2025年1月19日 (日)

関東の「長命寺桜もち」と長命寺 -東京都墨田区向島-

長命寺桜餅と道明寺桜餅

 和菓子の桜餅は、小麦粉の生地で作られた関東風の「長命寺桜餅(ちょうめいじさくらもち)」と、もち米(道明寺粉)で作られた関西風の「道明寺桜餅(どうみょうじさくらもち)」の2種類に分類できます。

 桜の香りがする生地であんこを包み、桜の葉でくるんだお菓子と言えば共通しているのですが、小麦粉で作られたクレープ状の生地と、もち米で作られたもち生地とでは、見た目や食感はかなり異なるお菓子となります。

 今回は関東風の桜餅をテーマに、東京都墨田区向島の「長命寺桜もち」と長命寺を御紹介します。

 当ブログの関連記事(文末の<関連記事>参照)と合わせてお読みいただければ、関東風桜餅と関西風桜餅の違いがわかり、それぞれの発祥地を旅した気分になっていただけるかと思います。


桜の名所・隅田川と東京スカイツリー

 江戸時代、8代将軍の徳川吉宗が隅田川の土手に100本の桜を植樹し、隅田川は花見の名所となりました。

 台東区側から隅田川に架かる歩行者専用橋「桜橋」を渡って、墨田区向島へ向かいました。

(桜橋から眺めた東京スカイツリー)
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 桜橋では、間近に東京スカイツリーを眺めることが出来ました。


長命寺桜もちと正岡子規

 桜橋を渡って、隅田川の上流方向にしばらく歩いたところに、「長命寺桜もち」のお店と長命寺があります。

 「長命寺桜もち」のお店の手前に、「正岡子規仮寓(かぐう)の地」の碑がありました。

(「正岡子規仮寓の地」の碑)
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 俳人の正岡子規は、大学予備門の学生時代、長命寺桜もち「山本や」の2階を3か月ほど借り、自ら月香楼と名付けて滞在し、次の句を詠んだそうです。

 「花の香を 若葉にこめて かぐはしき 桜の餅 家つとにせよ」

 「家つと」は家に持ち帰るお土産という意味で、全体で「とても良い香りがする桜葉に包まれた桜餅をぜひお土産に」といった感じの意味になります。

 お店の2階に住まわせてもらっている以上、正岡子規も積極的にお店の宣伝をする必要があったのでしょう。

 これに関連し、長命寺のウェブサイト「長命寺と桜もち」には、次のような紹介文があります。

 「明治二十年頃には「お陸さん」という娘が美人で名高く、正岡子規が当家の二階に下宿していたのもその頃である。子規とお陸さんとの恋物語もあったとかいわれる。」

 当家とは「長命寺桜もち」の山本家のことです。

 正岡子規が長命寺桜もちの2階に下宿した一番の理由は、隅田川の自然や桜の魅力か、桜もちか、それともお陸さんか…真相は桜もちの葉のごとく謎に包まれています。


長命寺桜もちを味わう

 長命寺桜もちのお店に着きました。

(長命寺桜もち店舗)
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 「桜毛ち」と書かれた立派なのれんをくぐり、お店に入りました。

 店内を見渡すと、桜もちの購入だけでなく、お店でいただくこともできるとわかったので、「召し上がり」(喫茶・イートイン)をお願いしました。

 テーブル席に座り、しばらくすると、煎茶と一緒に桜もちが運ばれてきました。

(召し上がり(煎茶付))
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 桜もちは紙で包んだ状態で提供されます。

 桜もちを取り出してみました。

(長命寺桜もち(葉で包まれた状態))
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 塩漬けされた桜の葉が、くるんだ状態ではなく、桜もちにそのまま貼り付ける感じで3枚も使用されています。

 静岡県松崎町の「大島桜」の葉が使われています。

 「大島桜」の葉は、ほかの桜と比べて大きく、桜独特の甘い香りがあることが特長です。

 葉っぱをめくって、めくって、めくって、やっと桜もちと出会えました。

(長命寺桜もち)
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 小麦粉の生地を薄いクレープのように焼き、あんこ(こしあん)を巻いた桜もちです。

 桜餅の生地は、関東風(小麦粉生地)と関西風(餅生地)いずれも、ピンク色(桜色)と白色(無着色)のものがありますが、こちらのお店では白い生地で仕上げられています。

 この桜もちをいただく際、ふと考え込んでしまいました。

 「桜の葉は桜もちと一緒に食べるべきか、外して食べた方がよいか…」

 子どもの頃は桜の葉を外して食べていましたが、桜の葉も食べられることを知ってからは「何となく」桜餅と一緒に食べるようになりました。

 それに、今回のように大きな桜の葉を贅沢に3枚も使われていると、貧乏性の私は、これらの葉をすべて残すことがもったいないように思われました。

 そこで、桜の葉を外すことなく、そのまま桜もちと一緒にいただきました。

 最初に桜の甘くさわやかな香りを強烈に感じました。

 さらに噛み進めると、パリパリという音とともに、中の桜もちに到達し、桜の葉のしょっぱさとあんこの甘さが口の中いっぱいに広がりました。

 さらりとして上品な甘さのこしあんと、それを包むもっちりとした生地、そして甘く香り高い桜の葉のハーモニーが素晴らしく、満開の桜が目に浮かぶようでした。

 熱く濃いめの緑茶と一緒にいただくと、心がほっと和みました。

 正岡子規がこのお店の桜もちを宣伝したくなる気持ちもわかりました。

 会計の際、お店の方に「桜の葉がたくさん巻かれていましたが、一緒に食べた方がいいのでしょうか」とお尋ねしました。

 すると、お店の方から「外して召し上がることをおすすめしています」というお返事があったので、びっくりしました。

 私が「ええっ、桜の葉が3枚も巻かれていたので、てっきり一緒に食べるものかと…」とお話しすると、お店の方は「桜の葉をすべて外して召し上がる方、1枚で召し上がる方、2枚で召し上がる方…皆さんお好みの食べ方があるようです。ただ、3枚だと塩辛いと思います。」とおっしゃっていました。

 確かに若干しょっぱかったことは否めませんが、桜の葉と一緒に食べるのが「通(ツウ)の食べ方」、「大人の食べ方」だと信じていた私は少なからずショックを受けました。

 「長命寺桜もち」の桜の葉は香り付けと餅の乾燥を防ぐためのもので、半年以上塩漬けにしているのでしょっぱく、ごわごわしているとのことでした。

 「今度来た時は桜の葉1枚で食べてみよう」と思いましたが、おそらく残した桜の葉も後でペロンと食べてしまうことでしょう(笑)


長命寺と長命寺桜もち

 長命寺桜もちとお茶をいただいた後、お店のすぐ近くの長命寺を散策しました。

 長命寺は天台宗のお寺です。

(長命寺山門と言問幼稚園)
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 お寺の中に言問(こととい)幼稚園が併設されています。

(長命寺)
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 もともとは「常泉寺」という名のお寺でしたが、江戸幕府3代将軍・徳川家光がこの地に鷹狩りに来られた際、腹痛を起こし、住職の加持した庭中の般若水(井戸水)で薬をのんだら痛みが止まったので、以後「長命寺」と呼ばれるようになったそうです。

(長命水(井戸跡))
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 現在、この地で長命寺桜もちを味わえるのは、3代将軍・徳川家光が鷹狩りをし、8代将軍・徳川吉宗が桜を植樹し、正岡子規が滞在したおかげなのかもしれませんね。


<関連サイト>
 「長命寺桜もち」(東京都墨田区向島5-1-14)

<関連記事>
 「関東の和菓子と関西の和菓子 -和菓子の比較検証-
 「菅原道真ゆかりの地(大阪府藤井寺市道明寺)で道明寺粉と道明寺桜餅について学ぶ

2025年1月12日 (日)

カナダ料理の特徴と主な料理 -ブルーベリーパンケーキ・プーティン・チーズカード・ピーミールベーコン・プディングショムール-

 東京で世界の朝食が味わえるお店「TASTE THE WORLD(テイスト・ザ・ワールド)」。

 以前は「World Breakfast Allday(ワールド・ブレックファースト・オールデイ)」という店名でしたが、2024年11月に名称変更されました。

 年末の朝、いつもどおり外苑前店へ伺うと、外苑前店だけ一足早く年末年始の休業期間に入っておられました。

 そこで近くの新宿店へ行くこととしました。

 外苑前店と原宿店(現在は閉店)しか利用したことのない私は、「どんなお店なのだろう」と思いながら訪問しました。

(TASTE THE WORLD 新宿店)
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 2024年11月にオープンした「TASTE THE WORLD 新宿店」です。

 外苑前店と比べて店内が広いですが、隣の席との間隔は外苑前店と同じにされているのが面白いところです。
 (外苑前店の縦長のテーブルが2つ置かれていました。)


カナダの食文化

 「TASTE THE WORLD」の2024年12月・2025年1月限定の朝ごはんは「カナダの朝ごはん」です。

 北アメリカ大陸の北部に位置するカナダは、国土面積がロシアに次ぐ世界第2位で、海岸線の長さでは世界一です。

 カナダは世界中から多くの移民を受け入れてきた歴史があり、大西洋岸や五大湖畔にイギリス系、ケベック地方にフランス系、太平洋岸に中国系、その中間に北欧系や東欧系の人々が住んでおられます。

 こうした背景から、カナダの食文化は、先住民の料理のほか、イギリス料理、アメリカ料理、フランス料理、中国料理、北欧料理、東欧料理など様々な国・地域の料理が存在しています。

