日本各地の食文化

2021年5月 1日 (土)

福岡県大牟田市の食探訪2 -かすてら饅頭・三池高菜・イカタル弁当-

 福岡県の南部,大牟田市を訪問しました。

 大牟田と言えば,熊本県荒尾市にも広がる三池炭鉱(炭坑節),カルタ発祥の地,「大蛇山(だいじゃやま)」と呼ばれる大きなお祭りなどで有名な街です。

 また,三池炭鉱の発展とともに栄えてきた大牟田には,独自の食文化が育まれてきました。

 今回はそんな大牟田の食をいくつか御紹介したいと思います。


かすてら饅頭

 大牟田の「かすてら饅頭」は,明治初期に大牟田で誕生し,全国各地の有名銘菓のルーツとなっている饅頭です。

 大牟田駅の近くにある観光施設「おおむた観光案内所(大牟田観光プラザ)」で何種類か販売されていたので,購入しました。

(かすてら饅頭(包装))
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 写真上から「菓舗だいふく」,写真右下が「城屋本店」,写真左下が「相川総本舗」のかすてら饅頭です。

(かすてら饅頭)
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 こちらが「かすてら饅頭」です。

 砂糖,小麦粉,卵,はちみつなどで作られる生地に白あんを包み,焼き上げた饅頭です。

 お店によって,大きさや皮の色(生地の焼き加減)が若干異なります。

(かすてら饅頭(中身))
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 中には,きめ細やかでさっくりとした食感の白あんがたっぷり入っています。

 「かすてら饅頭」という名称からは,広島の「もみじ饅頭」や東京の「人形焼」のようなふわっとした生地(皮)を想像しがちですが,実際はしっかりと焼き上げた生地(皮)となっています。

 生地(皮)は,一般的な栗饅頭,福岡・東京の「ひよ子」,香川の「名物かまど」・「灸まん」,島根の「どじょう掬いまんじゅう」などと似ています。

 三池の炭鉱マンたちも,この「かすてら饅頭」を食べて仕事の疲れを癒したことでしょう。

 「これぞ日本の饅頭」と言えるような,どこか懐かしさを感じる素朴な饅頭です。


三池高菜

 大牟田は「三池高菜」と呼ばれる高菜が特産品です。

 三池高菜を使ったお土産品もたくさん売られています。

 私は大牟田限定の「大牟田高菜めんべい」と「刻み高菜の具」を購入しました。

(大牟田高菜めんべい(箱))
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 帰りの新幹線車内で撮影しました。

 「大牟田高菜めんべい」は,福岡のお土産として有名な山口油屋福太郎の「めんべい」シリーズの大牟田限定版です。

 箱に三池高菜についての説明書きがありました。

(三池高菜の説明書き(大牟田高菜めんべい))
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 三池高菜について,
「三池高菜は,明治時代に柳川藩主であった立花氏が柳川市三橋町に創設した『旧立花家農事試験場』で改良された品種です。中国の四川青菜と在来種の紫高菜を掛け合わせてつくられました。それが大牟田市の里山である三池山の麓で栽培されたことから,三池高菜と呼ばれるようになりました。三池高菜の油炒めは三池炭鉱の労働者たちに愛され,現在でも地元で愛されています。」
と紹介されています。

 三池高菜の油炒めは,かすてら饅頭と同様,三池炭鉱マンに愛され育まれた料理のようです。

 高菜の油炒めと言えば,紅生姜と並び,福岡とんこつラーメンの付け合わせとしてよく食べられていますが,この三池高菜も深く関わっているのではないかと思います。

 そんな高菜の油炒めを御紹介します。

(刻み高菜の具(包装))
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 野口食品(大牟田市)の「刻み高菜の具」です。

(刻み高菜の具)
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 三池高菜を細かく刻み,直火窯で甘辛く油炒めしたものです。

 ゴマがふんだんに使われているので香ばしく,甘辛い高菜の油炒めをほかほかのご飯にのせていただくと最高でした。

 お土産としてもおすすめです。


イカタル弁当(タル弁)

 続いて,知る人ぞ知る大牟田名物「イカタル弁当(タル弁)」を御紹介します。

 大牟田市新栄町にある「おべんとうタル助」を訪問し,イカタル弁当を味わってみることとしました。

 お店は西鉄・新栄町駅から歩いて数分の場所にあります。

(西鉄電車・新栄町駅ホーム)
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 新栄町駅構内には,大蛇山の山車(だし)が展示されていました。

(大蛇山・山車(新栄町駅))
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 勇壮な大蛇で,とても迫力がありました。

 新栄町駅を出てしばらく歩くと,「おべんとうタル助」がありました。

(「おべんとうタル助」店舗)
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 お店の前には大勢の人が弁当が出来上がるのを待っておられ,地元で人気があることを実感しました。

 弁当のメニューを見ると,「のり弁」,「イカ弁」,「ミックス弁当(イカ+白身フライ)」などがありました。

 これらの弁当にはおかずにタルタルソースがかけられています。

 またトッピングもあり,タルタルソースを増量させた「タル増し」,「溺れ(タルタルかなり多め)」,「凪 -なぎ-(タルタル超上級者用)」,「タル別」などが用意されています。

(トッピングメニュー)
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 「おべんとうタル助」チラシから一部引用

 具が溺れるほどタルタルソースをかけてもらうことも可能なようです。

(タル溺れ)
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 「おべんとうタル助」チラシから一部引用

 タルタルソース好きにはたまらない弁当です。

 私は「イカ弁」の「タル増し」を注文しました。

(イカ弁(タル増し)パッケージ)
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 包装紙をよく見ると,「イカ」に続けて,手書きで「タル増し」を示す「まし」と加筆されています。

 果たしてどんな状態になっているのか,ふたを開けてみましょう。

(イカ弁(タル増し))
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 想像どおりイカの唐揚げを覆い隠すほどたっぷりとタルタルソースがかけられています。

 白ご飯の上に有明産の海苔,その上にイカの唐揚げ,それにたっぷりのタルタルソースがかけられており,揚げちくわ,刻みたくあん,昆布の佃煮ものせられています。

 調味用の醤油も付いています。

 タルタルソースの中で泳いでいるイカの唐揚げを取り出してみます。

(イカの唐揚げとタルタルソース)
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 イカの足(ゲソ)の唐揚げが敷き詰められていました。

 サクサク・カリカリのゲソの唐揚げと,ゆで卵たっぷりで酸味とコクのあるタルタルソースがとてもよく合っていました。

 揚げちくわとタルタルソースの相性の良さも,御説明するまでもありません。

 「タルタルソースを増量させたので,もしかしたら食べ切れないかも…」と少し心配していたのですが,ご飯と一緒にいただくと,意外とさっぱりとしていて,どんどん食が進み,当初の心配をよそに完食しました。

 ご飯とイカの唐揚げとタルタルソースの一体感を味わう料理だと思いました。

 それにしても…挑戦する勇気がありませんでしたが,タルタル超上級者用の「凪(なぎ)」が気になります。

 「溺れ」を超えて穏やかな「凪」となる量のタルタルソースとは…穏やかなレベルではなさそうです(笑)


まとめ

 大牟田市は三池の山の幸,有明海の海の幸と,豊かな食に恵まれています。

 また三池炭鉱の発展と共に,全国の人々との交流も盛んになり,それがきっかけで独自の食文化も形成されました。

 大牟田ラーメン,「ダゴ」とも呼ばれるお好み焼,おおむた洋風かつ丼などは,まさに人々の往来が盛んになったことがきっかけで名物となった料理だと言えるでしょう。

 今回御紹介した大牟田の食は一部に過ぎませんが,どこか懐かしく,素朴で,地元住民にも愛されている料理・お菓子が多い印象を受けました。


<関連記事>
 「福岡県大牟田市・熊本県荒尾市の食探訪1 -三池炭鉱で炭坑節を唄う-

<参考文献>
 「おおむた観光ガイドブック」(一社)大牟田観光協会・大牟田市観光おもてなし課
 「おおむた旅手帳」大牟田市観光おもてなし課

2021年4月24日 (土)

福岡のブランドいちご・あまおう -あまおう生ジュース・いつでもあまおう(ドライフルーツ)-

大宰府と太宰府天満宮

 西鉄福岡(天神)駅から西鉄電車に乗り,大宰府へ行きました。

(大宰府駅ホームと西鉄電車)
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 大宰府と言えば,学問の神様・菅原道真公を祀る「太宰府天満宮」が有名です。

 大宰府駅ホームや駅舎も,太宰府天満宮にちなんだ朱塗りの施設・建物になっています。

(大宰府駅前)
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 大宰府駅のすぐ近くにあるとんこつラーメンのお店「一蘭 太宰府参道店」では,学業成就,合格にちなんだオリジナルラーメンがメニューにありました。

