食文化体験・イベント

2023年5月28日 (日)

東海道新幹線の車内販売で名店のお菓子を味わう -オーボンヴュータンのプティフールセック-

AU BON VIEUX TEMPS(オーボンヴュータン)

 東京・尾山台に伝統フランス菓子の店「AU BON VIEUX TEMPS(オーボンヴュータン)」があります。

 このお店のシェフ・河田勝彦さんは日本のフランス伝統菓子の第一人者で,辻口博啓さんもこのお店でフランス菓子を学ばれました。

 私もお店に伺ったことがあるのですが,実に多くの種類のフランス菓子があり,またシャルキュトリー(食肉加工品)のコーナーもあって,フランスの気分を味わうことができました。

 東京・日本橋高島屋にも店舗があるので,新幹線や飛行機を利用される際には,こちらの店舗を利用されると便利です。


東海道新幹線・車内販売の新幹線スイーツ

 東京・日本橋高島屋のオーボンヴュータンへは、夕方から夜にかけて何度か伺ったことがありますが,この時間帯だと目当ての商品がすでに売り切れていることが多く,しばらくオーボンヴュータンの味に飢えていました。

 そんな中,東海道新幹線の車内販売「新幹線スイーツ」でオーボンヴュータンのお菓子「プティフールセック」が販売されていることを知りました。

 「プティフールセック(petits fours secs)」は,プティ(petit)が「小さい」,フール(four)が「オーブン・窯・かまど」,セック(sec)が「乾燥した・ドライな」という意味で,合わせると「(オーブンで焼いた)小さな焼菓子」・「小干菓子」という意味になります。

 このお菓子に興味を持った私は,車内販売での購入を試みました。

 しかしながら,この「プティフールセック」は数量限定で車内販売されていないケースが多く,なおかつ私が新幹線に乗る時間帯は早朝か深夜なので,まだ用意されていないか,もう売り切れてしまったケースも多いため,なかなか購入できませんでした。

 このお菓子の購入をあきらめかけていた頃,チャンスが訪れました。

 夕方,品川駅から東海道・山陽新幹線に乗って広島へ帰る途中,車内販売のパーサーから「オーボンヴュータンのお菓子はいかがでしょうか」と紹介があったのです。

 その瞬間は買いそびれてしまいました。

 「折り返しの車内販売が来るまでの間,売り切れるなよ…」と心の中で祈りました。

 そして折り返し車内販売が来た際,私はパーサーさんに尋ねました。

 「あの,オーボンヴュータンのお菓子はありますか?」

 「はい!ございます。」

 パーサーさんは嬉しそうに応じてくださいました。

 「よし,やったぞ!」と気持ちは高揚し,ホットコーヒーも注文しました。

 お菓子とセットで買うと,コーヒーが安くなることを確認して(笑)

(プティフールセックとホットコーヒー)
Photo_20230528064401

 こちらがオーボンヴュータンの「プティフールセック」とコーヒーです。

 「プティフールセック」は720円です。

 「AU BON VIEUX TEMPS」と書かれた外箱には,サイクリストとフランスの地図が描かれています。

 フランスのパリとブレストを結ぶ自転車レースに由来するお菓子「パリブレスト」が思い浮かびました。


オーボンヴュータンのプティフールセック

 「プティフールセック」の箱を開けてみました。

(プティフールセックとホットコーヒー(開封))
Photo_20230528064501

 小さな焼菓子が箱にきれいに詰められていました。

(プティフールセック)
Photo_20230528065001

 小箱に焼菓子がぎっしりと詰められており,全部で7種類もありました。

 写真左が「エピス」(エピスのきいたサブレと木苺ジャム),中央が「コルネ」(シガレット生地のコルネにプラリネ),右が「ディスク」(サブレと赤スグリのジュレ)です。

 その奥には,「プレオール」(カラメリゼされたサクサクな焼菓子),「ドワ」(バターとアーモンドベースの生地にジャンドゥーヤ),「ガレット・ナンテーズ」(ナントの焼菓子),「サン・ノン」(アーモンドをつけたディアマン)が詰められていました。

 ※エピス…スパイス・香辛料
 ※プラリネ…ローストしたナッツと砂糖をキャラメリゼしたもの
 ※ジャンドゥーヤ…ヘーゼルナッツを加えペースト状にしたチョコレート
 ※ディアマン…クッキーの周りをグラニュー糖で装飾すること。ダイヤモンドという意味

 甘さ控えめでサクサクの生地,ほろ苦いカラメル,コクのあるアーモンド,芳醇な香りのバター,甘酸っぱいベリージャム…7種類もあるので,少し持って帰ろうと思っていたのですが,美味しさの勢いで一気にいただきました。

 オーボンヴュータンのお菓子は高価なイメージがありますが,7種類で720円,1個約100円で幸せな気分になれるなら,これはお得だと思いました。

 オーボンヴュータンの店頭や通信販売でも「プティフールセック」が販売されていますが,そのデギュスタシオン(degustation・お試し版)とも言えるでしょう。

 ホットコーヒーともよく合いました。

 フランスの古き良き時代(オーボンヴュータン)をイメージさせるような,伝統的なフランスの焼菓子でした。


<関連サイト>
 「AU BON VIEUX TEMPS」(尾山台店・日本橋高島屋店)
 「東海道新幹線車内販売」(ジェイアール東海パッセンジャーズ)

<参考文献>
 日仏料理協会編「仏和・和仏料理フランス語辞典」(白水社)

2023年5月21日 (日)

G7広島サミットと食 -お好み焼(参加各国)・カナダドライ(カナダ)・ドクターペッパー(アメリカ)-

G7広島サミット開催地の状況

 2023年5月19日から21日までの3日間、広島で「G7広島サミット」が開催されています。

 メイン会場は広島市南区のホテル(グランドプリンスホテル広島)で、各国要人が来られるということで、厳重な警備体制がとられています。

 このサミットの期間中、広島市内や周辺地域の人々の生活も変化を余儀なくされています。

 例えば、
・一般道路や高速道路の交通規制
・公共交通機関の減便・運休
・全国から集まった警察官・警察車両による厳重な警備
・昼夜を問わないヘリコプターの上空飛行
・会社の休業・テレワーク対応、学校の休校
・物流の停滞に伴う品不足、消費者の買いだめ、荷物の遅延発生
・行動自粛要請に伴う広島市中心部の空洞化・脱広島化
・広島県内宿泊施設の不足
などが挙げられます。

 今後、G7サミット開催地・広島として有名になることを考えれば大きな経済効果が期待できるのでしょうが、サミット期間中の経済効果は限定的なイメージを持ちます。

 私は広島市南区の自宅でテレワークをしながら、ふと「緊急事態宣言」が発令された時の状況に似ているように思いました。

 ただ、こうした状況は一過性のものですし、「G7広島サミット」の開催自体は地元民にとって名誉なことです。

 むしろこうした状況を楽しむぐらいの余裕を持ちたいものです。

 ということで、今回はG7参加国にちなんだ食を御紹介したいと思います。


G7広島サミット参加国にちなんだお好み焼


 近所のスーパーマーケットでG7広島サミット参加国にちなんだお好み焼が紹介されていました。

 広島のソースメーカー「オタフクソース」が考案されたお好み焼レシピです。

 G7各国別のお好み焼を御紹介します。

(アメリカ・ハンバーガー×お好み焼とカナダ・メープルシロップ×お好み焼)
Photo_20230521100501
 (オタフクソース「ENJOY!OKONOMIYAKI」資料から引用・一部抜粋)

 画像上側は、アメリカにちなんだ「ハンバーガーのお好み焼」です。

 お好み焼の生地をバンズの形に焼き、挽き肉で作ったハンバーグ・トマト・スライスチーズをはさんだ料理です。

 これはボリューム満点です。

 画像下側は、カナダにちなんだ「メープルシロップがけのお好み焼」です。

 焼き上げた生地にお好みソースを塗り、その上からさらにメープルシロップをかけた料理です。

 お好みソースは甘いことが売りなので、メープルシロップも合うと思いますが、メープルシロップの割合が多いとホットケーキに近くなるような気もします(笑)

(イギリス・フィッシュ&チップス×お好み焼とフランス・ケークサレ×お好み焼)
Photo_20230521101001
 (オタフクソース「ENJOY!OKONOMIYAKI」資料から引用・一部抜粋)

 続いて、画像上側はイギリスにちなんだ「フィッシュ&チップスのお好み焼」です。

 お好み焼の上にポテトフライと白身魚の天ぷら(フィッシュ&チップス)をトッピングした料理です。

 フィッシュ&チップスとお好みソースは合いそうです。

 画像下側はフランスにちなんだ「ケークサレのお好み焼」です。

 お好み焼ミックス粉で作った生地を型に流し込み、オーブンで焼いて「ケークサレ(塩味の総菜ケーキ)」に仕上げた料理です。

 お好み焼ミックス粉でこうした応用料理もできるのかと感心しました。

(イタリア・ピザ×お好み焼とドイツ・ソーセージ&ポテト×お好み焼)
Photo_20230521101401
 (オタフクソース「ENJOY!OKONOMIYAKI」資料から引用・一部抜粋)

 続いて、画面上側はイタリアにちなんだ「ピザ風お好み焼」です。

 出来上がったお好み焼にピザ用チーズをまぶし、加熱して表面のチーズが溶けたら、その上にスライストマトとスイートバジルをのせて仕上げた料理です。

 日本のピザ(お好み焼)と本場イタリアのピザを融合させた創作料理です。

 最後に日本のお好み焼です。

(日本・お好み焼)
Photo_20230521101601
 (オタフクソース「ENJOY!OKONOMIYAKI」資料から引用・一部抜粋)

 家庭用のお好み焼ミックス粉を使った関西風お好み焼が紹介されています。

 広島風お好み焼は、調理に一定の技術と設備が必要となるので、調理はプロに任せ、お店で食べるかテイクアウトで食べるのが一般的です。

 今回御紹介した料理は、オタフクソースのウェブサイトに紹介されていますので、御興味を持たれた方は御覧ください。


カナダの「カナダドライ」とアメリカの「ドクターペッパー」

 G7参加国にまつわる料理として、カナダの場合は、今回のお好み焼のようなメープルシロップを使った料理が数多く紹介されていました。

 そこで私からはちょっと変化球として、カナダの「カナダドライ」を御紹介したいと思います。

 あわせて、カナダドライと同じブランドであるアメリカの「ドクターペッパー」も御紹介したいと思います。


【カナダドライ(CANADA DRY)】

 「カナダドライ(CANADA DRY)」は、1904年にカナダで誕生した炭酸飲料です。

(カナダドライ)
Photo_20230521103001

 シャンパンのドライな味わいと洗練された色に魅了されたカナダの薬剤師「ジョン・J・マクローリン」が、1904年に甘さ控えめのジンジャーエール「CANADA DRY PALE GINGER ALE」を開発しました。

(カナダドライ・ラベル)
Photo_20230521103201

 ラベルにも「シャンパンに惹かれて開発され、110年以上も変わらず そのゴールド色とドライな大人の味わいが愛され続けています。」と記載されています。

 カナダで誕生したカナダドライは、やがてアメリカへ渡り、全世界へと広がっていきます。

 日本においても長年愛され続け、馴染み深いソフトドリンクとなっています。


【ドクターペッパー(Dr Pepper)】

 「ドクターペッパー(Dr Pepper)」は、1885年にアメリカで誕生した炭酸飲料です。

 アメリカ・テキサス州の薬剤師「チャールズ・オルダートン」がドラッグストア内でフレーバー付きの炭酸飲料「ドクターペッパー」を製造し、その場で客に売ったのが始まりとされています。

(ドクターペッパー)
Photo_20230521103301

 この商品名は、知り合いのペッパー医師から命名したとされています。

 当時の宣伝文句は「おなかの調子を整える飲み物」というもので、当時から薬のような味がするドリンクだったようです。

 飲んでみると…確かに薬のような風味を感じました。

 お香と胃薬を混ぜたような香り、そして濃厚なベリーのような味がしました。

 コーラと同様、ハマると美味しいドリンクだと思います。


【薬・健康飲料から清涼飲料へ】

 カナダドライとドクターペッパーは、いずれも薬剤師が作ったドリンクで、産業化が進み、健康志向が高まる中での薬・健康飲料として、また、禁酒運動の高まりを受けての脱アルコール飲料(ハードドリンク(お酒)に対するソフトドリンク)として人気を博し、世界各地に展開します。

 また、コカ・コーラも1886年にアメリカ・ジョージア州の薬剤師「ジョン・S・ペンバートン」が開発した飲料で、当初はコカインを使用し(その後使用中止)、神経衰弱・頭痛・二日酔いに効く薬として販売されました。

 さらにペプシコーラも1898年にアメリカ・ノースカロライナ州の薬剤師「キャレブ・ブラッドハム」が開発した飲料で、商品名は胃の酵素(ペプシン)に由来し、当初は胃の消化不良を助ける薬として販売されました。