 そのため、ベジタリアン・ヴィーガン向けの料理やハラルフードなども充実しています。

 カナダの代表的な食材・飲料としては、メープルシロップ、穀物(トウモロコシ・小麦・大麦など)、豆類(大豆、エンドウ豆など)、シーフード(ロブスター、タラ、ホタテ)、鮭(サーモン)、アルバータ牛、ポーク、ジビエ(鹿、トナカイ、アザラシなど)、チーズ、ベリー(ブルーベリー、クランベリーなど)、キノコ類、アイスワイン・アイスシードル(ぶどうやりんごを凍結させ、糖度を高めた酒)などが挙げられます。

 また、日本でもよく知られている「キャノーラ油」は、1978年にカナダで生み出された「キャノーラ」と呼ばれる品種のアブラナ(ナタネ)を原料とする油で、「キャノーラ」という名称は「Canadian Oil Low Acid(酸の少ないカナダの油)」に由来します。


カナダの朝ごはん

 今回「TASTE THE WORLD」で御用意いただいたカナダの朝ごはんプレートがこちらです。

(カナダの朝ごはんプレート)
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 ブルーベリーパンケーキ、プーティン(スコッチエッグ、チーズカード)、ピーミールベーコン、焼きトマトが盛り付けられたプレートです。

 それでは順に料理を御紹介します。


【ブルーベリーパンケーキ】

 カナダでは食卓にブルーベリーがよく登場します。

 「ブルーベリーパンケーキ」は、ほんのり甘いパンケーキにブルーベリーソースがかけられた料理です。

(ブルーベリーパンケーキ)
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 ブルーベリーソースは、お店で生のワイルドブルーベリーを煮詰めて作られたそうです。

(ブルーベリーパンケーキ(中身))
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 パンケーキを切ってみると、パンケーキの中にもワイルドブルーベリーの果実がゴロゴロ入っていました。

 パンケーキに加え、カナダの人気食材・ブルーベリーもたっぷりと堪能することができました。


【プーティン・スコッチエッグ・チーズカード】

 「プーティン」はケベック州発祥のフライドポテトにチーズカード(※)とグレービーソースをかけた料理で、カナダの代表的な料理の1つです。
 ※チーズカード:熟成させる前のフレッシュチーズ。「カード」は、乳が固まって豆腐状になったものの名称で、「凝乳(ぎょうにゅう)」とも呼ばれている。

(プーティン・スコッチエッグ・チーズカード)
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 今回のプーティンは、フライドポテトにチーズカードを混ぜ、スコッチエッグをのせて、仕上げにオランデーズソース(卵黄、バター、レモン汁などを混ぜたソース)をかけたものが提供されました。

 厚切りのフライドポテトは熱々で、表面はサクサク、中はホクホクでした。

 オランデーズソースをまぶすとコクと酸味が増し、いくらでも食べられるほどの美味しさになりました。

 角切りのチーズカードは、やわらかくてほどよい塩気があり、油で揚げたフライドポテトとの相性が抜群でした。

 中盤に差し掛かったところで、スコッチエッグの黄身をくずしました。

(プーティンと半熟の黄身)
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 フライドポテトに半熟の黄身をまぶすと、その美味しさは頂点に達しました。

【ピーミールベーコン・焼きトマト】

 「ピーミールベーコン」は、豚ロースから脂身を取り除き、スパイス入りの塩水で熟成させ、仕上げにコーンミール(粗挽きトウモロコシ粉)を肉の表面にまぶした食肉加工品です。

 カナダの代表的な食べものの1つです。

 このピーミールベーコンを焼き、焼きトマトを添えたものが提供されました。

(ピーミールベーコン・焼きトマト)
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 豚肉の旨みが凝縮されており、ベーコンというよりステーキに似た味わいでした。

 お店の方から「パンケーキのブルーベリーソースをピーミールベーコンにかけていただくのもおすすめです」とお話がありました。

 確かに、デンマークの「フリカデラ(挽き肉ハンバーグ)」とラズベリー風味のピクルス,オーストリアの「ウィンナーシュニッツエル(薄切り肉のカツレツ)」とベリーソース,アメリカの「ローストターキー」とクランベリーソースなど,肉料理と甘いベリーソースの組合せは世界各地で見受けられ、好まれています。

 そこで、ピーミールベーコンにもブルーベリーソースを添えてみました。

(ピーミールベーコン ブルーベリーソース添え)
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 これはこれで美味しくなりましたが、ピーミールベーコンにブルーベリーソースの甘みがダイレクトに伝わるので、ブルーベリーソースは少量でよいことに気付きました。

 このあと、別の試みとして、ピーミールベーコンに(プーティンの)オランデーズソースや半熟の黄身をつけていただいたのですが、こちらも美味でした。


プディング・ショムール

 デザートとして「プディング・ショムール」をいただきました。

 「プディング・ショムール」は、「失業者のプディング(プリン)」という意味のお菓子です。

 世界大恐慌で多くの人々が職を失い、シンプルな材料(小麦粉や砂糖など)しか手に入らなかった時に生まれた、ケベック州(フランス系カナダ人)の伝統的なお菓子です。

(プディング・ショムール)
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 蒸しパンのようなしっとり感・ふわふわ感がある温かいプディング(ケーキ)にメープルシロップがかけられ、ローズマリーがのせられています。

 プレートには、バニラアイスとラズベリーが添えられています。

 プディング(ケーキ)生地は、シンプルな材料で空気を多く含ませて焼き上げられているため、メープルシロップをかけるとよく染み込み、プディングのジュワッとした食感とメープルシロップの深い甘みを楽しむことが出来ました。


<関連サイト>
 「TASTE THE WORLD」(東京都新宿区新宿4-3-15-103(新宿店)ほか)

<関連記事>
 「広島市植物公園・人の暮らしを支える「植物と油」展-「植物油の栄養と機能」講演会-」(キャノーラ油の紹介)
 世界の料理については,当ブログ「食文化関連記事一覧表・索引」の「各国料理の特徴と主な料理」も御参照ください。

<参考文献>
 「TASTE THE WORLD」カナダ料理紹介リーフレット
 佐原秋生・大岩昌子「食と文化の世界地図」名古屋外国語大学出版会
 地球の歩き方編集室「世界のグルメ図鑑」Gakken

2025年1月11日 (土)

宇都宮餃子の耳かき -栃木県宇都宮市-

 宇都宮市にある、宇都宮餃子の名店の味が一堂に会するフードテーマパーク 「来らっせ(きらっせ)」のお土産コーナーに、宇都宮餃子の耳かきが販売されていました。

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 1本643円(※)と、餃子1人前より高価ですが、それだけの価値がある珍しい耳かきです。
 ※2024年12月現在の価格

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 耳かきの頭に付いている「宇都宮餃子」は、長さ約1.5cmで、とても小さいものです。

 訪問時は、年末でお昼時(12時半)ということもあってか、予想をはるかに超える大勢のお客さんがおられ(約90分待ち)、せっかく宇都宮まで行ったにもかかわらず、宇都宮餃子を食べることはできませんでした。


 でもこの宇都宮餃子の耳かきをゲットできたことで、本物の餃子を食べる以上の感動と喜びがありました。

2025年1月 5日 (日)

栃木の食文化探訪 -宇都宮の黒カレー・かりまん・揚げたてあげあんパン・チャット-

宇都宮の市街地を歩く

 2024年の年末に栃木県宇都宮市を訪問しました。

 私はこれまで栃木県真岡市、足利市、栃木市、そして日光市を訪問したことがありますが、宇都宮市は訪問したことがありませんでした。

 また、宇都宮市は魚柄仁之助先生(食文化研究家)が住んでおられた地でもあるため、いつか訪問してみたい街の1つでした。

 東京・上野駅からJR宇都宮線(途中久喜駅で湘南新宿ライン(快速)に乗り換え)で宇都宮駅に到着しました。

(宇都宮線(湘南新宿ライン)・E231系・宇都宮駅)
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 湘南色(オレンジと緑のツートンカラー)の列車です。

 宇都宮駅東口からは、2023年夏に開業した「宇都宮ライトレール(LRT)」が走っています。

(宇都宮ライトレール(LRT)・宇都宮駅東口)
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 新幹線のように先がとんがった、次世代型路面電車です。

(宇都宮駅)
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 こちらは、宇都宮駅西口の様子です。

 宇都宮駅西口から延びる大通りを西へ向かって歩きました。

(宇都宮大通りから眺めた宇都宮駅)
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 さらに歩くと、宇都宮二荒山(ふたあらやま)神社の大鳥居が見えました。

(宇都宮二荒山神社・大鳥居)
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 宇都宮二荒山神社はかつて下野国(しもつけのくに)で最も格式が高い神社「一之宮(いちのみや)」とされ、その「一之宮」が転じて「宇都宮」という地名となったという説もあります。

 宇都宮は餃子の街としても有名ですが、確かに駅前や大通り沿いを少し歩くだけでも、餃子のお店をたくさん見かけました。

 私はこの「宇都宮餃子」を味わうべく、宇都宮二荒山神社近くの「来らっせ(きらっせ)本店」を訪問しました。

(「来らっせ本店」(MEGAドン・キホーテ))
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 「来らっせ本店」は宇都宮餃子の名店の味が一堂に会するフードテーマパークで、「MEGAドン・キホーテ宇都宮店」の地下にあります。

