2024年12月 8日 (日)

中央アジア・コーカサス諸国の料理(ラグマン・カザフシャルガム・オジャクリ・カラムリピログ)と協力隊珈琲

JICA関西

 日本の政府開発援助(ODA)を通じて開発途上国への国際協力を行っている国際協力機構(JICA・ジャイカ)。

 そのJICAの関西の拠点が「JICA関西」で、神戸市中央区にあります。

 このJICA関西の食堂で「中央アジア・コーカサス諸国料理」が提供されていることを知り、興味を持って訪問しました。

 今回は、少し距離がありましたが、神戸の中心街・三宮から歩いてJICA関西を訪問しました。

(JICA関西・夜景)
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 今までランチタイムに何度か訪問しましたが、ディナータイムの訪問は初めてです。

 JICA関西食堂は昼だけでなく夜も営業されていますが、これは宿泊している研修員の食事を提供する役割もあるためです。

(JICA関西玄関)
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 JICA関西の玄関では「JICA」の文字がライトアップされていました。

(JICA関西食堂案内板)
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 ディナータイムはどんな雰囲気なのか、ワクワクしながら施設に入りました。


JICA関西食堂の中央アジア・コーカサス諸国料理

 JICA関西食堂は、施設の1階にあり、誰でも利用することが出来ます。

(JICA関西食堂・玄関)
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 入口で「月替わりエスニック料理」の食券を購入し、厨房へ持っていくと、「少しお時間をください」と、呼び出しベルが手渡されました。

 ひとまずテーブル席へ向かうと、大きなモニター画面に月替わりエスニック料理の案内がありました。

 2024年12月の月替わりエスニック料理は中央アジア・コーカサス諸国料理です。

(月替わりエスニック料理案内(中央アジア・コーカサス諸国料理))
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 このモニターの目の前の席に座り、それぞれの料理を確かめながら食事することにしました。

 中央アジア・コーカサス諸国は、中央アジア(カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、タジキスタン、トルクメニスタン)と、コーカサス(アルメニア、ジョージア、アゼルバイジャン)で構成される地域の総称です。

(中央アジア・コーカサス諸国)
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 JICAウェブサイト・広報誌「mundi(2017年4月号)」から一部加工・引用

 今回は中央アジア、ジョージア、カザフスタン、ウズベキスタンの料理をいただきます。

 しばらく待っているとブザーが鳴ったので、再び厨房へ行くと、料理が提供されました。

(JICA関西食堂・中央アジア・コーカサス諸国料理)
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 こちらが中央アジア・コーカサス諸国料理のセットです。

 写真左側手前のメインプレートがラグマンです。

 写真右上の四角いプレートには、3種の料理(カザフシャルガム・オジャクリ・カラムリピログ)が盛り付けられています。

 それぞれの料理を簡単に御紹介します。


【ラグマン(麺料理 / Noodle dishes)】

 「ラグマン」は、ウズベキスタンやキルギスなど中央アジアで広く食べられている料理です。

(ラグマン)
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 日本の「うどん」に具だくさんのトマトシチューをかけたような料理です。

 トマトシチューは、玉ねぎ・ナス・牛肉・サヤインゲン・パプリカ(ピーマン)・セロリ・ネギなどの具をトマトでじっくり煮込んだものです。

 美味しいのですが、麺が太くて食べるのが大変でした。

 麺をプラスチックの箸で食べようとするとツルツル滑り、フォークで食べようとすると太すぎてクルクル巻けないのです。

 私の場合は、最終的に麺は箸、スープはスプーンでいただくことで落ち着きました。


【カザフ・シャルガム(大根サラダ / Radish salad)】

 「カザフ・シャルガム」はカザフスタンの料理で、大根サラダです。

(カザフ・シャルガム)
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 大根、人参、パプリカのサラダで、粉唐辛子をまぶしてピリ辛に仕上げられています。

 酢の酸味はあまり感じなかったものの、日本の「紅白なます」によく似ていると思いました。


【オジャクリ(ジャガイモ料理 / Potato dishes)】

 「オジャクリ」はジョージアの料理で、ジャガイモの煮込み料理です。

(オジャクリ)
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 ジャガイモを玉ねぎ、豚肉、パプリカ(黄色)と一緒に煮込んだもので、仕上げにコリアンダー(パクチー・香菜)がのせられています。

 見た目もそうですが、「肉じゃが」そっくりの味でした。

 ワインビネガーが使われているからか、わずかな酸味も感じました。

 フランス・アルザス地方の郷土料理「ベッコフ」もそうですが、改めて、ジャガイモを玉ねぎや肉と一緒に煮込むと「肉じゃが」の味に近づくのだなと思いました。


【カラムリ・ピログ(キャベツパイ / Cabbage pie)】

 「カラムリ・ピログ」はウズベキスタンの料理で、キャベツパイです。

(カラムリ・ピログ)
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 主な具はキャベツと玉ねぎです。

 いただいてみると、コショウやクミンの香りを感じました。

 そして、甘いキャベツに粒コショウがピリッと辛いアクセントとなっていました。

(カラムリ・ピログ(中身))
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 中身を観察すると、キャベツや玉ねぎのほか、クミンシード(クミンの種子)も入っていました。

 表面はサクサク、中身はしっとりとしたパイでした。


 中央アジア・コーカサス諸国に思いを馳せながら、美味しくいただきました。


付記

 青年海外協力隊でペルーに行かれる方から、あいさつの品としてコーヒーをいただきました。

(協力隊珈琲(ペルー))
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 「協力隊珈琲 ペルーに行ってきます」と記載されています。

 協力隊珈琲(JOCABUCKS COFFEE)には、「煌(きらめき)」、「爽(さわやか)」、「深(ふかみ)」の3種類があります。

 いただいたコーヒーは「煌(きらめき)」でした。

(煌(きらめき)・食品表示)
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 裏をめくってみると、コーヒーの原産国はペルー…ではなく、ブラジル、コロンビア、グアテマラとなっていました。

 こうしたちょっとした贈り物があると便利ですね。

 ペルーでの御活躍をお祈り申し上げます。


<関連サイト>
 国際協力機構「JICA関西」(神戸市中央区脇浜海岸通1-5-2)
 「青年海外協力協会(JOCA)」(長野県駒ヶ根市中央16-7)

<関連記事>
 「ウズベキスタン・キルギス料理の特徴と主な料理 -ノン・ラグマン-
 「ジョージア(グルジア)料理の特徴と主な料理 -クヴェヴリワイン・ハルチョー・サラダ・チュルチヘラ・アジカ・ハチャプリ-
 「フランス料理の特徴と主な料理11 -フォアグラクッキー・アナグマのリエット・生牡蠣とウニ・和牛のロティ・アナグマの煮込み・ベッコフ-

2024年12月 1日 (日)

ドライブインの魅力3 -山口県岩国市「ドライブインあけみ」のマヨカツ丼と貝汁-

 大阪市北区から北九州市門司区に至る国道2号は、西日本の交通の大動脈で、ドライブインも多く存在します。

 今回は、そんなドライブインの1つ、山口県岩国市周東町(しゅうとうちょう)の「ドライブインあけみ」を御紹介します。


欽明館自動販売機コーナー

 広島市から自動車でお店を目指しました。

 広島県側から岩国市玖珂町へ向かう際にショートカットのルートとなる山口県道15号(欽明路道路・きんめいじどうろ)を走っていると、欽明路のドライブイン「欽明館自動販売機コーナー」がありました。

(欽明館自動販売機コーナー)
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 自動販売機がずらりと並び、昔からドライバーやライダーの憩いの場となっています。

 ここは、レトロ自動販売機があることでも有名なスポットです。

(チューインガム・キャンディ自動販売機)
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 すでに販売を終了したガムもありますが、この自動販売機は展示品で、そもそも稼働してないようです。

(うどん・そば・ラーメン自動販売機)
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 そしてこちらは、うどん・そば・ラーメンの自動販売機です。

 うどん・そばだけでなく、ラーメンまで用意されている自動販売機は珍しいです。

 この自動販売機は現役で、このうどん・そば・ラーメンを目当てに欽明館を訪問される方も多くいらっしゃいます。

 私もこのお店のそばやラーメンを味わったことがあるのですが、今回は間近に迫ったドライブインでの食事があるため、やむなく、またの機会にいただくこととしました。


周防大島と宮本常一記念館

 岩国市玖珂町を過ぎ、同市周東町に入った国道2号沿いに「ドライブインあけみ」があります。

(ドライブインあけみ・開店前)
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 朝8時半ごろ訪問したところ、まだ営業されていませんでした。

 グルメサイトの情報が最新の状況に追い付いてないことはよくあることです。

 気持ちを切り替え、昼前の開店まで近隣をドライブすることにしました。

 向かったのは瀬戸内海の周防大島です。

(大島大橋)
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 周防大島から眺めた大島大橋です。

 山口県の県道のガードレールはオレンジ色(夏みかん色)で、瀬戸内海の風景にうまく溶け込んでいます。

 島内を快適にドライブし、宮本常一記念館に到着しました。

(宮本常一記念館(全景))
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 宮本常一さん(1907年~1981年)は、カメラ片手に全国を「歩く・見る・聞く」民俗学を実践された民俗学者です。

 カメラ片手に全国を旅し、現地の生活や文化を研究されたことに私も共感するところがあり、「塩の道」や「忘れられた日本人」などの本も読みました。

(宮本常一記念館(エントランス))
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 館内には、その地に住む人々の生活や文化がわかる写真、民具、図書、関係資料などが展示されており、宮本常一さんへの理解を深めることができました。


「ドライブインあけみ」のマヨカツ丼と貝汁

 周防大島町のドライブを楽しんだ後、再び岩国市周東町の「ドライブインあけみ」を訪問しました。

(ドライブインあけみ・営業中)
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 到着がお昼の12時近くとなり、駐車場も賑やかになっていました。

(ドライブインあけみ・店舗)
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 広々とした建物や駐車場は、ドライブインならではの光景です。

 日本酒「獺祭(だっさい)」の旗も掲げられていますが、旭酒造の「獺祭」は、ここ岩国市周東町で製造されています。

 お店に入ると、大勢のお客さんがおられました。

 食券を購入する前金制かなと思いましたが、席で注文する方式でした。

 メニュー表を見て、何を注文するか吟味しました。

(ドライブインあけみ・メニュー表)
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 料理のジャンル別に色分けされており、ピンク色が鉄板系(肉)、黄色が魚系、赤色が丼系、オレンジ色が揚げ物系、緑色が炒め物系となっています。

 ごはんは、追加料金で大盛や特盛にしてもらうことが可能です。

 また、定食や丼物についているみそ汁は、プラス220円で貝汁かブタ汁(豚汁)に変更することが可能です。

(定食・料理のイラスト)
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 また、それぞれの定食・料理には手書きのイラストもあり、初めての人でもイメージしやすい工夫がなされています。

(ドライブインあけみ・お礼メッセージ)
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 お店からのお礼メッセージも手作り感満載です。

