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2023年12月

2023年12月31日 (日)

みなみく七大伝説スイーツ2023 -広島市南区の菓子伝説・鉄道伝説・天女姫伝説にちなんだスイーツ-

「みなみく七大伝説スイーツ2023」について

 2023年9月16日から11月30日の期間、ひろしま南区スイーツ委員会主催で、「みなみく七大伝説スイーツ2023」が開催されました。

 このイベントは,広島市南区に伝わる「みなみく七大伝説」にちなんだスイーツを進徳女子高等学校と南区の洋菓子店が協同して開発し、紹介・販売されたものです。

(「みなみく七大伝説スイーツ2023」リーフレット(表紙))
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 「みなみく七大伝説」は、広島市南区に伝わる7つの伝説(妖怪伝説、第九伝説、河童猿猴伝説、天女姫伝説、黄金伝説、鉄道伝説、菓子伝説)を言います。

 スイーツを通じて広島市南区の魅力を知ってもらうことを目的に開催されました。

 広島市南区に伝わる様々な伝説にも簡単に触れながら、各伝説にちなんだスイーツを御紹介したいと思います。


菓子伝説

 「菓子伝説」は、第一次世界大戦時にドイツ人捕虜として似島(にのしま)に収容されたカール・ユーハイムが、この似島で日本で初めてバウムクーヘンを焼いたというお話です。

(似島捕虜収容所とカール・ユーハイム)
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 「南区七大伝説 菓子伝説(バウムクーヘン上陸秘話)」南区魅力発見委員会から一部引用

 この伝説にちなんだスイーツを求め、南区元宇品のグランドプリンスホテル広島を訪問しました。

 ロビーでは、2023年5月19日から21日にかけて開催された「G7広島サミット」メンバー国の旗が展示されていました。

(グランドプリンスホテル広島ロビー(G7広島サミット2023))
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 また、スイーツを購入したラウンジの奥には、G7広島サミットの会場セットも展示されていました。

(G7広島サミット2023・会場セットの展示(ラウンジ))
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 ゼレンスキー・ウクライナ大統領の飛び入り参加もあり、一時期、広島市南区に世界の首脳陣が集まりました。


【ムースショコラ~キルシュトルテ風~】

 「菓子伝説」にちなんだスイーツとして、グランドプリンスホテル広島から「ムースショコラ~キルシュトルテ風~」が販売されました。

(ムースショコラ~キルシュトルテ風~(グランドプリンスホテル広島・菓子伝説))
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 ドイツ菓子「キルシュトルテ」(キルシュ:サクランボ(の蒸留酒)、トルテ:ケーキ)をアレンジしたスイーツです。

 表面にはチョコレートを薄く削った「チョコレートコポー」がたくさんあしらわれ、ピスタチオのクリームとグリオット(サワーチェリー)のシロップ漬けで飾られています。

(ムースショコラ~キルシュトルテ風~(グランドプリンスホテル広島・菓子伝説・中身)
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 中身は、ムースショコラ(チョコレートムース)、キルシュシャンティ(キルシュ風味の生クリーム)そしてグリオットで構成されています。

 包丁でのカットが難しいほど繊細でやわらかく、ドイツの黒い森のケーキ(シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ)をイメージするケーキでした。


鉄道伝説

 「鉄道伝説」は、日清戦争時に広島駅と宇品駅(宇品港)までの鉄道がわずか17日間で建設され、昭和61年の廃線まで蒸気機関車が走っていたというお話です。

 広島市南区内には、宇品線の面影を残す廃線跡がいくつか現存しています。

(宇品線廃線跡(線路モニュメント))
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 こちらは広島市南区旭町三丁目、旭町ポンプ場付近の宇品線廃線跡です。

 この辺りは直線の道が続いており、かつて鉄道が走っていたことを物語っています。


【キャラメルポワールの小包み】

 「鉄道伝説」にちなんだスイーツとして、グランドプリンスホテル広島から「キャラメルポワールの小包み」が販売されました。

(キャラメルポワールの小包み(グランドプリンスホテル広島・鉄道伝説)
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 蒸気機関車で運ばれてきた小包をイメージしたお菓子です。

 リング(輪)のチョコレートは小包のひもやロープを、中身を包んでいるクレープは小包の箱や袋を表現されたものなのでしょう。

(キャラメルポワールの小包み(グランドプリンスホテル広島・鉄道伝説・中身)
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 洋梨(ポワール)のコンポートと洋梨のキャラメリゼが生クリームとクレープで包まれています。

 土台はチョコレートクッキーです。

 小包が届いた時のワクワクと、それを開けた時の楽しみをイメージさせてくれるお菓子でした。


【宇品の思い出】

 もう1つ、「鉄道伝説」にちなんだスイーツとして、ルードゥメールから「宇品の思い出」が販売されました。

(宇品の思い出(ルードゥメール・鉄道伝説・パッケージ))
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 宇品線を走っていた蒸気機関車と、宇品の夏の風物詩である花火をクッキーで表現されたものです。

(宇品の思い出(ルードゥメール・鉄道伝説・中身))
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 クッキーやマドレーヌなどの焼菓子と一緒に、詰合せパックで販売されていました。

(宇品の思い出(ルードゥメール・鉄道伝説))
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 左上が花火を、右下が蒸気機関車を表現したクッキーです。

 クッキーに白いフォンダン(糖がけ)で描かれています。

 蒸気機関車の黒は石炭…ではなく竹炭が使われています。

 花火の鮮やかな装飾は、ラズベリー、乾燥イチゴ、チョコチップ、ナッツで表現されています。

 今と昔の宇品を表現したクッキーでした。


天女姫伝説

 「天女姫伝説」は、平清盛と常盤御前の娘(天女姫)が疱瘡(ほうそう・天然痘、顔や体に発疹(ほっしん)ができる伝染病)で亡くなり、神のお告げにより「向灘(むかいなだ)・仁保嶋(にほじま)」の地に葬られ、疱瘡神社に祀られているというお話です。

 京の都で幸せに暮らす天女姫は、突如、疱瘡の病にかかってしまいます。

 その知らせを聞いた平清盛は、病気の回復を祈るため、天女姫を船に乗せ、安芸の国・厳島神社へと向かいます。

(天女姫・厳島神社への船旅(天女姫伝説))
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 「南区七大伝説 天女姫伝説」南区魅力発見委員会から一部引用

 しかしながら、その祈りもむなしく、天女姫は亡くなってしまいます。

(天女姫の最後(天女姫伝説))
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 「南区七大伝説 天女姫伝説」南区魅力発見委員会から一部引用

