日本各地の食文化

2017年5月11日 (木)

群馬の食文化の特徴を探る(4) -「子供洋食」と「ミックス ポテト入り焼きそば」-

再び群馬県桐生市の武正米店へ

 群馬県桐生市の武正米店を訪問しました。

 今回で2回目の訪問です。

 前回初めて訪問した際に,御主人が「広島から来てくれたか!」ととても喜んでくださり,閉店間際の夕食時だったにもかかわらず,御家族まで一緒になって,桐生や広島の話で盛り上がりました。

 こうした家族ぐるみの温かいおもてなしを受けたことが忘れられず,広島に戻ってすぐに御主人と一緒に撮った記念写真付きのはがきをお送りし,感謝とお礼の意をお伝えしました。

 その後も,広島から桐生は遠く離れていますが,機会があればまたいつか訪問したいと思っていました。

 そんな折,2017年5月4日から5日にかけて,広島空港と成田空港間に就航しているLCCを利用して関東方面に行くことにしました。

 その際,もし群馬の武正米店がその日に営業されているようなら,訪問してみようと思いました。

 武正米店にお電話すると,当日営業されているとのお話だったので,これは良いチャンスだと思い,事前にお店へ伺いたい旨をお伝えしました。

 当日は,広島市内の自宅から自転車,JR山陽本線,空港連絡バス,広島空港から成田空港まで飛行機,成田空港から京成電鉄成田スカイアクセス線,JR武蔵野線,東武鉄道伊勢崎線,わたらせ渓谷鐡道と乗り継ぎ,桐生駅に到着しました。

 桐生駅から徒歩で武正米店に着いた頃にはすでに夕方になっていました。


店内でお礼のはがきを発見

 桐生駅から記憶を頼りにたどり着いた武正米店。

(武正米店外観)
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 約1年半前に訪れた時と比べ,のぼりなどが新しくなっていました。

(武正米店入口のぼり)
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 子供洋食やポテト入り焼きそばが,「桐生らしさ買えます。桐生の一押し商品」というコピーで紹介されています。

 はやる気持ちを抑えて入店すると,奥様がやさしく迎えてくださいました。
 そして一言,「あ,写真の人だ!」と。

 奥様が指差された先を見ると,何と私が送ったお礼のはがきを掲示していただいていたのです。

(店内の様子)
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 それもテレビなどで活躍されている有名人のサイン色紙などと一緒に。

 それを見た私は,「広島から送ったお礼の気持ちを,遠く離れた桐生の武正米店の皆さんに受け止めていただいたんだ」と感じ,目頭が熱くなりました。

 今回,広島から訪問することを決めて本当に良かったと思った瞬間でした。

 ちなみに,御主人さんと一緒の写真,実は御主人さんの方から「広島から来てくれた人と一緒に記念写真を!」とお声掛けいただいて撮ったものです。
 お店の方から写真を撮ってほしいとお願いされたのは初めてで,大変驚いたとともに,とても嬉しかったことを覚えています。


「子供洋食」

 今回は「子供洋食」と「ミックス ポテト入り焼きそば」を注文しました。

 まずは「子供洋食」です。

(「子供洋食」)
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※「子供洋食」の詳細については,「群馬の食文化の特徴を探る(2) -桐生市「子供洋食」からわかる群馬の食文化-」を御参照ください。

 
「再びこの味に出会えたな」と心の中でつぶやきました。

 実際,ゴールデンウィーク期間中だったので,桐生へ帰省された方も数多くお店に来られ,「子供洋食」や「ポテト入り焼きそば」を持ち帰りで注文されていました。

 ホクホクしたじゃがいもとソースによる,どこか懐かしくホッとする味です。

 ゆっくりと「子供洋食」を味わっていると,配達を終えた御主人さんが戻ってこられました。

 またもや感動の再会です。

 御主人は一息つく間もなくエプロンをつけ,私が一緒に注文した「ミックス ポテト入り焼きそば」を作ってくださいました。


「ミックス ポテト入り焼きそば」

 ポテト入り焼きそばは,焼きそばに茹でたじゃがいもを入れ,ソースを絡めたボリューム満点の焼きそばです。

 この焼きそばを基本に,好みに応じてトッピングで「肉(豚肉)入り」,「玉子入り」,「野菜(キャベツ)」,「コーン入り」を選ぶことができます。

 私はせっかくなので,デラックス版の「ミックス ポテト入り焼きそば」をお願いしました。

(「ミックス ポテト入り焼きそば」)
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 焼きそばに,茹でたじゃがいも,豚肉,厚みのある玉子焼き,もやし,コーンが入り,青のりがかけられたこの上ないボリュームの焼きそばです。

 焼きそばの麺は白くてコシのあるストレート麺で,広島ではあまり見かけない美味しい麺でした。

 子供洋食と焼きそばを堪能しながら,御夫婦そして子供洋食を買いに来られた御近所の方々も一緒に,5人で1つのテーブルを囲んで,またもや会話に花が咲きました。

 全国から子供洋食を求めて来店されること,子供洋食がお子様ランチと同じだと思い大人でも食べられるか問い合わせもあること,北海道の男爵いもだと煮崩れしてしまうこと,上州の女性が養蚕・製糸・織物などで活躍した流れをくんで「かかあ天下」が日本遺産に登録されていることなど。

 桐生川はきれいな川で,染物にも適しているいうお話も出たので,私はうん,そうでしょうと深くうなずき,こうお返事しました。

 「つまり桐生川はきりゅうな川なんですね。」

 二度言って気付いていただけました(笑)。

 長時間お世話になり,最後に気持ちばかりの広島のお土産をお渡しして失礼しました。

 その日は桐生市内のホテルに宿泊しましたが,しばらく感動の余韻が続きました。

 ほんの一瞬の出会い,でもその出会いが人の心を大きく動かす原動力ともなり得ることが理解できたように思います。

 武正米店の皆様,この度も大変お世話になりました。深くお礼申し上げます。


お礼のはがきの内容紹介

 最後に,武正米店さんで掲示いただいているお礼のはがきの文章を御紹介してしめくくりたいと思います。

 今回の記事は個人的な話が多かったので,反省することしきりですが,良き思い出話ということで御容赦ください。

 最後までお読みいただき,ありがとうございました。


 武正米店 様

 ありがとうございました

 先日は,おいしい「子供洋食」を御馳走いただき,ありがとうございました。
 今回の群馬旅行で一番食べたかった郷土料理を,温かいおもてなしと共にいただくことができ,とても嬉しかったです。
 「子供洋食」にまつわるお話を伺えたことで,桐生の食文化を私なりに理解することができました。
 関東ローム層,二毛作,足尾銅山などの環境による畑作中心の作物(じゃが芋,ねぎ),海から離れている地での乾物(干し海老,青のり),養蚕・織物工業を中心に,明治以降の近代化と関わりのある西洋食(ソース)が一体となり,織工さんや子供達の手軽な食事・おやつとして生まれ,親しまれてきたのが「子供洋食」ではないでしょうか。
 まるで我が家に帰ったかのような温かい人情に触れ,併せて群馬の食文化を知る機会ともなり,とても楽しい思い出になりました。
 皆様の御健康と御多幸を心からお祈り申し上げます。
 
