日本各地の食文化

2019年5月19日 (日)

福島県会津地方の食文化 -馬刺し・ニシン・鯉・くきたち菜・三五八漬け・こづゆ・天ぷら・揚げまんじゅう・そば・会津山塩・なめこ茸-

 2019年3月に福島県会津若松市を訪問しました。

 会津若松は,周りを山に囲まれた盆地にあり,交通手段が発達していない昔は,人や物資の交流もままならなかったため,独自の生活文化圏・食文化が形成されてきました。

 そのため,会津若松の食文化は,桜肉(馬肉),ソースかつ丼,輪箱(わっぱ)飯,こづゆ,会津蕎麦,日本酒,鯉料理,羊羹など,会津若松ならではの,他地域では珍しい料理もたくさんあります。

 会津若松ならではの食文化を知りたいと思い,会津若松市内のそば・郷土料理店を訪問しました。


馬刺し・ニシンの山椒煮・鯉の甘煮・くきたち菜

 今回訪問したお店では,会津若松のいろんな郷土料理が一度に堪能できる「おもてなし御膳」というメニューが用意されていたので,こちらを予約注文させていただきました。

 1人でも快く予約を引き受けてくださり,きちんとした席も御用意いただいたので,遠方(広島)から訪問した私にとっては,とてもありがたかったです。

(馬刺し・ニシンの山椒煮・鯉の甘煮・くきたち菜のお浸し)
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 写真左上が馬刺し,中央がニシンの山椒煮,右上が鯉の甘煮,左下がくきたち菜のお浸しです。

 個別に料理を御紹介します。

【馬刺し】

(馬刺し)
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 会津地方には桜肉(馬肉)を食べる文化があり,桜肉を売る精肉店もあります。

 これは会津地方が旧越後街道の交通の要衝として栄え,人々の生活と密接に関わりを持っていたことや,会津坂下町に馬の「せり場」があったことに由来します。

 今回の馬刺しは,醤油に「にんにく唐辛子みそ」(写真手前の薬味)を溶いていただきました。

【ニシンの山椒煮】

(ニシンの山椒煮)
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 かつて海から離れた会津地方は,海産物と言えば乾物が中心でした。

 身欠きニシン,棒タラ,スルメ,貝柱などが挙げられます。

 そのため,会津地方では,そうした乾物を一旦戻して調理した料理も多く存在します。

 ニシンの山椒煮(山椒漬け)は,そんな会津地方の保存食の1つです。

 同じような料理に,スルメを人参と漬け込んだ「いかにんじん」や,棒タラを砂糖・醤油で味付けして長時間煮込んだ「棒たら」などがあります。

【鯉の甘煮】

(鯉の甘煮)
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 私は,会津にも鯉の甘煮があることにとても興味を持ちました。

 かつて訪問した山形県米沢市でいただいた鯉の甘煮と同じだったからです。

 会津と米沢はいずれも盆地であること,地理的にも近いこと,藩政改革をきっかけに鯉料理が食べられるようになったことなど,共通点が多くみられます。

 醤油・砂糖・酒などで甘辛く煮た鯉の甘煮は泥臭さもなく,美味しくいただきました。

【くきたち菜のお浸し】

(くきたち菜のお浸し)
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 くきたち菜は会津に春の訪れを知らせる野菜とされています。

 辛子醤油で味付けされ,すりゴマがたっぷりかけられたお浸しでした。


三五八漬け・こづゆ

 続いて,「三五八(さごはち)漬け」と「こづゆ」を御紹介します。

【三五八漬け】

(三五八漬け)
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 三五八漬けは,ご飯に米麹を加えて糖化させたものに塩を加えた漬け床に野菜などを漬けて作られます。

 野菜の持ち味を生かし,ほんのりとした甘味が楽しめる漬物です。

【こづゆ】

(こづゆ)
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 こづゆは,会津地方で江戸時代後期から明治時代初期にかけて武家料理や庶民の御馳走として広まり,冠婚葬祭の料理として振る舞われる郷土料理です。

 干し貝柱,きくらげ,干しシイタケ・里芋・人参・糸こんにゃく・豆麩などが主な食材で,乾物を多く用いられることが特徴となっています。

 具だくさんのすまし汁なのですが,いろんな乾物からよい出汁が出ていました。


会津の天ぷら盛合せ・揚げまんじゅう

 会津の郷土料理でぜひ食べてみたかった料理の1つが,会津の天ぷらです。

 会津には,ほかでは例のなさそうな,珍しい食材の天ぷらが多いのです。

【会津の天ぷら盛合せ】

(会津の天ぷら盛合せ)
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 天ぷらにすると衣で元々の食材がわかりにくいですが,写真左から右へ順に,スルメ,ニシン,鯉,まんじゅう,ふきのとうの天ぷらです。

 保存食である乾物のスルメやニシンは天ぷらにするとやわらかく,美味しくいただくことができます。

 鯉の切身を天ぷらにするのも,鯉を美味しく食べるための工夫から生まれた発想なのでしょう。

 ふきのとうは春の訪れを感じさせてくれる天ぷらでした。

 なお,今回の天ぷらに添えられた大根おろしは,金山町で採れた野生の大根「アザキ大根」です。

【まんじゅうの天ぷら】

 続いて「まんじゅうの天ぷら」です。

 この料理は会津訪問前からとても気になっていたので,単品でも注文しました。

(まんじゅうの天ぷら)
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 この天ぷら,私はその見た目や大きさから,一瞬「しいたけの天ぷら」かと思いました。

 それでは天ぷらの中身を見てみましょう。

(まんじゅうの天ぷら(中身))
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 こしあんが入った薄皮饅頭の天ぷらです。

 私はこの饅頭を見て,福島県郡山市の日本三大まんじゅうの1つ,「柏屋の薄皮饅頭」を思い出しました。

 饅頭自体が大きい上に,衣をつけて揚げてあるので,結構ボリュームがあります。

 私はこのまんじゅうの天ぷらを,盛合せと単品を合わせて2つもいただき,とてもお腹いっぱいになりました。

 私の住む広島にもホルモンの天ぷら(広島市)やもみじ饅頭の天ぷら(宮島)といった珍しい天ぷらありますが,会津の天ぷらも強者です。


盛りそば

(盛りそば)
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 盛りそばです。福島県が育成したオリジナルそば品種「会津のかおり」が使われています。

 白くてコシのある美味しいそばでした。


会津山塩

 会津の郷土料理を堪能した後,私はお店の方に気持ちばかりの広島のお土産をお渡しし,お礼申し上げました。

 1人の予約にも快く応じてくださり,きちんとした席も用意していただき,いろんな会津の郷土料理を味わわせていただいたことが嬉しかったからです。

 すると厨房でお忙しくされていた店主さんが出てこられ,「これをお土産にどうぞ」とお店でも使われている会津の山塩をいただきました。

(会津山塩)
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 大塩裏磐梯温泉(福島県耶麻郡北塩原村)の温泉水を薪窯で煮詰めて作られる珍しい塩です。

 一般的な食塩に比べて,結晶が細かく,その分塩辛さも強いように感じました。

 そしてただ塩辛いだけでなく,その塩辛さをやさしく包み込むような甘味やうま味が後から追い掛けてくるようにも感じました。

 海から遠く離れた会津ならではの塩です。

 店主さんの温かい人情にも触れることができ,思い出に残る食事となりました。


地元のお店で会津の食探し

 お店から会津若松駅に向かう途中,会津ならではの食品が売られていないかと,地元のスーパーマーケット(「リオンドール千石店」)に寄ってみました。

 店内には,身欠きニシン,馬肉,揚げまんじゅうなど,会津地方ならではの食品がたくさん売られていました。

 また別のお店へ行くと,「なめこ茸」の缶詰が売られており,これも会津の名産だと伺いました。

(なめこ茸(缶詰))
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  大根おろしと一緒にいただくのがおすすめだそうです。

 これらの食品は,会津の食生活とかかわりが深いことが理解できました。


まとめ

 今回の旅で,私は「会津の三泣き」(※)を実感しました。

 ※「会津に来たときはその閉鎖的な人間関係に泣き,なじんでくると人情の深さに泣き,去るときは会津人の人情が忘れ難く泣く」こと(福島県庁ウェブページから抜粋)