 昭和37年創業の長年愛されているドライブインです。

 私はお店の人気メニューの1つ「マヨカツ丼」を注文しました。

 そして、マヨカツ丼に付くみそ汁を「貝汁(かいじる)」に変更していただくようお願いしました。

 その際、お店の方から「揚げ物なので少しお時間をいただきます」とお話があったのですが、むしろきちんと揚げ立てを提供していただける証拠だと好感を持ちました。

 このお店はごはんの盛りが半端ないことでも有名なので、料理を待つ間、周囲のお客さんが召し上がっているごはんの量を観察しました。

 その際、「てんこ盛りまではいかないけど、意外と普通盛りだな」と思ったのですが、お客さんの注文内容と実際の盛りを確認するうちに、私が普通盛りだと思っていた量が、実はごはん「小」であることがわかりました。

 普通に(何も言わずに)注文したら大盛のごはんが提供されるので、常連のお客さん達はそれを知っていて、ほとんどの人が「ごはん少なめで」と注文されているのです。

 このお店は、一般的な普通盛りが「小」、大盛が「普通」という設定で、それ以上の「大盛」や「特盛」レベルになると、かなりの量になるので、メニュー表にもあるように「自信のある方限定」となります。

 このことを知らずに注文すると、大変なことになります。

 私が注文したマヨカツ丼も大盛にするかどうか迷いましたが、(あまりたくさん食べられない私は)大盛にしなくてよかったと安堵しました。

 しばらくして、マヨカツ丼と貝汁が提供されました。

(マヨカツ丼と貝汁)
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 「来た来た、やったー!」

 マヨカツ丼も貝汁も丼サイズで、予想どおりボリューム満点です。

 これでも普通盛りなのですが、こうした盛りのよさはドライブインならではのお楽しみです。

 それではマヨカツ丼をじっくり観察してみましょう。

(マヨカツ丼)
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 大盛ごはんの上に、大きくて厚みがあるロースカツがどっかーんと盛られ、そのロースカツにはとんかつソースがたっぷりとかけられ、さらに目玉焼きまでのせられています。

 目玉焼きをずらして、ロースカツを確認しました。

(マヨカツ丼(ロースカツ))
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 ロースカツだけでもお腹いっぱいになりそうなビッグサイズです。

(マヨカツ丼(千切りキャベツと辛子マヨソース))
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 次にロースカツをずらすと、千切りキャベツと辛子マヨネーズソースの層がありました。

 この下には、掘っても掘っても食べ切れないほどのごはんが盛られています。

 甘めのとんかつソースと辛子マヨネーズソースがロースカツとよく合い、ごはんが進みました。

 途中で休憩するほどの量がありましたが(笑)、美味しく完食しました。

 そして「貝汁」もいただきました。

 「貝汁」とは「あさりのみそ汁」のことですが、山口県内のドライブインにはこの「貝汁」が提供されているお店が多く、人気メニューの1つとなっています。

(貝汁)
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 貝汁も大きな丼で提供されました。

 汁の中には、あさりがたっぷりと入っていました。

 貝汁が人気なのは、あさりがメインではないかと思えるほどあさりをたくさん食べられるからです。

 今回もあさりの殻入れを入れるための小皿が用意されていました。

 あさりの滋味深いエキスが溶け込んだ、美味しいみそ汁でした。


まとめ

 飲食店で大事なことは、料理もサービスもケチらないことで、ケチれば結局お客さんからもケチられることになります。

 これは値段にかかわらず、大衆店から高級店まで共通して言えることだと思います。

 「ドライブインあけみ」は、安くて美味しくてボリューム満点の食事を提供されており、なおかつサービスも行き届いているお店なので、こうしたお店の姿勢が、長年、地元の人々やドライバー・ライダーに愛されている理由なのだろうなと思いました。

 単品でカレーライスやカツカレーを注文されるお客さんも多く見かけましたが、これまたとても大きな皿にカレーとライスが山盛りで、カツも大きくてとても魅力的でした。

 また訪問する機会があれば、今度はカツカレーに挑戦したいと思います。


<関連サイト>
 「ドライブインあけみ」(山口県岩国市周東町下久原大柿1653)
 「旭酒造(獺祭)」(山口県岩国市周東町獺越2167-4)

<関連記事>
 「食文化関連記事一覧表・索引」の「食文化事例研究」にある「ドライブインの魅力」を御参照ください。
 「懐かしのうどん・そば・ラーメン自動販売機1 -広島県三次市「福原酒店」の天ぷらそば・自動販売機のうどん・そばの魅力-
 「懐かしのうどん・そば・ラーメン自動販売機2 -島根県浜田市「ドライブイン日本海」の天ぷらうどん・日清食品カップヌードルの自動販売機-

2024年11月24日 (日)

チョコレートの新しい潮流6 -ごぼうを使ったチョコレート風味のお菓子「GOVOCE(ゴボーチェ)」-

 今回は、カカオ豆を一切使用せず、「ごぼう」で作られたチョコレート風味のお菓子を御紹介します。


あじかんの「GOVOCE(ゴボーチェ)」

 焙煎ごぼうで作られたチョコレートそっくりのお菓子は「GOVOCE(ゴボーチェ)」と言います。

 広島市西区に本社のある「あじかん」の新商品です。

 「あじかん」は、卵焼き、巻き寿司の具材、きんぴらごぼうなど和惣菜などを中心にした総菜を製造する総菜メーカーです。

 同社は「ごぼう」の健康効果に着目し、ごぼう茶などの健康栄養食品にも力を入れておられます。

 こうした同社の食品製造のノウハウや研究開発実績から誕生したお菓子が「GOVOCE(ゴボーチェ)」です。

 ちなみに、この「GOVOCE(ゴボーチェ)」という名称は、「GOBOU(ごぼう)」と、デザートを意味するイタリア語の「DOLCE(ドルチェ)」、声を意味するイタリア語の「VOCE(ヴォーチェ)」を掛け合わせたものです。

(ゴボーチェ(包装))
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 パッケージにごぼうの輪切りとゴボーチェが描かれています。

 キャッチコピーは、「ごぼう生まれの新スイーツ」・「香ばしく ほろ甘いビター」です。

 「ほろ苦い」ではなく「ほろ甘いビター」と表現されているのが面白く、どんな味なのかワクワクします。

 袋を開けると、個包装のゴボーチェが入っていました。

(ゴボーチェ(個包装))
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 個包装なので、持ち歩きに便利で、いつでも気軽に食べることが出来ます。


ゴボーチェの香り・味

 個包装からゴボーチェを取り出してみました。

(ゴボーチェ)
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 見た目は「正方形の薄い板チョコレート」そのものです。

 一辺が約3cmで、厚さは約4mmです。

 パッと見では、誰もがチョコレートだと思うことでしょう。

 鼻を近づけてみると、焼きごぼうの香りがしました。

 いただきました。

 食感と口溶けは、チョコレートそのものです。

 風味は、カカオに近いですが、焙煎ごぼうの香りが勝っています。

 味は、焙煎ごぼうが使われているので本来ならばかなり苦いはずですが、それを植物油脂と砂糖でマイルドに仕上げられているため、「苦みが効いたカラメルの味」、「インスタントコーヒーをごくわずかな水(お湯)で溶き、少量の砂糖を加えた味」に近いと思いました。

 まとめると、
「ほんのりとごぼうの風味がする、力強い苦みと深いコク、その後にじんわりと甘みを感じるチョコレート風のお菓子で、チョコレートと全く一緒と言うには無理があるが、チョコレート感覚でいただける、美味しくて魅力に満ちたお菓子に仕上げられている」
というのが私の感想です。

 そういう意味では、いなご豆を使ってチョコレート風味に仕上げた「キャロブチップス(キャロブチョコレート)」との共通点もあるお菓子だと思いました。


ゴボーチェ開発・商品化までの道のり

 ゴボーチェのパッケージの裏側には、説明書きがあります。

(ゴボーチェの説明書き)
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 焙煎ごぼうが細分化・液体化されてチョコレート風味のお菓子になっていく様子が図示されています。

 ゴボーチェは、商品開発の失敗から生まれた商品です。

 あじかんが当初研究されていたのは「バターの代替品」で、同社の代表商品「ごぼう茶」とココナッツオイルを混ぜてみたら、偶然にもチョコレートに似ていることに気付かれたのだそうです。

 その後、ごぼうを使ったチョコレート風味菓子の研究が進められた結果、次のことが判明しました。

①チョコレートと焙煎ごぼう茶の香り成分は類似点が多い。
(チョコレート特有の10種類の成分(チョコ香・ココア香・ローストナッツ香・バニラ香など)のうち8種類が同じ成分であることが判明)

②チョコレートの滑らかさを出すためには、人間の舌がざらつきを感じない0.02mmまで原料を微粒子化する必要がある。
(チョコレート研究者・広島大学 上野 聡 教授の協力)

(砂糖・ごぼうの微粒子化)
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(あじかんウェブサイト「MELBURDとGOVOCE」の一部を引用)

 食物繊維が多く含まれるごぼうをパウダー状にまで加工するのは大変なことです。

 約2年間試行錯誤された結果、ごぼうからチョコレートに似た新素材が出来ました。

 この新素材は「MELBURD(メルバード)」と名付けられ、新商品として「GOVOCE(ゴボーチェ)」が販売されることとなったのです。
 ※「Melting(とろける)」・「Mellow(芳醇な)」と「Burdock(バードック、ごぼう)」を組み合わせた名称


ゴボーチェの特長

 「ごぼう茶」には食物繊維やポリフェノールが豊富に含まれていますが、ごぼうを使った「ゴボーチェ」にもチョコレートと同程度のポリフェノールと、チョコレートの約4倍の食物繊維が含まれているそうです。

 またノンカフェインなので、カフェイン摂取を気にされる方も安心して食べることが出来ます。

 あじかんでは、こうした特長を生かし、チョコレート風味の新素材として、お菓子メーカーとコラボレーションすることも検討されています。


まとめ

 カカオ原産国で干ばつや洪水の被害、未知のウイルス病のまん延などが発生し、カカオの国際価格が高騰している現状において、日本国内で生産可能な「ごぼう」を使ったチョコレート風味の新素材は、今後、お菓子を中心に様々な展開が期待できそうです。


<関連サイト>
 「あじかん」(広島市西区商工センター七丁目3番9号)
 「MELBURDとGOVOCE(メルバードとゴボーチェ)」(あじかん)

<関連記事>
 「キャロブ(いなご豆)チップス -チョコレートと何が同じで何が違うのか-
 「食文化関連記事一覧表・索引」の「食文化事例研究」にある「チョコレートの研究」を御参照ください。

<参考文献>
 「チョコレートに革命!ごぼう茶が原料でカカオ不使用(広島)」(テレビ新広島「そ~だったのかカンパニー」)

2024年11月17日 (日)

チョコレートの新しい潮流5 -広島市植物公園・人の暮らしを支える「植物と油」展と「チョコレートの魅力」講演会-

広島市植物公園・人の暮らしを支える「植物と油」展

 広島市植物公園の特別企画展として「人の暮らしを支える「植物と油」展」が開催されています。
(2024年9月14日~12月22日)

