季節・旬の味

2016年9月 4日 (日)

広島の洋食店「広亭タナカ」の魅力 -桃のコンポートと創作付合せ野菜-

 広島市中区土橋町にある洋食店「広亭タナカ」。

 広島の洋食店といえば「広亭タナカ」と言われる程,地元で愛され,親しまれている洋食店です。

 私もこの店のデミグラスソースの味に惚れ込み,店に通い続けています。


桃のコンポート

 その広亭タナカで季節限定のデザート「桃のコンポート」をいただきました。

(桃のコンポート)
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 白桃を丸ごと1個,白ワインとシロップで煮込んだデザートです。四角いゼリーも桃のゼリーです。

 桃を丸ごと1個いただくので,ナイフ,フォーク,スプーンがずらりと用意されます。

 フォークで桃を固定し,中の種と果実を分けるようにナイフで薄くスライスして,底の赤いベリーソースも添えながらいただきました。

 甘く,ジューシーな桃を贅沢に1個,思う存分楽しむことができました。


田中恒士シェフの魅力

 どんなに忙しくても笑顔を絶やさず,客へのサービスが行き届いている田中シェフ。

 デミグラスソースだけでなく,そんな田中シェフのお人柄も大きな魅力となっています。

 ある意味,私と波長が合うと言った方がいいかも知れません。

 訪問した日も,予約で席が全て埋まり,店内は大忙しだったのですが,その合間を縫って,わざわざ私の席までお越しくださり,メニューにないこの1品をいただきました。

(創作付合せ野菜)
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 田中シェフ:「いつも御来店ありがとうございます。これをどうぞ。」
 私:「(一瞬考えて)あっ,一に三ツ星,毛利家の家紋じゃないですか。これはありがたくいただきます。」

 付合せ野菜の人参とサヤインゲンで作られたこの一品は,かつて安芸(広島)や周防・長門(山口)で活躍した戦国大名「毛利家」の家紋に仕上げられていたのですが,田中シェフが伝えたい事がわかり,内心ホッとしました。

 この田中シェフとのやりとりが何とも楽しいのです。

 田中シェフの名言(迷言?)をいくつか御紹介します。

○名言その1
 私:「家でタンシチューを作ってみました。これがその写真です。」
 田中シェフ:「皿を回して食べるとなお美味しいですよ。」
 私:「ん・・・。」
 田中シェフ:「ターン(英語で「回す」という意味)シチューだから。」

○名言その2
 田中シェフ:「誕生日に店に来られる時は,バスでお越しくださいね。」
 私:「(しばらく必死で考え)なぜでしょう。」
 田中シェフ:「バースデー!」

○名言その3
 田中シェフ:「うちは国産中心なんです。」
 私:「へぇー,そうですか。」
 田中シェフ:「私はコックさんですから。」

 それなら「洋食店は養殖ものが多いとも言えるのでは」とつっこみたくなりますが,まぁ,いつもこんな感じなのです。

 なので,田中シェフが席に来られる際には,ある意味緊張感があります。

 以前,私も負けじと,店内でダジャレを考え,田中シェフが席にお越しになるのを待っていたことがあります。

 その日も店内は予約で一杯でしたので,お題は「予約」でいくこととし,田中シェフが来られたら,「予約で厨房がお忙しい中,よーやく(予約)お会いできて嬉しいです。」と言うことに決めました。

 (よし出来た!フフフッ,早く来い来い田中シェフ。)

 そこへ待望の田中シェフ登場。

 私:「予約で…」
  (田中シェフ間髪入れず)
 田中シェフ:「(厨房が一段落し)よーやく(予約)御挨拶に来れました。」
 私:「あーっ,私が先に言おうと思ったのにぃー。」

 ダジャレ好きな私ですが,やはり田中シェフにはかないません…。

 これからもお店に通い,田中シェフに鍛えていただく必要がありそうです。

 帰り際,私は1番テーブルに座っていたので,田中シェフをはじめとするお店の皆さんに向かって,「1番さん,大満足でお帰りでーす!」と感謝の意をお伝えし,お店を後にしました。