 広島から応援しております。

 (2016年1月)


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群馬の食文化の特徴を探る(2) -桐生市「子供洋食」からわかる群馬の食文化-

群馬の食文化の特徴を探る(3) -スバル最中,コロリンシュウマイ,花ぱん,アイスまんじゅう,食文化を通じた地域の研究-

2017年5月 6日 (土)

群馬の食文化の特徴を探る(3) -スバル最中,コロリンシュウマイ,花ぱん,アイスまんじゅう,食文化を通じた地域の研究-

 2017年5月4日から5日にかけて,広島空港と成田空港に就航しているLCCを利用し,北関東へ行ってきました。

 LCCに乗って成田空港へ行ってみたいと思ったからです。

 成田空港に着いた後にどこへ行こうかと考えた結果,多くの興味深い食文化がある群馬県を再び訪問し,群馬県を起点に北関東を旅してみようと思いました。

 群馬の誇る郷土料理や郷土菓子について,これまで御紹介してないものを中心に御紹介したいと思います。


伊勢屋の「360焼き」・「スバル最中」・「THEスバル」(群馬県太田市)

 成田空港に着いて,京成電鉄成田スカイアクセス線,JR武蔵野線,東武鉄道伊勢崎線と乗り継いでたどり着いた最初の街が群馬県太田市です。

 太田市はスバルの拠点であり,本工場(群馬製作所)がある街です。

(「伊勢屋」)
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 伊勢屋は東武鉄道太田駅近く,本工場(群馬製作所)の向かいにある和菓子屋さんです。

(「スバル最中」(包装))
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(「360焼き」・「スバル最中」・「THEスバル」)
360

 写真左上が「360(サブロク)焼き」で,「スバル360」の形をした白あんの饅頭です。

 続いて写真右上がお店の看板銘菓「スバル最中」で,「レガシイB4」の形をした小豆あんの最中です。

 最後に写真下が「THEスバル」で,瓦せんべいです。

 お店の方にスバル最中について伺ったところ,10年ぐらい前のレガシイB4がモデルになっているとのお話でした。

 まさに今,私が乗っている車です(笑)。

 このお菓子の感想に多くの言葉は要りません。

 ただ一言,「スバルしい(素晴らしい)」。


「コロリンシュウマイ」(群馬県桐生市)

 太田駅から桐生線に乗り換え,東武鉄道相老(あいおい)駅で下車しました。

 駅から約15分歩いたところに「コロリンシュウマイ」のお店があります。

(コロリンシュウマイ店舗)
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 その場でいただくこととし,5個入りを注文しました。

(「コロリンシュウマイ」)
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 しばらく待つと,蒸されて半透明になったコロリンシュウマイを出していただきました。

 青のりをかけ,ゆるめのソースをつけながらいただきます。

 その形からシュウマイと名付けられていますが,中に具が入っている訳ではありません。

 じゃがいも,じゃがいものでんぷん,玉ねぎが主な材料なので,食べるとほのかにじゃがいもの香りがします。

 でんぷんによる,むっちり,プルンとした独特の食感をソースの味とともに楽しむことができました。


花ぱん(群馬県桐生市・みどり市)

 相老駅から「わたらせ渓谷鐡道」に乗って,桐生駅へ向かいました。

(わたらせ渓谷鐡道(相老駅))
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 ディーゼル車で,プレートに富士重工(スバル)製とありました。

 桐生駅構内にある「桐生観光物産館わたらせ」では,桐生市やみどり市の特産品が幅広く販売されています。

 私はここで「花ぱん」と「アイスまんじゅう」を購入しました。


 「花ぱん」は桐生市やみどり市で昔から作られている郷土菓子です。

(花ぱん(包装))
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 材料の小麦粉,砂糖,鶏卵を練って焼き上げ,砂糖がけ(アイシング)した昔ながらの素朴なお菓子です。

(花ぱん)
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 固く焼き上げた甘食,駄菓子のたまごパン,または佐賀の銘菓「丸ボーロ」に似ていると思います。

 砂糖がけの強い甘味が,子供に人気で,大人も労働の疲れを癒してくれることでしょう。


アイスまんじゅう(群馬県桐生市)

 続いて,桐生市の「シロフジ製パン所」の「アイスまんじゅう」です。

(アイスまんじゅう(包装))
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 さすがにアイスのままで広島まで持って帰れないので(笑),桐生のホテル内で撮影し,いただきました。

 ちなみに,背景の敷物は「桐生織」で,細かい紋様までとても美しく作られていたのが印象的でした。

(アイスまんじゅう)
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 ずんぐりしたロケットのような形をしています。

 ミルクアイスの中に小豆のあんこが入っており,まんじゅうのようなアイスとなっています。

(アイスまんじゅう(中身))
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 あんこはこしあんで,すっきりした味わいのあんこと濃厚なミルクアイスがうまく調和していました。


食文化を通じた地域の研究

 群馬県桐生市や太田市は繊維産業や輸送機器産業で発展してきた地域で,両市には桐生高等染織学校を前身とする群馬大学工学部のキャンパスがあります。

 今回御紹介した料理やお菓子は,いずれもその地域の特色や育まれてきた食文化が色濃く反映された食べ物だと言えるでしょう。

 浅間山や赤城山など火山の影響を受けた「関東ローム層」により畑作が中心となったことから,じゃがいもや小麦が食材の中心となり,明治以降の近代化に合わせるように和洋折衷や「洋食」としてのソースが好まれるようになり,職人さん中心の地域であるがゆえにボリュームも重視される必要があったと説明することが出来るでしょう。

 このような地域特性を把握すれば,一見珍しく思える食文化も,実は生まれるべくして生まれ,育まれてきた食文化であることが御理解いただけるかと思います。

 その地域の食文化を調べることで,その地域について理解を深める。

 こうした観点からフィールドワークを行い,地域を研究する手法もあるのです。

 私が学んだ経済学の分野で言えば,地域経済学などの分野で応用出来るのではないかと思います。


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2017年4月 1日 (土)

宮城県仙台市 「賣茶翁」のみちのくせんべいと「立ちそば処 杜」の鶏から揚げそば

 2017年3月に「杜(もり)の都」仙台を訪問しました。

(仙台駅)
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 滞在時間が短く,駆け足での移動となりましたが,今回仙台で訪問したお店を御紹介したいと思います。