(「人の暮らしを支える「植物と油」展」チラシ)
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 私は、たまたま読んだ広島市の広報誌でこの特別企画展の開催を知りました。

 そしてこの特別企画展で、チョコレートの専門家・佐藤清隆先生(広島大学名誉教授)による「植物からとれる油で作るお菓子の王様 チョコレートの魅力」という講演会が開催されることも知りました。

 広報誌を読んだのも、講演会のことを知ったのも偶然だったのですが、これも何かの縁だと思い、講演会が開催される2024年9月29日に広島市植物公園を訪問しました。

(広島市植物公園)
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 広島市植物公園です。奥の建物が大温室です。

 この大温室では,全国でも珍しいカカオが栽培されています。

 大温室に向かって階段を上がっていくと、広島ならではの展示物がありました。

(「HIROSHIMA」と原爆ドーム模型)
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 原爆ドームの模型とレンガの色が一体化しています(笑)


「森のカフェ」で佐藤先生とランチ

 ちょうどお昼時に植物公園に着いたので、公園内のレストラン・カフェ「森のカフェ」で昼食をいただくことにしました。

(広島市植物公園「森のカフェ」)
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 ログハウスのお店です。

 入口の券売機でカツカレーを選び、厨房で注文しました。

(「森のカフェ」のカツカレー)
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 カレールーには香味野菜がたっぷり使われており、野菜の甘みとコクが感じられました。

 トンカツも肉が分厚く、揚げ立てでした。

 久しぶりにカツカレーをいただきましたが、改めてカツカレーの魅力や美味しさを感じました。

 「誰にも邪魔されず、気を遣わずものを食べるという孤高の行為。これこそが最高の癒しと言えるのである」と心の中でつぶやきながら、もの静かなカフェで「孤独のグルメ」を楽しんでいました。

 と、その雰囲気を打ち破るように、いきなり大きな声で「おおーっ、久しぶりー!」とにこやかに私の席に近づいて来る人がいました。

 佐藤清隆先生です(笑)

 「来ると思ってたよ」、「少しやせたね」とおっしゃいながら、私の向かいに座られました。

 こんな偶然の出会いで、佐藤先生と一緒にランチタイムを過ごしました。

 私はカツカレー、佐藤先生は唐揚げ定食を食べながら、チョコレートの話で盛り上がりました。

 佐藤先生から教えていただいた、最新のチョコレート事情をまとめておきます。


【最新のチョコレート事情】

・日本が大量のカカオを輸入しているアフリカ・ガーナは、干ばつと洪水の被害が深刻で、カカオにも未知のウイルス病がまん延している。

・カカオが遺伝子(DNA)レベルで被害を受けているが、生命の根源なので対処できない。

・水際対策としてカカオの木を焼いた。再び栽培してカカオの実を得ようとすると、種からだと約6年、接ぎ木からだと約3年かかる。

・こうした事態を踏まえ、インドネシアやペルーでもカカオが栽培され始めている。

・モノカルチャー(単一栽培)から熱帯雨林型栽培(原産地型栽培)へシフトする動きもある。

・シェードツリー(日陰となる木)でカカオの生育を守る動きもあるが、木と木の間に植えるので収穫量が半分になる。

・フランスはコートジボワールから、イギリスはガーナから、アメリカはエクアドルなど南米からカカオを輸入している。

・ガーナではカカオ豆の取引で十分なフェアトレードがなされてないことから、付加価値の高い半加工品(クーベルチュールなど)も製造・輸出する動きがある。

・日本がガーナ産のカカオを支持する主な理由は、①カカオ豆を発酵させた状態で提供される、②カカオ豆をガーナ政府が一旦買い上げて品質が安定している、から。

・フェアトレードと称して「市価の3倍で農園・村ごとカカオを買う」と商談が持ちかけられても、実際の世界市場では5倍で取り引きされていたという事例もある。

・カカオ豆の国際価格が高騰し、日本のチョコレート関係者は本当に困っている。

・大手メーカーはチョコレートの量を減らした商品などで対応することも可能だが、ダークチョコレート一本で勝負するビーントゥバーのお店は大変苦労している。

・オリーブも干ばつと洪水で打撃を受け、オリーブ油が高騰している。


 「カカオの原産国であるガーナで、カカオの半加工品も作られるようになった」という話は新鮮でしたが、ガーナでは、他国からカカオ豆を輸入して半加工品が作られる事態にまで発展しているようです。


大温室のカカオの木・カカオの花・カカオの実

 食事後、佐藤先生から「あっそうだ。カカオの木に花が咲き、実がなっているから見に行こう!」とお誘いいただき、2人で大温室のカカオを見に行きました。

(カカオの木とカカオの実)
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 確かにオレンジ色のカカオの実がなっていました。

(カカオの花)
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 さらに近づいてみると、木から小さな白い花が咲いている様子も確認できました。

 木から直接花が咲いたり、実がなったりするカカオは、よく考えると不思議な植物です。

 その後、佐藤先生は講演会会場へ向かわれ、私はしばらく温室内を観察して回りました。


展示資料館・人の暮らしを支える「植物と油」展


 講演会開始時刻が近づいたので,展示資料館へ行きました。

(めーでるちゃんと展示資料館)
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 展示資料館1階は、人の暮らしを支える「植物と油」展の展示会場となっています。

(人の暮らしを支える「植物と油」展・展示会場入口)
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 植物と油の関係について、クイズも交えながら楽しく学ぶことが出来ました。

(植物があぶらをつくる理由)
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 「植物があぶらをつくるのは、いきのこるためなんだよ~」

 確かに、人間が体内に脂肪をため込むのと同じ理屈です。

 油(脂)を美味しいと感じるのも、他の栄養素に比べてカロリーが高く、生き残るために優位な食べ物だからです。


講演会「植物からとれる油で作るお菓子の王様 チョコレートの魅力」

 この展示資料館の2階講堂で、佐藤清隆先生による講演会「植物からとれる油で作るお菓子の王様 チョコレートの魅力」が開催されました。

 講演に先立ち、植物公園の職員さんから、特別企画展のチラシ、A3版のメモ用紙、鉛筆、紙コップ、スティックシュガー、おかずカップを御用意いただきました。

(メモ用紙・鉛筆・紙コップ・スティックシュガー・おかずカップ)
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 「楽しい講演にするため、佐藤先生が色々考えてくださったんだ」と感謝の気持ち一杯で受講しました。

 講演はチョコレート作りの実演から始まりました。

(液状のカカオニブと油の結晶(粉末))
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 カカオニブをドロドロに溶かしたものに、白い粉を混ぜ合わせています。

 この粉は砂糖ではなく、「BOB」と呼ばれるパウダー状の油脂で、ココアバターの結晶を5型にするために使われます(※)
 ※ココアバターの結晶は1型から6型まで6種類あり,4型から下だと指で触るだけでチョコレートが溶けてしまい,逆に6型だと固すぎて口の中でチョコレートが溶けないため,一般的なチョコレートとしては5型が適している。

 作業中、カカオの実の模型も紹介されました。

(カカオの実(カカオパルプ))
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 カカオの実を半分に割ると、このように白いワタ(カカオパルプ)と、その中にカカオ豆(正確には種)が入っています。

 続いて、液体チョコレートの中の空気を抜く「タッピング」作業が実演されました。

 この作業は会場の子どもたちも参加して行われました。

(タッピング作業の様子)
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 タッピングは,チョコレートを板状に薄く延ばすための作業でもあります。

 バシャンバシャンと、金属製のトレーが机に打ち付けられる大きな音が会場内に響き渡りました。

 タッピングを終えたチョコレートは、すぐに冷蔵庫に入れて冷やし固められました。


 「カカオ豆産地の食べ比べ体験」も行われました。

 まず最初にフィリピン産カカオ豆が配付されました。

(カカオ豆とカカオ豆の皮(フィリピン))
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 トリニタリオ種です。

 参加者全員で(ロースト)カカオ豆の皮をむき、中のカカオニブ(カカオの胚乳)を取り出す作業を行いました。

 写真左が外皮の「カカオシェル」と薄皮の「カカオハスク」、中央の黒いのが取り出した「カカオニブ」、右が元のローストカカオ豆です。

 続いて、ホンジュラス産カカオ豆が配付されました。

(カカオ豆とカカオ豆の皮(ホンジュラス))
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 クリオロ種です。

 最後にボリビア産カカオ豆が配付されました。

(カカオ豆とカカオ豆の皮(ボリビア))
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 「Beni(ベニ)」という、カカオ豆の3大品種(クリオロ種、トリニタリオ種、フォラステロ種)とは異なる野生品種のカカオです。
 ボリビアの源流域で昔ながらの状態で残っていた貴重なカカオ豆で、佐藤先生が農園から直接仕入れてくださったそうです。
 野生品種だからか、ほかのカカオ豆と比べてかなり小さく感じました。

 今回御用意いただいたカカオ豆の原産国の位置は、次の地図のとおりです。

(カカオ豆の原産国)
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 (帝国書院白地図の一部を引用・加工)

地元に居ながらにして、世界各地のカカオ豆を味わえる幸せを感じました。

(3種のカカオ豆の皮むきと味見)
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 3種のカカオ豆の皮むきを終え、カカオニブをそれぞれ所定の位置に置きました。

 テイスティングの際、口の中をリセットさせるよう水が用意され、あわせてチョコレートの味に近づけるための砂糖(グラニュー糖)も用意されました。

 準備ができたところで、参加者全員でカカオニブを1つ1つ実際に食べてみて、味や香りの特徴・違いを確認しました。

 私はテイスティングの結果を次のグラフのようにまとめました。

(カカオ産地別の特徴(テスト))
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 フィリピン産は、酸味が先行し、苦味も強く、渋味もあるように感じました。

 ホンジュラス産は、ワインのような風味とコクがあり、渋味が少なく、後から酸味が追いかけてくるように感じました。

 ボリビア産は、ナッツのような香ばしさがあり、酸味と苦味は少なく、少し渋味もあるように感じました。
 そして、この3種のカカオの中では一番クセが少ないように感じました。


 いよいよ、ブラインドテストです。

 テストの内容は、佐藤先生が選んだカカオニブとチョコレートを食べてみて、それらがそれぞれどこの国のものかを当てるというものです。

(カカオニブ)
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 カカオ豆の大きさで見分けがつかないよう、砕いたカカオニブが用意されました。

(カカオニブとチョコレート)
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 カカオニブとチョコレートを食べてみると…カカオニブはワインのような風味を感じ、チョコレートは酸味が強いと感じました。

 そこで私は、カカオニブはホンジュラス産、チョコレートはフィリピン産に挙手しました。

 果たして正解は…カカオニブはホンジュラス産、チョコレートはフィリピン産で、私は当てることが出来ました。

 参加者50名の中で私を含む7名が正解でした。

 このテイスティングのほかに、カカオやチョコレートに関するクイズも出され、楽しみながら学ぶことが出来ました。
 (佐藤先生から、正解を知っている私は答えないよう指示が出ましたが…)


