日本各地の食文化

2022年10月 2日 (日)

山口の食文化探訪4 -ディアボロ・クレームカラメル・くりまさる・長門ゆずきち-

 山口県山口市を訪問しました。

 今回は,山口市内のカフェレストランと山口県の農産物を御紹介します。


ディアボロ・クレームカラメル

 山口市中心部を流れる一の坂川沿いを散策しました。

(一の坂川)
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 この川にはゲンジボタルが生息しており,5月下旬から6月上旬になると,間近でホタルを鑑賞することができます。

 この一の坂川を少し入った,山口県立山口図書館近くにあるフレンチカフェレストラン「オー・カルチェ・ラタン」を訪問しました。

 フランスのカフェのメニューがないかと探してみると,「ディアボロ」というドリンクがありました。

 店主さんに「ディアボロ」について尋ねると,様々なシロップを炭酸水で割ったドリンクとのことでした。

 そしてオレンジ・レモン・カシスなど様々なフレーバーが用意されていました。

 そこで私は,青りんごのディアボロとクレームカラメルを注文しました。

(ディアボロ(青りんご)とクレームカラメル)
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 写真左上がディアボロ(青りんご),写真右下がクレームカラメルです。

 ディアボロは,あらかじめグラスに青りんごのシロップが入っており,それに炭酸水の「Perrier(ペリエ)」を注いでいただきました。

 改めて店内を見渡すと,フランスの「MONIN(モナン)」のシロップがずらりと並べられており,「モナンのシロップをペリエで割ったドリンクのことなんだ」とわかりました。

 さわやかな青りんごのフレーバーが楽しめるドリンクでした。

 一方,クレームカラメルはいわゆるカスタードプリンのことですが,卵黄のなめらかなコクが楽しめるプリンにほろ苦いカラメルソースがたっぷりとかけられた,絶品のお菓子でした。


くりまさる

 「くりまさる」という名称のカボチャを御存知でしょうか。

 山口市では,阿知須(あじす)地区の「阿知須くりまさる」を中心に,くりまさるの栽培に力を入れておられます。

 くりまさるは「栗(くり)より甘さが勝る(まさる)」ことから名付けられたカボチャです。

 出荷時期(6~8月)になると,山口市の「道の駅きららあじす」やスーパーマーケットなどで販売されます。

 私もいつか山口で味わってみたいと思っていたのですが,「山口市中心商店街」を散策していると,「藤井食料品店」の店頭でくりまさるが販売されていました。

(藤井食料品店)
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(くりまさる(山口市秋穂産))
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 山口市秋穂(あいお)産のくりまさるです。

 9月に訪問しましたが,出荷時期が遅めのくりまさるが販売されていました。

 自宅に持ち帰り,くりまさるを調理しました。

(くりまさる(中身))
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 カボチャは皮がかたくて包丁で切りにくいのが難点ですが,このくりまさるは意外と楽に切ることができました。

 一口サイズに切り,酒・みりん・醤油で煮物を作りました。

(くりまさるの煮物)
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 いただきました。

 甘栗やお菓子ほどに甘いというレベルではありませんが,ゆで栗や蒸し栗に比べると甘く,ホクホクした食感は栗そっくりでした。

 「くりまさる」というネーミングは,埼玉県川越市のさつまいも「栗(九里)より(四里)うまい十三里(半)」とよく似た表現ですが,川越市と同様,地元のブランド農産物として出荷され,様々な料理やお菓子も開発・販売されています。


長門ゆずきち

 山口県の日本海・響灘(ひびきなだ)に沿って走る観光列車「○○のはなし(まるまるのはなし)」に乗車した際,「長門ゆずきち」が使われたお菓子をいただきました。

 長門ゆずきちは柚子やスダチに似た柑橘で,いただいたお菓子も香りがとても良かったので,その時以来すっかり長門ゆずきちのファンになりました。

 その長門ゆずきちが,くりまさると同様,藤井食料品店で販売されていたので購入しました。

(長門ゆずきち(パック))
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 ゴルフボールぐらいの大きさの濃い緑色の柑橘です。

(長門ゆずきち)
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 カボスやスダチに比べて種が少なく皮も薄いため,食べやすく,香り高い果汁がたっぷり採れることが特長です。

 長門ゆずきちを様々な料理や飲み物と合わせてみました。

 まずは炭酸水に長門ゆずきちを絞った果汁を入れ,「長門ゆずきちスカッシュ」を作ってみました。

(長門ゆずきちスカッシュ)
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 長門ゆずきちの香りを楽しめましたが,シロップか砂糖も少し加えた方が良さそうです。

 続いて,鯖の塩焼きに長門ゆずきちを添えてみました。

(鯖の塩焼きと長門ゆずきち)
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 酸味や香りがマイルドなので,果汁をたっぷりかけても焼き鯖の味を損ねることなく,美味しくいただけました。

 続いて,豚ロースステーキに長門ゆずきちを合わせてみました。

(豚ロースステーキと長門ゆずきち)
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 ステーキソースは,焼いた豚肉の肉汁と長門ゆずきちの果汁を合わせ,塩こしょうで味を調えて作りました。

 レモンの場合もそうなのですが,果汁は思い切ってたっぷり使う方が美味しくなります。

 長門ゆずきちのほのかな酸味とさわやかな香りが楽しめるステーキに仕上がりました。

 最後に醤油と長門ゆずきちの果汁を合わせ,ポン酢を作ってみました。

 豚バラ肉や鶏のささみを茹で,長門ゆずきちのポン酢でいただきました。

(長門ゆずきちのポン酢)
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 「こっ,これは…」

 これが本来のポン酢かと,ハッと目が覚めるような美味しさでした。

 このポン酢なら,高価な和牛の霜降り肉のしゃぶしゃぶにも間違いなく合うことでしょう。

 お試しになられた方からの御感想をお待ちしております(笑)


まとめ

 山口市で様々な美味しいものと出会い,味わうことができました。

(山口駅・キハ47形・山口線・新山口行と益田行)
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 今回はJR山陽本線とJR山口線の普通列車でのんびりと旅行しましたが,途中下車した新山口駅には「KDDI維新ホール」をはじめとする新施設が,徳山駅には蔦屋書店やスターバックスが併設された「周南市立徳山駅前図書館」を中心とする新施設ができており,それぞれの駅とその周辺が現代風に一新されていることに驚きました。

 伝統を守りつつ新たなことに挑戦し続ける山口は,訪れる度に新たな発見と感動があります。


<関連サイト>
 「オー・カルチェ・ラタン」(山口県山口市後河原160-1)
 「藤井食料品店」(山口県山口市本町一丁目1-10)
 「山口市・きららあじす」(山口県情報サイト「きらりんく」)
 「長門ゆずきち」(「ぶちうま!やまぐち.net」やまぐちの農林水産物需要拡大協議会
 「KDDI維新ホール」(山口県山口市小郡令和一丁目1-1)
 「周南市立徳山駅前図書館」(山口県周南市御幸通二丁目28-2)

<関連記事>
 「山口の食文化探訪1 -防府市の「みそ焼きマイマイ」-
 「山口の食文化探訪2 -岩国市「いろり山賊」のポテトチップス山賊焼味-
 「山口の食文化探訪3 -山口市のばりそば・菜香亭・そば寿し-
 「フランス料理の特徴と主な料理1 -山口のフレンチカフェ-
 「さつまいもグルメのまち・川越
 「山陰本線観光列車「○○のはなし」のはなし(復路:東萩駅-下関駅編)-「長門ゆずきち」のお菓子とカフェ「Agawa」-

2022年9月25日 (日)

山口の食文化探訪3 -山口市のばりそば・菜香亭・そば寿し-

 山口県山口市を訪問しました。

 新山口駅から山口駅へは,趣のある赤いディーゼルカー(ワンマン)で向かいました。

(山口駅・キハ47形・山口線・宮野行)
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 今回は,山口市の名物料理と,かつて「山口の迎賓館」と呼ばれた施設「菜香亭」を御紹介します。


ばりそば

 山口市とその周辺地域で食べられている御当地グルメ「ばりそば」を味わうため,本町にある「春来軒 本町店」を訪問しました。

 ばりそばはこれまで何度か食べたことがあるのですが,山口市に来ると食べたくなる料理です。

 「春来軒」という名のお店は山口市内にいくつかあって,私を含む県外の人間には,それぞれのお店が同じ系列なのか異なる系列なのか理解しづらい状況となっています。

 「春来軒 本町店」は食券制だったので,私は一人前のばりそば「やきそば(並)」を購入しました。

 メニューはほかにも「やきそば(大盛)」や「やきそば定食(餃子とおむすび付き)」,「やきそば(3人前)」,「やきそば(5人前)」などがあり,それとは別に「ちゃんぽん」や「中華丼」も用意されていました。

 「ばりそば」は「あんかけかた焼きそば」のことなので,その「あん」を「かた焼きそば(揚げ麺)」にかければ「やきそば(ばりそば)」に,茹で麺にかければ「チャンポン」に,ごはんにかければ「中華丼」になるのでしょう。

 お店に方に席を御案内いただき,食券をお渡しすると,麺のかたさを聞かれました。

 麺の仕上がりを「かため」・「普通」・「やわらかめ」と好みのかたさに注文できるのですが,私は「普通」でお願いしました。

 注文を受けてから麺を油で揚げ,あんをかけるので,少々待つこととなります。

 しばらくして,出来上がったばりそばが運ばれてきました。

(ばりそば)
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 油で揚げた麺に,野菜や海鮮を炒めてとろみをつけた「あん」をたっぷりかけた「あんかけかた焼きそば」です。

 「ばりそば」の名称の由来は,油で揚げた麺を食べた時にバリバリと音がするからとか,山口弁で「すごい」を意味する「バリ」からきているといった説があります。

 麺はやや太めで,油で揚げると膨張するため,平たく大きな皿に盛られます。

 あんは鶏がらスープがベースで,ゆるめにとろみがつけられています。

 あんの具は,キャベツ,タケノコ,シイタケ,キクラゲ,ネギ,豚肉,イカ,さつま揚げ,かまぼこなどです。

 お好みで卓上の酢醬油をかけていただきます。

 熱々のあんをパリパリの麺にかけ,やわらかくしながらいただきました。

 大皿なので多いかなと思いましたが,意外とすんなり食べられ,「これなら大盛りでもいける」と思いました。

 実際,大盛りを注文されていたお客さんも多く見かけました。

 また,家族や仲間同士などで来られたお客さんは,3人前や5人前の大皿を注文し,それを皆で分けて食べておられました。

 大皿を皆で取り分けて食べる姿はよく見受けられ,特にお盆や年末年始などの帰省ラッシュ時にはこうしたグループで一杯になることから,山口のばりそばは地元の人たちに愛される郷土料理の1つにもなっていることが理解できました。

 「春来軒 本町店」(山口県山口市本町2-2-18)


菜香亭

 明治時代から山口の料亭・迎賓館として親しまれ,現在は山口市の観光拠点・市民交流の場となっている「菜香亭(さいこうてい)」を訪問しました。

(菜香亭(全景))
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 隣接する「歴史巡りの庭」には「明治維新策源地」と刻まれた石碑があります。

(明治維新策源地の石碑)
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 長州藩の藩主,毛利敬親(もうり たかちか)が藩庁を萩から山口に移転して以来,山口は明治維新の大きな流れを作り,その中心的な役割を果たす「明治維新策源地」となりました。

 菜香亭の外観や「歴史巡りの庭」を眺めた後,館内に入場しました。

 職員の方に館内を案内していただきました。

 観覧料100円では申し訳ないと思うほど,とても丁寧に御案内いただきました。

(菜香亭大広間)
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 百畳の大広間です。

 この大広間で要人がもてなされたり,結婚式や大宴会が開かれたようです。

 また,この大広間を中心に,歴代の総理大臣9名を含む29名の書(揮毫)が掲げられています。

 「菜香亭」の名付け親でもある井上馨をはじめ,三条実美,木戸孝允,伊藤博文,山県有朋,岸信介,寺内正毅,佐藤栄作,田中義一,桂太郎などそうそうたるメンバーです。

 いずれもこの料亭を利用された際に贈られたもので,「菜香亭」が山口の迎賓館として利用されていたことがわかります。

 扁額(へんがく)の一部を御紹介します。

(扁額(竹下登・田中角栄))
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 竹下登さんの「我が道を行く」(写真左側)と田中角栄さんの「微風和暖(びふうわだん)」(写真右側)という書です。

(扁額(安倍晋三))
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 こちらは山口県出身の安倍晋三さんの「寂然不動(じゃくぜんふどう)」という書です。

 「心は静かに穏やかだけれど,何事にも動ぜず,信念は曲げない」という意味です。

(菜香亭(中庭))
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 こちらは中庭の様子です。落ち着いた雰囲気で心が癒されました。

 ひととおり見学し,職員の方にお礼申し上げた後,記念にオリジナルポストカードを購入しました。

(菜香亭ポストカード)
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 上半分が菜香亭の建物や中庭でワイワイ過ごす様子を描いたポストカード,下半分が菜香亭の大広間で皆が揃って食事を楽しむ様子を描いたポストカードです。

 菜香亭でみんなが楽しく過ごしている様子がかわいらしく描かれています。

 山口市の観光スポットとして,菜香亭は最高でぃ!