 ドン・キホーテの店内に入り、「来らっせ本店」を目指して「♪ドンドンドン」と進んでいくと、大勢の人で賑わう「来らっせ本店」に着きました。

 年末でお昼時(12時半)ということもあってか、予想をはるかに超える大勢のお客さんがおられ、驚きました。

 お店の案内板には「約90分待ち」と表示されていました。

 入口にお店の利用方法が説明されており、スマートフォンのLINEで友だち登録を行い、そのメニューから入場整理券を入手する必要があったので、急いで手続きをしました。

 手続きを完了し、スマートフォンで待ち状況を確認すると「116組待ち」と表示されました。

 タイトなスケジュールを組んでいた私は、宇都宮市内での滞在時間を2時間半程度しか取っておらず(だからこそ宇都宮餃子を一度に味わえるフードテーマパークを選んだわけですが…)、これではぎりぎり間に合うかどうかという感じでした。

 その後しばらく待ちましたが、待ち人数は逆にドンドン増え続け、いつになるかわからず、順番が来てもゆっくり食べる時間がないことを悟った私は、やむを得ずキャンセルしました。


春木屋・AKAI TORIの「黒カレー」

 再び宇都宮二荒山神社の前を歩いていると、交差点の角にある老舗喫茶店がありました。

(黒カレー・CAFE 春木屋)
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 「黒カレー」が有名なお店のようです。

(春木屋・AKAITORI)
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 お店の前のメニューボードには、「黒カレー」について、「戦後、進駐軍のコックからレシピを習った最初のカレーから78年。粉からオリジナル調合の昔タイプのカレーです」と説明がありました。

(昔の写真(春木屋))
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 創業当時(昭和23年)からずっと、この地で営業されているようです。

 餃子と同様、この「黒カレー」も宇都宮の味だと思い、興味を持ってお店に入りました。

 テーブル席に案内され、黒カレーを注文すると、店主さんから「1人でやっているので20分ぐらいかかりますが、よろしいですか」とお話があったので、「はい、いいですよ」とお返事して待つことにしました。

 結局は20分も経たずに黒カレーが提供されました。

(黒カレー(スープ付))
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 昔ながらのステンレス製カレー皿にカレーライスが盛られ、漬物が添えられています。

 スープは、味噌汁(ねぎ、豆腐、巻き麩、わかめ入り)がカップで提供されました。

 黒カレーをいただくと、最初にハヤシライスのような熟成された甘みとコクを感じ、後からカレーの風味とほどよい辛さが追いかけてくる、マイルドな欧風カレーでした。

 この甘みは、大量に使われている玉ねぎの甘みだと思います。

(黒カレー(拡大))
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 具は、大きめにカットされた玉ねぎと角切りの鶏肉が中心で、具だくさんのカレーです。

 食べ進めるうちに、豚肉の脂身による旨味とコクも感じました。

 そこで店主さんに「このカレーは鶏肉だけでなく、豚肉も入れておられるのでは」と尋ねてみると、「そのとおりです」と教えていただきました。

 テーブル近くの棚に、店名の由来や黒カレーの歴史についてまとめられた冊子があったので読んでみました。

 内容は、
・レストラン「春木屋」の喫茶部門が「赤い鳥(AKAITORI)」
・「赤い鳥(AKAITORI)」の名称は、鈴木三重吉の童話童謡雑誌「赤い鳥」から
・「黒カレー」は初代店主が進駐軍のコックさんから教わったもの
・当初は「黒カレー」ではなく「印度カレー」という名でメニューに載せていた
・実際は英国式洋食カレーで、お客さんの誤解も多かったため、「黒カレー」という名称にした
・材料は豚肉、鶏肉、玉ねぎ、生姜、にんにくが中心で、塩は赤穂の塩を使用している
・鶏肉をオーブンでローストし、皮をパリッとさせてから煮込んでいる
・炒めた豚肉と大量の玉ねぎ、ローストした鶏肉にスパイス、調味料、自家製ルーを加えて作る

 鶏肉と豚肉と玉ねぎが織りなすハーモニーと、長年受け継がれ熟練された味を堪能することができました。


高林堂の「かりまん」と「揚げたてあげあんパン」

 馬場通りを宇都宮駅に向かって歩いていると、和菓子店がありました。

(高林堂本店)
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 「高林堂(こうりんどう)」という宇都宮の和菓子店です。

 私の目が釘付けになったのは、お店に掲げられていた「あげあんパン」の写真です。

(あげあんパン)
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 (高林堂ウェブサイトの写真を引用)

 湧き上がる衝動を抑えることができず、お店に入りました。

(「KORINDO CAFE」メニュー)
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 店内のカフェコーナー(「KORINDO CAFE」)で揚げたてをいただけることを知り、「揚げたてあげあんパンドリンクセット」と、お店の看板商品の1つ「かりまん」を注文しました。

 「かりまん」は単品での注文をお願いしましたが、お店の方は「かりまんも温めて一緒にお出しします」と快く注文に応じてくださいました。

 注文を終え、店内を見渡すと、豪華客船「クイーンエリザベス」に高林堂の和菓子が提供されたことが紹介されていました。

 馬場通り沿いのテーブル席に座り、宇都宮の街を眺めながら待っていると、注文の品が運ばれてきました。

(揚げたてあげあんパンドリンクセット・かりまん(包装))
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 食べやすいように紙で包装した状態で提供されます。

 ワクワクしながら包みを開けました。

(揚げたてあげあんパンドリンクセット・かりまん)
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 「あげあんパン」も「かりまん」もアツアツで、写真を撮る時間さえもったいないと思いました。

(かりまん(中身))
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 「かりまん」は「かりんとう饅頭」の名称で、香ばしい「かりんとう」生地の中に「こしあん」が詰められています。

 いただいてみると、黒糖のかりんとうの皮が「サクッ」と音が鳴るほどカリカリで香ばしく、なめらかでほどよい甘みのこしあんとの相性が抜群でした。

 「かりまん」の「かり」は、「かりんとう」という意味だけでなく、「カリカリ」という意味も込められているように思いました。

(揚げたてあげあんパン(こしあん))
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 「揚げたてあげあんパン」は、小豆あんをサンドした揚げパンで、仕上げにきな粉がまぶされています。

 小豆あん(あんこ)は注文時に「こしあん」か「つぶあん」を選べるようになっています。

 パンは「パニーニ」のような平べったい形をしており、油で揚げることで全体がサクッとした食感になるよう工夫されています。

 あんこをサンドした平べったい形のパンを揚げることにより、パンとあんこの一体感が増し、「かりまん」にも似た美味しさを味わうことが出来ました。

 仕上げにコーヒーをいただきながら、至福のひとときを過ごしました。


うさぎやの「チャット」

 宇都宮駅に隣接する「宇都宮PASEO」で、「うさぎや」の「チャット」を購入しました。

(うさぎや「チャット」(包装))
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 お菓子の名称「チャット」は詩人書家・相田みつをさんの命名で、「心のとけあった人たちが、気兼ねなく気楽なおしゃべりをしながら、楽しいひとときを過ごす」という意味が込められているそうです。

 コミュニケーションツールの1つ「チャット」にも通じる、時代を先取りしたような名前です。

(うさぎや「チャット」)
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 愛媛の「母恵夢(ポエム)」や福島の「ままどおる」、博多の「博多通りもん」に似た乳菓です。

 「チャット」の特徴は、皮や白あんがとてもやわらかいことです。

 口に含むとホロリと溶けるような、やさしい食感・風味のお菓子です。

 「チャット」をいただけば、心がとけあい、気兼ねなく気楽なおしゃべり(チャット)で盛り上がることでしょう。


<関連サイト>
 「来らっせ」(本店 栃木県宇都宮市馬場通り2-3-12ほか)
 「春木屋・AKAI TORI」(栃木県宇都宮市馬場通り2-3-10)
 「高林堂」(本店 栃木県宇都宮市馬場通り3-4-7 ほか)
 「うさぎや」(本店 栃木県宇都宮市伝馬町4-5ほか)

2025年1月 1日 (水)

新年明けましておめでとうございます -開設11周年を迎えて-

 新年明けましておめでとうございます。

 読者の皆様も,新たなお気持ちで新年を迎えられたことと思います。

(飛行機の窓から眺めた富士山)
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 おかげさまで,本日,ブログ開設11周年(ブログ開設日2014年1月1日)を迎えることが出来ました。

 当ブログは「食」を主なテーマとして、様々なお話を御紹介しています。

 ブログの執筆や取材を通じて、読者の皆様をはじめ、いろんな方とのつながりができ、それが私の生きがいとなっています。

 近年の物価上昇の影響で、食費や旅行費用の捻出が大変な状況となっていますが、「いろんな方との出会い・つながりは、時間あれば得られるものでも、お金を積めば得られるものではない」との考えで、何とか工夫しながら、今後も活動を続けていきたいと思っております。

 また、食に限らずどんなジャンルにおいてもそうですが,興味を持ち,ちょっとの勇気と行動力でその世界に踏み込めば,その先には思わぬ喜びや感動,新たな出会いや発見が待っているような気がします。

 そして、この「ちょっとした勇気と行動力」を与えてくださっているのは、実は今こうしてお読みいただいている読者の皆様なのです。

 読者の皆様からの見えない大きな力に支えられていると思うからこそ、ここまで何とか継続出来ました。

 その分、私が得た喜びや感動,新たな出会いや発見を皆様と共有することで、お返しができたらと思います。


 食文化やご当地耳かきの探訪を通じて,今年はどんな出会い・発見があるでしょうか。

 全ては偶然が積み重なった結果ですので,私自身も未知の世界で、どういう展開になるのか今からワクワクしています。

 今後も,当ブログにお越しいただいた皆様に,できるだけ真実をお伝えし,記事をお読みいただくことで何か1つでも御参考になることがあればとの思いで,ブログの作成に取り組みたいと思います。

 引き続き御愛顧の程,よろしくお願い申し上げます。


 2025年 元旦

 コウジ菌

2024年12月29日 (日)