 講演当初にタッピングしたチョコレートが冷やし固められたので、その板チョコレートを一口サイズに割る体験も実施されました。

(子どもたちによるチョコレート割り体験)
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 みんな一生懸命取り組んでいました。

 このチョコレートと、余ったカカオニブは、お土産としていただきました。

(カカオニブとチョコレート(お土産))
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 1つの袋に詰めるとごちゃまぜになり、何産のカカオニブ・チョコレートかわからなくなりましたが(笑)


今回の講演会で新たに学んだこと

 今回の講演会で私が新たに学んだことをまとめます。

・カカオ豆と呼んでいるものは、本当はカカオの種。

・カカオの木に直接花が咲いたり、花の隣に実ができたりするのがカカオの特徴。熱帯には季節がないためにこうした現象が起きる。

・カカオ(チョコレート)も、ワインと同様「テロワール(土壌、自然環境)」が問われるようになっている。

・ドロドロの成分は「油」。25℃以下で固まってしまう(熱帯では固まらない)。

・カカオニブの胚芽(ジャーム、チュニブ)は、やがてカカオの木の幹となる。

(カカオニブ(縦割り)とカカオニブの胚芽)
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・カカオの生産国は、西アフリカ(ガーナとコートジボワール等)で約60%を占める。

・西アフリカでの異常気象(大雨、洪水、高温、干ばつ)の影響で、カカオ豆の国際価格が高騰している。

・安定供給ができるよう、カカオの生産地を拡大する動きがあり、特にアジア(フィリピンからスタート)が注目されている。


まとめ

 講演会終了後,佐藤先生に御挨拶し、会場を後にしました。

 改めて展示会場を回ってみると、チョコレートに関する展示もありました。

(チョコレートも油からできている)
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 チョコレートも油でできており、植物が油を作るのは生き残るためであることが理解出来ました。

 私たちもチョコレートの美味しい幸せを感じつつ、生き残るためにチョコレートを食べましょう(笑)


<関連サイト>
 「広島市植物公園」(広島市佐伯区倉重三丁目495番地)

<関連記事>
 「食文化関連記事一覧表・索引」の「食文化事例研究」にある「チョコレートの研究」を御参照ください。

<参考文献>
 佐藤清隆「チョコレートを極める12章」幸書房

2024年11月10日 (日)

JR伯備線・芸備線の旅(芸備線の存廃問題)と沿線の食-トーストセット・藤戸まんぢゅう・むらすずめ・千屋牛焼肉丼・野方汁・広島バターモチ・きんつば-

日帰りで楽しむJR芸備線の旅プラン

 JR芸備線は、岡山県新見市の備中神代(びっちゅうこうじろ)駅から広島市の広島駅までの区間を走る地方交通線(ローカル線)です。

 JR芸備線は、とりわけ東城駅(広島県庄原市)から備後落合駅(同県同市)までの利用者が少なく、深刻な赤字が続いています。

 そこで、現在どういう状況になっているのか、実際に行って確かめてみることにしました。

 ただ、実際に行くとなると、大きな問題が立ちはだかります。

 利用者数が少ない原因の1つでもあるのですが、芸備線の、特に備中神代駅から備後落合駅の間は、列車の本数・乗り継ぎ列車が非常に少ないのです。

 広島駅から芸備線で備中神代駅まで行き、その日のうちに再び芸備線で広島駅へ戻ってくることもできません。

 そこで、私は広島駅から山陽新幹線と山陽本線を利用していったん岡山県側へ回り、備中神代駅を起点に広島駅まで一気に乗車するルートを考えました。

(山陽新幹線・山陽本線・伯備線・芸備線のルート)
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 (国土地理院地図を引用・一部加工)

 広島駅から山陽新幹線「こだま」で三原駅へ行き、三原駅から山陽本線で倉敷駅へ行きます。

 倉敷駅で伯備線に乗り換え、新見駅を目指します。

 そして新見駅発の芸備線(備中神代駅までは伯備線経由)で備後落合駅へ行き、備後落合駅から列車を乗り継いで広島駅へ戻るというルートです。

 それでは、今回の日帰り鉄道旅を御紹介します。


山陽新幹線・山陽本線(広島~三原~倉敷)

 広島駅から山陽新幹線「こだま」に乗り、三原駅に到着しました。

(山陽新幹線・こだま・三原駅)
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 三原駅に隣接する「サンエトワール三原店」でモーニング(トーストセット)をいただきました。

(トーストセット(絹生))
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 トースト(食パン)の種類が「絹生・ホテル・絹蜜」の3種類から選べたので、私は「絹生」をいただきました。

 その後、みどりの窓口へ行き、三原から倉敷・備中神代経由の広島行きっぷを購入しました。

 通常、三原から広島へは山陽新幹線か山陽本線か呉線を利用することが想定されているため、今回のきっぷはかなり特殊で、みどりの窓口で駅員に応対していただきました。
 ※みどりの券売機でも購入不可

 複数の駅員さんを困らせながらも何とかきっぷを購入でき、山陽本線の電車に乗車しました。

(山陽本線・三原駅)
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 227系電車500番台の電車です。

 広島エリアでは広島カープをイメージさせる赤色のラインが入っているのですが、岡山・備後エリアの電車はピンク(桃)色のラインとなっています。

 岡山の桃や桃太郎、福山のバラ、尾道の桜をイメージした色のようです。

(JR乗車券(三原から広島市内行き))
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 今回購入した特殊なきっぷがこちらです。

 三原駅から広島駅までは片道70kmちょっとなのに、きっぷは「三原から広島市内」となっています。

 「広島市内」は特定都市区内駅といい、主に広島市内エリアならどの駅からも乗り降りできる特例があるのですが、この特例は片道201km以上の場合に適用されます。

 芸備線に乗ろうと、岡山県側から大回りするためにこうしたきっぷとなるのです。

 ちなみに、芸備線区間(備中神代-広島間)の距離は約175km、今回の全区間の距離は約400kmにも及びます。

 三原から途中、糸崎駅で電車を乗り換え、福山駅に到着しました。

(山陽本線・福山駅)
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 福山駅は三原駅と同様に、駅のすぐ近くにお城があります。

 この駅でさらに電車を乗り換え、倉敷駅に到着しました。

(倉敷駅南口)
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 倉敷駅南口の先には、倉敷美観地区があります。

(倉敷駅北口)
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 一方、倉敷駅北口には、今は大型ショッピングセンターがありますが、その建築物にかつての「倉敷チボリ公園」の面影があります。


伯備線(倉敷~新見)

 倉敷駅4番ホームに着きました。

(倉敷駅4番・5番ホーム・発車案内表示器)
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 ここから伯備線の普通列車で新見を目指します。

(倉敷駅・伯備線・普通列車・新見行)
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 車内で、倉敷駅売店で購入した倉敷の銘菓をいただきました。

(藤戸まんぢゅう(藤戸饅頭))
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 こちらは「藤戸まんぢゅう」です。

 薄皮饅頭ですが、皮がとても薄く、ほぼ「あんこ(こしあん)」のかたまりです(笑)

 同じ岡山県の銘菓「大手まんぢゅう」とよく似ています。

 ほのかに酒粕の香りがする、あんこ好きにはたまらない饅頭です。

(むらすずめ)
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 こちらは「むらすずめ(むらすゞめ)」です。

 どら焼きの皮をひっくり返し、焼き目のある方を内側にして「あんこ(つぶあん)」を包んだようなお菓子です。

 豪渓(ごうけい)駅でホームに降り、「特急やくも」を見送りました。

(豪渓駅・特急やくも通過)
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 2024年4月にデビューした新型「特急やくも」です。

 その後、列車は備中高梁駅に到着しました。

(備中高梁駅・2番ホーム・普通列車・新見行)
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 奥の建物は高梁市立図書館で、蔦屋書店が併設されています。

 徳山駅(山口県周南市)に隣接する周南市立徳山駅前図書館などと同じ運営方式です。

 さらに列車は走り、終点・新見駅に到着しました。

(新見駅・5番ホーム・普通列車・岡山行)
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 倉敷駅から1時間40分の鉄道旅でした。

(「ようこそ!新見へ」吉備之国くまなく旅し隊)
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 「くまなく」(制服を着たキャラクター)と「たびにゃん」(小さな猫のキャラクター)が迎えてくれました。

(新見駅)
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 ランチタイムになったので、新見駅で途中下車し、昼食をいただくこととしました。


千屋牛焼肉丼と野方汁

 新見駅から歩いてすぐの場所に郷土料理店「伯備」があります。

(味の庄「伯備」)
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 鯖寿司、川魚料理、ジビエ料理、山菜料理など、郷土料理や地場の食材を使った各種料理を提供されているお店です。

 数多くの料理の中で、私は「千屋牛焼肉丼」を注文しました。

 「千屋牛(ちやぎゅう)」は、「日本最古の蔓牛(つるうし)」、「日本三名蔓」、「和牛の中の和牛」と呼ばれる新見が誇る黒毛和牛です。

 私は過去に車で新見を訪問した際、「和牛レストラン ふゆさと」で初めて千屋牛をいただき、その美味しさに感動しました。

(千屋牛焼肉丼)
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 贅沢に分厚くカットされた千屋牛の焼肉をごはんの上にのせた丼です。

 肉がやわらかく、噛みしめると脂の甘みとコク、肉汁の旨みが口の中いっぱいに広がりました。

 「この調子ならもう一品いける」と思った私は、追加で「野方汁(のかたじる)」を注文しました。

(野方汁)
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 豆腐、ねぎ、大根、人参、ごぼう、竹輪など具だくさんで、上品な味噌仕立ての汁です。

 「たかきび」の団子が入った団子汁です。

 「たかきび」は、「モロコシ」や「コウリャン」とも呼ばれる雑穀です。

 「野方汁」の名称は、この「たかきび」が「野方(のかた・のがた)」(この地方の方言で「高原地帯」のこと)でたくさん収穫でき、その「たかきび」で団子を作り、汁に入れて団子汁にしたことに由来します。

 「たかきび団子」は、たかきび粉に水を加え、耳たぶぐらいの柔らかさの生地を作り、その生地を火が通りやすいように平たくして茹でたものです。

(野方汁(たかきび団子))
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 「野方汁」は、具だくさんの「けんちん汁」に「たかきび団子」が入っているイメージです。

 「たかきび団子」は多少ザラザラ・ネチネチしていますが、その素朴で野趣あふれる食感・味に魅力を感じました。

 岡山は「きびだんご」だけでなく「たかきびだんご」も「でーれーうみゃーで!(とても美味しいよ!)」。


伯備線・芸備線(新見~備中神代~備後落合)

 腹ごしらえしたところで、いよいよ芸備線の旅の始まりです。

(新見駅前)
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 新見駅から芸備線の普通列車・備後落合行に乗車しました。

(新見駅 芸備線・普通列車・備後落合行と姫新線・普通列車・津山行)
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 写真左のオレンジ色と赤色のラインが入った列車が芸備線、写真右の空色と青色のラインが入った列車が姫新線(きしんせん)です。