 訪問したどのお店でも広島から来た私を歓迎してくださり,話が盛り上がって自然と滞在時間が長くなりました。

 特にNHK大河ドラマ「八重の桜」で八重を演じた綾瀬はるかさん(広島市出身)の話題はどこでも盛り上がりました。

 そうした会津のみなさんの人情深さには,涙が出る思いがしました。

 そしてわずか半日の滞在でしたが,夜,会津若松駅を出発した電車の中で温かい人々にめぐり会えたことを思い出すと,会津を離れがたい気持ちになりました。

(会津若松駅・磐越西線・郡山行)
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 会津若松駅から磐越西線の電車で郡山駅へ行き,郡山駅から東北新幹線で東京駅まで戻りました。

 次回会津を訪問する際は,もっとゆっくり滞在するプランにし,また会津の温かい人情に触れたいと思いました。

 その時もきっと,西田敏行さん(福島県出身)のように,涙もろくなってしまうんだろうな(笑)


<関連リンク>
 「徳一」(福島県会津若松市東千石1-5-17)
 「電車で会津の旅 会津の隠れた名物郷土料理『鯉の甘煮(うまに)』を食べる」(東武鉄道)
 「会津山塩」(会津山塩企業組合)

<関連記事>
 「あずきの研究12 -なぜ冬に水ようかんを食べる地方があるのか-」(東山温泉「松本家」の水ようかんと湯の花羊羹)
 「山形の食文化の特徴1 -米沢の鯉料理と食用菊-
 「広島の名物・郷土料理1 -ホルモン天ぷら,ホルモン天ぷらの種類と特徴-
 「広島の名物・郷土料理2 -ホルモン天ぷら(ビチ・チギモ),スマートな注文方法-

<参考文献>
 尾形希莉子・長谷川直子「地理女子が教えるご当地グルメの地理学」ベレ出版
 「dancyu おいしい鉄道旅 2018年12月号」プレジデント社

2019年2月 6日 (水)

富山の薬膳料理・菓子 -やくぜんカレー・やくぜん茶・富山飴・ゲンゲ・薬都富山のめぐみ 食やくスイーツ-

富山と薬膳料理・薬膳菓子

 薬のまちとして有名な富山。

 富山市では,薬を販売するだけでなく,医食同源や東洋医学の思想に基づき,古くから健康に良いとされる食材を食事に取り入れた薬膳料理・薬膳菓子の普及・推進に取り組まれています。

 薬都・富山ならではの薬膳食に興味を持ち,富山市を訪問しました。

(富山駅・あいの風とやま鉄道)
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やくぜんカレー・やくぜん茶・富山飴

 富山の製薬会社「廣貫堂」がプロデュースする薬膳カフェ「癒楽甘 春々堂(ゆらくかん ちゅんちゅんどう)」で薬膳料理をいただくこととしました。

 メニュー表に薬膳食材が紹介されていました。

(薬膳食材の紹介)
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 えごま,なつめ,くこの実,松の実,陳皮,ハト麦,百合根などの薬膳食材が紹介されています。

【やくぜんカレー】

(やくぜんカレー)
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 富山の食材と薬膳食材が使われた「やくぜんカレー」です。

 今回のやくぜんカレーは「鶏ひき肉と根菜のカレー」で,富山米と雑穀を紅花で炊いた黄色いライスと,鶏ひき肉と里芋のカレーで構成されていました。

 ライスの上には,カボチャ,さやいんげん,クコの実がのせられています。

 ジャスミンティーとカレーの風味を強くするスパイス(ガラムマサラ)も付いています。

 スパイスの香り豊かな,体にやさしいカレーライスでした。

 「ターメリックとウコン」,「クローブと丁子」,「シナモンと桂皮」,「ジンジャーと生姜」など,カレーに使うスパイスと漢方薬の生薬は,呼び名が異なるだけで同じ原料であることも多く,カレー用のスパイスを調合するための知識・技術と,漢方薬の生薬を調合するための知識・技術にも共通点があるように思いました。

【やくぜん茶】

(やくぜん茶)
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 ウーロン,プーアル,ハトムギ,なつめ,クコの実で作られた廣貫堂オリジナルやくぜん茶です。

 手前にスプーンがありますが,これはガラスポットに入っている赤いクコの実をすくって食べるためです。

 ウーロンやプーアルは中国で,なつめやクコの実は朝鮮半島でよく用いられる食材ですね。

【富山飴】

 富山では,昔から薬と一緒に水あめが販売されてきました。

 苦い薬を飲みやすくするため,麦芽水飴が用いられたのです。

 こうした飴関連で,春々堂の販売コーナーに「富山飴」という飴が売られていたので購入しました。

(富山飴)
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 個包装には,
 「とやまの薬は お金はあ・と・か・ら『先用後利』」
 「とやまの売薬さんは 柳行李を背負って全国を行商」
 「とやまの売薬さんは 情報と文化の配達人」
など,80種類の薬都・富山の物語が記載されています。

 商品説明には,「バンランコン,エキナセア,カンゾウ,キンギンカ,カリンのエキスに21種類のハーブを使ったエキスを組み合わせた健康飴」と説明されています。

 スッキリとさわやかなハーブの風味が楽しめる健康のど飴です。


ゲンゲ

 富山湾の深海に棲む深海魚「ゲンゲ」。

 昔は雑魚(ざこ)扱いで,魚の「下の下(げのげ)」に由来する呼び名でしたが,今では幻の魚として「幻魚(げんげ)」と表現されるようになりました。

 富山の食材の1つとして,富山市が「富山やくぜん」に認定した魚でもあります。

 そのゲンゲを乾燥させ,塩とバジルで調味した珍味が販売されていました。

(げんげ塩バジル)
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 カネツル砂子商店の「げんげ塩バジル」です。

 バジル風味がきいた洋風の干物で,噛みしめるほどにゲンゲのうま味が味わえる富山の珍味です。


薬都富山のめぐみ 食やくスイーツ

 富山駅に隣接する,きときと市場「とやマルシェ」で「食やくスイーツ」というお菓子が販売されていました。

(薬都富山のめぐみ 食やくスイーツ)
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 外箱には「食」,「クスリではない」,「ただのスイーツでもない」と意味深い言葉が記載されています。

 「食」という字は人に良いと書きますが,そういう意味も含んだデザインなのだと思います。

 このスイーツセットの面白いところは,食品の中で健康に良いとされる食材や成分である「食薬」を食べやすいお菓子にしていることと,富山市内のいろんなお店のお菓子が1箱ずつ詰められたアソートセットになっていることです。

 3個セットが中心でしたが,薬膳料理・食薬に興味を持って富山を訪問した私は,箱売りの9個セットを購入しました。

 それぞれのお菓子を簡単に御紹介します。

【赤粒丹・白桑丸・紫甘丹】

(赤粒丹・白桑丸・紫甘丹)
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 写真左から順に,赤粒丹(セキリュウタン),白桑丸(ハクソウガン),紫甘丹(シカンタン)です。

 「赤粒丹」は,食やくとして「いちじく」と富山産の「トマト」が入ったラズベリーの香り豊かなクッキーです。
 「オークスカナルパークホテル」製です。

 「白桑丸」は,食やくとして富山市八尾の「桑の葉」が入ったクッキーです。
 桑の葉の香ばしさが楽しめる,ホロッとやわらかいクッキーです。
 「大野菓子舗」製です。

 「紫甘丹」は,食やくとして「紫芋」が使われたタルト風スイーツです。
 しっとりした紫芋のタルト生地に粒々の香ばしいエゴマがかけられています。
 「大野菓子舗」製です。

【檎黄丸・蓬柿丹・緑餅丹】

(檎黄丸・蓬柿丹・緑餅丹)
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 写真左から順に,檎黄丸(ゴオウガン),蓬柿丹(ホウシタン),緑餅丹(リョクヘイタン)です。

 「檎黄丸」は,食やくとして「リンゴ」と「生姜」が使われたフランス風焼菓子です。
 焼菓子の中にリンゴと生姜を煮詰めたジャムが入っています。
 「シャルロッテ」製です。

 「蓬柿丹」は,食やくとして富山県産の「蓬」と「柿」が使われたクッキーです。
 緑色が蓬のクッキー,赤色が柿とドライいちじくのクッキーです。
 「シャルロッテ」製です。

 「緑餅丹」は,食やくとして「昆布」が使われた餅菓子です。
 弾力のある餅をかむと,昆布のうま味とほのかな甘味を感じます。
 「新栄堂」製です。

【黒鳩丸・橙安丹・褐米丹】

(黒鳩丸・橙安丹・褐米丹)
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 写真左から順に黒鳩丸(コッキュウガン),橙安丹(トウアンガン),褐米丹(カツベイタン)です。

 「黒鳩丸」は,食やくとして「はと麦」が使われた黒まんじゅうです。
 まんじゅうの皮は竹炭や黒ゴマで黒く輝いており,中の白あんと見事なコントラストとなっています。
 はと麦の香ばしさや黒ゴマの風味を感じました。
 「佐々木千歳堂」製です。