(関連サイト)
広亭タナカ
http://www1.megaegg.ne.jp/~hirotei-tanaka/

2016年4月10日 (日)

餅屋の桜餅 -季節の味を楽しむ-

 毎年,桜の季節になると,思い出したかのように,近所の餅菓子店に寄って,桜餅を買います。

 ごく普通の,もち米で作られた桜餅なのですが,毎年この時期に売られており,同様に私もこの時期に無性に食べたくなるのです。

 今年も,店先に「さくら餅」と書かれた紙が貼られており,「あるぞ」と心躍らせながら店に入りました。

(さくら餅の案内紙)
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 おはぎや大福,串団子など餅菓子が並ぶ中,少し地味な印象もある桜餅を2個買って帰りました。

(さくら餅)
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 もち米を炊いて粒のまま作られた,無着色の白い桜餅です。

 中は甘さ控えめで,きめの細かいこしあんです。

 餅屋が作った弾力とほのかな甘味のある餅,口の中でさらりと溶ける上品な甘さのこしあん,そしてパリッとした桜葉のさわやかな香りとほのかな塩気が口の中で一体となり,まさに春の喜びを感じさせてくれるお菓子となっています。

 毎年,決まった時期に店に行けばお目当ての菓子が用意されており,その変わらぬ味を味わえることは,よく考えると贅沢な話です。

 たかが桜餅ですが,それでも「また春がやってきたか。頑張って生きてきて,またこの季節を迎えることができたな。」と心安らぐ一瞬と感動を味わうことができました。

 こうした体験が,季節の味を楽しむことにつながるのではないでしょうか。

2016年2月14日 (日)

マシュマロの和洋菓子とホワイトデーの誕生 -チョコレートチャンクピザ・鶴乃子・チョコマシュマロ-

チョコレートチャンクピザ

 イスラエルで創業し,ニューヨークを拠点にチョコレートバー,レストランを展開する「MAX BRENNER(マックス ブレナー)」のチョコレートチャンクピザです。

(チョコレートチャンクピザ)
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 見た目のインパクトが強いスイーツ系ピザです。

 厚めのピザ生地の上にミルクチョコレートとホワイトチョコレートのチャンク(chunk,大きめに刻んだかたまり)をのせ,更にその上にトーストしたマシュマロをのせて焼かれたピザです。

 ピザ生地は,甘くない,パンのような生地なのですが,その分,チョコレートやマシュマロの甘味が強くなっています。

 焼き立て,または温めて食べると,あつあつにとけたマシュマロとチョコレートソースの濃厚な甘味があり,ピザ生地がその濃厚な味をうまく受けとめて,全体が上手く調和する仕上がりとなっています。

 味,材料の組み合わせ,ボリュームとも,アメリカナイズされたお菓子と言えるでしょう。

なぜピザにマシュマロをのせるのか

 マシュマロに熱を加えると,淡雪のようにやわらかく,クリーミーになります。

 この特徴を生かし,ピザ生地にマシュマロをのせて焼くと,ピザを引っ張った時に,そのやわらかさで,まるで溶けたチーズのようにマシュマロが糸を引いて長く伸びます。

 そして,食べた時に口の中でふわっととろける生クリームのような味や食感を味わうことができるのです。

 また,今回のチョコレートチャンクピザでは,トマトソースの代わりにミルクを入れて溶けやすくしたチョコレートがソースとなっていますが,厚めのピザ生地は,こうして溶けこぼれそうなチョコレートソースやマシュマロをうまく支える皿の役割も果たしていると言えます。


鶴乃子・チョコマシュマロとホワイトデーの誕生

 博多銘菓「鶴乃子」(石村萬盛堂)は,マシュマロ生地の中に黄身あんが入ったお菓子です。

(鶴乃子)
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 ふんわりやわらかく,真っ白いマシュマロと,中の黄身あんで,甘い玉子のような見た目,味となっています。