(合格ラーメン案内のれん)
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 合格にちなんだ五角形のどんぶり,59cm(ゴーカク)の超ロング麺など,縁起の良いラーメンが御用意されています。

(券売機(合格セットなど))
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 合格ラーメンにゆで卵,チャーシューなどのトッピングを追加した「合格セット」は1,410円で,券売機に2,000円を入れるとおつりが590円(ゴーカク)出るなど,合格に徹したお店です。

 大宰府ならではのお店ですね。

 また「令和」という元号が大宰府にあった大伴旅人邸で催された「梅花の宴」で詠まれた歌の序文から採用されたことから,太宰府市は令和ゆかりの地としても有名です。

 大宰府駅から太宰府天満宮へ続く参道には,お土産屋さんや飲食店などがたくさん並んでいます。

 久しぶりに太宰府天満宮へ足を運びました。

(御神牛)
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 菅原道真公とかかわりが深いとされるお使いの牛「御神牛(ごしんぎゅう)」です。

 太宰府天満宮と言えば,私は日本史で覚えた菅原道真の歌が思い浮かびます。

 「東風(こち)吹かば 匂ひおこせよ梅の花 あるじなしとて春を忘るな(春な忘れそ)」

 大宰府天満宮境内にもこの歌がどこかにあるのではと散策してみると,ありました。

(菅原道真公 歌碑)
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 この歌は,「(京の都から)東風が吹いたら,(太宰府に居る)私(菅原道真)のもとに梅の花の匂いを届けておくれ。主人(菅原道真)がいないからといって春を忘れないでね」という意味になります。

 この歌を聞いた京の都の梅は,菅原道真が大宰府に着くと,一夜にして太宰府へ飛んできたという「飛梅伝説」があります。

(飛梅と太宰府天満宮御本殿)
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 大宰府天満宮御本殿に寄り添うように飛梅が植えられています。


あまおう生ジュース

 ひととおり太宰府天満宮を見学した後,参道のお店を散策しながら太宰府駅へ戻ることとしました。

(太宰府天満宮参道)
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 すると,いちごの甘い香りが漂うお店がありました。

 「Kingberryあまおうチーズケーキファクトリー」というお店です。

 あまりにも甘くて良い香りがしたので,その香りに誘われるように店内に入りました。

 メニューを見てみると,福岡県産あまおうを贅沢に使用したプレミアムジュース「あまおう生ジュース」が目に飛び込んできました。

(メニュー(あまおう生ジュース・あまおうスムージー))
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 ミルクなどを加えず,いちごの果汁だけで作られる生ジュースに魅力を感じ,この生ジュースを注文しました。

 出来上がるのを待つ間,お店の壁にある「あまおう」の広告が目に留まりました。

(あまおう広告)
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 あかい,まるい,おおきい,うまいの頭文字をとって「あまおう」。

 最近は全国のお店でもよく見かけるようになりました。

 しばらくして,あまおう生ジュースが出来上がりました。

(あまおう生ジュース)
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 濃い赤色の生ジュースです。

 いただいてみると,甘いいちごの香りが口の中いっぱいに広がり,とても幸せな気持ちになりました。

 果肉がたっぷり含まれていて,ドロッとした飲み口でした。

 580円でしたが,その値段を上回る美味しさと感動を味わうことができました。

 帰りにお店の方に「いつも販売されているのですか」と尋ねると,「あまおうが出荷される期間のみ販売される生ジュースとなります」と教えてくださいました。

 またいつかぜひ味わいたいと思いつつ,お店を後にしました。

 「Kingberryあまおうチーズケーキファクトリー」(福岡県太宰府市宰府二丁目7-29)


いつでもあまおう

 ところ変わって,福岡県大牟田市の大牟田駅の近くにある観光施設「おおむた観光案内所(大牟田観光プラザ)」で,「いつでもあまおう」というお菓子を購入しました。

(いつでもあまおう(包装))
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 福岡県みやま市の安達農園で栽培したあまおうを新鮮なうちに低温でじっくりと乾燥させて作られたドライフルーツです。

 袋を開けた瞬間,いちごの甘い香りが広がりました。

(いつでもあまおう)
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 1枚1枚は紙のように薄いのですが,その分あまおうの美味しさが凝縮されていました。

 あまおうは甘味と酸味のバランスが良いことが1つの特徴なのですが,ドライフルーツにすると,この甘味と酸味がより強く感じられる味となっていました。

 食べ始めると止まらなくなる,福岡のお土産にも最適なドライフルーツです。

 「安達農園」(福岡県みやま市瀬高町高柳641-1)


まとめ

 福岡のブランドいちご「あまおう」。

 今回,一番印象的だったのは,そのとろけるような甘い香りです。

 自分は虫になったのかと思うほど,あまおうの甘い香りに引き寄せられてしまいました。

 福岡を発つにあたり,菅原道真公にならって私も一句。

 「西風吹かば 匂いおこせよ あまおうと こうじなしとて春を忘るな」

 福岡のあまおうが自宅に飛んでこないかな(笑)

2021年3月14日 (日)

博多・長浜鮮魚市場(福岡市中央卸売市場鮮魚市場)の魅力 -鯛のあら炊き定食・長浜ラーメン-

 福岡市中央区の博多港に面した長浜地区。

 「博多・長浜鮮魚市場(福岡市中央卸売市場鮮魚市場)」があり,漁業関係者や市場関係者を中心に栄える港町です。

 そんな福岡・長浜地区に,今回は美味しい朝食を求めて訪問しました。


博多・長浜鮮魚市場(福岡市中央卸売市場鮮魚市場)訪問

 旅行先で宿泊施設以外の場所で朝食を食べようと思うと,意外とお店が限定されてしまうものです。

 とりわけ,朝食から地元ならではの料理が味わえるお店となると,見つけるのに苦労される場合が多いと思います。

 福岡・長浜地区には,そんな悩みを解消してくれる施設があります。

 「博多・長浜鮮魚市場(福岡市中央卸売市場鮮魚市場)」です。

 私は早朝,福岡市中心部の天神から西鉄バスに乗ってこちらの鮮魚市場を訪問しました。

(市場会館)
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 博多・長浜鮮魚市場の拠点となる市場会館です。

 近代的で立派な建物です。

 平日の朝の通勤時間帯に訪問したため,バスを利用してこの市場会館へ出勤されている方も多く見かけました。

 一般客でも大丈夫なのか,少し不安になりながら玄関へ向かっていると,市場会館の案内看板が設置されていました。

(市場会館の案内看板)
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 館内には飲食店,売店,お土産店,理髪店,さらには郵便局,医院,薬局,銀行まである様子です。

 特に飲食店には「うまかばい,食べていかんね。」と記載されており,一般客も歓迎のようです。

 これまで,福岡市内のお店でゴマサバの刺身やお茶漬けをいただいたり,屋台で鮮魚料理をいただいたことがありますが,総じて「福岡の鮮魚料理は旨い」というのが私の感想です。

 ですので,「鮮魚市場にある鮮魚料理店の料理こそ,本場の本場」と期待しつつ,市場会館内の飲食店を見て回りました。


鯛のあら炊き定食

 早朝から開店されている飲食店が多い中,私はある定食のサンプルに目が釘付けになりました。

 それがこちらです。

(鯛のあら炊き定食(サンプル))
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 鯛のあら炊き定食が刺身付きで900円。

 私は鯛のあら炊きが大好物なのです。

 こんなにお安いのは,鮮魚市場のお店だからか,福岡の物価が安いからか真相はわかりませんが,とにかくこのお店で味わってみることにしました。

 今回訪問したお店は「福魚食堂」です。

 さかなクンのサイン色紙もありました。

 カウンター席に座り,鯛のあら炊き定食を注文した後,厨房を眺めると,大きな鯛などの魚が次から次へさばかれていて,期待に胸が膨らみました。

 ひと仕事終えた常連の市場関係者の方もおられました。

 しばらくして,注文した定食が運ばれてきました。

(鯛のあら炊き定食)
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 かなりのボリュームがあり,思わず「やった」と心の中で叫びました。

 ご飯,みそ汁,鯛のあら炊き,刺身,小鉢(切り干し大根),漬物という内容で,刺身は鯛の刺身でした。

(鯛のあら炊き)
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 鯛のあら炊き(鯛の兜煮)を注文すると,通常は縦に半分に切った頭1枚とカマの部分1枚がセットで提供されるのですが,これは鯛一尾分の頭とカマ(半分に切った頭2枚と左右のカマ2枚)の煮付けがどーんと深皿に盛られていました。