 平清盛の気持ちはわかりますが、病気で苦しんでいる天女姫を京都から広島(厳島神社)まで船で連れ出すのはちょっと…。

 そして神のお告げのままに、天女姫の亡骸は向灘・仁保嶋の地に葬られ、疱瘡神社が建立されたのです。

 私も神のお告げがなされた広島市南区堀越にある疱瘡神社を目指しました。

(堀越公園の天女姫伝説看板)
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 途中、堀越公園に天女姫伝説が紹介された看板がありました。

(天女姫伝説看板)
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 「堀越」という地名は、平清盛が愛娘が眠る地が狼や狐に荒らされては大変と、掘り切って渡れないようにしたことに由来するようです。

 細い路地をしばらく登り、疱瘡神社にたどり着きました。

(疱瘡神社)
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 民家の中にある、こぢんまりとした神社です。

 近くに石碑がありました。

(疱瘡神社・天女姫石碑)
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 「疱瘡神社」・「祭神 天女姫神」とあり、頂点には天女姫が好きだった手毬も置かれています。

 天女姫伝説を今に伝える神社です。


【レイディー】

 「天女姫伝説」にちなんだスイーツとして、トレモロから「レイディー」が販売されました。

(レイディー(トレモロ・天女姫伝説))
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 皆に愛された天女姫をイメージしたスイーツです。

 白いメレンゲ、ハート型のチョコレート、粒々の雛あられで天女姫の着物が表現されています。

(レイディー(トレモロ・天女姫伝説・中身))
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 土台はスポンジケーキで、その上にホワイトチョコレートの白いムースとイチゴが入ったピンク色のムースが詰められています。

 さらにイチゴのムースの中に真っ赤なベリージャムが入っていました。

 甘酸っぱいイチゴの風味を楽しむことができました。


【手毬(カホンプラス・天女姫伝説)】

 もう1つ、「天女姫伝説」にちなんだスイーツとして、カホンプラスから「手毬」が販売されました。

 私はイベント会場で購入しましたが、実習で店頭販売されていた進徳女子高等学校の生徒さんが時間をかけて丁寧に箱詰めしてくださいました。

(手毬(カホンプラス・天女姫伝説・箱詰))
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 そーっと崩さないように取り出して…

(手毬(カホンプラス・天女姫伝説))
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 こちらが「手毬」です。

(手毬(カホンプラス・天女姫伝説・中身))
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 サブレとマドレーヌを台とし、その上にピンク色のフランボワーズのムースとこしあん入りの抹茶ムースが盛られ、全体がフランボワーズのチョコレートでコーティングされています。

 和のテイストも取り入れた、かわいらしい天女姫をイメージするケーキでした。


スタンプラリーのプレゼント

 「みなみく七大伝説スイーツ2023」では、スタンプラリーも実施されました。

 今回参加された6店舗やイベント会場で関連スイーツを購入すると、スタンプ用紙にお店のスタンプが押され、スタンプ3つめのお店でお菓子がプレゼントされるという企画です。

 1つのスイーツで1スタンプ押され、私はすべてのお菓子を購入したので、何度も達成しました(笑)

 各店舗共通の決まったお菓子がプレゼントされるのかと思っていましたが、「達成したら店頭の500円以内のお菓子をプレゼントする」という企画のようでした。

(アニバーサリーのクッキー)
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 最初に達成したアニバーサリーでは、私が選んだ2種類のクッキーをプレゼントしていただきました。

(トレモロのレモンケーキ)
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 2回目に達成したトレモロでは、私が「黄金山伝説」でも御紹介したレモンケーキを選び、プレゼントしていただきました。

(ルードゥメールの焼菓子)
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 3回目に達成したルードゥメールでは、お店の方がチョイスした焼菓子をかわいい紙袋に入れてプレゼントしていただきました。

 スイーツをたくさん買いましたが、その分リターンも大きいイベントでした。


まとめ

 「みなみく七大伝説スイーツ」を毎週少しずつ購入し、結果的に12種類すべてのスイーツを味わうことが出来ました。

(みなみく七大伝説スイーツ2023リーフレット(スイーツ紹介))
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 今回のイベントを通じて、それぞれのスイーツを味わうだけでなく、その背景にある広島市南区の伝説や歴史・史跡まで学ぶことが出来ました。

 それは地元の魅力を再発見し、愛着を持つきっかけにもなりました。

 来年も開催してほしいな。



 広島市南区から発信しておりますコウジ菌伝説。

 今年も御愛読いただき、ありがとうございました。

 来年が皆様にとって良い年でありますように!


<関連サイト>
 「ひろしま南区スイーツ委員会
 「進徳女子高等学校国際食育デザイン科」(広島市南区皆実町一丁目1-58)
 「グランドプリンスホテル広島」(広島市南区元宇品町23-1)
 「ルードゥメール」(広島市南区宇品海岸二丁目23-29)
 「トレモロ」(広島市南区西霞町2-12 ネスト西霞1F)
 「カホンプラス」(広島市南区東雲本町2-9-8)

<関連記事>
 「ひろしま南区スイーツフェア -南区3名山(似島(安芸小富士)・黄金山・比治山)と代表花(ミモザ・桜・広島椿)のスイーツ-
 「日本のバウムクーヘン発祥の地・似島 -似島とカール・ユーハイム,似島バウムクーヘン-
 「日本のバウムクーヘン100周年イベント -2019広島みなとフェスタ・バウムクーヘン博覧会 2019-

<参考文献>
 リーフレット「みなみく七大伝説スイーツ2023」(ひろしま南区スイーツ委員会)
 リーフレット「南区散策ガイド みなみ区を行く」(広島市南区地域起こし推進課)
 冊子「南区七大伝説 天女姫伝説」(南区魅力発見委員会)

2023年12月24日 (日)

みなみく七大伝説スイーツ2023 -広島市南区の第九伝説・黄金伝説・河童猿猴伝説・妖怪伝説にちなんだスイーツ-

「みなみく七大伝説スイーツ2023」について

 2023年9月16日から11月30日の期間、ひろしま南区スイーツ委員会主催で、「みなみく七大伝説スイーツ2023」が開催されました。

 このイベントは,広島市南区に伝わる「みなみく七大伝説」にちなんだスイーツを進徳女子高等学校と南区の洋菓子店が協同して開発し、紹介・販売されたものです。

(「みなみく七大伝説スイーツ2023」リーフレット(表紙))
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 「みなみく七大伝説」は、広島市南区に伝わる7つの伝説(妖怪伝説、第九伝説、河童猿猴伝説、天女姫伝説、黄金伝説、鉄道伝説、菓子伝説)を言います。

