食文化事例研究

2017年9月24日 (日)

あずきの研究13 -御座候本社工場・あずきミュージアム見学-

 少し前のことですが,兵庫県姫路市にある御座候(ござそうろう)の本社工場と,併設されている「あずき」をテーマにした全国でも珍しい博物館「あずきミュージアム」を訪問しました。

 小豆が大好物の私にとってはまさに聖地とも言える場所で,2回目の訪問となります。

 今回は,この御座候本社工場や「あずきミュージアム」の様子,ミュージアムレストラン・工場ショップで味わった食べ物などを御紹介したいと思います。


あずきミュージアム

 御座候本社・工場,あずきミュージアムは,姫路駅南口から山陽新幹線高架沿いを東に約15分歩いたところにあります。

 山陽新幹線の車内からも,御座候本社に掲げられた「姫路にうまいもの 御座候」と記された看板を見ることが出来ます。

(御座候本社工場)
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 この本社工場の建物の奥にあずきミュージアムがあります。

(あずきミュージアム入口)
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 ミュージアムの周りは照葉樹を中心とした緑に囲まれ,ゆったりとした時間を過ごせるよう工夫されています。

 あずきミュージアムでは,小豆栽培の歴史,小豆の品種,世界の小豆食,小豆にまつわる行事や伝承,小豆の赤の世界,小豆が育つ環境である照葉樹林帯の特徴(「照葉樹林文化」)などが紹介されています。

(エリモショウズ)
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 北海道・十勝で栽培されている「エリモショウズ」と呼ばれる小豆です。

 御座候の赤あん(小豆あん)に使われている品種です。

 ミュージアム内には,オリジナルグッズが販売されているショップや,小豆のお菓子作りが体験できる調理体験室などもあり,1日中楽しめるようになっています。


御座候工場見学

 あずきミュージアムに隣接する工場ショップで受付をし,御座候の工場を見学させていただきました。

 赤あん(小豆あん)と白あん(手亡あん)の製アン工程を中心に見学しました。

 工場は主に午前中に稼働し,夕方,全国約80店舗へ出荷されます。

 あんは炊きあがるまでに約1時間かかります。

(製アン釜から白あんが取り出される様子)
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 写真は,工場2階にある製アン釜で出来上がった白あんを台車に取り出している様子です。

 この製アン釜で御座候(今川焼き)約3,300個分の量になるというお話でした。

 ちなみに,赤あんと白あんの生産割合は赤7割,白3割だそうです。

 台車にのせられた白あんは,工場2階から1階に通じるアンホッパーを経由して1階に移動し,個別の缶容器に詰められます。

(白あんをアンホッパーに投入している様子)
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 写真は白あんを1階(真下)のアンホッパーに投入している様子を撮影したものです。
 間近で見ると,とても迫力がありました。

(赤あん缶と白あん缶)
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 アンホッパーから充填機を使って,缶容器に詰められ,コンベアで運ばれている様子です。

 この1缶で御座候(今川焼き)約360個分の量があるそうです。

 このあと赤あん・白あんは缶容器ごと冷まされ,全国約80店舗に出荷されるとのお話でした。

(御座候トラック)
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 御座候の紙容器そのままのデザインのトラックです。
 個人的に,こういう発想は大好きです。


工場ショップ

 工場に併設されている工場ショップに寄りました。

 ここでは,焼きたての御座候のほか,あずきソフトや各種ドリンク,そしてジャンボ餃子・坦坦麺・肉まんといった御座候の中華料理まで味わうことが出来ます。

 私はお目当ての御座候を注文しました。

 作り置きではなく,注文を受けてから1個1個丁寧に作られるので,少し時間がかかります。

(工場ショップで御座候が作られる様子)
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 冒頭で,今回が2回目の訪問となることをお話ししましたが,初めて訪問した際は出来上がりまでに時間がかかることを考慮しておらず,注文して待っている間に帰りの電車の発車時刻が迫ってしまったので,キャンセルさせてもらい,泣く泣く姫路駅へ走って帰った苦い思い出があります。

 そんな経験もあったので,今回は余裕を持って注文しました。

 庭を眺めながらのんびり待っていると,少し経って待望の御座候が出来上がりました。

(工場ショップの御座候)
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 黄金色をした出来たて,アツアツの御座候です。

(工場ショップの御座候(中身))
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 中のあんも,黒色というよりは小豆の色が映えた赤色で,とろけるようなやわらかさに仕上がっていました。

 早速いただいてみると,皮が薄くてパリパリしており,これまでの御座候では味わったことのない食感に感動しました。

 中の赤あんは工場直送で新鮮なことから美味しいと言えるでしょうが,これは基本的には店舗販売のものと変わらないはずですから,やはりその皮の仕上がりに価値があると言えるでしょう。

 御座候を作っておられた方にその秘密を伺ってみました。


 私:「お店で売られている御座候と違う美味しさですね。特に皮がパリッとしているのが印象的です。いい銅板を使っておられるのでしょうね。」

 店員:「実は銅板はどの店も同じなんですよ。皮がパリッと仕上がっているのは焼きたてをすぐに召し上がるからなのです。お持ち帰り用の紙容器に入れるだけで,蒸発する水分ですぐに皮がふやけてしまうのです。」

 私:「だから焼きたてを皿で出されるのですね。」

 店員:「そうです。極端な話,皿で焼きたてをお出ししても,皿にくっついている御座候の下側の皮は,蒸気の逃げ場がなく,すぐにふやけてしまうので,上側と下側でも食感が異なってくるのですよ。」


 なるほど,皮がとてもデリケートなんですね。
 
 店舗でこの食感を味わいたいなら,お皿を持参し,焼きたてを皿に置いてもらう(または手渡しでもらう)よう注文すればよいのか…と少し真面目に考えてしまいました。

 お土産に御座候の肉まんを買い,こちらは自宅で味わいました。

(御座候の肉まん)
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 中の具(アン)がとてもジューシーで,美味しくいただきました。


ミュージアムレストランのあずき粥

 お昼になり,あずきミュージアム2階のミュージアムレストランへ行きました。

 前回訪問した時は,赤飯,いとこ煮,小豆の天ぷら,小豆豆腐,うどん,あずきソフト,あずき茶などがセットになった,まさにあずきづくしの「あずき御膳」を味わったのですが,その時から次回はこれと決めていた料理がありました。

 それは「あずき粥」です。

 このあずき粥,注文を受けてから出来上がりまでに,約1時間も待つ必要があるのです。

 そこで私は施設見学前にあらかじめ注文しておき,見学後にレストランへ行っていただくこととしました。

(あずき粥(白小豆))
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 私が二度目の訪問にして注文することができたあずき粥です。

 小豆は赤い小豆と白小豆が選べたので,私は珍しい白小豆を選びました。

 米と白小豆を土鍋でじっくり炊き上げ,塩で味付けされたシンプルなお粥です。

 素朴な味で,食べるごとに体が喜び,胃にゆっくりとやさしくおさまっていくように感じられました。

(あずきソフトとあずき茶)
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 ほのかな小豆色をし,小豆がのせられたソフトクリームと,小豆のお茶です。

 小豆が入っていることで,和菓子のようなソフトクリームに仕上がっています。

 ひととおり食べ終えた後,温かいあずき茶を飲みながら庭園を眺め,しばらくゆっくりとした時間を過ごすことができました。


たんたん山陽店

 広島への帰途,姫路駅前の山陽百貨店地下1階にある御座候の中華料理店「たんたん山陽店」に寄ってみました。

(たんたん山陽店)
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 工場ショップでも販売されていたジャンボ餃子,坦坦麺,肉まん,焼売などをカウンター席で気軽にいただくことができるお店です。

 坦坦麺は醤油味とゴマ味噌味が用意されています。

 どのメニューも美味しそうで,しかもリーズナブルなので,食べてみたいという気持ちがとても強かったのですが,すでに御座候本社でいろんなものをいただいた後だったので少し無理があり,次回姫路を訪れた時のお楽しみとしました。