 つまり、カナダドライもドクターペッパーもコカ・コーラもペプシコーラも、ほぼ同時期に薬剤師によって薬や健康飲料として開発され、産業化と健康志向の流れに乗って普及し、やがて人々の意識が「利便性の高い清涼飲料」へと変化して世界に展開した飲料なのです。

 アメリカやカナダは多民族国家であり、これらの国で作られたもの・受け入れられたものがやがて世界標準化するという特徴がありますが、今回御紹介した炭酸飲料は、こうした特徴を示す1つの事例だと言えるでしょう。


まとめ

 G7サミットの開催地となった広島では、食の分野でもG7参加国にちなんだ料理や飲み物がたくさん紹介され、お店で提供されました。

 さらには、海外の食だけでなく、地元広島の食を海外に発信する機会にもつながりました。

 今後はサミットの開催に合わせて、各国のグルメ(Gourmet)やガストロノミー(Gastronomie)の交流を目的とした食のイベント「G7」・「G20」なども開催されると面白そうです。

 飛び入り参加も大歓迎です(笑)


<関連サイト>
 「お料理レシピ」(オタフクソース)
 「カナダドライ ブランドヒストリー」(日本コカ・コーラ)
 「ドクターペッパー」(日本コカ・コーラ)
 「世界のペプシの歴史」(サントリー)

<参考文献>
 鈴木 透「食の実験場アメリカ ファーストフード帝国のゆくえ」中公新書

2023年3月26日 (日)

ビッグ錠先生の世界10 -湘南台「ビッグ錠の66.50展」とプリンカレー勝負-

「ビッグ錠の66.50展」(湘南台駅地下アートスクエア)

 2023年3月18日・19日の2日間,神奈川県藤沢市湘南台を訪問しました。

 湘南台駅アートスクエアで開催された「ビッグ錠の66.50展」(2023年3月18日~22日)に参加するためです。

 このイベントの開催を知ったのが開催3日前の夜で,急遽,広島から東海道・山陽新幹線を利用して新横浜駅経由で訪問しました。

 2023年3月18日は,ちょうど相鉄・東急新横浜線が開業した日にあたり,相鉄・湘南台駅でも開業記念展示がありました。

(相鉄・東急新横浜線開業記念展示(湘南台駅))
Photo_20230326150101

 湘南台が「しょうにゃんだい」に,ナンバリングも「SO28(そうにゃん)」と表記されています。

 多くの人がこの記念展示を撮影されていました。

 改札口を出て湘南台駅の地下をしばらく歩くと,「ビッグ錠の66.50展」の会場がありました。

(「ビッグ錠の66.50展」ポスター)
Photo_20230326150401

 ビッグ錠先生の手作り感満載のポスターです。

 「ぼくがこの町で生まれてから50年だよー」
 「この町もずいぶん変わったなあ」
 「俺たちマンガの中では年をとらなくていいなあ」

 今年は,ビッグ錠先生がマンガを執筆されて66年,湘南台を拠点とされて50年という年にあたります。

(「ビッグ錠の66.50展」プログラム)
Photo_20230326150501

 3月18日から22日の期間中,ビッグ錠作品展のほかに,トークショウ,カレー勝負,コンサート・ライブペインティングが行われました。

(「ビッグ錠の66.50展」会場(湘南台駅地下アートスクエア))
Photo_20230326150502

 会場の様子です。

 「一本包丁満太郎」の主人公・満太郎がおにぎりを握る様子を描いた大きな垂れ幕もありました。

(「ビッグ錠の66.50展」寄稿文)
Photo_20230326150701

 一人のマンガ家が ある町に住みついて その町がとても好きになり
 その町の人たちを好きになり その町の人たちと何かをやりたくなり
 気がついたら50年経っていた
 高校二年の時,大阪の貸本マンガでデビュー
 マンガを描き続けて,気がついたら66年経っていた…
 66と50でロック!ロックでGo on!
 66・50展をお楽しみください。
 ビッグ錠

 会場にはビッグ錠先生が描かれた様々な原稿やポスターなどが展示されていました。

(「包丁人味平」少年ジャンプ原稿)
Photo_20230326151101

 「包丁人味平」のカレー勝負で,主人公の味平がいろんなカレー店を食べ歩く様子です。

(湘南台イベント案内)
Photo_20230326151201

 湘南台の地域のイベント案内も展示されていました。

 地域の防災訓練やラジオ体操の案内をビッグ錠先生が作られているとは,湘南台の皆さんがうらやましいです。

 私が湘南台の住民だったら,行事が終わっても資料は捨てずに保存します(笑)

(鯖神社絵馬(平成26年・午年))
26

 こちらは,ビッグ錠先生が地元・湘南台の鯖神社に奉納された絵馬です。

 ビッグ錠先生らしさが伺える作品です。

 漫画家の皆さんからのお祝いメッセージ・サインも展示されていました。

(お祝いメッセージとサイン(さとう輝・本庄敬・川崎のぼる・寺沢大介))
Photo_20230326151401

 写真右上がさとう輝先生,左上が本庄敬先生,右下が川崎のぼる先生,左下が寺沢大介先生からのお祝いメッセージとサインです。

(お祝いメッセージとサイン(倉田よしみ))
Photo_20230326151601

 こちらは倉田よしみ先生からのお祝いメッセージとサインです。

 作品展をひととおり鑑賞した後,湘南台のバー「Ars Nova(アルスノーバ)」へ向かいました。


「Ars Nova(アルスノーバ)」

 アルスノーバには約3か月ぶりの訪問となりましたが,マスターをはじめ,いろんな常連さんとお会いでき,会話を楽しみました。

 ドリンクは,良いアプリコット酒があるとのお話だったので,ソーダ割りでいただきました。

(アプリコット酒ソーダ割り)
Photo_20230326151701

 甘めで,アプリコットの良い香りが楽しめるカクテルでした。

 最近になって気付いたのですが,マスターは私がお酒に弱いことを気遣って,お酒の量をかなり減らしてくださっています。

 地元のバーやスナックで「お酒はかなり少なめで」とお願いしても,私にとっては強いことが多いのですが,アルスノーバでは時間をかければ飲み切れる(おかわりもできる)からです。

 こうした見えない心遣いができるところに,マスターの優しさと誇りを感じました。

 イベント「カレー勝負」の前夜ということで,ユーチューブで漫画飯再現料理を紹介されているズボラさんも来店されました。

 お店で明日のカレー勝負に出されるカレーの仕込みをされたのですが,そのカレーの味見ということで,私も「プリンカレー」を試食させていただきました。

(ズボラさんのプリンカレー)
Photo_20230326152601

 ビッグ錠先生のブラックカレーを意識し,イカ墨で黒を強調されたカレーです。

 スパイスを足して少し辛めに仕上げられています。

 そのカレーの上にプリンがのせられています。

 じっくり煮こまれて深いコクとまろやかさが感じられるカレーで,やわらかく煮こまれた牛肉もゴロゴロと入っていました。

 プリンは甘さ控えめで,カレーと一緒に食べると,クリーミーでマイルドな味になり,不思議とよく合いました。

 美味しかったので,ズボラさんへは「料理お上手なんですね」と感想をお伝えしました。

 その後,初日のトークイベントを終えて打ち上げをされていたビッグ錠先生と寺沢大介先生御一行が来店されました。

 私はカウンター席に居たのですが,ビッグ錠先生から「こっちへどうぞ」と誘っていただき,寺沢大介先生の横で皆さんと楽しくお話することができました。

(寺沢大介先生とサイン色紙)
Photo_20230326152801

 寺沢大介先生から「ミスター味っ子」のサインもいただくことができました。

 私は寺沢大介先生に「一生の宝物にします」と深くお礼申し上げました。

 大御所の先生御一行をお見送りし,カウンターに戻ってアルスノーバ特製のコーヒーをいただきました。

(アルスノーバ特製コーヒー)
Photo_20230326153101

 マスターの粋なお取り計らいもあり,素敵な時間を過ごすことができました。


イベント「カレー勝負」の準備

 翌日(3月19日)の午前,13時からのイベント「カレー勝負 ビッグ錠 VS ずぼら(Youtuber)」の準備のため,関係者がアルスノーバに集まりました。

(「Ars Nova(アルスノーバ)」)
Photo_20230326153201

(「ズボラの漫画飯再現料理」案内看板とミッドナイトジョー)
Photo_20230326153202

 お店の前に「ズボラの漫画飯再現料理」案内看板とスコッチウイスキー「ミッドナイトジョー」を置き,宣伝もしました。

 事前にズボラさんと一緒にイベント会場へ行き,セッティングなども行いました。

(カレー勝負イベント会場)
Photo_20230326153301

 オレンジ色の「ミッドナイトジョー」オリジナルパーカーも着て,気付けば私もすっかり運営スタッフの一員となっていました。

 ズボラさんは出演者ということで,一足早く会場へ向かわれました。

 その後,ビッグ錠先生もお店に来られ,カレーなどをお店に置いてイベント会場に向かわれました。

 会場では調理が禁止されており,ご飯やカレーなどを皿に盛り付けることも調理(行為)となるため,あらかじめ店内で温め,お皿に盛り付けたプリンカレーを会場へ持ち運びました。

 審査員の方々にできるだけ温かい状態のカレーライスを召し上がっていただくため,イベント開始直前にお二人のプリンカレーを一気にお皿に盛り付けました。

 カレーにプリンをのせたり,福神漬けを添えたりと,見栄えも考慮しながら3人で用意しました。

(ビッグ錠先生のプリンカレーとズボラさんのプリンカレー)
Photo_20230326153701

 これがビッグ錠先生とズボラさん,お二人のプリンカレーです。

 手前の丸ごとプリン1個と福神漬けが添えられたカレーがビッグ錠先生,奥のブラックカレーがズボラさんの作品です。

 ひととおり揃ったところで,上にラップをかけて,パレットボックスに詰め,会場へと運びました。

(パレットボックスにプリンカレーを詰めた様子)
Photo_20230326153801

 緊迫感が伝わってくるでしょうか(笑)

 このパレットボックスを湘南台駅地下アートスクエアまで歩いて運びました。

 「途中つまずいて転んだりでもしたら,お二人のプリンカレーがぐちゃぐちゃになってイベントが台無しになる」と思うと,持ち運びにとても緊張しました。

 ビッグ錠先生やズボラさんも知らない現場の状況をお伝えしました(笑)


カレー勝負 ビッグ錠 VS ズボラ

 一仕事終え,私も会場の端でカレー勝負の様子を見学しました。

(カレー勝負をするビッグ錠先生とズボラさん)
Photo_20230326154101

 ビッグ錠先生はコックさんの服装で,ズボラさんはオレンジ色の「ミッドナイトジョー」オリジナルパーカーで出演されました。

 お二人とも言いたいことを言い合って会場を盛り上げておられました(笑)

(【漫画飯再現料理】湘南台!ビッグ錠66.50展 因縁のプリンカレー対決 アニメ飯再現レシピ)

(YouTube「ズボラの漫画飯再現料理」)

 地元の6名の審査員の方々に,お二人のプリンカレーを審査していただいた結果,3対3で見事引き分けとなりました。

 ビッグ錠先生のプリンカレーは試食できませんでしたが,見た目で何となく味は想像できます(笑)

 イベントの中で,ビッグ錠先生はおっしゃってました。

 「僕の漫画はほとんどそうなんですけども」
 「読んだ後に冷静に考えたらおかしな所ばっかりなんですよ」
 「でも漫画っていうのはいかにして最後まで読ませるかが勝負なので」
 「その間もう考えさせないようにコマをつないでいくっていうのが一番肝心なことなんで」
 「まあ後から突っ込まれて何言われようが,それは何とかなるだろうというつもりでいつも描いてるんです」
 「そういう風に思って描いているのを本気になって作る人がいるなんて思わなかったんでねー,ハッハッハ」

 ビッグ錠先生は,読者の好奇心をかき立て,最後まで一気に読んでもらうことを念頭に,既成概念にとらわれず,自由な発想や創造力で料理の漫画を描き続けておられることがよくわかりました。

 そして,そういう料理に本気で挑戦しておられるズボラさんも素晴らしいと思いました。

 イベント終了後,「アルスノーバ」で打ち上げ会が催され,私も帰りの新幹線の出発時刻ギリギリまでお店にとどまって,皆さんと会話を楽しみました。


まとめ

 運営スタッフとしてイベントをお手伝いさせていただきましたが,直前に決まることも多く,「果たしてうまくイベントが進むのだろうか」と少し心配もありました。

 結果的にはすべてうまくいったのですが,そうした対応の中で,ビッグ錠先生がおっしゃった「何とかなるだろう」という考えも人生を生きていく上では大事なことだと実感しました。

 イベント開始直前,ビッグ錠先生が,事前に用意されていたプリンを御自宅に忘れてきたことに気付かれ,一時騒然となったのですが,それだって(運営スタッフみんなで対応し)何とかなったのですから。