 スイーツを通じて広島市南区の魅力を知ってもらうことを目的に開催されました。


「みなみく七大伝説スイーツ2023」展示販売

 2023年10月8日、何気なく広島市中区にある紙屋町シャレオを歩いていていると、中央広場で「みなみく七大伝説スイーツ」が販売されていました。

(「みなみく七大伝説スイーツ2023」案内板)
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 イベント参加店舗が日替わりで出張販売されていました。

 その時初めてイベントを知った私は、「あっ、今年も開催してるんだ」という感覚でした。

(「みなみく七大伝説スイーツ2023」展示販売(紙屋町シャレオ中央広場))
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 その時、一緒にお仕事をしていた広島市南区役所地域起こし推進課の方が私を見つけ、声をかけてくださいました。

 偶然の再会を喜び、しばらく2人で立ち話をしました。

 最後にお菓子を購入したのですが、この再会がきっかけとなり、私もどっぷり「みなみく七大伝説スイーツ2023」のイベントにハマってしまいました(笑)

 それでは、広島市南区に伝わる様々な伝説にも簡単に触れながら、各伝説にちなんだスイーツを御紹介したいと思います。


第九伝説

 「第九伝説」は、原爆の傷跡が残る昭和21年の大晦日に広島の小さな喫茶店でレコードコンサートが開かれ、その時に流されたベートーベンの「第九」で人々の悲しみが癒されたというお話です。


【喫茶プリンタルト】

 「第九伝説」にちなんだスイーツとして、パティスリー「アニバーサリー」から「喫茶プリンタルト」が販売されました。

(喫茶プリンタルト(アニバーサリー・第九伝説))
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 プリンがたっぷりのせられたタルトです。

 プリンは広島県産の玉子が使われており、タルト生地にのせられるよう少しかために仕上げられています。

 一方、タルト生地にはバニラビーンズ入りカスタードクリームとアーモンドクリームが使われています。

 レトロな喫茶店をイメージさせるプリンタルトでした。


【メロディティラミス】

 「第九伝説」にちなんだスイーツとして、西洋菓子「カトルフィユ」から「メロディティラミス」が販売されました。

(メロディティラミス(カトルフィユ・第九伝説・フタ付))
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 フタを開けてみると…

(メロディティラミス(カトルフィユ・第九伝説))
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 ティラミスの上に音符の形をしたチョコレートがのせられていました。

(メロディティラミス(カトルフィユ・第九伝説・中身))
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 底に甘いコーヒーゼリーが注がれ、その上にマスカルポーネとコーヒーシロップに浸したスポンジケーキが詰められています。

 これらがきれいな層になっており、その白と黒の層は音符をのせる楽譜のようにも見えました。

 伝説にちなみ、スポンジケーキには米粉が使用され、コーヒーの香り豊かな仕上がりとなっていました。


黄金伝説

 「黄金伝説」は、広島市南区にある黄金山(おうごんざん)の由来(海賊が金塊を埋めた説、黄金と同等の「丹」(赤土・硫化水銀。神社や社寺の塗装・奈良の大仏や木造船の防腐剤として使用)が採れた説、山一面が麦畑で黄金色に輝いた説など諸説あり)についてのお話です。

 黄金山は、南区民にとって比治山(ひじやま)とならぶ象徴的な山ですが、その山をモチーフにしたお菓子がいくつか販売されていました。

【モンドール】

 「黄金伝説」にちなんだスイーツとして、パティスリー&ヴェノワズリー「トレモロ」から「モンドール」が販売されました。

(モンドール(トレモロ・黄金伝説))
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 「モンドール」。フランス語では「Mont d'Or」表記され、まさしく「黄金の山」という意味になります。

 タルト生地にクルミやドレンチェリーなどが入った生キャラメルソースがコーティングされ、金箔がのせられた焼菓子です。

(モンドール(トレモロ・黄金伝説・中身))
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 中はドライフルーツを混ぜたアーモンドペーストで、サックリとしたタルトとは裏腹に、しっとりとした食感が楽しめました。


【黄金山(トレモロ・黄金伝説)】

 「黄金伝説」にちなんだスイーツとして、同じ「トレモロ」から「黄金山」という名前のレモンケーキが販売されました。

(黄金山(トレモロ・黄金伝説))
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 黄金山の山の形をしたレモンケーキです。

 頂上には黄金に輝く輪切りの広島レモンがのせられています。

(黄金山(トレモロ・黄金伝説・中身))
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 オレンジリキュールとアーモンドパウダーが入ったケーキ生地に、レモンの砂糖漬けがのせられています。

 しっとりとしたケーキ生地で、しっかりとレモン風味を感じられるレモンケーキでした。


【四季桜】

 「黄金伝説」にちなんだスイーツとして、洋菓子・洋食レストラン「ルードゥメール」から「四季桜」が販売されました。

(四季桜(ルードゥメール・黄金伝説))
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 黄金山に咲く桜をイメージしたチーズケーキです。

(四季桜(ルードゥメール・黄金伝説・中身))
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 ケーキ生地には桜あんとヨーグルトが混ぜ込まれており、ほのかに桜の風味を感じる甘酸っぱいチーズケーキでした。


河童猿猴伝説

 「河童猿猴伝説」は、猿猴川(えんこうがわ)において、豊漁や水難防止を願う神「猿猴(河童)」が崇め祀られたというお話です。

 広島駅に近い猿猴川沿いに、「河童猿猴伝説の地」があります。

(河童猿猴伝説の地(猿猴川))
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 この案内板の隣には河童像も設置されています。

(大正橋西たもとの河童像)
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 右手で握っているモノまでリアルで、見ているこっちが恥ずかしい(笑)

 気分を取り直し、スイーツの紹介に移ります。


【カッパ頭の抹茶ティラミス】

 「河童猿猴伝説」にちなんだスイーツとして、「アニバーサリー」から「カッパ頭の抹茶ティラミス」が販売されました。

(カッパ頭の抹茶ティラミス(アニバーサリー・河童猿猴伝説))
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 栗の甘露煮を中心に置き、その周りに福岡県産の奥八女抹茶を使用した深緑色の抹茶ゼリーが配され、謎に満ちた河童の様子が表現されています。

(カッパ頭の抹茶ティラミス(アニバーサリー・河童猿猴伝説・中身))
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 中には、北海道産マスカルポーネチーズとコーヒーシロップに浸されたスポンジ生地で作られたティラミスが詰められていました。