 これでまた姫路に行くきっかけができました(笑)。

 小豆に興味をお持ちの方は,ぜひ姫路においでください。

 「姫路にあずきミュージアム 御座候」(姫路にあずきミュージアムがございます)


<関連サイト>
 「御座候
 「あずきさん公式Blog(「紅葉とストラップ」2013年11月)」(コメント欄に私のコメントが掲載されています。この時豆三郎さんからいただいたお返事に刺激を受け,その後当ブログ開設(2014年1月),「あずきの研究」シリーズ執筆につながりました。)

<関連記事>
 「あずきの研究」(カテゴリー「食文化事例研究」に掲載しています。)

2017年9月13日 (水)

パンの研究3 -江川坦庵とパン祖のパン・カノンパン-

「パン祖のパン」と「カノンパン」

 前回(「パンの研究2 -パン祖 江川坦庵,韮山反射炉・江川邸・パン祖の碑-」)は江川坦庵とパンの歴史的背景を中心に御紹介しましたが,今回は江川坦庵にちなんだパンなどを御紹介したいと思います。

(「パン祖のパン」・「カノンパン」販売の様子)
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 韮山反射炉に隣接する「蔵屋鳴沢(反射炉物産館)」で販売されていた「パン祖のパン」と「カノンパン」です。

 これらのパンは,静岡県函南町にある製パン会社「グルッペ石渡食品」が,江川坦庵が焼いたパンと同じ製法で忠実に再現したものです。

(パン祖のパン・カノンパン(包装))
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 写真左上が個包装の「パン祖のパン」,その下が5個入りの「パン祖のパン」,右半分が「カノンパン」です。

 開封して中のパンを取り出してみました。

(パン祖のパン・カノンパン)
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 写真左側の丸いパンが「パン祖のパン」,右側のスティック状のパンが「カノンパン」です。

 「パン祖のパン」の原材料は「小麦粉(全粒粉),塩,米糀」,「カノンパン」の原材料は「小麦粉(全粒粉),塩,自然酵母,米糀」とシンプル・明瞭です。

 中の様子も確認しておきましょう。

(パン祖のパン・カノンパン(断面))
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 「パン祖のパン」は非常に固いパンなので,包丁でもなかなか切り分けることができません。

 一方「カノンパン」の方は食べやすいようスティック状(大砲の形)にし,「パン祖のパン」に比べて多少柔らかめに作られていますが,それでも半分に折るには相当な力が要ります。

 それでは,実食の感想もあわせて,各パンの特徴をまとめておきたいと思います。


パン祖のパン

 江川坦庵が初めてパンを焼いた時のパンと同じ製法で忠実に再現されたパンです。

 グルッペ石渡食品の石渡浩二氏が郷土資料館や江川文庫の資料を読み,何年もの試行錯誤の上に出来上がりました。

 材料に酒種を使うアイデアは,もともと半農半士で,お酒も作っていた江川家の状況も踏まえて浮かんだもののようです。

 兵糧食としてのパンで,日持ちするよう二度焼きして水分を限界まで(3~4%まで)飛ばしているため,乾パンに近い非常に固いパンです。

 サイズは直径約8cm,高さ約2cmです。

 パンを食べようとすると,パンの表面に歯が当たって止まり,さらに力を入れて噛み切ろうとすると徐々にパンに歯が食い込んでいき,最後に何とか噛み切れるほどの固さです。

 包装紙の「お召し上がり方」にも,「本製品は,二度焼き製法により水分量が非常に少なく,堅いパンです。召し上がりにくい場合は,湯茶等に浸してお召し上がりください。」と書き記されています。

 味はこれといった塩味,甘味などはほとんど感じられません。

 市販のロールパンからバター,塩,砂糖などを抜き,カリカリになるほど何度も焼き上げて水分を飛ばしたようなイメージの,シンプルで小麦の自然な味や香りが楽しめるパンでした。


カノンパン

 カノンパンは,「江川坦庵が初めてパンを焼いた時のパンと同じ製法で防災用としてアレンジしたスティックパン」と説明されています。

 長さ約13cmの棒状のパンです。

 こちらも固いことは固いのですが,それでもパン祖のパンに比べるとまだサクサクしており,スティック状なので食べやすいです。

 イタリア料理で出されるグリッシーニをより固く太くし,塩味を抜いたような味・食感です。

 そのため,食べ方の説明にも,そのまま食べるほかに,○ジャムやマーガリンをつけて食べる,○わさび漬けをつけてビールやワインのおつまみとする,○シチューに浸して食べる,○チーズフォンデュで食べるといった方法が紹介されています。

 パン祖のパンは非常に固いパンなので,食べる時に少し気合いを入れる必要がありますが,カノンパンはそこまで気合い入れなくても割合気軽にいただくことができるパンに仕上げられています。


グルッペ本町店

 韮山反射炉や江川邸を見学した後,グルッペ石渡食品の直営店舗の1つ,静岡県三島市にある「グルッペ本町店」を訪問しました。

(グルッペ本町店)
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 今回御紹介した「パン祖のパン」,「カノンパン」のほかに,日本全国ご当地パン祭りで優勝した「みしまコロッケパン」や「みしまフルーティーキャロット」など,地域の特色を生かした独創的なパンが数多く販売されています。

 私が訪問した夕方には「みしまコロッケパン」は完売していたので,コッペパンで作られたみしまコロッケサンドをいただいたのですが,確かにコロッケの衣はサクサク,中はホクホクで美味しかったです。

 また,中にレモンカスタードクリームが入ったレモンパンもいただきましたが,こちらもレモンの酸味がきいていて,美味しかったです。

 さらに,三島駅構内の売店では静岡県民のソウルフードと言われる「バンデロール」の「のっぽ(パン)」(クリーム)を買うなど,この日はパンづくしの1日となりました。


まとめ

 私は職場へのお土産の1つとして「カノンパン」を皆さんに配ったのですが,美味しいというよりは,珍しいという反応で食べていました。

 このパンはそれで正解なのだと思います。

 再現された「パン祖のパン」や「カノンパン」が,江川坦庵がパンを試作した時から150年以上経った現代のパンよりも美味しいとすれば,日本のパン業界は150年以上もの間,一体何をしていたのかという話になるわけですから(笑)。

(江川英龍(坦庵)自画像)
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(パンフレット「重要文化財 江川邸 史跡 韮山役所跡」江川邸公開事務室から引用)
(公益財団法人江川文庫 所蔵)

 
幕末に「兵糧パン」として開発されたパン祖江川坦庵のパン。

 兵糧食に適していると判断された理由は,軽くて携行しやすく,水分が少ないので日持ちすることにあったのでしょう。

 そして味よりも実用的な食事かどうかが重視されたことと思います。

 現在販売されている「パン祖のパン」や「カノンパン」も,歴史を物語るパンというだけでなく,携行しやすく日持ちするという特徴を生かした「防災食」としても高い評価を得ておられるようです。


 今回御紹介した固い「パン祖のパン」・「カノンパン」も,それにまつわる日本のパンの歴史も,ゆっくり噛みしめながら,その本質を味わいたいものです。


<関連記事>
 「パンの研究2 -パン祖 江川坦庵,韮山反射炉・江川邸・パン祖の碑-
 「歴食の世界 -「幕末維新パン」と幕末維新期のパン開発物語-

<関連リンク>
 「蔵屋鳴沢(反射炉物産館)
 「グルッペ石渡食品
 「バンデロール

<参考文献>
 岡田 哲『明治洋食事始め』講談社学術文庫
 東嶋和子『メロンパンの真実』講談社文庫
 武光 誠『イラスト図解版 食の進化から日本の歴史を読む方法』河北書房新社

2017年9月 4日 (月)

パンの研究2 -パン祖 江川坦庵,韮山反射炉・江川邸・パン祖の碑-

江川坦庵ゆかりの地 伊豆の国市へ

 毎月12日はパンの日です。

 パンの日は,「日本のパン祖」と呼ばれている江川太郎左衛門英龍(坦庵)(えがわたろうざえもんひでたつ(たんあん))がパンを初めて試作した日(1842(天保13)年4月12日)にちなんでパン食普及協会が制定しました。
 ※江川太郎左衛門英龍(坦庵)は以下,「江川坦庵」と表記させていただきます。