 「鶴乃子」は,和菓子の饅頭からヒントを得たお菓子だと言えるでしょう。

 ちなみに,この「鶴乃子」とは逆に,アメリカのパイ菓子からヒントを得て,マシュマロをパイではさみ,チョコレートでコーティングしたお菓子が,森永製菓の「エンゼルパイ」であることは,とても興味深い話です。

 そして,この「鶴乃子」と同じ製法で,黄身あんの代わりにチョコレートを入れた菓子が,同じ石村萬盛堂の「チョコマシュマロ」です。

(チョコマシュマロ)
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 石村萬盛堂は,バレンタインデーのお返しの日として3月14日を「マシュマロデー」として創設し,この「チョコマシュマロ」を売り始めました。

 これが後にマシュマロの白を連想させる「ホワイトデー」と名前を変え,他のお菓子業界の参入もあって,今やすっかり日本の行事として定着し,現在に至っています。

 石村萬盛堂は,創業以来,日本三大銘菓である「鶏卵素麺」を製造しておられる会社です。

 この「鶏卵素麺」は卵黄しか使わず,どうしても卵白だけが残るために,卵白だけ使ったお菓子であるマシュマロの製造にも力を入れるようになりました。

 そのマシュマロを使ったお菓子が銘菓「鶴乃子」です。

 更に,この「鶴乃子」の製法を生かし,マシュマロの中にバレンタインデーのチョコレートを入れて,男性から女性へのお返し用のお菓子として売り出されたのがこの「チョコマシュマロ」なのです。

 ということは,現在のホワイトデーは,はるか昔,ポルトガルから伝来した南蛮菓子「鶏卵素麺」が発端となり,様々な要因・歴史を経て生まれた日本の行事だと言うことができるでしょう。

2015年12月27日 (日)

クリスマスディナー -フルート・ピアノ・チューバの生演奏とアメイジング・グレイスの意味-

 今年も海辺のレストランで生演奏を聴きながらクリスマスディナーをいただきました。

 音楽は,フルート,ピアノ,チューバの生演奏でした。

 「きよしこの夜」,「明るい街角で」,「エストレリータ」,「ザ・クリスマスソング」,「アメイジング・グレイス」,「ホワイトクリスマス」,「メリー・リトル・クリスマス」,「そりすべり」など,クリスマスソングを中心に有名な曲がたくさん演奏されました。

(生演奏の様子)
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写真左からフルート,ピアノ,チューバ

 チューバは太く響きのある音色が特徴の大型金管楽器で,重さが約10kgもあるそうです。男性奏者は片手で軽々と持ち上げておられましたが,市販の10kgの米を持ち上げることを想像すると,ひ弱な私には到底できそうもない技です。

 「メリークリスマス」の掛け声と同時に,テーブルに用意されたクラッカーを参加者全員で一斉に鳴らし,クリスマスディナーコンサートが開始しました。

 生演奏を聴きながらいただいた料理とデザートを御紹介します。


(前菜6種盛合せ)
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 皿の上側から時計回りに,豚とフォアグラのテリーヌ,海老とアボカドのタルタル,ベーコンとほうれん草のキッシュ,鴨のスモーク,モルタデッラそして中心が鯵のマリネです。

 モルタデッラは太くて丸い脂身入りのソーセージのことで,ボローニャソーセージとも呼ばれています。


(魚介のトマトスープ)
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 トマトをベースに,アカザエビを丸ごと煮込むことにより,殻やみそから出る濃厚なうま味が引き出されたスープとなっています。

 渡り蟹などの甲殻類とトマトを使ったポタージュ「ビスク(bisque)」の料理法が基本となっているように思いました。


(牡蠣のスモーク ペペロンチーノ)
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 この店で私が気に入っている牡蠣のスモークが載せられたペペロンチーノのパスタです。 


(真鯛のソテー ポルチーニクリームソース)
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 真鯛をソテし,周りにポルチーニクリームソースを添えた魚料理です。
 立体感を出すため,ブイヨンで煮込んだかぶの上に載せられています。
 ソースに載せられたトマトの赤とバジルの緑が,クリスマスらしさを演出しています。