侍MANEKI珈琲(兵庫県姫路市)のアーモンドトーストとバックハウスイリエ(兵庫県尼崎市)のクリームパン

侍MANEKI珈琲のアーモンドトースト

 兵庫県姫路市を訪問しました。

 JR姫路駅で有名なのが「まねき食品」の「えきそば」です。

(まねきのえきそば(ディスプレイケース))
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 この「えきそば」の特徴は、「そば」という名称で、和風のそばつゆなのですが、麺に黄色い中華めん(かんすい入りのラーメンのような麺)が使われていることです。

 最初に食べた時は少し違和感を感じたのですが、食べる回数が増えるにつれ、姫路駅へ寄った時は必ず食べたいと思うほどになりました。

 地元の熱烈なファンの中には、姫路駅の入場券を買って、この「えきそば」を食べに来られる強者(つわもの)までいらっしゃるようです。

 そして忘れてはならないのが、「まねき食品」は日本で初めて「幕の内弁当」を販売された会社だということです。

 そんな「まねき食品」が、2022年4月23日に、JR姫路駅構内2階(新幹線コンコース)に喫茶店「侍MANEKI珈琲」をオープンされました。

(侍MANEKI珈琲・店舗)
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 朝、新幹線でJR姫路駅へ到着した際にお店を見つけた私は、「なるほど、まねき食品さんはカフェ事業も展開されたのか」と思ったのですが、お店の入口の電子看板に目が釘付けになりました。

(トーストモーニングセットの電子看板)
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 「このお店で姫路の名物・アーモンドトーストが味わえるんだ!」

 そうと知ったからには、素通りすることはできず、お店に入りました。

 朝7時から11時の時間帯は、ドリンク料金にプラス150円で「トーストモーニングセット」をいただくことができます。

 お店の入口で注文・精算し、セルフで席へ運ぶ方式かと思っていましたが、テーブル席へ案内され、席に着いてから注文する喫茶店方式でした。

 モーニングセットを注文する際、厚切りトーストに塗るものとして「姫路名物・自家製アーモンドバター」か「マーガリン」か「いちごジャム」を選ぶことができます。

 私は迷うことなくアーモンドバターを注文しました。

 また、ドリンクはホットコーヒーを注文しました。

 すると、お店の方がコーヒーを淹れ、食パンにアーモンドバターを塗ってこんがりとトーストしてくださいました。

 しばらくして、席にトーストモーニングセットが提供されました。

(トーストモーニングセット(コーヒー・アーモンドトースト・ゆで卵))
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 ホットコーヒー、厚切りトースト(アーモンドトースト)、そしてゆで卵のセットです。

 コーヒーは、「トアルコトラジャ(インドネシア・スラウェシ島・トラジャ地方のコーヒー豆)」が使用されています。

 コクと深みがありながら、ストレートでも飲みやすく、フルーティーな風味を感じました。

(アーモンドトースト・ゆで卵)
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 ゆで卵は、兵庫県市川町の「タズミの卵」が使われています。

 そして姫路名物のアーモンドトーストです。

 関西では、厚切りの食パンが好まれる傾向にありますが、期待どおりの厚切りで、アーモンドバターがたっぷり塗られていました。

 姫路のアーモンドトーストは、アーモンドバターを贅沢に厚塗りし、表面がふつふつとなるぐらいこんがりと焼くことで美味しくなるのですが、まさにその仕上がりのアーモンドトーストでした。

 粗目に砕いたクラッシュアーモンドのザクザク感・ゴロゴロ感が楽しめる、ほどよい甘さのアーモンドバターです。

 ちなみに、このお店のアーモンドバターは、「侍MANEKI珈琲特製ザクゴロアーモンドバター」として、通信販売もされているようですので、御興味を持たれた方は御利用ください。


back haus IRIE(バックハウスイリエ)のクリームパン

 阪急三宮駅から阪急電車に乗って、園田駅にやってきました。

 園田駅から北へ向かって徒歩約10分の場所に「back haus IRIE(バックハウスイリエ)」園田本店があります。

(back haus IRIE(バックハウスイリエ)園田本店)
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 カスタードクリームパンで有名な老舗ベーカリーで、現在はフィナンシェなどの洋菓子で有名な「アンリシャルパンティエ」と同じシュゼットグループのお店です。

 クリームパンは、これまで年間100万個を売り上げた記録をお持ちの人気店です。

 お店に入ると、焼きたてのクリームパンが「ばんじゅう(プラスチック製運搬ケース)」に入った状態で販売されていました。

 クリームパンを購入しようとレジで順番を待っていたところ、店内に「園田本店限定商品 絞りたてたっぷりクリームパン」の広告が目に留まりました。

 こちらも気になり、私に順番が回ってきた際、お店の方に「クリームパン」と「絞りたてたっぷりクリームパン」との違いについて伺いました。

 するとお店の方から、
「「クリームパン」はオリジナル商品で、ただいまアツアツの焼きたてを販売しております」
「「絞りたてたっぷりクリームパン」はこのお店でしか売ってない商品で、カスタードクリームが加熱されていない(パンを焼き上げた後にクリームを注入する)ため、冷やした状態で販売しております」
「絞りたてたっぷりクリームパンのカスタードクリームの量はクリームパンの1.5倍です」
と御説明いただきました。

 オリジナルのクリームパンと本店限定のクリームパン、どちらも食べてみたくなり、両方購入しました。

 再び園田駅まで戻り、2種類のパンを確認しました。

(バックハウスイリエのクリームパン(別包装))
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 クリームパンはまだ焼きたてで温かく、逆に絞りたてたっぷりクリームパンは冷たかったので、別々に包装していただいたのですが、こうした対応にお店の方のクリームパンへの愛情が感じられました。

 マチ付きビニール袋の底には、クリームパンの形が崩れないように厚紙まで敷かれていました。

(「クリームパン」と「絞りたてたっぷりクリームパン」)
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 今思えば、焼きたてのクリームパンをすぐに食べてみるべきでした…。

 自宅に帰り、「クリームパン」と「絞りたてたっぷりクリームパン」をいただきました。

 まずはバックハウスイリエの看板商品「クリームパン」から御紹介します。

(バックハウスイリエのクリームパン)
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 艶やかなパンの上に、スライスアーモンドがのせられています。

(バックハウスイリエのクリームパン(中身))
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 中にはカスタードクリームがたっぷりと入っていました。

 あんこの代わりにカスタードクリームが入った薄皮まんじゅうのようです。

 いただいてみると、パンはふんわりとしてとてもやわらかく、甘い香りがしました。

 そしてカスタードクリームの味ですが、この味はズバリ「カスタードプリン」です(笑)

 しっかりと卵の味がするカスタードプリンがパンにたっぷりと詰められているイメージです。

 人気の理由が理解できました。

 続いて「園田本店限定商品 絞りたてたっぷりクリームパン」を御紹介します。

(絞りたてたっぷりクリームパン)
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 オリジナルのクリームパンに比べて、中に詰められているカスタードクリームの量が多い分、パンの山が高くなっています。

 パン自体も、オリジナルのクリームパンと比べて生地がしっかりしている(弾力がある)ものとなっています。

(絞りたてたっぷりクリームパン(中身))
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 別名「飲めるクリームパン」とも呼ばれるだけあって、カスタードクリームの量がすごいことになっていました。

 オリジナルのクリームパンもカスタードクリームたっぷりなのですが、その1.5倍ともなると、ずっしりと重量感があり、厚みも大きく異なります。

 こちらのカスタードクリームも、やはりカスタードプリンの味なのですが(笑)、パンと一緒に加熱されてない分、くちどけがよく、より生のカスタードクリーム感がありました。

 ちなみに、オリジナルの「クリームパン」が260円(税抜)、「絞りたてたっぷりクリームパン」が280円(税抜)でした。(※)
 ※2024年12月時点の価格

 わずか20円程度の差でカスタードクリームの量が1.5倍とはお得感があります。

 絶大な人気を誇る「クリームパン」と園田本店限定の「絞りたてたっぷりクリームパン」、どちらも魅力的なクリームパンです。


<関連サイト>
 「まねき食品」(兵庫県姫路市北条953)
 「侍MANEKI珈琲(インスタグラム)」(兵庫県姫路市南駅前町125 JR姫路駅構内2F)
 「トアルコトラジャ」(キーコーヒー)
 「back haus IRIE(バックハウスイリエ)」(園田本店:兵庫県尼崎市東園田町2-48-2 ほか)
 「back haus IRIE(バックハウスイリエ)(インスタグラム)」(園田本店:兵庫県尼崎市東園田町2-48-2 ほか)

<関連記事>
 「姫路の食文化探訪 -姫路のカフェ・喫茶店でアーモンドトーストを味わう-

2024年12月22日 (日)

あずきの研究19 -「さいちのおはぎ(秋保おはぎ)」の特長と人気の理由を探る-

「さいちのおはぎ(秋保おはぎ)」とは

 宮城県に全国的に有名な「おはぎ」があります。

 仙台市太白区の「秋保(あきう)温泉」にあるスーパーマーケット「主婦の店 さいち」で販売されている「さいちのおはぎ(秋保おはぎ)」です。

 テレビや雑誌で紹介されたことがきっかけで、朝から行列ができるほどの人気商品となりました。

 私は2017年3月に仙台駅を訪問した際、「さいちのおはぎ」の販売コーナーを見かけたことがありますが、人気商品ですでに売り切れており、現物を見る機会はありませんでした。