 私もビッグ錠先生のように「何とかなるだろう」という気持ちで,その後の展開を楽しむぐらいの余裕を持てる人間になりたいと思いました。

(「ミッドナイトジョー」オリジナルパーカーとビッグ錠先生のサイン)
Photo_20230326155001

 帰りの東海道・山陽新幹線の車中では,イベント時に着用したビッグ錠先生直筆サイン入り「ミッドナイトジョー」オリジナルパーカーで過ごしました。

 行き当たりばったりの旅でしたが,「何とかなる」どころか,楽しい思い出がたくさんでき,実り多き2日間となりました。


<関連サイト>
 「ズボラの漫画飯再現料理」(ずぼら料理研究家)
 映画「散歩屋ケンちゃん」(「散歩屋ケンちゃん」製作委員会)

<関連記事>
 「ビッグ錠先生の世界6 -湘南台応援イベント「ミッドナイト・ジョー」・スコッチウイスキー「ビッグ錠ラベル」-
 「ビッグ錠先生の世界7 -ビッグ錠誕生日祭(ズボラさんの漫画飯再現料理 一本包丁満太郎の「空洞おにぎり」)-
 「ビッグ錠先生の世界8 -ビッグ錠誕生日祭(チャップマンさんの漫画めし料理 包丁人味平の「味平カレー」と「ブラックカレー」)-
 「ビッグ錠先生の世界9 -スイートベルモット・ブランデーバック・快盗くいしん坊・散歩屋ケンちゃん-

2023年2月26日 (日)

広島の食文化の特徴について -広島市郷土資料館企画展「実は広島~こんなご縁がありました 食べもの編」から学ぶ-

広島市郷土資料館企画展「実は広島~こんなご縁がありました 食べもの編」

 広島市南区の広島市郷土資料館で,企画展「実は広島~こんなご縁がありました 食べもの編」(2022年12月10日~2023年2月26日)が開催されました。

(企画展「実は広島~こんなご縁がありました 食べもの編」チラシ(表面))
Photo_20230226140801
 企画展「実は広島~こんなご縁がありました 食べもの編」チラシの一部を引用

 広島と身近な食べもののつながりをテーマにした企画展は,なかなか興味深いものがあります。

(企画展「実は広島~こんなご縁がありました 食べもの編」チラシ(裏面))
Photo_20230226140901
 企画展「実は広島~こんなご縁がありました 食べもの編」チラシの一部を加工・引用

 「誰もが知っている,あのスナック菓子 ルーツは広島にあった!」

 「ジャムやマーマレードときいて思い出すあのブランド 創業以来ずっと広島を本拠にしている!」

 「お好み焼きに欠かせないあの食品 ほとんど広島で作られている!」

 「広島湾岸ではもうほぼ見ることができなくなったけれど,かつてはかなりの規模でつくられていた!」

 その謎を解くべく,広島市郷土資料館を訪問しました。

(広島市郷土資料館)
Photo_20230226141001

 レンガ造りの建物です。

 戦前は「宇品陸軍糧秣支廠(うじなりくぐんりょうまつししょう)」の缶詰工場だった建物を改修し,郷土資料館として活用されています。

 「糧秣」の「糧」は兵士の食料(食糧),「秣」は軍馬のエサという意味で,糧秣支廠ではこれらを食べ物を調達・製造し,軍隊に補給していました。

 広島市郷土資料館は,もともと食べ物と深いご縁があると言えます。


宇品陸軍糧秣支廠とカルビー株式会社

 スナック菓子の大手企業「カルビー株式会社」は,現在東京に本社がありますが,発祥の地は広島です。

 広島県廿日市市には大きなカルビーの工場があり,馬鈴薯運搬船,その名も「ポテト丸」という船が北海道・十勝から広島港へ原料のジャガイモを運んできています。

 創業者の松尾孝さんは,当時未利用だった米ぬかの中から胚芽を取り出して製粉し,健康食品を作る研究を始めますが,その中で胚芽にはビタミンB1が多く含まれていること,カルシウムを加えればさらに良い健康食品が作れることがわかりました。

 戦後,宇品陸軍糧秣支廠で製粉業を営んでいた松岡政一さんと新会社を設立し,イモ菓子やパン,飴の製造をはじめ,のちにキャラメルの製造販売で繫盛することとなりました。

 1949年には「松尾糧食工業株式会社」を立ち上げます。(カルビー株式会社の創立)

 その後,1955年にカルシウムの「カル」,ビタミンB1の「ビー」を合わせた「カルビー」という社名が誕生しました。

(カルビーキャラメル)
Photo_20230226141301
 広島市郷土資料館企画展展示資料の一部

 カルビーのミルクキャラメルとバラキャラには,おまけでカードも付いていたようです。

 やがてキャラメルの販売が低迷し,今度は米の代わりに小麦を使った「あられ」を作り,「かっぱあられ」として販売したところ,かっぱキャラクターの人気も手伝って,一気に人気商品となります。

(カルビー「かっぱあられ」と「かっぱ」シリーズ)
Photo_20230226141901
広島市郷土資料館企画展展示資料の一部

 「黄桜」のかっぱと雰囲気が似ています。

 この「かっぱあられ」のシリーズとして誕生したのが,今も人気のスナック菓子「かっぱえびせん」です。

 カルビー株式会社は広島発祥の企業で,かつては宇品陸軍糧秣支廠の食肉処理場跡地に本社があったのです。


広島の缶詰業とアヲハタ株式会社

 明治に入ると,缶詰の製造技術を学んだ日本人が全国各地で缶詰製造を試みるようになります。


 広島でもそうした動きが起こり,広島は缶詰の食材(中国山地の牛,瀬戸内海の牡蠣,野菜,果実,山の幸(栗・タケノコ・松茸)など)が安価に集積される街であったことから,缶詰業が盛んになります。

(缶詰ラベル(大衆の友・ボイルド松茸・富国煮))
Photo_20230226142401
 広島市郷土資料館企画展展示資料の一部

 「大衆の友」(まめと牛肉の煮物),「ボイルド松茸」,「富国煮」(牛レバーの醤油煮)の缶詰ラベルです。

 「大衆の友」のラベルには「これは まめと牛肉の煮合わせですが づいぶんおいしう御座いますね」という会話が記載されています。

 左から読むのに慣れてない私はつい「友の衆大」,「ドルイボ茸松」などと読んでしまいます(笑)

 広島では特に牛肉の缶詰が多く製造されました。

(缶詰ラベル(ふき・べいか・びわ))
Photo_20230226142601
 広島市郷土資料館企画展展示資料の一部

 「ふき」,「べいか」(瀬戸内海で採れるイカ),「びわ」の缶詰ラベルです。

 私はとっさに「きぬ」,「かいべ」,「わび」と読んでしまいましたが…(笑)

 このように,当時は安価な(今は高価な)広島の食材が缶詰にされ,国内外で販売されたのです。

 こうした缶詰業の発展を一気に高めたのが,戦争による需要の拡大です。

 食品を長期に保存できる缶詰は,軍隊の携帯食として重宝されました。

 戦中,陸軍の第五師団,宇品陸軍糧秣支廠,海軍の呉鎮守府を擁した広島では,缶詰の需要が急速に伸びていったのです。

(空缶・糖度計・防衛食容器)
Photo_20230226143101
 広島市郷土資料館企画展展示資料の一部

 防衛食容器は,戦中,空き缶が不足したことを受けての磁器製の容器です。

 紙製の容器まで作られたようです。

(缶詰工場(肉詰め作業))
Photo_20230226144101
 広島市郷土資料館「陸軍の三廠~宇品線沿線の軍需施設~」p4 の一部を加工・引用

 缶詰工場で女性工員が肉詰めをされている様子です。手作業なのが印象的です。

(缶詰工場(箱詰め作業))
Photo_20230226144201
 広島市郷土資料館「陸軍の三廠~宇品線沿線の軍需施設~」p4 の一部を加工・引用

 こちらは尋常缶詰の箱詰め作業の様子です。

 通常は高さ11.4cmの尋常缶詰が,戦時には容量の少ない高さ5.1cmの缶詰が使われたようです。

 広島市郷土資料館のすぐ近くに,当時の缶詰工場大煙突の基礎が保存されています。

(缶詰工場大煙突の基礎)
Photo_20230226144301

 戦時中は,携帯に優れ,長期保存できることから,軍隊の携行食として缶詰や乾パンが活躍したようです。

(乾パン)
Photo_20230226144401

 現在は災害対策食としても活躍する乾パンです。

 職場でカンパンの話をしていたら「カンパンマン」だと言われました(笑)

 広島の瀬戸内海地域では,みかんやレモンなど柑橘の栽培が盛んです。

 広島県竹原市忠海町でみかんの缶詰を製造し,全国展開されたのが「株式会社旗道園」,現在の「アヲハタ株式会社」です。

(アヲハタ印(ブルーフラッグ))
Photo_20230226144402
 広島市郷土資料館企画展展示資料の一部

 アヲハタのシンボルマークは,イギリスの大学対抗ボートレースの応援旗に由来するといわれています。

(昔の「アヲハタ」ママレードの広告)
Photo_20230226144502
 広島市郷土資料館企画展展示資料の一部

 昔の「アヲハタ」ママレードの広告です。

 朝のパンに,学校のお弁当に,午後のお茶に,とかしておいしい飲み物に…ママレードがいろんなシーンで活躍したことがわかります。

(アヲハタ缶詰再現品)
Photo_20230226144501
 広島市郷土資料館企画展展示資料の一部

 みかん,マンダリンオレンジ,びわ,マスカット,洋梨,黄桃,イチジク,みつ豆,ビーフシチューと,様々な缶詰が販売されています。

 かつては缶詰が主力商品でしたが,現在ではびん詰のジャム・マーマレードが主力商品となっています。

 アヲハタ株式会社の前身となる株式会社旗道園を立ち上げた中島董一郎(なかしま とういちろう)は,留学先のイギリスやアメリカでマーマレードとマヨネーズに出会い,日本での商品化を目指しました。

 その後,彼はマヨネーズを製造する会社として「食品工業株式会社」を設立し,「キューピーマヨネーズ」というブランド名で販売します。

(発売初期のキューピーマヨネーズと発売当時の広告)
Photo_20230226144701
 広島市郷土資料館企画展展示資料の一部

 現在のアヲハタ株式会社とキューピー株式会社には,このようなつながりがあるのです。


イカと広島

 広島のお好み焼には,イカ天(イカ天かす)が入れられます。

 イカ天は,スルメイカをローストし,薄く伸ばして油で揚げた珍味で,スナック菓子やお好み焼のトッピングとして幅広く愛用されています。

(スルメをのばす道具)
Photo_20230226144901
 広島市郷土資料館企画展展示品の一部

(シリンダー・姿フライの金型・姿フライの材料とせんべい)
Photo_20230226144902
 広島市郷土資料館企画展展示品の一部

 イカをプレスするシリンダー,イカの姿に成型する金型,姿フライの材料とせんべいの展示です。

 このイカ天(イカの姿フライ)の発祥地は広島で,全国で流通するイカ天の大多数が呉市や尾道市を中心とした広島県内のメーカーで製造されています。

 広島県のイカの水揚げ量は全国比でわずか0.1%ほどしかないにもかかわらず,イカ加工品の製造量は全国トップクラスとは,これいかに?

 広島とスルメイカのかかわりは,江戸時代の広島藩主・浅野斉賢(なりかた)の娘と,のちの対馬藩主・宗義和(よしなり)との縁組がきっかけで,広島と対馬の間で船による交易が行われるようになったことにさかのぼります。

 この際,広島は「漁師が多種多様な瀬戸内の水産資源を相手に,様々な漁法を習得していたにもかかわらず,漁村・漁船の数に比して漁場が狭かった」,一方の対馬は「周りに豊かな漁場がありながら漁業があまり盛んではなかった」ことから,対馬で広島の漁師がイカ漁などを行うようになり,スルメにして中国へ輸出されるようにもなりました。

 こうした歴史背景から,広島県でのイカ加工品の製造が増えていったのではないかと推測されています。

 一方で,広島は「昆布の佃煮」の生産量も全国トップです。

 広島でスルメイカや昆布の加工品の生産が多い理由として,広島が「西廻海運(北前船)」の寄港地だったことに由来するという説もあります。

 乾燥させたスルメや昆布は,軽くて持ち運びに便利で,傷みにくいというメリットがあることから,北前船の積み荷となり,各地で交易の商品となりました。

 こうした対馬や北前船との交流が,広島のイカ天や昆布加工品の生産に大きく関係していることは間違いありません。

(イカの姿フライ・イカ天の展示)
Photo_20230226145401
 広島市郷土資料館企画展展示品の一部

 館内にイカの姿フライ・イカ天がずらりと展示されていました。

 「ああ,食べたくなってきた…」

(展示品の注意書き)
Photo_20230226145501

 「当館では販売はしておりません。食べたくなったら,販売店へどうぞ。」

 はい,わかりました。

 後日,広島市内のスーパーマーケットへ行くと,たくさんのイカ天商品が販売されており,その圧倒的な商品数・陳列スペースに驚きました。


広島と海苔

 海苔の産地と言えば有明海沿岸が有名ですが,江戸時代後期から明治時代にかけては,江戸湾(下総・品川・大森など)での海苔養殖が盛んで,広島湾も一大生産地でした。

(明治24(1891)年全国の海苔生産順位)
241891

 明治24(1891)年には,全国で広島が海苔の生産第1位となっています。

(海苔の養殖に使われた道具)
Photo_20230226145601
 広島市郷土資料館蔵

 戦後,工業化に伴い広島湾の埋め立てが進み,広島の海苔養殖は昭和31(1956)年をピークに減少していきますが,味付け海苔を中心とした海苔加工会社は広島に数多くあり,全国に出荷されています。

