福島県郡山市・柏屋の和菓子と萬寿神社(まんじゅうじんじゃ) -薄皮職人手づくり薄皮饅頭・柏屋薄皮饅頭・柏屋くしだんご-
福島県郡山市を訪問しました。
喜多方駅・会津若松駅から磐越西線を利用し,郡山駅に到着しました。
(磐越西線・郡山駅ホーム)
喜多方駅や会津若松駅と比べると,郡山駅は東北新幹線の駅でもある分,大規模で都会的な駅となっています。
(郡山駅)
郡山市には「薄皮饅頭」で有名な「柏屋」や,「ままどおる」で有名な「三万石」など,魅力的な菓子店がたくさんあります。
今回は,郡山市内にある全国的にも珍しい饅頭にちなんだ神社「萬寿神社(まんじゅうじんじゃ)」と「柏屋」の薄皮饅頭を御紹介したいと思います。
菓祖神 萬寿神社
郡山駅前のメイン道路をひたすら歩き,柏屋の店舗の1つ「開成柏屋」を目指しました。
まだかまだかと歩き,やっとの思いで開成柏屋・萬寿神社に到着しました。
(萬寿神社案内看板)
案内看板を見つけた瞬間,「あっ,本当に饅頭の神社があるんだ!」と興奮しました。
郡山駅からだと結構距離がある(約2.3km)ので,メイン道路を頻繁に運行している路線バス(福島交通)など公共交通機関を利用されるのが良いと思います。
(私も往路は徒歩でしたが,復路(郡山駅方面)はバスを利用しました。)
(開成柏屋店舗)
萬寿神社は開成柏屋店舗に隣接しています。
ただ初訪問だったので,どこにあるのかわからず,しばらく店舗を探し回りました。
(萬寿神社案内看板(照明灯))
照明灯の看板で店舗の奥に参道があることがわかり,心を落ち着けて神社へ向かいました。
(萬寿神社東参道入口)
写真左側が手水を行う「手水舎」,写真右側が「願掛け萬寿石(がんかけまんじゅういし)」です。
(願掛け萬寿石)
丸くてかわいらしい,まるでお饅頭のような「願掛け萬寿石」です。
願い事を聞き届けてくれる願掛けの石です。
さらに境内を進んでいくと,萬寿神社がありました。
(萬寿神社)
日本に饅頭を伝えた饅頭の祖「林浄因(りんじょういん)命」,日本に橘(たちばな・みかんの原種)を持ち帰った菓祖神「田道間守(たじまもり)命」,そして薄皮饅頭を作った柏屋初代の「本名善兵衛(ほんなぜんべい)命」の三柱の神様が祀られています。
(萬寿神社賽銭箱)
賽銭箱にも「萬寿(まんじゅう)」の字が記載されています。
「美味しい饅頭がたくさん食べられますように」
ちなみに,中国から日本へ饅頭を伝えたのは林浄因のほか,聖一国師(しょういちこくし,円爾(えんに))という説もあります。
林浄因は奈良で中に小豆餡を入れた饅頭を作り,それが「塩瀬総本家」(拠点は奈良から京都,そして東京へ変遷)の「志ほせ饅頭」に受け継がれ,さらに福島・柏屋の「薄皮饅頭」へとつながっています。
一方,聖一国師は博多(福岡)で酒饅頭の製法を伝え,それが「とらや」(拠点は京都から東京へ変遷)の「虎屋饅頭」に受け継がれています。
「畿内説」か「九州説」か,邪馬台国論争のようなお話になりますが,いずれにせよ,小豆餡入りの饅頭が和菓子を代表するお菓子となり,現在に続いていることは確かです。
薄皮職人手づくり薄皮饅頭
萬寿神社を訪問した後,隣接する開成柏屋でお菓子を買いました。
店内で商品を見て回っていると,薄皮職人さん手づくりの薄皮饅頭が販売されていました。
地元のお店でしか買えない貴重な薄皮饅頭です。
この薄皮饅頭と「くしだんご」を購入しました。
(薄皮職人手づくり薄皮饅頭(化粧箱))
特別な薄皮饅頭だけに,化粧箱ののしに作られた薄皮職人さんのお名前まで記載されています。
(薄皮職人手づくり薄皮饅頭(包装紙))
包装紙も薄皮のような透けてみえる高級紙が使われています。
(薄皮職人手づくり薄皮饅頭(箱の中))
箱は柏屋薄皮饅頭と同じものが使われていますが,薄皮職人手づくり薄皮饅頭は柏屋薄皮饅頭と比べて一回り小さく,その分,箱の仕切りスペースの余裕が大きくなっています。
(薄皮職人手づくり薄皮饅頭)
包みには「郡山中町 御菓子 柏屋善兵衛 こし」と記載されています。
(薄皮職人手づくり薄皮饅頭(中身))
饅頭を切って中を確かめると,あんこがぎっしりで,見事な薄皮になっているのがわかりました。
ほのかに黒糖の風味がする薄い饅頭(生地)と,口の中でさらりと溶ける絶妙な甘さのあんこ(こしあん)が特長の手づくり饅頭です。
萬寿石のようなかわいい丸い形で,手に取って食べやすく,温かみを感じるのは手づくりならではです。
一般に販売されている柏屋薄皮饅頭との違いを知るため,後日,柏屋薄皮饅頭も購入しました。
(柏屋薄皮饅頭(包装))
柏屋薄皮饅頭(季節限定・新あずき)の包装紙です。
(柏屋薄皮饅頭(化粧箱))
薄皮職人手づくり薄皮饅頭と同じ外箱ですが,薄皮のような半透明の包装紙はありません。
(柏屋薄皮饅頭(箱の中))
先に御紹介した写真「薄皮職人手づくり薄皮饅頭(箱の中)」と見比べていただくとわかるのですが,柏屋薄皮饅頭は箱の仕切りに合わせたジャストサイズとなっています。