そば寿し

 菜香亭を後にし,徒歩で瑠璃光寺(るりこうじ)へ向かいました。

(瑠璃光寺)
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 日本三名塔(奈良・法隆寺,京都・醍醐寺,山口・瑠璃光寺)の1つ,瑠璃光寺の五重塔です。

 その瑠璃光寺・香山(こうざん)公園の近くにある「東京庵 香山店」で名物の「そば寿し」をいただきました。

(そば寿し(そばつゆ・そば湯))
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 すし飯の代わりに麺のそばが使われている珍しい巻き寿司です。

 そばつゆとそば湯が付きます。

(そば寿し)
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 ざるそばと同様,そばつゆにつけていただきます。

(そば寿し(拡大))
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 中の具は,でんぶ,厚焼き玉子,かんぴょう,しいたけ煮,青菜で,全体的に甘めの味付けとなっています。

 海苔と薄焼き玉子の二層で巻かれており,彩りもきれいです。

 すし飯に比べ,具やつゆの味がよりダイレクトに伝わってきました。

 一般的な巻き寿司に比べ,ずっしりとしてないので,軽食としていただくことも可能です。

 巻き寿司感覚で,お手軽にそばを味わうことができる一品です。

 「東京庵 香山店」(山口県山口市香山町6-16)


まとめ

 山口県には,今回御紹介した「ばりそば」や「そば寿し」以外にも,下関の「瓦そば」や「コーヒーラーメン(七色ラーメン)」,防府の「みそ焼きマイマイ」,下松の「牛骨ラーメン」,萩発祥のうどんチェーン店「どんどん」など様々な麺料理(店)があります。

 この理由の1つとして,隣接する福岡県のラーメンやうどんの食文化や,明治維新以降の東京とのつながりの中でもたらされたそばの食文化の影響が挙げられるでしょう。

 また,明治維新に見られるように,既成概念にとらわれず新しいことに積極的に取り組む「進取の気性」にあふれた県民性も関係しているように思います。

 山口で様々な麺料理を御堪能ください。


<関連サイト>
 「山口市 菜香亭」(山口県山口市天花1-2-7)

<関連記事>
 「山口の食文化探訪1 -防府市の「みそ焼きマイマイ」-
 「山口の食文化探訪2 -岩国市「いろり山賊」のポテトチップス山賊焼味-

2022年8月28日 (日)

新潟の食文化探訪5 -日本のイタリア料理史・「イタリアン」と呼ばれる料理・新潟の「イタリアン」-

 「イタリアンを食べに行こう!」と聞けば,皆様は何を想像されるでしょうか。

 私はイタリア料理店のイタリア料理,パスタやピザなどが思い浮かぶのですが,全国ではもっと幅広く,麺料理の愛称として用いられている事例があります。

 今回はこの「イタリアン」と呼ばれる料理について,新潟の「イタリアン」を中心に御紹介したいと思います。


長崎と新潟から展開する日本のパスタの歴史

 日本で最初にパスタが食べられたのは幕末で,横浜外国人居留地にいた外国人向けだったようです。

 そして日本で初めてパスタ(マカロニ)を製造した人物が,長崎に住んでいたフランス人神父「マルク・マリー・ド・ロ」です。

 このド・ロ神父が,明治16(1883)年頃,長崎市外海町にマカロニ工場を建て,製造したのが始まりとされています。

 ド・ロ神父と言えば,長崎で社会福祉活動に尽力された人物という印象が強いですが,長崎の人々にマカロニ・素麺・パンなどの製造技術を伝えるなど,食文化の分野でも大きく尽力されています。
 (フランス人でありながら,イタリアのマカロニや中国・日本の素麺の製造技術を知っていたとはスーパースターです)

 ちなみに,現在でも「サンフリード」(長崎県長崎市)から「ド・ロさまそうめん」や「長崎スパゲッチー」といったド・ロ神父にちなんだ麺食材が販売されています。

 その後,大正時代になると,新潟県加茂町(現在の加茂市)の製麵業者が日本人として初めてパスタ(マカロニ・「穴あきうどん」)製造機の開発に成功し,以降,パスタ(マカロニ)は徐々に全国展開していきました。

 その後,戦後のアメリカ進駐軍によるスパゲティの紹介と小麦粉の配給,喫茶店やファミリーレストランを通じたスパゲティ(パスタ)の浸透,イタリア料理店(イタリアン)の増加,1990年代の「イタめし」ブームなどを経て,パスタはすっかり日本の国民食としての地位を築き上げ,現在に至っています。


新潟とイタリア料理の関係

 新潟市中心部・西堀通沿いに新潟を代表する老舗ホテル「ホテル イタリア軒」があります。

(ホテル イタリア軒)
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 このホテルは,「日本で初めてイタリア人が開いたレストラン」,そして「日本で初めてミートソースを提供したレストラン」として知られています。

(イタリア軒の看板)
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 先程御紹介した「新潟県加茂町の製麵業者が日本人として初めてパスタ製造機の開発に成功した」お話も含めると,新潟は日本のイタリア料理やイタリアの食文化をリードしてきた地域だと言えます。


大阪・名古屋の「イタリアン」

 日本でイタリア料理が浸透してくるにつれ,様々なイタリア料理が登場することになりました。

 そしてイタリア本国には存在しない,日本独特の「イタリア料理」も生み出されることとなります。

 そんな料理の1つが「イタリアン」です。

 「イタリアン」と言えば,一般的には「イタリア料理(店)」を意味しますが,特定の麺料理をそのイメージから「イタリアン」と呼ぶ地域もあります。

 有名なのが,大阪を中心とした西日本で「ナポリタン(スパゲティ)」のことを「イタリアン」と呼ばれている事例です。

(大阪のイタリアン(ナニワめし暮らし))
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 (はたのさとし「ナニワ飯暮らし 2」第10話の一部を加工・引用)

 ナポリタン(スパゲティ)は,玉ねぎ,ピーマン,ソーセージ,マッシュルームなどを炒め,トマトケチャップで味付けし,それをスパゲティに絡めて炒めた麺料理です。

(大阪のイタリアン紹介(ナニワめし暮らし))
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 (はたのさとし「ナニワ飯暮らし 2」双葉社の一部を加工・引用)

 「大阪やとこれナポリタン言わんとイタリアンっていうんやね」
 「ケチャップの味がなんか懐かしいて めっちゃ好きやわぁ」

 もう1例御紹介します。

(名古屋の「イタリアン」(おおきに!喫茶メモリーズ))
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 (治島カロ「おおきに!喫茶メモリーズ」少年画報社の一部を加工・引用)

 「ケチャップ味で炒めたスパゲッティをなんでか大阪では『イタリアン』言うんですわ」
 「地域名称ですな」
 「名古屋やと『鉄板で出すから板リアン』とかいう説もあるらしいですけども」

 名古屋では卵焼きの上にケチャップのスパゲティを乗せ,鉄板で出されるのが「イタリアン」だと紹介されています。

(大阪のイタリアン(おおきに!喫茶メモリーズ))
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 (治島カロ「おおきに!喫茶メモリーズ」少年画報社の一部を加工・引用)

 こちらは大阪の「イタリアン」の紹介です。

 「甘くケチャップのきいた赤い麺に」
 「ベーコンとマッシュルームがたっぷり」
 「時々たまねぎがシャリッとして」
 「ピーマンの緑が良く映える」

 ちなみに,私の住む広島では「ナポリタン」という名称が一般的です。

 ケチャップで味付けしたスパゲティ「ナポリタン(イタリアン)」は,「ドリア」や「プリンアラモード」とともに,神奈川県横浜市の老舗ホテル「ホテルニューグランド」が発祥とされています。

 ではなぜ「イタリアン」と呼ばれる地域があるのか,はっきりしたことはわかりませんが,料理がイタリアのイメージに当てはまることから「イタリアン」と呼ばれるようになったとか,関東の「ナポリタン」への対抗意識で「イタリアン」と呼ばれるようになったといった理由が考えられます。


新潟の「イタリアン」

 「イタリアン」と呼ばれる麵料理は新潟にも存在します。

 ただ,新潟の「イタリアン」は,「ナポリタン」や大阪・名古屋の「イタリアン」とは全く異なる独自の麺料理です。

 その大きな特徴は,麺が焼きそばであること,そして仕上げにミートソースを中心としたソースがかけられることです。

 新潟県民・新潟県出身者にとっての「イタリアン」は,イタリア料理(店)ではなく,新潟オリジナルの麺料理「イタリアン」なのです。

 それでは新潟県の代表的な2店舗の「イタリアン」を御紹介します。


新潟市「みかづき」のイタリアン

 新潟市中心部の「万代シティ」へやってきました。

(万代シティ)
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 グルメ,ショッピング,イベントなどが楽しめる複合商業施設で,バスセンターを有する交通拠点でもあります。

(万代シティPRキャラクター「ばんにゃい」)
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 「ばんにゃい」がドーナツを食べてます。かわいいな。

 施設内には「バスセンターのカレー」,「イタリアン」,「おにぎり」など新潟の名物料理を提供されているお店があります。

 その店舗の1つ,新潟市を中心に展開されている「イタリアン」のお店「みかづき」を訪問しました。

(「みかづき」万代店(照明なし))
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 開店前から並び…

(「みかづき」万代店(照明あり))
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 照明が付いて開店しました(笑)

(「みかづき」メニュー看板)
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 メニューを見ると,定番のミートソース以外にも,ホワイトソースやカレーソースなど多彩な「イタリアン」が用意されています。

 210円プラスでフライドポテトとドリンクが付くお得な「ポテトセット」も用意されています。

 定番の「イタリアン」を注文しました。

 注文を受けてから調理されるため,番号札を持ってテーブルでしばらく待ちました。

 そして待望の「イタリアン」が出来上がりました。

(イタリアン(みかづき))
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 これが新潟の「イタリアン」です。

 焼きそばの応用料理ですが,ミートソースがかかったスパゲティ風なので「イタリアン」と呼ばれています。

 白生姜(生姜の酢漬け)が添えられるのも,こちらのお店の特徴です。

(イタリアンの麺(みかづき))
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 もちもちとした弾力のある太麺の焼きそばです。

 具はキャベツともやしです。

 ミートソースにはコーンが入っています。

 これをフォークで食べるのも「イタリアン」のイメージによるものです。

 ミートソースが加わるため,焼きそばのソースはやや控えめに味付けされています。

 確かに,焼きそば単品でいただくよりも,ミートソースを添えていただく方が多彩な味と濃厚な旨味を楽しめ,より美味しくいただけました。


長岡市「フレンド」のイタリアン

 続いて新潟駅から信越本線に乗り,長岡駅へ向かいました。

(新潟駅ホーム・E129系・信越本線・長岡行)
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 あえて普通列車に乗り,新潟の景色を楽しみながら移動しました。