 「橙安丹」は,食やくとして「安納芋」が使われたプチケーキです。
 ケーキ生地の中に安納芋の餡が入っており,表面はホワイトチョコでコーティングされています。
 「佐々木千歳堂」製です。

 「褐米丹」は,食やくとして「黒米」と「ゆず」が使われたクッキーです。
 富山県産の黒米の米粉が使われており,ゆず・黒胡椒・ココアの3つの味が楽しめます。
 「和スイーツ健太郎」製です。


 富山には,このほかにも,美都家の「反魂旦(はんこんたん)」,ボン・リブランの「甘金丹(かんこんたん)」,御菓蔵の「越中富山の常備菓子」など富山の薬にちなんだお菓子がたくさん販売されています。


まとめ

 人体に直接作用する薬を開発・製造するためには,相当高度な知識・技術が要求されます。

 例えば薬の原料1つ取り上げてみても,その特性は何か,人体に有害か無害か,何がいつどのように作用するのか,他の原料との調合によりどんな効果が期待されるかといったことをよく研究し,理解しておく必要があるでしょう。

 古くから薬を開発・製造してきた富山には,薬の原料・食材に関する豊富な知識や取扱いのノウハウがあります。

 その知識やノウハウを食の分野で生かし,地元の食材を中心とした健康的な料理・菓子を提供する試みは注目に値すると思います。

 薬膳料理・薬膳菓子は,「体が喜ぶ料理・お菓子」でもあります。

 皆様もぜひ富山の薬膳料理・薬膳菓子を御賞味ください。


<関連リンク>
 「富山やくぜん」(富山やくぜん普及推進会議)
 「癒楽甘 春々堂」(富山市新富町1-2-3 富山駅前CiCビル1階ほか)
 「薬都富山のめぐみ 食やくシリーズ

2019年1月13日 (日)

三池炭鉱で炭坑節を唄う -福岡県大牟田市・熊本県荒尾市の食探訪-

 盆踊りなどでお馴染みの「炭坑節」。

 三池炭鉱が舞台となった歌で,その地は現在「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼,造船,石炭産業」の名で世界遺産登録されています。

 歌としては馴染みがあるものの,どんなところなのか漠然としたイメージしかなかったので,三池炭鉱の遺産がある福岡県大牟田市・熊本県荒尾市へ行ってみました。


福岡県大牟田市・宮浦石炭記念公園

 三池炭鉱は,福岡県の南部に位置する大牟田市と熊本県の北部に位置する荒尾市にまたがった地域にあります。

 私は博多駅から鹿児島本線・区間快速に乗って大牟田へ向かいました。

(JR大牟田駅と区間快速)
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 大牟田駅からはレンタカーを利用し,三池炭鉱の遺産巡りをしました。

 最初に訪れたのが,炭坑節にも登場する煙突が現存する宮浦石炭記念公園です。

(宮浦石炭記念公園の煙突)
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 正直な感想を言います。

 「♪あんまりー煙突がぁー低いのでー♪」びっくりしました(笑)

 高さ31.2mのれんが造りの煙突です。

 採掘した石炭の運搬や炭鉱マンの移動などには主に蒸気動力が使われましたが,その際に生じた煙を排出するために,三池炭鉱のあちこちにこうしたレンガ造りの煙突が設置されました。

 こうした経緯から,三池炭鉱のシンボルは煙突となり,炭鉱節にも唄われるようになったのです。


福岡県大牟田市・宮原坑

 続いて宮原坑を訪問しました。

(三池炭鉱・宮原坑)
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 写真左が竪坑櫓,右のレンガ造りの建物が巻上機室です。

 竪坑櫓の昇降機により地上と地下が結ばれ,蒸気動力により炭鉱マンの移動や石炭の運搬がなされました。

 現地のボランティアガイドさんから,宮原坑の施設や三池炭鉱の歴史について学びました。

 三池炭鉱は石炭を掘り出そうとすると,湧水(地下水)がたくさん出てきて,その処理がとても大変だったそうです。

 そこで三井財閥は当時世界最新と言われたイギリスのデビーポンプを導入し,その湧水を蒸気動力で地上に汲み出すことで採炭に成功したとのことでした。

 ボランティアガイドさんからいろんな説明を受けたあと,「それでは,炭坑節でも唄いましょうか」とおっしゃっていただいたので,私は「おーっ,待ってました!ぜひ!」とお願いしました。


【炭坑節】
 月が出た出た 月が出た(ヨイヨイ)
 
 三池炭鉱の上に出た
 
 あんまり煙突が高いので
 
 さぞやお月さんけむたかろ(サノヨイヨイ)


 三池炭鉱で炭坑節が聴け,一緒に唄えたことにとても感動しました。

 訪問して良かったなと心から思った瞬間でした。


熊本県荒尾市・万田坑

 続いて車で熊本県荒尾市の万田坑を訪問しました。

(三池炭鉱・万田坑)
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 こちらでもツアーガイドさんに説明を受けながら施設内を見学させていただきました。

 万田坑は国内で最も良好な状態で炭鉱設備が揃っており,施設内にも入ることが出来ます。

 石炭とコークスの違いなど,ツアーガイドさんからたくさんのことを教えていただきました。


福岡県大牟田市・熊本県荒尾市の食探訪

 福岡県大牟田市・熊本県荒尾市の食を御紹介します。


【大牟田ラーメン】

(大牟田ラーメン)
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 大牟田駅にほど近い「東洋軒」の大牟田ラーメンです。

 豚骨ラーメンですが,そのルーツは久留米でも博多でもなく,なんと岡山なのだとか。

 そう言えば,福岡という地名も,黒田家ゆかりの備前国邑久郡福岡(岡山県瀬戸内市長船町福岡)に由来していると聞きますし,福岡と岡山はいろんな縁があるようです。

 豚骨を高火力で焚き出した濃厚なスープで,美味しくいただきました。


【大牟田産100%落花生】

(大牟田産100%落花生)
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 落花生と言えば千葉が有名ですが,こちら大牟田でも落花生が作られています。

 品種は「千葉半立(ちばはんだち)」です。


【炭都ぼーろ・かすてーら饅頭・ジャー坊 de COFFEE・たいらぎ最中・万田坑メロンパン】

(炭都ぼーろ・かすてら饅頭・ジャー坊 de COFFEE・たいらぎ最中)
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 写真左が「炭都ぼーろ(津留製菓)」,中央手前が「かすてら饅頭(菓舗だいふく)」,右下が「ジャー坊 de COFFEE(自家焙煎珈琲専門店こうひいや)」,右上が「たいらぎ最中(長崎屋)」です。

 「ジャー坊」は大牟田市の公式キャラクターです。
 大蛇の化身で,炭鉱のヘルメットとつるはしを身に付けています。

 「たいらぎ最中」は有明海で採れる「たいらぎ」という貝の形をした最中で,小豆あんと抹茶あんの2種類があります。


(万田坑メロンパン)
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 万田坑がデザインされた袋に入った「万田坑メロンパン(ふくやまベーカリー)」です。


(万田坑メロンパン・かすてら饅頭・炭都ぼーろ)
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 写真左上が「万田坑メロンパン」,その下が「かすてら饅頭」,右が「炭都ぼーろ」の中の様子です。

 「万田坑メロンパン」は中に石炭をイメージしたチョコチップが入ったメロンパンです。
 荒尾市にある「ふくやまベーカリー」のメロンパンは全国的にも有名なお店です。

 「かすてら饅頭」は中に白あんが入った饅頭で,大牟田発祥のお菓子です。

 「炭都ぼーろ」は大牟田の石炭をイメージし,食用竹炭と黒糖を練り込んだボーロです。


まとめ

 行く先々でガイドさんが親切にしてくださり,三池炭鉱について楽しく学ぶことが出来ました。

 三池炭鉱関連や地元ならではのグルメもたくさんあり,堪能しました。

(西鉄大牟田駅と特急)
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 帰りは西鉄大牟田駅から特急で福岡市の天神へ向かいました。

 低い煙突と炭坑節が印象的な三池炭鉱遺産の旅でした。


<参考文献>
 「おおむた観光ガイドブック」(一社)大牟田観光協会・大牟田市観光おもてなし課

2018年11月 7日 (水)

