横浜発祥の洋食・デザートを求めて -ホテルニューグランドのスパゲッティナポリタン・ドリア・プリンアラモード、センターグリルのナポリタン-
日本初・発祥が多い街・横浜
(みなとみらい高層ビル群(桜木町駅前))
横浜は、日本で最初に開港した地であることから、「横浜が日本初」・「横浜が発祥」となっているもの・文化が数多くあります。
鉄道、ガス灯、電話、日刊新聞、消防救急、牛鍋、食パン、アイスクリーム、ナポリタン(スパゲティ)、ドリア、プリンアラモードなどが挙げられます。
横浜市内には、これらの発祥の地を示す石碑や案内施設もたくさんあり、歩いていて偶然見つけ、ハッと気づかされることも少なくありません。
今回は、そんな「横浜発祥もの」の中から、ナポリタン(スパゲティ)、ドリア、プリンアラモードを御紹介したいと思います。
ホテルニューグランド発祥の料理・デザート
横浜を代表する伝統的なホテル「ホテルニューグランド」です。
(ホテルニューグランド本館・夜景)
(ホテルニューグランド本館・大階段)
ホテルニューグランドは、創業時、初代総料理長にパリで活躍していたスイス出身のフランス料理人「サリー・ワイル」を迎え入れ、本場のフランス料理(西洋料理)提供に力を注ぎました。
(ホテルニューグランド初代総料理長 サリー・ワイル)
(ホテルニューグランド展示品)
その後、ホテルニューグランドで修行した料理人が日本全国のホテル・レストランへ展開し、フランス料理(西洋料理)の腕を振るったことで、日本各地にフランス料理・西洋料理が広まりました。
一方でサリー・ワイルは、お客様の視点に立ち、自由な雰囲気を取り入れたスタイルの導入や料理の提供にも力を注ぎました。
当時のレストランのメニューに「コック長はこのメニュー以外のいかなる料理にてもご用命に応じます」、パンフレットに「お好みのお料理がお選びいただける食堂でございます」と記載されていたことからも、その精神を読み取ることができます。
その結果、コース料理だけでなくアラカルト(一品料理)での提供もなされるようになり、ホテルニューグランド独自の料理(洋食)・デザートも誕生しました。
こうして誕生した料理・デザートが、今ではすっかりおなじみの「スパゲッティナポリタン」、「ドリア」、「プリンアラモード」です。
ホテルニューグランド本館には、こうしたホテルニューグランド発祥の料理・デザートの物語が展示・紹介されています。
(ホテルニューグランド・サリーワイルが考案したドリア)
(ホテルニューグランド展示品)
シーフードドリアは、サリー・ワイルが体調を崩した外国人客のために即興で考案した料理です。
(入江総料理長が考案したスパゲッティナポリタン)
(ホテルニューグランド展示品)
スパゲッティナポリタンは、2代目総料理長の入江茂忠さんが、戦後、ホテルニューグランドがGHQ(連合国最高司令官総司令部)に接収された時代に、米兵が茹でたスパゲッティに塩・こしょう・トマトケチャップを和えたものを食べていることにヒントを得て作られた一品です。
(ホテルニューグランド発祥のデザート・プリンアラモード)
(ホテルニューグランド展示品)
プリンアラモードも、戦後のGHQ接収時代に、甘いもの好きのアメリカ人のためにカスタードプリンとアイスクリームを合わせて盛り付けるようになったのがはじまりです。
戦前から存在した「パフェ」を意識し、プリンを主役とした名前が付けられました。
ホテルニューグランド・ル グランの「ニューグランド物語~伝統の3品~」
ホテルニューグランド本館の「ザ・カフェ」では、ホテルニューグランド発祥の料理・デザートを味わうことができます。
私もスパゲッティナポリタン・ドリア・プリンアラモードをアラカルトで注文し、味わってみようと思ったのですが、よく調べてみると、系列店「ル グラン」に、これらの料理・デザートがセットになったお得なメニューがあることがわかりました。
そこで私はこの「ル グラン」に伺い、セットメニュー「ニューグランド物語~伝統の3品~」をいただくこととしました。
テーブルに案内され、セットメニューを注文して、しばらく待っていると、前菜が提供されました。
(前菜(トルティージャ・柿と生ハム・牛肉コロッケ))
トルティージャ(スペイン風オムレツ)、柿と生ハム、牛肉コロッケです。
牛肉コロッケは挽き肉のみで作られており、前菜にも力が注がれいることがわかりました。
続いて温かいスープが提供されました。
(カボチャのポタージュスープ)
熱々の濃いカボチャのスープは、寒い季節にぴったりです。
そしていよいよ、メイン料理となるドリアとスパゲッティナポリタンが用意されました。
(シュリンプドリアとスパゲッティナポリタン)
「想像していたより一品一品が大きい」というのが最初の印象でした。
ほかのテーブルに運ばれる料理やデザートを見ても、ボリューム満点のアメリカンサイズで提供されていました。
【スパゲッティナポリタン】
(スパゲッティナポリタン)
フレッシュなトマトに炒めた玉ねぎを合わせたソースで、具はハムとマッシュルームでした。
ケチャップは使われていません。
高級感のある具材で作られたトマトソースパスタでした。
【ドリア】
続いてドリアをいただきました。
(シュリンプドリア)
大きめのココット(耐熱皿)に盛り付けられた熱々のシュリンプドリアです。