 最近では,広島から海苔の魅力を広く伝える活動もなされています。

 「広島青苔会(ひろしまあおごけかい)」発行の「わくわく海苔ノート」もその1つです。

(わくわく海苔ノート)
Photo_20230226145901

 イメージキャラクターは「のり姫さま」です。

 「もしかしてノートの色は板海苔と同じ黒?」とノートを開いてみました。

(わくわく海苔ノート(内容))
Photo_20230226145902

 さすがにノートは白い紙でした(笑)

 ノートの下部に「海苔の豆知識」が紹介されたノートです。

 広島には,贈答用,日常用,お土産用と様々な海苔商品があります。


まとめ

 明治以降の広島の食文化には次のような歴史的背景や特徴が大きくかかわっていると言えます。

①貧困で耕地・漁場が狭く,海外を含む県外へと進出・移住せざるを得なかった。

②穏やかな広島湾は,牡蠣や海苔の養殖が盛んになる一方,海軍の拠点ともなった。

③日清・日露戦争で宇品港が海外進出の拠点となって以来,広島は「軍都」として戦争の影響を強く受け,食文化においても,軍需品・捕虜がもたらした食文化・戦後(被爆後)の食糧難・軍用施設を背景に発展したものが多い。

④戦争の影響で製造業が栄え,食品加工産業が発展した。

⑤軍隊の食事がベースとなっているため,ボリュームがある食べ物が多い。

 食の具体例として,①はイカや広島菜,②は牡蠣や海苔,③は缶詰,肉じゃが,バウムクーヘン,ハム・ソーセージ,お好み焼,スナック菓子,④は缶詰やイカ天,⑤はお好み焼やメロンパンなどが該当します。

 こうした観点から広島のご当地グルメ,お土産コーナー,アンテナショップを巡ると,新たな発見があると思います。

<関連サイト>
 「広島市郷土資料館」(広島市南区宇品御幸二丁目6-20)
 「カルビー株式会社」(東京都千代田区丸の内1-8-3)
 「アヲハタ株式会社」(広島県竹原市忠海中町一丁目1-25)
 「広島青苔会」(広島海苔株式会社内事務局)

<関連記事>
 「のりのりそば -広島の生海苔と新潟の布海苔(ふのり)-
 「「ワルのりスナック」から広島弁を学ぶ

<参考文献>
 「陸軍の三廠~宇品線沿線の軍需施設~」広島市郷土資料館
 「廣島缶詰物語」広島市郷土資料館
 シャオヘイ「~お好み焼ラバーのための新教科書~熱狂のお好み焼」ザメディアジョン

2023年2月12日 (日)

日本のバウムクーヘン発祥の地・似島 -似島とカール・ユーハイム,似島バウムクーヘン-

 バウムクーヘンで有名な「ユーハイム」の創業者,カール・ユーハイムは,日本軍の捕虜として現在の広島市南区似島(にのしま)の捕虜収容所に連行されたドイツ人で,彼の焼き上げたバウムクーヘンを広島県物産陳列館(現在の原爆ドーム)でお披露目したことにより,日本で初めてバウムクーヘンが知られることとなりました。

 このお披露目をしたのが1919年3月4日のことで,これを記念して毎年3月4日は「バウムクーヘンの日」とされています。

 今回は,日本のバウムクーヘンとカール・ユーハイムについて,似島のお話を中心に御紹介したいと思います。


広島県物産陳列館で開催されたドイツ技術工芸品展覧会とカール・ユーハイム

 似島捕虜収容所で暮らしていたドイツ人カール・ユーハイムは,厨房でドイツのお菓子を作り,仲間に振舞っていたようです。

(似島捕虜収容所とカール・ユーハイム)
Photo_20230212081001
 「南区七大伝説 菓子伝説(バウムクーヘン上陸秘話)」南区魅力発見委員会から一部引用

 ドイツ人捕虜の方々が日本の捕虜収容所で母国の甘いお菓子が食べられることに感動し,発せられた言葉が「ブンダバー(素晴らしい)」だったのでしょう。

 当時の日本が国際社会に仲間入りするため,捕虜を人道的に扱っていたことも,似島でバウムクーヘンが作られた大きな要因となっています。

(広島県物産陳列館(ドイツ技術工芸品展覧会とカール・ユーハイム))
Photo_20230212081101
 「南区七大伝説 菓子伝説(バウムクーヘン上陸秘話)」南区魅力発見委員会から一部引用

 そして大正8(1919)年3月4日,日独親善のため,広島県物産陳列館で開かれたドイツ技術工芸品展覧会の場で,カール・ユーハイムが日本人に初めてバウムクーヘンを披露したのです。

(バウムクーヘン,似島から全国へ)
Photo_20230212081201
 「南区七大伝説 菓子伝説(バウムクーヘン上陸秘話)」南区魅力発見委員会から一部引用

 会場は連日押すな押すなの大盛況となり,この展覧会をきっかけにバウムクーヘンが広島から全国へ広まりました。


日本のバウムクーヘン発祥の地・似島

 日本のバウムクーヘン発祥の地・似島を訪問しました。

(元宇品(広島港)から眺めた似島・安芸小富士)
Photo_20221014060901

 似島は,広島(宇品)港から南に約3kmの場所にある島です。

 広島(宇品)港からフェリーで似島へ渡りました。

 「似島臨海少年自然の家」に到着すると,グラウンド入口に興味深い掲示板がありました。

(掲示板(菓子伝説の地へようこそ))
Photo_20230212081202

 「菓子伝説の地へようこそ」
 「注目を集めるのが,第一次世界大戦のときドイツ兵の捕虜収容所があったことからドイツとの文化交流が行われたという歴史です」
 「ドイツ銘菓バウムクーヘンが日本に初めて伝わったのが似島だといわれています」

 日本のバウムクーヘンの聖地を訪れた実感がわきました。

(似島臨海少年自然の家・グラウンド)
Photo_20230212081401

 この似島臨海少年自然の家は,かつてはドイツ軍俘虜(捕虜)収容所が存在した場所にあります。

 「ドイツと日本のサッカー国際親善試合が,この広いグラウンドで開催されたのでは」
 「この地でカール・ユーハイムがせっせとバウムクーヘンを焼いていたのでは」
と想像を膨らませながら散策しました。

 その後,この似島臨海少年自然の家を起点に,似島のシンボルとなっている山・安芸小富士を登りました。

 出発前に地元の方に登山所要時間を伺ったところ,約40分とのお話でした。

 「小さな山のようだし,余裕を持った時間でおっしゃったのだろう」と気楽な気持ちで山を登りましたが…実際には意外と距離も坂道もあり,山頂まで本当に40分かかりました。

 2月でしたが,汗をかきながら山を登りました。

(安芸小富士・山頂からの展望(広島市街方面))
Photo_20230212092201
 しんどかった分,山頂から眺める景色は最高でした。

 その眺めは,ドローンか飛行機で上空から眺めたような感じでした。

(安芸小富士・山頂からの展望(似島港・家下))
Photo_20230212081901

 こちらは似島の中心地・似島港のある「家下(やじた)」地区の様子です。

(安芸小富士・山頂からの展望(峠島と牡蠣いかだ))
Photo_20230212082001

 こちらの写真は,似島に近い峠島(とうげしま)と牡蠣いかだの様子です。

 峠島をぐるっと囲うように牡蠣いかだが配置されているのが面白いです。

(安芸小富士・山頂からの展望(引き波))
Photo_20230212082101

 波がなく湖のような海は,瀬戸内海ならではの景色です。

 「引き波(航行する船の後にできる白い波)」が美しいラインを描いていました。

 山頂で昼食をとり,しばらく景色を満喫した後,下山しました。

 下山には30分もかかりませんでした。

 下り坂で同じ道を歩いて距離感を把握できている分,楽でした。


似島バウムクーヘン

 再び似島港(家下地区)へ戻りました。

 戻りのフェリーを待つ間,家下地区を散策しました。

(バウムクーヘン案内板(似島合同庁舎))
Photo_20230212092701

 似島港に近い似島合同庁舎で,バウムクーヘン案内板を見つけました。

 この記事でも最初に御紹介した「南区七大伝説 菓子伝説(バウムクーヘン上陸秘話)」が紹介されています。

 右下のサッカーボールに乗ったキャラクターは「ばーむん」です。

 ばーむんの好きなことは,ずばり「サッカーボールに乗ること」。

 このキャラクターにも,似島のバウムクーヘンとサッカー国際親善試合が反映されています。

 似島港のフェリー待合所で,似島のお土産が紹介されていました。

(お土産案内(似島バウムクーヘン))
Photo_20230212093201

 「バウムクーヘン発祥の地 似島」
 「似島でお土産が買えるのはココだけ!」

 この待合所に近い「ウエルカム似島」で似島のお土産・バウムクーヘンが販売されているようなので,行ってみました。

(ウエルカム似島)
Photo_20230212093301

 ウエルカム似島は,似島の観光案内所です。

 入口で似島限定のお土産「似島バウムクーヘン」が販売されていました。

(似島バウムクーヘン販売の様子)
Photo_20230212093501

 商品を手に取り,店内で購入しようとしたところ…

(似島バウムクーヘン販売の様子(拡大))
Photo_20230212093601

 「ドイツ人捕虜が作った似島バウムクーヘン」
 「代金は左の料金箱へお願いいたします。」

 なんと無人販売でした。

 「計算機もご用意しております。ご自由にご利用ください。」

 セルフで計算し,その代金を隣の透明なアクリル製の箱へ入れて購入するようです。

 千円札1枚と百円玉3枚を箱に入れ,似島バウムクーヘンを1袋購入しました。

 自宅に持ち帰り,改めて似島バウムクーヘンをじっくり眺めました。

 「ドイツ人捕虜が作った似島バウムクーヘン」とありますが,これは「ドイツ人捕虜が作った製法で作った似島バウムクーヘン」という意味なのでしょう。

 当時(1919年前後)のドイツ人捕虜が作ったものなら,とっくに賞味期限が到来してますから(笑)

 このほか,包装紙にカール・ユーハイムやドイツ技術工芸品展覧会の紹介文やイラストがありました。

(カール・ユーハイムの紹介文)
Photo_20230212094101
 「似島バウムクーヘン」包装紙から一部引用

 「第一次世界大戦で日本軍は青島市(中国)に駐留するドイツ軍を攻撃しました」

 「投降したドイツ軍は3906人でしたが,日本軍は4000名の大台に乗せるべく,人数合わせのために翌年になって在留民間人を捕虜に加えたと言われています」

 「この中に非戦闘員だったカール・ユーハイムが含まれていました」

 「カールは大阪俘虜収容所へ移送されましたが,その後インフルエンザ予防のため,広島の似島検疫所へ移送されました」

 「カールはバウムクーヘンなど菓子作りの担当になりました」

 「カールはバウムクーヘンを焼くための堅い樫の薪や,当時はなかなか手に入らなかったバターなど材料集めに苦労したそうですが,バウムクーヘンを焼き上げることに成功します」

 「広島県物産陳列館(現・原爆ドーム)で開催されたドイツ作品展示会にて製造販売を行います」

 「これが日本で初めて作られたバウムクーヘンです」

 カール・ユーハイムは人数合わせで捕虜になったのですね…。

 それでもめげず,バウムクーヘンを焼いて捕虜を励まし,日本に広めるビジネスチャンスをつかんだのは御立派です。

(広島県物産陳列館(ドイツ技術工芸品展覧会資料))
Photo_20230212094901
 「似島バウムクーヘン」包装紙から一部引用

 こちらは広島県物産陳列館のイラストで,展示品が紹介されています。

(ドイツ兵のイラスト(似島独逸俘虜技術工芸品展覧会目録))
Photo_20230212095401
 「似島バウムクーヘン」包装紙から一部引用

 これはドイツ兵のイラストが描かれた展覧会の目録の一部です。

 ひととおり包装紙を観察した後,包装紙から中身を取り出しました。

(似島バウムクーヘン(箱詰め))
Photo_20230212100101

 このようにバウムクーヘンが箱詰めされていました。

 それではバウムクーヘンを取り出してみましょう。

(似島バウムクーヘン(ホール))
Photo_20230212100201

 ハードタイプのバウムクーヘンです。

 表面が砂糖でコーティング(シュガーコーティング)されています。

(似島バウムクーヘン)
Photo_20230212100301

 バウムクーヘンを包丁ですくい取るようにカットしました。

 しっかりと焼かれたバウムクーヘンで,表面はシュガーコーティングも手伝ってカリッと,中は生地がみっしりと詰まっていました。

 バター風味豊かで,しっかりとした弾力のある,伝統的製法で作られたバウムクーヘンでした。

(似島桟橋とフェリー)
Photo_20230212100401

 似島訪問で,日本のバウムクーヘンの成り立ちも含め,明治から昭和にかけての「軍都広島」の歴史を肌で感じることができました。

 戦争は決してあってはならないものですが,そんな環境におかれても,バウムクーヘンやサッカーを通じて人と人との交流がなされ,新たな文化が生み出されたことに,国境を超えた人間本来の強さ・やさしさ・たくましさを感じました。