 私は魚の煮付けが好きで,骨を取り除いて身をきれいに食べ切ってしまうため,お店の人からよく「猫がかわいそう(身が全くないので猫のエサにできない)」と言われます。

 一緒にご飯を食べることを忘れるほど夢中になって魚の煮付けを食べるのです。

 そんな私ですから,今回の鯛のあら炊きも夢中になっていただきましたが,量が多いので時間がかかりました。

 甘辛い煮汁がしっかりしみ込んでいて,やわらかい頭の身,弾力のあるホホ肉,脂の乗ったカマ,そして最後のお楽しみのドロッした目玉など,十分すぎるほど堪能しました。

 このあら炊きに刺身や小鉢まで付いて,贅沢な朝食をリーズナブルにいただくことが出来ました。


博多・長浜鮮魚市場の施設見学

 博多・長浜鮮魚市場は,一般の方も市場の一部を自由に見学することが出来ます。

(博多・長浜鮮魚市場構内)
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 市場会館から渡り廊下を歩いて「せり場(卸売場)」へ行き,2階から市場の「せり」の様子を見学することも可能です。
 (せりは早朝3時から4時頃行われますが,施設の見学はいつでも可能です。)

(せり場(卸売場))
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 ターレ(立ち乗りの三輪トラック)や積まれたトロ箱など,鮮魚市場ならではの光景を見学することが出来ました。

 また,市場会館内には「市場PRプラザ(魚っちんぐプラザ)」と呼ばれるPRブースや,高い所から博多港や福岡市内を一望できる「展望プラザ」など,お楽しみスポットもたくさんあります。

 展望プラザからの博多港・福岡市内の眺めです。

 まずは東方面から。

(展望プラザからの眺望(東方面))
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 博多港,都市高速,赤い博多ポートタワーなどが見えます。

 「♪玄界灘の~ 潮風にぃ~」

 玄界灘を目の前に,私の頭の中ではすでにプロ野球「福岡ソフトバンクホークス」の歌「いざゆけ若鷹軍団」が流れています。

 続いて西方面です。

(展望プラザからの眺望(西方面))
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 手前の屋上が駐車場になっている施設が「せり場(卸売場)」です。

 その先には,福岡ドームや福岡タワーなども見えます。

 無料でこうした博多港周辺を一望できるのは嬉しい限りです。

 併設の展望プラザには,魚の標本も展示されています。

(展望プラザ・魚の標本)
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 また,同じフロアに福岡で獲れる魚介類の紹介コーナーもあります。

(福岡で獲れる魚介類紹介ポスター)
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 「ギョギョギョ!」

 訪問されたさかなクンも大満足だったことでしょう(笑)

 このほか,海産物などを扱ったお土産コーナーもあり,福岡の観光スポットとして利用するのも良いと思いました。

 初めての訪問でしたが,ここはおすすめのスポットです。


長浜ラーメン

 鮮魚市場からの帰りに,せっかくなのですぐ近くの長浜ラーメン店へ寄り,長浜ラーメンをいただきました。

 軽めの豚骨スープ,素早く茹でられる極細麺,替え玉・替え肉(麺・チャーシューのおかわり),追加のスープダレなどが特徴の「長浜ラーメン」は,元々は多忙な市場関係者のために作られたラーメンとも言われます。

(長浜ラーメン)
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 現在は数が少なくなったようですが,夜になると屋台も並び,鮮魚料理やラーメンなどを味わうことが出来ます。

 私も何度か夜中に広島から車を飛ばし,福岡・長浜までラーメンや屋台料理を食べに出かけたものです。

 福岡・長浜と言えば長浜ラーメンと屋台というイメージが強いため,今回もお腹いっぱい食べたにもかかわらず,ラーメン店を素通りして帰る勇気はありませんでした。

 しかも「なまたま」(「なま(麺の茹で加減が超短時間)」の「たま(替え玉)」)までして…。

 元々たくさん食べられない私が,朝から一度に定食とラーメンを食べたので,寸分の隙もないくらいお腹がいっぱいになり,昼食どころか,夕食もほとんど食べられない状況になりましたが,福岡・長浜の食を満喫することが出来ました。


 福岡・長浜の味・量ともに大満足の数々の料理。

 「うまかばい,食べていかんね!」


<関連サイト>
 「博多・長浜鮮魚市場(福岡市中央卸売市場鮮魚市場)」(福岡市中央区長浜三丁目11-3)

2021年1月15日 (金)

福岡県北九州市の食文化 -小倉の肉うどん・どきどきうどん-

 今回は「どきどきうどん」と呼ばれる福岡県北九州市・小倉の肉うどんを御紹介したいと思います。


「どきどきうどん」とは

 福岡や北九州で御当地ならではのうどんと言えば,ごぼうの天ぷらをのせた「ごぼ天うどん」,鶏肉(かしわ)を甘辛く煮込んで具にした「かしわうどん」,丸天(魚のすり身を丸い形にして揚げたもの)をのせた「丸天うどん」などがよく知られています。

 しかしこれだけではありません。

 ほぼ地元の方々しか知らないであろうレベルの御当地うどんがあります。

 小倉の「どきどきうどん」です。

 ネーミングが面白く,一体どんなうどんなのかドキドキしますよね(笑)

 「どきどきうどん」は簡単に言えば,肉うどんです。

 肉は牛ホホ肉(ツラミ・カシラ)やスジ肉など,塊の肉が使われることが多いようです。

 そうした肉を甘辛い味付けで柔らかくなるまでコトコト煮て,うどんに具としてのせたものを小倉では単に「肉うどん」と呼んだり,親しみを込めて「どきどきうどん」とか「どぎどぎうどん」などと呼んでおられるのです。

 そうなると次に,なぜ「どきどき」という名前になったのかという話になります。

 牛ホホ肉や牛スジ肉をだし汁で煮込むと脂が大量に出て,うどんだしの表面が脂で光って「ギトギト」した状態となるのですが,この肉うどんを食べたお客さんの間で,「ギトギト」が転じて(さかさまに呼ばれて)「どきどき(どぎどぎ)うどん」と呼ばれるようになったようです。

 うどんにすりおろした生姜をのせたり,肉の増量(大盛)が注文できたり,ご飯と一緒に食べたりと,「どきどきうどん」ならではの味わい方もあり,初めての方から常連の方まで様々な味わい方ができるうどんでもあります。

 「どきどきうどん」が味わえるお店の営業時間は,早朝から夕方までというお店が多く,逆に夜まで営業されているお店は少ない傾向にあるので注意が必要です。


小倉の「どきどきうどん」

 小倉駅に隣接するJR九州ホテル 小倉に宿泊した私は,早起きして朝食に「どきどきうどん」をいただくこととしました。

 ホテルの窓から小倉駅を眺めると,だんだんと新幹線の往来も増え,小倉の街も賑やかになってきました。

(JR小倉駅に停車中の山陽新幹線)
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 小倉駅から北九州モノレールに乗り,「北方(きたがた)駅」へ向かいました。

(北九州モノレール・小倉駅)
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 全面に小倉競馬場のペイントが施されたモノレールです。

 北方駅で降りて駅周辺を散策すると,うどん店がたくさんありました。

 北方駅は小倉競馬場がある「競馬場前駅」の1つ隣の駅なのですが,競馬場を利用される方が「どきどきうどん」を召し上がることも多いのだろうなと思いながら,お店を目指しました。

 競馬でドキドキ,うどんはどきどき(笑)

 北方周辺のうどん店は,住宅街の中で他の民家に混じって営業されているお店も多く,見つけるのがちょっと難しいお店もあります。

 今回訪問したお店「久野」も民家に混じって営業されており,控えめな看板や暖簾がなかったらお店だとわからない感じでした。

(うどん 久野)
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 店内は中心に大きなテーブルがあり,お客さんはこのテーブルを囲んで食事するスタイルでしたが,お店の方もお客さんも気さくな方ばかりで,アットホームな雰囲気でした。

 店内のメニューを見て,お店の方に「肉うどん(小)をください」と注文すると,お店の方から「麺のかたさは,普通と硬めがありますが,どちらにしますか?」と聞かれ,ちょっと珍しい硬めを注文しました。

 あと,「生姜は入れますか?」と聞かれたので,生姜入りをお願いしました。

 メニューには,うどん大(大盛)のほかに「替え玉」までありました。

 九州のラーメンと同様に,麺の硬さを選べたり,生姜(ラーメンには紅生姜・うどんにはすりおろし生姜)を入れたり,替え玉まであるとは,さすが麺の本場・福岡だと思いました。

 ふとテーブルに目を向けると,卓上に見慣れぬ食べ物が用意されており,お客さんが箸で小皿に取り分け,うどんと一緒に食べておられました。

(卓上に用意されたぬか漬け)
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 疑問に思ってお店の方に尋ねると,ぬか漬けとのことでした。