(牛ロースステーキ 赤ワインソース添え)
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 網焼きのステーキに赤ワインソース,アクセントのローズマリーがよく合います。


(クリスマスデザート)
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 ロールケーキ,いちごのムース,チョコレートタルトの盛合せです。
 いちごの赤,ミントの緑,生クリームの白,金箔の金と,彩りもクリスマス仕様です。
 このデザートとコーヒーでゆっくりと余韻を楽しみました。

 このほか,乾杯のスパークリングドリンクとパンをいただきました。


 生演奏を聴きながら食事することはやはり難しく,演奏中はナイフとフォークを置き,音楽に集中した時間の方が長かったように思います。

 演奏者から,「美味しそうな香りがするので,最後までお腹が持つかどうか…」と冗談話もありましたが,そのような話を聞くと,何だか少し申し訳ないような気持ちにもなりました。

 生演奏と美味しい料理のおかげで,とても楽しいクリスマスを過ごすことが出来ました。


(メモ)
アメイジング・グレイス
 
賛美歌「アメイジング・グレイス(Amazing Grace)」は日本語に訳すと「驚きの(神の)恵み」といった意味になるが,これはイギリスの牧師ジョン・ニュートンが,自身の奴隷貿易の体験とその後の悟りを歌で表現したものである。

 彼は奴隷貿易船の船長として奴隷を船で運んでいた際,悪天候に襲われ,船ごと転覆しそうになるほどの危機的状況に陥る。その際,積み荷として運んでいた奴隷達の恐怖と苦しみの表情を目の当たりにする。船は奇跡的に助かったが,彼は自分の罪深さを知って改心し,後にイギリス国教会の牧師となり,54歳の時にアメイジング・グレイスを作詞した。

 奴隷貿易は新大陸から砂糖やカカオなどの嗜好品を入手する目的からはじまり,黒人奴隷の犠牲なくして今日の普及はなかった。

 今私たちの目の前にある砂糖やカカオ(チョコレート)こそ,アメイジングな(驚きの)過去を持った食べ物であると言えるだろう。

2015年10月25日 (日)

バナナピーマン -なぜピーマンが嫌いな子供が多いのか-

バナナピーマン

 職場の方から,自宅の畑で採れた「バナナピーマン」という野菜をいただきました。

 その方は,他人と同じ野菜を作っても面白くないと,珍しい野菜の種や苗をインターネットで取り寄せ,自分の畑で育てておられるようです。

 私が知らないのをいいことに,「中にバナナが入っている」とか,「バナナのようなピーマンのような味がする」などと,からかわれました。

 からかわれた私は,それならと,いただいた目の前で,さっと水で洗っただけのバナナピーマンを丸ごとかぶりついてみました。

 すると,さすがにバナナの味や香りは感じられませんでしたが,青臭さや苦味の少ない,やわらかくて食べやすいピーマンでした。

 私は,そのバナナピーマンを少し分けていただき,自宅でもいただくことにしました。

 これがそのバナナピーマンです。

(バナナピーマン)
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 緑色の一般的なピーマンに比べ,薄緑色(※)で,パプリカのように果肉に厚みがあります。中の種も柔らかく,丸ごと食べても抵抗感はありませんでした。

※バナナピーマンは熟度に応じ,黄緑色→クリーム色→黄色→オレンジ色→赤色(完熟)と変化するが,食べごろは黄緑色の時で,以降,完熟度が増すと果肉が固くなる。


バナナピーマンのナムル

 夜帰宅し,時間がない中,このバナナピーマンを使って,すぐに作れるおかずはないかと考えた結果,たまたま目に飛び込んだ醤油とゴマ油などを使って,ナムルを作ることにしました。

 バナナピーマンを適当な長さに切って,醤油とゴマ油を入れたボウルの中に入れてしばらく漬け,それを皿に盛って,仕上げにゴマをかければ完成です。

(バナナピーマンのナムル)
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 今回は,醤油はカンジャンと呼ばれる朝鮮半島の醤油を使い,かくし味としてエゴマの粉を少し混ぜてみました。

