フィンランド料理の特徴と主な料理3 -カルヤランピーラッカ・ムナボイ・ロソッリ・キノコソテー・スモークサーモン・ラスキアイスプッラ-
フィンランドの食文化
北欧に位置するフィンランド。
フィンランドの人々は自分の国を「スオミ(Suomi)」と呼びますが,このスオミには「湖の国」という意味があるようです。
シベリウス作曲の「フィンランディア」にある「フィンランディア賛歌」にも「スオミ」と歌われますが,これはフィンランドの国を意味します。
18万8千もの湖と広大な森,そして海とともに生活するフィンランド人は,その自然環境から魚(カワカマス,サーモン,ニシンなど),きのこ,果実(コケモモ,ビルベリー,ラズベリーなど),肉(鹿,トナカイなど)の食料を得て食文化を形成してきました。
一般的な主食は全粒穀物のパンやジャガイモです。
冬が長く,寒さが厳しいため,魚,肉,野菜,果物などを塩漬け,燻製,ジュース,ジャムなどに加工する,保存食作りも盛んに行われています。
フィンランドの朝ごはんプレート
東京・外苑前の「World Breakfast Allday」(ワールド・ブレックファスト・オールデイ)を訪問しました。
2023年2月から3月までの期間のスペシャルメニューは,「フィンランドの朝ごはん」でした。
今回は,この「フィンランドの朝ごはん」を御紹介します。
(フィンランドの朝ごはんプレート)
フィンランドの代表的な料理がワンプレートに盛られています。
それでは,それぞれの料理を御紹介します。
【カルヤランピーラッカ・ムナボイ】
「カルヤランピーラッカ」は,ミルク粥をライ麦粉の生地で包んで焼いたフィンランド東部・カレリア地方の伝統料理で,「カレリアパイ」とも呼ばれています。
(カルヤランピーラッカとムナボイ)
ゆで卵を潰してバターを混ぜた黄色い「ムナボイ」がのせられています。
外側の生地は,ライ麦粉を薄くのばして焼き上げたもので,全粒粉のクレープ(ガレット)に似ています。
中のミルク粥はゆるい「ポテトサラダ」のイメージ,ムナボイは塩気の効いた「たまごサンドの具」のイメージです。
オープンサンドイッチのような,食べ応えのあるパンです。
【ロソッリ】
「ロソッリ」は,茹でたビーツやジャガイモをサワークリームで和えたサラダです。
(ロソッリ)
ディルが添えられています。ふりかけられているのはオールスパイスだと思います。
ビーツの鮮やかな赤色が特徴で,クリスマスの時期に食べられます。
サワークリームのさわやかな酸味と,ビーツとジャガイモの異なる食感を楽しめました。
【キノコソテー】
森の恵み,きのこのソテーです。
(キノコソテー)
ジロール(アンズ茸),ブナピー,ブナシメジ,ヒラタケのソテーです。
様々なきのこを味わうことができました。
【スモークサーモン】
フィンランドではサーモンがよく食べられています。
(スモークサーモン)
サーモンを燻製にしたスモークサーモンは,フィンランドの代表的な保存食であり,オープンサンドイッチの具としても活躍します。
【ラスキアイスプッラ】
デザートとして「ラスキアイスプッラ」を注文しました。
キリスト教には,イースター(復活祭)前に40日間の断食期間(四旬節)を設ける慣習があります。
ラスキアイスプッラは,その四旬節に入る前日(告解の火曜日)に食べられる伝統菓子です。
隣のスウェーデンから伝わったお菓子(スウェーデンでは「セムラ」と呼ばれます)だと言われています。
(ラスキアイスプッラ)
卵・牛乳・バターを使ったふかふかのパン「プッラ」の中心をくり抜き,中に生クリームとベリージャムがたっぷり詰められています。
このお菓子がスウェーデンからフィンランドに伝わった際には,アーモンド(アーモンドペーストやマジパン)が使われていましたが,アーモンドが高価だったため,フィンランドではアーモンドの代わりにジャムも使われるようになりました。
(ラスキアイスプッラ(中身))
生クリームの奥に,甘いベリージャムがたっぷり詰められていました。
断食に入る前に贅沢なもの,豪華なものを食べておきたいという願望から生まれたお菓子パンなのでしょう。
この考えは,断食期間(四旬節)に入る前に行うお祭り「謝肉祭(カーニバル)」と相通じるものがあります。
ショートケーキのような,リッチな気分になれるフィンランドの伝統菓子です。
<関連リンク>
「World Breakfast Allday」(外苑前店・東京都渋谷区神宮前3-1-23-1F ほか)
<関連記事>
「フィンランド料理の特徴と主な料理1 -日本フィンランド外交関係樹立100周年・ムーミンバレーパーク・フィンランドフェア-」
「フィンランド料理の特徴と主な料理2 -ムーミンビスケット・サルミアッキ・ソルティッド リコリス・チョコレート リンゴンベリー-」
「東京都渋谷区恵比寿・世界のパン「パダリア」-コンチャ,カルヤラン・ピーラッカ,ムナボイ,ハチャプリ-」
<参考文献>
「フィンランド」(「World Breakfast Allday」リーフレット)
地球の歩き方編集室「世界のグルメ図鑑」(学研プラス)
「大使館の食卓 おうちで簡単レシピ集」(産経新聞出版)
最近のコメント