し,研究開発を進めている。

○食品残渣(残った食品・廃棄する食品)を利用してコオロギを飼育する技術開発にも取り組み,食料を循環生産するための研究も進めている。

○コオロギは飼いやすく,成長が早く,食性(食べるもの)が広い。このような特性を持つ昆虫は,コオロギとミールワーム類しかいない。

○コオロギはエビやカニと同様に,足がとれてもまた生える(再生芽)特徴があり,人にも応用できないか研究が進められている。

○コオロギの食味の改善,甲殻類アレルギーの除去,巨大化・家畜化などをゲノム編集技術レベルで進めている。

○世界でも昆虫食マーケットは拡大傾向にある。

○昆虫食の課題は,①嫌悪感,②健康不安(アレルギー),③味への不安をどうクリアさせるか。

○食品工場に昆虫(コオロギ)を持ち込むこと自体に拒否反応を示す会社も多い。

○食品工場での障壁は,①心理的な嫌悪感,②既存商品への影響,③アレルギー表示の問題

○一方で,無印良品,Pasco(パスコ),UHA味覚糖,ロッテ,日清食品,ZIPAIR(ジップエア),ファミリーマートなど昆虫食導入に前向き・協力的な会社も出てきている。

○食用コオロギが当たり前の食材になることを願っている。


 食品工場や調理現場で虫が発生すれば大きな問題となりますが,食用コオロギを使った食品製造においても,それが食品メーカーに同様の話として扱われる(消費者に同様のイメージを持たれる)ことをどうクリアさせるかが大きな課題と言えそうです。


コオロギせんべい

 株式会社良品計画と株式会社グリラスが共同開発された,コオロギの粉末を使ったお菓子を2つ御紹介します。

 1つ目は「コオロギせんべい」です。

(コオロギせんべい(無印良品・包装))
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 包装には,
「これからの地球のことを考えて,コオロギのパウダー入りせんべいを作りました」
「エビのような香ばしい風味が特長です」
と紹介されています。

 ミニサイズのえびせんべいのようなお菓子です。

 当初は取扱店舗が限定されていましたが,徐々に取扱店舗が拡大されています。

(コオロギせんべい(無印良品))
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 一口サイズで,コオロギの粉末がたっぷりとかけられています。

 臭みはなく,細かい粉末にされているので(コオロギの殻の)ジャリジャリ感もありません。

 馬鈴薯でんぷんが主原料なので,パリパリでとても軽い食感のせんべいです。

 シンプルな塩味で,クセがないのでいくらでも食べられます。

 「コオロギせんべい」と表記されてなければ,コオロギ粉末入りだと意識されることもないでしょう。


コオロギチョコ

 続いては「コオロギチョコ」です。

(コオロギチョコ(無印良品・包装))
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 無印良品店舗の一角に,コオロギせんべいと一緒にどっさりと販売されていました。

 包装には,
「コオロギパウダーを入れたチョコレートバーです」
「高たんぱくに仕上げました」
と説明されています。

 確かに,食材にコオロギの粉末を混ぜることにより,たんぱく質の含有量が高められるというメリットがあります。

(コオロギチョコ(無印良品))
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 ずっしりとした重さがあり,チョコレートとオレンジの甘い香りがしました。

 いただいてみると,コオロギせんべいと同様,コオロギ粉末が入っているという違和感が全くなく,美味しいチョコレートバーでした。

 ずっしりとしているので「カロリーが高いのでは」と栄養成分表示を確認してみると,1本あたり平均184キロカロリーで意外と低いことがわかりました。

 その理由は,サクサクの大豆パフにあるようです。

 チョコレートとオレンジの相性は抜群ですが,それにコオロギ粉末と大豆パフを加え,美味しくて食べやすいチョコレートバーに仕上げられています。


まとめ

 無印良品のお菓子をいただき,日本でも身近なおやつとして昆虫食が食べられる時代になったことを実感しました。

 培養肉の分野も昆虫食の分野も「SDGs」にそった取組みですが,今後は「物珍しさではなく,より身近で一般的な,美味しい食品として受け入れられる環境づくり・仕組みづくり」が求められると思います。