 約1時間10分かけて長岡駅に到着しました。

(長岡駅ホーム・駅名標とE129系(信越本線))
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 長岡駅に併設する「CoCoLo長岡」の1階にあるお店「フレンド」を訪問しました。

(「フレンド」CoCoLo長岡店)
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 「みかづき」と同様,新潟の「イタリアン」を提供する代表的なお店です。

 メニューには,定番の「イタリアン」のほか,ハンバーグをトッピングした「ハンバーグイタリアン」や「カレーイタリアン」,「オムレツイタリアン」などがありました。

 ハンバーグ(ドイツ),カレー(インド),オムレツ(フランス)などのメニューは,イタリアを超えた創作メニューとなっています。

 さらに,ギョウザ(中国)とセットでいただくのが地元流のようです。

 何と多国籍な(笑)

 定番の「イタリアン」を注文しました。

(イタリアン(フレンド))
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 こちらが「フレンド」の「イタリアン」です。

 焼きそばを炒め,ミートソースがかけられています。

(イタリアンの麺(フレンド))
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 麺はもちもちとした弾力のある太麺です。

 具はキャベツ,もやし,コーンです。

 ミートソースには挽き肉がたっぷり入っています。

 こちらのお店はフォークではなく,箸でいただくスタイルです。

 焼きそばとミートソーススパゲティを一緒にいただいているような,すごく得した気分になれる美味しい麺料理でした。


まとめ

 最後に,これまで御紹介した日本のイタリア料理史や「イタリアン」の事例から,新潟のイタリア料理と「イタリアン」についてまとめてみたいと思います。

 新潟は,日本で初めて日本人によるパスタ(マカロニ・「穴あきうどん」)製造機の開発に成功したり,日本で初めてイタリア人によるレストランが開業される(「イタリア軒」)など,早い時期からイタリア料理を日本に広め,普及させた地域です。

 その分,新潟の人々は昔からイタリア料理の存在を知り,意識してきたと言えるでしょう。

 ただ多くの人々にとって,イタリア料理に憧れは抱きつつも,レストランでイタリア料理を食べるのは高嶺の花だったのではないでしょうか。

 そこで登場したのが新潟の「イタリアン」です。

 既に流行していた「ナポリタン(イタリアン)」への対抗意識もあってスパゲティではなく焼きそばを使い,新潟の老舗「イタリア軒」のメニューと同様にミートソースやカレーをかけることでイタリア料理の雰囲気を出し,フライドポテト・ドリンク・ギョウザなどをセットに「ファストフード」として提供することで,より身近な食事・おやつとしたのが新潟の「イタリアン」なのです。

 新潟・大阪・名古屋と,それぞれ独自に「イタリアン」と呼びながらも,どこか真面目に「ナポリタン」の流儀(麺をケチャップやトマトソースで味付け,小判形(楕円形)のお皿で提供など)を守っているというのも面白いところです。

 「ナポリタン(イタリアン)」は今も昔も人気の高い料理で,だからこそ新潟の「イタリアン」をはじめ,長崎の「トルコライス」,岩手・花巻の「ナポリカツ」など様々な創作料理も生まれ,地元飯として愛され続けているのでしょう。

 新潟,そして日本各地の「イタリアン」は,イタリア料理への敬意と親しみを込めた愛称だと思います。

 今後は,新潟とイタリア,新潟と米のつながりから,新潟の美味しいお米を使った「リゾット」(イタリア料理)の新メニュー・ご当地グルメの開発も面白いかも知れませんね。

(長岡駅ホーム・上越新幹線)
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 1泊2日,実質1日の短い訪問でしたが,新潟の数多くの食文化を学び,味わうことが出来ました。


<関連サイト>
 「サンフリード」(長崎県長崎市田中町584-1)
 「イタリア軒」(新潟市中央区西堀通七番町1574)
 「ホテルニューグランド」(神奈川県横浜市中区山下町10番地)
 「万代シティ」(新潟市中央区万代1-6-1)
 「みかづき」(「万代店」新潟市中央区万代一丁目6-1 バスセンタービル2F ほか)
 「フレンド」(「CoCoLo長岡店」新潟県長岡市城内町1-611-1 ほか)

<関連記事>
 「新潟の食文化探訪1 -なぜ燕・三条地域で金属産業が発達し,背脂ラーメンが誕生したのか-
 「新潟の食文化探訪2 -佐渡岩もずく・南蛮海老・のどぐろ・のっぺ・笹川流れ藻塩・新潟すし三昧「極み」-
 「新潟の食文化探訪3 -おにぎり・神楽南蛮・みどりのラー油・笹団子・醬油おこわ・柿の種・新潟のお菓子-
 「新潟の食文化探訪4 -新潟県長岡市・山本五十六の水まんじゅうと洋風カツ丼-

<参考文献>
 池上俊一「パスタでたどるイタリア史」岩波ジュニア新書
 日本パスタ協会「パスタの歴史
 新潟日報教育モア「知ってた?新潟県内の「日本初」意外と身近にいっぱい!
 はたのさとし「ナニワ飯暮らし2 第10話「ふたりをつなぐ「鉄板イタリアン」」双葉社
 治島カロ「おおきに!喫茶メモリーズ」少年画報社

2022年8月14日 (日)

新潟の食文化探訪4 -新潟県長岡市・山本五十六の水まんじゅうと洋風カツ丼-

新潟から信越本線で長岡へ

 新潟駅から信越本線の電車に乗り,長岡を目指しました。

(新潟駅ホーム・E129系・信越本線・長岡行)
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 新潟市周辺は,上越新幹線,信越本線,越後線,白新線,羽越本線,磐越西線と様々な路線が乗り入れています。

 新潟駅から長岡駅へは上越新幹線を利用するのが早くて便利ですが,新潟の様々な路線の電車に乗り,地元の雰囲気を味わいながら旅をしたいと思い,信越本線での移動を選択しました。

 約1時間10分電車に揺られ,長岡駅に到着しました。

(長岡駅ホーム・駅名標とE129系(信越本線))
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 長岡駅前には「アオーレ長岡」という隅研吾氏が設計した複合型公共施設がありました。

 とても大きく立派な建物だったので気になって中に入ってみると,長岡市役所庁舎を兼ねた複合型公共施設でした。


山本記念公園と山本五十六記念館

 長岡は,海軍で活躍した山本五十六(やまもといそろく)の生誕地・ゆかりの地でもあります。

 市街地を歩いていると,山本五十六にちなんだ山本記念公園がありました。

(山本五十六の胸像)
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 山本五十六連合艦隊司令長官であります。

 同じ公園内に山本五十六の生家(復元)もありました。

(山本五十六の生家)
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 かつて山本五十六は,この家で好物の「水まんじゅう」を食べていたのかもしれません。

 ただ,山本五十六が好んで食べた「水まんじゅう」は,一般的な葛で作られたものとは異なり,水を入れたどんぶりに塩小豆の酒まんじゅうを入れ,それに氷(雪)や砂糖を加えて,甘く冷たくしたお菓子だったようです。

 ちなみに,山本五十六の好んだ独自の「水まんじゅう」は「川西屋本店」(長岡市殿町1-7-2)の酒饅頭(塩小豆)を使って味わうことが出来ます。

 山本記念公園を少し歩いた先に「山本五十六記念館」がありました。

(山本五十六記念館)
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 館内には,山本五十六一行が海軍一式陸上攻撃機でソロモン諸島バラレ島へ向かう途中,ブーゲンビル島(パプアニューギニア)で米軍戦闘機の襲撃を受け,墜落した時の攻撃機の左翼をはじめ,遺品や書簡,絵画など山本五十六にまつわる様々なものが展示されています。


「レストランナカタ」の洋風カツ丼

 長岡駅から徒歩約10分,市街地にある洋食店「レストランナカタ」を訪問しました。

(レストランナカタ入口)
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 看板メニューのカレーは,辛さを選ぶことができます。

 カレーの辛さは,普通の辛さ「1倍」から極極辛い「20倍」,さらには「50倍」まで選ぶことができます。

 辛さが増すにつれ,女の子(ポッポちゃん)が大変なことになってます(笑)

 お店は階段を上がった2階にありますが,その途中の壁に50倍カレーをクリアしたお客さんの写真がぎっしりと掲示されていました。

 そんな「レストランナカタ」のもう1つの看板メニューが「洋風カツ丼」です。

 「洋風カツ丼」は,長岡の代表的なご当地グルメの1つです。

 そして「レストランナカタ」は,長岡の洋食店の草分け「小松パーラー」のソースの味を引き継ぐお店の1つとなっています。

 平日の昼間はお得なランチメニューがあり,その中の「洋風カツ丼」を注文しました。

(洋風カツ丼(レストランナカタ))
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 こちらが長岡名物「洋風カツ丼」です。

 皿に敷いたライスの上に大きなトンカツがのせられ,その上から特製ソースがかけられたボリューム満点の料理です。

 ランチでは,この洋風カツ丼にみそ汁が付くのですが,これもまた日本の洋食店ならではの組み合わせです。

 長岡は「コシヒカリ」誕生の地であり,ライスが美味しいことは御説明するまでもありません。

 トンカツは大きくてサクサクで,トッピング用のカツではなく,それだけで立派なメイン料理になるようなトンカツでした。

 そして一番気になるのがソースです。

 デミグラスソースとは似て非なる「ファミリーソース」という秘伝のソースが使われています。

 ケチャップ,醤油,砂糖などが使われ,小麦粉でとろみがつけられたソースのようです。

 広島市内にある精肉店・老舗洋食店「ますゐ」では,トンカツやハンバーグのソースとして,切れ端の肉や骨・野菜などを煮込んだスープを使ったソースが使われますが,このソースの味によく似ていると思いました。

 甘酸っぱくてもったりとしたとろみがある,昔ながらの洋食の味でした。


まとめ

 新潟県内には,今回御紹介した長岡市の「洋風カツ丼」以外にも,トンカツを醤油ダレにくぐらせて丼飯にのせた「タレカツ丼」(新潟市)など,ちょっと珍しいご当地カツ丼が味わえるお店がたくさんあります。

 過去に当ブログ記事で,「燕・三条地域にある醬油ベースの背脂ラーメンは,会津地方との人・モノの交流に伴う食文化の影響も考えられる」というお話をしましたが,その考えは新潟のカツ丼にも当てはまりそうです。

 会津地方も新潟と同様にソースカツ丼(「会津ソースカツ丼」)が好まれているからです。
 (千切りキャベツをのせるかどうかなど,両者で違いも見られますが)

 新潟と会津を訪問し,それぞれの地のカツ丼やラーメンを食べ比べてみるのも面白そうです。


<関連サイト>
 「アオーレ長岡」(新潟県長岡市大手通一丁目4-10)
 「山本五十六記念館」(新潟県長岡市呉服町1-4-1)
 「山本五十六と酒まんじゅう」(「川西屋本店」新潟県長岡市殿町1-7-2)
 「レストランナカタ」(新潟県長岡市坂之上町2-3-6)
 「伝統会津ソースカツ丼の会」(福島県会津若松市上町2-38)

<関連記事>
 「新潟の食文化探訪1 -なぜ燕・三条地域で金属産業が発達し,背脂ラーメンが誕生したのか-
 「新潟の食文化探訪2 -佐渡岩もずく・南蛮海老・のどぐろ・のっぺ・笹川流れ藻塩・新潟すし三昧「極み」-
 「新潟の食文化探訪3 -おにぎり・神楽南蛮・みどりのラー油・笹団子・醬油おこわ・柿の種・新潟のお菓子-

2022年8月 7日 (日)