 これぞまさに「ブンダバー(素晴らしい)!」


<関連サイト>
 「ユーハイムの歴史」(株式会社ユーハイム)
 「広島市似島臨海少年自然の家」(広島市南区似島町字東大谷182番地)
 「ウエルカム似島」(広島市南区似島町家下27番地)

<関連記事>
 「ドイツ・ウィーン菓子の特徴と主な菓子1 -シュトロイゼルクーヘン・レープクーヘン・バウムクーヘン-
 「「バウムクーヘン博覧会 2017」 -広島からはじまる日本のバウムクーヘンの歴史-
 「日本のバウムクーヘン100周年イベント -2019広島みなとフェスタ・バウムクーヘン博覧会 2019-
 「バウムクーヘン博覧会 2021 -AI焼き立てバウムクーヘン・全国バウムクーヘン食べ比べ・バウムフリット・切り売りバウムクーヘン・詰め合わせセット-
 「バウムクーヘン博覧会 2021 -ファットリア・ダ・コジモのガトーピレネー-
 「バウムクーヘン博覧会2022 -ユーハイムクランツ・THEO・バウムクーヘンBAR47・バウムフリット・ファイナルクーヘン総選挙・究極のバウムクーヘン-
 「ひろしま南区スイーツフェア -南区3名山(似島(安芸小富士)・黄金山・比治山)と代表花(ミモザ・桜・広島椿)のスイーツ-

<参考文献>
 広島市『南区七大伝説 菓子伝説(バウムクーヘン上陸秘話)』南区魅力発見委員会

2022年12月31日 (土)

ビッグ錠先生の世界9 -スイートベルモット・ブランデーバック・快盗くいしん坊・散歩屋ケンちゃん-

 2022年12月29日に,私がいつもお世話になっている神奈川県藤沢市湘南台のバー「ArsNova(アルスノーバ)」へ伺いました。

 2022年の締めくくりです。

 私がお店へ伺うことについて,マスターがお店の仲間へお話いただいていたこともあり,漫画家のビッグ錠先生やお店の常連さんなど,お世話になっている皆さんとお会いすることが出来ました。

 今回は,このArsNovaとビッグ錠先生のお話で2022年を締めくくりたいと思います。


スイートベルモット

 お店のカウンター席に座った私に,マスターから親しみを込めた口調で「何飲む?」と聞かれました。

 そこで私は「以前いただいたスイートベルモットがあればいただけませんか」とお話ししました。

 するとマスターから「えっ,お酒にするの?」とのお返事が。

 バーのマスターと客の会話とは思えません(笑)

 マスター御自慢のスイートベルモットをストレートでいただきました。

 マスターの優しいお気遣いで,チェイサーの水も御用意いただきました。

(スイートベルモット)
Photo_20221231140501

 「スイートベルモット」は,白ワインをベースに,ハーブやスパイス,カラメルを加えた甘口のお酒です。

 かつては主にイタリアで作られていたので,「イタリアンベルモット」とも呼ばれています。

 甘いお酒を少しずつ味わうのが,お酒に弱い私の楽しみ方です。

 スイートベルモットは,一般的にジンなどと割ったカクテルで飲まれるお酒ですが,御用意いただいたスイートベルモットはクオリティが高く,むしろストレートで味わいたいお酒でした。


ビッグ錠先生との再会

 しばらくして,お店にビッグ錠先生がいらっしゃいました。

 大晦日が締め切りとなっている,来年の干支にちなんだポスターや絵馬の絵を描く必要があり,当日は仕上げの大切な日だったにもかかわらず,時間を割いてバーへお越しいただきました。

 その後,YouTubeの人気チャンネル「ズボラの漫画飯再現料理」を連載されているズボラさんもお越しになり,再会を喜びました。

 食や旅の話を中心に,いろんな会話を楽しみました。

 途中,ビッグ錠先生が「そうそう」とおっしゃって,紙袋から1冊の本を取り出されました。

(ビッグ錠「快盗くいしん坊」ぶんか社)
Photo_20221231141101

 今年12月に発売されたばかりの単行本「快盗くいしん坊」です。

 「快盗くいしん坊」は,ぶんか社コミックス「俺流!絶品めし」に連載中のビッグ錠先生の漫画です。

 この本を私にプレゼントしてくださいました。

 しかもその場でサインまでしていただきました。

(「快盗くいしん坊」中表紙とサイン)
Photo_20221231141201

 本にあらかじめサインしておくことだってできたはずなのに,ビッグ錠先生みずからサインペンまで持ってこられて,バーのカウンター席でサインしていただきました。

 ビッグ錠先生に,お心遣いも含めて心から感謝の意とお礼を申し上げました。

 会話では,特にお好み焼・ふぐ・湯豆腐のお話で盛り上がりましたが,後日,これらの料理はすべて今回いただいた単行本に掲載されているお話でもあったことを知りました。

 あと,映画「散歩屋ケンちゃん」の話題も盛り上がりました。

 銚子を舞台に,いしだ壱成さん(主人公・ケンちゃん)と石田純一さん(ケンちゃんの父親・グルメ漫画家)が出演される映画で,ビッグ錠先生も紙芝居師として出演されます。

 ビッグ錠先生の遺影写真までつくられたとか(笑)

 御興味のある方は,記事最後の関連サイトを御覧ください。


ブランデーバック

 2杯目は,いつもながらのブランデーバックを注文しました。

 ブランデーをジンジャーエールで割り,レモンを絞ったロングカクテルです。

(ブランデーバック)
Photo_20221231142201

 マスターが「せっかくだから良いお酒で」とレミーマルタンVSOPで作っていただきました。

 そしてマスターにビッグ錠先生と私のツーショットの写真も撮っていただきました。

 続いてお隣のズボラさんも交えた3人での写真も撮っていただきました。

 写真撮影後,私が外したマスクを付け直すと,ズボラさんが「あれっ,私のマスクがない」と慌てておられました。

 よく見ると,私のリュックの上に私が付けていたマスクが…。

 私が間違えてズボラさんのマスクを付けてしまったのです(笑)

 ズボラさんにすぐに謝り,外したマスクをお返しし,代わりの新品のマスクも差し上げました。

 写真撮影でマスクを外すとこんなことに…。

 大丈夫,問題ありません。知らんけど(笑)


まとめ

 今回もお店で楽しいひと時を過ごすことができ,良い1年の締めくくりとなりました。

 またいつか訪問し,皆さんと楽しいひとときを過ごしたいと思います。

 ArsNovaの皆さん,今回も大変お世話になりました。

 またお会いできる日を楽しみにしております!



今年最後の御挨拶

 当ブログをお読みいただいている皆様,今年もありがとうございました。

 良いお年をお迎えください!


<関連サイト>
 「散歩屋ケンちゃん」(Sanken Project)
 「ズボラの漫画飯再現料理」(ずぼら料理研究家)

<関連記事>
 「ビッグ錠先生の世界1 -石巻カレー全集「食堂パレスの黄色いレトロカレー」とArs Novaの特製ハヤシライス-
 「ビッグ錠先生の世界2 -ビッグ錠先生からのビッグなプレゼント-
 「ビッグ錠先生の世界3 -ビッグ錠先生との出会いと私の似顔絵-
 「ビッグ錠先生の世界4 -ArsNovaのおでん・特製オムライス・コーヒー-
 「ビッグ錠先生の世界5 -スイートベルモット・ブランデーバック・ArsNova特製コーヒー・デンマークチーズケーキ-
 「ビッグ錠先生の世界6 -湘南台応援イベント「ミッドナイト・ジョー」・スコッチウイスキー「ビッグ錠ラベル」-
 「ビッグ錠先生の世界7 -ビッグ錠誕生日祭(ズボラさんの漫画飯再現料理 一本包丁満太郎の「空洞おにぎり」)-
 「ビッグ錠先生の世界8 -ビッグ錠誕生日祭(チャップマンさんの漫画めし料理 包丁人味平の「味平カレー」と「ブラックカレー」)-

<参考文献>
 ビッグ錠「快盗くいしん坊」ぶんか社

2022年12月11日 (日)

特急リバティ会津・会津鉄道リレー号の旅2 -浅草今半の牛肉重・くるみゆべし大福・会津産紅玉のジュース・会津栗モンブラン-

特急リバティ会津・会津鉄道リレー号で会津若松へ

 2022年10月,東京の東武浅草駅から特急「リバティ会津」に乗り,会津若松へ行きました。

 「リバティ会津」は,「東武鉄道」(浅草-新藤原),「野岩鉄道」(新藤原-会津高原尾瀬口),「会津鉄道」(会津高原尾瀬口-会津田島)と3つの鉄道会社線を走り抜ける特急です。

(東武浅草駅・発車案内表示器とリバティ会津横断幕)
Photo_20221211142601

 日本の私鉄で最長の乗車時間(浅草-会津田島間 約3時間20分)とトップレベルの距離(浅草-会津田島間 190.7km)を誇ります。

 会津田島駅から先は「会津鉄道リレー号」を利用し,西若松駅へ向かいました。

 今回は,このリバティ会津・会津鉄道リレー号と会津若松の旅を御紹介します。


リバティ会津乗車(東武浅草駅)

 東武浅草駅で改札を済ませてホームへ向かうと,9時30分発「リバティ会津113号」が出発を待っていました。

(特急リバティ(後方車両)・東武浅草駅)
Photo_20221211142701

 下今市駅までは,東武日光行きの「リバティけごん13号」と連結して走ります。

(特急リバティ(中間車両)・東武浅草駅)
Photo_20221211142801

 東武浅草駅はホームが緩やかにカーブしており,それに合わせて列車も停車しています。

 このカーブで列車とホームにすき間ができるため,ドア入口の足元にはタラップが用意されます。

(特急リバティ(前方車両)・東武浅草駅)
Photo_20221211142901

 前方車両はホームの先端に位置し,ホームの幅がとても狭くなります。

 車両を撮り終え,私は2号車に乗車しました。

 会津田島へ向け,特急リバティ出発進行!


浅草今半の牛肉重

 特急リバティは,埼玉県を経て,栃木県の鬼怒川温泉駅に到着しました。

(SL大樹3号・鬼怒川温泉駅)
Photo_20221211143101

 車窓から,下今市駅と鬼怒川温泉駅を結ぶ「SL大樹3号」を見ることができました。

 鬼怒川温泉駅で大勢のお客さんが下車され,車内は落ち着いた空間になりました。

 お昼時を迎えたこともあり,東武浅草駅の売店「ACCESS+浅草店」で購入した浅草今半の「牛肉重」をいただくことにしました。
 ※「ACCESS+浅草店」は2022年10月1日にオープンした期間限定のポップアップショップです。

(浅草今半・牛肉重(包装))
Photo_20221211143301

 浅草今半の「牛肉重」です。

 「弁当売り場」用ではなく「お届け専門」用のお弁当でした。

(浅草今半・牛肉重)
Photo_20221211143401

 牛肉,玉ねぎ,糸こんにゃく,焼き豆腐のすき焼き弁当です。

 紅しょうがとグリーンピースが添えられています。

 牛肉は脂が乗ってやわらかく,玉ねぎは甘みがあってシャキシャキに,糸こんにゃくは甘辛のタレがしっかりと浸み込んで適度な歯応えを残し,焼き豆腐はすき焼きの旨味をたっぷり吸いこんでふんわりと,それぞれの食材の持ち味や特長がきちんと生かされた仕上がりのお弁当となっていました。