仙台の老舗和菓子店「賣茶翁」のみちのくせんべい

 仙台に,電話非公開で,開店しているかどうか行ってみないとわからない老舗和菓子店があります。

 仙台の老舗和菓子店「賣茶翁(ばいさおう)」です。

 お店は仙台市青葉区,仙台市民会館の向かいにあります。

(「賣茶翁」入口)
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(「賣茶翁」玄関)
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 仙台市の街中にあるとは思えない,伝統のある佇まいです。

 店に入り,まず最初に店内に電話機がないかひととおり見渡しました(笑)。

 お店の方に店名の由来について伺ったところ,親切に「創業者がお茶を売り歩いた賣茶翁の考えに感銘を受け,店名としていただきました。」と教えていただきました。

 私は有名な「みちのくせんべい」をお土産として購入しました。

(みちのくせんべい(箱))
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(みちのくせんべい)
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 直径約5.5cmの小さなせんべいです。

 軽い食感のせんべいですが,黒糖の生地で,表面にも黒糖の蜜が塗られて結晶化しているので,小さい割にはしっかりとした甘味があり,食べ応えもあります。

 お茶菓子に最適なせんべいです。

 箱の中に入っていた賣茶翁の説明文を読むと,「電話 なし」と記されており,その潔さが素晴らしいと思いました。

(賣茶翁説明文)
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 ふと,どこかで同じようなせんべいを食べたことがあるなと思い,思い出したのが,京都祇園の和菓子店「亀屋清永」の「麩のやき」です。

(麩のやき)
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 「麩のやき」は小麦粉や米粉を水で溶いた生地を薄くのばして焼いたもので,味噌などで味付けされて食べられたようです。

 千利休が「茶の湯」を大成した時に点心(茶の子)として重用したお菓子であり,豊臣秀吉が開催した「北野大茶会」にも出されたようです。

 亀屋清永の「麩のやき」は,もち米で作られた薄焼きせんべいで,醤油味と黒砂糖風味の2種類用意されています。

 黒砂糖風味は「みちのくせんべい」と同様,せんべいの表面に黒砂糖の蜜が塗られています。

 私は,宇治の萬福寺で開催された「全国煎茶道大会」(「黄檗山萬福寺の全国煎茶道大会 -隠元と煎茶道-」参照)に参加する際に,煎茶道の勉強のためにこの「麩のやき」を購入しました。

 その煎茶道で,私は「三癸亭賣茶流(さんきていばいさりゅう)」の先生にお世話になっているのですが,賣茶(翁)という名を冠しておられることからもわかるように,仙台の和菓子店「賣茶翁」も,「三癸亭賣茶流」も煎茶道の祖である賣茶翁を尊んでおられる点で共通しています。

 ちなみにこの「麩のやき」は,現在のお好み焼の原点でもあります。


「立ちそば処 杜」の「鶏から揚げそば」

 仙台駅2階改札口にある「立ちそば処 杜(もり)」です。

(「立ちそば処 杜」)
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 私は以前この店を訪れた際にいただいた「鶏から揚げそば」が強く印象に残っていたので,今回再訪しました。

(鶏から揚げそば)
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 細く透きとおるような麺と,だしのきいたつゆの上に,デーンとこぶし大の鶏から揚げ2枚が乗っかっているボリューム満点のそばです。

 西日本の人間から見れば,鶏のから揚げと言うより,鶏天と言う方が合っているようにも思いますが,そんな細かいことなど考えず,豪快に味わいたいものです。

 「杜(もり)の都」仙台にある「立ちそば処 杜(もり)」。
 そこで出会った抜群の「盛り」が売りの「鶏から揚げそば」。

 いただいた後,元気モリモリで広島に帰ったことは言うまでもありません(笑)。

2017年3月12日 (日)

東京都文京区「舞い鶴」のぶどうパン

 ぶどうパンと言えば,一般的に甘めのパン生地の中に干しぶどう(レーズン)を混ぜ込み,ロールパンやコッペパンの形に焼き上げられたパンを想像されると思います。

 学校給食のパンとしてお馴染みだった方もおられるでしょう。

 今回,東京に珍しいぶどうパンがあるとの情報を入手したので,東京都文京区湯島にある,ぶどうパンとコーヒーの店「舞い鶴」を訪問してみました。

 お店には菓子パンや惣菜パンなど,様々な種類のパンが用意されていました。

 その中でぶどうパンは,「ぶどうパン(大)」,「ぶどうパン(小)」,「巨峰ぶどうパン」の3種類があり,私が訪問した当日は,ぶどうパンの大と小が売られていました。

 私は自宅用と職場へのお土産用にぶどうパン(小)を2つ購入しました。

 東京土産にぶどうパン,なかなか洒落ています(笑)。

(ぶどうパン)
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 全体の形は,山型食パンのような,ふんわり焼き上げられた長方形のパンです。

 中身がどうなっているのか,ワクワクしながら,包丁で切ってみました。

(ぶどうパン(中身))
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 おっ,これはスゴイ!

 中に入れられた干しぶどうの量が半端ではありません。

 パン生地に干しぶどうが混ぜ込んであるというよりは,干しぶどうそのままがまとめて詰め込まれたような感じです。

 スライスしていただいてみました。

 パン生地自体は甘味がほとんどなく,しっかりした固さの食パンといった感じです。

 そして中の干しぶどうは,そのままの状態で入っているため,ジューシーな干しぶどうそのものの味を楽しむことができます。

 例えるなら,しっかりした固さの食パンの上に,干しぶどうをたっぷりのせて食べている感じです。

 干しぶどうが贅沢に使われた,珍しく,どこか懐かしさも感じさせてくれるぶどうパンでした。

 「舞い鶴」のウェブサイトによると,「総重量の92パーセントがぶどう」,「オーナーが,子供の頃ぶどうパンのぶどうが少ないと感じて,それなら目一杯ぶどうを入れてやろうとして入れたのが始まり」と説明されています。

 「舞い鶴」の店舗は土日祝が定休日なので,関東以外にお住まいの方は店舗での購入は難しいかも知れませんが,全国発送もされているようです。

 このぶどうパンに興味を持たれた方は,ぜひ店舗や通販で味わってみてください。


<関連サイト>
 「舞い鶴」http://www.maizuru.tokyo/index.html

2017年2月19日 (日)

広島市南区の黄金山と「黄金山まんじゅう」

広島市南区について

 現在私が住んでいる広島市南区は,陸の玄関口「広島駅」と海の玄関口「広島港」,広島カープの本拠地「マツダスタジアム(広島市民球場)」を有する街です。

 また瀬戸内海に浮かぶ似島(にのしま)は,バウムクーヘンで有名な「ユーハイム」の創業者,カール・ユーハイムにより,日本で初めてバウムクーヘンが焼かれた島として有名です。(「ドイツ・ウィーン菓子の特徴と主な菓子 -シュトロイゼルクーヘン・レープクーヘン・バウムクーヘン-」参照)