(新見駅 芸備線・普通列車・備後落合行)
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 この列車に乗って備後落合(広島県庄原市)を目指しました。

 「1両編成で赤字路線なので乗客も少ないだろう」と思いつつ乗ってみると…発車時刻が近づくにつれ20人が30人、30人が40人と、乗客がどんどん増え、ついには座席に座れない人も出ました。

 新見から備後落合で乗り継いで三次まで続く列車が1日たった2本しかないこと、芸備線(の存廃)がニュースになっていること、夏休み期間で「青春18きっぷ」で乗車する人が多かったことが主な原因だと思います。

 遠方からお越しの方もたくさんおられました。

 熱心に写真を撮る人、ひたすら動画撮影する人、鉄道話で盛り上がるグループ、ひたすら時刻表を読む人…乗客のほとんどが「鉄道ファン(マニア)」と見受けられました。

 東城駅(広島県庄原市)を過ぎると、列車はどんどん山の中へ入っていきました。

 途中、車両に枝葉が何度も当たり、まるで木々に囲まれた緑のトンネルの中を走行しているようでした。

 この区間こそ、JR西日本の営業係数ワーストの区間で、100円稼ぐために1万円以上のコストがかかっているのですが、車内の混雑ぶりを見ると、そんな感じには見受けられませんでした。

 約1時間半後、列車は備後落合駅に到着しました。

(備後落合駅ホーム・芸備線乗り換え(三次行と新見行))
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 写真左がこれから乗車する列車(三次行)、写真右がこれまで乗ってきた列車(折り返し運転で新見行)です。

(備後落合駅ホーム・木次線)
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 しばらくすると、備後落合駅のホームに木次線の列車も入ってきました。

 この木次線も営業係数がとても悪く、それもあってか、この日は鉄道ファンを中心にたくさんの乗客がおられました。

 乗り継ぎの関係もあって備後落合駅は大勢の客で賑わっていましたが、この状況はおそらくこのわずかな時間だけだと思います。

(備後落合駅玄関)
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 かつては備北地域の基幹駅として大変賑わったようですが、今は無人駅となっています。


芸備線(備後落合~三次~広島)

 備後落合駅でしばらく過ごした後、芸備線普通列車の三次行に乗車しました。

(備後落合駅ホームと芸備線・普通列車・三次行)
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 列車を乗り換えましたが、乗客はこれまでのメンバーとほぼ同じでした。

 車窓から景色を眺めると、ちらほらと民家も見えるようになりました。

 1時間20分後、列車は終点・三次駅に到着しました。

 次の列車まで少し時間があったので、三次駅でも途中下車し、駅周辺を散策しました。

(三次市交通観光センター)
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 三次駅を降りてすぐの場所にある、三次市交通観光センターです。

 この施設の売店で、備北地域のお菓子を購入しました。

(和泉光和堂「広島バターモチ」・松屋「きんつば」)
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 和泉光和堂(広島県庄原市)の「広島バターモチ」と松屋(広島県三次市)の「きんつば」です。

 「広島バターモチ」は、バターの風味が豊かな餅菓子です。

 和泉光和堂は銘菓「乳団子」のお店として有名なのですが、そのお菓子のレシピがハワイで暮らす庄原出身の移民にも伝授され、各家庭でバターやココナッツを使った独自の焼菓子として作られたのがこの「広島バターモチ」です。

 松屋の「きんつば」は、お店のイチオシ商品と紹介されていたので購入しました。

 大粒の大納言小豆が使われた、すっきりした甘さのきんつばでした。

 再び三次駅に戻りました。

(三次駅ホーム・福塩線・府中行と芸備線・広島行)
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 写真左(手前)が福塩線・府中行(三次駅折り返し)、写真右(奥)が芸備線・広島行の列車です。

 私は芸備線普通列車・広島行に乗車しました。

 新見駅からずっとお見かけする方もおられました。

 途中から雨が降り始め、外の景色が見えづらくなったのですが、私の隣に座る親子のマニアックな鉄道会話(運転席に流れる「2両停車、所定停目2(しょていていもく2)」の意味などを話し合っていました)を聞きながら、鉄道旅を楽しみました。
 ※所定の停止位置目標は「2(2両列車用)」という意味

 広島市内に入ると徐々に街が広がり、乗降客も増えてきました。

 そして約1時間40分後、終点・広島駅に到着しました。

(広島駅・8番ホーム・芸備線・普通列車)
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 同じ芸備線でも、広島市近郊と郊外では乗降客数がかなり異なることを実感しました。


まとめ

 距離にして約400km、時間にして約11時間の鉄道旅を楽しみました。

 実際に芸備線の列車に乗ってわかったことは、

・列車の本数が極端に少なく、また乗り継ぎ用の列車もほとんど考慮されていないため、気軽に利用することができない。

・いくら列車の乗客が多くても、芸備線沿線(特に深刻な赤字が続く区間)で実際に乗り降りする客(生活の移動手段として利用する客)がいないと意味がない。

ということです。

 芸備線の危機的状況を打開するためには、列車の本数を増やす、乗り継ぎ・折り返しの列車も配慮する、イベント列車を走らせる、あるいは…廃線にするという方法が考えられますが、いずれにせよ、今のままでは沿線住民・地方自治体にとっても、JR西日本にとっても、良い結果はもたらさないように思います。

 芸備線は利用客が少ないとは言え、地域の貴重なインフラであることには間違いなく、廃線されたらそれでおしまいとなる可能性が高いため、存廃については慎重に議論が進められることを願っています。


<関連サイト>
 「サンエトワール」(「サンエトワール三原店」広島県三原市城町1-1-1 三原駅前 ほか)
 「藤戸饅頭」(岡山県倉敷市藤戸町藤戸48)
 「橘香堂」(岡山県倉敷市阿知二丁目19-28)
 「伯備」(岡山県新見市西方469-1)
 「千屋牛」(千屋牛振興会)
 「和牛レストラン ふゆさと」(岡山県新見市千屋実1428-1)
 「和泉光和堂」(広島県庄原市中本町一丁目3-5)
 「松屋」(広島県三次市十日市中4-6-1)

2024年11月 3日 (日)

広島のレモン菓子・レモンケーキ23 -喫茶しま「宮島ウィークエンドシトロン」・パネテリエ「レモンケーキ」・AndKAKA「チーズ焼きドーナツ(レモン)」-

 広島で販売されているレモン菓子・レモンケーキを御紹介します。

喫茶しま「宮島ウィークエンドシトロン」

 宮島(広島県廿日市市)の老舗喫茶店「喫茶しま」の「宮島ウィークエンドシトロン」です。

(喫茶しま「宮島ウィークエンドシトロン」(包装))
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 お店のウェブサイトでは「宮島で採取された自然の花々の香り豊かな蜂蜜と、瀬戸内海の日差しをたっぷり浴びて育った瀬戸内レモン。二つの美味しさを一つのケーキに閉じ込めました!」と紹介されています。

(喫茶しま「宮島ウィークエンドシトロン」)
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 サイズは横約7cm、幅約4.5cm、高さ約3cmです。

 白い帽子のようにちょこんと、アイシングがかけられています。

(喫茶しま「宮島ウィークエンドシトロン」(中身))
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 しっとりとして、みっしりと詰まったケーキ生地で、レモンピールも練り込まれています。

 アーモンドプードルが使われているので、アーモンドの香ばしさも感じられます。

 ケーキ生地の底には、瀬戸内レモンと宮島のハチミツのシロップが染み込んでいます。

 酸味が強くシャリシャリしたアイシング、しっとりとしたケーキ生地、じゅわっと濃いシロップと、様々な食感やレモンの風味を楽しめるレモンケーキです。


パネテリエ「レモンケーキ」

 広島市安芸区阿戸町にある食料品店「パネテリエ」の「レモンケーキ」です。

 広島三越の出張販売「街のパネテリエ」で購入しました。

(パネテリエ「レモンケーキ」(包装))
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 無農薬・無施肥栽培のレモンで作られた、期間限定のレモンケーキです。

(パネテリエ「レモンケーキ」)
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 サイズは横約5.5cm、幅約3.2cm、高さ約2.5cmと、小ぶりのレモンケーキです。

 ケーキ生地の上半分にアイシングがかけられています。

 このアイシングには、刻んだレモンピールが入っていて、さわやかなレモンの風味と強い酸味が味わえます。

(パネテリエ「レモンケーキ」(中身))
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 ケーキ生地の中にも大きめに刻まれたレモンピールがザクザクと練り込まれています。

 アンズや太白油など、ちょっと珍しい原材料も使われています。

 アイシングのレモンの酸味が強烈で、ケーキ生地にもレモンピールがたっぷり含まれているので、小ぶりでも大きな存在感と満足感があるレモンケーキです。


And KAKA「チーズ焼きドーナツ(レモン)」

 広島市中区大手町、広島市西区の「LECT(レクト)」、広島駅の「ekie(エキエ)」にあるチーズケーキストア「And KAKA(アンド カカ)」の「チーズ焼きドーナツ(レモン)」です。

 「And KAKA」は、福岡市のチーズケーキ専門店「KAKA(カカ)」と同市にある「KAKA」の姉妹店「Queen(クイーン)」の両方のお店の商品を扱っておられる新コンセプトのお店です。

 「KAKA」という店名は、ケーキ「Cake」の語源となるスカンジナビア語の「Kaka」を引用されたものだそうです。

(And KAKA「チーズ焼きドーナツ(レモン)」(包装))
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 チーズ風味の焼きドーナツに輪切りのレモンがのせられ、その周りにぐるっとアイシングがかけられています。

(And KAKA「チーズ焼きドーナツ(レモン)」)
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 袋を開けた瞬間、チーズの香りが漂いました。

 輪切りのレモンでドーナツの穴が塞がれているので、見た目はレモンケーキです。

 直径約6cm、高さ約2.5cmです。

 ひっくり返してみました。

(And KAKA「チーズ焼きドーナツ(レモン)」(底))
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 底まで穴が開いている…やはりドーナツです(笑)

(And KAKA「チーズ焼きドーナツ(レモン)」(中身))
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 ナチュラルチーズやアーモンドが使われています。

 レモンも、輪切りのレモンだけでなく、ドーナツ生地の中にもレモンピールが練り込まれています。

 しっとりとしたチーズケーキのような焼きドーナツで、輪切りのレモン、レモンの酸味が効いたアイシング、そしてレモンピールによるトリプルレモン効果により、レモンを存分に味わえる仕上がりとなっています。


 広島県内においても、レモンの形にレモンチョコレートがかけられた伝統的なレモンケーキだけでなく、ウィークエンドシトロンタイプやドーナツタイプなど、様々なタイプのレモンケーキが販売されるようになっています。


<関連サイト>
 「喫茶しま」(広島県廿日市市宮島町588)
 「パネテリエ」(広島市安芸区阿戸町1190)
 「And KAKA(インスタグラム)」(広島市中区大手町二丁目5-21)
 「KAKA」(大名店:福岡市中央区大名1-7-2 けやきビル1F ほか)