 日本のパンのルーツを求めて,日本のパン食普及の礎を築いた江川坦庵ゆかりの地,静岡県伊豆の国市を訪問しました。

(伊豆箱根鉄道駿豆線 伊豆長岡駅と7000系車両)
7000


韮山反射炉

 伊豆長岡駅前観光案内所のレンタサイクル受付で自転車を借り,地図が掲載された観光パンフレットをいただいて,韮山反射炉を目指しました。

 訪問した日は日曜日だったので,土日祝日に運行されている「観光周遊型韮山反射炉循環バス」を利用する方が安い(1乗車100円)し便利だと強くすすめられたのですが,タイトなスケジュールで行動している私にとっては,時間を有効利用出来る自転車の方が便利でした。

 自転車で約10分,意外と駅から距離があるなと感じつつ,韮山反射炉に到着しました。

(韮山反射炉)
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 反射炉は,石炭などを燃料として発生させた熱や炎を炉内の天井で反射させ,そのエネルギーを金属に集中させることで金属を溶かすための設備です。

 その溶かした金属で大砲などの武器が鋳造されました。

(鉄製24ポンドカノン砲(再現))
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 江川坦庵が韮山代官に就任していた当時の日本は,内政面では全国的な飢饉(天保の飢饉)に見舞われて一揆や打ち壊しが頻発し,外政面では異国船が相次いで来航するなど,問題が山積みでした。

 そのため,江川坦庵は内政では質素倹約に努め,外政では鉄製大砲を鋳造するための反射炉の築造を幕府に進言したのです。

 幕府はこの江川坦庵の進言にすぐには応じませんでしたが,やがて太平の日本を震撼させる事件が起こります。

 ペリー艦隊の日本来航です。

 この出来事で海防体制の強化の必要性を感じた幕府は,ついに反射炉と品川台場の築造を決定し,江川坦庵の指導のもとで韮山反射炉が作られることとなったのです。

(韮山反射炉と江川坦庵公像)
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 内外情勢の情報収集に努めた江川坦庵には,先見の明があったのですね。

 こうして韮山反射炉をひととおり見学した後,自転車に乗って江川邸へ向かいました。


重要文化財江川家住宅(江川邸)

 重要文化財江川家住宅(江川邸)は,韮山の代官所が併設されていた江川家の住宅です。

(江川邸)
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 江川邸の邸内には,書・絵画・工芸品など様々な資料が展示されています。

 そうした展示の中で,江川坦庵とパンに関係するものを御紹介します。


パン焼き窯と鉄鍋

 江川邸内にある土間の一角にパン焼き窯と鉄鍋が展示されていました。

(パン焼き窯と鉄鍋)
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 パン焼き窯を形作っていた伊豆石の一部と鉄鍋が展示されているもので,本来のパン焼き窯はもっと大きくしっかりとした形のものだったようです。

 パン焼き窯の面影を偲ぶ展示物ですが,これこそが,1842(天保13)年4月12日に江川坦庵が初めてパンを試作したパン焼き窯の一部であり,日本のパンのルーツを示す貴重な展示物だと言えるでしょう。


パン祖の碑

 江川邸の庭の一角にパン祖江川坦庵を称えた「パン祖の碑」が設置されています。

(パン祖の碑)
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 1952(昭和27)年に全国パン協議会と静岡県パン協同組合が江川坦庵に「パン祖」の称号を贈り,この「パン祖の碑」を建立して功績を称えました。

 碑には,「パン祖江川坦庵先生邸」と刻まれ,その説明書きとして,「江川坦庵先生は維新期の先覚者なり。材は文武を兼ね,識は東西に通じ,百藝皆該(ひゃくげいみなか)ぬ。乃(すなは)ち製麺麭(せいぱん)の術も亦(また),本邦の開祖なり。昭和後学蘇峰正敬識」と刻まれています。

 江川坦庵先生は日本の製パン技術の開祖だと記されたもので,書は蘇峰正敬,つまり徳富蘇峰によるものです。

 ここで私も記念撮影をしようと,ガイドの方に写真撮影をお願いしたところ,「パン業界の方ですか」と聞かれたので,「いえいえそんな…パンに興味がある者です」とお答えしました。

 撮影モードはもちろん,パン好きな私と「パン祖の碑」の全てにピントが合うパンフォーカスです(笑)。

 日本のパンの歴史や食文化に興味のある方は,静岡県伊豆の国市へお出かけになることをおすすめします。


<関連リンク>
 「国指定史跡韮山反射炉」(伊豆の国市)
 「重要文化財 江川邸」(財団法人江川文庫)

<参考文献・資料>
 岡田 哲『明治洋食事始め』講談社学術文庫
 東嶋和子『メロンパンの真実』講談社文庫
 パンフレット『韮山反射炉』伊豆の国市観光文化部世界遺産課
 パンフレット『重要文化財江川邸 史跡韮山役所跡』江川邸公開事務室

2017年8月12日 (土)

広島のレモン菓子・レモンケーキ6

 広島で売られているレモン菓子・レモンケーキを御紹介します。


香る堂春長「レモンの花咲くところ(レモンケーキ)」

 広島市東区牛田早稲田の創作菓子処「香る堂春長」の「レモンの花咲くところ」という名前のレモンケーキです。

(香る堂春長「レモンの花咲くところ(レモンケーキ)」(包装))
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 ヨハン・シュトラウス2世がイタリアのレモン畑の様子を音楽にした「レモンの花咲くところ」という曲がありますが,その曲名にちなんだレモンケーキなのかも知れません。

 広島県尾道市瀬戸田町の「エコレモン」と国産小麦粉が使用されているのが特徴です。

(香る堂春長「レモンの花咲くところ(レモンケーキ)」)
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 涙形か先の尖ったレードル(おたま)の形のような珍しいレモン型で作られたレモンケーキです。

 レモンチョコは上側半分にコーティングされており,落ち着いたベージュに近い黄色をしています。

(香る堂春長「レモンの花咲くところ(レモンケーキ)」(中身))
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 ケーキ生地はきめ細かく,さっくりとしていました。

 バター風味も若干ありましたが,細かいレモンピールが入っており,レモン風味を強く感じるケーキでした。


 「香る堂春長」(広島市東区牛田早稲田1丁目5-12)


虎屋本舗「れもんけーき」

 福山の老舗和洋菓子店「虎屋本舗」の「れもんけーき」です。

(虎屋本舗「れもんけーき」(包装))
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 このレモンケーキに限らず,「初恋の味」と書かれたレモンケーキが多いような気がします。甘酸っぱいイメージによるものなのでしょうか。

(虎屋本舗「れもんけーき」)
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 サイズは横約7.5cm,幅約5cm,高さ約3.5cmです。

 レモンチョコはケーキ生地に均一に,浅めにコーティングされています。

(虎屋本舗「れもんけーき」(中身))
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 広島県尾道市瀬戸田町のレモンが使用されています。

 ケーキ生地はバターケーキに近く,バターの風味を感じますが,中にレモンピールが混ぜ込まれており,レモンの酸味がアクセントになっていました。

 昔ながらのシンプルで素朴なレシピで作られたレモンケーキです。


 「虎屋本舗」(広島県福山市曙町1丁目11-18)


洋菓子のシナガワ「瀬戸のレモンケーキ」

 広島市西区観音本町にある洋菓子店「シナガワ」の「瀬戸のレモンケーキ」です。

(洋菓子のシナガワ「瀬戸のレモンケーキ」(包装))
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 包装に書かれている「l'utilisation de la matière à un choix rigoureux」はレモンケーキの説明文かと思い,フランス語の辞典を引いてみると,どうやら「厳選された原材料を使用しています」といった意味のようです。

(洋菓子のシナガワ「瀬戸のレモンケーキ」)
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 サイズは横約7cm,幅約5cm,高さ約3cmです。