愛媛県新居浜市 「東洋のマチュピチュ」別子銅山遺跡とマチュピチュカレー

「東洋のマチュピチュ」別子銅山遺跡

 ペルーのアンデス山脈にあるマチュピチュ遺跡。

 標高2,280mの高地にあるインカ帝国の天空都市の遺跡です。

 信じられないような高地に都市遺跡があることで有名ですが,実は日本にも「東洋のマチュピチュ」と称される観光地があります。

 愛媛県新居浜市にある別子銅山遺跡です。

 別子銅山は,標高750m前後の東平(とうなる)地区を拠点に,赤石山系の山中から海面下約1,000mまで広範囲に採鉱された銅山です。

 元禄3(1690)年に銅の露頭が発見された翌年から住友が採掘を開始し,昭和48(1973)年の閉山までの283年間で総出鉱量約3,000万トン,産銅量約65万トンを記録しました。


別子銅山と住友,新居浜市の郷土料理「いずみや」

 別子銅山は,現在の住友グループの基礎を築いた母なる銅山でもあります。

 東平には最盛期には5,000人余りの銅山関係者とその家族が住み,劇場や「私立住友別子尋常高等小学校」(教員は住友社員)も設置されてました。

 現在はレンガ造りの銅山関連施設や生活関連施設の面影を残すのみとなっていますが,その遺跡群は確かにペルーのマチュピチュを彷彿させるものがあります。

(東平から新居浜市街地・瀬戸内海を望む)
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 写真手前上方の遺跡が「貯鉱庫跡」,下方の遺跡が「索道停車場跡」,写真右上は新居浜市街地と瀬戸内海です。

 新居浜市内には「リーガロイヤルホテル新居浜」がありますが,都市型の大型ホテル「リーガロイヤルホテル」が新居浜市にあるのも,住友の企業城下町ならではと言えるでしょう。

 また,新居浜市には「いずみや」と呼ばれる郷土料理もあります。

 コノシロやアジなどの魚に「おから」を合わせる押し寿司で,そのルーツは江戸時代に住友家からもたらされた寿司飯の押し寿司にあります。

 当時貴重だった米に代わって「おから」を用いた押し寿司が新居浜の料理となったのです。

 住友家由来の料理ということで,料理名は住友家の屋号「泉屋」に由来しています。

 ちなみに現在の住友グループの「井桁マーク」もこの「いずみ」に由来したものです。


別子銅山遺跡と銅食器

 東平から山側を眺めました。

(東平から赤石山系を望む)
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 「索道停車場跡」から赤石山系を撮影した写真です。

 東平の奥にもさらに高い山々が連なっているのがわかります。


 続いて「小マンプ」(短いトンネル)内の鉱山運搬機器を見学しました。

(小マンプ内鉱山運搬機器展示場)
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 銅鉱石運搬車両や蓄電車など住友金属鉱山株式会社から新居浜市に寄贈された運搬機器・車両が展示されています。


 その後,「東平歴史資料館」を見学しました。

(銅食器などの銅製品)
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 銅食器は見た目の美しさや熱伝導率の良さが特長として挙げられます。

 そう言えば,フランス料理店の厨房でもキャスロール鍋などの銅製調理器具をよく見かけるように思います。


マチュピチュカレー

 「マイントピア別子・東平ゾーン」施設内のレストラン「もりの風」で食事をしました。

 特色のあるメニューの中から,私は最も別子銅山らしいと思った「マチュピチュカレー」を注文しました。

(マチュピチュカレー)
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 「SNS映え」,「インスタ映え」しそうな料理です(笑)。実際,周りのツーリング仲間からも注目されました。

 お店の方から,「両側のライスが別子銅山の山を,カレー中央の白い生クリームが山あいを流れる足谷川を表現しています。」と教えていただきました。

 ライスに刺さったレンコンやサツマイモは別子銅山の遺跡でしょうか。

 ライスの形が左右異なっており,起伏のある山々がうまく表現されていると思いました。

 ライスの山を少しずつ採掘する楽しみを味わいながら,美味しくいただきました。

 カレーライスの具を「インカのめざめ」にすると,より話題性のあるマチュピチュカレーに仕上がるかも知れませんね。


 別子銅山周辺は,飲食店・お土産店・鉱山観光・資料館・温泉など楽しめる施設が集まった魅力あふれる観光地です。

 四国の観光にぜひ御利用ください。


<関連リンク>
 「住友の歴史 別子銅山」(住友グループ広報委員会)
 新居浜の郷土料理「いずみや」(えひめ愛フード推進機構)
 「マイントピア別子

<参考文献>
 尾形希莉子・長谷川直子「地理女子が教えるご当地グルメの地理学」ベレ出版

2018年8月29日 (水)

津軽鉄道食景色3 -東北・北海道新幹線車内で津軽鉄道「ストーブ弁当」を味わう-

 2018年3月に行った北東北(岩手・秋田・青森)旅行のお話も今回で最終話となります。

 青森市内に宿泊した後,青森駅からJR奥羽本線で新青森駅へ,新青森駅から東北新幹線で仙台駅へ,仙台駅から仙台空港アクセス線で仙台空港へ,仙台空港からIBEXエアラインズで広島空港へ,広島空港から車で自宅に戻りました。

 旅の締めくくりとして,帰りの東北新幹線車内でいただいた津軽鉄道の駅弁「ストーブ弁当」を御紹介したいと思います。


津軽鉄道「ストーブ列車」と「ストーブ弁当」

 津軽鉄道では,毎年12月~3月末までの間,「ストーブ列車」が運行されています。

 この列車は,車内にダルマストーブが設置されており,乗客がストーブを囲んで暖をとったり,スルメを焼いて味わったりできる冬のイベント列車です。

 ストーブの燃料は石炭で,その焚きつけには細かく割った古い枕木が使われています。

 走行中,ときどき車掌さんがストーブの様子をみて石炭を継ぎ足すのですが,暖房ではなく石炭ストーブというのがノスタルジックで情緒あふれますね。

 その「ストーブ列車」の運行に合わせて販売されているのが,津軽鉄道の「ストーブ弁当」です。

 私は時間の関係で「ストーブ列車」には乗ることができませんでしたが,この「ストーブ弁当」をぜひ味わいたいと思い,事前注文しました。


「ストーブ弁当」の注文

 この「ストーブ弁当」は,2個以上からの受付けで,利用日の3日前までに注文しておく必要があります。

 しかも受取時刻が午前11時から午後2時までの間となっているので,遠く離れた広島から1人で訪問する私には相当な覚悟が必要でした。

 でもどうしても味わってみたいという思いが強かったので,意を決して広島から津軽鉄道本社に電話し,「ストーブ弁当」を2個注文しました。

 その時一番不安だったのは,きちんと決めた日時に指定駅(津軽五所川原駅)で弁当を受け取れるかどうかでした。

 そこで私は津軽鉄道の方に事情を説明し,「万一受け取ることができなくても,代金はお支払いしますのでよろしくお願いします。」とお伝えしました。

 すると津軽鉄道の職員さんは「キャンセルになる場合は早めにお知らせください。別に御希望のお客様にお譲りできるかも知れませんので。」とおっしゃってくださいました。

 相手の気持ちに配慮した,ありがたいお言葉だなと思いました。

 これは何としてでも行かねばと思いつつ,当日を迎え,無事予定時刻に指定駅の津軽五所川原駅で弁当を受け取ることができました。

 津軽五所川原駅のホームの様子です。

(津軽五所川原駅ホーム)
Photo

 手書きの看板に温かみを感じます。

 列車「走れメロス号」が停車していたので,撮影しました。

(津軽鉄道「走れメロス号」)
Photo_2

 オレンジ色と緑色が基調となった湘南色に似た塗装の列車です。

 この日は津軽鉄道に関係したグルメを堪能し,「ストーブ弁当」をお土産にして,五所川原市を後にしました。


JR北海道所有の新幹線H5系

 青森市内で1泊し,北東北旅行の最終日を迎えました。

 朝,青森駅から新青森駅へ行き,東北新幹線に乗車して仙台駅まで戻りました。

(新青森駅「ようこそ青森へ!」(ねぶた))
Photo_7

 やはり青森のねぶたは迫力があっていいですね。

 しばらく真新しい新青森駅構内を散策した後,新幹線ホームへ行き,7:43発東北新幹線・はやぶさ10号・東京行へ乗車しました。

(東北・北海道新幹線「はやぶさ」H5系)
Photo_8
盛岡駅のホームで撮影

 写真は盛岡駅での「はやぶさ10号」です。

 東海道・山陽新幹線のN700系などに比べ,先端が長細い形になっています。

 東北・北海道新幹線の「はやぶさ」に使われる車両は,主にJR東日本所有の「E5系」とJR北海道所有の「H5系」の2種類があるのですが,そのほとんどはJR東日本の「E5系」車両です。