 その広島市南区でシンボルの山と言えば,黄金山(おうごんざん)と比治山(ひじやま)です。桜の咲く季節になると,大勢の花見客でにぎわいます。

 今回は黄金山と黄金山にまつわるお菓子「黄金山まんじゅう」を御紹介したいと思います。


黄金山

 黄金山は広島市の南東に位置する標高221.7mの小高い山です。

(黄金山全景と自動車運搬船)
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 写真は,広島港に近い元宇品(南西方向)から眺めた黄金山(写真左)とマツダ宇品工場で自動車を積む自動車運搬船(写真右)です。

 アーチ状の橋がかかった広島高速3号線も見えます。


黄金山まんじゅう

 「黄金山まんじゅう」は,広島市南区宇品海岸のカフェ・洋菓子店「ルードゥメール」で販売されている洋風まんじゅうです。

 店名の「ルードゥメール(RUE DE MER)」(フランス語)を日本語に訳すと「海岸通り」となり,店の所在地の地名がそのまま店名になっていることがわかります。

(黄金山まんじゅう(包装))
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 黄金山まんじゅうは,現在「小豆あん」と「スイートポテト」の2種類が用意されており,小豆あんは饅頭の上に黒胡麻が,スイートポテトは饅頭の上にアーモンドスライスが乗せられています。

 ずんぐりとした形が黄金山をイメージさせます。

(黄金山まんじゅう(小豆あん))
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 黄金山まんじゅうの小豆あんです。

 中は程よい甘さの粒あんです。

 皮は洋菓子のような,しっとりしたバター風味の生地となっています。

 バターの風味と小豆あんの程よい甘さがうまく調和した,まさに「洋風まんじゅう」という名にふさわしいお菓子に仕上げられています。

(黄金山まんじゅう(スイートポテト))
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 黄金山まんじゅうのスイートポテトです。

 こちらは中にスイートポテトあんが入っています。

 以前は小豆あんと白あんの組み合わせだったと記憶していますので,スイートポテトはさらに洋風に仕上げられています。

 甘いサツマイモのあんが,バター風味の生地とよく合います。

 地元の手土産として,私もよく利用させていただいています。


広島市随一の夜景スポット黄金山

 私は,職場で使うこともあって,最近一眼レフカメラを買ったのですが,普段あまり使わない(高価なので気軽に使えない)状況になっています。

 そんななか,カメラ片手に散歩しながら写真撮影されているブログ記事を拝読し,「自分もこんな風に近所を散歩し,記事が書けたらいいな」と思いました。

 そこで,カメラと三脚を用意し,近所の黄金山に登って(歩きではなく自動車で行ったのが情けないですが…),写真撮影に挑戦してみました。

 黄金山は,広島市随一の夜景スポットとしても有名なのです。

 寒空の中,「ハイ,ごめんよ」とカップルをさえぎりながら(笑)撮った写真がこちらです。

(黄金山夜景(海田大橋・広島大橋))
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※写真をクリックすると拡大します。
ニコンD7100・AF-S DX NIKKOR 18-105mm f3.5-5.6・マニュアルモード・f9.5・4秒・ISOオート/1250・AWB

 黄金山の山頂から南東方向を眺めた様子です。

 写真右上が広島市と坂町・呉市を結ぶ広島大橋,左上が広島市と私の故郷・海田町を結ぶ海田大橋,これらの橋に広島高速2号,3号が海上で連結している様子です。

 手前の白いライトの橋は,マツダの会社専用の東洋大橋です。

(黄金山夜景(広島市街))
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※写真をクリックすると拡大します。
ニコンD7100・AF-S DX NIKKOR 18-105mm f3.5-5.6・マニュアルモード・f13・2秒・ISOオート/1600・AWB

 続いて,今度は黄金山の山頂から北北西方向を眺めた様子です。

 広島駅周辺,広島市中心部の様子です。
 写真左の横長に黒っぽく写っているのが比治山です。

 広島にお越しになったら,黄金山に登り,広島市内や瀬戸内海の様子を御覧いただくのもおすすめです。

2017年1月28日 (土)

石川の冬・正月を代表するお菓子 -水ようかん・福梅-

 石川の冬・正月を代表するお菓子を御紹介します。


水ようかん

 水ようかんと言えば,夏のお菓子というイメージがありますが,北陸では冬にコタツに入って食べるお菓子です。

 一般的には福井の水ようかんがよく知られており,福井駅の名店街などでは,数多くの水ようかんが売られている光景を目にすることができます。

 しかしながら,実は石川でも,福井と同様に冬に水ようかんを好んで食べられており,お土産としても販売されています。
 
 石川県内では,特に輪島を中心とした能登地方で食べられています。

 私は金沢駅で四角い手のひらサイズの水ようかんは何度か買っていただいたことがありますが,今回入手した水ようかんは,大きくてずっしり重く,カルチャーショックを受けたので,御紹介したいと思います。

(御菓子司 杉平「水羊羹」(箱))
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 輪島市鳳至町(ふげしちょう)にある「御菓子司 杉平」の「水羊羹」です。

 縦27cm,横13cmもある大きな水ようかんの板が16等分にされ,箱の中にすきまなく詰められています。

 重さを測ると,約1.2kgもありました。

 輪島ではこれが普通で,特に違和感はないという話も聞きますが,初めて間近に見ると,その大きさに驚かされます。

(御菓子司 杉平「水羊羹」)
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 水ようかんを2本並べた様子です。

 1本1本もかなり大きいのですが,あっさりした水ようかんなので,一度に軽く1~2本は食べられます。

 口に含むと,舌の上で溶けていくような淡い食感のこしあんで,甘さが控え目な割には,小豆の風味がしっかりしているので,いくらでも食べられそうです。

 冬は厳しい寒さが続く北陸で,部屋の温かいコタツに入って,水ようかんを食べるひとときは,まさに至福のひとときと言えるでしょう。

 「輪島の冬は水ようかんに始まって,水ようかんに終わる」と表現されるほど,水ようかんは輪島の冬に欠かせないお菓子となっています。


福梅

 福梅は,金沢を中心に正月に食べられている和菓子です。

(福梅)
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 金沢市にある「森八」の福梅です。

 小豆あんを白色と薄紅色の梅の形をした皮で包んだ縁起物の最中です。

 皮の表面には砂糖がまぶされているのですが,これは雪を表わしています。

 つまり,福梅は,「雪の中で咲く梅の花」が表現されているのです。

 春の訪れを一足早く告げてくれる縁起物の和菓子として,おめでたい正月に食べられています。

(福梅(中身))
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 皮は一般的な最中と異なり,もち米と米粉で厚く固めに焼き上げられているので,噛みちぎって食べるような食感です。