 ズブズブと川に引き込まれていくような、後を引く美味しさのティラミスでした。


妖怪伝説

 「妖怪伝説」は、稲荷町の「稲生(いなり)神社」に、夜な夜な現れる様々な妖怪を退治した稲生武太夫が祀られているというお話です。


【妖怪モンブラン(カトルフィユ・妖怪伝説)】

 「妖怪伝説」にちなんだスイーツとして、「カトルフィユ」から「妖怪モンブラン」が販売されました。

(妖怪モンブラン(カトルフィユ・妖怪伝説))
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 「これモンブラン(白い山)じゃないやろ!」と思わずツッコミたくなるような、真っ黒なモンブランです。

 和栗のマロンクリームに竹炭パウダーを混ぜることにより、不気味な妖怪をイメージさせる真っ黒なクリームに仕上げられています。

 銀色のアラザンがちりばめられています。

(妖怪モンブラン(カトルフィユ・妖怪伝説・中身))
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 土台はタルト生地で、中にレモンコンフィチュールをあわせた生クリームとレモン果汁が入ったカスタードクリームがはさまれ、その上に真っ黒なマロンクリームが盛られています。

 つまり、意外にもマロンとレモンの風味が楽しめるケーキなのです。

 また、タルト生地には甘酸っぱいフランボワーズが入っており、良いアクセントになっていました。


 どのスイーツも南区の新たな伝説となりそうなものばかりで、楽しめました。


<関連サイト>
 「ひろしま南区スイーツ委員会
 「進徳女子高等学校国際食育デザイン科」(広島市南区皆実町一丁目1-58)
 「アニバーサリー」(広島市南区段原山崎3-2-3)
 「カトルフィユ」(広島市南区皆実町二丁目5-1)
 「トレモロ」(広島市南区西霞町2-12 ネスト西霞1F)
 「ルードゥメール」(広島市南区宇品海岸二丁目23-29)

<関連記事>
 「ひろしま南区スイーツフェア -南区3名山(似島(安芸小富士)・黄金山・比治山)と代表花(ミモザ・桜・広島椿)のスイーツ-
 「広島市南区の黄金山と「黄金山まんじゅう」

<参考文献>
 リーフレット「みなみく七大伝説スイーツ2023」(ひろしま南区スイーツ委員会)
 リーフレット「南区散策ガイド みなみ区を行く」(広島市南区地域起こし推進課)
 冊子「南区七大伝説 黄金伝説」(南区魅力発見委員会)

2023年12月17日 (日)

横浜発祥の洋食・デザートを求めて -ホテルニューグランドのスパゲッティナポリタン・ドリア・プリンアラモード、センターグリルのナポリタン-

日本初・発祥が多い街・横浜

(みなとみらい高層ビル群(桜木町駅前))
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 横浜は、日本で最初に開港した地であることから、「横浜が日本初」・「横浜が発祥」となっているもの・文化が数多くあります。

 鉄道、ガス灯、電話、日刊新聞、消防救急、牛鍋、食パン、アイスクリーム、ナポリタン(スパゲティ)、ドリア、プリンアラモードなどが挙げられます。

 横浜市内には、これらの発祥の地を示す石碑や案内施設もたくさんあり、歩いていて偶然見つけ、ハッと気づかされることも少なくありません。

 今回は、そんな「横浜発祥もの」の中から、ナポリタン(スパゲティ)、ドリア、プリンアラモードを御紹介したいと思います。


ホテルニューグランド発祥の料理・デザート

 横浜を代表する伝統的なホテル「ホテルニューグランド」です。

(ホテルニューグランド本館・夜景)
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(ホテルニューグランド本館・大階段)
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 ホテルニューグランドは、創業時、初代総料理長にパリで活躍していたスイス出身のフランス料理人「サリー・ワイル」を迎え入れ、本場のフランス料理(西洋料理)提供に力を注ぎました。

(ホテルニューグランド初代総料理長 サリー・ワイル)
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 (ホテルニューグランド展示品)

 その後、ホテルニューグランドで修行した料理人が日本全国のホテル・レストランへ展開し、フランス料理(西洋料理)の腕を振るったことで、日本各地にフランス料理・西洋料理が広まりました。

 一方でサリー・ワイルは、お客様の視点に立ち、自由な雰囲気を取り入れたスタイルの導入や料理の提供にも力を注ぎました。

 当時のレストランのメニューに「コック長はこのメニュー以外のいかなる料理にてもご用命に応じます」、パンフレットに「お好みのお料理がお選びいただける食堂でございます」と記載されていたことからも、その精神を読み取ることができます。

 その結果、コース料理だけでなくアラカルト(一品料理)での提供もなされるようになり、ホテルニューグランド独自の料理(洋食)・デザートも誕生しました。

 こうして誕生した料理・デザートが、今ではすっかりおなじみの「スパゲッティナポリタン」、「ドリア」、「プリンアラモード」です。

 ホテルニューグランド本館には、こうしたホテルニューグランド発祥の料理・デザートの物語が展示・紹介されています。

(ホテルニューグランド・サリーワイルが考案したドリア)
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 (ホテルニューグランド展示品)

 シーフードドリアは、サリー・ワイルが体調を崩した外国人客のために即興で考案した料理です。

(入江総料理長が考案したスパゲッティナポリタン)
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 (ホテルニューグランド展示品)

 スパゲッティナポリタンは、2代目総料理長の入江茂忠さんが、戦後、ホテルニューグランドがGHQ(連合国最高司令官総司令部)に接収された時代に、米兵が茹でたスパゲッティに塩・こしょう・トマトケチャップを和えたものを食べていることにヒントを得て作られた一品です。

(ホテルニューグランド発祥のデザート・プリンアラモード)
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 (ホテルニューグランド展示品)

 プリンアラモードも、戦後のGHQ接収時代に、甘いもの好きのアメリカ人のためにカスタードプリンとアイスクリームを合わせて盛り付けるようになったのがはじまりです。

 戦前から存在した「パフェ」を意識し、プリンを主役とした名前が付けられました。


ホテルニューグランド・ル グランの「ニューグランド物語~伝統の3品~」

 ホテルニューグランド本館の「ザ・カフェ」では、ホテルニューグランド発祥の料理・デザートを味わうことができます。

 私もスパゲッティナポリタン・ドリア・プリンアラモードをアラカルトで注文し、味わってみようと思ったのですが、よく調べてみると、系列店「ル グラン」に、これらの料理・デザートがセットになったお得なメニューがあることがわかりました。