 レモンチョコが上品にチョコっとだけコーティングされています。こういうコーティングのレモンケーキは初めてです。

(洋菓子のシナガワ「瀬戸のレモンケーキ」(中身))
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 しっとりとしたコクのあるケーキで,レモンの風味を強く感じます。

 これは,ケーキ生地にレモンの皮をすりおろした「レモンゼスト」が入っているからなのでしょう。

 洋菓子の特徴を生かしたレモンケーキだと思います。


 「洋菓子のシナガワ」(広島市西区観音本町1-15-2)


シュクレラボ・ロアジス「瀬戸内レモンケーキ」

 呉市焼山北にある洋菓子店「シュクレラボ・ロアジス」の「瀬戸内レモンケーキ」です。

(シュクレラボ・ロアジス「瀬戸内レモンケーキ」(包装))
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 一般的なレモンケーキはずんぐりした形ですが,こちらは一回り小さめのスマートな形をしており,モダンなレモンケーキに仕上げられています。

(シュクレラボ・ロアジス「瀬戸内レモンケーキ」)
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 レモンチョコが濃い黄色をしています。

(シュクレラボ・ロアジス「瀬戸内レモンケーキ」(中身))
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 ケーキ生地の原材料には,サワークリームやアーモンドパウダーも使用されています。

 レモンピールが入れられていることもありますが,ケーキ生地自体にかなり強いレモン風味と酸味を感じました。

 また,濃い黄色のレモンチョコも同様にしっかりとしたレモンの風味が感じられました。

 サイズは小ぶりながらも,まるでレモンを丸ごとかじっているかのような,レモン風味をしっかり感じられるレモンケーキです。


 「シュクレラボ・ロアジス」(広島県呉市焼山北1-9-9)


シュクレラボ・ガーベラ「ハート島のレモンケーキ」

 東広島市西条町御園宇にある洋菓子店「シュクレラボ・ガーベラ」の「ハート島のレモンケーキ」です。

(シュクレラボ・ガーベラ「ハート島のレモンケーキ」(包装))
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 ハート形のレモンケーキです。

 広島のハート島をモチーフにしたレモンケーキですが,ここでこのハート島について少し触れておきたいと思います。

 広島のハート島は,広島県東広島市安芸津町にある瀬戸内海に浮かぶ「小芝島」と呼ばれる小さな無人島で,ハート形に見えることからそう名付けられました。

 詳しくは,こちらのウェブ記事を御覧ください。

 「ハートの島 小芝島を,大芝大橋を渡って見に行ってみる」(「広島ニュース 食べタインジャー」2012年1月17日記事)

(シュクレラボ・ガーベラ「ハート島のレモンケーキ」)
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 確かにこのレモンケーキは,ハート島の形をしています。

 ハート形を半分に切るというのは,少し抵抗がありましたが,中の様子を確認するため,切ってみました。

(シュクレラボ・ガーベラ「ハート島のレモンケーキ」(中身))
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 バターケーキの生地で,中にダイス状のレモンピールが入っています。

 レモンチョコのコーティングはありませんが,ケーキ生地にしっかりとしたレモン風味を感じました。

 レモンピールもアクセントとなり,しっかりとレモンの風味や酸味を感じることの出来るレモンケーキです。

 この「ハート島のレモンケーキ」は,JR山陽本線西条駅構内にある「おみやげ街道 西条」でも購入することができます。

 2個1セットで,地元オリジナルの洋菓子なので,お土産にしても喜ばれると思います。

 「シュクレラボ・ガーベラ」(東広島市西条町御園宇6225-1)


 以上,レモン菓子・レモンケーキを購入される際の参考になれば幸いです。


<関連リンク>
 「レモンのお菓子」(「chibiaya日記」)
 chibiayaさんが,関東で販売されているレモンケーキを中心に,レモンケーキの情報を詳しく紹介されています。

<レモンケーキ関連記事>
 「レモンケーキとブランデーケーキ -レモンケーキが今も支持されている理由-
 「広島のレモン菓子・レモンケーキ1 -和菓子から生まれた日本独自の洋菓子-
 「広島のレモン菓子・レモンケーキ2 -レモンケーキの分類方法-
 「広島のレモン菓子・レモンケーキ3
 「広島のレモン菓子・レモンケーキ4
 「広島のレモン菓子・レモンケーキ5 -レモンブラン-

2017年6月29日 (木)

全国チェーン店のレモン菓子 -レモンドーナツ・レモン大福-

 最近,店頭でレモンを売りにした菓子・飲料・食品をよく見かけるようになりました。

 私が地元広島の店を中心に見て回っているからかとも思いましたが,レモン関連食品の増加はどうやら全国的な傾向のようです。

 今回は全国的に販売されているレモン菓子のうち,レモンドーナツとレモン大福をいくつか御紹介したいと思います。


セブンイレブン「レモンオールドファッション」

 セブンイレブンのセブンカフェドーナツで販売されている「レモンオールドファッション」です。

(セブンイレブン「レモンオールドファッション」)
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 カリカリに揚げられたベーシックなドーナツ,オールドファッションの上に縞模様に黄色いレモンチョコがかけられています。

 ドーナツ自体は普通のオールドファッションですが,上にかけられているレモンチョコにレモンの強い風味や酸味があり,ドーナツにアクセントを与えています。

 レモンケーキにかけられているレモンチョコと同じものが,そのままドーナツにかけられている感じです。

 ドーナツ全体にレモンチョコがかけられているので,レモンの味・風味をまんべんなく楽しむことができます。


ローソン「オールドファッション レモン」

 ローソンのマチカフェで販売されている「オールドファッション レモン」です。

(ローソン「オールドファッション レモン」(包装))
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 包装が七夕衣装のミッキーマウスとミニーマウスとなっています。

 中のドーナツにかかった黄色いクランチは,包装袋の七夕のデザインを通して見ると,天の川に光り輝く星がイメージされているようにも見えます。

(ローソン「オールドファッション レモン」)
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 オールドファッションに白いレモングレーズと黄色いレモンクランチがトッピングされています。

 レモンの風味・酸味はサクサクの黄色いレモンクランチの方がより強く感じました。

 レモングレーズとレモンクランチにより,レモンの風味や酸味が重層的に味わえる仕上がりとなっています。


タリーズコーヒー「ウィークエンドシトロンドーナツ」

 最近,広島でも取り扱う店が増えてきたフランスの伝統焼菓子「ウィークエンドシトロン」。

 「ウィークエンドシトロン」とは,週末(ウィークエンド)に大切な人と一緒に食べるレモン(フランス語ではシトロン)ケーキという意味で,要するにレモン風味の糖衣がけ(アイシング)パウンドケーキのことです。

 タリーズコーヒーに立ち寄った際,「ウィークエンドシトロンドーナツ」と名付けられたドーナツが販売されていたので,興味を持ち,コーヒーとセットで購入してみました。

(タリーズコーヒー「ウィークエンドシトロンドーナツ」)
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 ドーナツはオールドファッションで,糖衣がけされています。

 一部に刻まれたレモンピールがのせられており,少量でも強くさわやかなレモンの酸味を感じました。

 糖衣がけなので甘味も強いのですが,これをタリーズのコーヒーと一緒にいただくと,相性(フードペアリング)が抜群でした。


はらドーナッツ「塩レモン」

 はらドーナッツに「塩レモン」というドーナッツが販売されていました。

(はらドーナッツ「塩レモン」)
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 基本のはらドーナッツに糖衣がけ(アイシング)され,その上にレモンピールの塊が均等にトッピングされた季節限定ドーナッツです。

 ドーナッツ生地にはおからと豆乳が使用されているため,さっくりとした素朴な味わいのドーナッツに仕上がっています。

 トッピングの角切りレモンピールによる酸味,アイシングの甘味,そしてほのかな塩味がうまく調和し,暑い季節にぴったりのドーナッツだと思いました。


柿安 口福堂「レモン大福」

 柿安 口福堂に「レモン大福」なる和菓子が販売されていたので,購入してみました。

(柿安 口福堂「レモン大福」)
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 見た目が黄色いレモンそっくりです。