<レモンケーキ関連記事>
 「レモンのお菓子」(「chibiaya日記」)
 埼玉県在住のchibiayaさんが,関東で販売されているレモンケーキを中心に,レモンケーキの情報を詳しく紹介されています。
 当ブログ「食文化関連記事一覧表・索引」の「食文化事例研究」にある「レモンケーキ・レモン菓子」も御参照ください。

2024年10月27日 (日)

クロアチア料理の特徴と主な料理 -シュトゥルクリ・チェヴァプチチ・アイバル・フリタヤ・ポレンタ・山羊のチーズ・クレームシュニッタ-

クロアチアとクロアチアの食文化

 東京で世界の朝食が味わえるお店「World Breakfast Allday(ワールド・ブレックファースト・オールデイ)」。

 2024年10月・11月限定の朝ごはんは「クロアチアの朝ごはん」です。

 クロアチアは、東ヨーロッパのバルカン半島に位置する国です。

(クロアチア)
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 (帝国書院白地図の一部を引用・加工)

 クロアチアは、1991年に旧ユーゴスラヴィアから独立するまで、周辺国・地域との合併と分離が繰り返された歴史があります。

 食文化においても、かつてのハプスブルク帝国(オーストリア・ハンガリーなど)やオスマン帝国(トルコ・ハンガリーなど)、そしてイタリアなどの影響を受けた多層的な食文化が形成されています。

(クロアチアと周辺国)
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 (帝国書院白地図の一部を引用・加工)

 東西南北に広がるクロアチアは、アドリア海(地中海)沿岸部ではイタリアの影響を受けたシーフード・オリーブ(オイル)・ぶどう・ハーブなどが、北部・東部ではオーストリア・ハンガリー・トルコの影響を受けたチーズなどの乳製品や肉、パプリカやニンニクなどが料理に使われています。


クロアチアの朝ごはん

 今回「World Breakfast Allday」で御用意いただいたクロアチアの朝ごはんプレートがこちらです。

(クロアチアの朝ごはんプレート)
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 シュトゥルクリ、チェヴァプチチ、アイバル、フリタヤ、ポレンタ、そして山羊のチーズが盛り付けられたプレートです。

 それでは順に料理を御紹介します。


【シュトゥルクリ】

 「シュトゥルクリ」は、小麦粉(パスタ生地)を練った皮にチーズを包んだ、クロアチアの伝統的家庭料理です。

(シュトゥルクリ)
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 「ペチェニ・シュトゥルクリ」と呼ばれる焼いたタイプと、「クハニ・シュトゥルクリ」と呼ばれるゆでたタイプがあります。

 今回お店で提供されたシュトゥルクリは、焼いたタイプでサワークリームが添えられていました。

 生地は表面がこんがり焼けてサクサクで、パイのようでした。

 中の具は、白い粒状のもので、その食感は豆腐の「おから」に似ていました。

(シュトゥルクリ(中身))
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 お店の方に中身を尋ねると、2種類のチーズとナツメグで作られたとのことでした。

 チーズはフェタチーズ(塩味の強いギリシャ生まれのフレッシュチーズ)やカッテージチーズ(白くてやわらかい、そぼろ状のチーズ)だと思います。

 挽き肉のミートパイのような感覚でいただきました。


【チェヴァプチチ】

 「チェヴァプチチ」は、スパイスで調味した挽き肉を小さく筒状に丸めてグリルした料理です。

(チェヴァプチチとアイバル)
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 赤いペースト「アイバル」と玉ねぎ(みじん切り)が添えられています。

 「アイバル」は、パプリカをオイル・ニンニク・塩などとあわせて煮込み、ペースト状にした保存食です。

 「チェヴァプチチ」はトルコ料理のケバブに由来するものです。

 また「アイバル」もトルコが発祥とされています。

 チェヴァプチチの食感は弾力のあるソーセージ、味はハンバーグそのもので、付け合わせのアイバルとの相性も抜群でした。


【フリタヤ】

 「フリタヤ」はオムレツのようなクロアチアの卵料理です。

 イストラ地方の名産・アスパラガスを具にしたフリタヤをいただきました。

(フリタヤ)
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 アスパラガス入りのスクランブルエッグだと思いました。

 料理名や使われる食材がイタリア料理の「フリッタータ」とよく似ており、イタリアの食文化の影響を受けた料理となっています。


【ポレンタ】

 「ポレンタ」はイタリア北部の代表的な料理で、トウモロコシ粉を「お粥(おかゆ)」や「マッシュポテト」のように煮た料理です。

 クロアチアでは「ジュガンツィ」と呼ばれています。

 様々な歴史を経てイタリアからクロアチアに伝えられたのでしょう。

(ポレンタ)
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 今回提供されたポレンタは、ほのかに甘いカラメルのデザートのような仕上がりで、粒々の食感を楽しみながらいただきました。


【山羊のチーズ】

 トッピングとして「山羊のチーズ(シェーブルチーズ)」を付けていただきました。

(山羊のチーズ)
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 水分が少なめで、口に含むとポロポロと崩れます。

 塩辛いので、薄くスライスしていただくのが適していました。

 クセがなく、おつまみ感覚でいただけるチーズでした。


【クレームシュニッタ】

 デザートとして「クレームシュニッタ」をいただきました。

 「クレームシュニッタ」は、カスタードクリームをパイ生地ではさんだ、クロアチアの代表的なお菓子です。

 クロアチアの首都・ザグレブに近い「サモボル」の名物でもあります。

(クレームシュニッタ)
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 厚めのパイ生地に、冷たいカスタードクリームがたっぷりとサンドされていました。

 しっかりと焼き上げられたパイ生地とやわらかいカスタードクリームの組合せなので、ナイフとフォークで容易に切ることができず、パイ生地にナイフを10往復ぐらいさせて慎重に切り分けました。

 フランスのミルフィーユに似ています。

 クロアチアでは軽い食感のカスタードクリームが人気で、クロアチア人のカスタードクリームの取り扱いは抜群に上手なのだそうです。


<関連サイト>
 「World Breakfast Allday」(東京都渋谷区神宮前3-1-23-1F(外苑前店)ほか)

<関連記事>
 「セルビアの朝食(コーンブレッド・アイバル・ヨーグルト)と手作りアイバル
 世界の料理については,当ブログ「食文化関連記事一覧表・索引」の「各国料理の特徴と主な料理」も御参照ください。

<参考文献>
 「World Breakfast Allday」クロアチア料理紹介リーフレット
 地球の歩き方編集室「世界のグルメ図鑑」Gakken
 地球の歩き方編集室「世界のお菓子図鑑」Gakken

2024年10月20日 (日)

ビッグ錠先生の世界16 -ビッグ錠誕生日祭(味平ライス・タワーリングカレー・肉なしハンバーグ・寿司サンドイッチ・釘師サブやんバースデーケーキ)-

ビッグ錠誕生日祭

 2024年10月13日、神奈川県藤沢市湘南台のバー「アルスノーバ」で、グルメ漫画家・ビッグ錠先生の誕生日祭(漫画飯オフ会&シャンソン歌手・浜野ケイ子氏ライブ)が開催されました。

 私は当日の早朝に広島の自宅を出発し、湘南台の会場へ向かいました。

(飛行機の窓から眺めた富士山)
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 広島発羽田(東京)行き、JAL252便の機内から眺めた富士山です。

 頂上が冠雪してない富士山(主翼の先に見える山)に驚きました。

 少し早く着いたので、湘南台で軽く食事を済ませ、正午過ぎに会場の「アルスノーバ」を訪問しました。

 店内にはマスターやズボラさん、運営スタッフをされるお店の常連さんなどがおられ、久しぶりの再会を喜びました。

 お店の正面に「ビッグ錠誕生日会」のチラシが貼ってありました。

(「ビッグ錠誕生日会」チラシ)
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 今回もビッグ錠先生や寺沢大介先生などに御参加いただき、一次会が漫画飯再現料理イベント、二次会がシャンソン歌手・浜野ケイ子さんのライブという構成で開催されました。

 ズボラさんが今回のイベントに参加されるビッグ錠先生や寺沢大介先生などの書籍やグッズを用意し、会場に展示されました。

 ズボラさんと運営スタッフで調理器具の準備や料理の下拵えなどをし、14時からの開始を目指しました。

 お店入口には参加者名簿が用意されました。

 私はコウジ菌(広島)、紹介欄には「ビッグ錠先生のズッ友」と記載されていました。

 漫画飯YouTubeオフ会ということで、地元神奈川など関東圏を中心に、全国からファンが集まりました。

 漫画家の寺沢大介先生・ピエール手塚先生や、「マンガ食堂」のブログ・本を執筆なさっている梅本ゆうこさん、「異世界ラーメン屋台」などの作家・森月真冬さんなども来場されました。

 またしても、近所にお住まいの主役・ビッグ錠先生が開始時刻になっても来場されず、冷や冷やしましたが、しばらくして来られ、イベント開始となりました。


包丁人味平「味平ライス」

 「味平ライス」は、ビッグ錠先生のグルメ漫画「包丁人味平」に登場する焼き飯です。

 「味平ライス」のストーリーは次のとおりです。

 包丁貴族・団英彦が豚肉の極上の部位「宝肉」を使う一方で、味平は豚のクズ肉を使って料理対決をすることとなりました。

 そこで味平はクズ肉をチャーシューにし、その具で焼き飯を作って「味平ライス」と名付けたのです。

 その「味平ライス」をズボラさんが再現されました。

(味平ライスの盛り付け)
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 この写真は、イベント開始前に、ズボラさんが作られた味平ライスを運営スタッフがホールケーキの形に盛り付けている様子です。

 この「味平ライス」は、角切りチャーシュー、玉子、ネギなどの具をごはんと一緒に炒めたものです。

(バースデー味平ライス)
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 味平ライスの表面にグリーンピースをのせ、それを囲うように紅しょうがを置き、頂点に味平と仲間たちのイラストを飾りました。

 この味平ライスに、さらに目玉焼きをのせることとしました。

 味平ライスがビッグサイズなので、それに合わせ、目玉焼き用の卵も鶏卵ではなくダチョウの卵が用意されました。

(ダチョウの卵)
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 ズボラさんが通信販売を利用し、1個6千円で購入されたそうです。

 目玉焼きなので、中の黄身を崩さないよう、硬い殻に穴を開け、少しずつむしり取りました。

 殻の中身をのぞき込むと…

(ダチョウの卵(中身))
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 すでに白身と黄身が混ざってしまっているような…

 中身を熱したフライパンに出してみると…

(ダチョウの卵で目玉焼きを作る様子)
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 中心が白身、周りが黄身という、通常の目玉焼きとは逆の状態になりました。

 これでは「玉目焼き」です(笑)

 中心部まで火を通す(卵を固める)には、かなり時間がかかりそうだったので、味平ライスに巨大目玉焼きをのせるのは、とりあえずパスしました。

 バースデー味平ライスに85歳を意味する「8」と「5」のバースデーキャンドルと花火を差し、火を付けてビッグ錠先生のもとへ運びました。

(バースデー味平ライスと花火・キャンドル)
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 ビッグ錠先生は花火に顔を近づけながら、その先のバースデーキャンドルの火を吹き消されました。