 そこで私はこの「ル グラン」に伺い、セットメニュー「ニューグランド物語~伝統の3品~」をいただくこととしました。

 テーブルに案内され、セットメニューを注文して、しばらく待っていると、前菜が提供されました。

(前菜(トルティージャ・柿と生ハム・牛肉コロッケ))
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 トルティージャ(スペイン風オムレツ)、柿と生ハム、牛肉コロッケです。

 牛肉コロッケは挽き肉のみで作られており、前菜にも力が注がれいることがわかりました。

 続いて温かいスープが提供されました。

(カボチャのポタージュスープ)
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 熱々の濃いカボチャのスープは、寒い季節にぴったりです。

 そしていよいよ、メイン料理となるドリアとスパゲッティナポリタンが用意されました。

(シュリンプドリアとスパゲッティナポリタン)
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 「想像していたより一品一品が大きい」というのが最初の印象でした。

 ほかのテーブルに運ばれる料理やデザートを見ても、ボリューム満点のアメリカンサイズで提供されていました。


【スパゲッティナポリタン】

(スパゲッティナポリタン)
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 フレッシュなトマトに炒めた玉ねぎを合わせたソースで、具はハムとマッシュルームでした。

 ケチャップは使われていません。

 高級感のある具材で作られたトマトソースパスタでした。


【ドリア】

 続いてドリアをいただきました。

(シュリンプドリア)
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 大きめのココット(耐熱皿)に盛り付けられた熱々のシュリンプドリアです。

 「ドリアというからには、中にご飯が入っているのだろう」と思い、スプーンですくってみました。

(シュリンプドリア(中身))
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 中にはバターライスが敷き詰められ、大きめの海老、マッシュルーム、アサリも入っていました。

 そして何より嬉しかったのが、グラタンとバターライスの間にかけられていた濃厚な海老のクリームソース(アメリケーヌソース)です。

 これまで「グラタンにご飯を入れるなんて…」とドリアにはあまり興味を持っていませんでしたが、このドリアをいただいて、私の価値観は一変しました。


【プリンアラモード】

 デザートはプリンアラモードです。

 「プリンアラモードです」と提供されると、つい「あら、ドーモ」と言ってしまいそうです(笑)

(プリンアラモードとコーヒー)
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 「コルトンディッシュ」と呼ばれる平たいガラスの器に、プリン、アイスクリーム、果物、ホイップクリームが盛り付けられています。

(プリンアラモード)
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 プリンはかためでほろ苦い伝統的なプリンで、アイスクリームは卵黄とバニラの風味がしっかり効いたバニラアイス、果物はオレンジ・キウイフルーツ・リンゴ・プルーン・サクランボがのせられ、それにきれいに絞られたホイップクリームとミントが添えられていました。

 これも、イメージしていたプリンアラモードの概念を覆すほど完成度の高いデザートでした。

 横浜・ホテルニューグランド発祥の料理・デザートをまとめていただくことができました。


センターグリルの「ナポリタン」

 ホテルニューグランドの「スパゲッティナポリタン」はトマトソースですが、当然のことながら、横浜は馴染み深いケチャップで味付けした「ナポリタン」の発祥の地でもあり、提供するお店もたくさんあります。

 ケチャップで味付けしたナポリタンを提供する横浜の代表的なお店の1つが、野毛にある「センターグリル」です。

 センターグリルのナポリタンを味わうべく、桜木町駅から野毛へと向かいました。

 桜木町駅の北東側は、冒頭の写真「みなとみらい高層ビル群」のようなオフィス街・ショッピング街が広がっていますが、同駅の南西側・野毛は、居酒屋・飲食店を中心とした繁華街が広がっています。

 野毛を歩いていると、大岡川にかかる宮川橋と都橋の間に、実に味のある飲食店街がありました。

(都橋商店街(ハーモニカ横丁))
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 「都橋商店街(ハーモニカ横丁)」です。

 この都橋商店街(ハーモニカ横丁)の近くに「センターグリル」があります。

(センターグリル店舗)
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 米国風洋食「センターグリル」と書かれた看板に歴史を感じ、ナポリタンへの期待値が上がりました。

 お店の2階へ案内され、単品のナポリタンを注文しました。

 しばらくして、センターグリルオリジナルの皿に盛られたナポリタンが提供されました。

(ナポリタン)
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 そうそう、ナポリタンと言ってイメージするのは、まさにこれです。

 ケチャップの甘酸っぱい香りが広がりました。

 具はハム・玉ねぎ・ピーマン・マッシュルームで、仕上げに粉チーズがまぶされています。

 ポテトサラダと千切キャベツも盛られています。

 いただいてみると、麺は太麺でコシがあり、ケチャップや具材とよく絡んでいて、ナポリタンに抱く期待どおりの美味しさでした。

 ちなみに、このお店には「ナポリタン」のほかに「イタリアン」という名称のスパゲティも提供されています。

 「イタリアン」はケチャップで炒め、ミートソースがかけられたスパゲティです。

 私は新潟の「イタリアン」を思い出しました。

 このお店の看板メニューは言うまでもなく「ナポリタン」なのですが、セットメニューで提供されるスパゲティには、この「ナポリタン」ではなく「イタリアン」が付きます。

 なぜだろうかと思っていましたが、お店の方のお話でその疑問が解けました。

 麺と具を一緒に炒める「ナポリタン」に比べ、ケチャップで炒めた麺にミートソースを盛る「イタリアン」は調理の手間・時間が少なくて済むことが理由のようです。

 センターグリルには、「ナポリタン」と「イタリアン」、白ご飯を卵で包んだ「オムライス」とケチャップライスを卵で包んだ「チキンライス」が御用意されています。

 食べ比べをしてみるのも面白いでしょう。


<関連サイト>
 横浜観光情報「横浜発祥グルメ・発祥グルメ年表」(横浜観光コンベンションビューロー)
 「ホテルニューグランド ル グラン」(横浜市西区南幸1-6-31 横浜高島屋8階)
 「センターグリル」(横浜市中区花咲町1-9)

<関連記事>
 「新潟の食文化探訪5 -日本のイタリア料理史・「イタリアン」と呼ばれる料理・新潟の「イタリアン」-

2023年12月10日 (日)