新潟の食文化探訪3 -おにぎり・神楽南蛮・みどりのラー油・笹団子・醬油おこわ・柿の種・新潟のお菓子-

 今回は,新潟ならではの様々な食を御紹介し,あわせて新潟の食文化の特徴についても考えてみたいと思います。


新潟のおにぎり

 新潟は日本有数の「米どころ」として有名です。

 新潟が米の一大産地となったのは,大地・気候・水に恵まれていることにあります。

 信濃川や阿賀野川によって形成された肥沃で広大な越後平野(大地),米の生育条件に最適な平均気温・昼夜の寒暖差(気候),腐葉土の養分がたっぷり含まれた大量の雪解け水(水)と,新潟は米の栽培条件に恵まれているのです。

 そんな「米どころ新潟」ならではの飲食店の1つが,おにぎり屋さんです。

 そこで,新潟市内のおにぎり屋さん「にぎり米(にぎりまい)」を訪問し,新潟のおにぎりをいただきました。

 月曜日(平日)の朝,開店時刻の少し前にお店に着きましたが,すでに開店を待つお客さんが並ばれていました。

 このお店では,握りたてのおにぎりを味わうことが出来ます。

 25種類のおにぎりの中から,おにぎりの定番「塩むすび(えんむすび)」と新潟ならではの「神楽南蛮味噌」の2つを注文しました。

(おにぎり(にぎり米))
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 握りたてのおにぎりがパリパリの焼き海苔に包まれて提供されました。

 まずはご飯の美味しさをダイレクトに味わえる「塩むすび」からいただきました。

(おにぎり(塩むすび))
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 ふんわりとした絶妙な握り加減で,ほどよい塩味がごはんの甘みをより一層引き立てていました。

 ご飯の美味しさをダイレクトに味わうことが出来ました。

 続いては「神楽南蛮味噌」です。

 「神楽南蛮(かぐらなんばん)」は,中越地方で生産されている唐辛子で,「神楽南蛮味噌」は,その神楽南蛮に味噌や大葉,砂糖などを混ぜ合わせた万能味噌です。

(おにぎり(神楽南蛮味噌))
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 神楽南蛮のピリ辛がアクセントとなった甘辛仕立ての味噌で,ごはんとの相性が抜群でした。

 新潟はおにぎりのお店が多く,米(ごはん)の美味しさに自信とプライドを持っておられることがわかりました。


神楽南蛮と「みどりのラー油」

 ここで,神楽南蛮について少し御紹介したいと思います。

 神楽南蛮は長岡市など中越地方で生産されている青い唐辛子の名称です。

 同じ新潟の「南蛮海老」という名称は,唐辛子(南蛮)のように真っ赤な色の海老であることに由来していますが,「神楽南蛮」の名称は,唐辛子(南蛮)の見た目が「神楽のお面」のように見えることに由来しています。

(長岡市の食材「かぐらなんばん」の紹介)
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 「長岡美食材図鑑」(長岡産ブランディング委員会)の一部を加工・引用

 長岡市役所でいただいた食材図鑑に「かぐらなんばん」が紹介されていました。

 果肉はパプリカのように肉厚で甘く,種やワタは辛味をもつため,食べると甘味の中にさわやかな辛味が感じられるそうです。

 長岡駅「CoCoLo長岡」のお土産店「ぽんしゅ館」で,神楽南蛮を使ったラー油「みどりのラー油」を購入しました。

(みどりのラー油)
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 小千谷市のへぎそば店「わたや」が開発した商品で,「調味料選手権 2020」辛味部門で最優秀賞を受賞された逸品です。

 この「みどりのラー油」を冷奴や鶏肉で味わってみました。

(冷奴(みどりのラー油))
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 冷奴に「みどりのラー油」をかけていただきました。

 一般的なラー油に比べて,さわやかでマイルドな辛さなので,冷奴の薬味として美味しくいただけます。

 続いて,塩茹でした鶏むね肉に「みどりのラー油」を合わせてみました。

(塩茹で鶏むね肉(みどりのラー油))
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 見た目はオリーブオイルのようなグリーンで,その鮮やかな色も料理に映えます。

 白髪ねぎや炒りゴマを添えてみました。

 塩茹でにより味がついていますが,「みどりのラー油」を少しつけるとグンと美味しくいただけました。


新潟市中心部散策

 新潟のおにぎり屋さんで朝食を済ませた後,新潟市中心部を散策しました。

 新潟市内を一望できる新潟日報本社ビルの最上階「新潟日報メディアシップ そらの広場」(無料)へ行ってみました。

 新潟市内の様子を御覧ください。

(新潟市内展望(南東方向))
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(新潟市内展望(南西方向))
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 写真の川が信濃川で,奥には新潟県庁も見えます。

(新潟市内展望(北西方向・萬代橋))
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 信濃川に南北に架かる橋が有名な「萬代橋(ばんだいばし)」です。

(新潟市内展望(北東方向)・朱鷺メッセ・新潟港)
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 高層ビルが朱鷺メッセで,その先は新潟港です。

 新潟市内を一望した後,萬代橋を渡り,新潟市中心街の本町(ほんちょう),古町(ふるまち)界隈を散策しました。

 途中,面白い信号機を見つけました。

(縦の車両信号と横の歩行者信号(新潟市中央区・上大川前交差点))
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 車両信号が縦になっているのは,雪国ならではの光景ですが,逆に歩行者信号は横になっているのが面白いです。

(縦の車両信号と横の歩行者信号(新潟市中央区・古町通りと新津屋小路の交差点))
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 歩行者信号が横に配置されているのは,そのすぐ上に商店街のアーケードがあるためですが,一般的には横に配置される車両信号が縦に,縦に配置される歩行者信号が横に配置されていることに興味を持ちました。


新潟の笹団子

 新潟のお土産店(お土産売場)や食品売場でよく見かけたのが「笹団子」です。

 笹団子は新潟の地元客にも観光客にも人気の食品で,実演販売されているお店も多く見かけました。

 私は,本町通り沿いにある「田中屋本店」にお邪魔しました。

(田中屋本店「笹だんご・ちまき」商品案内)
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 一般的な笹団子は,「つぶあん」と「こしあん」ですが,こちらのお店ではこのほかに「きんぴら」,「あらめ(海藻)」,「茶豆」も御用意されていました。

 甘い小豆あんが入った笹団子は「女団子」,きんぴらなどの総菜が入った笹団子は「男団子」とも呼ばれます。

 笹だんごを単品で注文すると,お店の奥のせいろから,蒸し上げられたばかりの笹だんごが出されました。

(出来立ての笹だんご)
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 笹の葉で包んだ団子を「イグサ」と呼ばれる紐(ひも)で結わえるのですが,その団子をさらにイグサで数個まとめた上で,せいろで蒸されます。

 そのため,私のように単品(バラ)で注文すると,イグサを解く作業が必要になるのです。

 「その場でいただくのが一番美味しいだろうな」と思いつつ,自宅に持ち帰っていただきました。

(笹だんご)
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 1つ1つ丁寧にイグサで結ばれているのがわかります。

 笹の葉には殺菌・防腐効果があるため,冷蔵庫がなかった昔は保存食の1つでもありました。

(笹だんご(笹とだんご))
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 イグサを解いた笹だんごの様子です。

(笹だんご(中身))
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 ヨモギだんごの中にあんこがたっぷり入っています。

 ほどよい甘さのあんこで,だんごもお餅に近いしっかりとした弾力あり,「さすが米どころ新潟のだんご」と納得できる一品でした。

 本当は「きんぴら」や「あらめ」なども購入したかったのですが,事前予約が必要とのことで,次回のお楽しみとなりました。

 参考のため,お店の方に「事前予約は数日前から必要ですか?」と伺ったところ,「2時間程度いただければ…」とのお話でした。

 それにしても「あかねちゃん」かわいかったなぁ。「あかねちゃん」グッズも買えばよかった…(笑)


醬油おこわ・醤油赤飯

 同じ「田中屋本店」で「正油おこわ」も購入しました。

(正油おこわ)
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 青えんどう豆と金時豆が入った醤油味のおこわです。

 また,長岡市には「醬油赤飯」と呼ばれる全国でも珍しい醤油味の赤飯があります。

(醬油赤飯の販売)
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 長岡駅「CoCoLo長岡」のお土産店「ぽんしゅ館」で,お土産用の醬油赤飯が販売されている様子です。

 小豆やささげの代わりに金時豆が使われ,赤飯特有の赤い色付けに醤油が使われているのが特徴です。

 新潟市内や長岡市内の餅・団子販売店,お土産店,食料品店などで販売されています。

 私も買ったのですが,新潟のお土産の1つとして差し上げました。

 自分用にもう1つ買っておけばよかった…。


柿の種・新潟のお土産

 萬代橋近くの自動販売機で,米菓「柿の種」が販売されていました。

(自動販売機で販売されている「柿の種」)
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 携帯用の「ポケパック」で販売されており,新潟市民にとって身近なお菓子なのだと改めて思いました。

 新潟県内のお土産店でも,浪花屋製菓や亀田製菓をはじめとした柿の種がよく販売されています。

 ちなみに亀田製菓の社名は地名に由来し,本社は信越本線の亀田駅が最寄り駅となっています。

(「笹団子あずきのケーキ」と「柿の種フロランタン」(包装))
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 こちらは新潟のお土産として購入した「笹団子あずきのケーキ」と「柿の種フロランタン」です。

(「笹団子あずきのケーキ」と「柿の種フロランタン」)
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 せっかくなら新潟らしいお土産をと思って選び,職場の皆さんに配ったのですが,広島では新潟の名物が笹団子だと知らない人も多かったのが印象的でした。

 「笹団子あずきのケーキ」は,ヨモギ風味のケーキに小豆あんが入ったもので,笹団子の特徴が生かされていました。

 「柿の種フロランタン」は柿の種にキャラメル生地がたっぷりかけられたお菓子で,柿の種のピリッとした辛さが楽しいアクセントになっていました。

 広島市内のスーパーマーケットでも新潟の米菓子が売られていました。

(「ばかうけ 青のりしょうゆ味」)
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 「栗山製菓(Befco・ベフコ)」の「ばかうけ 青のりしょうゆ味」です。

 3種ののり(青のり・アオサ・焼きのり)が入った米菓子(せんべい)です。

 万代島には新潟市内や日本海を見渡せる「Befcoばかうけ展望室」(無料)もあります。

 同じスーパーマーケットの米菓コーナーで,面白い「柿の種」を見つけました。

(「柿の種」焼牡蠣れもん味(瀬戸内限定)(包装))
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 広島の名産「牡蠣(かき)」の「柿(かき)」の種です(笑)

(「柿の種」焼牡蠣れもん味(瀬戸内限定))
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 広島県産レモンのパウダーが使われており,レモンの酸味と牡蠣の旨味が生かされた柿の種でした。


まとめ

 新潟の食を概観しましたが,米関連の食が多いことが御理解いただけると思います。

 また,新潟は酒米(さかまい)や酒造好適米(しゅぞうこうてきまい)の栽培も盛んで,日本有数の「酒どころ」でもあります。

 売るための上等米だけでなく,残ったお米も料理やお菓子の材料として無駄なく上手に使い,一方で酒米や酒造好適米の栽培にも力を注ぐなど,まさに米とともに発展してきたのが新潟だと言えるでしょう。

 「新潟はごはんやおにぎり,お寿司はもちろん,米関連のものは何でも美味しい」と自信を持って宣言します!