「ドリアというからには、中にご飯が入っているのだろう」と思い、スプーンですくってみました。
(シュリンプドリア(中身))
中にはバターライスが敷き詰められ、大きめの海老、マッシュルーム、アサリも入っていました。
そして何より嬉しかったのが、グラタンとバターライスの間にかけられていた濃厚な海老のクリームソース(アメリケーヌソース)です。
これまで「グラタンにご飯を入れるなんて…」とドリアにはあまり興味を持っていませんでしたが、このドリアをいただいて、私の価値観は一変しました。
【プリンアラモード】
デザートはプリンアラモードです。
「プリンアラモードです」と提供されると、つい「あら、ドーモ」と言ってしまいそうです(笑)
(プリンアラモードとコーヒー)
「コルトンディッシュ」と呼ばれる平たいガラスの器に、プリン、アイスクリーム、果物、ホイップクリームが盛り付けられています。
(プリンアラモード)
プリンはかためでほろ苦い伝統的なプリンで、アイスクリームは卵黄とバニラの風味がしっかり効いたバニラアイス、果物はオレンジ・キウイフルーツ・リンゴ・プルーン・サクランボがのせられ、それにきれいに絞られたホイップクリームとミントが添えられていました。
これも、イメージしていたプリンアラモードの概念を覆すほど完成度の高いデザートでした。
横浜・ホテルニューグランド発祥の料理・デザートをまとめていただくことができました。
センターグリルの「ナポリタン」
ホテルニューグランドの「スパゲッティナポリタン」はトマトソースですが、当然のことながら、横浜は馴染み深いケチャップで味付けした「ナポリタン」の発祥の地でもあり、提供するお店もたくさんあります。
ケチャップで味付けしたナポリタンを提供する横浜の代表的なお店の1つが、野毛にある「センターグリル」です。
センターグリルのナポリタンを味わうべく、桜木町駅から野毛へと向かいました。
桜木町駅の北東側は、冒頭の写真「みなとみらい高層ビル群」のようなオフィス街・ショッピング街が広がっていますが、同駅の南西側・野毛は、居酒屋・飲食店を中心とした繁華街が広がっています。
野毛を歩いていると、大岡川にかかる宮川橋と都橋の間に、実に味のある飲食店街がありました。
(都橋商店街(ハーモニカ横丁))
「都橋商店街(ハーモニカ横丁)」です。
この都橋商店街(ハーモニカ横丁)の近くに「センターグリル」があります。
(センターグリル店舗)
米国風洋食「センターグリル」と書かれた看板に歴史を感じ、ナポリタンへの期待値が上がりました。
お店の2階へ案内され、単品のナポリタンを注文しました。
しばらくして、センターグリルオリジナルの皿に盛られたナポリタンが提供されました。
(ナポリタン)
そうそう、ナポリタンと言ってイメージするのは、まさにこれです。
ケチャップの甘酸っぱい香りが広がりました。
具はハム・玉ねぎ・ピーマン・マッシュルームで、仕上げに粉チーズがまぶされています。
ポテトサラダと千切キャベツも盛られています。
いただいてみると、麺は太麺でコシがあり、ケチャップや具材とよく絡んでいて、ナポリタンに抱く期待どおりの美味しさでした。
ちなみに、このお店には「ナポリタン」のほかに「イタリアン」という名称のスパゲティも提供されています。
「イタリアン」はケチャップで炒め、ミートソースがかけられたスパゲティです。
私は新潟の「イタリアン」を思い出しました。
このお店の看板メニューは言うまでもなく「ナポリタン」なのですが、セットメニューで提供されるスパゲティには、この「ナポリタン」ではなく「イタリアン」が付きます。
なぜだろうかと思っていましたが、お店の方のお話でその疑問が解けました。
麺と具を一緒に炒める「ナポリタン」に比べ、ケチャップで炒めた麺にミートソースを盛る「イタリアン」は調理の手間・時間が少なくて済むことが理由のようです。
センターグリルには、「ナポリタン」と「イタリアン」、白ご飯を卵で包んだ「オムライス」とケチャップライスを卵で包んだ「チキンライス」が御用意されています。
食べ比べをしてみるのも面白いでしょう。
<関連サイト>
横浜観光情報「横浜発祥グルメ・発祥グルメ年表」(横浜観光コンベンションビューロー)
「ホテルニューグランド ル グラン」(横浜市西区南幸1-6-31 横浜高島屋8階)
「センターグリル」(横浜市中区花咲町1-9)
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ハーモニカ横丁に既視感があるなーと思ったら、孤独のグルメでした。
孤独のグルメで横浜でナポリタンの回がったので、センターグリルだったかなと思ったけど違う店でした(^^;)
https://allabout.co.jp/gm/gc/489825/
ってことは、横浜にナポリタンの名店、たくさんあるんですね、
ナポリタンってたまに無性に食べたくなりますねー。
凝ったやつじゃなくて、こういうケチャップで味付けされたのがいいです。
プリンアラモードが美味しそうです!昭和の洋食っていいですねー。
投稿: chibiaya | 2023年12月17日 (日) 16時49分
ニューグランド物語 ~伝統の3品~
初めて知りました(^。^)
これならいっぺんに食べられるし、少食で甘党の人にも喜ばれそう!