 宮城県内外のお客さんだけでなく、全国のスーパーマーケット関係者や製あん業者も「主婦の店 さいち」へ視察に来られるほどの人気ぶりです。


「宮城県の物産と観光展」と「さいちのおはぎ(秋保おはぎ)」

 この人気おはぎが、2024年11月から12月にかけての3日間、広島市内のデパートで開催された「宮城県の物産と観光展」で特別販売されました。

 仙台と広島を空路で結ぶIBEX(アイベックス)エアラインズの全面協力で、仙台のお店から広島まで空輸で運ばれてくる「空飛ぶおはぎ」として話題になりました。

 ただ、このおはぎを購入するにはとてもハードルが高く、販売日は2024年11月24日(日)・28日(木)・12月1日(日)の3日間のみ、お一人様1パック限り、朝10時の開店時に購入引換券(有効期限は当日17時まで)が配布され、同日13時から販売開始、「あずき」は各日限定240パック、「ごま」と「きなこ」は各日限定40パックという条件をクリアする必要がありました。

 デパートに1日2回も足を運ぶことは大変なので、私は当初から購入を諦めました。

 そんな中、販売最終日(12月1日)の夕方に奇跡が起きたのです。

 「宮城県の物産と観光展」の会場へ行ってみると、「さいちのおはぎ」が山積みされていて、何と一般客(購入引換券を持ってない客)にも販売されていたのです。

 しかもお店の方から「何パック購入されますか」と聞かれるほどでした。

 こうした現象は、次のいくつかの理由が重なって発生したものと思われます。
 ①購入引換券を交付した枚数以上の「おはぎ」が用意された。
 ②購入までのハードルが高いため、お客さんが購入引換券での購入を敬遠された。
 ③消費期限が当日のため、売り切る必要があった。
 ④広島では「さいちのおはぎ」の知名度が意外と低かった。

 いずれにせよ、私は奇跡的に「さいちのおはぎ(秋保おはぎ)」を1パック購入することができました。


「さいちのおはぎ(秋保おはぎ)」の紹介

 「さいちのおはぎ(秋保おはぎ)」を御紹介します。

(さいちのおはぎ(秋保おはぎ)パック)
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 ボリューム満点のおはぎが2個詰められています。

 原材料はシンプルに「もち米(宮城県産)、うるち米、小豆、砂糖、食塩」のみです。

 おはぎを取り出してみましょう。

(さいちのおはぎ(秋保おはぎ))
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 色濃い粒あんがまとまりきらないほど、たっぷりとまぶされています。

 長さ約9cm、幅約6.5cm、高さ約4cmで、一般的なおはぎと比べて大きく、ずっしりと重量感もあります。

(さいちのおはぎ(秋保おはぎ))
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 このフォルム(形状)とボリューム感、あんこ好きにはたまりません。

(さいちのおはぎ(秋保おはぎ)とその中身)
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 おはぎを半分に切った様子です。

 包丁で半分に切るのが難しいほど、ねばりのあるもち米が使われています。

(さいちのおはぎ(秋保おはぎ)中身)
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 あんこだけでなく、中の餅(ごはん)もたっぷり詰められていることがわかります。


「さいちのおはぎ(秋保おはぎ)」が人気の理由

 「さいちのおはぎ」をいただきました。

 人気の理由は、食べたら一発でわかりました。

 いただいた感想も含めて、人気の理由をまとめてみます。

【「さいちのおはぎ」が人気の理由】
 ①小豆を炊いて作った手作りのあんこだけが持つ、小豆本来の味・風味が感じられる。
 ②あんこの甘さが控えめで、その分、小豆の風味が生かされている。
 ③餅(ごはん)に、ほどよい甘みと強いねばりがある。
 ④あんこも餅(ごはん)も値段(2個351円(※))の割にボリュームがある。
  ※2024年12月現在の物産展での販売価格(税込)

 自分で小豆を炊いて「あんこ」を作った経験のある方ならよく御理解いただけると思いますが、手作り・作りたてのあんこが持つ小豆の風味やそれを食べた時の感動は、市販のあんこではなかなか味わえません。

 その風味や感動が「さいちのおはぎ」なら味わえる、それが人気の最大の理由です。

 つまり、何か企業秘密があるわけでなく、「さいち(佐市)」では「おはぎを小豆ともち米から手作りする」・「作りたてを提供する」という当たり前のことがなされているだけのことなのです。

 なので、おはぎを自分ですべて手作りすれば「さいちのおはぎ」に近い味は出せるでしょう。

 「さいちのおはぎ」の人気は、「おはぎを一から作る余裕がない、だけど手作りの感動を味わいたい」と思う人がいかに多いかを物語っているとも言えます。

 あと、ボリューム満点で、出し惜しみされてないことも人気の理由の1つでしょう。

 「お客さんに対してケチったら、その分だけお客さんからもケチられる」ものだからです。

 「美味しいおはぎを、腹いっぱい食べていただきたい」その純粋で素直な気持ちが消費者にも伝わり、感動を呼ぶからこそ、「さいちのおはぎ」は人気なのです。


<関連サイト>
 「主婦の店 さいち」(仙台市太白区秋保町湯元字薬師27)

<関連記事>
 「食文化関連記事一覧表・索引」の「食文化事例研究」にある「あずきの研究」を御参照ください。
 「宮城県仙台市 「賣茶翁」のみちのくせんべいと「立ちそば処 杜」の鶏から揚げそば

<参考文献>
 芝崎本実「あんこのことがすべてわかる本」誠文堂新光社

2024年12月15日 (日)

広島市植物公園・人の暮らしを支える「植物と油」展-「植物油の栄養と機能」講演会-

広島市植物公園・人の暮らしを支える「植物と油」展

 広島市植物公園の特別企画展として「人の暮らしを支える「植物と油」展」が開催されています。
(2024年9月14日~12月22日)

(「人の暮らしを支える「植物と油」展」チラシ)
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 この特別企画展で2つの講演会が開催されました。

 1つは、当ブログでも御紹介した、チョコレートの専門家・佐藤清隆先生(広島大学名誉教授)による「植物からとれる油で作るお菓子の王様 チョコレートの魅力」という講演会です。

 そしてもう1つが、今回御紹介する、元・日清オイリオグループ株式会社研究所長の青山敏明先生による「植物油の栄養と機能 体に良い油を見分けるには?」という講演会です。

 料理やお菓子に欠かせない油についての理解を深めるため、2024年11月17日に広島市植物公園を訪問しました。


広島市植物公園と植物(オリーブ・ホルトノキ)

 広島市植物公園に到着しました。

(広島市植物公園)
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 葉が赤や黄色に染まり、クリスマスツリーや電飾も飾られていました。

 今回は油について学ぶことをテーマにしているため、油を作る代表的な植物の1つ「オリーブ」の木を観察しておこうと思いました。

 そこで近くにおられたガイドボランティアさんにオリーブの木がある場所を尋ねました。

 しばらくして、オリーブの木が原爆ドーム模型の近くに植えられていることがわかり、その場所をガイドボランティアさんに御案内いただきました。

(「HIROSHIMA」と原爆ドーム模型)
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 ここは「チョコレートの魅力」講演会開催日にも訪れたことがある場所です。

(オリーブの木)
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 確かにオリーブの木がありました。

 オリーブの表面の葉は細長くてはっきりとした緑色で、裏面の葉は白っぽい(銀白色)となっています。

 よく観察すると、黒いオリーブの実もなっていました。

(オリーブの実)
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 この果実からオリーブオイルが作られます。

(オリーブの木(シプレッシーノ))
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 こちらは「シプレッシーノ」と呼ばれる品種のオリーブです。

 オリーブをじっくりと観察した後、同行いただいたガイドボランティアの方から、「日本でオリーブと間違えられた木も御案内しましょう」と、植物公園中心部・ベゴニア温室近くの広場へ連れていっていただきました。

 「これです」と指差された先に、オリーブによく似た植物がありました。

(ホルトノキ(ネームプレート))
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 「ホルトノキ」と呼ばれる植物です。

 「ホルトノキ」という名称は、江戸時代、平賀源内がこの木を見つけた際、「この木はポルトガル(ホルト)から伝わった、オリーブオイルが採れる「ホルトノキ」だ」と間違って命名したことに由来します。

 実際には、この木から「ホルト油(オリーブオイル)」は採れないのですが…。

(ホルトノキ)
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 葉の形や葉の色(表面が緑色・裏面が銀白色)はオリーブとよく似ているのですが、一部の葉が紅葉しているところがオリーブと異なっています。

 さらに近づいてみると…

(ホルトノキの実)
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 なるほど。葉だけでなく、実も緑色のオリーブの実そっくりです。

 私もホントノキのような気がしてきました。

 オリーブ1つとっても、いろんな物語があるものですね。


「森のカフェ」でランチ

 お昼時になったので、公園内のレストラン・カフェ「森のカフェ」で昼食をいただきました。

(広島市植物公園「森のカフェ」)
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 ログハウスのお店です。

 入口の券売機で、前回と同様にカツカレーを選び、厨房で注文しました。

(「森のカフェ」のカツカレー)
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 カレーライスに、揚げ立てのトンカツをのせてくれるカツカレーがおすすめです。

 「カレーライスに揚げ物だと相当な脂質と炭水化物になるのでは…」

 はい、わかってます。今回は特に「油」がテーマですから、しっかり油の恩恵に授かりたいという思いも込めて注文しました。

 香味野菜がたっぷり使われ、野菜の旨みとコクが引き出されたカレーと、肉厚でジューシーなトンカツを組み合わせたカツカレー。

 「アブラカタブラ 油過多ブラ…」

 「やっぱり油はうまい!」という境地に達しました。


薔薇饅頭(ばらまんじゅう)と薔薇羊羹(ばらようかん)