<関連サイト>
 「にぎり米」(新潟市中央区東大通2-8-4)
 「みどりのラー油」(「わたや」新潟県小千谷市本町2-3-34)
 「田中屋本店」(「本町店」新潟市中央区本町通6番町1105 ほか)
 「長岡赤飯」(「江口だんご」新潟県長岡市宮本東方町52-1)
 「亀田製菓」(新潟市江南区亀田工業団地三丁目1-1)
 「浪花屋製菓」(新潟県長岡市摂田屋町2680)
 「栗山製菓(Befco・ベフコ)」(新潟市北区新崎2661)
 「ブルボン」(新潟県柏崎市駅前一丁目3-1)

<関連記事>
 「新潟の食文化探訪1 -なぜ燕・三条地域で金属産業が発達し,背脂ラーメンが誕生したのか-
 「新潟の食文化探訪2 -佐渡岩もずく・南蛮海老・のどぐろ・のっぺ・笹川流れ藻塩・新潟すし三昧「極み」-

<参考文献>
 「長岡美食材図鑑」長岡産ブランディング委員会(長岡市農水産政策課)
 尾形希莉子・長谷川直子「地理女子が教える ご当地グルメの地理学」ベレ出版
 野瀬泰申「食は「県民性」では語れない」角川新書

2022年7月31日 (日)

新潟の食文化探訪2 -佐渡岩もずく・南蛮海老・のどぐろ・のっぺ・笹川流れ藻塩・新潟すし三昧「極み」-

燕三条駅から弥彦線・越後線経由で新潟駅へ

 新潟県燕市・三条市で金属加工産業とそれに関連する食文化について学んだ後,燕三条駅から弥彦線の電車に乗って吉田駅へ向かい,同駅で越後線の電車に乗り換えて新潟駅へ向かいました。

(E129系・吉田駅・越後線)
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 弥彦線や越後線など新潟地区で幅広く活躍している「E129系」と呼ばれる電車です。

 新潟地区の黄金色の稲穂を表した「黄金イエロー」と佐渡島のトキを表した「朱鷺(とき)ピンク」のラインが大きな特徴となっています。

 吉田駅からしばらくの間は田園風景が広がっていましたが,次第に住宅やビルが増え,電車は新潟市の中心部に入りました。

 そして終点・新潟駅に到着しました。

(新潟駅ホーム・駅名標とE129系(越後線))
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 ホームにはE129系の車両が多く,なんとなく駅全体がかわいいイメージになっていました。


新潟市内(万代島)散策

 新潟駅からバスで中心街の古町(ふるまち)へ行き,このエリア一帯をしばらく散策した後,徒歩で万代島(ばんだいじま)へ向かいました。

(信濃川と万代島(朱鷺メッセ・万代島フェリーターミナル))
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 信濃川の向かいが「朱鷺メッセ新潟コンベンションセンター」と「ホテル日航新潟」(写真右上),そして「万代島フェリーターミナル」(写真左上奥側)です。

 朱鷺メッセを経由して,その先の万代島フェリーターミナルまで歩きました。

 この万代島フェリーターミナルから佐渡島行きのフェリーに乗船することができます。

 ターミナル内に港湾の展示コーナーがありました。

(新潟県港湾資料室入口)
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(新潟県港湾資料室)
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 佐渡島行きフェリーの待ち時間を利用して,港湾について学ぶことができる施設でした。


「新潟はB級グルメ天国」

 さらに施設内を歩いていると,興味深いポスターを見つけました。

(ポスター「新潟はB級グルメ王国」)
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粟島:わっぱ煮
佐渡:佐渡ブリカツ丼
新潟:あっさり醤油ラーメン,濃厚味噌ラーメン,(鶏の)半身揚げ,新潟タレかつ丼,ポッポ焼き,イタリアン(みかづき)
燕三条:燕三条背脂ラーメン,カレーラーメン
弥彦:パンダ焼き(パンダの形をした饅頭)
長岡:長岡生姜醤油ラーメン,長岡洋風カツ丼,あぶらげ(ネギ付き),イタリアン(フレンド)
柏崎:サバサンド,柏崎鯛茶漬け
小千谷:小千谷へぎそば
十日町:十日町へぎそば
上越:頸城(くびき)の押し寿司,する天(塩スルメの天ぷら)
妙高:笹寿司
糸魚川:糸魚川ブラック焼きそば

 南北に長く,東西にも広がりのある新潟県だけに,各地に様々なご当地グルメがありますね。


サプライズ花火

 万代島から再び歩いて新潟市の繁華街へ向かっていると,背後から「ボン,ボーン」と花火の打ち上げ音が聞こえました。

 振り返ってみると,花火が打ち上げられていました。

(サプライズ花火(新潟市))
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 万代島から柳都(りゅうと)大橋を渡った先,秣川岸通(まぐさかわぎしどおり)交差点付近から眺めた花火です。
 (2022年6月12日夜)

 「♪花火はぁー越後のぉー 花火は越後のぉー♪」(小林幸子「雪椿」のフレーズで)

 紅白歌合戦で小林幸子さん(新潟市出身)のステージを迎えた時のように,驚きと感動に満ちた花火でした。


「越後の馳走」の郷土料理

 サプライズ花火ですっかり上機嫌の私は,続いて新潟市中央区東堀通の鮨・割烹店を訪問しました。

 事前に予約しておいたので,お店に入るとすぐにカウンター席を御案内いただきました。

 私は「越後の馳走」という郷土料理と寿司がセットになった会席料理を注文しました。

 お寿司屋さんのカウンターなので,少し緊張しながら,料理を待ちました。

(バイ貝煮・佐渡岩もずく酢・南蛮海老の佃煮)
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 先付けとして「バイ貝煮」(写真左側),「佐渡岩もずく酢」(写真中央),「南蛮海老の佃煮」(写真右側)をいただきました。

 だし風味をほんのりと感じるバイ貝の煮物,佐渡の天然岩もずくを使ったもずく酢,そして新潟の代表的な食材の1つ「南蛮海老」の佃煮を堪能しました。

 続いて「のどぐろの若狭焼き」が提供されました。

(のどぐろの若狭焼き)
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 のどぐろ(アカムツ)は,日本海側を中心に水揚げされる高級魚です。

 白身魚ですが,うなぎのようにとても脂がのっているのが特徴です。

 白身はふわふわでジューシーな仕上がり,そして皮はパリッと香ばしく焼き上げられていました。

 これは文句なしに美味しい一品でした。

 続いて,新潟の郷土料理「のっぺ」が提供されました。

(のっぺ)
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 「のっぺ」は,根菜やきのこ,鮭などが入った煮物です。

 里芋,蓮根,人参,タケノコ,椎茸,かまぼこ,ぎんなんなどの具に,上品なだし汁がしっかりとしみ込んでいました。

 美味しい料理も手伝って,次第に板前さんともお話しするようになり,心地よく過ごせるようになりました。

 続いて用意されたのが「南蛮海老の真丈揚げ」です。

(南蛮海老の真丈揚げ)
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 南蛮海老は,真っ赤な色と甘みの強さが特徴の甘エビです。

(南蛮海老の真丈揚げ(中身))
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 その南蛮海老を粗めにすり身にして油で揚げた料理です。

 天つゆのほかに,笹川流れの藻塩でいただきました。

(笹川流れ藻塩)
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 「笹川流れ」とは,新潟県村上市の海岸線に広がる岩礁や洞窟などの景勝地を言います。

 JR東日本のリゾート観光列車「海里」(羽越本線・新潟~酒田)に乗ると,この笹川流れの区間は徐行運転となり,車窓からもその景色を楽しめるようです。

 そんな笹川流れで作られた藻塩は,角の取れたまろやかな味わいで,南蛮海老の甘みをうまく引き立ててくれる一品でした。


新潟すし三昧「極み」

 新潟県内の寿司店舗が協力して提供されているお得なメニューがあります。

 「新潟すし三昧 極み」です。

 新潟の旬の地魚・トロ・イクラが付いた特上寿司10カンにお椀が付いて一律3,850円(税別3,500円)という大変お得な寿司セットです。

 今回私が味わった「越後の馳走」も,新潟の郷土料理と「極み」がセットになった会席でした。

 板前さんが「それでは寿司を御用意しますね」とおっしゃって,カウンターに受け皿と醤油が用意された時,いよいよクライマックスを迎えた気持ちになりました。

(醤油と南蛮えび醤油)
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 つけ醤油として,醤油(写真左側)と「南蛮えび醤油」(写真右側)の2種類が用意されました。

 「南蛮えび醤油」は,南蛮海老から作られた魚醤で,海老の風味豊かな醬油です。

 そして寿司の受け皿にも工夫がなされていました。

(安田瓦の皿と新潟県の刻印)
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 安田瓦は新潟県阿賀野市の伝統瓦で,美しい鉄色をしているのが特徴です。

 その安田瓦の素材で作られ,新潟県の形をした刻印が施されている受け皿でした。

 板前さんが1つ1つ丁寧に握ってくださったお寿司をいただきました。

 そのお寿司を御紹介します。

(スズキ)
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 河口や海に生息するスズキは,大きな川によって成り立った新潟ならではの魚です。

(マグロ)
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 マグロの赤身です。透き通るような赤色が印象的でした。

(バイ貝)
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 バイ貝の刺身の海苔巻きです。

 新鮮でコリコリした歯応えのバイ貝と,パリッとした板海苔の食感を楽しめました。

(南蛮海老)
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 新潟を代表する魚介,南蛮海老です。

 写真撮影用にと,飾りの尻尾もつけていただきました。

 身がとても甘くてねっとりしており,南蛮えび醬油との相性も抜群でした。

 この時,板前さんから「南蛮海老」の名前の由来を教えていただきました。

 南蛮海老の「南蛮」は赤い唐辛子の意味で,その南蛮と同じように濃い赤色をした海老なので,「南蛮海老」と呼ばれているのだそうです。

 ちなみに,唐辛子のことを北陸や東日本では「南蛮」と呼ぶ地域が多く,九州では「胡椒」と呼ぶ地域が多いのですが,皆さんの地域ではどう呼ばれているでしょうか。

(赤イカ)
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 こちらは赤イカです。

 イカに包丁で細かく切れ目が入っており,シソや梅のアクセントも光っています。

 たれが塗られていたので,そのままいただきました。

(マグロの中トロ)
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 マグロの中トロです。お寿司屋さんのカウンターで中トロがいただけるなんて最高です。

(甘鯛の昆布締め)
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 こちらは甘鯛の昆布締めです。

 ねっとりとした歯ごたえと熟成された旨味を味わえました。

(ヒラメ)
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 ヒラメです。繊細で上品な味を堪能しました。

(南蛮海老の味噌汁)
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 途中で南蛮海老の味噌汁が提供されました。

 海老の頭から出るだしが,みそ汁に海老の風味と深いコクを与えていました。

(アジ)
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 こちらはアジの握りです。

 新鮮なアジでないと刺身では食べられません。

 刻み生姜とネギがのせられており,たれも塗られていたので,そのままいただきました。

(のどぐろの炙り)
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 のどぐろの炙りです。

 一品料理で出された炙りと同じく,脂がしたたり落ちるのではないかと思うほど脂がのっていました。

 正直な話,中トロよりも深く印象に残りました。

 「のどぐろ」という名称は,口を開けた時に「のど」の奥が「黒い」ことに由来しているのですが,その名称が新潟から広まったことについては,板前さんからのお話で初めて知りました。

 私は広島県に近い島根県浜田市あたりで呼ばれている地方名かと思っていましたが,今では全国で呼ばれているようです。

(いくらの軍艦巻き)
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 いくらの軍艦巻きです。

 いくらの粒が大きく,1粒1粒からパーッと旨味が飛び出しました。

(だし巻き玉子)
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 締めはお店自慢のだし巻き玉子でした。青のりの風味がきいて,ほのかに甘い玉子焼きでした。

 新潟の新鮮な魚介類をお寿司でたくさん味わうことが出来ました。

(いちごのムースとさくらんぼ)
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 そして,新潟県内各地の食材・産品が集約された,まさに「御馳走」と呼ぶにふさわしい会席でした。


新潟でお寿司をいただいてわかったこと

 最初は,握って出されたお寿司を箸でいただいていたのですが,途中からじかに手に取っていただきました。

 手で握ってもらったお寿司を,箸でつまんでいただくことに抵抗を感じ始めたからです。

 実際に手でいただくことで,板前さんのお気持ちまでじかに受け取っているような気持ちになりました。

 あと,新潟のお寿司は,新鮮なネタはもちろん,シャリがとても美味しいことがわかりました。

 こちらのお店では,新潟県加茂市・加茂七谷(かもななたに)産のコシヒカリが使用されていましたが,シャリだけでも美味しいと思ったのは人生初で,さすが米どころ新潟だと思いました。