 一方のJR北海道の「H5系」車両は,2018年現在,実質2編成しか運用されていないため(つまり2本の列車が新函館北斗駅と東京駅間を往復しているのみのため),「H5系」のはやぶさはとてもレアな列車なのです。

(東北・北海道新幹線「はやぶさ」H5系(シンボルマーク))
Photo_9
盛岡駅のホームで撮影

 E5系とよく似ているのですが,車体中央の帯がライラック,ルピナス,ラベンダーを想起させる「採香パープル」で,シンボルマークも北海道の地形がモチーフとされています。

 それでは,車内へどうぞ。


東北・北海道新幹線車内で「ストーブ弁当」を味わう

 新幹線の席の後方にある机を手前に出し,津軽鉄道の「ストーブ弁当」を置きました。

(津軽鉄道「ストーブ弁当」(包装))
Photo_10

 竹かご箱の弁当で,包装紙にはレトロなダルマストーブが描かれています。

 包装紙の裏には,「ストーブ弁当」の説明書きがあり,出来る限り地元の食材を使って,愛情込めて作った手作り弁当であることや,津軽鉄道を舞台にしたマンガ「ちゃぺ!津軽鉄道四季ものがたり」の中でもこの「ストーブ弁当」が紹介されていることなどが紹介されています。

 私は津軽五所川原駅の売店で「ストーブ弁当」を購入した際,お店の方からこのマンガ「ちゃぺ!津軽鉄道四季ものがたり」のお話を伺いました。

(「ちゃぺ!津軽鉄道四季ものがたり」表紙)
Photo_11

 津軽五所川原駅売店で購入した「ちゃぺ!津軽鉄道四季ものがたり」です。

 主人公のちゃぺ(津軽の愛称で「子猫」)ちゃんとストーブ列車が描かれています。

(「ちゃぺ!津軽鉄道四季ものがたり」「ストーブ列車」記事)
Photo_12
(作/川上健一・画/ひきの真二「ちゃぺ!津軽鉄道四季ものがたり」小学館ビッグコミックス p142-143を引用)

 本には「ストーブ列車」と「ストーブ弁当」の紹介記事もあります。

 津軽鉄道のウェブページによると,そもそも「ストーブ弁当」は,小学館の関係者が津軽鉄道を盛り上げる企画の一環として販売されたものなのだそうです。

 「ストーブ列車」と「ストーブ弁当」について知識を得た上で,「ストーブ弁当」の箱を開けてみましょう。

(津軽鉄道「ストーブ弁当」)
Photo_13

 写真左上から時計回りに,若生おにぎり,赤カブの漬物,フキとニシンの煮物,レンコンはさみ揚げ,右上角が鮭のハラス,海老フライ,ホタテの煮物,里芋黒ゴマ和え,人参とゴボウの煮物,松前漬け,そして梅干とスルメイカのおにぎりです。

「若生(わかおい)おにぎり」
 ごはんに1年ものの薄くて柔らかい昆布を巻いて作られたおにぎりです。
 海苔の代わりに昆布を使った,津軽ならではの食べ物です。

「赤カブの漬物」
 津軽地方には皮も果肉も赤いカブが漬物にされています。

「フキとニシンの煮物」
 フキ・ニシンは津軽ならではの食材です。

「レンコンはさみ揚げ」
 レンコンに海老のすり身をはさんで揚げた天ぷらです。

「鮭のハラス」
 ハラスは鮭の腹の部分のことです。
 脂ののったハラスの塩焼きです。

「海老フライ」
 フライの衣にあられが使われており,津軽地方の「つぶ雪」が表現されています。

「ホタテの煮物」
 青森はホタテの生産量が全国トップクラスで,ホタテ料理もたくさんあります。

「里芋黒ゴマ和え」
 だしで煮た里芋に黒ゴマがまぶされています。
 これは「ストーブ弁当」の石炭に見立てたおかずとなっています。

「人参とゴボウの煮物」
 全国出荷量で青森の人参は第4位,ゴボウは全国1位となっており,ともに青森で多く出荷されています。
 青森の人参と言えば,私は「リゾートしらかみ」に乗車した際に知った深浦町の「ふかうら雪人参」を思い出します。

「松前漬け」
 松前漬けは北海道の郷土料理ですが,数の子・昆布・スルメイカを使った料理は青森でもよく食べられています。
 青森には松前漬けに大根の漬物などを混ぜた「つがる漬」,「ねぶた漬」という料理もあるようです。

「梅干とスルメイカのおにぎり」
 「ストーブ列車」で焼くスルメイカや松前漬けも含め,スルメイカがよく登場しますが,青森ではそれだけ馴染み深い食材なのでしょうね。
 梅干の酸味とスルメイカの旨味が加わることで,食が進みました。


 本来はのんびりと走る「ストーブ列車」の車内で味わうべき「ストーブ弁当」ですが,今回は日本最速の新幹線「はやぶさ」の車内で味わいました。

 こんな食べ方する人はなかなかいないと思います(笑)。

 素朴で都会の弁当とは一線を画した感がありますが,都会ではなかなか味わえないような贅沢な津軽の海の幸・山の幸がたくさん詰められていて,津軽のふるさとの味を堪能することができました。

 JR五能線経由で五所川原,弘前,青森と駆け足で回り,青森滞在は1泊2日とわずかなものでしたが,その数々の思い出がこの弁当に詰められているような気がしました。

 かの太宰治も,これと同じような弁当を持たせてもらって青森から上京したのかも知れませんね。


まとめ

 「ストーブ弁当」を味わった後,車窓から東北の風景を眺めていると,あっと言う間に仙台駅に到着しました。

(東北・北海道新幹線E5系とH5系)
Photo_14
仙台駅のホームで撮影

 仙台駅に停車する新幹線E5系(写真左奥,はやぶさ103号・盛岡行)とH5系(写真右手前,はやぶさ10号・東京行)です。

 よく似ていますが,ボディー側面のラインがE5系はピンク色(つつじピンク),H5系は紫色(彩香パープル)となっています。

 今回の北東北旅行は,東北新幹線,秋田新幹線,「リゾートしらかみ」,五能線,奥羽本線と鉄道を乗り継ぐ旅でもありましたが,今度機会があればぜひ津軽鉄道の列車にも乗り,車内で津軽鉄道の駅弁を味わってみたいです。

 津軽鉄道の駅弁は,今回御紹介した「ストーブ弁当」(12月~3月)のほかに,「さくら弁当」(4月~5月),「だざい弁当」(6月~8月),「いなほ弁当」(9月~11月)と四季折々に多彩な弁当が用意されています。

 津軽鉄道の旅やグルメを楽しむことは,津軽の風土や文化を知ることにつながることを実感しました。


<関連リンク>
 「津軽鉄道株式会社

<参考文献>
 作/川上健一・画/ひきの真二「ちゃぺ!津軽鉄道四季ものがたり」小学館ビッグコミックス
 作/やまさき十三・画/北見けんいち「釣りバカ日誌 82 津軽鉄道冬景色!?の巻」小学館ビッグコミックス

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2018年8月17日 (金)

津軽鉄道食景色2 -若生おにぎり,中まで赤~いりんごジャム,干し餅,五農産米-

 津鉄汁セット,ストーブ列車石炭クッキーに続き,津軽鉄道と津軽鉄道沿線の食べ物を御紹介します。


若生おにぎり

 津軽鉄道本社屋1階の「コミュニティカフェ でる・そーれ」で「若生(わかおい)おにぎり」を購入しました。

 「若生おにぎり」は,ごはんを海苔の代わりに昆布で巻いたおにぎりで,津軽の郷土料理です。

 「若生」は1年ものの薄くて柔らかい昆布を言います。

 広げた若生の上にご飯をのせ,ご飯の端を若生で包み,パタンと二つ折りにして作られます。

(若生おにぎり)
Photo

 太宰治も若生おにぎりが好物で,夜食としていたようです。

(若生おにぎり(中身))
Photo_2

 いただいてみると,昆布の程よいしょっぱさがご飯の味を引き立て,海の香りが口の中に広がる美味しいおにぎりでした。

 ちなみに若生おにぎりは食べる際にちょっとしたコツがいります。

 昆布の繊維方向を考えて噛まないと,昆布が噛み切れないのです。

(若生おにぎりの食べ方)
Photo_3
(コミュニティカフェ でる・そーれ『What's?若生おにぎり』から引用(抜粋))