 園内で、薔薇饅頭(ばらまんじゅう)と薔薇羊羹(ばらようかん)の広告が目に留まりました。

(薔薇饅頭・薔薇羊羹広告)
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 バラの花をイメージした皮に、バラのエキスが入ったあんこが詰められた饅頭のようです。

(薔薇饅頭販売の様子)
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 売店に入ると、薔薇饅頭と薔薇羊羹が販売されていました。

 興味を持ち、薔薇饅頭を1箱購入しました。

(薔薇饅頭)
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 いただいてみると、確かにバラの良い香りがする饅頭でした。


展示資料館・人の暮らしを支える「植物と油」展

 「植物と油」展の展示会場・講演会場である展示資料館へ行きました。

(展示資料館と催物案内看板「人の暮らしを支える「植物と油」展」)
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 展示資料館1階は、人の暮らしを支える「植物と油」展の展示会場となっています。

(人の暮らしを支える「植物と油」展・展示会場入口)
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 植物と油の関係について、クイズも交えながら楽しく学ぶことが出来ました。

(植物があぶらをつくる理由)
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 (「植物と油」展 展示資料)

 「植物があぶらをつくるのは、いきのこるためなんだよ~」

 確かに、人間が体内に脂肪をため込むのと同じ理屈です。

 油(脂)を美味しいと感じるのも、他の栄養素に比べてカロリーが高く、生き残るために優位な食べ物だからです。

(植物と油)
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 (「植物と油」展 展示資料)

 植物は油を作り出すことで、発芽のエネルギー源とし、油を好む動物に種子を運んでもらい、香気成分を発して動物を忌避・誘引しています。

 無機物(水・二酸化炭素など)から光合成を経て有機物(炭水化物・脂質など)を作り出す植物は、まさに奇跡のような存在です。

(食用油脂について(脂と油))
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 (「植物と油」展 展示資料)

 食用油脂は「動物性油脂」と「植物性油脂」に分かれ、「植物性油脂」はさらに空気に触れて固まりやすいものを「乾性油」、固まりにくいものを「不乾性油」、その中間を「半乾性油」と呼ばれています。
(カカオバターのような常温で固体のものは「植物脂」に分類)

(植物油の原料)
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 (「植物と油」展 展示資料)

 植物油の原料として、アブラナ(菜の花)、ダイズ、ゴマ、ベニバナ、ヒマワリ、オリーブあたりはイメージできますが、イネ(コメ)やトウモロコシとなると、どこにそんな油があるのか、すぐにはイメージできません。

(アマ・アマニ油)
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 (「植物と油」展 展示資料)

 また、アマニ油(亜麻仁油)が「アマ」という植物の種子から採った油だというのも初めて知りました。

(オリーブとオリーブオイル)
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 (「植物と油」展 展示資料)

 こちらは馴染み深いオリーブとオリーブオイルです。

(醤油は油?)
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 (「植物と油」展 展示資料)

 醤油の「油」は、醤(ひしお)からとれた「油のような液体」という意味なのだそうです。

 また醤油のエピソードとして、オランダの宣教師が日本から大量の大豆を自国に持ち帰った際、大豆のことを間違えて「shoyu(醤油)」、「soya」と記載したため、のちにヨーロッパで大豆のことを「Soybeans」と呼ばれるようになったという説もあるようです。

(キャノーラ油の由来)
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 (「植物と油」展 展示資料)

 キャノーラ油はアブラナ(ナタネ)を原料とする油で、「キャノーラ」という名称は「Canadian Oil Low Acid(酸の少ないカナダの油)」に由来します。

 ここでいう「酸が少ない」は心疾患などを引き起こす要因とされた「エルカ酸」が少ないという意味で使われています。


講演会「植物油の栄養と機能 体に良い油を見分けるには?」

 この展示資料館の2階講堂で、青山敏明先生による講演会「植物油の栄養と機能 体に良い油を見分けるには?」が開催されました。

(講演会の様子(スクリーン))
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 青山先生は、日清オイリオ「日清MCTリセッタ」の開発者でもあります。

 冒頭、青山先生から受講者へ「油を使った料理・お菓子は美味しいですよね。その油ってどんな味がするでしょうか」という問いかけがありました。

 言われてみれば、油がどんな味かを表現することはとても難しく、私も即答できませんでした。

 ティッシュペーパーに衣を付けて油で揚げただけでも美味しいと感じる方が多いくらいなので、やはり油には不思議なパワーが秘められているようです。

 「油の味の直接表現はない(油味という表現はない)」というのが油の1つの特徴です。

 また「油は水より軽い」、「油は熱しやすく冷めやすい」、「油は膨らむ」という性質もあります。

 「油は水より軽い」・「油は膨らむ」ので、油は液体にもかかわらず重さ「g・kg(グラム・キログラム)」で販売されており、ペットボトルに詰められた油は上部に空間が設けられています。

 なお、輸入品のオリーブオイルだけは「ml・l(ミリリットル・リットル)」で販売されています。
(この話を知っている人はほとんどいないとのお話でした。)

 そして、「油」と「脂」の違いについても教えていただきました。

 「油」は常温で液体のあぶらで、一般的に植物由来のものが多く、「脂」は常温で固体のあぶらで、一般的に動物由来のものが多いとのことでした。

 魚の場合は常温で液体なので「魚油」という表現が使われます。

 そのため「脂がのったサンマ」という表現は適切ではないことになります。

 また、カカオの場合は、世界中どこでも固体であることが求められるため「カカオ脂」と表現する方が適切とのことでした。


今回の講演会で新たに学んだこと

 今回の講演会で私が新たに学んだことをまとめます。

・三大栄養素は「炭水化物、たんぱく質、脂質(脂肪ではない)」

・脂質=脂肪ではなく、脂質には脂肪のほかコレステロールやリン脂質なども含まれる。

・脂肪酸は、二重結合を持たない「飽和脂肪酸」と二重結合を持つ「不飽和脂肪酸」に分けられる。

(飽和/不飽和による分類)
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(「植物と油」展 講演会「植物油の栄養と機能 ”体に良い油”を見分けるには?」資料を一部加工して引用)

・二重結合を持つ=脂肪酸が曲がって不揃いになる=結晶になりにくい=常温で液体。

・脂肪酸の末端から数えて何番目に二重結合があるのかを示したのがω(オメガ)表示。
(末端から9番目の場合はω-9(オメガ9)、3番目の場合はω-3(オメガ3)となる)
 ※「ω(オメガ)はギリシャ文字の最後の文字」

(脂肪酸の種類と表記)
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 (「植物と油」展 講演会「植物油の栄養と機能 ”体に良い油”を見分けるには?」資料を一部加工して引用)

・魚に多く含まれるEPAやDHAは二重結合がたくさんあるため、油がサラサラ。これは冷たい水の中でも魚が身動きできるようにするため。

・二重結合を持っていると、酸化(=劣化)しやすく安定性が低い。

 ・二重結合があるのに曲がってない(二重結合を境目にして水素原子が反対側にある)ものをトランス型(トランス脂肪酸)という。

(脂肪酸(シス型とトランス型))
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 (農林水産省ウェブサイト「油脂やトランス脂肪酸の基本的な情報」を一部加工して引用)

・トランス脂肪酸の生成には、①反すう動物の体内でバクテリアにより生成、②食用油を加工する際の水素添加の過程で生成、③食用油の精製過程の1つ「脱臭」の過程で生成、④油を高温で加熱する調理過程で生成、が挙げられる。

・大豆油は大量に採れるのに、一般消費者向けにはほとんど販売されず、主に業務用(外食用・給食用等)として使われている。その理由は、大豆油が光に弱く(ビンやペットボトルでは保存できず)、主に一斗缶で流通・販売されているため。

(日清スーパー長持ち油(大豆))
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 (日清オイリオ ウェブサイトから一部引用)

・ナタネ油はオレイン酸が多く、軽くて淡白な味わい。大豆油と同様、単独ではあまり売られていない。

・オリーブ油は、ヨーロッパで唯一採れる油。そのためEU(欧州連合)が積極的に売り出しており、ほとんどの健康効果があるように紹介されている。

・オリーブ油の「BOSCO(ボスコ)」は、日清グループが立ちあげたメーカー。

・ゴマ油は、香油からクッキングオイルとして利用されるようになった。高級天ぷら店などで使われる。

・アマニ油は、健康に良いと評判になっている油。酸化が早く、冷蔵庫に入れてもすぐ酸化する。

・綿実油は、かつて(太白ゴマ油の前)は「油の王様」と呼ばれ、天ぷら店でもよく使われた。

・ベニバナ(サフラワー)油に使われるベニバナ(サフラワー)は、品種改良しやすいのが特徴。

・今の日本製のマーガリンやショートニングは、パーム油に大豆油を加えて作られているので、トランス脂肪酸はほとんど含有していない。

・油の劣化は、①水と熱(加水分解)、②酸素(酸化分解)によって起こる。

・市販の油は酸化を防ぐため、空気の部分に窒素を充填している。

・脂肪酸は、その長さにより「短鎖脂肪酸」、「中鎖脂肪酸」、「長鎖脂肪酸」に分類できる。

・中鎖脂肪酸(MCT:Medium Chain Triglyceride)は、従来の長鎖脂肪酸の油に比べて(脂肪酸の長さ(チェーン)が短いため)、消化吸収が早く、すぐにエネルギーになりやすい。

(中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸)
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 (日清オイリオ ウェブサイト「What is MCT」から一部引用)

・中鎖脂肪酸は、ココナッツオイル(ヤシ油)やパームフルーツ、母乳などに含まれている。

(純正ごま油・BOSCOエキストラバージンオリーブオイル・MCTリセッタ)
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・コレステロールを下げる効果がある油には、「植物ステロール」が含まれている。