 板前さんに寿司を握ってもらっている途中で,「この調子だと量が多いかも知れない」と思い,カッコつけて「シャリ少なめでお願いします」とお願いしたことを後で後悔しました(笑)

 今回はコース料理の一環として,しかもカウンターでいただいたこともあって,お寿司を一貫ずつ御提供いただきましたが,「極み」を注文した際は,こんな感じで提供されるようです。

(新潟すし三昧「極み」(イメージ・広告))
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 新潟県すし商生活衛生同業組合の広告の一部を加工・引用

 高級なお寿司屋さんでも,定額でこれだけの内容なら,観光客でも安心して注文できますよね。

 本当に採算度外視では?と思うほど充実した新潟すし三昧「極み」。

 機会があれば,新潟すし三昧「極み」で,贅沢の「極み」・幸せの「極み」を体験してみてください。


<関連サイト>
 「のっぺ」(農林水産省「うちの郷土料理」新潟県)
 「地域ブランド 安田瓦」(安田瓦協同組合)
 「新潟県すし三昧 極み」(新潟県すし商生活衛生同業組合)
 「鮨・割烹 丸伊」(新潟市中央区東堀通8-1411)

<関連記事>
 「新潟の食文化探訪1 -なぜ燕・三条地域で金属産業が発達し,背脂ラーメンが誕生したのか-

<参考文献>
 まっぷる「新潟 佐渡 '23」(昭文社)
 野瀬泰申「食は「県民性」では語れない」角川新書

2022年7月24日 (日)

新潟の食文化探訪1 -なぜ燕・三条地域で金属産業が発達し,背脂ラーメンが誕生したのか-

 2022年6月中旬に,東京駅から上越新幹線に乗り,新潟県を訪問しました。

(東京駅21番ホーム・上越新幹線「とき」309号・新潟行)
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 燕三条(つばめさんじょう)駅で下車し,新潟県三条市・燕市の観光施設・飲食店などをめぐりました。

 今回は,三条市・燕市の観光施設や飲食店を御紹介し,併せて,この地域で金属産業が発達した理由や背脂ラーメンが誕生した理由についても探ってみたいと思います。


燕三条駅と特産品展示

 燕三条は金属産業の街として有名で,燕三条駅構内にも様々な金属製品が展示されています。

(燕市観光掲示板)
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 「ようこそ!磨き 輝き 集うまち 燕市へ」

 燕市のイメージキャラクターの「きららん」(写真右上)が出迎えてくれました。

(燕三条駅「ジャンボナイフ&フォーク」)
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 駅構内にジャンボナイフ・フォークが展示されています。

 ナイフは長さ4m・重量98kg,フォークは長さ3.8m・重量78kgで,通常のフォーク・スプーンの約1000本分に相当するステンレスが使用されています。

 燕(ツバメ)にかけて,ヤクルトスワローズのマスコットキャラクター「つば九郎」も応援隊長としてまちを盛り上げています。

(燕三条駅・特産品展示コーナー)
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 包丁やカトラリー(ナイフ・フォーク・スプーン)などの金属製品が博物館のようにずらりと展示されているコーナーがありました。

 「まさか,ないとは思うけど…」展示品を順に見て回っていると…

(燕三条駅・特産品展示コーナー(耳かき))
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 「あっ,あった!」

 何と金属製の耳かき(写真左上)まで展示されていました。

 さらに駅構内には,燕三条産品の展示・販売施設「燕三条駅観光物産センター・燕三条Wing」もあり,情報収集・お土産の購入にとても役立ちました。

(燕三条駅)
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道の駅 燕三条地場産センター

 燕三条駅から徒歩で「道の駅 燕三条地場産センター」へ行きました。

 館内に入ると,ジャイアント馬場さんの等身大パネルがありました。

(三条名誉市民・ジャイアント馬場・等身大パネル)
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 三条市御出身のジャイアント馬場さんの身長は209cm!

 ジャンボナイフ&フォークといいジャイアント馬場さんといい,何もかもジャンボサイズです(笑)

 館内にスプーン磨き体験の案内がありました。

(スプーン磨き体験案内)
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 このスプーン磨きを体験してみることとしました。

 申込みを済ませると,研磨前のスプーンを御用意していただきました。

 そのスプーンを持って体験コーナーへ行きました。

 最初に職員の方からスプーン研磨のしくみや方法について学びました。

(スプーン研磨前・研磨後の様子)
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 こちらは研磨前と研磨後のスプーンの様子です。

 バフ(羽布)と呼ばれる円盤状の研磨輪で,くすんだ表面のスプーンをピカピカに研磨します。

 今回はスプーンの背(凸側)の研磨を体験しました。

 エプロンと軍手をお借りし,着用しました。

 今回の研磨は2段階あり,最初に中仕上げ研磨,次に仕上げ研磨を行うとのことでした。

 中仕上げの研磨にはシロ(白砥石(粗目))が使われ,仕上げの研磨にはアオ(青砥石(極細))が使われます。

(バフ機械)
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 こちらがバフで作業する機械です。

 まずは職員の方に研磨のお手本を見せていただきました。

(バフ研磨の様子)
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 このように,回転するバフにスプーンの背をまんべんなく押し込む感じで研磨します。

 このあと私も挑戦しましたが,スプーンに体重をのせるような感じで,スプーンをかなり力で押さえながら研磨する必要があり,大変な作業であることが実感できました。

 ちなみに今回のスプーンは,普通に買っても300円ぐらいするもので,研磨体験用に商品のスプーンにあえて細かなキズをつけたものとのことでした。

 このあと,館内の事務所でレンタサイクルを申し込み,自転車をお借りして,燕市内を周遊することとしました。


燕のご当地グルメ「背脂ラーメン」

 レンタサイクルで燕のご当地グルメ「背脂ラーメン」が味わえるお店「杭州飯店」を訪問しました。

(杭州飯店とレンタサイクル)
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 「杭州飯店」は燕背脂ラーメンの元祖のお店です。

 燕三条から結構な距離があるからか,車で来店する客がメインで,私のように自転車で来店する客は数少ないようです。

 私の住む広島県の「尾道ラーメン」(尾道市)も背脂ラーメンなので親しみを持てます。

 どんなラーメンが味わえるのかワクワクしながら「中華そば」を注文しました。

(中華そば(杭州飯店))
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 醤油ベースのスープに極太麺,具はチャーシュー・メンマ・玉ねぎで,仕上げに豚の背脂がたっぷり加えられています。

(麺の様子(中華そば・杭州飯店))
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 麺はうどんのようにコシのある極太麺です。

 この極太麵が,煮干しだしの濃口醬油スープと背脂のコクをしっかりと受け止めてくれます。

 スープを飲んでみると,見た目ほどには味も濃くなく,背脂のしつこさも感じませんでした。

 背脂が細かく,粗みじん切りの生の玉ねぎが添えられているからだと思います。

 煮干しを使った醤油ベースのスープであることや,仕上げに背脂が加えられることなど,尾道ラーメンとの共通点が多いですが,麵の太さ・背脂の大きさと量・スープの濃さなど,尾道ラーメンとは違なる点もいくつかあります。

 サイドメニューとして,餃子や牛すじ煮込みを注文される方も多く見かけました。

 このラーメンなら,ライスとの相性も良いと思います。

 ボリューム満点でしたが,あっという間に美味しくいただきました。


燕市産業史料館とチタン製スプーン酸化発色体験

 続いて,自転車で燕市産業史料館を目指しました。

(燕市産業史料館とレンタサイクル)
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 館内には,カトラリーなど金属製品の展示室,鎚起(ついき)銅器の展示室,燕の金属産業の歴史と技術の紹介コーナー,企画展示室,矢立(やたて)煙管(キセル)館,体験工房館など数多くの施設・コーナーがあります。

(世界最大のスプーン&フォーク)
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 こちらはギネスブックに認定された世界最大のスプーン(全長204cm・重さ20kg)とフォーク(全長215cm・重さ16kg)です。

 訪問当日は学芸員による「第45回燕手仕事展」の作品解説会が開催されたので,その解説会にも参加させていただきました。
 (約2年半ぶりの記念すべきイベントだったようです。)

 その後体験工房館へ行き,「チタン製スプーン酸化発色体験」にチャレンジしました。

 これは,電解液を入れた水槽の中にチタン製スプーンを入れて電流を流すと,電気分解でスプーンの表面に酸化被膜による着色がなされる仕組みを体験するものです。

(酸化発色したスプーンのサンプル)
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 電解液に浸ける時間(電圧)を変えることにより,様々な色のスプーンを作ることができます。

(発色前のチタン製スプーンと直流電圧機器・電解液水槽)
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 電解液からスプーンを引き上げる時間を段階的にずらせば,色にグラデーションをもたせることもできます。

 私はこの方法でスプーンに着色してみました。

(純チタン製オリジナルカラースプーン)
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 こちらが完成したスプーンです。

 塗料を使わずに金属に着色できることに驚きました。

 御指導いただいた学芸員の方に,私が燕市内を巡った際に感じた疑問を伺ってみました。

 私:「燕市内の道路を自転車で走っていると,どこも路面が赤茶けた色になっていました。これはたくさんの金属を扱う燕ならではの光景なのでしょうか」

(燕市内の道路)
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 学芸員:「あれは道路の雪を溶かす地下水に鉄分が含まれているためです。金属産業が集まっているからではなく,雪国ならではの光景なのですよ」

 なるほど…燕・三条地域の特別な光景だと思っていたのですが,私が雪国の事情をよく知らなかっただけの話でした(笑)


燕・三条地域で金属産業が発達した理由

 ここで,なぜ燕・三条地域で金属産業が発達したのか,さらに,なぜ燕で背脂ラーメンが誕生したのか,簡単に触れておきたいと思います。

 まずは燕・三条地域で金属産業が発達した理由からです。

 燕・三条地域で金属産業が発達した理由はその地理的条件にあります。

 信濃川流域に位置する燕・三条地域は,信濃川の恩恵に授かる一方で,度重なる川の氾濫(水害)に悩まされてきました。

 苦労して農作物を作っても,信濃川の氾濫で一気に流されてしまうことも多かったのです。

 そんな環境に苦しんだ農民は,副業として「和釘」づくりなど金属加工業に取り組むようになりました。

(和釘)
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 リーフレット「燕市産業史料館」(燕市産業史料館)を一部引用

 それは,次の4つの地理的条件に恵まれたからです。

 (1)弥彦山からの材料(銅)供給,(2)下田郷からの燃料(木材・炭)補給,(3)仙台地方(鎚起銅器)や会津地方(矢立・煙管(キセル))からの職人・技術の伝来,(4)川を使った流通(北前船を利用した鉄の入手・出来上がった金属製品の運搬)

(燕で金属産業が発達した地理的条件)
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 リーフレット「燕市産業史料館」(燕市産業史料館)を一部引用

 こうして燕・三条地域では和釘・銅器・ヤスリ・矢立・煙管などの金属産業が盛んとなりますが,明治維新以降,西洋化の進展(洋釘の普及など)や度重なる不況により,再び苦境に追いやられることになります。

 こうした中,これまでの金属加工技術をもとにした金属洋食器の製造に活路を求めるようになりました。

 その後,高度な金属加工技術を持つ燕・三条地域の金属洋食器は,日本のみならず世界でも高い評価を得るようになり,一方で量産化が進められたこともあって,ステンレスなども含むありとあらゆる金属製品を生産するまちとして発展し,現在に至っています。


燕で背脂ラーメンが誕生した理由

 次に,燕で背脂ラーメンが誕生した理由ですが,実はこちらも金属産業と大きく関わりがあります。

 背脂ラーメンは,昭和30年代の高度成長期に,金属洋食器などの製造で忙しい職人のために考案されたラーメンです。

 極太麵は出前でも伸びにくくするため,醤油味の濃い醤油スープは汗をかいて働く職人たちの味覚と体調に合わせるため,背脂は時間が経ってもスープが冷めにくく,コクとボリュームを引き出すためと,まさに金属産業にかかわる職人のために誕生したラーメンなのです。