神奈川の食文化探訪4 -横浜名所めぐり・横浜中華街・広東料理「楽園」-

横浜名所めぐり

 神奈川県横浜市にやってきました。

 横浜市の食の文化をテーマにした生涯学習グループ「ミズホ学級」の講演会・食事会に参加するためです。

 訪問に先立ち、ミズホ学級運営委員の方からお手紙をいただきました。

 そのお手紙には、滞在期間中に横浜を楽しんでもらおうという趣旨で、横浜市中心部の観光名所が紹介され、横浜市内や中華街の地図も同封されていました。

 その地図を広げてみると、私の宿泊先や講演会・食事会の会場(産業貿易センタービル・神奈川県民ホール)に赤丸のシールが貼られ、主要な観光名所には蛍光ペンでマーキングがされていました。

 とてもありがたく思い、御紹介いただいた観光スポット・お店を散策してみることとしました。

 スマホに頼ると道を覚えないので、いただいた地図しか使わないことを心に決めました。

 伊勢佐木町のホテルに荷物を置き、まずは関内から馬車道へ向かって歩いてみました。

(神奈川県立歴史博物館)
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 お手紙には「現在、県立博物館になっている建物は100年以上前に建てられ、戦後、修復を一部された旧(横浜)正金銀行です。ドイツ風の建物だそうです」と紹介されていました。

 さらに馬車道通りを海方面へ向かって歩いていると、港町横浜らしいレンガ造りのギャラリーを見つけました。

(万国橋ギャラリー)
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 「万国橋ギャラリー」です。

 訪問日は、大型客船を中心にした絵が展示されており、せっかくなのでお邪魔しました。

 「にっぽん丸」、「飛鳥Ⅱ」、「ぱしふぃっくびいなす」などの大型客船の絵が展示されていました。

 その後、海岸通りを歩き、お手紙に紹介されていた横浜三塔の1つ、横浜税関(クイーンの塔)を眺めました。

(横浜税関(クイーンの塔))
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 横浜三塔は、開港以来、船乗りのシンボルとなり、激しい爆撃にも残った建物なのだそうです。

(神奈川県庁舎(キングの塔))
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 その後、神奈川県庁舎(キングの塔)を見ながら、本町通りを西へ歩き、元町を目指しました。

(横浜・元町「フェニックスアーチ」)
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 元町ショッピングストリート入口で見た、夕暮れのフェニックスアーチが印象的でした。

 その後、元町からアメリカ山公園を目指しました。

 いただいたお手紙に、元町・中華街駅の中からエレベーター(エスカレーター)でアメリカ山公園に登れるとあったので、探してみると、本当にエスカレーターがありました。

 その後、エリスマン邸やベーリックホールを訪問しました。

 この先にお手紙をくださった方が通われた女学校があるとのことだったので、「こんなところで学生時代を過ごされたのか」と思いを馳せながら歩きました。

 代官坂を下りて元町に戻り、その先の中華街を目指しました。


横浜中華街と広東料理「楽園」訪問

 横浜中華街エリアに入った途端、一気に賑やかな光景が目に飛び込んできました。

 先程まで歩いた閑静な山手地区とのギャップを感じました。

 これから先は中華街ガイドマップを片手に、おすすめのお店を目指しました。

 横浜中華街は何度か来たことがあるのですが、中に入ると方向感覚がつかめず、自分がどこを歩いているのかわからなくなったので、まずは中華街のシンボル的建物「関帝廟(かんていびょう)」を目指しました。

(関帝廟)
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 その後、北へ向かって歩き、「善隣門(ぜんりんもん)」を目指しました。

(横浜中華街牌楼・善隣門)
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 横浜中華街の代表的な門(牌楼)の1つ「善隣門」です。

 これぞ中華街の光景。BGMはやはりこの曲です。

(熱烈的中華飯店「Cooking man」)

(You Tube:seikonacashio「熱烈的中華飯店 作業用BGM 2003年作品」)

 お手紙で御紹介いただいたお店、広東料理「楽園」は、この善隣門を入ってすぐの場所にありました。

(広東料理「楽園」店舗)
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 こぢんまりとしたアットホームな中華料理店です。


【焼売】

 このお店でぜひ味わってみたい料理がありました。

 焼売(シュウマイ)です。

 今から約5年前、最初に横浜のミズホ学級の皆様とお会いした時、帰りがけにお土産として中華街の焼売をいただいたのですが、その焼売の美味しさが忘れられず、どのお店の焼売だったのかずっと気になっていました。

 そのため、真っ先に焼売を注文しました。

(焼売(シュウマイ))
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 いただいてみると…「そうそう、これだ」と思いました。

 プリップリの海老と、よく練って強い粘りを持たせた豚肉が包まれた焼売でした。

 海老焼売かと思うほど海老がたくさん使われているのが嬉しいです。


【巻揚】

 続いて、お店の看板料理の1つ「巻揚(まきあげ)」をいただきました。

(巻揚)
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 これはちょっと珍しい料理です。

 メニュー表には「蝦類(海老料理)」のメニューとして掲載されています。

 具は、細切りのタケノコ、ネギ、海老、カニ、焼豚(チャーシュー)、椎茸などです。

 そして包まれている皮ですが、パリパリして弾力のある薄い皮で、これは小麦粉や米粉で作られた皮(春巻の皮)ではないことはわかりました。

 「では一体何の皮だろうか」としばらく考え、ふと1つの食材が思い浮かびました。

 豚の皮です。

 この弾力は豚の皮か腸ではないかと思いました。

 そこでお店の方に「この巻揚の皮は、豚の皮ですか?」と伺ったところ、「そのとおりです」と教えていただきました。

 具だくさんの揚げ春巻のような料理でした。


【牛腩飯(牛バラの肉ご飯)】

 このお店は牛バラ肉の煮込みも看板料理の1つとなっています。

 単品料理のほか、焼きそば、スープそば、ご飯と合わせた料理もあったので、私は「牛腩飯(ぎゅうなんはん・牛バラの肉ご飯)」を注文しました。

(牛腩飯(牛バラの肉ご飯))
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 白いご飯の上に、ホロホロになるまで柔らかく煮込まれた牛バラ肉のあんかけがたっぷりとかけられていました。

 サッと茹でた青菜(チンゲン菜)も添えられていました。

 大きな牛バラ肉をご飯と一緒に豪快にほおばると、この上ない幸せを感じました。


 横浜市中心部の地理に、ちょっぴり詳しくなりました。

 そして、思い出のお店も1軒できました。


<関連サイト>
 「横浜中華街」(横浜市中区山下町)
 「広東料理 楽園」(横浜市中区山下町154)