 レモン大福と言われてもピンとこなかったのですが,購入時にお店の方から「必ず冷やしてから召し上がってください。」と念を押され,理由がよくわからないまま,自宅の冷蔵庫で冷やし,頃合いを見計らっていただきました。

(柿安 口福堂「レモン大福」(中身))
Photo_7

 レモン大福を少し斜めに切って断面を見ると,白あんの中にレモンのゼリーが入っていたので驚きました。

 外側から,レモンをイメージした黄色いもち,レモン果汁入りの酸味を感じる白あん,そしてレモンピール入りのレモンゼリーという3層構造になっています。

 レモンゼリーには角切りのレモンピールがたっぷり含まれており,レモンの酸味も強く感じました。

 お店の方がおっしゃった「冷やして食べる方がよい」というお話も,中にレモンゼリーが入っていることで理解できました。

 レモンをイメージさせる黄色いもち,レモン入り白あん,レモンゼリー,レモンピールと,様々な食感・風味のレモン菓子を一度に味わい,楽しむことができます。

 レモンを使った創作和菓子としてよく考えられており,おすすめのレモン菓子です。

2017年6月 2日 (金)

広島のレモン菓子・レモンケーキ5 -レモンブラン-

レモンブラン

 レモンケーキにお詳しい読者の方から,レモンブランというお菓子があることを教えていただきました。

 教えていただいた当初,私はレモンブランは「レモン」と「ブランマンジェ」(blanc manger:白いプリンのような菓子)の「ブラン」を合わせた言葉で,つまりはレモン風味の白いプリンのことではないかと想像しました。

 そこでレモンブランをインターネットで確認したところ,あのモンブラン独特の形をした画像が多く,レモンとモンブランを合わせた造語であることを理解しました。

 モンブラン好きの私は,広島で有名なレモンブランを購入し,味わってみることとしました。


洋菓子店「サバラン」の「レ・モンブラン」

 広島市中区本通にある洋菓子店「サバラン」を訪問しました。

 このお店は,店名にもあるように,サバラン(ブリオッシュ生地に洋酒をたっぷり含ませたフランス生まれのお菓子)が自慢のお店です。

 このお店で独自に開発された「レ・モンブラン」。

 シェフにこの「レ・モンブラン」についてお話を伺うと,約8年前から販売されている人気のオリジナル商品で,広島のレモンをふんだんに使っているのが特徴だと教えていただきました。

 「レ・モンブラン」を購入し,自宅まで約5kmの道のりを自転車で慎重に持って帰りました。

(レ・モンブラン)
Photo

 箱を開け,形が崩れてなかったのでホッとしました。

 日本のモンブランでよく見かけるひも状(渦巻き状)のクリームではなく,白いクリームを盛ることで山の形が表現されています。

 形は,一般的なモンブランにみられる丸い形ではなく,レモンケーキと同じようなレモンの形をしています。

 まさに,レモンの形の白い山「モンブラン(mont blanc)」,いわゆるレモンブランになっています。

 周りはローストしたスライスアーモンドがまぶされています。

 イタリア版のモンブラン「モンテ・ビアンコ(monte bianco)」ともよく似ています。

(レ・モンブラン(中身))
Photo_2

 半分に切ってみると,白いクリームが高く盛られている様子がよくわかります。

 この「レ・モンブラン」を実際にいただきながら,ケーキの味や構造などを確認しました。

(レ・モンブラン(断面))
Photo_3

 このように斜めに切ってみるとより明確になるのですが,ケーキは上から順番に,

 ○ピスタチオ 
 ○レモン風味のクリームチーズ
 ○生クリーム
 ○スポンジケーキ
 ○カスタードクリーム
 ○レモンピール
 ○アーモンド風味の薄焼きクッキー(土台)

 という材料で構成されています。

 どちらも白いので見分けにくいですが,白い部分は表面のクリームチーズと中の生クリームという2層構造になっており,クリームチーズにレモン果汁がたっぷり入っているので,強い酸味を感じました。

 そして固くて薄いクッキーの上にのせられたレモンピールの酸味や甘み,周りのローストされた香ばしいスライスアーモンドが,味にアクセントを与えてくれました。

 さらに,中のしっとりしたスポンジケーキやカスタードクリームも,クリームチーズや生クリームと調和し,全体的にうまくまとまったモンブランとなっていました。

 広島の洋菓子店「サバラン」の「レ・モンブラン」は,レモンの強い酸味をアクセントにし,様々な風味・食感を一度に味わえる贅沢なケーキでした。


 「サバラン」(広島市中区本通6-2)

2017年5月17日 (水)

広島のレモン菓子・レモンケーキ4

広島で売られているレモン菓子・レモンケーキを御紹介します。


カトルフィユ「広島レモーネ」

 広島市南区の西洋菓子「カトルフィユ」の「広島レモーネ」というレモンケーキです。

(カトルフィユ「広島レモーネ」(包装))
Photo

 「大長みかん」で有名な呉市豊町(大崎下島)の大長で採れたレモンが使用されています。

(カトルフィユ「広島レモーネ」)
Photo_2

 このレモンケーキの特徴は,何と言ってもその形です。

 一般的なレモンケーキは安定するよう底が平らになっていますが,カトルフィユのレモンケーキは,レモンの形そのままなのです。

 コロコロして安定はしませんが,リアリティあふれるレモンケーキに仕上がっています。

(カトルフィユ「広島レモーネ」(中身))
Photo_3

 ケーキ生地が濃い黄色なのも特徴で,レモンチョコの白さと対照的です。

 レモンピールやレモンマーマレードも入っており,ケーキ生地の色からもおわかりのように,レモンの味・風味は強いです。

 しっとりときめ細かいケーキ生地や,白く上品なレモンチョコは,西洋菓子店ならではだと思います。

 
 「カトルフィユ」(広島市南区皆実二丁目5-1)


みしまや「れもんケーキ」

 広島県尾道市瀬戸田町にある老舗和菓子店「みしまや」の「れもんケーキ」です。

(みしまや「れもんケーキ」(包装))
Photo_4

 老舗の伝統を感じる黄色い包装です。

(みしまや「れもんケーキ」)
Photo_5

 長さ約5.5cm,幅約4cm,高さ約3cmと小ぶりなサイズです。

 包装やサイズが,同じ広島県尾道市瀬戸田町にある向栄堂の「瀬戸田レモンケーキ」(「広島のレモン菓子・レモンケーキ1 -和菓子から生まれた日本独自の洋菓子-」参照)とよく似ており,レモンケーキの本場,瀬戸田ではこの大きさが1つの標準サイズとして受け継がれているのかも知れません。

(みしまや「れもんケーキ」(中身))
Photo_6

 レモンチョコは,底も含めてケーキ生地全体が薄くコーティングされています。

 レモンピールはありませんが,その分,バター風味よりもレモン風味が重視されています。

 ケーキ生地が白くきめ細かいのが特徴で,やわらかくて口の中で溶けるような食感です。


 「みしまや」(広島県尾道市瀬戸田町沢209-17)


本田屋「レモンケーキ」

 広島県呉市本通四丁目にあるカステラで有名な和洋菓子店「本田屋」の「レモンケーキ」です。

(本田屋「レモンケーキ」(包装))
Photo_7

 キャンディーのようにねじられた包装となっています。

 包装紙の中も写真奥のようにアルミホイルで包まれており,どこか懐かしさを感じるレモンケーキです。

(本田屋「レモンケーキ」)
Photo_8

 長さ約6cm,幅約5cm,高さ約4.5cmと大きめのサイズです。

 レモンチョコは表面にまんべんなく,厚めにかけられています。

(本田屋「レモンケーキ」(中身))
Photo_9

 断面を御覧いただくと,レモンチョコのコーティングが厚めであることが御理解いただけるかと思います。

 レモンピールはありませんが,キルシュワッサー(さくらんぼの蒸留酒)入りのしっかりしたケーキ生地で,レモンのさわやかな風味が口いっぱいに広がります。

 このお店では,このレモンケーキのほかにも,カステラや「ロシアケーキ」と呼ばれるメレンゲとジャムがのせられたクッキーなど,昔ながらの洋菓子も売られています。


 「本田屋」(広島県呉市本通4丁目8-3)