 さらに,会津地方との人やモノの交流により,会津の金属加工技術だけでなく,食文化も影響を受けたのではないかと私は考えます。

 会津・喜多方の代表的なラーメンは醤油ベースの平打ちちぢれ麺ですが,これは燕のラーメンと共通しています。

 地図で見ても会津と新潟はかなり近く,人々の交流に伴って,食文化においても少なからず影響を受けていることは間違いないでしょう。

 そのため,会津・喜多方ラーメンがお好きな方は,きっと燕の背脂ラーメンも気に入られると思います。
 (尾道ラーメンがお好きな方もきっと(笑))


まとめ

(燕市地図(今回の訪問地))
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 ※画像をクリックすると拡大します。

 レンタサイクルをフル活用して三条市・燕市の施設・飲食店をめぐりました。

(「スプーン磨き体験」のスプーンと「純チタン製オリジナルカラースプーン」)
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 世界に1つだけのオリジナルスプーンは,旅の良き思い出となりました。

(県央大橋から眺めた中ノ口川)
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 川の恵みも氾濫もすべて受入れ,発展してきたまち,燕市・三条市。

 約半日の滞在でしたが,金属産業の成り立ち・歴史から,ご当地グルメ・背脂ラーメンの誕生に至るまで,数多くのことが学べました。


<関連サイト>
 「燕三条駅観光物産センター・燕三条Wing」(新潟県三条市下須頃502-3・JR燕三条駅2F)
 「道の駅 燕三条地場産センター」(新潟県三条市須頃1-17)
 「燕市産業史料館」(新潟県燕市大曲4330-1)

<参考文献>
 新潟県燕市観光ガイド「つばめぐり」(燕市観光振興課・燕市観光協会)
 「燕と弥彦ぐるぐるMAP」(燕・弥彦広域観光連携会議)
 リーフレット「燕市産業史料館」(燕市産業史料館)

2022年6月12日 (日)

長崎県西海市・大島造船所の大島トマト「ルビーのしずく」

大島造船所のトマト

 私の職場は船を所有しており,専属の船長さんもおられます。

 その船長さんから,大島造船所のトマトの話を伺いました。

 大島造船所は,長崎県西海市大島町にある「ばら積み貨物船(バルクキャリア)」の製造をメインとする会社です。

 その造船所の事業でトマトを栽培されているとのお話でした。

 しかも,そのトマトは最小限の水と肥料だけ与えられ,潮風に当たって育てられるので,糖度が高く,とても美味しいとのことでした。

 船長さんは大島トマトの美味しさをよく御存知で,それだけに広島ではなかなか入手できないことを残念がっておられました。

 私は「長崎・造船所・トマト」とキーワードを記憶し,いつか現地へ行くか,通信販売でそのトマトを味わってみたいと思うようになりました。


大島造船所のトマト栽培

 大島造船所のトマト栽培について,少しまとめておきたいと思います。

 トマトの原産地は,南米・アンデス山脈の高原です。

 その原産地の環境(乾燥した荒れ地)と同じように,水分や肥料をぎりぎりまで抑えてトマトを栽培すると,トマトは体中に産毛を生やして空気中からも水分を吸収し,自ら糖分を蓄えるようになります。

 この栽培方法は「スパルタ農法」とか「いじめ農法」などと呼ばれ,甘みやうま味が凝縮されたトマトが出来上がります。

 大島造船所では「ファースト」という大玉品種のトマトを扱っておられます。

 この「ファースト」を「スパルタ農法」で育てることで,果肉が引き締まった,糖度の高いトマトを提供しておられるのです。

 つまり大島造船所のトマトは,度重なる「いじめ」を経験することで徹底的に鍛え上げられ,甘みとうま味が最強になったトマトだと言えるでしょう。

 大島造船所のトマトにかけておられる情熱・思いは大きく,同社の旗・シンボルマークにも錨と並んでトマトが描かれています。

 当初は雇用創出の一環として着手されたトマト栽培ですが,今では知る人ぞ知る高級ブランドトマトとして,全国から高い評価を得ています。


大島トマト「特選 ルビーのしずく」のお取り寄せ

 大島造船所のトマトは,販売時期が限られ,なおかつ人気商品なので,注意しておかないと通信販売でもなかなか入手することができません。

 船長さんの話も忘れかけていた2022年4月下旬,ふと気になって大島造船所のオンラインショップを訪問したところ,偶然にも大島トマト「特選 ルビーのしずく(糖度9度以上)」が販売中となっていました。

 高級ブランドトマトだけに少し高価(1箱3900円(税込)+送料)なのですが,「このチャンスを逃せば今度はいつになるかわからない」と思い,勇気を出して注文しました。

 注文して約1週間後,大島造船所から大島トマトが届けられました。

(大島トマト「ルビーのしずく」(箱))
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 届いた時の感動はひとしおで,「やっぱり購入して良かった」と思いました。

 想像していたよりコンパクトな箱でした。

 それでは箱を開けてみましょう。

(大島トマト「ルビーのしずく」(開梱))
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 箱の中には,3×4で計12個のトマトがきれいに並べられていました。

 想像していたよりたくさん入っていました。


大島トマト「ルビーのしずく」のサイズ・形・色

 大島トマト「ルビーのしずく」を観察し,その特徴をまとめてみたいと思います。

(大島トマト「ルビーのしずく」(ヘタ側))
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 大島トマトは一般的なトマトと比べて,小さめでくびれがはっきりしている(でこぼこしている)のが特徴です。

 普通に育てるとソフトボールぐらいの大きさになるそうなので,これはまさに「スパルタ農法」の結果です。
(「スパルタ農法」を想像すると,トマトのボディーが少し痛々しく見えてしまいました…(笑))

(大島トマト「ルビーのしずく」(おしり側))
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 トマトの表面に赤色と橙色の縞が入っており,特別感があります。

(大島トマト「ルビーのしずく」(先端部))
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 大島トマトの先端部に注目してみると,細かな産毛がまんべんなく映えている様子が伺えました。

 この産毛から空気中の水分を摂取して必死に育ってきたのでしょう。

 大島トマトを包丁で切って,中を確かめてみました。

(大島トマト「ルビーのしずく」(カット))
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 かわいいハート形の断面になりました。


大島トマトの味・食感

 大島トマトの箱に説明書きが同梱されていました。

 その説明書きには,
 「大島トマトは冷蔵庫にいれないで2~3日常温に置いてください」
 「食べる1時間位前に冷蔵庫で冷やしてお召し上がりになると,より一層美味しくいただけます」
と記載されていました。

 この方法で,大島トマトをいただきました。

 皮はかたくてしっかりとしており,中の果肉はとても甘くジューシーでした。

 皮がかたいのは,甘みとうま味が凝縮されている証拠でもあります。

 野菜というより,フルーツと呼んだ方が良いくらい,甘くて美味しいトマトでした。

 数量があったので,1週間程度置いた(4日後ぐらいからはやむなく冷蔵庫に入れて保存しましたが…)大島トマトもいただきました。

 すると皮が少しやわらかくなり,実が熟して真っ赤になっていました。

(大島トマト「ルビーのしずく」(スライス))
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 スライスしたトマトをいただいてみると…届いてまもなくいただいたトマトと比べ,甘さがさらに増していました。

 こうなると,もはやスイーツのレベルでした。

 大島トマト「ルビーのしずく」。
 
 甘味とうま味が凝縮された,とても美味しいトマトでした。


まとめ

 大島トマト「ルビーのしずく」を職場へ持って行き,情報を提供していただいた船長さんにおすそ分けしました。

 私がまだ袋詰めした大島トマトを手に持っている時から,「あっ,大島造船所のトマト?」と気付いてくださいました。

 私:「そうです。大島トマトがやっと入手できました!」
 船長:「(興奮気味に)日本で一番手に入らないトマトだよー」
 私:「わずかですが,どうぞ」
 船長:「高いのに…長崎へ行けば少しは安く買えるだろうけど…」
 私:「貴重な情報をいただいたお礼です。お受け取りください」
 船長:「ありがとう」

 おすそ分けできた私も嬉しく思いながら,桟橋を後にしました。

 今回御紹介した造船所とトマトのお話もそうですが,人と人とのつながりの中で,思いがけない情報を入手できることがあります。

 「お金を出せば何でも情報が入手できる」わけではないと思います。

 私はそうした意味でも人付き合いを大切にしたいと思っています。

 そして,当ブログ記事を読んでいただいた皆様の中に,「これはいい情報だ」と思ってくださる方がおられたら,筆者としてこんなに嬉しいことはありません。


<関連サイト>
 「大島とまと農園」(長崎県西海市大島町1131-1)
 「大島造船所」(長崎県西海市大島町1605-1)
 「ぎゅぎゅっと!西海・大島トマト」(長崎県西海市)

2022年5月29日 (日)

広島の名物・郷土料理6 -廿日市市の「お魚バーガー」・「佐伯だより」・「あんパン饅頭」,広島市安佐南区「べっぴん芋蜜ようかん」-

 広島県内の地元ならではの食や,ちょっと珍しい食を御紹介するコーナーです。

 今回は,廿日市市と広島市安佐南区の食を御紹介します。


廿日市市吉和「nakazawa」の「お魚バーガー」

 廿日市市吉和の「ウッドワン美術館」で芸術鑑賞した後,その近くにある「nakazawa(中沢商店)」を訪問しました。

(「nakazawa」店舗)
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 私の目当ては「お魚バーガー」です。

 廿日市市の観光パンフレットに「一押しは店頭に並ぶとすぐに売り切れてしまう『お魚バーガー』。お魚は日替わりなので何度でも食べたくなる!」と紹介されていたので興味を持ちました。

 お昼過ぎに伺ったので,「お魚バーガー」はもうないかも知れないと思ったのですが,お店に入ると,ちょうど出来上がって店頭に並べられているところでした。

 そして,この「お魚バーガー」が店頭に並んだ先から,お客さんが購入されていました。

 この日のお魚は,まんさくとサワラでした。

 「まんさく(万作)」は中国地方での呼び名で,一般的には「シイラ」と呼ばれる魚です。

 「そんな魚シイラない」という方も多いと思いますが,黄色い独特の形をした魚で,釣り好きの方ならトローリングで釣れる魚として御存知の方も多いと思います。

 私はこのお魚バーガー(まんさくバーガー・450円)を購入しました。

(お魚バーガー(まんさくバーガー)(包装))
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 出来たてで,手にじんわりと温かさが伝わってきました。

 ラップで包み,マジックで手書きなところも手作り感満載でいいですね。

 ちなみにこのイラストの女の子,「なか子ちゃん」というお店のイメージキャラクターです。

 本当は買ってすぐに食べるのがベストですが,私は自宅に持ち帰っていただきました。

 ラップを外してみました。

(お魚バーガー(まんさくバーガー))
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 まんさくの切り身をフライにし,バンズで挟んだバーガーです。

 フライが大き過ぎて左右にはみ出しています(笑)

(お魚バーガー(まんさくバーガー)(中身))
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 バンズの中に,上から順に,タルタルソース,魚のフライ,チーズ,マヨネーズ,レタスが挟まれていました。

 まんさくは,サワラやサバに似た,さっぱりとしてクセのない白身でした。

 特製のにんにく醤油を効かせたフライに仕上げられていて,この味がタルタルソースやチーズ,マヨネーズと相性抜群でした。

 きちんと焼かれたバンズやシャキシャキのレタスもバーガーの美味しさを引き立てていました。


廿日市市津田「津保美堂」の「佐伯だより」と「あんパン饅頭」

 「nakazawa」の店員さんから,「お魚バーガー」のお話に続いて,「お魚バーガー」の隣に陳列されていた廿日市市津田「津保美堂」の「佐伯だより」のお話を伺いました。