 その瞬間、みんなで一斉にクラッカーを鳴らし、拍手をして、ビッグ錠先生のお誕生日をお祝いしました。


スーパーくいしん坊「タワーリングカレー」

 続いてズボラさんによる「タワーリングカレー」の実演イベントが始まりました。

 「タワーリングカレー」はビッグ錠先生の漫画「スーパーくいしん坊」に登場するカレーライスです。

 寸胴(ずんどう)の中心に筒を置いてカレーを注ぎ、その筒の周りにごはんを敷き詰めて、筒と寸胴を抜くと、タワーのように高く積み上げられたカレーライスができるというものです。

 今回の実演では、寸胴と筒の代わりに、丸い金属製の型枠を5つずつ積み上げたものを使用しました。

 私も型枠にテープを貼って積み上げ、準備を手伝いました。

(タワーリングカレー調理器具)
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 こうすれば、上から1つずつ型枠を抜くことが可能となります。

 ガスコンロには、キーマカレーが火にかけられ、スタンバイしています。

(キーマカレーとダチョウの卵焼き)
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 キーマカレーの隣は、ダチョウの卵焼きです。

(レーズン入りバターライス)
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 カレー用のライスには、レーズン入りバターライスが使われました。

 私はカウンター内で、ボウルに入れた大量のバターライスとレーズンを混ぜ合わせたのですが、ごはんが重くて大変でした。

(カレーを注ぐ様子)
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 こちらは、ズボラさんが外枠にライスを敷き詰めた後、中枠にカレーを注がれている様子の写真です。

 型枠にライスとカレーを詰めた状態で、まずは中枠が取り外されました。

(タワーリングカレー(中枠取り外し))
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 会場内で「おおっ」と歓声があがりました。

 続いてライスを支える外枠が上から1つずつ取り外されました。

(タワーリングカレー(外枠取り外し))
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 リング状のライスと中心部のカレーが登場しました。

(タワーリングカレー(外観))
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 カレーライスのタワーが見事に完成しました。

 このタワーを上から順に輪切りにし、皿に盛り付ければ、次々にカレーライスができるというシナリオですが…

(タワーリングカレー)
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 お決まりのごとく、タワーが少し崩れてしまいました(笑)

 この「タワーリングカレー」は、ズボラさんが事前にチャレンジされた様子が紹介されているので、こちらも御覧ください。

(【漫画飯オフ会の練習しとこう】タワーリングカレー スーパーくいしん坊 アニメ飯再現料理 再現レシピ)

  (YouTube「ズボラの漫画飯再現料理」)


ミスター味っ子「肉なしハンバーグ」

 続いてズボラさんが、寺沢大介先生の漫画「ミスター味っ子」に登場する「肉なしハンバーグ」を実演されました。

 キャベツと玉ねぎをみじん切りにして油で炒め、さらに牛乳・小麦粉・バターを加えて炒めます。

 これをボウルに移して手でこね、ハンバーグの形に成形し、その上から小麦粉をまぶしたものがこちらです。

(肉なしハンバーグ(タネ))
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 この「肉なしハンバーグ」のタネを焼くところから実演が始まりました。

 実演は、当日参加されていた日本ハンバーグ協会理事長のバーグマン田形さんにお願いしました。

(肉なしハンバーグを焼く様子)
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 原作者の寺沢大介先生(写真奥)の目の前で実演されました。

 仕上げにデミグラスソースをかけて完成です。

(肉なしハンバーグ)
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 実際の味は、ハンバーグよりもお好み焼に近いようです。

 この「肉なしハンバーグ」もズボラさんのサイトで紹介されていますので御覧ください。

(【漫画飯再現レシピ】肉なしハンバーグ ミスター味っ子料理を再現 今回はずぼら飯でもなければガスコンロも使ってハンバーグを作っていきます)

 (YouTube「ズボラの漫画飯再現料理」)


ミスター味っ子「寿司サンドイッチ」

 夕方、湘南台の「日の出寿司」さんから特注のお寿司が届きました。

 寺沢大介先生の漫画「ミスター味っ子」に登場する「寿司サンドイッチ」です。

(寿司サンドイッチの紹介)
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 原作では、ロールパンに寿司ネタをのせたオープンサンドイッチが紹介されています。

 今回の寿司サンドイッチは、食パンに具をのせ、海苔巻き状にクルクル巻いたものを御用意いただきました。

(寿司サンドイッチ(いくら・海苔・サーモン))
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 いくら・海苔(佃煮とキュウリ)・サーモンを食パンで巻いた寿司サンドイッチです。

 本当のお寿司屋さんで作られたところがスゴイです。

 会場の参加者全員に召し上がっていただくため、寿司サンドイッチを包丁で半分に切りました。

(寿司サンドイッチ(いくら)と包丁)
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 私が包丁で切ったのですが、パンも中の具もやわらかいので、切る度に布巾で包丁を拭き、押し切りにならないよう注意しながら切りました。

(寿司サンドイッチ(海苔)の盛り付け)
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 この寿司サンドイッチを斜めに3等分に切って寿司桶に立てた方が見栄えが良いはずですが、食パンを丸めた状態だったので、こうするとバラバラに崩れてしまう危険性がありました。

 「味平ライス」、「タワーリングカレー」、「肉なしハンバーグ」、「寿司サンドイッチ」…私は運営スタッフだったので、何も食べておらず、読者の皆様にどんな味だったかお伝えできないのが申し訳ないところですが、その分、様々な写真で御想像ください。

 途中、カウンターでずっと立ちっぱなしだった私に、梅本ゆうこさん(「マンガ食堂」ブログ・本の執筆者)が温かく声をかけてくださり、グルメ漫画や食の話で盛り上がりました。

 これで一次会(漫画飯オフ会)はお開きとなり、参加者の皆さんには一旦御退場いただき、私を含む運営スタッフは二次会の準備に取りかかりました。


「シャンソン歌手・浜野ケイ子氏ライブ」と「釘師サブやん」バースデーケーキ

 二次会に向け、会場の掃除・後片付けや音響設備のセットなどをし、開始時刻の19時を迎えました。

(アルスノーバ)
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 さぁ、二次会の始まりです。

 二次会はシャンソン歌手の浜野ケイ子さんの歌と音楽を楽しみながら、みんなでビッグ錠先生の誕生日をお祝いしました。

(浜野ケイ子さんとビッグ錠先生)
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 店内の照明を落とし、シャンソンやダンスで盛り上がりました。

 私も少し余裕ができたので、再会した寺井広樹さん(実業家、映画「散歩屋ケンちゃん」監督・まずい棒考案者)と会話を楽しみました。

 その中で、ビッグ錠先生の「包丁人味平」に登場する「ブラックカレー」を商品化し、銚子電鉄で販売されているとの情報をいただきました。

 広島市南区の会社(「有限会社オフィスシン」)で開発された商品とのことです。

 私の自宅の近くで密かにブラックカレーが開発されていたとは…

(銚電ブラックカレー)
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 このブラックカレーは、寺井広樹さんが納得のいくまで何度も作り直されたようで、終盤は感覚が麻痺してしまったとのお話でした。

 私が「感覚が麻痺してこそ、ブラックカレーじゃないですか!」とお応えすると、寺井さんは「確かに」と笑っておられました。

 銚子電鉄のウェブサイトには、
「「銚電ブラックカレー」で、ブラック(黒字)企業としての立ち位置を定着させていきたい…という願いを込めました」
と紹介されていますが、「ブラック企業」という表現は誤解されますよ(笑)

 私から寺井さんへは、湘南台駅のファミリーマートに「銚子電鉄ぬれせんべい」の垂れ幕があったことをお話ししました。

(ファミリーマート「銚子電鉄ぬれせんべい」垂れ幕)
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 相鉄ステーションリテール株式会社が運営するファミリーマート32店舗(相鉄沿線、神奈川、東京)で販売されているようです。

 しばらくして、寺井さんがケーキの箱を取り出されました。

 そして寺井さんからビッグ錠先生へ、特製のバースデーケーキがプレゼントされました。

(特製「釘師サブやん」バースデーケーキ)
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 ビッグ錠先生の漫画「釘師サブやん」のコミックスやイラストがケーキで再現されています。

 会場の参加者から歓声があがり、皆さん写真を撮っておられました。

 少年誌にパチンコの漫画を連載すること自体、ぶっ飛んでいるのですが…(笑)

(ビッグ錠先生と「釘師サブやん」バースデーケーキ)
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 寺井広樹さん撮影

 バースデーケーキと一緒に、上機嫌のビッグ錠先生です。

 大盛況のうちに二次会もお開きとなり、無事イベントは終了しました。

 その後、ビッグ錠先生や浜野ケイ子さんとお話しすることができ、ビッグ錠先生から特製バースデーケーキも少しいただきました。

(「釘師サブやん」バースデーケーキ実食)
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 この時初めて知ったのですが、このケーキは、上のコミックスの部分だけが食べられるケーキで、下の大きな台は発泡スチロールで作られた飾りでした。

 台の部分から食べようとスプーンを入れたところ、発泡スチロールがポロポロ出てきたようです(笑)

 希少なケーキをいただくことができました。

 ビッグ錠先生がお帰りになる時、私は店の外へ出てお見送りをしたのですが、私からビッグ錠先生へ「お気を付けてー」とお話しすると、ビッグ錠先生から「はいよー」とお返事がありました。

 私がすかさず「知らんけどー」と叫ぶと、ビッグ錠先生は暗闇の中でズッコケておられました。


 マスターやズボラさん、運営スタッフの方々(アルスノーバの常連さん)は、12時間以上ずっと立ちっぱなしで頑張りました。

 夜も更けたので、お世話になったマスターや運営スタッフの皆さんにお礼申し上げ、私もお店を後にしました。

 とても疲れましたが、ビッグ錠先生をはじめ、皆さんと楽しいひと時を過ごせたこと、そして運営スタッフの一員としてお手伝いできたことに幸せを感じました。


まとめ

 後日、ズボラさんが今回の「ビッグ錠誕生日祭・漫画飯オフ会第8弾」の様子を動画でアップされました。

(【漫画飯オフ会8弾】タワーリングカレー&肉なしハンバーグ スーパーくいしん坊&ミスター味っ子 再現料理 アニメ飯再現レシピ ビッグ錠誕生日祭)

 (YouTube「ズボラの漫画飯再現料理」)


 「百聞は一見に如かず」で、この動画を御覧いただければ、臨場感あふれるイベント当日の様子がよくわかります。

 お忙しい中、このようなイベントを企画・実施してくださるズボラさんには感謝の気持ちでいっぱいです。

 この場をお借りして、お礼申し上げます。


<関連サイト>
 「ズボラの漫画飯再現料理」(ずぼら料理研究家)
 「マンガ食堂」(梅本ゆうこ)
 「日本ハンバーグ協会
 「散歩屋ケンちゃん」(「散歩屋ケンちゃん」製作委員会 )
 「有限会社オフィスシン」(広島市南区西旭町4-9)