 加熱料理はもちろん,生でそのまま食べてもおいしいので,サラダとしていただくのもよいかと思います。


バナナピーマンをめぐる疑問・考察

 このバナナピーマンを職場でいただいた際,「一般的なピーマンに比べて食べやすいのに,なぜあまり流通してないのか」,「バナナピーマンならピーマンが嫌いな子供でも喜んで食べるのではないか」という話題で盛り上がりました。

 順に検証してみたいと思います。


バナナピーマンの流通量が少ない理由

 流通量が少ない理由は,品種改良を重ねてできたマイナーな作物であることから,栽培管理方法(栽培期間,病害虫など)での課題があったり,知名度や消費者ニーズの低さなどの理由が挙げられるでしょう。ただ,これらの要因は,今後変化していく可能性は大いにあります。


ピーマンが嫌いな子供もバナナピーマンなら喜んで食べるのか

 職場の皆さんの話では,「バナナピーマンなら子供も喜んで食べるだろう」という考えばかりでしたが,私はあまりそうは思いません。

 「色が食欲に与える影響と食品マーケティング -倉敷のデニムまん-」の記事でも御紹介しましたが,子供がピーマンをはじめとする緑黄色野菜を好まないのは,緑や青,紫色の食べ物が,植物の未熟さ,毒性を示すことを直感的に判断するからです。
 この理論から言えば,視覚からみて,緑黄色のバナナピーマンは不利で,赤や黄色のパプリカの方がまだ有利とも言えるでしょう。

 また,嗅覚からみても,ピーマンに比べて少ないとは言え,やはり青臭さはあり,それは子供にとって未熟さの判断材料となってしまいます。

 さらに,味覚においても,アルカロイドなどから生じる苦味は,子供にとって毒性を示す判断材料となってしまいます。ピーマンに比べれば,甘さも強いので,さほど抵抗はないと思いますが,子供が喜んで食べるまでにはなかなかつながらないと思います。


大人は経験でものを食べている

 では,なぜ大人は,バナナピーマンなら子供に受けがいいだろうと思うのでしょうか。
 それは,大人は子供に比べ,様々な食べ物を食べてきた分,

(1)ピーマンに青臭さや苦さがあることを経験的に理解し,それ自体も美味しいと思えるレベルに達している。

(2)「ピーマンに比べ,バナナピーマンはくせが少なく食べやすい」と比較・判断できる能力が備わっている。

 から一方的にそう思うのであり,口にした食べ物が少なく,まだ視覚・嗅覚・味覚などの直感に頼らざるを得ない子供が思うようなことではありません。


ピーマンが嫌いな子どもへの対処方法

 そうなると,「子供がピーマンなど緑黄色野菜が嫌いなままでいいのか」という話にも発展しそうですが,いま御説明したお話で説明すると,「成長し,様々な食べ物を食べていくうちに,食材の持つ奥深さがわかるようになり,食べ物の好き嫌いも減ってくるのが自然な流れ」なので,どう対処したらよいかなどと頭を悩ませる必要はないと思います。

 それでも何とか子供にピーマンを食べてもらいたいと思うなら,料理の中に刻んで入れるような努力をするよりは,隣で大人がおいしそうに食べている姿を見せ,自発的に食べてみたいと思わせた上で,ピーマンの味に慣れさせる方が,よっぽど効果的で近道だと思うのですが,いかがでしょうか。


食育が求められる理由


 子供に限らず大人でも,食べ物の好き嫌いを無くす何よりの方法は,食の世界に興味を持つことだと思います。

 食の世界に興味を持てば,料理などを通じて,素材本来の美味しさや食べ物のありがたさがわかるようになり,食べ物を平気で捨てたり残したりしなくなります。

 食料自給率が低く,海外からの輸入に頼る日本の状況を考えると,国を挙げて食育に取り組んでいるのも理解できるような気がします。

 子供が「面白い」,「もっと学んでみたい」と思えるような魅力のある食育が求められています。

2015年8月19日 (水)