 その会話を聞いておられた隣の常連さんから,「こっちのぬか漬けも美味しいよ」と私の目の前に漬物のパックを何種類か持ってきてくださいました。

 お礼申し上げた後,「見知らぬ人同士でも自然とコミュニケーションが生まれるお店の雰囲気っていいな」と思いつつ,うどんが出来上がるのを待ちました。

 待望のうどんが運ばれてきました。

(肉うどん(どきどきうどん))
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 確かに汁に脂が浮いてギトギトした感じの仕上がりになっており,とても食欲がそそられました。

 うどんには,塊の肉,青ねぎ,そしてたっぷりとすりおろし生姜がのせられていました。

(肉うどん(どきどきうどん)とぬか漬け)
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 肉うどんとぬか漬けです。

 ぬか漬けは3種類(大根・キャベツ・昆布)をいただきました。

 「もう見た目からして美味しいに違いない」と思いつつ,肉うどんをいただきました。

 じっくり柔らかく煮込まれた肉,その肉の旨味がたっぷり溶け込んだ醤油ベースの汁,柔らかくてしっかりコシのあるうどんが見事に一体化し,ボリュームのある美味しい肉うどんに仕上がっていました。

 牛すじ煮込みや牛すじ入りおでんの汁にうどんを入れたような感じです。

 汁や肉は確かにこってりしていますが,すりおろし生姜やぬか漬けと一緒にいただくことで,さっぱり・すっきりとした味に変化し,旨味が増します。

 肉うどんに白ご飯をセットで注文しておられる常連さんも見受けられましたが,こちらも肉汁と白ご飯を一緒にいただくような,美味しい組合せだと思いました。


 お店によっては,「よもぎうどん」と言って,麺によもぎが練り込まれたうどんも御用意されているのですが,これも肉うどんを美味しくいただくための工夫から生まれたのではないかと思います。

 飾り気はありませんが,実質本位・味本位・地元本位で小倉の人々に愛され続けている「どきどきうどん(肉うどん)」。

 今回御紹介した「どきどきうどん(肉うどん)」のほかにも,「ごぼ天うどん」,「かしわうどん」,「丸天うどん」など,福岡・北九州はラーメンだけでなく,うどんも好まれ,よく食べられていることがわかりました。


<関連サイト>
 「うどん・久野」(食べログ)(福岡県北九州市小倉南区北方3-47-27)

<関連記事(福岡県北九州市関連)>
 「世界文化遺産のある街 福岡県北九州市の「ネジチョコ」
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 「宇宙食の世界1 -スペースブレッド- スペースワールド グランドフィナーレを迎えて
 「福岡県北九州市の食文化 -八幡ぎょうざ(鉄なべ餃子)・かしわごぼ天うどん・ぼた餅-

<関連記事(福岡のうどん関連)>
 「うどん・そば・饅頭・羊羹発祥の地 博多 -聖一国師と承天寺,禅料理と博多の食文化-

2020年12月23日 (水)

福岡県北九州市の食文化 -八幡ぎょうざ(鉄なべ餃子)・かしわごぼ天うどん・ぼた餅-

 福岡県北九州市を訪問しました。

 今回は,北九州市で地元の人たちに愛され続けている料理・お菓子を御紹介したいと思います。


八幡ぎょうざ(鉄なべ餃子)について

 北九州市・八幡と言えば,「八幡製鉄所」(現在の日本製鉄九州製鉄所八幡地区)を思い浮かべる方も多いでしょう。

 八幡は,鉄鉱石を近くの中国から輸入でき,石炭をすぐ近くの国内最大規模を誇った筑豊炭田から入手でき,石灰石を近くの山口県秋吉台や福岡県平尾台などから入手できるなど,製鉄における地理的条件に恵まれていたことから,巨大な製鉄所が建設されました。

 その八幡で働く人々の胃袋を支えてきたのが,安くてボリュームがあり,栄養もある「八幡ぎょうざ」(鉄なべ餃子)です。

 製鉄の原料となる鉄鉱石の輸入などで日本と中国との取引が盛んになった際,中国から北九州・八幡へ餃子の食文化も伝わり,地域に定着しました。

 戦後の食糧難時代,アメリカから小麦が援助物資として提供され,ご飯の代わりにパンやラーメンなどの小麦粉食がよく食べられるようになったことで,この地域での餃子(皮)の消費量もさらに増加したことでしょう。

 こうした様々な地理的・歴史的背景をもとに,北九州・八幡の地で「八幡ぎょうざ」(鉄なべ餃子)が生まれ・定着していったのです。

 ちなみに,八幡ぎょうざは餃子を鉄鍋で焼き,そのままお客さんに提供されることが特徴ですが,餃子の調理器具・皿に鉄鍋が使われるようになった背景には,お客様に熱々の餃子を食べてもらいたいという気持ちが込められているようです。


鉄なべ餃子

 JR小倉駅から鹿児島本線普通列車に乗り,JR黒崎駅を目指しました。

 JR九州の813系電車・普通・南福岡行です。

(鹿児島本線・普通列車・南福岡行(JRスペースワールド駅))
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 JRスペースワールド駅で停車中の電車を撮影しました。

 その後,再び電車に乗り,JR黒崎駅で下車しました。

 そして,駅前を数分歩いたところにある鉄なべ餃子発祥の店「本店 鉄なべ」を訪問しました。

(本店 鉄なべ)
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 レンガ造りの歴史を感じさせるビルの一角にあります。

 店内でメニューを見ると,鉄なべで焼く「焼きぎょうざ」のほかに,スープ餃子,たんめん,ちゃんぽん,焼きそば,焼きうどん,焼きめし,あんかけ丼,野菜炒め,スープ,ドリンク(ビール・ソフトドリンクなど)が用意されていました。

 皆さん「焼きぎょうざ」をおつまみにビールを飲んだり,「焼きめし」と「焼きぎょうざ」をセットで味わったりと,お好きなようにお食事を楽しんでおられました。

 私は「焼きぎょうざ」を注文しました。

 注文を受けてから鉄鍋を使って餃子が焼かれる方式です。

 しばらくすると,鉄なべにのせられた熱々の餃子が提供されました。

(焼きぎょうざ(鉄なべ餃子))
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 熱々・パリパリの餃子で,一皿10個入りです。

 餃子が小ぶりなので,1人10個でも軽く食べられる量ですし,ビールのおつまみにも良いと思います。

 パリパリになった羽根付きの皮と,中のジューシーなあんの調和が絶妙で,これならいくらでも食べられそうです。

 実際,このお店の常連の方は,最初からメニューにはない1.5人前(餃子15個)を注文されてました。


ごぼ天かしわうどん・ぼた餅(おはぎ)

 再びJR小倉駅まで戻り,駅前から延びる商店街を散策しました。

 途中,旦過市場入口付近の路上で,自転車利用者向けの面白い路面標示を見つけました。

(路面標示(降りチャリ 押しチャリ))
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 北九州地方の方言で「~しちゃり」は「~しよう」・「~してください」といった意味になるのですが,その言葉が「自転車」を意味する「チャリ(ンコ)」とかけられていて,とても面白かったです。

 しばらく散策した後,魚町の「資さんうどん」(すけさんうどん)を訪問しました。

 「資さんうどん」は,北九州発祥の地元で人気の高いうどん店です。

 福岡や北九州ならではのうどんと言えば,ごぼうの天ぷらをのせた「ごぼ天うどん」,鶏肉(かしわ)を甘辛く煮込んで具にした「かしわうどん」,丸天(魚のすり身を丸い形にして揚げたもの)をのせた「丸天うどん」などがあります。

 こちらのお店では,ごぼうの天ぷらとかしわが一緒になった「ごぼ天かしわうどん」というメニューがあったので,これを注文しました。

(ごぼ天かしわうどん)
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 かけうどんに,ごぼうの天ぷらと甘辛く煮込まれた鶏肉がのせられています。

 ごぼうの天ぷらは,だし汁に浸かったところとそうでないところで異なる食感が楽しめるサクサクの天ぷらで,ごぼうも太すぎもせず細すぎもせず絶妙な大きさでした。

 一方かしわは,ほどよい弾力があり,噛み締めるほどに味わいが増す鶏肉でした。
 醤油ベースの甘辛く煮込まれたかしわとだし汁を一緒にいただくと,コクと深みのあるひと味違っただし汁に変化し,美味しかったです。

 だし汁にとろろ昆布をのせると,さらに深い旨味が加わって美味しいです。

 そして,この「資さんうどん」にはもう1つ,おすすめのメニューがあります。

 「ぼた餅」です。

(ぼた餅(資さんうどん))
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 「ぼた餅」はお店の手作りです。

 粒が少し残る程度に搗いた(いわゆる「半ごろし」の)もちと,小豆の風味が楽しめるほどよい甘さのあんこで作られています。

 あんこの層が厚く,あんこ好きにはたまりません。

 「資さんうどんと言えばぼた餅」と言われ,年間400万個も販売されるメニューです。

 かつて小倉・旦過市場周辺には,「おはぎはあるけど酒はない」おでん屋台があり,「おでんの締めはおはぎ」,「酒が飲みたいなら向かいのコンビニで買ってくる」,「電話でおはぎを注文し,テイクアウトする」といったこの地域独特の食文化がありました。

 お酒が飲めず,あんこ好きな私には実に好都合な屋台だったのですが,現在は規制が厳しくなり,こうしたおでん屋台はなくなってしまったようです。

 ただ,現在も店舗でおでんとおはぎを提供されているお店はあります。

 おはぎ(ぼた餅)は,これほどまでに北九州の人々に愛されている食べ物なのです。


 北九州で美味しい「八幡ぎょうざ(鉄なべ餃子)」,「ごぼ天うどん」,「かしわうどん」,「ぼた餅」を食べちゃり!