 いくら環境への負荷が少なく,高たんぱく質であることを売りにしても,美味しさが伴わなければリピートされにくいからです。

 日本でも,精肉店に培養肉が並び,食事店のメニューに当たり前のようにコオロギ料理(昆虫料理)がある時代が,意外と早く到来するかも知れませんね。


<関連サイト>
 「広島バイオテクノロジー推進協議会」(事務局:広島県農林水産局農業技術課)
 「培養ステーキ肉」(東京大学大学院情報理工学系研究科知能機械情報学専攻)
 「株式会社グリラス」(徳島県鳴門市撫養町黒崎字松島45-56)
 「徳島大学バイオイノベーション研究所」(徳島県名西郡石井町石井字石井2272-2)
 「コオロギが地球を救う?」(無印良品)
 「Pasco コオロギカフェ」(Pasco)

<関連記事>
 「昆虫食の研究6 -コオロギラーメン-
 「カンボジア料理の特徴と主な料理9 -コンポントム市場をめぐる(前編) 野菜・果物・炒り米・昆虫食-

<参考文献>
 テキスト「令和4年度 広島バイオフォーラム」広島バイオテクノロジー協議会
 石川伸一「「食」の未来で何が起きているのか 「フードテックのすごい世界」」青春新書
 「料理王国 2020年12月号」ジャパン・フード&リカー・アライアンス

2022年9月11日 (日)

産直市・産直野菜コーナーの魅力1 -皮付きヤングコーン・オカワカメ・花オクラ・紫ししとう(紫唐辛子)・エゴマの葉-

 産直市やデパート・スーパーマーケットの産直野菜コーナーへ行くと,地元で採れた面白い野菜や珍しい野菜を販売されていることがあります。

 たまたまその日だけ販売されているような野菜もあり,そうした「偶然の出会い」があるのも産直市・産直野菜コーナーの楽しみの1つです。

 今回は,産直野菜コーナーで見つけたちょっと面白い野菜・珍しい野菜をいくつか御紹介したいと思います。


ヤングコーン

 ヤングコーンはパック詰めや缶詰の状態でよく見かける野菜ですが,皮付き(葉付き)のヤングコーンが販売されていたので購入しました。

 皮付きのトウモロコシは季節になるとよく販売されていますが,皮付きのヤングコーンはちょっと珍しいです。

(ヤングコーン(皮付き))
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 1本の長さが40~50cmありました。

 トウモロコシと同様に,包まれている皮(葉)をはぎ,中身を取り出してみました。

(ヤングコーン(皮付き・生ヤングコーン))
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 取り出した瞬間「えっ,中身はこんなに小さいんだ」と驚きました。

 「ほとんど捨てるところじゃないか」と思うぐらい,タケノコのように何枚もの皮(葉)に包まれていました。

 茹でると,やわらかくてほんのり甘いヤングコーンになりました。

 パック詰めや缶詰で販売されているヤングコーンが,実は何枚もの大きな皮(葉)で包まれており,大変な労力がかけられた,とても貴重な1本であることがわかりました。


オカワカメ

 産直野菜コーナーで「オカワカメ」と呼ばれる野菜が販売されていました。

 オカ(丘・陸地)でできるワカメのような野菜ではないかと興味を持ち,購入しました。

(オカワカメ(包装))
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 ビニール袋の中に,平べったい小さな葉がたくさん入っていました。

 ビニール袋からオカワカメを取り出してみました。

(オカワカメ)
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 一見,近所にも生えてそうな普通の葉です。

(オカワカメの食べ方)
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 オカワカメの食べ方が紹介されていました。

 「熱湯で5秒間茹でてサッと冷水で洗う。ポン酢をかけて食べる。また味噌汁・納豆・サラダの中に入れて,食感を楽しんでね!」

 海のワカメと同じような調理法でよいようです。

 それならと,まずはオカワカメをサッと茹で,冷水で洗ってみました。

(ゆがいたオカワカメ)
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 葉が深緑色になり,表面にヌルヌルとしたぬめりが出てきました。

 ポン酢でいただくと,シャクシャクとした食感も楽しめました。

 このワカメにも似た「ぬめり」と「シャクシャク感」がオカワカメの特徴のようです。

 次に味噌汁の具にしてみました。

(オカワカメの味噌汁)
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 オカワカメのほか,豆腐・大根・オクラが入った味噌汁です。