粉麦「レモンケーキ」

 広島市安佐南区沼田町吉山。

 広島市中心地から車で約30分という近さにある里山で,採れたて野菜や加工品のマルシェ,自然食レストラン,パン屋,洋菓子屋などが点在する,広島で今注目されている食の発信地です。

 その地区にある焼菓子と家具の店「粉麦(こなむぎ)」の「レモンケーキ」です。

(粉麦「レモンケーキ」)
Photo_10

 直径約6cm,高さ約3.5cmの小さなクグロフ型のレモンケーキで,表面にピスタチオとレモン果汁入りの砂糖(アイシング)がかかっています。

(粉麦「レモンケーキ」(中身))
Photo_11

 ケーキ生地の材料に発酵バターやきび砂糖,アーモンドプードルが使われていることから,濃いめの色のしっかりとした生地に仕上がっており,バターやアーモンドのコクも感じられます。

 このレモンケーキの特徴は,表面の砂糖(アイシング)にレモンの風味や酸味が強く感じられることで,ケーキ生地と一緒にいただくことで,レモンケーキだと実感することができます。


 「粉麦」(広島市安佐南区沼田町吉山246-2)


 以上,レモン菓子・レモンケーキを購入される際の参考になれば幸いです。


<関連リンク>
レモンのお菓子」(「chibiaya日記」)
chibiayaさんが,関東で販売されているレモンケーキを中心に,レモンケーキの情報を詳しく紹介されています。

<レモンケーキ関連記事>
レモンケーキとブランデーケーキ -レモンケーキが今も支持されている理由-

広島のレモン菓子・レモンケーキ1 -和菓子から生まれた日本独自の洋菓子-

広島のレモン菓子・レモンケーキ2 -レモンケーキの分類方法-

広島のレモン菓子・レモンケーキ3

2017年3月25日 (土)

あずきの研究12 -なぜ冬に水ようかんを食べる地方があるのか-

福島県会津若松市の水ようかんと湯の花羊羹

 石川県輪島市の水ようかん(「石川の冬・正月を代表するお菓子 -水ようかん・福梅-」を参照)をお読みいただいた読者の方から,「地元(福島)にも大きな水ようかんがある」との情報をいただき,興味を持って取り寄せてみました。

 私はこれまで,福井や石川など北陸地方の水ようかんや,三重県伊賀上野市の「丁稚ようかん」と呼ばれる水ようかんをいただいたことがあるのですが,福島で水ようかんが食べられているという話は初耳で,京都や金沢など和菓子で有名な都市からも離れた場所にあるということにも興味を持ちました。

 今回取り寄せたのは,福島県会津若松市の東山温泉にある「松本家」の「水ようかん」と「湯の花羊羹」です。

【「松本家」の「水ようかん」】

 注文の品が届けられたので,早速「水ようかん」から箱を開けてみました。

(松本家「水ようかん」(箱))
Photo

 やはり1本1本が大きいです。

 輪島の水ようかんよりも大きいように感じました。

 写真の水ようかんは,5本入のものですが,このほかにも7本入,10本入が販売されているので,さらに大きな水ようかんが売られていることとなります。

(松本家「水ようかん」(1本))
Photo_2

 1本の水ようかんの形です。

 大きさを測ってみると,長さ約15.5cm,幅と高さはいずれも約2.5cmありました。

(松本家「水ようかん」(計測))
Photo_4
 
 輪島の水ようかん1本の長さが約13cmですから,やはり一回り大きいものとなっています。

 水ようかんはさらりとした食感を味わえるこしあんのものが多いのですが,この水ようかんは,こしあんをベースに,粒あんも入っています。

 したがって,こしあんのさらりとした食感と粒あんの持つ小豆本来の味・食感の両方を味わうことができます。

【「松本家」の「湯の花羊羹」】

 続いて,水ようかんと一緒に取り寄せた「湯の花羊羹」です。

 地元では丸ようかんとも呼ばれているようで,電話でお店の方に「『丸ようかん』と言うようかんはありますか。」と尋ねると,「ああ,『湯の花羊羹』ですね。」と教えてくださいました。

(松本家「湯の花羊羹」(箱))
Photo_5

 練りようかんが竹の皮で筒状に包装されています。

 「東山名物」,「少年白虎」などと記されており,昔から会津地方,東山温泉の名物だったことが読み取れます。

(松本家「湯の花羊羹」(1本))
Photo_6

 水ようかんと比べると小さいように感じますが,長さは約12cmあります。

 こちらは小豆粒がない本煉ようかんで,しっかりとした甘味とコクがあります。

 ようかんの煉り具合や甘さが絶妙で,ファンが多いのも納得の一品でした。


水ようかんが田舎羊羹や丁稚ようかんと呼ばれる理由

 水ようかんは,別名「田舎ようかん」とか「丁稚(でっち)ようかん」とも呼ばれています。

 「田舎ようかん」と呼ばれる理由については,

 (1)寒天を使い,本練ようかんに比べてかさを増して作られていること
 (2)粒あん(小豆粒)で作られ,素朴な味わいが残されていること

 などが挙げられます。

 また,「丁稚ようかん」と呼ばれる理由については,

 (1)甘さが控えめ(贅沢な砂糖の使用量が控えめ)なこと
 (2)京や大坂の商家に住み込みの丁稚が盆や正月の里帰りの際のお土産として買える値段のようかんだったこと
 (3)煉りようかんを作った後に残ったようかんを水に混ぜて作ったこと
 (4)丁稚でも簡単に作れるようかんだったこと

 など諸説あるようです。


冬に水ようかんを食べる地方がある理由

 では,なぜ冬に水ようかんを食べる地方があるのでしょうか。
 私なりに考察してみました。


1 本煉ようかんは贈答用,水ようかんは自家用

 水ようかんは,本煉ようかんに比べて,同じ小豆あんの量だと,より多くの量を作ることができます。

 ということは,その分,菓子店は多くの量のようかんを安価に提供することが可能ですし,消費者も自家用として購入しやすいのです。

 また,本煉ようかんとは異なり,水ようかんは家庭でも比較的容易に作ることができるので,自家用に適した菓子だとも言えるでしょう。


2 水ようかんは和菓子文化が栄えた都市周辺に多い

 古くから宮廷文化や武家文化とともにお茶や和菓子文化が栄えた都市(京都,金沢,松江など)では,茶道のお茶菓子や贈答用として本煉ようかんが使われたことでしょう。

 一方で,お茶や和菓子文化が栄えた都市周辺では,人々の交流によって本煉ようかんの存在や技法は知られていたとしても,それは高嶺の花だったに違いありません。

 そこで,本煉ようかんに近く,より気軽に食べられるようかんとして水ようかんが好まれるようになったのではないでしょうか。

 今回御紹介した会津若松の水ようかんも,京都や金沢から伝えられたものと思います。


3 水ようかんは夏場に日持ちしない

 水ようかんと呼ばれるぐらいなので,本煉ようかんと比べ,水ようかんの方が水分を多く含んでいる訳ですが,水分を多く含むということは,それだけ日持ちしないことも意味します。

 これが夏場であれば,なおさらです。

 お茶や和菓子文化が栄えた都市なら,夏場に涼を呼ぶ菓子として,菓子職人がその日に作った水ようかんを客に提供できる菓子店は多く存在したことでしょう。

 しかし,冷蔵庫もない時代に,このような提供は一般的な話ではないのです。

 水ようかんの保存まで考えると,暑い夏よりは寒い冬に用意し,食べる方が理に適っているのです。


 以上のような理由から,お茶や和菓子文化が栄えた都市周辺の地方で,年末年始など家族が集まった時に,赤い小豆を用いためでたい水ようかんをみんなで食べることが定着し,今日に至っていると考えられます。

2017年3月18日 (土)