<関連サイト>
 「八幡ぎょうざ協議会
 「本店鉄なべ」(福岡県北九州市八幡西区黒崎1-9-13)
 「資さんうどん」(魚町店・福岡県北九州市小倉北区魚町2-6-1ほか)

<参考文献>
 尾形希莉子・長谷川直子「地理女子が教えるご当地グルメの地理学」ベレ出版
 北尾トロ「夕陽に赤い町中華」集英社インターナショナル

<関連記事(福岡県北九州市関連)>
 「世界文化遺産のある街 福岡県北九州市の「ネジチョコ」
 「福岡県北九州市「藍昊堂(あおぞらどう)」の「旦過名物レモンチーズまんじゅう」
 「福岡県北九州市 旦過市場「大學堂」の大學丼 -ぬか炊きとカナッペ-
 「宇宙食の世界1 -スペースブレッド- スペースワールド グランドフィナーレを迎えて

<関連記事(福岡のうどん関連)>
 「うどん・そば・饅頭・羊羹発祥の地 博多 -聖一国師と承天寺,禅料理と博多の食文化-

2020年12月 8日 (火)

姫路の食文化探訪 -姫路のカフェ・喫茶店でアーモンドトーストを味わう-

 兵庫県姫路市を訪問しました。

 姫路には,姫路おでん,ひねポン(ひね鶏のポン酢和え),ちゃんぽん焼き(焼きそばと焼きうどん),どろ焼き(どろどろの生地のたこ焼き・お好み焼),姫路タンメン・ラーメン,御座候,まねき食品の駅そばなど,数多くの魅力的な御当地グルメがあります。

 そんな姫路名物の1つに「アーモンドトースト」があります。

 「ピーナッツバター」ではなく,「アーモンドバター」を使ったトーストです。

 姫路の人々に愛されているアーモンドトーストとはどんな食べ物なのか,姫路市内のお店を訪問し,味わってみました。


カフェ・ド・ムッシュのアーモンドトースト

 夜,姫路駅に到着した私は,引き続き電車でJR東姫路駅へ向かい,JR東姫路駅から徒歩で「カフェ・ド・ムッシュ」というお店を訪問しました。

(カフェ・ド・ムッシュ)
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 テーブル席に座り,メニュー表を見ると,数多くのメニューがありました。

 夕食も兼ねての利用でしたので,「コムサセット」という,焼きそば,オムレツ,アーモンドトーストがセットになった料理を注文しました。

 ムッシュでコムサ,フランスのようなおしゃれな響きだと思いながら,料理が出来上がるのを待ちました。

 「お待たせしました。コムサセットです。」

(コムサセット)
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 大皿に山のように焼きそばやサラダが盛られ,その山の斜面にオムレツと食パン1枚分のアーモンドトーストがのせられていました。

(コムサセット(拡大))
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 アーモンドトーストをめくってみると,さらにポテトサラダとトマトも登場しました。

 焼きそば,オムレツ,アーモンドトースト,それぞれが1人前ずつあり,これにドリンクが付く,とてもボリュームのあるセットでした。

 あまりにもボリュームがすごいので,焼きそばやオムレツなどを食べることばかり考えるようになり,一番の目的であるはずのアーモンドトーストを味わうことが二の次になってしまいました(笑)

 アーモンドトーストは食後のデザートとして,ホットコーヒーと一緒に味わいました。

 アーモンドバターは,アーモンドプードル(パウダー),マーガリン,グラニュー糖などに,粗目に砕いたクラッシュアーモンドを加えて練ったものです。

 食パンにアーモンドバターが厚めに塗られており,こんがりとトーストされていました。

 その割には,意外と甘さは控えめでした。

 クラッシュアーモンドもあり,アーモンドの香ばしさも楽しめる美味しいトーストでした。

 食事を終えて帰る際,レジでアーモンドバターやアーモンドトーストのお菓子が売られていたので,姫路のお土産として買って帰りました。

(アーモンドトーストフィナンシェとアーモンドバター)
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 購入の際,お店の方からアーモンドトーストの作り方を教えていただきました。

 食パンに常温に戻したアーモンドバターを厚めにたっぷりと塗ってから,少し焦げ色がつくぐらいこんがりとトーストするとよいとのお話でした。

 また,持ち帰り用のアーモンドバターは1個190gなのですが,お店ではこの量を食パン4~5枚分で使い切るとのことでした。
 (食パン1枚あたりアーモンドバター38~48g程度となります。)

 アーモンドトーストフィナンシェは個包装なので,姫路のお土産として皆さんに配りました。

 予想どおり,広島ではアーモンドトーストが姫路の名物だと知らない人ばかりでした。


浪漫珈琲倶楽部 神戸館のアーモンドトースト

 翌朝,山陽姫路駅から山陽電車に乗りました。

(山陽電車・山陽姫路駅)
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 手柄駅で下車し,駅からは徒歩で姫路市役所近くの純喫茶「浪漫珈琲倶楽部 神戸館」を訪問しました。

(浪漫珈琲倶楽部 神戸館)
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 姫路にはモーニングでアーモンドトーストを味わえるお店もたくさんあります。

 私もこちらのお店でモーニングでアーモンドトーストをいただきました。

 「サービスモーニング」を注文すると,コーヒーや紅茶の値段でトースト,サラダ,ヨーグルト,ゆでたまごが付きます。

 トーストはアーモンドトーストも選ぶことができ,さらにそのアーモンドトーストは「アーモンド」のほかに,「バナナ・きな粉・マロン・黒ごま・チョコレート・抹茶・チーズ・桜・梅・パンプキン・コーン・レッドピメント(赤ピーマン)・イチゴ」から風味を選べるというバリエーションの多さです。

 この「サービスモーニング」も魅力的なのですが,今回はアーモンドトースト付きの豪華版モーニング「ジュピター」を注文してみました。

(ジュピター)
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 予想どおりのボリューム(笑)

 食パン1枚分のアーモンドトースト,たまごとハムのホットサンドに,山盛りのそれだけで1人前あろうかと思われるトマトスパゲティ,山盛りサラダ,トマト,ハム,ゆでたまご,ヨーグルト,それにドリンク(コーヒー)が付くモーニングです。

 「カフェ・ド・ムッシュ」の「コムサセット」もそうだったのですが,甘いアーモンドトーストとほかのおかずと一緒に食べることに少し違和感を感じる私は,食事の最後にアーモンドトーストとコーヒーをいただきました。

 ただ,一度にたくさん食べることのできない私は,そのアーモンドトーストに行きつくまでが大変な道のりでした(笑)

 その道のりを乗り越え,アーモンドトーストをいただきました。

 こちらのお店のアーモンドバターも甘さ控えめでした。

 ピーナッツバターの甘さを比較対象としてしまうので,余計にそう感じるのかも知れません。

 パンにアーモンドバターを厚めに塗り,じっくりトーストすることで,アーモンドの香りや香ばしさが引き出され,美味しいアーモンドトーストに仕上がることがわかりました。

 朝からお腹いっぱいいただき,贅沢な気持ちになりました。


はまもとコーヒーのアーモンドトースト

 「浪漫珈琲倶楽部 神戸館」に続き,姫路駅からほど近い,みゆき通り沿いのコーヒー専門店「はまもとコーヒー」を訪問しました。

(はまもとコーヒー)
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 オリジナルブレンドのほかに,世界の様々な産地のスペシャリティコーヒーも用意されており,美味しいコーヒーがいただけることで有名なお店です。

 店内では,地元の常連さんが集い,常連さん同士やお店の方と日常会話を楽しんでおられる様子が印象的でした。

 モーニングも御用意されていますが,アーモンドトーストは単品での注文となるので,私はアーモンドトーストとコーヒーを注文しました。

(アーモンドトースト(はまもとコーヒー))
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 クラッシュアーモンド入りのアーモンドバターに,スライスアーモンドがのせられ,こんがりとトーストされているのがこのお店のアーモンドトーストの特長です。