 オカワカメを味噌汁に入れてみると,その食感がワカメとそっくりなことがわかりました。


花オクラ

 夏の産直市・産直野菜コーナーではオクラをよく見かけますが,今回,あまり馴染みのない「花オクラ」と呼ばれる野菜が販売されていました。

(花オクラ(包装))
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 ほとんどが花のようで,とてもやわらかく繊細でした。

(花オクラ)
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 花びらを開いてみましたが,やはり黄色い花のみでした。

 花オクラは,花が食べられるようにオクラを品種改良したもののようです。

 その細長い形にオクラの面影を感じます。

 この花オクラでおひたしを作ってみました。

(花オクラのおひたし)
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 花びらが綿のようにフワフワになりました。

 食べるとジュワッと溶けていくような感じです。

 苦味や渋味がないので食べやすいです。

 続いて味噌汁の具にしてみました。

(花オクラの味噌汁)
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 花オクラから出る「ネバネバ」・「ぬめり」により,味噌が汁椀の底に沈殿しました。

 この「ネバネバ」・「ぬめり」が出るところは,オクラと一緒です。

 繊細な食感が楽しめるエディブルフラワーでした。


紫ししとう(紫唐辛子)

 一般的な「ししとう」は緑色をしていますが,産直野菜コーナーで「紫のししとう」が販売されていました。

(紫のししとう(紫唐辛子)(包装))
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 包装の説明書きには「奈良の伝統野菜」,「種袋には『紫のとうがらし』と書いてありましたが,食べたら『シシトウ』でした。加熱すると緑色に変~身!なので,サッと火を通すのがおススメです」とありました。

(紫のししとう(紫唐辛子))
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 茄子(ナス)のような濃い紫色をしています。

 「加熱すると緑色に変~身!」するのか,実際に加熱してみました。

(紫のししとう(紫唐辛子)(生のものと加熱したもの))
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 写真上が生,写真下が加熱した「紫のししとう」です。

 加熱が進むにつれ,徐々に緑色に変化しました。

 生はカリカリ,加熱したものはシャクシャクした食感で,いずれも辛味はありませんでした。

 茹でた「紫のししとう」に醤油・酢・ゴマ油を加えてしばらく漬け,ナムルにしてみました。

(紫ししとうのナムル)
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 紫のししとうに調味液がしっかりと浸み込み,ご飯のお供にぴったりの一品となりました。


エゴマの葉

 ある日,産直野菜コーナーで「エゴマの葉」が販売されていました。

 エゴマの葉はハングルでは「ケンニップ(ケンニプ)」と呼ばれ,韓国ではキムチ漬けにしたり,醤油漬けにしてよく食べられています。

 輸入食材店・韓国食材店などでは,エゴマの葉を使ったキムチの缶詰もよく販売されています。

 しかしながら,日本では生のエゴマの葉はあまり見かけません。

 どんな味がするのか興味を持って購入しました。

(エゴマの葉(包装))
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 大葉を何倍も大きくしたような,大きな葉っぱが包装されていました。

(エゴマの葉)
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 長さを測ってみると,縦が約20cm,幅が約15cmありました。

 大きい分,葉の肉厚もあり,表面が起毛でゴワゴワしていました。

(エゴマの葉(生のものと加熱したもの))
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 写真左が生のエゴマの葉,写真右が加熱した(茹でた)エゴマの葉です。

 エゴマの葉を加熱すると緑色から濃い(暗い)緑色に変化しました。

 両方を食べ比べてみました。

 生のエゴマの葉は,見た目だけでなく,風味も大葉を何倍も凝縮させたような感じでした。

 肉厚なので多少食べにくさも感じました。

 加熱したエゴマの葉は,生に比べて青臭さは減りましたが,逆に大葉に似た香りは強まりました。ただ,期待したほどやわらかくはなりませんでした。

 牛肉を焼き,韓国料理風にエゴマの葉で包んでいただいてみました。

(エゴマの葉で包んだ牛焼肉)
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 脂肪分が多い肉でも,さっぱりと美味しくいただくことができました。

 今回はシンプルに塩・こしょうで味付けした焼肉を包んで味わいましたが,エゴマの葉は少し香りが強いので,それに負けないコチュジャン(辛味噌)などのたれを使うのも良いと思います。