ルバーブの特徴を知る -ルバーブジャム・ルバーブパイ-

 6月末に,広島県廿日市市郊外のカフェに併設された青空市で,ルバーブが売られていました。

 お店の方から,酸味が強いのでジャムにするとよいと伺い,もの珍しさもあって,購入しました。


ルバーブ


 ルバーブという名前からは,おしゃれなハーブのようなイメージを持っていたのですが,実際の見た目はフキかイタドリのような植物です。

(ルバーブ)
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 手元の本では,ルバーブについて,「食用大黄(だいおう)ともいう。フキに似た赤色の葉柄は,特有の香味,酸味がある。果物のように利用する野菜で,サラダ,ジャム,コンポート,プディング,パイ,ゼリーに用いる。根は漢方で大黄と呼ばれ,消化促進,黄胆に効果がある。」とあります。

 植物の青臭さはあまり感じられず,香りが強い植物ではないようです。

 まずは外の皮をむいて,生で食べてみることとしました。昔,子供の頃,山でイタドリ(私はカッポンと呼んでいました)を食べた時の酸っぱさを想像し,かなりの酸味があるのではと覚悟をして食べましたが,意外にも,そんなに強い酸味はありませんでした。

 そこで,ものは試しと,今度は皮ごと生で食べてみると,皮に強い酸味があり,レモンを丸ごとかじったような酸っぱさを感じました。


ルバーブジャム

 生のルバーブの味を確認したところで,早速ジャムを作ってみることとしました。

 ルバーブの皮の酸味が特に強かったので,皮はむくこととしました。
 1~2cmの長さに切り,ボウルの中に入れ,どっさりと砂糖も加えて,約30分,そのままにしておきました。

(ルバーブに砂糖を加えた様子)
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 予想どおり,砂糖漬けにすることで,ルバーブに含まれていた水分がかなり出てきました。そこで,新たに水を加えることなく,このルバーブに含まれていた水分だけで煮ることにしました。

 鍋に移し替えて煮ていると,自然と繊維がやわらかくなりました。
 フキは煮ても形はあまり崩れませんが,ルバーブは手でつぶさなくても,加熱することで勝手にどろどろに溶けていくのです。

(ルバーブをしばらく加熱した様子)
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 そして,不思議とグレープフルーツのような柑橘の香りが立ち込めるようにもなりました。

 砂糖を加えているので,焦げ付きに注意しながら,約20分,弱火で煮続けました。

 蒸発で水分が減る分,とろみが増し,生で食べた時よりも酸味が強調されてきました。色も濃い緑色に変化してきました。

(ルバーブを約20分加熱した様子)
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 約20分煮たところで火を止め,冷ましてルバーブジャムの完成です。
 ルバーブは酸味や食物繊維が多く,砂糖で加熱すると自然ととろみが出るため,レモン汁を加える必要はなさそうです。

(ルバーブジャム)
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 今回は緑のルバーブを使ったので,緑色のジャムとなりましたが,赤いルバーブで作ると,赤色のルバーブジャムができます。


ルバーブパイ

 
後日,市販の冷凍パイシートにルバーブジャムをのせて,オーブンで焼き,ルバーブパイを作ってみました。

(ルバーブパイ)
2

 ルバーブジャムだけだと,甘味より酸味が勝ってしまうのですが,これをバターの塩味の効いたパイ生地と一緒に食べると,その酸味がやわらぎ,逆に甘味が引き立つようになるので,とても美味しくなります。
 アップルパイを作る際,甘酸っぱいりんごを使う方がよいのと同じです。

 私にしてはまともに出来たので,ご近所にもおすそ分けを…と思ったのですが,持って出る直前で,あることに気付き,あきらめました。

 そのあることとは…。パイに照りと焼き色をつけるため,オーブンで焼く前に,卵液(黄身を水でのばした液)を刷毛でパイ生地に塗るのですが,刷毛がなかったため,あるもので代用しました。(作っている最中は,「これを思いつくとは,ナイスアイデア!」と興奮したものです。)

 その代用品とは…私が毎日使っている歯ブラシです(笑)。

 後日,同じ要領で(ただし歯ブラシは使わず,衛生には細心の注意を払った上で)アップルパイを作り,鉄板にのった焼き立てのパイをご近所におすそ分けしました。

2015年5月17日 (日)