 一方,中の小豆あんは,水飴などを加えて固く練り上げられた粒あんで,甘味も濃く仕上げられています。

 皮や小豆あんとも,甘味が強く,水分は少なく仕上げられているわけですが,こうした特徴があるのは,正月に日持ちする和菓子が望まれてきたためでもあります。

 ほぼ同じ季節のお菓子である水ようかんとは,対照的な特徴となっているところが興味深く,面白いです。


 冬や正月に石川や福井方面へお出かけの際は,ぜひこれらの和菓子を味わってみてください。

2017年1月12日 (木)

山形の食文化の特徴2 -芋煮,納豆汁,ひょう干し煮,あさつきの酢味噌和え,そば-

 豊かな食文化に恵まれた山形県。

 東京から山形新幹線,米沢からは奥羽本線(山形線)の普通列車に乗り,山形市を訪問しました。

(山形新幹線「つばさ」と「とれいゆつばさ」の模型)
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 JR山形駅に設置されている山形新幹線の模型です。

 写真手前,右半分が「つばさ」,奥の左半分が「とれいゆつばさ」です。

 「とれいゆつばさ」は,英語の「トレイン(列車)」とフランス語の「ソレイユ(太陽)」を合わせた造語で,車内にはお座敷やバーカウンター,そして何と足湯の間まで用意され,山形の食材をふんだんに使ったお弁当などを味わいながら旅を楽しめる新幹線初のリゾート列車となっています。

 知ってればこれに乗車したのですが…(笑)。


 今回は,山形市内の郷土料理店でいただいた郷土料理を御紹介したいと思います。


芋煮

 芋煮は山形を中心に東北各地で作られる,東北を代表する料理です。

 芋煮の起源は京都の郷土料理「芋棒」(いもぼう,芋と棒鱈を炊き合わせた料理)にあると言われており,京都方面から最上川上流に荷物を運んでいった船頭達が河原で芋棒を作って食べたことにより,その調理法が広まったとされています。

(最上川(米沢市内))
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 芋煮は大きく分けて(1)味噌ベースの煮汁で里芋と豚肉を用いる「庄内風」と,(2)醤油ベースの煮汁で里芋と牛肉を用いる「内陸風(山形風)」の2種類があります。

 山形は海に近い庄内地方と,山側の内陸地方でなにかと文化が違うようで,芋煮にもその違いが顕著に表れているようです。

 このことを『玄米せんせいの弁当箱4』の「いも煮戦争勃発!?」のシーンで見てみましょう。

(庄内地方と内陸地方)
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(魚戸おさむ 脚本/北原雅紀『玄米せんせいの弁当箱4』から引用)

 次の画像は,庄内地方出身者(左)と内陸地方出身者(右)が芋煮の調理法をめぐって対立するシーンです。

(芋煮をめぐる対立)
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(魚戸おさむ 脚本/北原雅紀『玄米せんせいの弁当箱4』から引用)

 また,山形では直径6mもの巨大鍋に大量の具材を投入し,工事用のバックホウでかき混ぜて作る「日本一の芋煮会フェスティバル」が毎年開催されています。

 バックホウは衛生面を重視し,潤滑油の代わりにバターやマーガリンが使われるという徹底ぶり。とても興味が湧きます。

 山形の人がこれほどまでに芋煮に強い情熱を持っておられることがよくわかります。

 今回は山形市内の郷土料理店で「内陸風(山形風)」の芋煮を御用意していただきました。

(芋煮)
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 醤油の煮汁で里芋,牛肉,長ねぎなどが煮込まれています。

 醤油の旨味と程よい甘味そして牛肉の出汁が調和し,やわらかい里芋の味を引き立てていました。

 汁もお吸い物としてそのまま飲める程の濃さで,美味しくいただきました。


納豆汁

 山形の冬の郷土料理,納豆汁です。

(納豆汁)
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 ごぼう,こんにゃく,きのこ,大根,いもがら(里芋の茎),ねぎ,豆腐など賽の目に切り揃え,煮込んで味噌で味付けします。そこに,すり鉢でよくすった納豆を溶かし入れたものです。

(納豆汁の具)
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 納豆はすりつぶされているため,細かな粒となっていますが,味噌仕立ての汁が納豆のねばりでどろっととろみが出ており,寒い冬でも汁があつあつで,冷めにくくなっています。

 ほのかに納豆の香りがし,贅沢に根菜類を使用した,心も体も温まる郷土料理です。


ひょう干し煮

 「ひょう」は,夏場に畑や道端に自生する雑草です。
 山形では「ひょう」と呼ばれますが,一般的な名称は「スベリヒユ」です。

(ひょう干し煮)
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 ひょうを水でもどして,油揚げや糸こんにゃくなどと一緒に油で炒め,だし汁を加えて煮た料理です。

 この料理は,米沢でも惣菜として売られており,その説明書きを読んで強く印象に残ったので,自宅用に買いました。

 その説明書きには,
 「雑草を食べる県民」として有名な米沢の代表的郷土料理。戻すのに一晩かかる。「ひょっとして今年は良いことがあるように」と正月に食べられる縁起物。
 と説明されていました。


 自宅用に購入したひょう干し煮も御紹介します。

(ひょう干し煮(惣菜))
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 こちらは刻んだ人参や厚揚げが入っていました。

(ひょうの様子)
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 また,葉を分けてみると,ひょうの葉一枚一枚はとても小さな葉っぱであることがわかります。

 ひょう干し煮をいただいてみると,ひょうは丁寧に下拵えされているからか,えぐみはなく,野草独特の青臭さもないため,とても食べやすかったです。

 雑草をお正月の縁起物として食べるというのは,山形の先人の素晴らしい知恵だと思います。

 ここまで美味しくいただける雑草なら,ひょっとして山形の代表的な郷土料理として全国でも注目されるかも知れませんね。


あさつきの酢味噌和え

 庄内地方で冬から春にかけて収穫される「あさつき」を酢味噌で和えた料理です。

(あさつきの酢味噌和え)
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 あさつきはさっと茹でられているため,シャキシャキした食感を楽しめます。

 私の地元広島では「わけぎ」と呼ばれるねぎが多く生産されていますが,そのわけぎも,山形のあさつきと同様,酢味噌和えの「ぬた」として食べられることが多く,味や食感も含めて,共通点が多いように思いました。


そば

 お店の方から「おそばは別で茹でたてをお持ちしますので」と言われ,楽しみに待っていました。

 「お待たせしました」とそばを持ってきていただき,私は一見して,「あー,かけそばですね。いいなぁ。」とお答えし,「東北の寒い冬には温かいかけそばがありがたい」と思いつつ,そばをいただきました。

(そば)
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 すると…そばは温かいどころか,逆にキーンと冷たかったので驚きました。
 でも,これがとても美味しかったのです。

 角がピンと立ち,半透明で引き締まったそばに甘辛いそばつゆがよく合いました。

 そのコシの強さには感動しました。

 よく考えれば,福井で冬におろしそばをいただいた時も一緒でした。(「福井のソースカツ丼と越前おろしそば」,「越前おろしそばの食べ方」参照)