新幹線車内でレモンケーキを味わう -山陽新幹線・東北・北海道新幹線・さかたやのレモンケーキ-

 レモンケーキに興味を持ち,これまでいろんなレモンケーキを味わってきましたが,近くで販売されていながら,なかなか味わうことのできなかったレモンケーキがあります。

 山陽新幹線(新大阪-博多間)の車内販売限定のレモンケーキです。

 広島市内に住んでいるので,新幹線が行き来する姿はいつでも見ることができますが,その車内でしか売られていないレモンケーキを買うためには,実際に新幹線に乗車する必要があるのです。

 この度,新幹線に乗る機会があり,そのレモンケーキなどを購入して車内で味わうことができたので,御紹介します。


山陽新幹線車内販売限定「瀬戸内レモレーヌ」

 朝,広島から東京に向かう東海道・山陽新幹線「のぞみ」の車内。

 私はワゴンサービスが来るのを楽しみにしていました。

 実は,以前にもこのレモンケーキを買うべく,車内販売で注文したのですが,夜遅かったため売り切れていました。

 こうした経験があったので,朝の車内販売なら期待大だと思ったのです。

 広島を出て程なく,ワゴンサービスが来られ,今回は無事購入出来ました。

 早速,新幹線の席の後方にある机を出して写真撮影です。

(山陽新幹線「瀬戸内レモレーヌ」(包装))
Photo

 これが「瀬戸内レモレーヌ」です。

 「株式会社ジェイアール西日本フードサービスネット」が販売している山陽新幹線車内販売限定のスイーツです。

 製造は,「アンデルセン」グループのパン製造メーカー「タカキベーカリー」です。

 ちなみに「レモレーヌ」は,「レモンケーキ」と「マドレーヌ」を掛け合わせたオリジナルネームとなっています。

 オリジナルのビニール袋や車内販売メニューのパンフレットもいただきました。

(オリジナル袋・車内販売パンフレット)
Photo_2

 新幹線の車内から沿線各地のものづくりの魅力を発信する「走る日本市」プロジェクトによる車内限定商品も多数用意されていました。

 お菓子・おつまみでも,この「瀬戸内レモレーヌ」をはじめ,「チップスター(海の精)」や「柿の種と黒大豆」など,山陽新幹線オリジナル商品が用意されていました。

(山陽新幹線車内販売メニュー)
Photo_2

 普段,あまりワゴンサービスを利用しない人でも,このような車内限定商品であれば買ってみようと思う人も増えることは間違いなく,いろいろと工夫されておられるなと思いました。

(山陽新幹線「瀬戸内レモレーヌ」(中身))
Photo_3

 ナイフがないので,手でレモンケーキを半分に分けました。

 車内でも食べやすいように,プラスチックの中皿と厚紙が入っています。

 実際にいただいてみました。

 ケーキ生地がレモン風味豊かで,しっとりしています。

 原料のレモンは,広島県呉市豊町の「大長(おおちょう)レモン」が使われています。

 バター風味は控え目で,レモンの酸味やさわやかさを前面に出したケーキ生地となっています。そして,中にはレモンピールも入っています。

 このレモンピールは,レモンマーマレードによるもので,これが特長だと言えるでしょう。

 レモンチョコはかかっていませんが,ケーキ生地のレモン風味がとても豊かで,レモンマーマレードも入っているので,これならレモンチョコは不要だと思いました。

 山陽新幹線に乗車されたら,ぜひとも味わっていただきたいと思います。

 ちなみに,車内販売限定となってはいますが,株式会社ジェイアール西日本フードサービスネットのサイトで通信販売もされているようなので,御興味を持たれた方はどうぞ。


東北・北海道新幹線「米粉レモンケーキ」

 続いて,朝,東京から盛岡に向かう東北新幹線「やまびこ」の車内でいただいたレモンケーキを御紹介します。

 東北新幹線「やまびこ」です。

(東北新幹線「やまびこ」E2系)
Photo_4
仙台駅のホームで撮影

 上野を出発したあたりで,何気なく座席の網ポケットに用意されていた「東北・北海道新幹線車内販売メニュー」を手に取ると,東北・北海道新幹線でもレモンケーキが車内販売されていたので驚きました。

 ワゴンサービスが来られた直後に判明しただけに,「しまった」と思いつつ,少し不安になりながら次のワゴンサービスを待ちました。

 ワゴンサービスは,郡山の手前で再び来られました。
 私はホッと胸をなでおろし,このレモンケーキを購入しました。

(東北・北海道新幹線「米粉レモンケーキ」(包装)とメニュー)
Photo_5

 「株式会社日本レストランエンタプライズ」の東北・北海道新幹線車内販売スイーツです。

 新潟県十日町市にある同社の食品工場「十日町すこやかファクトリー」で製造されています。

 瀬戸内産レモンのマーマレードと魚沼産コシヒカリの米粉が使用されていることが売りです。

 コーヒーとのお得なセットが用意されているところも山陽新幹線と同じです。

(東北・北海道新幹線「米粉レモンケーキ」(中身))
Photo_6

 米粉レモンケーキの中身です。

 トンネルを出たり入ったりする度に窓からの光量が変わり,多少の揺れもあるので,アップでの写真は撮りづらかったです(笑)。

 実際にいただいてみると,しっかりと焼き上げられた米粉の香ばしさとバターケーキのコクが感じられました。

 「瀬戸内レモレーヌ」と同様,レモンのマーマレードが入っており,レモンピールの食感も楽しめました。


「のもの上野店」のさかたや「レモンケーキ」

 JR上野駅構内の「のもの上野店」へ行きました。

 「のもの」は,東日本各地域の食品などの地産品を紹介・販売している地産品ショップです。

 そこで売られていたのが新潟県長岡市の「さかたや」のレモンケーキです。

 レモンケーキにお詳しい埼玉在住のchibiayaさんの記事で知りました。
 chibiaya日記「さかたやのレモンケーキ

 広島の人間から見ると,新潟でレモンケーキを製造されるのは珍しいなと思いますが,よく考えれば,前述の「十日町すこやかファクトリー」の「米粉レモンケーキ」も新潟で作られたレモンケーキです。

 新潟もレモンケーキが人気なのではと思いながら,帰りの新幹線の中でいただくこととしました。

 東京から東海道・山陽新幹線「のぞみ」博多行きに乗車し,姫路付近でレモンケーキを開封していただきました。

 私は3列シートの窓側の席だったのですが,前後,隣とも席が埋まり,トイレに行くことすらためらいを感じる状況でした。

 このように身動きの取れない状況の中,私はおもむろに机を引き出し,レモンケーキを写真撮影しました。

(さかたや「レモンケーキ」(包装))
Photo

 新幹線車内でレモンケーキ3個目ともなると,さすがに周りの目を気にせず,余裕すら感じられる振る舞いができるようになります(笑)。

(さかたや「レモンケーキ」(中身))
Photo_8

 東京のホテルでいただいたプラスチックのナイフとフォークを使い,レモンケーキを優雅に切っていただきました。

 このレモンケーキは,レモンチョコがコーティングされています。(新幹線車内の人の熱気でレモンチョコが溶けており,レモンケーキを取り出すのが大変でした(笑))

 ケーキ生地は,ふわふわで軽めです。
 レモンピールはありませんが,レモンの風味を感じるレモンケーキでした。

 食べ終えたあと,ウェットティッシュで机を拭いて元の位置に納め,何事もなかったかのように再び旅を楽しみました。


 このように,新幹線「のぞみ」に乗車するからには,車内での食事もスマートで紳士的な態度で「のぞみ」たいものです。

2017年2月26日 (日)

パンの研究1 -コッペパンの基礎知識と給食のコッペパン-

戦後の救世主 コッペパン

 コッペパンと言えば,学校給食を思い出される方も多いかと思いますが,日本でパンと牛乳が一般家庭に普及したのは,戦後,学校給食で子供達がコッペパンと脱脂粉乳に親しむようになってからのことです。