 昆布の繊維に平行になるよう,おにぎりを縦に持って噛み切る必要があります。

 再度「若生おにぎり(中身)」の写真を御覧いただければ,昆布の切れ目が繊維に沿ってまっすぐに切れているのがお分かりいただけると思います。

 海苔の代わりにやわらかい昆布を使っておにぎりを作るとは,これも1つの生活の知恵であり,立派な食文化ですね。


「中まで赤~いりんごジャム」

 「中まで赤~いりんごジャム」は,五所川原市特産のりんご「御所川原」で作られたジャムです。

 この「御所川原」は皮だけでなく,中まで赤いとても珍しいりんごです。

(「中まで赤~いりんごジャム」(包装))
Photo_4

 箱上側の絵は中まで赤いりんご「御所川原」を輪切りにしたもので,りんごの皮だけでなく,中心部まで赤くなっていることがわかります。

(「中まで赤~いりんごジャム」)
Photo_5

 粗めに切ったりんごをシンプルに砂糖だけで煮詰めて作られたジャムです。

 果肉まで赤いので,ジャムもやさしい赤色をしています。

 いただいてみると,甘さは控え目で,その分りんごの酸味を強く感じました。

 中まで赤いのですが,酸味が強いりんごです。

 「御所川原」の素材の味を大切にした手作りのジャムです。


干し餅

 津軽鉄道「津軽五所川原駅」の売店で五所川原名物の干し餅が売られていました。

(干し餅(包装))
Photo_6

 何だか食べにくそうだと思ったのですが,お店の方から「そのままでも食べられますよ。」と教えていただき,購入してみました。

 餅にゴマ,バターが入っています。

 そのままいただいてみると,サクサクした軽いせんべいのような食感で,ほのかにバターの香りがし,黒ゴマがアクセントになっていました。

 こんがりと焼いたり,油で揚げて食べても美味しいようです。

 餅を凍らせた上で干して乾燥させた保存食で,高野豆腐とよく似ています。

 私はこの干し餅をいただいた時,全く同じだと思った食べ物がありました。

 このブログで御紹介した宇宙食「ライスケーキ(おもち)」です。

 宇宙食のライスケーキは,フリーズドライ製法なのですが,フリーズドライとは凍らせて干す(乾燥させる)ことなので,干し餅の製法と一緒です。

 それならと,宇宙食のライスケーキと同様,この干し餅をしばらく水に浸してからいただいてみると,予想どおり粘りのある餅に戻りました。

 昔ながらの製法が実は宇宙食の製法と一緒であることに感動しました。


「五農産米」

 「五農」は青森県立五所川原農林高等学校の通称で,「五農産米(ごのうざんまい)」は五農で栽培・収穫したお米のことです。

 津軽鉄道の駅に「五農校前駅」という駅があるのですが,こちらも五所川原農林高等学校前を略した駅名となっています。

(「五農産米」)
Photo_7

 米を炊いてごはんでいただきました。

(「五農産米」のごはん)
Photo_8

 ごはんがまばゆいばかりに輝いて見えました。

 ちなみにこの茶碗は…普段私が使っている茶碗です(笑)。

 ふっくらと仕上がり,適度な弾力を感じました。

 雑味がなく,ほのかな甘味があります。

 冷めても美味しかったので,弁当やおむすびにも適していると思いました。

 「五農産米」は,国際標準である「グローバルG.A.P(※)」の認証を受けています。
 ※G.A.PはGood(適正な),AGRICULTURAL(農業の),PRACTICES(実践)の略。農業生産の環境的,経済的及び社会的な持続性に向けた取組みを認証する制度。

 また,いずれも期間限定ですが,米菓メーカー「岩塚製菓」(新潟県長岡市)から「五農産米」を使ったせんべい(商品名「五農米でつくった味しらべ」)が販売されたり,ANAグループが「五農産米」を羽田・成田発国際線ファーストクラスの機内食(ごはん)に採用するなど,各界からも高い評価を得ています。


 今回は時間の都合で津軽鉄道には乗れなかったのですが,津軽鉄道のグルメは盛りだくさんで,とても楽しめました。

 青森へお越しの際はぜひ津軽鉄道や津軽鉄道沿線のグルメをお楽しみください。


<関連リンク>
 「津軽鉄道株式会社
 「コミュニティカフェ でる・そーれ
 「青森県立五所川原農林高等学校

<参考文献>
 永松 潔・高橋遠州「テツぼん 13」小学館ビッグコミックススペシャル

<関連記事>
 「津軽鉄道食景色1 -津鉄汁セット,ストーブ列車石炭クッキー-

2018年8月15日 (水)

津軽鉄道食景色1 -津鉄汁セット,ストーブ列車石炭クッキー-

津軽五所川原駅と津軽鉄道本社

 秋田駅から「リゾートしらかみ1号」に乗り,五所川原駅へ行きました。

 終点の青森駅までではなく五所川原駅で下車した理由は,津軽鉄道と「立佞武多の館(たちねぷたのやかた)」を見学するためです。

 津軽鉄道は鉄道ファンの間でも有名な鉄道で,ストーブ列車などのイベント列車の運行やオリジナルグッズの販売など魅力的な企画・イベントをたくさん手がけておられます。

 津軽鉄道「金木(かなぎ)駅」からは,太宰治の生家「斜陽館」なども観光でき,太宰治ファンにもおすすめの鉄道です。

 訪問当日は,列車に乗車できるほどの時間的余裕はなかったのですが,津軽鉄道の魅力の一端に触れたいと思い,JR「五所川原駅」に隣接する津軽鉄道「津軽五所川原駅」と津軽鉄道本社1階にある「コミュニティカフェ でる・そーれ」を訪ねました。

(津軽鉄道「津軽五所川原駅」と津軽鉄道本社)
1

 写真の左側にある建物が津軽鉄道本社,右側にある建物が津軽鉄道「津軽五所川原駅」です。

 津軽鉄道本社1階には「サン・じゃらっと」と呼ばれる地域交流施設があり,その中に飲食コーナー「コミュニティカフェ でる・そーれ」があります。


津鉄汁セット

 私は「コミュニティカフェ でる・そーれ」で津鉄汁セットをいただきました。

(津鉄汁セット)
Photo

 写真右下が津鉄汁で,手前がいなり寿司とおにぎり,写真左上から横にお茶,厚焼き玉子とふきの佃煮,野菜のゴマ和えです。

 メインの津鉄汁は,醤油仕立てのすまし汁で,長芋入りの丸いすいとん,青森シャモロック,人参,舞茸,ごぼう,白髪ねぎなど具だくさんです。

 大きなおにぎりの中には塩鮭がたっぷり入っていました。

 いなり寿司は酢飯に紅しょうがが混ぜられているため,ピンク色をしています。
 もち米も入っているので,つやつやしています。
 甘めの寿司飯をきめの細かいいなりで包み,くるみをのせた津軽特有のいなり寿司です。

 そして,注目すべきは箸入れです。

 「箸入れ」と太宰治の作品「走れメロス」をかけて「はしいれメロス」と記載されているのです(笑)。

 ちなみに,津軽鉄道の列車は「走れメロス号」で,過去には期間限定列車「人間失格号」も運行されたようです。

 津軽鉄道,面白い!


ストーブ列車石炭クッキー

 食事後,「コミュニティカフェ でる・そーれ」で販売されていたお土産を購入しました。

 何にしようか眺めたところ,ひと際目立っていたのが「ストーブ列車石炭クッキー」です。

 津軽鉄道では,冬の間,客車に石炭ストーブを設置した「ストーブ列車」が運行されており,乗客はこのストーブを囲んで暖をとったり,スルメを焼いて食べたりしながら冬の津軽を楽しむことができます。

 「ストーブ列車石炭クッキー」は,その「ストーブ列車」の燃料である石炭に似せたオリジナルクッキーです。

(ストーブ列車石炭クッキー(包装))
Photo_2

 モノクロのパッケージが石炭っぽさを演出しています。

(ストーブ列車石炭クッキー)
Photo_3

 見た目や形が石炭そっくりなクッキーです。

 ブラックココアが使われていることで真っ黒でほろ苦いクッキーに仕上がっています。

 売上の一部はストーブ列車の維持に役立てられているようです。

 「列車の中でストーブを焚く」,これはよく考えたらスゴイことで,津軽地方ならではの冬の風物詩と言えるでしょう。


 青森・五所川原へお越しの際はぜひ津軽鉄道と津軽鉄道グルメをお楽しみください。


<関連リンク>
 「津軽鉄道株式会社
 「コミュニティカフェ でる・そーれ

<参考文献>
 永松 潔・高橋遠州「テツぼん 13」小学館ビッグコミックススペシャル

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 「津軽鉄道食景色2 -若生おにぎり,中まで赤~いりんごジャム,干し餅,五農産米-