 福井の冬も寒かったので,私は温かいおろしそばをいただきましたが,地元の友人は冷たいおろしそばを食べていました。

 冬でも冷たいそばをいただくことには,それだけの理由があるのだと改めて思いました。


山形の食文化の特徴

 このほかにも,お店の方から,「ひっぱりうどん」という郷土料理もあることを教えていただきました。

 これは,鍋でうどんを煮込み,できたうどんを鍋を囲んだ皆で直接ひっぱり上げながら食べることから名付けられた料理だそうです。

 「ひっぱりうどん」(「いま,山形から…」山形県メールマガジン第249号)

 芋煮,納豆汁,ひっぱりうどんと,みんなが集まって鍋を囲み,賑やかに食べる光景が目に浮かんでくるようでした。

 地元で採れる食材を無駄なく使い,家族や仲間が一緒になって食べること,それは,ただ単に生きるために食べるのではなく,連帯感を強め,共に同じものを食べることの喜びを享受する行為でもあります。

 その大切さや喜びを,山形の人達はよく理解されているからこそ,今回御紹介したような郷土料理・食文化が生まれ,育まれてきたのではないでしょうか。

<参考文献>
魚戸おさむ 脚本/北原雅紀『玄米せんせいの弁当箱4』

2017年1月 2日 (月)

山形の食文化の特徴1 -米沢の鯉料理と食用菊-

 2016年12月末,休暇を利用して南東北3県(山形・宮城・福島)を訪問しました。

 1泊2日で行き先を欲張った分,分刻みのタイムスケジュールに追われながらの旅となりましたが,山形では郷土食をいただける余裕が少しだけありました。

 今回は,山形で味わった郷土食を御紹介したいと思います。


上杉鷹山と鯉


 広島から山陽・東海道・山形新幹線に乗って,山形県米沢市を訪問しました。

(米沢駅に停車する山形行719系電車)
719

 米沢駅では,山形新幹線「つばさ」と奥羽本線(山形線)の普通列車が同じ線路を交互に走っています。(レール幅が新幹線の幅「標準軌」になっていることに驚きました。)

 米沢は,童門冬二氏の「小説 上杉鷹山」を読んで以来,一度訪れてみたい地でした。

 上杉鷹山は米沢藩の財政再建や藩政改革など様々な偉業を成し遂げた人物として有名ですが,米沢の食についても先見の明がある人物でした。

 かつて海から遠い内陸の米沢では,魚の入手が困難で,動物性たんぱく源が不足していたため,人々は水腫病や乳不足などに悩まされていたようです。

 そこで上杉鷹山が着目したのが鯉です。

 養鯉業が盛んな福島の相馬から稚魚を取り寄せ,米沢城の濠で育てたのがはじまりとされています。
 同時に,家臣たちにも屋敷内に池を掘らせて養鯉をすすめたようです。

 こうした経緯から生まれ,育まれて現在に至る米沢の鯉を食べるという食文化。
 その鯉料理をいただくこととしました。


米沢の鯉料理


 鯉料理店で鯉料理を注文する際,お店の方におすすめを伺ってみたところ,鯉の甘煮がおすすめとのお話だったので,それを注文しました。

 するとお店の方から,「鯉の甘煮には鯉の卵か白子が付きますが,どちらがよいですか」と尋ねられました。

 これは悩ましい選択です。せっかくならどちらも食べてみたいからです。
 こうなると,もはやお金の問題ではありません。
 私は「追加料金出しますので,どちらもいただくことはできませんか」とお願いしてみたところ,快く「わかりました。やってみましょう。」とおっしゃっていただき,厨房に戻られました。

 料理が届けられるまでの間,「無理を言ってしまい,申し訳ない事をしたな」と思いつつ,店の外に設置されている養鯉場へ行き,鯉を眺めながら料理が出てくるのを待ちました。

(養鯉場と鯉供養搭)
Photo

 養鯉場の様子です。写真中央が鯉の供養塔です。

 泳ぐ鯉を愛らしく眺めながら,これから出される鯉料理に期待する矛盾を感じつつ…。
 本当は供養搭に手を合わせるべきでしょうね。

 しばらくゆっくりした時間が流れた後,お待ちかねの鯉料理が供されました。


鯉の甘煮,卵,白子

(鯉の甘煮のセット(オリジナル))
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 鯉の甘煮に菊の味噌汁,菊のおひたし,漬け物がセットになっています。

 そして,鯉の卵が甘煮の中心に,白子は別皿に盛って用意していただきました。

 先程までの供養の気持ちなどどこへやら…。
 嬉しくて夢中になっていただきました。

(鯉の甘煮と卵)
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 鯉を輪切りにし,甘辛い醤油の煮汁で煮詰めた料理です。

 中心には一緒に煮込まれた鯉の卵が盛られています。

 濃い味付けになっているのは,食欲増進や保存性向上の意味もあるのでしょう。

 鯉の生臭さを消す意味もあるのだろうと思いましたが,生臭さは全くと言っていいほど感じられませんでした。

 お店の説明書きにも,「米沢の鯉は,清流と冬の厳しい寒さが鯉の身を締め,川魚特有の泥臭さがまったくありません」とありました。

 となると,米沢の人々が昔から濃い味付けを好んできたという理由も大きいでしょう。

 そもそも,名前からして,鯉は薄い味より「濃い」味の方が合うようにも思います(笑)。


 鯉の身は,コロッと骨から外れ,噛みしめるほどに味わいが増す白身魚でした。

 卵は魚卵の中では粒が大きい方だと感じました。
 味がよく浸み込んでおり,卵のねっとり濃厚な味を楽しむことができました。

(鯉の白子)
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 鯉の白子です。

 よく煮込まれており,蒲鉾やいかのような,ほどよい弾力が感じられました。
 こちらも,味がよく浸み込んでおり,ねっとり濃厚な白子の味を楽しむことができました。

(鯉の白子と卵)
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 卵と白子の味は,どちらも美味で,甲乙付け難いというのが私の率直な感想です。


鯉の皮の唐揚げ

 私が鯉に恋している気持ちがお店の方に通じたのか,お店の方から「今日は今年最後の営業なので,こちらも召し上がってみてください」と特別に鯉の皮の唐揚げを出していただきました。

(鯉の皮の唐揚げ)
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 鯉の鱗を取り除き,唐揚げにした料理です。

 平たい皮が,油で揚げることにより,くるっと丸まっています。

 鯉の皮は比較的厚みがありますが,唐揚げにすることにより,パリパリとスナック感覚でいただくことができます。

 珍味として,美味しくいただきました。

 鯉の皮までも余すところなく料理していただく。
 この料理もまた,鯉が与えてくれた命を決して無駄にすることなくいただくための米沢の食文化の1つです。


生産量日本一を誇る山形の食用菊

 味噌汁やおひたしに食用菊が使われていますが,山形県は食用菊の生産量が日本一となっています。

 年末ということもあり,お店の方から,「来年良いしらせを聞く(菊)ようにという願いも込められているのですよ」と教えていただいた時には,思わず感動が胸にこみ上げてきました。