・コレステロールも植物ステロールも腸管で「胆汁酸ミセル」に溶けて体内へ吸収されるが、植物ステロールがあると、その分、胆汁酸ミセルに溶けるコレステロールが減り、残ったコレステロールが腸管から対外へ排出される(コレステロールが体内に吸収されない)効果がある。

(植物ステロールの役割)
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 (「植物と油」展 展示資料)

・油脂の美味しさは「においセンサー」や「食感センサー」で解析することはできても、「味センサー」での解析は難しい(現段階では数値化は不可)。


まとめ

 講演会終了後、質問コーナーが設けられたので、私から青山先生に1つ質問させていただきました。

私:「私たちの生活に一番身近なサラダ油はどんな油なのでしょうか。またなぜ「サラダ」という名称なのでしょうか」

青山先生:「サラダ油は、主に大豆油とナタネ油の混合油です。安価に提供できるよう、その時々で大豆油とナタネ油の割合を変えています。冷たいサラダにかけても固まらない油という意味でサラダ油と呼ばれています」

 なるほど、ここでやっと消費者向けの大豆油が登場するわけですね。

 油脂は美味しいですが、それ単独では無味で科学的分析にも限界があるようです。

 私は人間が油脂を美味しいと思う理由は、油脂を摂ると「本能が喜ぶ」からだと思います。

 これは、三大栄養素の1グラムあたりのエネルギー量が、炭水化物とたんぱく質がそれぞれ4キロカロリーなのに対して、脂質はその倍以上の9キロカロリーもあることからも説明できます。

 また脂質が食物の栄養(脂溶性ビタミン(A、D、E、K)など)の吸収を促進させることからも説明できます。
(これがサラダに油を用いる理由にもつながっています。)


 油脂は他の食材と一緒に食べることで美味しいと感じ、使えば使うほど美味しさが増す不思議な食材です。

 油脂の使い過ぎには注意を払う必要がありますが、様々な油脂をバランスよく、適度な量で摂取することが、油脂との理想的な付き合い方だと言えるでしょう。

 講演会終了後,青山先生に御挨拶したのですが、その際に「油脂の世界は化学の知識が求められ、難しいですね…」と率直な感想をお伝えしたところ、微笑みながら「そうですね」とおっしゃっていただけました。

 青山先生はお忙しいそうだったので、お礼申し上げ、その後は油を売らずに会場を後にしました。

 そうそう、青山先生のお好きな油と私の好きな油が一緒だったので、その油を御紹介します。

 それは「太白ごま油」です。

 このゴマ油は、ゴマを煎らずに生のまま絞っているので、無色透明でゴマの香りもありません。

 「そんなのゴマ油か!」と言われそうですが、私は小豆島の旅館の朝食で、この「太白ごま油」を生姜入りのごはんにかけた「ごま油ごはん」をいただいた時、その美味しさに感動しました。

 御興味を持たれた方は、一度お試しください。


<関連サイト>
 「広島市植物公園」(広島市佐伯区倉重三丁目495番地)
 「日清オイリオ」(東京都中央区新川一丁目23-1)
 「What is MCT」(日清オイリオ)

<関連記事>
 「チョコレートの新しい潮流5 -広島市植物公園・人の暮らしを支える「植物と油」展と「チョコレートの魅力」講演会-

2024年12月 8日 (日)

中央アジア・コーカサス諸国の料理(ラグマン・カザフシャルガム・オジャクリ・カラムリピログ)と協力隊珈琲

JICA関西

 日本の政府開発援助(ODA)を通じて開発途上国への国際協力を行っている国際協力機構(JICA・ジャイカ)。

 そのJICAの関西の拠点が「JICA関西」で、神戸市中央区にあります。

 このJICA関西の食堂で「中央アジア・コーカサス諸国料理」が提供されていることを知り、興味を持って訪問しました。

 今回は、少し距離がありましたが、神戸の中心街・三宮から歩いてJICA関西を訪問しました。

(JICA関西・夜景)
Photo_20241208141301

 今までランチタイムに何度か訪問しましたが、ディナータイムの訪問は初めてです。

 JICA関西食堂は昼だけでなく夜も営業されていますが、これは宿泊している研修員の食事を提供する役割もあるためです。

(JICA関西玄関)
Photo_20241208141501

 JICA関西の玄関では「JICA」の文字がライトアップされていました。

(JICA関西食堂案内板)
Photo_20241208141601

 ディナータイムはどんな雰囲気なのか、ワクワクしながら施設に入りました。


JICA関西食堂の中央アジア・コーカサス諸国料理

 JICA関西食堂は、施設の1階にあり、誰でも利用することが出来ます。

(JICA関西食堂・玄関)
Photo_20241208141801

 入口で「月替わりエスニック料理」の食券を購入し、厨房へ持っていくと、「少しお時間をください」と、呼び出しベルが手渡されました。

 ひとまずテーブル席へ向かうと、大きなモニター画面に月替わりエスニック料理の案内がありました。

 2024年12月の月替わりエスニック料理は中央アジア・コーカサス諸国料理です。

(月替わりエスニック料理案内(中央アジア・コーカサス諸国料理))
Photo_20241208142001

 このモニターの目の前の席に座り、それぞれの料理を確かめながら食事することにしました。

 中央アジア・コーカサス諸国は、中央アジア(カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、タジキスタン、トルクメニスタン)と、コーカサス(アルメニア、ジョージア、アゼルバイジャン)で構成される地域の総称です。

(中央アジア・コーカサス諸国)
Photo_20241208142201
 JICAウェブサイト・広報誌「mundi(2017年4月号)」から一部加工・引用

 今回は中央アジア、ジョージア、カザフスタン、ウズベキスタンの料理をいただきます。

 しばらく待っているとブザーが鳴ったので、再び厨房へ行くと、料理が提供されました。

(JICA関西食堂・中央アジア・コーカサス諸国料理)
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 こちらが中央アジア・コーカサス諸国料理のセットです。

 写真左側手前のメインプレートがラグマンです。

 写真右上の四角いプレートには、3種の料理(カザフシャルガム・オジャクリ・カラムリピログ)が盛り付けられています。

 それぞれの料理を簡単に御紹介します。


【ラグマン(麺料理 / Noodle dishes)】

 「ラグマン」は、ウズベキスタンやキルギスなど中央アジアで広く食べられている料理です。

(ラグマン)
Photo_20241208142901

 日本の「うどん」に具だくさんのトマトシチューをかけたような料理です。

 トマトシチューは、玉ねぎ・ナス・牛肉・サヤインゲン・パプリカ(ピーマン)・セロリ・ネギなどの具をトマトでじっくり煮込んだものです。

 美味しいのですが、麺が太くて食べるのが大変でした。

 麺をプラスチックの箸で食べようとするとツルツル滑り、フォークで食べようとすると太すぎてクルクル巻けないのです。

 私の場合は、最終的に麺は箸、スープはスプーンでいただくことで落ち着きました。


【カザフ・シャルガム(大根サラダ / Radish salad)】

 「カザフ・シャルガム」はカザフスタンの料理で、大根サラダです。

(カザフ・シャルガム)
Photo_20241208143101

 大根、人参、パプリカのサラダで、粉唐辛子をまぶしてピリ辛に仕上げられています。

 酢の酸味はあまり感じなかったものの、日本の「紅白なます」によく似ていると思いました。


【オジャクリ(ジャガイモ料理 / Potato dishes)】

 「オジャクリ」はジョージアの料理で、ジャガイモの煮込み料理です。

(オジャクリ)
Photo_20241208143201

 ジャガイモを玉ねぎ、豚肉、パプリカ(黄色)と一緒に煮込んだもので、仕上げにコリアンダー(パクチー・香菜)がのせられています。

 見た目もそうですが、「肉じゃが」そっくりの味でした。

 ワインビネガーが使われているからか、わずかな酸味も感じました。

 フランス・アルザス地方の郷土料理「ベッコフ」もそうですが、改めて、ジャガイモを玉ねぎや肉と一緒に煮込むと「肉じゃが」の味に近づくのだなと思いました。


【カラムリ・ピログ(キャベツパイ / Cabbage pie)】

 「カラムリ・ピログ」はウズベキスタンの料理で、キャベツパイです。

(カラムリ・ピログ)
Photo_20241208143601

 主な具はキャベツと玉ねぎです。

 いただいてみると、コショウやクミンの香りを感じました。

 そして、甘いキャベツに粒コショウがピリッと辛いアクセントとなっていました。

(カラムリ・ピログ(中身))
Photo_20241208143701

 中身を観察すると、キャベツや玉ねぎのほか、クミンシード(クミンの種子)も入っていました。

 表面はサクサク、中身はしっとりとしたパイでした。


 中央アジア・コーカサス諸国に思いを馳せながら、美味しくいただきました。


付記

 青年海外協力隊でペルーに行かれる方から、あいさつの品としてコーヒーをいただきました。

(協力隊珈琲(ペルー))
Photo_20241208144801

 「協力隊珈琲 ペルーに行ってきます」と記載されています。

 協力隊珈琲(JOCABUCKS COFFEE)には、「煌(きらめき)」、「爽(さわやか)」、「深(ふかみ)」の3種類があります。

 いただいたコーヒーは「煌(きらめき)」でした。

(煌(きらめき)・食品表示)
Photo_20241208151001
 
 裏をめくってみると、コーヒーの原産国はペルー…ではなく、ブラジル、コロンビア、グアテマラとなっていました。

 こうしたちょっとした贈り物があると便利ですね。

 ペルーでの御活躍をお祈り申し上げます。


<関連サイト>
 国際協力機構「JICA関西」(神戸市中央区脇浜海岸通1-5-2)
 「青年海外協力協会(JOCA)」(長野県駒ヶ根市中央16-7)