 アーモンドバターは軽くて上品で甘さ控えめ,スライスアーモンドはパリパリに焼けて香ばしく,厚切りの食パンは表面はカリッと,中はもちもち・ふわふわ,これら全てが絶妙なバランスで美味しいアーモンドトーストに仕上がっていました。

 こちらのお店のモーニングは,モーニングタイムにドリンクを注文するとトーストとゆでたまごがサービスで付く方式なのですが,コーヒーを単品で注文した私は,ゆでたまごをサービスしていただきました。
 ※希望すれば通常のモーニングサービスにもしていただけます。

 
コーヒーもお店の方が好みを聞いてくださり,私好みのコーヒーを味わうことができました。


アーモンドバターを塗ってアーモンドトーストを作ってみる

 自宅で「カフェ・ド・ムッシュ」で購入したアーモンドバターを食パンに塗り,アーモンドトーストを作ってみました。

(食パンにアーモンドバターを塗った様子(トースト前))
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 食パン1枚にアーモンドバター40~50gとなると,結構な量を塗ることになります。

 アーモンドバターを厚めに塗って,オーブンで焼いてみました。

 食パンの焼ける様子をみていると,アーモンドバターを厚めに塗らないと,(1)表面のバターがふつふつと盛り上がるぐらいに焼けないこと,(2)甘みが足りないこと,(3)クラッシュアーモンドの量が少なくなってしまうことがわかりました。

 出来上がりました。

(アーモンドトースト(自宅))
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 アーモンドバターがこんがりきつね色に変化しました。

 常温に戻したアーモンドバターをあらかじめ塗ってからトースターやオーブンレンジでトーストする必要があるので,意外と手間はかかりますが,出来立てのアーモンドトーストの美味しさはそれに勝るものがあります。

 今回はパン生地の目が粗いハード系の食パンで作りましたが,パン生地のきめが細かい食パンの方が,アーモンドバターの吸収が少なく,よりうまくいくのではないかと思いました。


まとめ

 アーモンドトーストは姫路の食文化の1つとなっており,様々な飲食店で味わうことができますが,それぞれのお店で特徴やこだわりがあります。

 例えば,スライスアーモンドを使っておられるとか,マーガリンではなくバターを使っておられるとか,数種類のアーモンドをブレンドされているとか,異なる風味のアーモンドバターを用意されているといった感じです。

 姫路はカフェ・喫茶店文化,モーニング文化が盛んな印象を受けました。

 姫路へ行かれた際は,ぜひ美味しいアーモンドトーストを味わってみてください。


<関連サイト>
 「カフェ・ド・ムッシュ」(姫路店・兵庫県姫路市市川台1-7ほか)
 「浪漫珈琲倶楽部 神戸館」(兵庫県姫路市飾磨区野田町47番地)
 「はまもとコーヒー」(兵庫県姫路市二階町49)

2020年11月 5日 (木)

湘南の食文化探訪 -釜揚げしらす・コーンフレーククッキー・湘南チーズパイ・鵠沼魚醤-

 「Go To トラベル」を利用して,広島から神奈川へ旅行しました。

 広島市内の自宅を出発して車で広島空港へ,広島空港からは日本航空の飛行機で羽田空港へ,羽田空港からは京急・相鉄・小田急などの電車を利用して目的地の横浜・藤沢へ行きました。

 正直な話,県外の遠方へ旅行するのは少し勇気が必要だったのですが,横浜で学生時代の友人と再会できたり,藤沢市湘南台のバーでお世話になっている皆さんと再会できたりと,久しぶりに関東の皆さんとお会いでき,楽しいひとときを過ごすことができました。

 今回の旅行は人とお会いすることが目的で,それ以外は何も計画していなかったのですが,その分旅行先でじっくり楽しむことができ,その街の魅力も発見できました。

 そんな旅行先の1つ,神奈川・湘南の食を御紹介したいと思います。


釜揚げしらす

 江ノ島へ行くと,生しらすや釜揚げしらすなど,しらす料理が味わえるお店がたくさんあります。

(湘南モノレール・湘南江の島駅)
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 相模湾はしらす漁が盛んで,しらす料理は湘南の郷土料理の1つとなっています。

 今回私が宿泊した藤沢市湘南台のホテルでも,朝食で湘南名物「釜揚げしらす」をいただくことが出来ました。

(相鉄フレッサイン湘南台 朝食)
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 以前は大皿に盛られた釜揚げしらすを好きなだけ取る方法でしたが,新型コロナウイルス感染拡大防止対策により,小皿に盛られた釜揚げしらすを取る方法になっていました。

 私は欲張って釜揚げしらすを2皿いただきました。

 朝食は,ご飯,みそ汁,釜揚げしらす,ビーフカレー,おから,つくねハンバーグ,野菜,オムレツ,餃子,そしてオレンジジュースという組合せにしました。

 このホテルは,朝食が美味しいこともあって利用しているのですが,やはりご飯に釜揚げしらすをのせていただく釜揚げしらす丼が一番良かったです。

 ホテルのウェブサイトを見ると,食パンに釜揚げしらすをのせている写真もあるのですが,どんな味に仕上がるのか,何かの機会に試してみたいです。


コーンフレーククッキー・湘南チーズパイ

 藤沢市湘南台のバー「ArsNova」の常連客の方々から,お土産として湘南のお菓子をいただきました。

 「湘南クリエイティブガトー 葦(Ashi)」のコーンフレーククッキーと湘南チーズパイです。

(コーンフレーククッキー・湘南チーズパイ(箱))
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 どちらも「ありそうでない」お菓子です。

 店名にもなっている「クリエイティブガトー(創造的・独創的なお菓子)」という言葉がぴったりです。

(コーンフレーククッキー・湘南チーズパイ)
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 写真左の丸いお菓子がコーンフレーククッキー,写真右のスティック状のお菓子が湘南チーズパイです。

 いずれも焼菓子で,粉糖がたっぷりかけられています。

 いただいてみました。

 コーンフレーククッキーは,文字通りコーンフレークを細かく砕いてクッキーにした感じのクッキーです。
 コーンフレーク特有の香ばしさやサクサク感が感じられる美味しいクッキーでした。

 湘南チーズパイは,チーズ入りの何層にも折り込んだパイ生地をスティック状にして焼き上げたパイです。
 サクサクのパイ生地に粒々のチーズが埋め込まれていて,チーズのしょっぱさと粉糖の甘さが絶妙なスティックパイでした。


鵠沼魚醤

 藤沢駅から小田急や江ノ島電鉄で江ノ島方面へ向かうと,途中「鵠沼(くげぬま)」という地名の駅があります。

 この地域にゆかりのある魚醤が,これから御紹介する「鵠沼魚醤」です。

 アジアの魚醤に興味を持ってカンボジアまで行った私は,いつか入手したいと思っていた調味料の1つでした。

 この鵠沼魚醤が藤沢駅構内の「湘南藤沢スーベニールズ」で販売されていました。

 私は「Go To トラベル事業」でホテルでいただいた「地域共通クーポン」を利用し,この「鵠沼魚醤」と「お菓子のアトリエ 二コラ」の「しろくま/くろくまちゃんマドレーヌ」(※)をお土産に購入しました。

 ※「お菓子のアトリエ 二コラ」のかわいいクマのマドレーヌはお土産で渡したため,写真はありませんが,こちらのお店では藤沢ゆかりのぶどう「藤稔(ふじみのり)」を使ったお菓子(「藤稔レーズンサンド」,「藤稔ガレット」,「藤稔ケーキ」,「藤稔ジュレ」など)も販売されています。

 それでは鵠沼魚醤を御紹介します。

(鵠沼魚醤(瓶))
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 鵠沼魚醤は,片瀬漁港に水揚げされたイワシと塩だけで作られた天然の旨味調味料です。

 この鵠沼魚醤には,旨味のもとであるコハク酸が一般的な醤油の約3倍も含まれているそうです。

(鵠沼魚醤)
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 瓶を開けた瞬間,発酵・熟成された魚醤の香りが部屋中にパーッと広がりました。

 いかの塩辛に似た香りです。

 そのまま味わってみると,かなり塩辛いのですが,濃縮された強い旨味を感じました。

 「うん,これは買って良かった」と思わずニンマリしました。

 サラダのドレッシングにしたり,豚肉のしゃぶしゃぶのタレにしていただきました。

(豚肉のしゃぶしゃぶと鵠沼魚醤のタレ)
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 タレは,鵠沼魚醤,酢,レモン汁で作りました。