心を込めて「おしょうしな!」

 お店の方の御厚意により,鯉料理と菊料理を堪能することが出来ました。

 広島から訪れた私を温かく迎えてくださり,無理まで聞いてくださったお店の方にせめてお礼の気持ちだけでもと,名刺の裏に今日のお礼を書き,最後に「鯉を愛されるように,広島の鯉(広島カープ)も応援してください」と書き添え,それをお渡ししました。

 その後,レンタサイクルで「上杉城史苑」へ行き,集めているご当地耳かきを購入したのですが,その際,レジの女性店員から明るく元気な声で「おしょうしな!」と言っていただきました。

 意味がわからず,どういう意味か伺ったところ,「『ありがとう』という意味です」と教わりました。

(米沢駅銘品館「おしょうしな」)
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 米沢駅で山形行きの電車を待つ間,米沢駅銘品館でも「おしょうしな」の説明書きがありました。

 米沢にはわずかな滞在時間でしたが,美味しい料理に出会い,温かい人情に触れることができました。


 私からも米沢の皆さんに心を込めて「おしょうしな!」


<関連サイト>
 「鯉の六十里

 「食用ぎく」(「おいしい山形」 おいしい山形推進機構事務局)

2016年11月28日 (月)

愛媛が誇るゼリーのような高級みかん -紅まどんな・愛媛果試第28号-

 私が「紅まどんな」と初めて出会ったのは,数年前,職場の人から「紅まどんな」をおすそ分けしていただいた時です。

 その時,こんなおいしいみかんがあるのかと感動しました。

 「紅まどんな」の出荷時期は,11月下旬から1月上旬にかけてと,みかんの品種の中では比較的早い時期となります。

 そんな「紅まどんな」の本場,愛媛県松山市にあるJAえひめ中央農産物直売所「太陽市(おひさまいち)」へ行ってきました。


太陽市と愛太陽ファーマーズマーケット

(太陽市と愛太陽ファーマーズマーケット)
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 この日(2016年11月23日)は,敷地内で「愛太陽(あいたいよう)ファーマーズマーケット」が開催されていたこともあり,大勢の人で賑わっていました。

 「愛太陽(あいたいよう)ファーマーズマーケット」は,愛媛大学法文学部のゼミとJAえひめ中央「太陽市」が主催するイベントです。

 農家と消費者が直接出会う場を創出し,「食」と「農」のつながりを地域に取り戻すことを目指す「ファーマーズマーケット(対面販売方式の農家市)」で,年数回実施されているようです。

 愛媛大学の学生さんが愛媛県の地図が描かれたボードを私の前に持ってきて,「今日はどちらから来られましたか。」と尋ねられたので,私はボードからはみ出た上の方を指差し,「この地図の上の広島から船で来ました。」と答えると,少し驚いておられました。


「愛果28号」・「温室あいか28号」

 「紅まどんな」は,愛媛県果樹試験場で「南香(なんこう)」と「天草(あまくさ)」を交配してつくられたみかんで,品種名は「愛媛果試第28号」といいます。

 「紅まどんな」という名称はJA全農えひめの商標登録で,ほかにも「愛果28号」,「温室あいか28号」,「媛まどんな」などの名称で販売されています。

 太陽市には,「紅まどんな」,「愛果28号」,「温室あいか28号」という名称で販売されていました。

(愛果28号販売の様子)
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 高級みかんですが,そっけなく「愛果28号」と書かれて販売されているところが,かえって「地元の人間は本物を知ってるんだぞ」と語っているようにも感じました。

 写真のように,ばら売りで気軽に買えるものや,「温室あいか28号」として箱詰めされた贈答用のものなど,「紅まどんな」という名称以外でもおなじ品種の高級みかんが販売されていることは理解しておくべきでしょう。


JAえひめ中央の「紅まどんな」

 JAえひめ中央の「紅まどんな」です。

(「紅まどんな」販売の様子)
Photo_3

 「紅まどんな」は箱詰めのみで,規格別に3L,2L,Lの3種類が販売されていました。

 写真は3Lの販売の様子で,2LやLも同じように箱詰めされ,積み上げられていました。

 お店の方に,ばら売りされている「愛果28号」との違いを尋ねたところ,「甘味のセンサー選別がされているかどうかの違い」だと伺いました。

 ただ「今の時期は十分甘味があるので,そんなに違いはないだろう」ともおっしゃっていました。

 甘味の選別にあたっては,薄くデリケートな果皮を守るため,桃の選果機が利用されているようです。

 せっかく広島から愛媛まで来たので,思い切って「紅まどんな(L)」を1箱買って帰りました。

 購入時,お店の方が箱を開けて,1個1個,「紅まどんな」を裏返して丹念に様子を確認してくださったのがとても印象的でした。

 大きな箱を持って松山市内を移動し,松山と広島を結ぶ高速船「スーパージェット」に積み込んで持って帰るのは,目立つし重いしで大変でした(笑)。


紅まどんなについて

 帰宅し,箱を開けてみました。

(紅まどんな(箱詰め))
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 まばゆいばかりの紅まどんなです。

 説明書や個数分の「紅まどんな」のロゴシールも同梱されていました。

(紅まどんな(横1/2カット))
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 紅まどんなを横半分に切った様子です。

 赤みの濃いオレンジ色で,果皮や薄皮(小袋,じょうのう)が極限まで薄いことがわかります。

(紅まどんな(食べ方の説明書))
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 外皮がとても薄いため,手で皮をきれいにむいて食べることは難しいです。

 食べ方の説明書には,縦にナイフを入れ,くし形にカットするのがおすすめとあったので,そのようにカットしてみました。

(紅まどんな(くし形カット))
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 紅まどんなを実際にいただいてみました。

 みかんゼリーのようなジューシーでプルンとした食感です。

 薄皮も薄いため,一緒に食べても気になりません。

 種もほとんどないので,みかんゼリーが丸ごと外皮で包まれている印象を受けます。

 甘味の強い,みかんとオレンジの中間のような,とても食べやすいみかんです。

 糖度が高く,濃いオレンジ色をした「南香」と,やわらかい果肉でとろけるような食感の「天草」の特長がよく出ています。

 「天草」はもともと「タンゴール(※)」と呼ばれるみかんとオレンジの交配品種がルーツとなっているため,オレンジの果肉・風味も強いのでしょう。

 後日,今回御紹介した「くし形カット」ではなく,オレンジの一般的な切り方のいわゆる「スマイルカット」でも食べてみたのですが,「くし形カット」の方が,より薄皮を意識することなく食べることができるように思いました。