 店員:「津田の『津保美堂』へ行かれたことありますか?」
 私:「はい。二重焼き(※)をいただいたことがあります。今日も車でお店の前を通ってきました」
 店員:「あのお店は二重焼きで有名ですけど,実はこの『佐伯だより』も美味しいんです」
 私:「へぇー,そうなんですか」
 店員:「皆さんあのお店の二重焼きだけ買って,これ(佐伯だより)を買わない人が多いけど,実はこちらの白あんがおすすめですよ」
 ※二重焼き…今川焼き・大判焼きの広島での呼び名。

 と教わったので,普段私は白あんを買うことはないのですが,地元の方がこれほどまでおっしゃるならと小豆あんと白あんを1個ずつ,そしてこれまた珍しい「あんパン饅頭」なる商品も1個,購入しました。

(「佐伯だより」と「あんパン饅頭」(包装))
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 「佐伯だより」はどら焼き,あんパン饅頭は饅頭の形をしたあんパンです。

(「佐伯だより」と「あんパン饅頭」)
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 写真右が「佐伯だより」の小豆あん,左が白あん,奥が「あんパン饅頭」です。

 小豆あんは粒あんのどら焼きです。

 適度な甘さの粒あんで,どら焼きの生地も甘くてしっとりとしていました。

 続いて,白あんをいただきました。

 こちらは珍しく「こしあん」です。

 「確かに…この白あん美味しい」

 ねっとりとして,ほどよい甘さの白あんで,手亡(白いんげん豆)の香りも生かされています。

 私もすっかり白あん派となりました。

 最後に「あんパン饅頭」です。

 大きさ・形は饅頭ですが,生地はパンに近いお菓子です。

 中の小豆あんは饅頭用に水分控えめな仕上げとなっています。

 ミニあんパンと呼べるような,ユニークな饅頭でした。

 車で広島市内の自宅へ戻る途中,津保美堂の前を通ると,名物の二重焼きを求めてお客さんの行列ができていました。

 ボリューム満点の二重焼きで,当然ながらこちらもおすすめです。


広島市安佐南区「まるも株式会社」の「べっぴん芋蜜ようかん」

 廿日市市津田の県道30号沿いに「ひふみ市場」という産地直売所・軽食店があったので,寄ってみました。

(「ひふみ市場」店舗)
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 店内には地元の新鮮な野菜,加工品,お土産,オーガニック商品などがずらりと並べられていました。

 その中に「べっぴん芋蜜ようかん」という興味深いお菓子を見つけました。

(「べっぴん芋蜜ようかん」チラシ)
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 ウッドワン美術館で企画展「つながる美人画」を観賞したり,レストランめがひらでコラボ膳「つながる美人飯」をいただいた後だったので,なおさら「べっぴん」という言葉に惹かれました。

 芋蜜,スイカエキス,乳酸菌生産物質などのこだわり素材が入った「最強の腸活ようかん」とのことで,購入してみました。

(「べっぴん芋蜜ようかん」(箱))
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 箱の裏には,「血糖に影響しにくく抗酸化力に優れた蜜芋,スイカをまるごと使ったスイカエキス,バイオジェニックスKS乳酸菌生産物質,海のミネラル結晶クリスマス島の海の塩など,こだわりの食材をふんだんに使った,美味しくてカラダにうれしい”バイオジェニックスようかん”です。」と記載されていました。

 バイオジェニックスは,簡単に言うと「腸内フローラを介することなく,直接生体にプラスに作用する食品成分」のようです。

 ちょっと難しいですが,体に良い成分だけを厳選して使用し,美容効果が期待されるギルトフリーな(罪悪感がない)お菓子ということでしょう。

(「べっぴん芋蜜ようかん」)
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 これが「べっぴん芋蜜ようかん」です。

 見た目は小豆のようかんと変わりありませんし,香りも特に変わった香りではありません。

 ただ,その一見普通のようかんの中に厳選された希少な高級食材がいくつも入っているのが特長です。

 いただいてみました。

 小豆のようかんをイメージして口に含んだのですが,鹿児島で「あめんどろ」と呼ばれる芋蜜の風味と甘みが強く,芋ようかんに近いと感じました。

 芋蜜,スイカエキス,喜界島さとうきび粗糖といった多くの甘味料が使われ,クリスマス島の塩でその甘みを引き立たせているので,甘みを強く感じました。

 「ひふみ市場」では,この「べっぴん芋蜜ようかん」のほかに,植物性原材料のみを使い食物繊維たっぷりの「べっぴんパン」も販売されていました。

 次回はこちらもいただいてみたいです。

 「美人飯」に「べっぴん芋蜜ようかん」…これで私も少しはべっぴんになれたかしら(笑)


<関連サイト>
 旅するはつかいち「nakazawa」(広島県廿日市市吉和1886-1)
 「津保美堂製菓」(広島県廿日市市津田2013-6)
 廿日市のグルメ情報・はつめし「ひふみ市場」(広島県廿日市市津田3111-1)
 「株式会社ビバ(まるも株式会社)」(広島市安佐南区大町東4-9-13)

<関連記事>
 「美術館とカフェ・レストランの魅力5 -ウッドワン美術館企画展「つながる美人画」とコラボ膳「つながる美人飯」-

<参考文献>
 「廿旅(はつたび)」広島県廿日市市

2022年5月22日 (日)

群馬の食文化の特徴を探る(5)-桐生市・武正米店の「ポテト入り焼きそば」と「子供洋食」-

 2021年12月末に,群馬県桐生市の武正米店を訪問しました。

 前回の訪問が2017年5月初めなので,約4年8か月ぶりです。

 これで3回目の訪問となります。

 広島から飛行機で羽田空港へ行き,東武鉄道浅草駅から「特急りょうもう」赤城行に乗車して,桐生を目指しました。

(浅草駅・特急りょうもう・赤城行)
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 浅草駅から東武鉄道を利用する際は,松屋で浅草のお菓子を買って車内で味わうのが私の楽しみです。

(特急りょうもう・行先表示器)
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 特急りょうもうに乗車し,東武伊勢崎線・桐生線を経て桐生市の相老(あいおい)駅で下車しました。

 相老駅からは,わたらせ渓谷鐡道に乗り換え,桐生駅を目指しました。

(桐生駅・わたらせ渓谷鐡道「トロッコわっしー号」)
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 桐生駅に到着した「トロッコわっしー号」です。

 桐生駅からは徒歩で武正米店へ向かいました。

(武正米店)
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 武正米店です。米店とクリーニング店と飲食店を兼業されています。

 久しぶりの訪問なので,少し緊張しました。

 「こんにちはー」と周りを伺いながらお店に入ると,奥様がおられ,私を御覧になった瞬間「あー広島の方!」と応対してくださいました。

 当日お店が開いているかどうかを確認するため,あらかじめ電話はしましたが,御負担にならないよう,私が広島から伺うとはお伝えしませんでした。

 それにもかかわらず,ちゃんと覚えてくださっていました。

 奥様は「今ももらったはがきを貼ってるからわかるよ」とおっしゃり,配達に出ておられた御主人に電話してくださいました。

 私は「あっ,今もちゃんと貼ってくださっているんですね」と少し照れながら,はがきを確認しました。

(店内・お礼のはがき)
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 有名人のサイン色紙がずらりと展示されている中に私のはがきも紹介してくださっていることに,申し訳なさとありがたさを感じつつ,席に座りました。

 前回私が訪問した後で,大変な時期もあったようで,それを見事に克服されてお店を続けられているとのことでした。

 しばらくして御主人が配達から戻ってこられました。

 お互いに再会を喜んだあと,御主人から親しみを込めて「今日は何にする?」と聞かれたので,私は「原点に戻り,ポテト入り焼きそばと子供洋食をお願いします」と基本メニューの2品を注文しました。

 配達から戻ってこられたばかりでお疲れにもかかわらず,張り切って作ってくださいました。

 しばらくして「ポテト入り焼きそば」が出来上がりました。

(ポテト入り焼きそば)
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 茹でたじゃがいもともやしが入った焼きそばです。

 仕上げに青のりがかけられ,紅生姜も添えられています。

 大阪や広島のお好み焼に使われる濃厚甘口ソースではなく,ウスターソースの風味に近いさらりとした焼きそばソースが使われています。

 もっちりとした麺,ホクホクのじゃがいも,シャキシャキのもやしが甘いソースとからまり,ボリューム満点の美味しい焼きそばに仕上がっていました。

 続いて「子供洋食」が出来上がりました。

(子供洋食)
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 出来たて・アツアツです。

 子供洋食は,茹でたじゃがいもと刻んだねぎ,干し海老をソースで炒め,仕上げに青のりをかけて,紅生姜を添えた料理です。

 じゃがいもにソースがねっとりと絡みつき,ねぎの甘みや干し海老の香ばしさも加わって,焼きそばやお好み焼と同等の立派な料理となっています。

 特別見栄えのする料理ではなく,豪華な食材を使っているわけでもありませんが,はるばる遠方からでも味わいたいと思わせる,魅力にあふれた郷土食です。

 食事しながら,御夫婦とテーブルを囲んで会話を楽しみました。

 その時のお話をいくつか御紹介します。


【じゃがいもの調達】
 じゃがいもが不作で値段が高騰していた時期だったので,大変なのではと心配したのですが,「地元(群馬)の農家からじゃがいもを調達できているので大丈夫」とのお話を伺い,安心しました。

【桐生と養蚕・織物工業】
 桐生第一高等学校は,裁縫の学校が前身だと伺いました。
 群馬大学理工学部も前身は桐生高等染織学校であり,桐生が養蚕・織物工業を中心に発展した街であることを再認識しました。
 「子供洋食」も,そうした養蚕・織物工業に携わる織工さんやその子供たちの軽食・おやつとして食べられ,現在まで受け継がれているのでしょう。

【ニューイヤー駅伝】
 年末に訪問したため,街中で群馬県を舞台に行われるニューイヤー駅伝の看板を多く見かけました。
 武正米店のすぐ近くもコースになっており,お店の方もボランティアで大会に協力されるとのことでした。

【お店の紹介】
 「子供洋食」や「ポテト入り焼きそば」を多くのマスコミに紹介してもらったお話を伺いました。
 また,東京・銀座の群馬県アンテナショップ「ぐんまちゃん家」で「子供洋食」を紹介されたこともあるようです。

【群馬県の位置】
 群馬県が,栃木県・埼玉県・長野県・新潟県そして福島県と接していることを教えていただきました。
 私が思わず「えっ,新潟や福島ははるか遠くのイメージですが…」とお話しすると,御主人から「私たちから見れば,広島ははるか遠くに感じますよ」とお返事があり,それもそうだと納得しました(笑)

 食後に奥様がコーヒーを淹れてくださり,コーヒーをいただきながら会話を楽しみました。

(コーヒー)
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 1時間を過ぎた頃,私が次の用事があることを察して,御主人が車を用意してくださいました。

 私は奥様に広島のお土産をお渡しし,お礼を述べたあと,御主人に車で桐生駅まで送っていただくこととしました。

 桐生駅に着き,御主人にお礼を申し上げた後,感謝を込めて車が見えなくなるまでお見送りしました。

 久しぶりに実家へ帰り,実家で家庭料理を食べたような感じでした。

 ワンコインでおつりがくる「子供洋食」や「ポテト入り焼きそば」を求め,はるばる広島から訪問する理由は,料理そのものの魅力はもちろん,お店の方の温かな人情に触れることが出来るからです。

 またいつかお店を訪問することを心に誓い,桐生を後にしました。


<関連サイト>
 「武正米店(食べログ)」(群馬県桐生市浜松町1-6-35)

<関連記事>
 「群馬の食文化の特徴を探る(2) -桐生市「子供洋食」からわかる群馬の食文化-
 「群馬の食文化の特徴を探る(4) -「子供洋食」と「ミックス ポテト入り焼きそば」-

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