チャメ -韓国の夏の定番フルーツ-

 果物売場に「チャメ」と呼ばれる聞き慣れない果物がありました。
 大きさはこぶし大,皮は黄色で,白い縞が入っています。

(チャメ)
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 袋に韓国農協と書かれており,韓国からの輸入果物でした。韓国では夏の定番フルーツとなっているようです。
 「おチャメちゃん」の茶目っ気さにも魅かれ,おチャメなフルーツ「チャメ」を購入しました。

(おチャメちゃん)
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 袋に食べ方の説明書きがありました。

(説明書き)
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 今回は,リンゴのように,まず包丁でくし切りにしてから,皮をむいていただくこととしました。実際,実の固さや皮の厚みもメロンよりはリンゴの感覚に近いように思いました。

(チャメを切った様子)
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 食感はサクサクと,少し固めのプリンスメロンのような感じです。
 中心の種の部分も,種自体がやわらかいので,(好みはありますが)一緒に食べることも可能です。これはメロンとは異なる特徴と言えるでしょう。
 写真のくし切りのチャメに種がないのは,私が最初に種だけを食べてみたからです(笑)。メロンと同様,やはり種の部分の甘みの方が強いです。

 味は,ウリなのでメロンほどの甘みはありませんが,さっぱりとした素朴な甘みがあり,暑い日に冷やしたチャメが用意されていると,いくらでもいただけそうです。

 日本のマクワウリ自体も売場で見かけることが珍しくなっているので,チャメも珍しい果物に思えたのですが,それが返って消費者にウリ(売り)なのかも知れませんね。

2014年12月25日 (木)

クリスマスディナー -生演奏を聴きながら料理を味わうことの難しさ-

 生演奏を聴きながらクリスマスディナーをいただきました。

 音楽はアルゼンチンタンゴで,バイオリン,バンドネオン,ピアノの生演奏でした。「エル・チョクロ(とうもろこし)」,「カナロ・エン・パリ(パリのカナロ)」などアルゼンチンタンゴで有名な曲がたくさん演奏され,最後の曲は期待どおり「ラ・クンパルシータ」でした。

(アルゼンチンタンゴの生演奏の様子)
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 食事やデザートもクリスマスらしい内容となっていました。
 メインとデザートを御紹介します。

(甘鯛のパイ包みロールと鱈のブランダード)
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 甘鯛のフィレを巻いて,パイで包んであります。ブランダードは鱈などの白身魚の身やじゃがいもを牛乳などでのばして作るマッシュポテトのような料理で,今回もそうですが,メイン料理を立体的に盛ったり,土台として安定させたりする役割も持っています。

(ローストビーフ 赤ワインソース添え)
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 相当大きな牛肉の塊をローストされたのだと思います。また,赤ワインソースも,作ってみるとわかりますが,すぐ蒸発するので,相当量の赤ワインが使われているはずです。私はこれが今年最後の牛肉かも知れません(笑)。

(デザート盛合せ)
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 いちごと生クリームで作られたサンタクロースは初めてです。抹茶のケーキやいちごのムース,アイスクリームが並べられ,赤と緑を基調として,クリスマスの雰囲気を演出しています。

(生演奏を聴きながら料理を味わうことの難しさ)

 私は基本的に「ながら食い」は好ましくないと思っています。テレビやインターネットを見たり,新聞・雑誌などを読んだりしながら食事をするのは,せっかく作ってくれた料理を味わうには程遠く,料理人に対して失礼になると思うからです。

 生演奏を聴きながら食べることはどうでしょうか。これは難しいところで,演奏に集中すれば,食事はおろそかになりますし,反対に食事に集中すれば,演奏そっちのけになってしまいます。

 ただ,生演奏を聴きながら食事を楽しんでもらうのが店側の本望であり,それに賛同する客が予約を取って来ている訳ですから,両方をうまく楽しみ,味わうことが出来るならば,普段の食事や音楽鑑賞にはない相乗効果が期待出来るのも事実です。