<関連記事>
 「魚柄仁之助先生の世界1 -講演会「食生活が急速に変化した昭和の時代~昭和初期の非常食が生んだ今日のグルメ料理~」に参加して-
 「魚柄仁之助先生の世界5 -ミズホ学級ファイナル講演会「毎日が命日」・食事会-

2023年12月 3日 (日)

魚柄仁之助先生の世界5 -ミズホ学級ファイナル講演会「毎日が命日」・食事会-

ミズホ学級運営委員からのお知らせ

 2018(平成30)年11月7日は、私にとって思い出深い日です。

 この日に横浜で開催されたミズホ学級の講演会に参加したことがきっかけとなり、魚柄仁之助先生やミズホ学級の皆様とのお付き合いが始まったからです。

 「ミズホ学級」は、食の文化を考えることをテーマにした横浜市の生涯学習グループです。

 これまでに、魚柄仁之助さん(食文化史研究家)をはじめ、平野雅章さん(食文化史研究家)、郡司和夫さん(フリージャーナリスト)、永山久夫さん(食文化史研究家)、雁屋哲さん(「美味しんぼ」著者)、周富徳さん(中国料理)、小泉武夫さん(東京農業大学名誉教授・農学者)、藤田紘一郎さん(医師・寄生虫学)といった第一線で活躍されている方々を講師としてお迎えし、食文化の研究をされてきました。

 このミズホ学級運営委員の皆様とは、この講演会に参加させていただいて以来、とてもお世話になっています。

 2023年8月。運営委員の方から、同年11月25日にミズホ学級の講演会・食事会を開催することを教えていただきました。

 講師は魚柄仁之助先生です。

 ミズホ学級の諸事情を踏まえ、今回が最後となることも教えていただきました。

 新型コロナウイルスの影響で数年間開催できなかった定例会が再開されることを嬉しく思う一方で、これがミズホ学級最後の定例会となることをさみしく思いました。

 開催日が待ち遠しいような、最後の日を迎えたくないような、複雑な気持ちで開催当日を迎えました。


ミズホ学級ファイナル講演会「毎日が命日」

 開催2日前、魚柄仁之助先生からメールが届き、「(開催当日)私は早めに会場入りして椅子・テーブルの設営をしています。ゆっくりお会いできるのは始まる前ではないかと…」とのお話がありました。

 「早めに行き、会場設営を手伝う必要がある」と深読みした私は、開催予定時刻の約1時間半前、8時30分に「産業貿易センタービル」に到着しました。

(産業貿易センタービル)
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 会場となる会議室に着いたら…まだ誰もいない(笑)

 そのうち、ミズホ学級運営委員の方々が来られました。

 しばらくして魚柄仁之助先生も来られました。

 久しぶりの再会を喜びつつ、みんなで会場設営をしました。

 ミズホ学級最後の会であり、70名前後の方が出席されるとのことだったので、椅子やテーブルのセッティングも大がかりなものとなりました。

 会場設営が一段落し、会場の裏でホッと一息ついていると、不意に魚柄仁之助先生が来られました。

 その場で、魚柄仁之助先生手作りの干瓢(かんぴょう)、「練り粕(ねりかす)」(酒粕を寝かせたもの)、だし醤油をいただきました。

(干瓢・練り粕・だし醤油)
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 写真手前が干瓢、上の褐色のものが練り粕、左の筒に入っているのがだし醤油です。

 その後、魚柄仁之助先生から、干瓢や練り粕の話を中心に興味深い食のお話を伺いました。

 次第にミズホ学級のメンバーが集まり、会場が賑やかになりました。

 私は会場の一番奥で聴講しようと思っていましたが、ミズホ学級運営委員さんの御厚意で、最前列の右端で聴講させていただきました。

(講演会資料・記念品)
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 講演会の資料・記念品として、魚柄仁之助先生の本・しおり、ミズホ学級30周年の際に配付された「ミズホ学級30年のあゆみ」、そして「節約レシピ集」をいただきました。

 しおりは、冷蔵庫に貼っておくと食品を腐らせない御利益があるそうです。

 魚柄仁之助先生の本は、出席者がくじ引きを楽しんでもらうよう、写真右上のように、中が見えないビニール袋に包まれていました。

 私は最初、大判の本を選んだのですが、明らかに持っている本だとわかったので、謝ってもう一度、本のくじ引きに参加させていただきました。

 運営委員の方からは「もうすでにお持ちの本も多いでしょうから、中身を見て選ばれてもいいですよ」とおっしゃっていただいたのですが、これ以上不公平なことをしたくないと思い、「この本に決めます」と申し上げ、覚悟を決めていただきました。

 その本がこちらです。

(魚柄仁之助「おいしいごはんはこう作る」新星出版社と直筆サイン)
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 魚柄仁之助先生が執筆された「おいしいごはんはこう作る」という本です。

 本の中表紙に直筆のサインもいただきました。

 この本は、今回配付された11種類の本の中で、唯一持っていない本だったのでラッキーでした。

 定刻を少し過ぎた頃、魚柄仁之助先生の講演会が始まりました。

 簡単に講演会の内容を御紹介します。

○1984(昭和59)年度から始まるミズホ学級の強みは、会員制ではなく、きちんと食生活について学び、実践しようという思いの人が集まったことにある。

○食文化の鑑識家として研究を続けているが、「伝統食」と呼ばれる料理はほとんどがウソだった。

○日本が長寿国となったのは、(長寿)食のおかげではなく、医療の発達や衛生観念の浸透によるところが大きい。

○和食の基本は「出汁(だし)」ではない。過去に鰹節や昆布を使うことができたのは、わずかな特権階級・料理屋・商人だけで、庶民は使えたとしても「煮干し」程度。

○味噌汁は、野菜や魚などから出る出汁でとるのが一般的だった。(特に濃い旨味が出るのが鰹節や昆布だったというだけ)

○昭和40年代に鰹節削り器の売り上げが伸びたが、実際使われ続けたのはごくわずか。旨味調味料の出汁を使っていることに引け目を感じる必要はない。

○いなり寿司は元々すし飯ではなく、豆腐の「おから」を詰めていた。中にチキンライス(ケチャップライス)を詰めた「洋風いなり寿司」もレシピとして紹介されたこともある。

○マグロの刺身について「昔の人は大トロを食べなかった」と言われるが、大トロが嫌いだったわけではなく、冷蔵庫がない時代には、脂がのった大トロはすぐに傷んだため「大トロが食べられる地域・人は限られていた」というのが事実。