2018年7月14日 (土)

福岡県北九州市「藍昊堂(あおぞらどう)」の「旦過名物レモンチーズまんじゅう」

 北九州市の玄関口,小倉駅から南へ向かって徒歩約15分のところに「旦過市場(たんがいちば)」があります。

 「旦過市場」は鮮魚,青果,惣菜など約120もの店舗が肩を寄せ合っており,「北九州の台所」と呼ばれています。

 そんな食の宝庫「旦過市場」で,ふと気になるお菓子を見つけました。

 旦過市場内の製菓・製パン店「藍昊堂(あおぞらどう)」の「旦過名物レモンチーズまんじゅう」です。

(「旦過名物レモンチーズまんじゅう」販売の様子)
Photo

 商品説明には,「甘く漬けこんだレモンピール入りチーズまんじゅう。国産レモンの砂糖漬けをトッピングし,レモンアイシングでコーティング。夏にピッタリのレモンケーキ風のチーズまんじゅうです。」とあります。

 確かに見た目がレモンケーキのような形とコーティングとなっています。

 興味を持ち,購入してみました。

(「旦過名物レモンチーズまんじゅう」)
Photo_2

 長さ約7.5cm,幅約5cm,高さ約3cmのレモンケーキの形をしたお菓子です。

 スコーンに似たケーキ生地の上にレモンアイシングがコーティングされており,三角形の国産レモンの砂糖漬けがトッピングされています。

(「旦過名物レモンチーズまんじゅう」中身)
Photo_3

 中には饅頭のあんの代わりに固形の白いチーズが入れられています。

 実際にいただいてみました。

 サクサクとしたケーキ生地は,甘さ控えめで,厚切りのレモンピールも練り込まれているので,レモン風味のスコーンのようです。

 中の白いチーズはあっさりとしてクセがなく,ケーキ生地と一緒にいただくと,チーズのわずかな塩気がほのかな甘味のケーキ生地を引き立て,見事に調和していました。

 レモン風味のレモンピール入りケーキ生地,レモン風味のアイシング,そしてレモンの砂糖漬けと,様々なレモンの風味・酸味を一度に楽しむことが出来る洋菓子でした。

 それにしても,見た目も味も洋菓子そのものなのに,なぜ「まんじゅう」と呼ばれるのでしょうか。

 これは「藍昊堂」のウェブページにもあるのですが,どうやら宮崎銘菓の「チーズ饅頭」にヒントを得て作られたお菓子であることに理由があるようです。


 小倉にお越しの際は,旦過市場を訪問し,いろんな食べ物を探してみられるのも面白いと思います。


<関連リンク>
 「藍昊堂(あおぞらどう)」(福岡県北九州市小倉北区魚町4-2-23)
 「チーズ饅頭」(宮崎市観光協会)

2018年6月10日 (日)

青森のソウルフード探訪記2 -味噌カレー牛乳ラーメン・味噌カレー牛乳煎餅・味噌バターカレー牛乳どらやき-

 青森県青森市を訪問しました。

 弘前駅から奥羽本線で青森駅へ向かったのですが,青森駅のホームに降り立つと,本州北端のターミナル駅なので,感慨深いものがありました。

 この駅の先にあるのは,かつての青森と函館を船で結んだ青函連絡船の旅客ターミナルです。

 現在は八甲田丸が係留保存され,一般公開されています。

(青森駅に停車する701系電車と青森ベイブリッジ)
701


青森のソウルフード「味噌カレー牛乳ラーメン」

 青森駅周辺を歩いていると,お土産店や飲食店で「味噌カレー牛乳ラーメン」という珍しいネーミングのラーメンをよく目にしました。

 このラーメン,知る人ぞ知る青森のソウルフードなのです。

 そこで,この「味噌カレー牛乳ラーメン」が一体どんなラーメンなのか,味わってみることとしました。

 私は牛乳(生乳)が全く飲めないので,少しためらいもあったのですが,食文化に興味を持つ者として,珍しい青森の郷土料理を味わうことなく帰る訳にはいかないと思い,「味噌カレー牛乳ラーメン」で有名なお店を訪問しました。

 お店のメニューには,味噌ラーメン,塩ラーメン,しょうゆラーメン,カレーラーメン,バターラーメンなどシンプルな味のラーメンも用意されていました。

 そうした単体の味がいろいろと組み合わされることでメニューが増やされ,味噌バター,味噌カレー,牛乳(バター入り),味噌カレーバターとだんだんと複雑なメニューとなり,その頂点に「味噌カレー牛乳ラーメン(バター入り)」が君臨しているのです。

 個人的には,札幌ラーメンなら味噌バター,冒険して味噌カレーバターまでがストライクゾーンかなと思ったのですが,青森のソウルフードは「味噌カレー牛乳ラーメン」なので,少し勇気を出して,このラーメンを注文しました。

(味噌カレー牛乳ラーメン(バター入り))
Photo

 これが「味噌カレー牛乳ラーメン(バター入り)」です。

 味噌の褐色,カレーの黄色,牛乳の白色が混ざり,明るめの黄色いスープとなっています。

 具はもやし,メンマ,わかめ,チャーシューで,その上にバターの塊がのせられています。

 スープの表面がテカテカしており,相当こってりしているのではないかという印象を持ちました。

 テーブルには梅干しも用意されていました。

 スープがたっぷり注がれ,麺が見えないので,麺をアップで撮影してみました。

(味噌カレー牛乳ラーメン(麺))
Photo_2

 黄色く太いちぢれ麺です。

 牛乳と表面の油脂で麺に光沢があります。

 ドキドキしながらラーメンをいただいてみました。

 スープは,味噌ベースのスープに牛乳を加え,カレー粉を加えた感じで,味噌の風味とスパイシーなカレー粉(カレールウではない)のおかげで見た目ほどこってりしておらず,牛乳っぽさも感じない仕上がりとなっていました。

 それぞれの味がうまく協調し合って,独自の美味しさを生み出しています。

 このスープをうまく受け止めているのが,札幌ラーメン系の太くコシのあるちぢれ麺です。

 スープと同じ黄色い麺で,色の一体感もあります。

 味の強さは商品名の順番と同じく,強い順に味噌味,カレー味,牛乳味そしてバター味だと感じました。

 「この味ならいける」と思い,完食しました。

 食べ終えた後になって,メニュー表に「味付けはいかようにも致します。お申し付けください。」と書かれていることに気付きました。

 そこで,レジでの精算時,お店の方に,「例えば牛乳を少なめとか注文できるのですか。」と尋ねたところ,あっさりと「はい,できますよ。」と教えていただきました。

 牛乳は少なめにお願いすればよかった…。

 お店を出ると,お店の入口で味噌カレー牛乳ラーメンを紹介する映像が流れていました。

(「味の札幌 大西」入口)
Photo_3

 その映像で味噌カレー牛乳ラーメンの作り方が紹介されていたので,興味を持ってひととおり観てみました。

 味噌カレーラーメンの作り方は,
(1)ラーメン丼に自家製味噌ペーストを入れる。
(2)このペーストに牛乳とカレー粉を加える。
(3)このスープベースを豚骨と鶏ガラベースの熱いスープで溶く。
(4)太ちぢれ麺を入れ,もやし,チャーシュー,メンマ,わかめ,そしてバターの塊をのせて完成。
というものでした。

 私にとっては,味噌ペーストに牛乳パックの牛乳をそのまま入れていた場面の映像が衝撃的でした。

 やはり…牛乳は少なめにお願いすればよかった(笑)。


味噌カレー牛乳煎餅

 青森のソウルフード「味噌カレー牛乳ラーメン」にちなんだ味噌カレー牛乳味のお菓子もあります。

 「味噌カレー牛乳煎餅」です。

(味噌カレー牛乳煎餅(包装))
Photo_9

 「味噌のコクとスパイシーなカレー,牛乳のまろやかさが絶妙なご当地名物味のせんべいです。」と説明されています。

 包装の裏面には,青森味噌カレー牛乳ラーメンについて説明書きがありました。

(味噌カレー牛乳煎餅(包装裏面))
Photo_5

 味噌カレー牛乳ラーメンには,バターが自動的にトッピングされること(だから名称に「バター」が入ってないのですね。),30年以上の間,青森市民に愛され続けるソウルフードであることなどが説明されています。