※タンゴール(tangor):みかん(tangerine)とオレンジ(orange)を交配した品種の呼称。


紅まどんなのスイーツ

 紅まどんなのスイーツをいくつか御紹介します。

(紅まどんなのジェラート)
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 太陽市に隣接する売店で販売されていた,紅まどんなのジェラートです。


(紅まどんな入りの各種ゼリー)
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 太陽市で販売されていた「紅まどんなのゼリー」と「紅まどんな入り飲むゼリー」です。


(「まどんなのよろこび」)
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 松山市内の土産物店で販売されていたグリップコーポレイションの「まどんなのよろこび」です。

 紅まどんなを贅沢に使用した柑橘系パウンドケーキです。

 紅まどんなの風味豊かな,しっとりとしたケーキは,贈り物としても喜ばれると思います。


「みきゃん」と「ダークみきゃん」

(「みきゃん」と「ダークみきゃん」)
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 愛媛県イメージアップキャラクター「みきゃん」(写真左)と,最近出現した,みきゃんのライバルキャラクター「ダークみきゃん」です。

 「ダークみきゃん」はカビが生えたみかんがモチーフとなっています。

 松山三越の開店70周年を記念しての展示で,記念撮影している人も多く見かけました。


まとめ

 紅まどんなが開発,栽培されるようになった背景には,地球温暖化対策の一環として,高温に強いみかんの品種を求められるようになったことも挙げられます。

 環境の変化や高品質・高級化志向の消費者ニーズに合わせ,より高付加価値で農家に十分な利益をもたらす品種の開発,販売が求められていると言えるでしょう。

 紅まどんなの箱に「愛媛産には愛がある」と書かれていますが,今回松山を訪問し,本当にそのとおりだと実感しました。

 愛情いっぱいに育った愛媛のみかんを買い,消費者も農家も笑顔になれたらいいなと思います。

 そんな笑顔に「あいたいよう(愛太陽)!」。


(関係リンク)
愛太陽ファーマーズマーケット(facebook)
https://www.facebook.com/AitaiyoFarmersmarket/

2016年11月23日 (水)

キットカットもみぢ饅頭味 -冗談から生まれ,ギャグで広まったもみじ饅頭-

広島のご当地キットカット

 キットカットの「ご当地お土産シリーズ」を旅先でもよく見かけるようになりましたが,私の地元,広島市内のデパートやスーパーでも広島オリジナルのキットカットを見かけるようになりました。

 広島の名菓「もみじ饅頭」をもとに作られたキットカットが発売されているのです。

(キットカットもみぢ饅頭味と高津堂「元祖もみぢ饅頭」の販売)
Photo

 広島市内の物産店で,「キットカットもみぢ饅頭味」と,高津堂「元祖もみぢ饅頭」が一緒に販売されていました。

 上段にキットカットが,下段にそのキットカットのモデルとなった高津堂のもみぢ饅頭が陳列されています。

 キットカットともみぢ饅頭をセットで購入できるよう工夫されており,面白い企画だと思いました。


冗談から生まれ,ギャグで広まったもみじ饅頭

 「高津堂」のもみぢ饅頭は,もみじ饅頭の元祖と言われており,他のメーカーのもみじ饅頭に比べ,もみじの形が精巧で,生地もしっとりもちもちした食感に仕上げられているのが特徴です。

(高津堂「もみぢ饅頭」(紙袋))
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 紙袋には,伊藤博文公が茶店の可愛い娘を見て「もみぢのように可愛い手だね…」と冗談を言ったことを受け,高津堂の高津常助がもみぢ饅頭を考案したと説明されています。

 これがそのもみぢ饅頭です。

(高津堂「もみぢ饅頭」)
Photo_3

 広島のもみじ饅頭は,伊藤博文の冗談に始まり,B&Bの島田洋七の「もみじまんじゅーう!」というギャグによって全国的に知られるようになったお菓子なのです。


キットカットもみぢ饅頭味

(キットカットもみぢ饅頭味(外箱))
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 和菓子のもみじ饅頭の味がする洋菓子のキットカット。

 その不思議な組み合わせに魅かれ,購入して味わうこととしました。

 横長の箱に入った12枚入,縦長の箱に入った5枚入,そしてレギュラーサイズの3枚入が販売されています。

 お土産店で売られているのは主に12枚入,地元のスーパーやコンビニでは主に5枚入か3枚入が販売されているようです。

 写真は5枚入です。

(キットカットもみぢ饅頭味(外箱裏面))
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 外箱の裏面を見ると,
 「広島を代表する菓子「もみぢ饅頭」。その味わいをもみぢ饅頭の元祖「高津堂」監修のもと実現しました。ウエハースの間に餡パウダーを練り込み,もみぢ饅頭風味のチョコレートで包み込みました。また表面に紅葉の葉型を刻印。ユニークな見た目,小豆の風味とチョコレートのほどよいバランスをお楽しみください。」
 と説明されています。

(キットカットもみぢ饅頭味(包装))
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 包装されたキットカットの様子です。


 続いてキットカットを袋から取り出してみました。

(キットカットもみぢ饅頭味)
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 写真ではわかりづらいのですが,表面にもみじ饅頭にも似た紅葉の葉型と,「Kit Kat」のロゴが刻印されています。

 また,キットカット独特のパキンと割る「みぞ」も,蛍光灯のような,もみぢ饅頭味オリジナルの形をしています。

(キットカットもみぢ饅頭味(断面))
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 キットカットを切って断面を見てみると,焦げ茶色のウエハースが現れました。
 これはチョコレートではなく,小豆パウダーの色です。

 実際食べてみると,もみぢ饅頭風味のホワイトチョコレートと小豆味のウエハースがうまく調和し,和菓子風の洋菓子となっていました。

 特に小豆の風味が強調されているので,レギュラー品のキットカットとは別物のお菓子を食べているように感じました。

 そして,ホワイトチョコレートのまろやかさや風味から,小豆あんのもみぢ饅頭よりは,栗あんのもみぢ饅頭に近いように思いました。

 そこで,高津堂のもみぢ饅頭も,小豆あんではなく,あえて「ぜいたく栗あん」を買って,このキットカットと味を比べてみました。

(もみぢ饅頭(ぜいたく栗あん))
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 食べ比べると,やはり栗あんのもみぢ饅頭の方がキットカットもみぢ饅頭味により近いように思いました。

 味の感じ方は個人差があると思いますが,いずれにせよ,これまでのキットカットにはない和のテイストが味わえる不思議なキットカットには間違いありません。

 この商品は広島地区限定販売ですが,お土産品として,全国の皆様に味わっていただけたらいいなと思っています。


(関連リンク)
ネスレ キットカット ご当地お土産MAP
https://nestle.jp/brand/kit/gotouchi/

元祖もみぢ饅頭 高津堂
http://takatsudo.com/index.html

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