日ノ出町や福富町界隈は、ちょっと近寄りがたいイメージがありますが、「センターグリル」は雰囲気も良く、リーズナブルなので、今度ランチどきにお邪魔しようと思います(^_^)
投稿: なーまん | 2023年12月17日 (日) 17時21分
chibiaya 様
chibiayaさん、こんばんは。
いつもコメントいただき,ありがとうございます。
へぇー、孤独のグルメでハーモニカ横丁が登場したのですね。
野毛のほかにもハーモニカ横丁と呼ばれる通りがあるようで、勉強になりました。
横浜のナポリタンの名店、御紹介いただき、ありがとうございます。
「ナポリタンは俺の胃袋の初恋相手だ」なんて、本場横浜のお店で言ってみたいです(笑)
元々、アメリカ兵が茹でたスパゲティにトマトケチャップをかけて食べていたのに、なぜホテルニューグランドの入江総料理長(当時)はトマトソースに戻したのか謎ですが、トマトケチャップのスパゲティなら「アメリカン」という料理名でも良さそうです(笑)
喫茶店などで食べるナポリタンは、やはりトマトケチャップの味付けであってほしいものですね。
プリンアラモード、美味しかったですよ。
このプリンアラモードだけでもまた食べに行きたいと思っているほどです。
機会があればお試しください。
投稿: コウジ菌 | 2023年12月17日 (日) 22時43分
なーまん 様
なーまんさん、こんばんは。
いつもコメントいただき,ありがとうございます。
なーまんさんは私よりよく御存知だと思いますので、あまり目新しい話題がなかったかも知れませんね。
新潟のイタリアンを御紹介した際も、ナポリタンがホテルニューグランド発祥だとお話くださいましたし。
横浜高島屋にある「ル グラン」の「ニューグランド物語 ~伝統の3品~」は単品で注文するよりもお手頃価格で、量もちょうど良いので、少食で甘党の私には(笑)、とてもありがたかったです。
プリンアラモードだけはレギュラーサイズというのも良かったです。
伊勢佐木町のホテルに泊まったので、ホテルから日の出町の駅まで歩いたり、桜木町駅から野毛まで歩いたりしましたが、福富町は知りませんでした。
「センターグリル」、お店が広く、地元の常連客も観光客もおられるような感じでした。
今度行く機会があれば、お得な「ランチ」を味わいたいと思いました。
なーまんさんが何の料理に魅力を感じられたか、興味津々です(^-^)
多分、ナポリタンだけでなく、スパランチや浜ランチなどのランチにも興味を持っていただけたものと思います(笑)
投稿: コウジ菌 | 2023年12月17日 (日) 23時09分
ホテルニューグランド、銀座和光(ゴジラ-1.0で破壊(´;ω;`)…)を設計された
日本の建築家の作品、ホテルなんですね。写真の外観からパリのそっれぽい雰囲気が見えます。
そこでのお料理じゃなかったんですね(横浜高島屋にあるお店なんですね)。
でも受け継がれた味はどこであっても変わりないですもんね。
ハーモニカ横丁、舞台に横浜の映画、濱マイクシリーズを思い出します
(わたし好きなんですこの映画)。ロケ地として、シーンやカットで登場するんです。
横浜のこれもまた象徴って感じに。ナポリタン、シンプルな見た目にこれぞってふうでおいしそうです!
投稿: サウスジャンプ | 2023年12月23日 (土) 16時07分
サウスジャンプ 様
サウスジャンプさん、こんばんは。
いつもコメントいただき,ありがとうございます。
ホテルニューグランドと銀座和光、言われてみれば確かに建物の雰囲気が似ていますね。
おっしゃるとおり、洋館に赤い屋根があるところが、パリのカフェみたいです(笑)
このホテルニューグランド本館で食事しようと思っていたのですが、横浜高島屋の系列店の方が、伝統の料理がセットでお得にいただけることがわかり、こちらのお店でいただきました。
スパゲッティナポリタン・ドリア・プリンアラモード、すべてを単品で注文したら、結構なお値段になり、量も多くなると思いましたので(^^ゞ
濱マイクシリーズ、野毛のような横浜の街が登場するんですね。
横浜には様々な街が存在し、その歴史・文化を物語る象徴的な料理・お菓子がありますね。
横浜の新たな魅力を教えていただき、ありがとうございました。
投稿: コウジ菌 | 2023年12月23日 (土) 23時06分