(薄皮職人手づくり薄皮饅頭と柏屋薄皮饅頭(包装))
写真左側が薄皮職人手づくり薄皮饅頭,写真右側が柏屋薄皮饅頭です。
包みのデザインも異なっています。
(薄皮職人手づくり薄皮饅頭と柏屋薄皮饅頭(中身))
それぞれの薄皮饅頭を切ってみました。
写真左側が薄皮職人手づくり薄皮饅頭,写真右側が柏屋薄皮饅頭です。
全体的に,手づくりの方がより薄皮になっていることがわかりました。
特に饅頭の底の部分は,あんこが透けて見えるぐらい薄く仕上げられていました。
食材は一緒なので,味については基本的に同じです。
目の前に計16個の薄皮饅頭。
萬寿神社での私の願い事は叶いました(笑)
柏屋くしだんご
郡山駅から東北新幹線で東京駅へ向かいましたが,その新幹線の車中で,開成柏屋で購入した「柏屋くしだんご」をいただきました。
(柏屋くしだんご(こしあん))
店頭でこしあんとつぶあんが販売されていたので,私はこしあんを選びました。
もっちりとやわらかい串団子に,ほどよい甘さのこしあんがきれいにまんべんなく塗られていました。
福島県郡山市。饅頭好きなら一度は訪れたい饅頭の聖地です。
<関連サイト>
「柏屋」(「開成柏屋」福島県郡山市朝日1-13-5 ほか)
「菓祖神 萬寿神社」(福島県郡山市朝日1-13-5(開成柏屋敷地内))
「日本三大まんじゅうとは」(柏屋)
<関連記事>
「うどん・そば・饅頭・羊羹発祥の地 博多 -聖一国師と承天寺,禅料理と博多の食文化-」
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コメント
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万寿神社の書体がおしゃれで素敵(^_^)
「まんじゅう祭り」はどんな祭りなのでしょう?
「田道間守(たじまもり)命」は存じ上げておりましたが「林浄因(りんじょういん)命」と「本名善兵衛(ほんなぜんべい)命」は初耳でした!
「畿内説」か「九州説」は日本古代史の永遠のテーマで、互いに譲れないのでしょうね^^;
阿倍仲麻呂が詠んだ「春日なる三笠の山」も九州なのだ!
という人がいます^^
あながち嘘だと言い切れないとこらがやっかい(^_^;)
投稿: なーまん | 2023年1月15日 (日) 13時16分
柏屋の薄皮饅頭はスーパーのうまいもの市みたいので、いっつも見ることもあり、いつでも食べられる饅頭というイメージで、未だ食べたことがありません。
それに何となく味の想像もつくし(^^;)
くしだんご、一瞬、かりんとう饅頭が串に刺さっているのかと思いましたよ(笑)
こんなに丁寧にあんこが塗られたのは初めて見ました。
投稿: chibiaya | 2023年1月15日 (日) 16時03分
なーまん 様
なーまんさん,こんばんは。
いつもコメントいただき,ありがとうございます。
萬寿神社の書体まで意識しておりませんでしたが(^^ゞ,言われてみれば確かに丸みを帯びて,安らぐ感じがしますね。
「まんじゅう祭り」ですが,饅頭が振る舞われたり,日本3大饅頭が味わえたり,私を含めて饅頭好きにはたまらないお祭りのようです。近ければすぐ行くのですが…(笑)
「田道間守(たじまもり)命」を御存知とはスゴイ,さすがなーまんさんです。
私は逆に「林浄因命」を(ブログ記事にまとめる際)多少理解した程度で,「田道間守命」はかなりあやふやです(笑)
確か広島で全国菓子博覧会が開催された時に,菓祖として紹介されていたような気も…。
「畿内説」か「九州説」か,これはなーまんさんを意識して書かせていただきました(^-^)
どちらの説も,ある程度説明できるところが興味深いところですね。
饅頭の日本伝来もしかりで,記事をまとめる私も少し混乱しました(笑)
投稿: コウジ菌 | 2023年1月15日 (日) 18時43分
chibiaya 様
chibiayaさん,こんばんは。
いつもコメントいただき,ありがとうございます。
そうなんですよ。最近,柏屋の薄皮饅頭は全国銘菓のコーナーなどでよく見かけますよね。
実は今回訪問した「開成柏屋」でお店の方に「薄皮饅頭,広島のデパートでも時々売られていて,買っています」とお話ししました。
その上で,地元でしか入手できない「薄皮職人手づくり薄皮饅頭」と「くしだんご」を買ってみたというわけです。
ほんのり黒糖の香りがする,御想像どおりの薄皮饅頭です。
「くしだんご」,こしあんがきれいにコーティングされているので,確かにかりんとう饅頭に見えますね。
つぶあんは,だんごにまぶしてある感じでしたが,薄皮饅頭のこしあんと一緒かなと思い,こしあんにしてみました。
薄皮饅頭より水分が多く,甘いあんこですが,だんごとよく合ってました。
投稿: コウジ菌 | 2023年1月15日 (日) 18時54分