 開封し,煎餅を取り出してみました。

(味噌カレー牛乳煎餅)
Photo_6

 中心が盛り上がった一辺が約4.5cmの正方形で,黒ゴマが加えられた南部せんべい風のせんべいです。

 ただ,市販の南部せんべいと比べて軽い食感で,味は明治「カール カレーあじ」(2017年5月25日販売終了)に似ているように感じました。

 カレー粉と牛乳の味が前面に出ており,ほんのりと味噌味を感じました。

 この煎餅を汁の中に入れると,青森県八戸市の名物「せんべい汁」を進化させた「味噌カレー牛乳せんべい汁」ができそうです(笑)。


味噌バターカレー牛乳どらやき

 「青森市文化観光交流施設 ねぶたの家 ワ・ラッセ」内にある「青森ふるさとショップアイモリー」で面白いお菓子を見つけました。

 (ドラえもんの口調で)「味噌バターカレー牛乳どらやきー」(笑)。

(味噌バターカレー牛乳どらやき(包装))
Photo_10

 味噌カレー牛乳ラーメン以上に味の想像がつかない食べ物です。

 「2012年ふるさと食品コンクール」で青森県知事賞を受賞した青森県推奨土産品認定商品です。

(味噌バターカレー牛乳どらやき)
Photo_11

 袋を開けた瞬間,カレーの香りが広がりました。

 どらやきの皮は,小麦粉・卵・砂糖のほか,地元津軽の味噌が加えられており,水の代わりに牛乳でこねて焼き上げられたものです。

 味噌や牛乳が加えられていますが,一般的な甘いどらやきの皮とよく似ています。

 特徴的なのは中のあんです。

 甘い白あんにカレーが混ぜられているため,ベースは甘いのですが,カレーのスパイシーな風味も感じられる不思議な味のカレーあんに仕上がっています。

 そして写真のどらやきをよく御覧いただくと,カレーあんと皮の間に黄色の薄い層があることが御確認いただけるかと思います。

 これはバターの層です。

 バターがたっぷり塗られていることで,味噌,牛乳,カレーあんの味をうまく包み込み,全体がうまく調和した味に仕上がっているのです。

 このどらやきはバターが重要な役割をしているので,商品名も「味噌カレー牛乳」ではなく「味噌バターカレー牛乳」とされているのでしょう。

 味噌カレー牛乳をお菓子にするというアイデアも面白いのですが,「面白い,珍しい」にとどまらず,その味をうまくまとめ,立派な青森のお菓子に仕上げられていることが素晴らしいです。

 もちろん,ドラえもんにもおすすめです。


 味噌カレー牛乳にバターまで加わった青森のソウルフード,いかがでしたでしょうか。

 私はこう思いました。

 「わいは,めぇ!」(これはびっくり,うまい!)


<関連サイト>
 「味の札幌 大西」(青森市古川1-15-6 大西クリエイトビル1F)
 「有限会社マルカワ渋川せんべい」(青森市新田1-9-17)
 「青森ふるさとショップアイモリー」(青森市安方1-1-1)
 「松栄堂」(青森市栄町1-5-4)

<関連記事>
 「青森のソウルフード探訪記1 -万茶ンの太宰ブレンド・りんごジュース自動販売機・イギリストースト-

2018年5月16日 (水)

広島の名物・郷土料理4 -でんがく・ホルモンおでん,田楽とおでんの食文化史-

 広島には「ホルモン天ぷら」のお店が数多くありますが,こうしたお店の中には,天ぷら以外にもホルモンを使った広島ならではの料理が用意されていることがあります。

 その代表的な料理が「でんがく」と「ホルモンおでん」です。

 今回は,この2つの料理を御紹介したいと思います。


でんがく

 店内のメニューには「でんがく(汁)」や「でんがくうどん」と表記されているのですが,実際に出されてみないと名前だけで理解するのは難しい料理だと思います。

 「でんがく」は,地元広島でも御存知の方は少ない料理でしょう。

(でんがく)
Photo

 これがその「でんがく」です。

 ひらがなで表現されたやさしいイメージとのギャップを感じてしまうような見た目です(笑)。

 「でんがく」は,一言で表現すれば,ホルモン汁のことです。

 具は,小腸,チギモ(脾臓),ヤオギモ(肺),センマイ(牛の第三胃袋),ガリ(軟骨)など様々な種類のホルモンと,キャベツや春菊などの野菜で構成されています。

 ホルモンを煮込むことで抽出されるだしを塩味で整えたシンプルな味付けですが,様々な部位のホルモンを入れて煮込むことで,ホルモン本来のうまみや,脂のコクが凝縮された奥深い味の汁に仕上がっています。

 キャベツや春菊といった野菜は,口内をさっぱりとリフレッシュさせる効果もあります。

 ホルモン天ぷらとは違い,見た目そのままのホルモンが入っているので,野趣あふれる料理ですが,やわらかく煮込まれており,いろんなホルモンを確認しながら味わえるというメリットがあります。

 この「でんがく」に,うどんを加えると「でんがくうどん」,そうめんを加えると「でんがくにゅうめん(でんがくそうめん)」と呼ばれる料理になります。

 広島の「でんがく」は,様々なホルモンを一度に,そのうまみを余すことなく味わえる汁だと定義することができるでしょう。


ホルモンおでん(牛スジ・ヤオギモ)

 「でんがく」はホルモンの煮込み汁ですので,「おでん」に近い料理だと言えます。

 ところが,「でんがく」を提供している広島のホルモン天ぷら店には大抵,牛すじやホルモンを出汁にした黒い汁が特徴の「ホルモンおでん」も提供されているのです。

 こちらがその「ホルモンおでん」です。

(ホルモンおでん)
Photo_2

 上の串が牛スジ,下の大きな塊の肉が牛の肺です。

 スジ肉は,市販のおでんの具としてもよくみかけますね。

 ただ,今回のスジは,ホルモンを扱う店のスジだけに,一回り大きく,肉付きも多いように思いました。

 一方,牛の肺(フワ)は,広島では「ヤオギモ」と呼ばれます。

 かなり大きく重い塊なので,箸でつまみ上げるのは難しく,お店の方に大きな金網で掬い上げてもらいました。

 広島以外の方には馴染みが薄い肉かも知れませんが,広島にはこの「ヤオギモ」を醤油,砂糖,生姜などで甘辛く煮た「牛やおぎも煮」という料理があり,専門店のみならず広島市内のスーパーの惣菜コーナーなどでもよく販売されています。

 ですので,「ヤオギモ」のおでんは,地元広島の方であれば,そんなに抵抗ないという方も多いでしょう。

 この黒い汁が特徴の広島の「おでん」と,すまし汁に近い広島の「でんがく」は,同じ煮込み料理でありながら対照的な料理となっています。


「田楽」と「おでん」の食文化史

 今回御紹介した広島の「でんがく」は,豆腐やこんにゃくなどに味噌を塗って焼いた「田楽(でんがく)」と関係があるのでしょうか。

 このことを考える前提として,「田楽」と「おでん」の食文化史にも少し触れておきたいと思います。

 「田楽」という名称は,平安時代に田楽法師が竹馬に乗り,田植えの豊作を祈願して舞い踊る姿が,豆腐に長い串を刺し味噌をつけて焼く料理に似ていたことに由来しています。

(豆腐の味噌田楽(愛知県岡崎市))
Photo_3

 この「田楽」が,のちに接頭語の「お」を付けた「おでんがく」となり,略されて「おでん」と呼ばれるようになりました。

 「田楽」に用いる食材も,豆腐のほかにこんにゃくも使われるようになり,醤油も登場することによって,焼く料理から煮込む料理へと組み替えがなされるようになりました。

(こんにゃくの味噌田楽(愛知県岡崎市))
Photo_4

 そして,具材も鳥獣肉や魚肉練り製品にまで広がり,「おでん」という料理に変化して現在に至っています。

 つまり「おでん」は元々の「田楽」という料理からは別物の,独立した料理へと進化したわけです。


広島の「でんがく」の意味を考える

 こうした「田楽」と「おでん」の食文化史を踏まえた上で,改めて広島の「でんがく」という名称の由来について考察してみたいと思います。

 広島の「でんがく」はホルモンを煮込んで作られる「おでん」とよく似た料理です。

 しかしながら,広島ではホルモンは「おでん」を作る際の出汁や具材としても使われていますので,ホルモン煮込み汁のことまで含めて「おでん」と呼ぶと,それぞれの料理の区別が付かなくなってしまいます。

 そこで,「おでん」とは別の料理という意味で,おでんのルーツとなった名称である「でんがく」という呼び名が用いられるようになったのではないでしょうか。

 このお話は私の推論に過ぎませんが,広島の「でんがく」という料理の名称は,何らかの形で「おでん」や「田楽」と関係性があるのではないかと考えます。


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