○最近すべて国産食材を使っていることを強調したおせちが販売されているが、これは輸入食品が高騰しているからでもある。

○食料(食糧)は強力な兵器にもなる。

○食の安全について、食べ物自体の安全のほかに、量的に確保できるかどうかの安全も考える時代になっている。

○これからは、産直市などで食料(食糧)生産者と密な関係を構築し、「自分の生産地を持つ(生産地とのつながりを持つ)」ことが求められる。

○私が14歳の時、目に針金が刺さり、医者から「数日の命かも知れない」と言われたのがきっかけで「毎日が命日」と悟った。

○ミズホ学級は約40年もの歴史がある。これだけしつこく来ている会はない。今後はインターネットやSNSも活用しながら、アカデミックな「ミズホ学会」として運営されてはどうか。


 食の話だけでなく、魚柄仁之助先生の生い立ちや、ミズホ学級とのかかわりについても知ることができた、ミズホ学級最後の講演会でした。


ミズホ学級食事会

 講演会会場を後片付けした後、道路をはさんで隣の神奈川県民ホールへ移動しました。

(神奈川県民ホール)
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 この施設の6階の「レストラン英一番館」が食事会場です。

 「英一番館」と言えば、朝、産業貿易センタービルへ向かう途中に石碑があったことを思い出しました。

(英一番館跡)
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 この石碑は、大さん橋の手前、シルクセンター横にあります。

(英一番館跡・案内板)
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 横浜が開港し、この地でイギリス人のウイリアム・ケズウィックが貿易を始めました。

 案内板には、「この場所にあった建物は「ジャーディン・マセソン商会」と称したが、当時の人々は「英一番館」と呼んだ」と紹介されています。

 今回の食事会場「レストラン英一番館」はこの「英一番館」にちなんでいることがわかりました。

 人数が多いので、1フロア貸し切りでした。

(英一番館からの眺望)
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 ガラス張りの窓からは、横浜港が一望できました。

 講演会会場だった産業貿易センタービルも見えました。

(産業貿易センタービル(英一番館からの眺め))
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 私はミズホ学級運営委員の皆様のお取り計らいで、魚柄仁之助先生と同じテーブルに席を御用意いただきました。

 ミズホ学級の歴史の中では新参者、しかも県外出身者である私を、食事会に招待していただくどころか、一番上座に座らせていただくこととなり、ありがたさと申し訳なさを感じつつ着席しました。

 しばらくして、デミグラスハンバーグをメインとしたランチが供されました。

(ハンバーグランチ)
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 ハンバーグが大きく、ライスも山盛りでボリューム満点の美味しいランチでした。

 魚柄仁之助先生やミズホ学級の皆様との会話も楽しみました。

 食事中、運営委員の方から「ここのテーブルは1名欠席となったので、その人の食事をどなたか召し上がってください」というお話がありました。

 メインのハンバーグを食べる人はすんなり決まったのですが、山盛りライス・スープ・サラダは残ったままとなりました。

 私の目の前には、残された料理と「食べつくす」ことを提唱されている魚柄仁之助先生のお姿…私の頭のコンピューターがガチャガチャと動き、「私が山盛りライスとスープとサラダをいただく」という解答を導き出しました(笑)

(コーヒーゼリーとコーヒー)
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 食後のデザートは、コーヒーゼリーとドリンク(コーヒー又は紅茶)でした。

 紅茶を注文された方も、お菓子はコーヒーゼリーでした(笑)


ミズホ学級運営委員の皆様からいただいたお土産


 食事会もお開きとなり、解散の時が近づいてきました。

 私は広島のお土産として、もみじ饅頭や藻塩を運営委員の皆様へお渡ししました。

 一方で、運営委員の皆様から私へもお土産をいただきました。

(有田焼の器)
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 こちらは有田焼のおちょこ(ぐい吞み)です。

 横浜・石川町の松本陶磁器店で選んでいただいたようです。

 朱色が映えるかわいい器で、とても気に入りました。

(ラムボール(箱))
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 こちらは横浜・喜久家の「ラムボール」と呼ばれる洋菓子です。

 喜久家の紙袋の中にはお手紙も入っていて、
「ほぼ100年前、喜久家ベーカリーの山手居留地のご婦人からたのまれて作り始めたのが、このラムボールといわれています。少々ですが、横浜のお味をお楽しみください」
とありました。

 恥ずかしながら、横浜にこんな素敵なお菓子があることを知りませんでした。

(ラムボール(中身))
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 ラム酒入りのスポンジケーキをチョコレートでコーティングしたお菓子で、ゴルフボールぐらいの大きさがあります。

 スポンジケーキはラム酒の香りが効いており、しっとり・みっしりとした食感です。

 中にレーズンも入っています。

 コーティングされたチョコレートとラムケーキの相性も抜群でした。

 横浜の味を堪能できました。


まとめ

 ミズホ学級ファイナルの講演会・食事会を終え、名残惜しい気持ちを抱えつつ、皆様とお別れしました。

 グダグダと居続けてもかえって御迷惑になると思い、私から「横浜の海を見て帰ります」と切り出して会場を後にしました。

 外に向かって歩き出したところ、皆さんが「ちょっと、ちょっと」と私を引き留めてくださいました。

 立ち止まって後ろを振り返ると、海は反対方向とのこと(笑)

 気持ち新たに山下公園へ向かい、大さん橋や赤レンガ倉庫を眺めながら帰りました。

 1人になると急にさみしさが込み上げ、「また横浜に来る機会があるだろうか」と思いつつ、横浜の街を歩きました。


 魚柄仁之助先生、ミズホ学級の皆さん、今回も本当にお世話になりました。

 また機会があれば横浜へ伺います。お元気で楽しい毎日をお過ごしください。


<関連サイト>
 「英一番館」(横浜市中区山下町3-1 神奈川県民ホール6階)

<関連記事>
 「魚柄仁之助先生の世界1 -講演会「食生活が急速に変化した昭和の時代~昭和初期の非常食が生んだ今日のグルメ料理~」に参加して-
 「魚柄仁之助先生の世界2 -巣ごもり焼きそば 魚柄仁之助先生の巣ごもりごはんをヒントに-
 「魚柄仁之助先生の世界3 -長野の自家製かんぴょう(かんぴょう煮・かんぴょうの油炒め・かみなり汁)-
 「魚柄仁之助先生の世界4 -魚柄仁之助先生の手作り醤油を味わう -醤油・乾燥醬油の実・ゆかり・とんコマキャベツ・おにぎり・こむすび・手抜きうどん-

<参考文献>
 魚柄仁之助「おいしいごはんはこう作る」新星出版社
 魚柄仁之助「うおつか流 食べつくす!」農文協

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