会津田島駅からリレー号に乗り換え西若松駅へ

 特急リバティ会津は,野岩鉄道を経由し,会津鉄道の会津田島駅に到着しました。

 ここが終点となります。

(会津田島駅・リレー113号とリレー138号)
Photo_20221211143701

 写真左のピンク色の車両が「リレー113号」(会津若松行),右の赤色の車両が「リレー138号」(会津高原尾瀬口行)です。

 会津田島駅から先は非電化区間なので,普通列車「リレー113号」に乗り換え,会津若松方面へ向かいました。

(会津鉄道・リレー113号車内)
Photo_20221211143801

 列車のボディも内装も,劇場版「にゃん旅鉄道」に登場するねこで一杯です。

 リレー113号に約1時間乗車し,西若松駅に到着しました。

(会津鉄道・リレー113号・西若松駅)
Photo_20221211143901

 西若松駅で下車し,「ねこちゃんバイバイ」とお別れをしました。

 そして,向かいのホームを眺めると…。

(西若松駅と会津鉄道)
Photo_20221211144001

 「あっ,また同じねこちゃん達だ(笑)」

 西若松駅からは歩いて鶴ヶ城(会津若松城)を目指しました。


鶴ヶ城・たけとう茶屋

 西若松駅から鶴ヶ城までは,地図で想像していたよりも結構距離がありました。

(鶴ヶ城(会津若松城))
Photo_20221211144201

 会津若松市の訪問は2回目ですが,前回は鶴ヶ城をバス車内からチラ見した程度だったので,今回は城内をゆっくり散策しました。

 鶴ヶ城を後にし,続いて会津若松市内の喫茶「たけとう茶屋」を訪問しました。

(たけとう茶屋)
Photo_20221211144401

 会津で最古の商家建築で,国の有形文化財にも登録されています。

 このお店は2回目の訪問となります。

 竹細工のお店ということで,前回は耳かきを購入するために伺ったのですが,今回は喫茶スペースで「くるみゆべし大福」を味わうために訪問しました。

 お店で「くるみゆべし大福セット」を注文すると,店主さんから「御用意できるまでの間,店内の史料展示を御覧ください」と御案内いただいたので,店内を見学させていただきました。

(竹細工の展示)
Photo_20221211144601

 竹細工の展示コーナーがありました。

 続いて「この奥は何のコーナーだろうか」と戸を開けてみると,居間でおうちの方がテレビを見てくつろいでおられました(笑)

 小声で「失礼しましたぁー」と何事もなかったかのようにそっと戸を閉め,次の展示コーナーへ向かいました。

(藁細工とヒロロ細工の展示)
Photo_20221211144801

 こちらは,藁(わら)細工とヒロロ(スゲ)細工の展示コーナーです。

 「ヒロロ(スゲ)」は,ミヤマカンスゲ・オクノカンスゲと呼ばれる植物で,乾燥させて縄を作り,様々な生活用品に加工されたようです。

 会津地方では,この「ヒロロ細工」・「マタタビ細工」・「山ぶどう細工」が伝統的工芸品となっています。

 「ヒロロ細工」は藁に比べてケバケバがないのが特徴で,室内履きに向いているそうです。

 履物は藁草履(わらぞうり)とスゲ草履の両方が展示されていました。

 また,会津地方で「ゲンベ(ゲンベイ)」と呼ばれる,かかとのある靴のような藁細工もありました。

 展示コーナーを見学した後,タタミの席に戻り,御用意いただいた「くるみゆべし大福セット」をいただきました。

(くるみゆべし大福セット)
Photo_20221211145101

 くるみゆべし大福と抹茶のセットです。

 「くるみゆべし」は福島県の郷土菓子で,お土産でもたくさん販売されています。

 その「くるみゆべし」の大福ということで注文しました。

(くるみゆべし大福(中身))
Photo_20221211145201

 砂糖醤油の甘じょっぱいお餅で,香ばしいクルミが練り込まれていました。

 そのお餅の中には小豆あん(こしあん)がたっぷり詰められていました。

 くるみゆべし大福は,ほろ苦い抹茶とよく合いました。

 ホッと一息ついていると,店主さんがりんごのジュースを用意してくださいました。

(会津産紅玉のジュース)
Photo_20221211145301

 「アップルパイを作る時のリンゴの皮で作ったジュースですが,よかったらどうぞ」
 「甘さは控えめで調整しました」

 店主さんは,お菓子教室の先生をされていたとのことでした。

 お気遣いに感動しつつ,続けて「会津栗モンブラン」をいただきました。

(会津栗モンブラン)
Photo_20221211145701

 会津栗が使用された,やさしく上品な甘さのモンブランでした。

 食後に温かいお茶をいただきながら,店主さんからこのお店のお話を伺いました。

・家具や生活用品で一杯だった母屋を片付け,リフォームして喫茶スペースや史料展示コーナーを作られたこと
・新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の中でのオープン(2020年5月24日)となったこと
・道路に面した間口が狭く,奥行きが長い「うなぎの寝床」になっているのは,江戸時代に間口三間ごとに課税されていた間口税に由来すること
・「うなぎの寝床」構造は,竹細工の材料となる煤竹(すすだけ)を切らずにそのまま保管できるというメリットもあったこと
・お菓子教室の経験を生かし,手作りスイーツ・料理のお店にされたこと

 私が前回このお店を訪問したのは2019年3月なので,「たけとう茶屋」のオープン前ということになります。

 実はこのお話を伺って初めて,今回が2回目のお店訪問だということに気付きました。

 会津やお店の関連資料もたくさんいただき,閉店時刻までいろんなお話を伺うことが出来ました。

 店主さんの温かく心優しいお人柄に触れられ,会津の良き思い出となりました。


会津若松駅・白虎隊士の像と赤べこ

(会津若松駅と白虎隊士の像)
Photo_20221211150101

 会津若松駅と白虎隊士の像です。

 この組み合わせがあまりにも有名ですが,私はぜひ,その近くに鎮座される「赤べこ」にも注目していただきたいと思います。

(会津若松駅の赤べこ)
Photo_20221211150201

 赤べこの手前の赤いボタンを押すと…

 「♪トコトコ会津は イーイとこ だっぺー」

 と「会津 赤べこ音頭」の歌が流れます。

 私が押すたびに観光客や子どもが寄ってきて,キャッキャッと盛り上がっていました。

 もう通算10回以上ボタンを押したような…(笑)

 とても楽しいので何度も押したい気分でしたが,ふと見上げると,駅前のロータリーに会津の有名な標語が書かれた看板がありました。

 「ならぬことはならぬものです」


 今回もまた会津若松の温かい人情に触れることが出来ました。

 またぜひ訪問したいトコだっぺー。


<関連サイト>
 「浅草今半」(東京都台東区西浅草3-1-12)
 「劇場版 にゃん旅鉄道」(劇場版「にゃん旅鉄道」製作委員会)
 「鶴ヶ城(会津若松城)」(会津若松観光ビューロー)
 「たけとう茶屋」(福島県会津若松市中央1-2-7)
 「会津赤べこ会」(「会津 赤べこ音頭」の紹介)

<関連記事>
 「特急リバティ会津・会津鉄道リレー号の旅1 -浅草 鶏シューマイ弁当と浅草の和菓子-
 「福島県会津地方の食文化 -馬刺し・ニシン・鯉・くきたち菜・三五八漬け・こづゆ・天ぷら・揚げまんじゅう・そば・会津山塩・なめこ茸-
 「あかべぇの耳かき -福島県会津若松市-」(会津若松駅「赤べこ」の紹介)

<参考文献>
 佐々大河「ふしぎの国のバード」(KADOKAWA/エンターブレイン)

2022年11月13日 (日)

ビッグ錠先生の世界8 -ビッグ錠誕生日祭(チャップマンさんの漫画めし料理 包丁人味平の「味平カレー」と「ブラックカレー」)-

 2022年10月15日,神奈川県藤沢市湘南台のバー「アルスノーバ」で「ビッグ錠誕生日祭」が開催されました。

 ズボラさんの漫画飯再現料理(「一本包丁満太郎」の「空洞おにぎり」)に続き,チャップマンさんから「包丁人味平」の「味平カレー」と「ブラックカレー」を御紹介いただきました。

 今回は,この「味平カレー」と「ブラックカレー」を中心に,「ビッグ錠誕生日祭」の様子を御紹介します。


包丁人味平の「味平カレー」

 ここで予備知識として,ビッグ錠先生の漫画「包丁人味平」に登場する「味平カレー」と「ブラックカレー」について少し御説明します。

 まずは「味平カレー」から。

 事の発端は,東京・ひばりが丘駅前に進出した2大デパート「大徳デパート」と「白銀屋」の集客争いでした。

 集客力をアップさせるため,両店舗は幅広い層から人気があるカレーのお店を設置することとしました。

 「大徳デパート」は漫画の主人公「塩見味平(しおみ あじへい)」のカレー店「アジヘイ」を,対する「白銀屋」は「マイク赤木」と「鼻田香作(はなだ こうさく)」のカレー店「インド屋」を設置し,カレーによる集客力アップを目指す「カレー戦争」が始まります。

 味平は「雑煮カレー」,「スパカレー」,「ミルクカレー」と次々にカレーを開発しますが,どれもライバルの鼻田香作に材料や作り方を見破られてしまいます。

 そんなある日,味平が仕込んでおいたカレーの寸胴の中に,近くの棚に置かれていた醤油のボトルが丸ごと落ちてしまうというハプニングが起きます。

 カレーの作り直しとなるところですが,その醤油が混ざってしまったカレーの味を確かめた味平は「日本人に合うカレーはこれだ!」とひらめきます。

 ただ,単にカレーに醤油を混ぜただけでは,それぞれの味が主張し過ぎ,お店のメンバーから「これではケンカカレーだ」と言われてしまいます。

 そこで味平が試行錯誤した結果,醤油を混ぜたカレーを一晩寝かせると味がまとまることに気付きました。

 また,カレーに添える漬物についても,味平は漬物に詳しい「漬物ばあさん」を訪ねて研究します。

 「漬物は野菜と塩で作るのに,単に野菜に塩をかけて食べるのと違った旨味が出るのはなぜだろう」と思い悩んでいる味平を見て,「漬物ばあさん」はこう答えます。

(漬物の味はバイ菌の味)
P15
 原作 牛次郎/漫画 ビッグ錠「包丁人味平」(マイナビ出版)から一部引用

 「漬物の味はな…バイ菌の味や!!」

 こうした読者をドキッとさせる発言があるところが,ビッグ錠先生の漫画の魅力です(笑)

 味平は,この「漬物ばあさん」の元で様々な漬物を食べるうちに,辛い漬物でも水と交互に食べると際限なく食べられることに気付きます。

 この経験をもとに,辛いカレーと福神漬と冷水をセットにし,交互に食べてもらうことで,お客さんに際限なく食べてもらえることがわかりました。

 そしてついに「味平カレー」が完成します。

(味平カレー)
Photo_20221112212201
 原作 牛次郎/漫画 ビッグ錠「包丁人味平」(マイナビ出版)から一部引用

 「味平カレー」の特徴は,醤油が入っていること,辛口であること,そして漬物と冷水がセットになっていることの3点です。

 なお,「味平カレー」については,同じく「ビッグ錠誕生日祭」に参加されていた梅本ゆうこさんのブログでも紹介されています。

 「「包丁人味平」(牛次郎/ビッグ錠)の味平カレー」(梅本ゆうこ「マンガ食堂」)


カレー将軍・鼻田香作の「ブラックカレー」

 続いてカレー将軍・鼻田香作の「ブラックカレー」を御紹介します。

 味平が作った「味平カレー」の存在を知った鼻田香作は,「味平カレー」に使われたスパイスを見破ろうと必死に研究します。

 しかしながら,3,000種類ものスパイスを嗅ぎ分けることができる鼻田香作でさえ,「味平カレー」の秘密を見破ることができませんでした。

 なぜなら,「味平カレー」には,スパイスではなく日本の調味料である「醤油」が使われているからです(笑)

 その後,鼻田香作の対抗心はメラメラと燃え上がり,様々なスパイスを混ぜ合わせた最強のカレー「ブラックカレー」を完成させます。

 白銀屋の「インド屋」でこの「ブラックカレー」が販売されると,またたく間にお客さん達はこの「ブラックカレー」のとりこになり,大徳デパートの「アジヘイ」の店員すらも味平や仲間の目を盗んで「インド屋」の「ブラックカレー」を食べに行くようになります。

 本当の「ブラックカレー」を味わってみたくなった味平は,「インド屋」の店員にバレないよう女子学生に変装して「インド屋」へ行き,「ブラックカレー」を注文します。

 そして味平が本当の「ブラックカレー」を食べると…。

(味平・ブラックカレーとの遭遇)
Photo_20221112214401
 原作 牛次郎/漫画 ビッグ錠「包丁人味平」(マイナビ出版)から一部引用

 「なんとも奇妙な味だ…」
 「しかしなにか人をひきつける…」

 「ブラックカレー」は少し変わっていて,それでも人をひきつける不思議な味がするようです。

(ブラックカレーは魔術)
Photo_20221112214801
 原作 牛次郎/漫画 ビッグ錠「包丁人味平」(マイナビ出版)から一部引用

 「まるで催眠術にかかったように…」
 「次から次へと手がカレーを口にはこぶ…」
 「こ こんなことってあるのだろうか?」
 「まるで魔術だ…そうだ魔術だ!!」

 カレー将軍・鼻田香作があらゆるスパイスを駆使して作り上げた「ブラックカレー」。

 その「ブラックカレー」の特徴は,言うまでもなく黒いカレーであることと,魔術のように人をひきつける味であることの2点です。


チャップマンさんの「味平カレー」・「ブラックカレー」

 「味平カレー」と「ブラックカレー」の特徴を御理解いただいたところで,今回の「ビッグ錠誕生日祭」のためにチャップマンさんが作られた「味平カレー」と「ブラックカレー」を御紹介します。