 期待どおりの美味しさでした。

 肉と魚醤は少し意外な組合せですが,お互いの旨味を引き立たせ,見事に調和します。

 このことをさらに確かめるため,ちょっとした実験もしてみました。

 豚肉を水で煮た後の煮汁に,適量の醤油とほんの少しの鵠沼魚醤を加えてみたのです。

 すると,たったこれだけでも,深い旨味をもった醤油ラーメンスープ(動物系+魚介系)ができました。

 鵠沼魚醤は,料理研究家のワタナベマキさんや,神奈川県藤沢市の中国料理店「茶馬燕(ちゃーまーえん)」の店主さんもお気に入りの一品で,地元のイタリア料理店などでも愛用されているようです。

 御興味を持たれた方はぜひお試しください。


 今回の旅行で,湘南の様々な食文化を知ることが出来ました。

 また,この記事をまとめるうち,私の住む広島や旅行で訪問したカンボジアで得た食の知識が,湘南の食文化にもつながっていることがわかりました。

 また湘南へ行きたいかと問われたら,私は真面目な顔で自信を持ってこう答えます。

 「湘南です!」


<関連サイト>
 「相鉄フレッサイン藤沢湘南台(朝食)」(神奈川県藤沢市湘南台2-12-6)
 「湘南クリエイティブガトー 葦」(藤沢湘南台店・神奈川県藤沢市湘南台1丁目4-3 ほか)
 「お菓子のアトリエ 二コラ」(神奈川県藤沢市遠藤701-6)
 「鵠沼魚醤(NORMA)」(神奈川県藤沢市打戻3288-1)

<関連記事>
 「希少な高級ぶどう・藤稔(ふじみのり)の魅力 -お店であまり販売されていない理由-
 (藤沢市ゆかりのぶどう「藤稔」の紹介)
 「カンボジア料理の特徴と主な料理3 -カンボジアの発酵調味料「プラホック」作り体験-
 (カンボジアの魚醤「プラホック」の紹介)
 「中国料理の特徴と主な料理1 -水豆鼓炒蛋(貴州納豆の卵炒め)-
 (神奈川県藤沢市の中国料理店「茶馬燕」の料理の紹介)

2020年10月23日 (金)

広島県三次市の郷土料理と三次もののけミュージアム(湯本豪一記念日本妖怪博物館)

 広島県の北部,三次市を訪問しました。

 今回は三次市の郷土料理と,同市内に2019年4月にオープンした「三次もののけミュージアム(湯本豪一記念日本妖怪博物館)」を御紹介したいと思います。


三次市の郷土料理・「みよし米御膳」

 三次市・庄原市など備北(広島県北部)地域の代表的な郷土料理の1つに「ワニ料理」があります。

 ここで言う「ワニ」とは,爬虫類のワニではなく,サメ肉のことです。

 ネズミザメなどのサメの肉は,保存性が高く,山間部でも生食できる魚として重宝されてきました。

 三次市内の料理店で,「ワニ料理」をはじめ,三次の「お米」や吉舎(きさ)町の特産品「大和芋」など,三次市の地元食材をふんだんに使った郷土料理の御膳をいただきました。

(みよし米御膳)
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 「みよし米御膳」です。

 写真上側の青い皿にのせられた魚が「旬魚米粉焼き」,その右下が「冷そば」,中央が「吉舎産大和芋磯部揚げ」,右下が「ワニ刺身」,右上の紙鍋が「イベリコ豚米粉だんご汁」です。

(広島菜のめはり寿司)
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 こちらはマグロの醤油漬けを広島菜で巻いた「広島菜のめはり寿司」です。

(ワニ刺身)
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 ワニ(サメ)の刺身をアップで撮った写真です。

 醤油とおろし生姜でいただきました。

 淡いピンク色をした刺身で,ネチネチした独特の食感がありますが,臭みはなく,あっさりとした味で,美味しくいただきました。

 ワニ(サメ)は,三次市内や庄原市内のスーパーマーケットの鮮魚コーナーへ行くと普通に販売されており,回転寿司店でもワニの握り寿司が回っているのを見かけたことがあります。

 また,同市廻神町の「フジタフーズ」では,サメ肉を使った「ワニバーガー」,「ワニドッグ」,「ワニまん」,「ワニソーセージ」,「ワニ焼きそば」など,様々なワニ料理を味わうことができます。


三次もののけミュージアム(湯本豪一記念日本妖怪博物館)

 「三次もののけミュージアム(湯本豪一記念日本妖怪博物館)」を訪問しました。

 妖怪の博物館というのは珍しいですが,江戸時代の妖怪物語「稲生物怪録(いのうもののけろく)」の舞台となったのが三次であることや,民俗学者・妖怪研究家の湯本豪一氏から妖怪コレクションを寄贈いただいたことにより,設立に至ったようです。

(三次もののけミュージアム(湯本豪一記念日本妖怪博物館))
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 館内は大勢のお客さんで賑わっていました。

 子供にも人気が高い博物館です。

 展示品の一部を御紹介したいと思います。

(妖怪という言葉)
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 「『妖怪』という言葉が普及したのは,『妖怪博士』の異名をとった哲学者・井上円了(いのうえ えんりょう)が各地で行った妖怪学の講義による功績が大きいといえます」という説明書きがありました。

 井上円了と言えば,哲学者で東洋大学(哲学館)の設立者というイメージが強いので,妖怪研究の第一人者で「妖怪博士」とも呼ばれた人物だったというお話は興味深かったです。

(妖怪造形コレクション)
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 企画展「妖怪のかたち 魔像三十六体と百体の謎」の妖怪造形コレクションです。

(神社姫)
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 神社姫(じんじゃひめ)は,予言する妖怪「予言獣」です。

 竜宮からの使いであると名乗り,豊作と流行病を予言し,「私の姿を描いて見れば病を逃れられる」と伝えたとの言い伝えがあります。

(髪切の奇談)
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 「髪切の奇談(かみきりのきだん)」は江戸時代最後の年・慶応4年に起きた怪奇事件を伝える錦絵です。

 夜中に厠へ行こうとした女中が,真っ黒な化け物に襲われて髪を切られた様子が描かれています。

(人面草紙)
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 お餅か餃子のような独特な頭の形をした妖怪がたくさん描かれています。

 怖いお化けというより,かわいいキャラクターに見えます。

(河童)
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 博物館の出口に河童の像がありました。

 「また来てね! SeeYou」と河童がお見送りしてくれました。

 よく見ると,新型コロナウイルス感染拡大防止のためのマスクまでしています(笑)


 皆様も広島県三次市へお越しになり,「妖怪を見て,ワニを食べてきた」と自慢されてはいかがでしょうか(笑)


<関連サイト>
 「むらたけ総本家」(広島県三次市十日市東6-1-8)
 「フジタフーズ」(広島県三次市廻神町738)
 「三次もののけミュージアム(湯本豪一記念日本妖怪博物館)」(広島県三次市三次町1691番地4)

2020年10月 5日 (月)

東京・銀座の「空也もなか」と愛媛の「霧の森大福」

 今回は,東京・愛媛で人気の高い和菓子を御紹介したいと思います。


東京・銀座「空也もなか」

 職場の後輩から「空也もなか」をいただきました。

 彼女はほかの職員にも空也もなかを配っていましたが,みんな普通に食べていました。

 しかし私は,その最中を見た瞬間,思わず「空也のもなかだ!」と叫んでしまいました。

 空也もなかが,店頭購入どころか,お店に1日数千件もの電話がかかってきて,電話予約すら難しいほど入手困難なお菓子だということを知っていたからです。

 広島に住む私は一生味わう機会はないだろうと思っていました。

 東京・銀座にあるお店「空也」の前は何度か歩いたことがありますが,「空也もなかが買えるわけがない」と最初から諦めていました。

 そんな私のことですから,みんなの前で,この空也もなかがいかに入手困難で貴重なお菓子であるか延々と語りました。

 そして空也もなかを配っていた彼女にお礼を言い,紙箱と説明書きの「しおり」までいただいて,自宅へ持ち帰りました。

 こちらが空也もなかです。

(空也もなか)
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 皮の表面に「空也」と表示されています。

 しおりに「空也」というお店の屋号の由来が書かれていました。

 「初代が関東空也衆の一人であり,その仲間の援助で最中を主として生菓子を始めましたことから,空也念仏に因んで空也とさせていただきました」とあります。

 皮はパリッと香ばしく,中のあんこ(つぶしあん)はしっとりとして上品な甘さです。

 こうした最中の味・食感を守り,さらにお店の生産体制も考慮すると,1日8,000個近くを作って販売するのが限度で,それが売り切れたらおしまいという営業方法にならざるを得ないようです。

 私もその味・食感を堪能しました。

 そして空也もなかの添え書きに,空也もなかを丸ごと鍋で煮て,おしるこにしても美味しいとあったので,興味を持った私はそちらも試してみました。

(おしるこ(空也もなか))
Photo_20201004175001

 餅から作られた皮が溶けて,とろみのあるおしるこに変化し,こちらも美味しくいただけました。

 空也もなかは店頭販売・予約販売のみなので,入手するためには銀座のお店に直接伺うしかないのですが,それだけの価値があり,手土産としても喜ばれる一品です。

 なお,「空也」の伝統を引き継いだ新ブランド「空いろ」も展開されており,こちらのお店では,現代的でおしゃれな和菓子を中心に,店頭だけでなくオンラインショップでも購入することができます。