<関連記事>
 「ウズベキスタン・キルギス料理の特徴と主な料理 -ノン・ラグマン-
 「ジョージア(グルジア)料理の特徴と主な料理 -クヴェヴリワイン・ハルチョー・サラダ・チュルチヘラ・アジカ・ハチャプリ-
 「フランス料理の特徴と主な料理11 -フォアグラクッキー・アナグマのリエット・生牡蠣とウニ・和牛のロティ・アナグマの煮込み・ベッコフ-

2024年12月 1日 (日)

ドライブインの魅力3 -山口県岩国市「ドライブインあけみ」のマヨカツ丼と貝汁-

 大阪市北区から北九州市門司区に至る国道2号は、西日本の交通の大動脈で、ドライブインも多く存在します。

 今回は、そんなドライブインの1つ、山口県岩国市周東町(しゅうとうちょう)の「ドライブインあけみ」を御紹介します。


欽明館自動販売機コーナー

 広島市から自動車でお店を目指しました。

 広島県側から岩国市玖珂町へ向かう際にショートカットのルートとなる山口県道15号(欽明路道路・きんめいじどうろ)を走っていると、欽明路のドライブイン「欽明館自動販売機コーナー」がありました。

(欽明館自動販売機コーナー)
Photo_20241201132501

 自動販売機がずらりと並び、昔からドライバーやライダーの憩いの場となっています。

 ここは、レトロ自動販売機があることでも有名なスポットです。

(チューインガム・キャンディ自動販売機)
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 すでに販売を終了したガムもありますが、この自動販売機は展示品で、そもそも稼働してないようです。

(うどん・そば・ラーメン自動販売機)
Photo_20241201132801

 そしてこちらは、うどん・そば・ラーメンの自動販売機です。

 うどん・そばだけでなく、ラーメンまで用意されている自動販売機は珍しいです。

 この自動販売機は現役で、このうどん・そば・ラーメンを目当てに欽明館を訪問される方も多くいらっしゃいます。

 私もこのお店のそばやラーメンを味わったことがあるのですが、今回は間近に迫ったドライブインでの食事があるため、やむなく、またの機会にいただくこととしました。


周防大島と宮本常一記念館

 岩国市玖珂町を過ぎ、同市周東町に入った国道2号沿いに「ドライブインあけみ」があります。

(ドライブインあけみ・開店前)
Photo_20241201134001

 朝8時半ごろ訪問したところ、まだ営業されていませんでした。

 グルメサイトの情報が最新の状況に追い付いてないことはよくあることです。

 気持ちを切り替え、昼前の開店まで近隣をドライブすることにしました。

 向かったのは瀬戸内海の周防大島です。

(大島大橋)
Photo_20241201134101

 周防大島から眺めた大島大橋です。

 山口県の県道のガードレールはオレンジ色(夏みかん色)で、瀬戸内海の風景にうまく溶け込んでいます。

 島内を快適にドライブし、宮本常一記念館に到着しました。

(宮本常一記念館(全景))
Photo_20241201134301

 宮本常一さん(1907年~1981年)は、カメラ片手に全国を「歩く・見る・聞く」民俗学を実践された民俗学者です。

 カメラ片手に全国を旅し、現地の生活や文化を研究されたことに私も共感するところがあり、「塩の道」や「忘れられた日本人」などの本も読みました。

(宮本常一記念館(エントランス))
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 館内には、その地に住む人々の生活や文化がわかる写真、民具、図書、関係資料などが展示されており、宮本常一さんへの理解を深めることができました。


「ドライブインあけみ」のマヨカツ丼と貝汁

 周防大島町のドライブを楽しんだ後、再び岩国市周東町の「ドライブインあけみ」を訪問しました。

(ドライブインあけみ・営業中)
Photo_20241201135001

 到着がお昼の12時近くとなり、駐車場も賑やかになっていました。

(ドライブインあけみ・店舗)
Photo_20241201135201

 広々とした建物や駐車場は、ドライブインならではの光景です。

 日本酒「獺祭(だっさい)」の旗も掲げられていますが、旭酒造の「獺祭」は、ここ岩国市周東町で製造されています。

 お店に入ると、大勢のお客さんがおられました。

 食券を購入する前金制かなと思いましたが、席で注文する方式でした。

 メニュー表を見て、何を注文するか吟味しました。

(ドライブインあけみ・メニュー表)
Photo_20241201135401

 料理のジャンル別に色分けされており、ピンク色が鉄板系(肉)、黄色が魚系、赤色が丼系、オレンジ色が揚げ物系、緑色が炒め物系となっています。

 ごはんは、追加料金で大盛や特盛にしてもらうことが可能です。

 また、定食や丼物についているみそ汁は、プラス220円で貝汁かブタ汁(豚汁)に変更することが可能です。

(定食・料理のイラスト)
Photo_20241201135801

 また、それぞれの定食・料理には手書きのイラストもあり、初めての人でもイメージしやすい工夫がなされています。

(ドライブインあけみ・お礼メッセージ)
Photo_20241201135901

 お店からのお礼メッセージも手作り感満載です。

 昭和37年創業の長年愛されているドライブインです。

 私はお店の人気メニューの1つ「マヨカツ丼」を注文しました。

 そして、マヨカツ丼に付くみそ汁を「貝汁(かいじる)」に変更していただくようお願いしました。

 その際、お店の方から「揚げ物なので少しお時間をいただきます」とお話があったのですが、むしろきちんと揚げ立てを提供していただける証拠だと好感を持ちました。

 このお店はごはんの盛りが半端ないことでも有名なので、料理を待つ間、周囲のお客さんが召し上がっているごはんの量を観察しました。

 その際、「てんこ盛りまではいかないけど、意外と普通盛りだな」と思ったのですが、お客さんの注文内容と実際の盛りを確認するうちに、私が普通盛りだと思っていた量が、実はごはん「小」であることがわかりました。

 普通に(何も言わずに)注文したら大盛のごはんが提供されるので、常連のお客さん達はそれを知っていて、ほとんどの人が「ごはん少なめで」と注文されているのです。

 このお店は、一般的な普通盛りが「小」、大盛が「普通」という設定で、それ以上の「大盛」や「特盛」レベルになると、かなりの量になるので、メニュー表にもあるように「自信のある方限定」となります。

 このことを知らずに注文すると、大変なことになります。

 私が注文したマヨカツ丼も大盛にするかどうか迷いましたが、(あまりたくさん食べられない私は)大盛にしなくてよかったと安堵しました。

 しばらくして、マヨカツ丼と貝汁が提供されました。

(マヨカツ丼と貝汁)
Photo_20241201141201

 「来た来た、やったー!」

 マヨカツ丼も貝汁も丼サイズで、予想どおりボリューム満点です。

 これでも普通盛りなのですが、こうした盛りのよさはドライブインならではのお楽しみです。

 それではマヨカツ丼をじっくり観察してみましょう。

(マヨカツ丼)
Photo_20241201141301

 大盛ごはんの上に、大きくて厚みがあるロースカツがどっかーんと盛られ、そのロースカツにはとんかつソースがたっぷりとかけられ、さらに目玉焼きまでのせられています。

 目玉焼きをずらして、ロースカツを確認しました。

(マヨカツ丼(ロースカツ))
Photo_20241201141501

 ロースカツだけでもお腹いっぱいになりそうなビッグサイズです。

(マヨカツ丼(千切りキャベツと辛子マヨソース))
Photo_20241201141502

 次にロースカツをずらすと、千切りキャベツと辛子マヨネーズソースの層がありました。

 この下には、掘っても掘っても食べ切れないほどのごはんが盛られています。

 甘めのとんかつソースと辛子マヨネーズソースがロースカツとよく合い、ごはんが進みました。

 途中で休憩するほどの量がありましたが(笑)、美味しく完食しました。

 そして「貝汁」もいただきました。

 「貝汁」とは「あさりのみそ汁」のことですが、山口県内のドライブインにはこの「貝汁」が提供されているお店が多く、人気メニューの1つとなっています。

(貝汁)
Photo_20241201142001

 貝汁も大きな丼で提供されました。

 汁の中には、あさりがたっぷりと入っていました。

 貝汁が人気なのは、あさりがメインではないかと思えるほどあさりをたくさん食べられるからです。

 今回もあさりの殻入れを入れるための小皿が用意されていました。

 あさりの滋味深いエキスが溶け込んだ、美味しいみそ汁でした。


まとめ

 飲食店で大事なことは、料理もサービスもケチらないことで、ケチれば結局お客さんからもケチられることになります。

 これは値段にかかわらず、大衆店から高級店まで共通して言えることだと思います。

 「ドライブインあけみ」は、安くて美味しくてボリューム満点の食事を提供されており、なおかつサービスも行き届いているお店なので、こうしたお店の姿勢が、長年、地元の人々やドライバー・ライダーに愛されている理由なのだろうなと思いました。

 単品でカレーライスやカツカレーを注文されるお客さんも多く見かけましたが、これまたとても大きな皿にカレーとライスが山盛りで、カツも大きくてとても魅力的でした。

 また訪問する機会があれば、今度はカツカレーに挑戦したいと思います。


<関連サイト>
 「ドライブインあけみ」(山口県岩国市周東町下久原大柿1653)
 「旭酒造(獺祭)」(山口県岩国市周東町獺越2167-4)

<関連記事>
 「食文化関連記事一覧表・索引」の「食文化事例研究」にある「ドライブインの魅力」を御参照ください。
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