 作り方は,YouTubeにあるチャップマンさんのチャンネル「チャップマン漫画めし研究部」で紹介されています。

(【マンガ飯再現研究】対決再現!包丁人味平 カレー戦争!あのダークな所まで合法レシピで完全再現!」)

 (YouTube「チャップマン漫画めし研究部」)

 チャップマンさんの「味平カレー」は,牛すじ・香味野菜からだしをとった「ビーフブイヨン」と,鶏がら・香味野菜からだしをとった「チキンブイヨン」の2種類のブイヨンを使い,たまり醤油を加えた本格カレーです。

 一方,チャップマンさんの「ブラックカレー」は,「ビーフブイヨン」と「チキンブイヨン」をベースに,焦がしたスパイス,合法ハーブのお酒「イエガーマイスター」,合法コカの葉のお酒「コカレロ」,ビール,コーラ,ブラッククミン,竹炭パウダー,ブラックチョコレート,そしてインスタントコーヒーまで,とにかく黒くなるものをどんどん投入して作られています。

 チャップマンさんが作られた「味平カレー」と「ブラックカレー」をビッグ錠先生が召し上がった様子が次の動画です。

(【漫画飯再現料理】味平カレーとブラックカレーをビック錠先生に食べていただきます。)

 (YouTube「チャップマン漫画めし研究部」)

 ビッグ錠先生に「これ美味しいよ~」と御紹介いただいた後,私を含む参加者も「味平カレー」と「ブラックカレー」を試食しました。

(「味平カレー」と「ブラックカレー」(紙皿))
Photo_20221112221101

 「味平カレー」と「ブラックカレー」の「あいがけカレー」です。

 ちゃんと福神漬も添えられています。

(「味平カレー」と「ブラックカレー」(レトルトごはん))
Photo_20221112221102

 こちらはレトルトパックにあいがけしたものです。

 「味平カレー」はカレーに醤油を加えることで,深みとコクが増した日本人好みの味に仕上がっていました。

 「ブラックカレー」は見た目が真っ黒ですが,辛さと深いコクのある美味しいカレーに仕上がっていました。

 チャップマンさんは,カレーをブラックにするため,竹炭,コーラ,チョコレート,インスタントコーヒーなど様々な褐色の食材を加えられたようですが,これらの食材はカレーをより美味しくする効果もあります。

 なぜなら,これらはすべて「メイラード反応(褐変反応)」を利用した食材だからです。

 土鍋でごはんを炊いた時の「おこげ」,こんがりと焼けたステーキ,ほろ苦いカラメル,飴色に炒めた玉ねぎ…これらはすべて食材に熱を加えることで生じる「メイラード反応(褐変反応)」によるもので,いずれも香ばしさや甘み,コクが増します。

 カレーの隠し味にチョコレートやコーヒーが使われるのも,このメイラード反応を生かした事例の1つです。

 もっとも,今回の「ブラックカレー」は隠し味レベルの使い方ではありませんが…(笑)

 ちなみに,梅本ゆうこさんの本「マンガ食堂」(リトル・モア)でも,竹炭を用いた「ブラックカレー」を紹介されています。

 梅本さんは,この「ブラックカレー」を作るのに丸3日かけられ,疲れ果てて意識がモーローになられたのだとか(笑)

 真っ黒なカレー,それだけでも人々を魅了する不思議なパワーがあるようです。


原作「包丁人味平」の「ブラックカレー」の結末

 今回御紹介した「ブラックカレー」について,原作「包丁人味平」の結末を御紹介したいと思います。

 人々が「ブラックカレー」にとりつかれる中,新聞に衝撃的な記事が掲載されます。

(ブラックカレーの新聞記事)
Photo_20221112222101
 原作 牛次郎/漫画 ビッグ錠「包丁人味平」(マイナビ出版)から一部引用

 「ブラックカレーは麻薬…」
 「インド屋チーフコックが中毒」

(ブラックカレーに麻薬成分)
Photo_20221112222201
 原作 牛次郎/漫画 ビッグ錠「包丁人味平」(マイナビ出版)から一部引用

 「なんだってえ ブラックカレーに麻薬がはいってたんだってえ!!」
 「チーフコックが麻薬中毒で頭がおかしくなっちまったらしいんだ」
 「カレーにつかうスパイスの中から麻薬に近いものが発見されたんだと」

(カレーの神様・鼻田香作)
Photo_20221112222301
 原作 牛次郎/漫画 ビッグ錠「包丁人味平」(マイナビ出版)から一部引用

 鼻マスクをした鼻田香作が店のテーブルに立って,
 「俺は神様よ そう カレーの神様さ クァーッ カッカッカカカ」
と叫んでいます。

 鼻田香作,本気でヤバイ(笑)

 鼻田香作の異常な行動に,ついに救急車が呼び出されます。

(カレーの神様・救急車で搬送)
Photo_20221112222501
 原作 牛次郎/漫画 ビッグ錠「包丁人味平」(マイナビ出版)から一部引用

 救急隊員に搬送されながらも,なお抵抗する鼻田香作。

 「何をするっ!!俺は神様だぞっ!」
 「神のおそろしさを知らないのか!俺は神だぞーっ!!」

 「ブラックカレー」で世間を騒がせた鼻田香作も結末は悲惨なものでした。

(病院へ向かう救急車)
Photo_20221112222701
 原作 牛次郎/漫画 ビッグ錠「包丁人味平」(マイナビ出版)から一部引用

 救急車が古い(笑)

 私も有名な某カレールウでカレーを作り,味わっておられる皆さんの前でこう叫んでみたいものです。

 「俺は王子さまよ そう カレーの王子さまさ クァーッ カッカッカカカ」
 「何をするっ!!俺は王子さまだぞっ!」
 「王子のおそろしさを知らないのか!俺は王子だぞーっ!!」

 こんなこと考える私もちょっとヤバイ…(笑)

 ※エスビー食品の「カレーの王子さま」は,美味しいだけでなく,アレルギーや化学調味料にも配慮された優れたカレーです。


アルスノーバの寄せ鍋

 イベント終了後,マスターがイベントスタッフや常連客の皆さんのために寄せ鍋を振舞ってくださいました。

(寄せ鍋)
Photo_20221112224901

 鶏肉,白ねぎ,白菜,しめじ,豆腐などが入った美味しい寄せ鍋でした。

(寄せ鍋シメのうどん)
Photo_20221112225001

 シメにうどんもいただきました。

 しみじみとした味わいで,胃にストンとおさまる安心感。

 これは間違っても「ブラック鍋」とかにしてほしくないです(笑)


 ズボラさんの「空洞おにぎり」実演・実食,チャップマンさんの「味平カレー」と「ブラックカレー」の実食,「マンガ食堂」梅本ゆうこさんの参加,シャンソンライブなど,様々なイベント・交流会で楽しませていただきました。

<関連サイト>
 「チャップマン漫画めし料理研究部」(チャップマン)
 「マンガ食堂」(梅本ゆうこ)

<関連記事>
 「メイラード反応
 「鳥取の食文化探訪2 -すなば珈琲・もさ海老ブラックカレー・砂たまご-
 「ビッグ錠先生の世界1 -石巻カレー全集「食堂パレスの黄色いレトロカレー」とArs Novaの特製ハヤシライス-
 「ビッグ錠先生の世界2 -ビッグ錠先生からのビッグなプレゼント-
 「ビッグ錠先生の世界3 -ビッグ錠先生との出会いと私の似顔絵-
 「ビッグ錠先生の世界4 -ArsNovaのおでん・特製オムライス・コーヒー-
 「ビッグ錠先生の世界5 -スイートベルモット・ブランデーバック・ArsNova特製コーヒー・デンマークチーズケーキ-
 「ビッグ錠先生の世界6 -湘南台応援イベント「ミッドナイト・ジョー」・スコッチウイスキー「ビッグ錠ラベル」-
 「ビッグ錠先生の世界7 -ビッグ錠誕生日祭(ズボラさんの漫画飯再現料理 一本包丁満太郎の「空洞おにぎり」)-

<参考文献>
 原作 牛次郎/漫画 ビッグ錠「包丁人味平」(マイナビ出版)
 梅本ゆうこ「マンガ食堂」(リトル・モア)

2022年11月 6日 (日)

ビッグ錠先生の世界7 -ビッグ錠誕生日祭(ズボラさんの漫画飯再現料理 一本包丁満太郎の「空洞おにぎり」)-

 2022年10月15日,神奈川県藤沢市湘南台のバー「ArsNova(アルスノーバ)」 で「ビッグ錠誕生日祭」が開催されました。

 ズボラさんの漫画飯再現料理(ライブ配信)とシャンソンライブという2部構成のイベントでした。

(「ビッグ錠誕生日祭」ポスター)
Photo_20221105220801

 今回は,この「ビッグ錠誕生日祭」で開催された,ズボラさんによる漫画飯再現料理「空洞おにぎり」について御紹介します。


一本包丁満太郎の「空洞おにぎり」

 イベント当日,会場の「アルスノーバ」に着くと,すでに大勢の参加者がおられました。

 店内にはお馴染みの方も何人かおられ,奥のカウンター席にはビッグ錠先生もいらっしゃいました。

 受付を済ませ,しばらくすると,ズボラさんによる漫画飯再現料理イベントが始まりました。

 まずはビッグ錠先生のお誕生日をお祝いしてみんなで乾杯しました。

 その後,ズボラさんがビッグ錠先生の漫画「一本包丁満太郎」の「空洞おにぎり」作りに挑戦され,その様子がYouTubeで生配信されました。

 ここで予備知識として,「一本包丁満太郎」に登場する「空洞おにぎり」について少し御説明します。

 「空洞おにぎり」は,その名のとおり,中が空っぽのおにぎりのことです。

(「空洞おにぎり」)
Photo_20221105222101
 ビッグ錠「一本包丁満太郎」(集英社)から一部引用

 では,どうやっておにぎりの中を空洞にさせるのでしょうか。

 漫画の主人公・風味 満太郎(かざみ まんたろう)は,まず甘辛い醤油ダレを凍らせた「氷玉」を用意します。

 ピンポン玉の中にタレを注入し,凍らせた後で,そのピンポン玉の皮をめくるとタレの氷玉ができます。

(タレの氷玉)
Photo_20221105222501
 ビッグ錠「一本包丁満太郎」(集英社)から一部引用

 その氷玉を,おにぎりの具のような感じで冷ましたごはんの中に詰め,おにぎりを作ります。

(おにぎりにタレの氷玉を詰める様子)
Photo_20221105223101
 ビッグ錠「一本包丁満太郎」(集英社)から一部引用

 その氷玉入りおにぎりをザルに入れて火であぶると,中の氷玉が溶け,「空洞おにぎり」が出来上がるのです。

(ザルを使っておにぎりを火であぶる様子)
Photo_20221105223901
 ビッグ錠「一本包丁満太郎」(集英社)から一部引用

 「空洞おにぎり」の解説は次のとおりです。

(「空洞おにぎり」の解説)
Photo_20221105224201
 ビッグ錠「一本包丁満太郎」(集英社)から一部引用

 ①氷玉入りおにぎりを網カゴで回転させて火であぶる
 ②熱でおにぎりの中の氷玉が急速に溶ける
 ③ごはんに氷玉が溶けたタレが浸み込み,遠心力で壁が作られる
 ④熱せられた中の空気が外へ押しつけるため,おにぎりに完璧な空洞ができる

 おにぎりの中でこれだけの変化を起こすためには「相当な火力」と,薄すぎもせず厚すぎもしない「ごはんの絶妙な厚み」が必要となります。


「空洞おにぎり」の実演と動画配信

 「空洞おにぎり」のしくみを御理解いただいたところで,実演の様子を御紹介します。

 ズボラさんによるYouTube動画配信の様子がこちらです。

(YouTube動画配信の様子)
Photo_20221105225401

 ズボラさんは顔バレがまずいということで,仮面をかぶって実演されています。

 YouTubeの動画がこちらです。

(ビッグ錠先生の目の前で再現料理くらいできらぁー!空洞おにぎり 一本包丁満太郎 アニメ飯再現レシピ)

 (YouTube「ズボラの漫画飯再現料理」)

 おにぎりを火であぶったところ,おにぎりに火がついてしまいました(笑)

 できるだけ水分を吸収させるため,ごはんに削り節をまぜた「おかか」を用いたことも,おにぎりに火がついた原因の1つでしょう。

(一本包丁満太郎の「空洞おにぎり」を作る様子)
Photo_20221105230501

 ビッグ錠先生を前に,ズボラさんが「空洞おにぎり」作りに挑戦し,それをライブ配信されている様子です。

 実はライブ配信されてしばらく,音声が入っていませんでした…(笑)