 エゴマの葉をキムチにして食べられるのも,そのままでは肉厚で香りの強いエゴマの葉を美味しくいただくために生み出された知恵なのでしょう。


まとめ

 産直市・産直野菜コーナーの野菜は,生産者の名前や写真が表示されているものも多く,その分,新鮮で安全・安心な野菜を安く買えるというメリットがあります。

 そして面白い野菜や珍しい野菜をゲットできるチャンスもあります。

 さらに消費者だけでなく,生産者にとっても,直接収入となり,消費者との交流もできることが喜びや励みにつながっているのです。

 今後も産直市・産直野菜コーナーで様々な野菜との出会いを楽しみたいと思います。

2022年9月 4日 (日)

魚柄仁之助さんからいただいた長野の自家製かんぴょう -かんぴょう煮・かんぴょうの油炒め・かみなり汁-

魚柄仁之助先生から自家製かんぴょうが届く

 食文化研究家の魚柄仁之助さんから,長野で採れた夕顔で作られた「かんぴょう」を送っていただきました。

 収穫された夕顔そのものは,生後6か月の赤ん坊ぐらいの重さがあるようなのですが,干瓢・乾瓢(かんぴょう)にすると水分が抜けて軽くコンパクトになります。

 そのメリットを生かし,手紙の封筒に入れて私の自宅へ送ってくださいました。

(郵送で届いたかんぴょうとお手紙)
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 事前に電子メールでお知らせいただきましたが,実際に届くと,尊敬する魚柄先生からの贈り物だけに飛び上がるほど嬉しかったです。

 憧れの人からファンに届いた,言わば「逆ファンレター」のようなものです(笑)

 自家製かんぴょうは,まっすぐに揃えてラップで丁寧に包まれていました。

 長野から東京,東京から広島という長旅でした。

 この1通のお手紙に魚柄さんのお人柄が凝縮されているように思いました。

 魚柄さんは乾物(料理)をすすめておられ,本にも乾物や乾物料理の作り方が頻繫に紹介されています。

 いくつか料理して,魚柄さんお手製のかんぴょうを味わうことにしました。


市販のかんぴょうと自家製かんぴょうの違い

 自家製かんぴょうと市販のかんぴょうの違いは,実際に食べ比べてみないとわからないため,市販の栃木県産かんぴょうも購入しました。

(長野の自家製かんぴょう)
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 こちらが魚柄さんから送っていただいた長野の自家製かんぴょうです。

 長さ15cm前後の,まっすぐな形をしたかんぴょうでした。

(市販の栃木県産かんぴょう)
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 続いて市販の栃木県産かんぴょうです。

 伸ばしてみると,私の背丈よりも長く,約2mもありました。

 これは巻き寿司の具や昆布巻き・煮物の帯に使われることも想定されているためです。

 二酸化硫黄で漂白されているので,きれいな白色です。(二酸化硫黄は水洗いで落ちます)


かんぴょうを水で戻す

 いただいた自家製かんぴょうを水に浸して戻しました。

(自家製かんぴょうを水で戻す様子)
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 かんぴょうが水を吸収し,次第に肉厚・幅広に戻ってきました。

 かんぴょうの端に洗濯ばさみで挟んだ跡があるところが手作りの証拠で,とても好感が持てました。


かんぴょう煮

 だしパックでだしをとり,醤油・みりん・砂糖で味付けしただし汁でかんぴょうを煮て,かんぴょう煮を作りました。

 こちらは自家製かんぴょうのかんぴょう煮です。

(かんぴょう煮(自家製かんぴょう))
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 続いて,市販のかんぴょうもかんぴょう煮にしました。

(かんぴょう煮(市販のかんぴょう))
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 市販のかんぴょうは薄く長細いので,かんぴょう煮も見た目が上品な仕上がりとなりました。