 ただし,これは,高度な食べ方です。演奏に耳を傾けながら,料理も味わうことで,演奏者と料理人の両方に敬意を称しつつ,同席者との会話にも気を配る等々…。こうした振る舞いがスマートに出来る人は,食事と音楽鑑賞そしてその場の雰囲気までもうまく調和させることが出来る人だと言えそうです。

2014年11月 8日 (土)

干し柿 -渋柿の特徴と種の繁栄方法-

 実家から自家製の干し柿をわけてもらいました。
 適度な半熟となっており,作り手の干し柿への思い入れまで感じさせる完成度の高い干し柿でした。よほど暇があったものと思われます(笑)。

(干し柿)
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 甘柿より渋柿の方が干すと甘味が強くなるため,干し柿は,渋柿から作られることが多いようです。

 柿の自然分布は東アジアに限られ,中国から渡来した品種はほとんどが渋柿でした。柿は渋柿が一般的で,甘柿は柿の中ではむしろまれな品種に該当します。

 普通に考えると,果実は,自らを甘くすることで種ごと動物に食べてもらい,その種を別の場所にまいてもらって繁栄させているので,動物が避ける渋みを持つ渋柿は,一見不利ではないかと思えます。

 ところが,渋柿はそうした考えからさらに上をいく果実でした。渋柿は,中の種が未成熟なうちは,動物に食べられないように渋みを持たせ,中の種が成熟して発芽出来る状態になってはじめて,渋みが消える(熟柿となる)しくみを持っているのです。つまり,最終的には甘くなって,他の果実と同様に繁栄させるしくみを持っていることになります。

 柿の渋みは,ポリフェノールの一種であるタンニンです。このタンニンが水に溶けると渋みを感じ,逆に固まって水に溶けなくなると(舌に渋みを感じないので)甘いと感じられるようになります。

 つまり,柿の渋抜きとは,熟柿を促す作業であり,この水溶性タンニンを不溶性に変える人為的な作業だと言うことができるでしょう。

 干し柿は,日本の旧来(唐菓子以前)の菓子であり,鑑真が砂糖をもたらすまで,飴,甘葛と並ぶ数少ない甘味料でもありました。
 こうした歴史もあってか,和菓子の世界では,干し柿の甘さが1つの基準とされることがあります。干し柿の甘味以上の甘味だと,下品な甘味になるというのがその理由のようです。

 そのままでは渋くて食べられない柿を品種改良して甘柿にしたり,干すなどして渋を抜き,更に保存性を高めるなど,干し柿1つをとっても,先人の知恵と工夫をたくさん見出すことが出来ます。

2014年9月 7日 (日)

お月見 -月見団子と月餅-

 お月見は,主に旧暦の8月15日から16日の夜(十五夜)に行われる行事で,この夜の月は「中秋の名月」と呼ばれます。

 中国から伝わった祭事で,ススキを飾ったり,「月見団子」や「里芋」(芋名月とも呼ぶ地方もある),酒を供えて月を眺める風習があります。

 「月見団子」は月になぞらえて丸い形に作ります。当初は丸い里芋や豆類が供えられたようで,その後,米を使った団子が供えられるようになりました。「あずきの研究9 -小豆ともちの深い関係-」でも触れましたが,日本を含む東アジア・東南アジアでは,餅と行事食は密接に関わっており,その事例として月見団子を挙げることができます。

(月見団子)
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 中国では,「中秋節」として「月餅」(団円・一家団欒を表す「団月餅」とも呼ばれる)や西瓜(スイカ)を食べて幸福を祈ります。

(月餅)
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 中国の影響を受けた朝鮮半島でも,「秋夕(チュソク)」として松餅(ソンピョン,松葉蒸し餅)や酒を祖先に供える風習があります。秋夕の時期にソウルに旅行したところ,ソウルの人々は祝日で,皆故郷に帰省するので,観光に行っても休みばかりだったという経験があります。

 このほか,台湾やベトナムでもお祝いする風習があるようです。

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