(会場内での「空洞おにぎり」試食の様子)
Photo_20221106110601

 「空洞おにぎり」の実演が終わり,ビッグ錠先生試食後,会場内の参加者にも試食用として「空洞おにぎり」が回ってきました。

 木製の使い捨てスプーンも配られ,私も少しだけいただきました。

 甘い醬油ダレが浸み込んだ,香ばしい焼きおにぎりでした。

 ちなみに「一本包丁満太郎」の作品では,この「空洞おにぎり」の中に緑茶を注いだ「お茶漬けにぎり」まで登場します。


お祈りにぎり

 イベント終了後,私はズボラさんに「同じビッグ錠先生の『一本包丁満太郎』に登場する『お祈りにぎり』に挑戦されてはいかがでしょうか」と御提案しました。

 「お祈りにぎり」はこんなおにぎりです。

(「お祈りにぎり」)
Photo_20221106121201
 ビッグ錠「一本包丁満太郎」(集英社)から一部引用

 ごはんつぶ1粒1粒に手書きで「寿」の字が書かれたおにぎりです(笑)

(「お祈りにぎり」の作り方)
Photo_20221106121001
 ビッグ錠「一本包丁満太郎」(集英社)から一部引用

 毎日神前で祈りながら米1粒1粒に「寿」の字を書くという,途方もない作業を必要とするおにぎりです。

 この「お祈りにぎり」を食べると,どんな病もたちどころに治るのだとか…。

 しかしながら,全日本おにぎり選手権審査員の感想は…

(「お祈りにぎり」に対する審査員の感想)
Photo_20221106134701
 ビッグ錠「一本包丁満太郎」(集英社)から一部引用

 「なんだか食べるの気味が悪いわねぇ」

 いやはや,ビッグ錠先生の創造力と発想力,そしてユーモアには感心させられるばかりです。

 「お祈りにぎり」のお話は冗談として,ズボラさんのますますの御活躍を心から「お祈り」申し上げます。


<関連サイト>
 「ズボラの漫画飯再現料理」(ずぼら料理研究家)

<関連記事>
 「ビッグ錠先生の世界1 -石巻カレー全集「食堂パレスの黄色いレトロカレー」とArs Novaの特製ハヤシライス-
 「ビッグ錠先生の世界2 -ビッグ錠先生からのビッグなプレゼント-
 「ビッグ錠先生の世界3 -ビッグ錠先生との出会いと私の似顔絵-
 「ビッグ錠先生の世界4 -ArsNovaのおでん・特製オムライス・コーヒー-
 「ビッグ錠先生の世界5 -スイートベルモット・ブランデーバック・ArsNova特製コーヒー・デンマークチーズケーキ-
 「ビッグ錠先生の世界6 -湘南台応援イベント「ミッドナイト・ジョー」・スコッチウイスキー「ビッグ錠ラベル」-

<参考文献>
 ビッグ錠「一本包丁満太郎」(集英社)

2022年10月16日 (日)

ひろしま南区スイーツフェア -南区3名山(似島(安芸小富士)・黄金山・比治山)と代表花(ミモザ・桜・広島椿)のスイーツ-

 2022年10月8日,広島駅近くのエールエールA館エントランス広場で「令和4年度 ひろしま南区スイーツフェア」が開催されました。

(「ひろしま南区スイーツフェア」チラシ)
Photo_20221014051501

 このイベントは,広島市南区にある進徳女子高等学校と洋菓子店が協同して作られた「みなみくスイーツ」の販売と,紙粘土やスポンジを使って本物そっくりなフェイクスイーツを作る「フェイクスイーツ作り」体験の2つのプログラムで構成されています。

(ご当地スイーツ販売案内)
Photo_20221014051601
 「ひろしま南区スイーツフェア」チラシの一部を加工・引用

 広島市南区に住み,食に興味がある私としては見逃せないイベントです。

 今回は,このイベント会場などの様子と,実際に販売された広島市南区の「みなみくスイーツ」をいくつか御紹介したいと思います。


「ひろしま南区スイーツフェア」会場

 イベント会場(エールエールA館エントランス広場)へ行くと,たくさんの人がスイーツを買い求めておられました。

(「ひろしま南区スイーツフェア」会場の様子)
Photo_20221014051801

 広島市南区の3つの洋菓子店「パティスリー アニバーサリー」(段原山崎),「西洋菓子カトルフィユ」(皆実町),「ルードゥメール」(宇品海岸)が出店されていました。

 この店舗の奥には「フェイクスイーツ作り」コーナーがありました。

(「ひろしま南区スイーツフェア」案内パネル)
Photo_20221014052101

 広島市南区の3名山「安芸小富士」・「黄金山」・「比治山」をモチーフにした「みなみく3名山スイーツ」と,南区を代表する花「ミモザ」(似島)・「桜」(黄金山や比治山など)・「広島椿」(元宇品)をモチーフにした「みなみく3名花スイーツ」などが販売されていました。

 各店舗でスイーツを購入し,会場を後にしました。

(進徳女子高等学校)
Photo_20221014053101

 地元洋菓子店と一緒に広島市南区のスイーツを考案された進徳女子高等学校の校舎です。


みなみくスイーツ

 自宅に持ち帰り,「みなみくスイーツ」を味わいました。


【黄金山マフィン】

(黄金山マフィン(チョコレートとプレーン))
Photo_20221014053301

 黄金山にちなんだ「ルードゥメール」のお菓子「黄金山マフィン」です。

 写真左がチョコ,右がプレーンです。

 チョコのマフィンにはチョコチップが入っています。

 フワフワでバターの香り豊かなマフィンでした。


【ミモザの安芸小富士】

 広島市南区には島がいくつかあります。

 その1つである似島は,その眺めが富士山に似ていることから「安芸小富士」とも呼ばれています。

 その「安芸小富士」と似島の花「ミモザ」にちなんだお菓子が「パティスリー アニバーサリー」の「ミモザの安芸小富士」です。

(ミモザの安芸小富士)
Photo_20221014053601

 ピスタチオが練り込まれたケーキ生地に抹茶チョコレートのケーキを加え,表面にはアーモンドクラッシュ入りのアイシングがなされています。

 ベースとなるケーキ生地はしっとりと香ばしく,抹茶チョコレートのケーキは抹茶チョコレートがたっぷりと含まれた濃厚な味でした。

 深緑の抹茶チョコレートケーキが安芸小富士,アイシングにちりばめられたアーモンドがミモザを表現されているのでしょう。


【さくら幸せマカロン】

 春になると,広島市南区の比治山や黄金山にはたくさんの桜が咲き,花見客で賑わいます。

 その桜にちなんだお菓子が「パティスリー アニバーサリー」の「さくら幸せマカロン」です。

(さくら幸せマカロン)
Photo_20221014054401

 マカロンという名称ですが,スコーンか大きめのまんじゅうぐらいのサイズがあります。

 表面には塩漬けの桜の花がのせられています。

 中身も気になるのでカットしてみましょう。

(さくら幸せマカロン(中身))
Photo_20221014054701

 中には桜色をしたホワイトチョコレートがはさまれていました。

 アーモンドが使われたサクサクの生地で,ダックワーズに似ていると思いました。

 生地には甘じょっぱい桜パウダーが練り込まれており,桜の風味を存分に楽しめるお菓子でした。


【比治山和ケイク】

 比治山の桜にちなんだお菓子「カトルフィユ」の「比治山和ケイク」です。

(比治山和ケイク)
Photo_20221014055001

 比治山は広島市の中心部にある小高い山なのですが,その比治山に桜が咲いたイメージがよく表現されています。

 ケーキにかかっているのは桜の風味がするピンク色のホワイトチョコレートです。

 アクセントとして酸味のあるドライストロベリーものせられています。

(比治山和ケイク(中身))
Photo_20221014055201

 中を確かめると,紫芋のケーキ生地でした。

 さっくりとした紫芋のケーキに,ほのかに桜の風味がするホワイトチョコレートがコーティングされたプチケーキでした。


【ミモザピアーチ】

 似島の花「ミモザ」にちなんだお菓子「カトルフィユ」の「ミモザピアーチ」です。

(ミモザピアーチ)
Photo_20221014055401

 黄色いミモザの花の特徴がよく表現されたケーキです。

(ミモザピアーチ(中身))
Photo_20221014055501

 いちごと生クリームのケーキに薄いクレープをかぶせ,表面に細かな黄色いスポンジ生地がちりばめられています。

 黄色いふわふわのスポンジ生地,いちごが入った甘酸っぱい生クリーム,しっとりとしたケーキ生地,そして弾力のあるクレープと様々な食感や味を一度に楽しむことができました。


広島椿と観音寺

 後になって,今回のイベントで広島椿にちなんだお菓子も販売されていたことを知りました。

 そこで,元宇品の観音寺で広島椿を観察し,その後にイベント会場で広島椿のお菓子を販売されていたお店「ルードゥメール」へ行ってみることとしました。

 宇品から徒歩で元宇品へ行きました。

 元宇品は厳密には島で,本土と宇品島の間には暁橋(あかつきばし)という橋がかけられています。

 その元宇品の広島港(宇品港)ターミナル側から似島が見えました。

(元宇品から眺めた似島)
Photo_20221014060901

 元宇品から眺めた似島の様子です。

 左右にバランスのとれた山が富士山のように見えます。

 引き続き元宇品を歩いていると,次第に山道になりました。

 そしてその山道を少し上った場所に観音寺がありました。

 観音寺で広島椿を探しましたが,花が咲く時期ではなかったので,どれが広島椿なのか確信が持てませんでした。

 その時,近くに1人の女性がいらっしゃったので,私はその方に「広島椿があると知って伺ったのですが,どれが広島椿が御存知ですか」と伺いました。

 するとその方が「こちらです」と教えてくださいました。

 これが広島椿です。

(広島椿)
Photo_20221014182601

 木にはたくさんのつぼみがなっていました。

 冬から春にかけて花が咲くとのことでした。

 「花が咲くときれいなんでしょうね」と私がお話しすると,その方がお寺の中から広島椿の写真を持ってきてくださいました。

(広島椿の写真)
Photo_20221014182801

 私:「わーっ,きれいな花が咲くんですね。花が咲く頃,実際に見てみたいです」
 女性の方:「春のお彼岸の頃にいらしたら見れますよ」

 この方はこのお寺で広島椿を育てておられる方のようで,広島椿のお話を伺うことができました。

 観音寺の広島椿は,江戸時代初期に浅野長晟(あさの ながあきら)が紀州(和歌山)から広島へ移られる際,妻の振姫(徳川家康の三女)が丹精こめて育てた椿を持ってきて,このお寺に植えられたことが始まりなのだそうです。

 和歌山から元宇品の観音寺まで船で運んでこられたようです。

 御本人が広島椿を紹介されている様子の写真が掲載された新聞記事も紹介していただきました。

 偶然ながら,私は広島椿と深いかかわりを持っていらっしゃる方と出会えたようです。

 親切に御対応いただいた女性にお礼申し上げ,「春のお彼岸の頃,広島椿の花を見に来れたらいいな」と思いながら観音寺を後にしました。

 続いて元宇品の東側の海沿いを歩き,向かいの黄金山を眺めました。

(元宇品から眺めた黄金山)
Photo_20221014184101

 実際は毎日飽きるほど眺めていますが…(笑)

 その後,再び暁橋を渡り,宇品海岸のお店「ルードゥメール」へ向かいました。


【咲っくり姫】

 「ルードゥメール」に着き,お店の方に「広島椿のお菓子はありますか」と尋ねました。

 すると,「イベントの際にすべて売り切ってしまいました。イベントの時だけ特別に作っているお菓子なんです」とのことでした。

 そしてその広島椿にちなんだお菓子の見本を見せてくださいました。

(咲っくり姫(見本))
Photo_20221014184501

 広島椿にちなんだ「ルードゥメール」のお菓子「咲っくり姫」(見本)です。

 広島椿の色とりどりの花が表現された焼菓子です。

 イベント当日はこのお菓子に気付きませんでした。

 この日は,購入できませんでしたが,次回のイベントで「咲っくり姫」を購入したいと思います。


 広島市南区は,陸の玄関口「広島駅」や海の玄関口「広島港(旅客ターミナル)」を有し,日本のバウムクーヘン発祥地(似島)やカルビーの発祥地(宇品)でもあります。

 また,広島市民球場(マツダスタジアム)やマツダの工場(宇品工場)もあります。

 私にとっては住み慣れた街ですが,今回「ひろしま南区スイーツフェア」に参加したことをきっかけに初めて知ったことも多く,改めてこの街の魅力を知りました。

 最後に「ひろしま南区スイーツフェア」の様子が紹介された中国新聞社の動画を御紹介します。

(「広島市南区ならではのスイーツ8品、高校生と洋菓子店が共同創作・販売」)

(YouTube「中国新聞社」)

 動画の冒頭と後半に登場するリュックを肩にかけた男性,腕組んで真剣に悩んでいますね(笑)


<関連サイト>
 「パティスリー アニバーサリー」(広島市南区段原山崎3-2-3)
 「西洋菓子カトルフィユ」(広島市南区皆実町二丁目5-1)
 「ルードゥメール」(広島市南区宇品海岸二丁目23-29)
 「進徳女子高等学校」(広島市南区皆実町一丁目1-58)
 「広島椿」(「観音寺」広島市南区元宇品町15-1)

<関連記事>
 「広島市南区の黄金山と「黄金山まんじゅう」

より以前の記事一覧

最近のトラックバック

2023年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
無料ブログはココログ