 戦後の厳しい食糧難のなかで,1954(昭和29)年に「学校給食法」が制定され,アメリカから大量のメリケン粉(小麦粉)が運ばれたこともあって,コッペパンは戦後の学童の成長・健康を支える食べ物として重要な役割を果たしてきたのです。

 まさに戦後の救世主とも言えるべきコッペパンですが,現代に至るまで,シンプルなコッペパンだけでなく,ジャムやクリームがはさまれた「菓子パン」や,焼きそばやコロッケなどがはさまれた「調理パン」など,様々な商品が販売されています。

 岩手県盛岡市の「福田パン」や福岡県福岡市の「コココッペ」のように,多くの種類の具材から自分の好みの具材を選んで食べられることで人気を得ているコッペパン専門店もあります。

 今回はこのコッペパンについてお話ししたいと思います。


コッペパンはクッペから


 コッペパンは日本発祥とされていますが,その原形・お手本はフランスパンの一種「クッペ」とされています。

 パンに切れ目を入れることをクープと言いますが,「クッペ」は,そのクープが1本入ったフランスパンの名称です。

(クッペ)
Photo

 写真は「ドンク」のクッペです。

 「クラム(パンの中身,やわらかい部分)が多い小型フランスパン」と説明書きがありました。

 確かに,そのずんぐりとした形や大きさなどが,コッペパンそっくりですし,「クッペパン」が「コッペパン」に呼ばれるようになったというのも自然な流れのようにも思えます。


日本各地の給食コッペパン

 今この記事をお読み皆さんはコッペパンというと,どんなコッペパンを想像されるでしょうか。

 ここでは,このブログの読者の皆様から事前にお寄せいただいた情報を中心に,学校給食で出されたコッペパンを御紹介したいと思います。

 主に1980年代~2000年代に給食を召し上がった皆様からいただいた情報です。


(日本各地の給食コッペパン)

青森…リンゴ入り
岩手…クルミ入り
宮城…プレーン
秋田…甘く煮た細かい人参入り
山形…プレーン
茨城…プレーン(マーガリン,ジャム,マーマレード),揚げパン,干しぶどう入り,黒糖入り,ミルクパン
福島…プレーン(イチゴジャム,マーマレード),黒糖入り
群馬…チーズ入り
埼玉…プレーン(ジャム,マーガリン),揚げパン(きなこ)
神奈川…干しぶどう入り,プレーン(はちみつ)
石川…プレーン,揚げパン
静岡…リンゴ入り
愛知…干しぶどう入り
岡山…サツマイモ入り,干しぶどう入り(細長バージョン)
広島…プレーン(マーガリン,マーマレード),黒糖入り,パイナップル入り
福岡…黒糖入り,干しぶどう入り,ケチャップ味のソーセージ(真ん中割れバージョン)

 などがあったようです。


 このほか,給食のコッペパンではありませんが,「名古屋めし」として全国的な知名度を持つようになった「小倉マーガリン」や,滋賀県長浜市の「サラダパン」(「つるやパン」)と呼ばれる,たくわん漬け入りのコッペパンなど,地域の個性的なコッペパンもあり,その地域の人々の好みに合わせて様々なコッペパンが作られてきた様子が伺えます。

 情報をお寄せいただいた読者のみなさんに,この場をお借りして深くお礼申し上げます。


昔のコッペパンと現代のコッペパンの違い

 昔のコッペパンと現代のコッペパンの違いについて考えてみました。

 昔のコッペパンの方が大きいという違いがあるかも知れません。今と違って,コッペパンの食事量に占める割合が高かっただろうと想定されるからです。

 ただ私はそれ以上に,コッペパンの生地に違いが生じているのではないかと思っています。

 これはコッペパンに限った話ではありませんが,昔のパン生地はバターやクリームといった油脂の含有量が少ないため,パサパサで,食べたらパンくずがたくさん落ちていたように思います。

 それもあって,私が小学生の時は,給食のトレーに個人で持参したナプキンを敷いていました。

 現代のパンはどうでしょう。

 日本人の好む食感(テクスチャ)が「もちもち」,「しっとり」ということもあり,パンくずがこぼれて困るという現象は,一部のこだわりを持って作られたハード系パンを除いて,あまりみられなくなったのではないでしょうか。

 豊かな食生活が送れるようになるにつれ,パン生地も,砂糖や油脂を多く含み,それだけで食べても十分おいしいリッチ系のパンが多くを占めるようになりました。

 このことは,コッペパンにおいても例外ではないでしょう。

 ただ,最近では,素材の穀物そのものの味や,健康面を重視したハード系(リーン系)のパンも注目を浴びるようになっており,パンの世界も多様な展開をしています。


私の給食の思い出とコッペパン

 私の地元・広島では,給食に出されるコッペパンについては,コッペパンと呼ばれるより,「パン」,「給食パン」または「味付けパン」と呼ばれることの方が多かったように記憶しています。

 また,低学年の時は,先生と児童でコッペパンの大きさが異なり,先生用のコッペパンには包装用ビニール袋の上にマジックで黒丸がされていたのが印象的でした。

 プレーンのほかに,黒糖入りや角切りのドライパイナップルが入ったコッペパンもあったように思います。

 ただ,私は今も昔も牛乳が飲めないことが原因で,給食には全くいい思い出がありません。

 牛乳が必ず付く給食が嫌いで仕方ありませんでした。

 牛乳が体に良いからと,私に無理矢理飲ませようとする先生,それに従い,飲めない私に何とか飲ませようと励ますクラスメイト。

 牛乳が飲めないからと楽しいはずの学校行事にも参加させてもらえず,午後からの授業が開始されても,私だけ机の上には食べられない給食がずっとある状態でした。

 放課後,皆が帰った後も,私だけ帰らせてもらえず,じっと給食と向き合ったまま。

 やっと帰れても,残したパンやおかずを今度は家に持って帰って食べろとビニール袋に詰め込まれる始末でした。

 そもそも食べられずに困ってたのですから,帰り道にポーンと捨てて帰ってましたが…。

 ビン入り牛乳に底から高さ1cmだけ牛乳を残した状態で,「今日はこれだけ飲みなさい」と先生から言われるのですが,口をつけても吐くだけで,どうしても飲めませんでした。

 そこで,早く解放されたいが一心に,コッペパンに牛乳を浸み込ませ,飲んだと先生に報告したこともあります。

 そうすると,先生は気を良くし,翌日に「今日は高さ1.5cmまで牛乳を飲みましょう」とさらにハードルが高くなるという悪循環(笑)。

 牛乳が飲めない理由を調べに医者へ行けと言われ,親と一緒に泣きながら病院に行ったこともあります。

 今だったら問題になるかも知れませんね。

 今の私の知識を持ってすれば,当時の先生の主張程度なら論破することは容易だと思います。

 そもそも私は小学生の時点で,牛乳を飲まなくても,身長がかなり高かったのですから(笑)。

 牛乳以外の乳製品は美味しく食べられるのですが…。

 もうとっくの昔の話ですので,この記事をもとに問題点を騒ぎ立てるようなことはしないでくださいね。


コッペパンの新たな魅力を求めて

 食の世界に興味を持ち,食べる物を強制されることのない身になった現在。

 改めてコッペパンの世界を探訪し,これまで見逃していたコッペパンの魅力を再発見できればと思っております。

(「黒コッペ」)
Photo_2

 フジパンの「黒コッペ」です。

 黒糖入りコッペパンにクリームがはさみこまれています。

 昭和30年代のヒット商品が再現されたものです。

 黒糖の香ばしい香りやコクと,中身のクリームがうまく調和し,どこか懐かしさを感じさせる仕上がりとなっています。

 結構大きいのですが,シンプルな美味しさで,軽く1本食べられます。


 私はこのほかにも,クリーム入りのチョコがけや,バナナクリーム入りのコッペパンも好きです。


 皆さんはコッペパンにどんな思い出があり,どんなコッペパンがお好きでしょうか。


<参考文献>
岡田 哲『明治洋食事始め』講談社学術文庫
北岡正三郎『物語 食の文化』中公新書

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