 食べ比べてみました。

 市販のかんぴょうは薄いのにシャキシャキした歯応えが楽しめました。

 上品さや高級感が求められる日本料理向けです。

 一方,自家製かんぴょうは,肉厚・幅広なのでだし汁がよく浸みており,薄いかんぴょうよりもかえってやわらかくなっていました。

 かんぴょうの持ち味を生かすなら,魚柄さんがおっしゃるように,夕顔を肉厚・幅広に切った方が良いことがわかりました。


かんぴょうの油炒め

 魚柄さんから「中華的炒め物なんぞに…」といただいたので,自家製かんぴょうで中華風の炒め物を作ることにしました。

 自家製かんぴょう,油揚げ,みつばを油で炒めた「かんぴょうの油炒め」という料理にチャレンジです。

 かんぴょうは,だしが浸み込んだ「かんぴょう煮」を取り出して,片栗粉をまぶしたものを炒めました。

 これは魚柄さんの本で紹介されている,料理の「インターセプト(横取り)」と「片栗粉による食材の下拵え」のアイデアを取り入れたものです。

 フライパンに薄く油をひき,下拵えしたかんぴょう,一口サイズに切った油揚げ,ざく切りのみつばを入れて炒めました。

 かんぴょうを料理の主役にしたいので,肉や魚介類は入れないことにしました。

 醤油と砂糖で味付けして完成です。

(かんぴょうの油炒め)
Photo_20220904143101

 ほどよく照りが出て,ボリューム感もある一品になりました。

 かんぴょうは,コシのあるうどんのようなシコシコとした食感となり,厚みがあるので肉に負けない食べ応えがありました。

 片栗粉をまぶしたので,甘辛い醬油だれによくからみ,表面をこんがりと焼いた厚揚げや香り高いみつばとの相性も抜群でした。


かみなり汁

 かんぴょうは栃木県の名産です。

 魚柄さんも栃木と御縁が深い方なので,自家製かんぴょうを使ってもう1品,栃木の郷土料理を作ってみることとしました。

 「第三回全国歴食サミット(令和歴食合戦)」で,栃木のかんぴょうは,現在の滋賀県甲賀市の水口から栃木県壬生町へ伝えられたのが始まりだと学びました。

 このお話を踏まえ,栃木県壬生町のかんぴょう料理「かみなり汁」を作ることに決めました。

 今回使った材料は,自家製かんぴょう,卵,ばら海苔,みつば,だし汁,醤油,みりん,塩,片栗粉です。

 鍋にだし汁,醬油,みりんを入れ,水で戻した自家製かんぴょうを加えて煮込みます。
 (うおつか流「保温調理」のアイデアで,しばらく煮た後は余熱で火を通しました。)

 しばらくして鍋を再び加熱し,塩で味を調えてから溶き卵を流し込むと,溶き卵がカミナリのようにサーッと広がりました。

 さらに水溶き片栗粉も加え,汁にとろみをつけました。

 お椀にもり,ばら海苔とみつばをのせて完成です。

(かみなり汁)
Photo_20220904144101

 肉厚・幅広のかんぴょうにだし汁が浸み込み,夕顔をそのまま茹でたかのような,シャクシャクした食感になりました。

 海苔やみつばの風味も食欲をかき立て,かんぴょうの持ち味を生かしたかきたま汁になりました。

 撮影用にお椀にもりましたが,そのあと丼に入れ直し,ワシワシと豪快にいただきました(笑)


まとめ

 気付けば,魚柄さんからいただいた自家製かんぴょうを一気にいただいていました。

 かんぴょうは料理の脇役というイメージが強かったため,今回はあえて主役にすることを意識して「かんぴょうの油炒め」や「かみなり汁」を作ってみました。

 そこで得た結論は「かんぴょうを料理の主役にすることができる」というものです。

 そして主役にするためには,魚柄先生から教えていただいたとおり,肉厚・幅広の方が良いこともわかりました。

 今回魚柄さんからいただいた「長野の自家製かんぴょう」は,乾物,自家製,栃木の名産…と魚柄さんらしさが詰まった贈り物でした。


 魚柄先生,本当にありがとうございました。

 この記事を御覧になった魚柄先生から「ばっかも~ん!」とカミナリが落ちてこないことを祈りつつ(笑)


<関連サイト>
 「かんぴょう」(栃木県干瓢商業協同組合)
 「水口かんぴょう」(甲賀市観光まちづくり協会)

<関連記事>
 「第三回全国歴食サミット「令和歴食合戦」(オンライン歴座・2022年2月12日)-広島の歴食・亀屋の「川通り餅」-
 (滋賀県甲賀市・水口かんぴょう)
 「魚柄仁之助講演会「食生活が急速に変化した昭和の時代~昭和初期の非常食が生んだ今日のグルメ料理~」に参加して
 「巣ごもり焼きそば -魚柄仁之助さんの巣ごもりごはんをヒントに-

<参考文献>
 魚柄仁之助「うおつか流食生活かくめい」講談社
 壬生町農村生活研究グループ協議会「かんぴょう料理レシピ集」壬生町干瓢生産流通推進協議会

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