愛媛・霧の森「霧の森大福」

 夏休みを利用し,広島からクルーズフェリー「シーパセオ」で愛媛県松山市を訪問しました。

 愛媛県松山市の中心街・大街道(おおかいどう)の松山ロープウェー商店街を歩いていると,平日の午前中からお客さんの行列ができているお店がありました。

 何のお店だろうと近づいてみると,「霧の森菓子工房 松山店」とありました。

 「霧の森菓子工房」は「霧の森大福」という抹茶大福が人気ですが,その大福は愛媛県四国中央市新宮町にある店舗「霧の森菓子工房」で買うか,オンラインショップで買うかのいずれかだと思っていました。

 そのオンラインショップも,不定期に開催される抽選販売で当選した人だけが購入できるしくみで,その当選倍率は毎回100倍前後にもなるようです。

 ネットでの抽選倍率が特に高かった地域には出張販売もされているようですが,愛媛の店舗以外ではなかなか入手できない状況に変わりはありません。

 「そんな幻のお菓子が,たまたま通りがかったお店で売られているのだろうか」と半信半疑でお店に寄ってみました。

 自粛ムードもある中,地元のお客さんが多い感じでしたが,その人たちも自宅用ではなく,贈答用として霧の森大福を購入し,その場で宅配便の手続きまでされている方も多くみかけました。

 平日の午前中だったこともあり,霧の森大福はまだいくつか販売されていたので,私も霧の森大福(2個入)を1つと,職場へのお土産として茶葉の入ったクッキー「霧の森クッキー」を購入しました。

(霧の森大福(包装))
Photo_20201004181301

 霧の森大福のサイズは,一般的な大福のイメージとは逆にかなり小さく,親指と人差し指で輪を作ったぐらいの一口サイズとなっています。

(霧の森大福)
Photo_20201004181302 

 複合観光施設「霧の森」がある愛媛県四国中央市新宮町は「新宮茶」というお茶の産地です。

 地理的にみると,新宮町は日本最大級の断層「中央構造線」とその影響を受けた「三波川変成帯」上に位置します。

 この地帯には「緑泥片岩(りょくでいへんがん)」が多く含まれるのですが,この緑泥片岩の成分がお茶の栽培に適し,お茶の香りを良くする効果もあるようです。

 さらに新宮茶は,全国でも稀な無農薬栽培のお茶であることも特徴の1つです。

 霧の森大福は,その新宮茶の抹茶を餅に練り込み,さらに手作業で餅の上にもまぶした贅沢な大福です。

 そのため,全体が鮮やかな緑色になっています。

(霧の森大福(中身))
Photo_20201004181303

 霧の森大福の中身は,こしあんと生クリームです。

 餅,抹茶,あんこ,そして生クリームの味が口の中で一体となり,その絶妙な調和を楽しむことができます。

 一口サイズだからこそ成せる味です。

 この4つの食材は,どれとどれを組み合わせても美味しいので,まさに最強のお菓子と言えるでしょう。

 ちなみに,職場へのお土産にした「霧の森クッキー」も好評でした。

 このクッキーはお手頃価格で個包装なので,こちらも「霧の森」のお土産としておすすめです。


 今回御紹介した東京・銀座の「空也もなか」と愛媛の「霧の森大福」は,いずれも地元以外では入手困難な和菓子ですが,私のように「偶然」いただけたり,お店で買える可能性もありますので,知っておいて損はないと思います。


<関連店舗・サイト>
 「空也」(東京都中央区銀座6-7-19)
 「ぎんざ空也 空いろ」(「銀座金春通り本店」東京都中央区銀座8-7-6ほか)
 「霧の森菓子工房」(松山店・愛媛県松山市大街道3-3-1ほか)

<参考文献>
 あんこ事典監修 芝崎本実「あんこのことがすべてわかる本」誠文堂新光社
 尾形希莉子・長谷川直子「地理女子が教えるご当地グルメの地理学」ベレ出版

2020年1月12日 (日)

日本各地のおにぎり -青森県・若生おにぎり,富山県・とろろ昆布おにぎり,栃木県・ゆばむすび-

 ご飯を握ったおにぎりは,米を主食とする日本の代表的な食べ物です。

 おにぎりと言えば,ご飯と海苔の組み合わせのおにぎりが一般的ですが,海苔のほかにも日本全国にはいろんな食材で巻いたおにぎりがあります。

 今回は旅先で出会ったその地域ならではのおにぎりを御紹介したいと思います。


青森県五所川原市「若生おにぎり」

 青森県五所川原市,JR「五所川原駅」と津軽鉄道「津軽五所川原駅」に隣接する津軽鉄道本社1階にある「コミュニティカフェ でる・そーれ」で購入した「若生(わかおい)おにぎり」です。

(若生おにぎり)
Photo_20200111141701 

 「若生おにぎり」は,ごはんを海苔の代わりに昆布で巻いたおにぎりで,津軽の郷土料理です。

 「若生」は1年ものの薄くて柔らかい昆布を言います。

 広げた若生の上にご飯をのせ,ご飯の端を若生で包み,パタンと二つ折りにして作られます。

(若生おにぎり(中身))
Photo_20200111141702 

 昆布の繊維に平行になるよう,おにぎりを縦に持って噛み切る必要があります。

 昆布の程よいしょっぱさがご飯の味を引き立て,海の香りが口の中に広がる美味しいおにぎりでした。


富山県・とろろ昆布おにぎり

 続いては,富山県富山市・富山駅構内にある「おむすび屋 源」で購入したとろろ昆布おにぎり「黒とろろ」を御紹介します。

 富山県は昆布の一世帯当たり消費金額が日本トップクラスを誇ります。

 それだけ昆布の美味しい食べ方をよく知っておられる方が多い県だと表現することも出来るでしょう。

 それがおにぎりにも生かされています。

(とろろ昆布おにぎり「黒とろろ」)
Photo_20200111141704

 こちらがとろろ昆布おにぎり,商品名「黒とろろ」です。

(とろろ昆布おにぎり「黒とろろ」(中身))
Photo_20200111141703

 おにぎりの具まで昆布の佃煮と,昆布づくしです。

 とろろ昆布がご飯をやさしく包み込み,海苔よりもさらに深いうま味がご飯とうまく結びついたおにぎりでした。

 後で知ったのですが,とろろ昆布おにぎりは富山だけでなく北陸地方全般で好まれているおにぎりのようです。


栃木県日光市・ゆばむすび

 栃木県日光市の「ゆばむすび」を御紹介します。

 日光は豆乳から作られる「ゆば」が代表的な郷土料理の1つです。

 京都のゆばも有名ですが,京都ではゆばを「湯葉」と表記されるのに対し,日光では「湯波」と表記される違いがあります。

 日光で,ゆばを海苔代わりにしたおにぎりが「ゆばむすび」です。

 栃木県日光市の「補陀洛(ふだらく)本舗 石屋町店」でいただいた「ゆばむすび」を御紹介します。

(ゆばむすびと「ススメ!栃木部」)
Photo_20200111141706

 写真上側にある本は「ススメ!栃木部」という栃木愛にあふれた漫画で,日光のゆばむすびについて詳しく紹介されています。

 この本を読んで勉強になったのは,「京都のゆばは膜の端に串を入れて引き上げるため一枚なのに対し,日光のゆばは膜の中央に串を入れて引き上げるため二枚重ねとなる」ということです。

 二枚重ねとなる分,ボリュームもでて,おにぎりにも巻きやすくなるのでしょう。

(ゆばむすび)
Photo_20200111141705

 ゆばむすび2個と漬物のセットです。

 もち米を出汁や醤油で味付けして炊いた「おこわ」をゆばで包んだおにぎりです。

 写真右がゆばむすびの外観,写真左がゆばむすびの中の様子です。

 ゆば自体は淡い味で,しかも海苔に比べて厚みがあるので,塩味のご飯より味付けしたおこわの方が味のバランスがとれて合うことがわかりました。


<関連リンク>
 「コミュニティカフェ でる・そーれ」(青森県五所川原市大町39 津軽鉄道(株)1F)
 「源(みなもと)」(JR富山駅構内ほか)
 「補陀洛(ふだらく)本舗」(石屋町店:栃木県日光市石屋町406-4 ほか)

<関連記事>
 「津軽鉄道食景色1 -津鉄汁セット,ストーブ列車石炭クッキー-
 「津軽鉄道食景色2 -若生おにぎり,中まで赤~いりんごジャム,干し餅,五農産米-

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