<関連記事>
 「ビッグ錠先生の世界8 -ビッグ錠誕生日祭(チャップマンさんの漫画めし料理 包丁人味平の「味平カレー」と「ブラックカレー」)-
 「ビッグ錠先生の世界14 -映画「散歩屋ケンちゃん」DVD制作プロジェクト 「デキらぁめん」・「ブラックカレー」をビッグ錠先生と食べる会-

2024年10月13日 (日)

グラスフェッドバターの特徴と魅力 -グラスフェッドバターとバターの違い-

グラスフェッドとは

 「グラスフェッド(grass fed)」とは、英語で「草・牧草(grass:グラス)」を「(飼料として)与えられた(fed:フェッド、feedの過去分詞)」という意味です。

 牛は本来、牧草を食べて育つ草食動物なのですが、限られた敷地の中で、成長を促進し、乳量を増やすため、畜産業界・畜産農家では穀物や濃厚飼料を与えて育てることが一般的となっています。

 牧草のみで育てようとすると、広大な牧草地を用意する必要があり、飼育効率も下がるなど、コストが高くつくからです。

 しかしながら、近年「食の安全・安心」や「健康意識の高まり」、「環境への配慮」そして「アニマルウェルフェア(家畜福祉)」といった観点から、牧草で育てられた牛の肉(グラスフェッドビーフ)、乳(グラスフェッドミルク)、チーズ(グラスフェッドチーズ)、バター(グラスフェッドバター)などが注目され始めています。

 私も食の情報誌などで「グラスフェッド」が話題になっていることは知っていたのですが、
「健康や環境、アニマルウェルフェアなどへの意識・関心が高い人が買い求めるのだろう」
「グラスフェッドとそうでないものは、価格は大きく異なっても、味の差は大したことないのだろう」
との思い込みから、特に興味は持っていませんでした。


グラスフェッドバターとの出会い

 ところがある日、その考えが一変します。

 広島県福山市のフランス料理店でコース料理をいただいた際、シェフから「パン用のバター、グラスフェッドバターも御用意していますが、いかがでしょう」と尋ねられ、私は「ものは試しに」とグラスフェッドバターを注文したのです。

 すると、普通のバターとグラスフェッドバターが並べて提供されました。

 そのグラスフェッドバターは濃い黄色をしており、パンに塗っていただくと、濃厚なコクとうま味を感じました。

 私が抱いていたグラスフェッドバターに対するイメージは、
「牧草で育った牛の乳から作られたバターはあっさりしている」
「穀物や濃厚飼料を食べた牛の乳で作ったバターの方がコクとうま味が強い」
というものですが、このイメージがあっさりと覆されました。

 私はこの瞬間からグラスフェッドバターのとりこになりました。


グラスフェッドバターの特徴

 グラスフェッドバターは、「牧草を飼料として与えられて育った牛の乳から作られたバター」です。

 後日、フランス料理店のシェフから教えていただいたグラスフェッドバターが広島市内で販売されていたので、購入しました。

(三良坂フロマージュ・グラスフェッドバター(包装))
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 広島県三次市三良坂町にある、チーズをはじめとした乳製品の販売店「三良坂フロマージュ」のグラスフェッドバターです。

 「山地酪農」は、牛や山羊をなだらかな山地に放牧して育てる循環型酪農を言います。

 日本では希少な「ブラウンスイス種」の牛を、牧草のみで育て、その牛のミルクから得られた少量のクリームから作られた貴重なバターです。

 それでは開封してみましょう。

(グラスフェッドバター(三良坂フロマージュ))
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 菊の御紋か仏壇に供える砂糖菓子(落雁)のような形をした、高級感あふれるバターが登場しました。

 普通のバターと並べて色の違いを見てみましょう。

(グラスフェッドバターとバター)
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 写真左の三角形がグラスフェッドバター、写真右の四角形が普通のバターです。

 グラスフェッドバターの方が濃い黄色であることがわかります。

 これは、牛が食べた牧草に「ベータカロテン(βカロテン)」が多く含まれているからです。

 ベータカロテンは濃いオレンジ色(赤色)の色素であり、これがバターの色に関係しているのです。

 ベータカロテンはニンジン、カボチャ、ホウレンソウなどの緑黄色野菜や、ミカン、スイカなどの果物にも多く含まれており、抗酸化作用や免疫力を高める効果があるとされています。

 また、体内で必要に応じてビタミンAに変換されるため(プロビタミンA)、ビタミンAの効果も期待できます。

 グラスフェッドバターと普通のバターを焼いた食パン(トースト)にのせてみました。

(グラスフェッドバターとバター(トースト))
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 トーストの左側がグラスフェッドバター、右側が普通のバターです。

 トーストの熱で、普通のバターよりもグラスフェッドバターの方が早く溶けました。

 普通のバターに比べ、グラスフェッドバターの方が溶けやすい(融点が低い)のです。

 これは、グラスフェッドバターに不飽和脂肪酸が多く含まれるために起こる現象です。

 まとめると、グラスフェッドバターは、
①普通のバターと比べて不飽和脂肪酸が多い
②マーガリンと比べてトランス脂肪酸が少ない
という「いいとこ取り」をした食用油脂だと言えます。

 ただし、不飽和脂肪酸が多い分、酸化しやすく、風味の劣化も早いので、早く食べ切る必要があります。


グラスフェッドバターの魅力

 グラスフェッドバターの一番の魅力は、そのおいしさにあります。

 牧草で飼育するには時間がかかりますが、牛にかかるストレスが少ないため、風味のよい生乳となり、コクのあるバターができるのです。

(バタートースト(グラスフェッドバター))
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 グラスフェッドバターは熱で溶けやすいので、トーストにスイスイ塗れます。

 また、グラスフェッドバターをパンに塗るのではなく、切ってのせて食べると、贅沢感が増して、より美味しくいただけます。

 グラスフェッドバターは、普通のバターと比べて値段が高いのですが、バターがお好きな方は一度お試しいただく価値ありです。

<関連サイト>
 「三良坂フロマージュ」(広島県三次市三良坂町仁賀1617-1)

2024年10月 6日 (日)

あずきの研究18 -御座候 書写山麓店の赤タルト・赤ブレンド珈琲・豆紡(まめつむぎ)-

姫路の御座候と書写山

 兵庫県姫路市にやってきました。

(姫路駅前から眺めた姫路城)
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 姫路駅から真正面に位置する姫路城を眺めると、姫路に来たことを実感します。

 ここ姫路は、回転焼(今川焼、大判焼)で有名な「御座候(ござそうろう)」の本拠地です。

 その御座候が、令和4(2022)年4月に手仕事をテーマとした旗艦店、手仕事喫茶「御座候」書写山麓店(しょしゃさんろくてん)をオープンされました。

 こちらのお店で小豆を使ったオリジナルケーキや、回転焼「御座候」の赤あん・白あんに合うオリジナルコーヒーが味わえるという情報を得たので、訪問することとしました。

 書写山は姫路市街から車で約20分の場所にあり、姫路駅から気軽に歩いて行ける距離ではないため、姫路駅北口から神姫(しんき)バスの「書写山ロープウェイ」行きを利用して書写山を目指しました。

 姫路駅からバスで約30分で終点「書写山ロープウェイ(山麓駅)」に到着しました。

(書寫山圓教寺案内図)
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 書写山山頂にある「書寫山圓教寺(しょしゃさん えんぎょうじ)」は天台宗のお寺で、「西の比叡山」とも呼ばれています。

(書写山ロープウェイ)
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 書写山の山麓と山頂を結ぶ、書写山ロープウェイです。


御座候 書写山麓店

 書写山ロープウェイ山麓駅のすぐ近くに「御座候 書写山麓店」があります。

(御座候 書写山麓店 駐車場案内看板)
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 手仕事を意識し、手作り感のある駐車場案内看板がありました。

(御座候 書写山麓店 入口)
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 お店の入口には、石積みの門と店名が書かれた表札がありました。

 通路の中心に大きな木がありますが、それをあえて残されているところに、自然の恵みを生かし、大切にされているお店のお心遣いを感じました。

 中に入ると、きれいに手入れされた庭の先にお店がありました。

(御座候 書写山麓店 店舗)
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 のれんのデザインが、赤あんと白あんの「御座候(回転焼)」に見えます。

 どんなあずきの世界が待っているのか、期待しながらお店に入りました。


赤タルトと赤ブレンド珈琲

 入口では、お店の方が「御座候(回転焼)」を焼いておられました。

 テーブル席に着き、メニューを見ると、
・焼きたての「御座候(赤あん、白あん)」
・小豆を使ったオリジナルケーキ「赤タルト」、「赤ロール」
・赤あんや白あんの風味に合わせた「赤ブレンド珈琲」、「白ブレンドコーヒー」
・同じく赤あんや白あんの風味に合わせた「赤の煎茶(冷茶)」、「白の煎茶(冷茶)」
・「あずき茶」、「和紅茶」
・「ぞうすい」、「うどん」、「赤飯おにぎり」(ランチタイム)
などが用意されていました。

 あずき好きの私は、このお店でしか味わえない「赤タルト」と「赤ブレンド珈琲」を注文しました。

 その際、お店の方から、持ち帰り用の「御座候(回転焼)」の注文の有無を確認されました。

 喫茶ルームで過ごした後、帰りに焼きたての「御座候(回転焼)」を用意していただけるようです。

 遠方ということもあり、私は「赤タルト」と「赤ブレンド珈琲」のみ注文しました。

 テーブル席から外の庭を眺めながら待っていると、しばらくしてタルトとコーヒーが運ばれてきました。

(赤タルトと赤ブレンド珈琲)
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 あずき好きにはたまらない、夢のような組合せです。

 「赤タルト」をアップで見てみましょう。

(赤タルト)
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 タルトの表面に寒天でつやを出した小豆がのせられている様子は、和菓子の「水無月(みなづき)」を連想させます。

 サックリと焼かれたタルト生地の上に、しっとりとしたあんこクリームの生地がのせられ、表面には粒あんがたっぷりとかけられています。

 タルトの周囲には生クリームがデコレーションされ、和菓子好きも洋菓子好きも喜ぶお菓子となっています。

 「赤タルト」を味わってから「赤ブレンド珈琲」をいただきました。

 私はコーヒーをストレートで飲むため、濃すぎたり苦すぎたりするコーヒーは苦手なのですが、このコーヒーは繊細な小豆の味を生かすよう、まろやかで苦味も少なく仕上げられています。

 「小豆にはお茶」という概念を覆す、ストレート派にも嬉しいハンドドリップコーヒーでした。


書写山麓店限定「豆紡(まめつむぎ)」

 喫茶タイムを楽しんだ後、店内の販売商品を見て回りました。

 すると、書写山麓店限定で「豆紡(まめつむぎ)」というお菓子が販売されていました。

(豆紡(包装))
Photo_20241005145701

 遠方から来られたお客さん向け、お土産向けに開発された商品です。

 日持ちがし、小豆やてぼう豆の風味を最大限生かした豆粉のお菓子です。

(豆紡(詰め合わせ))
Photo_20241005145801

 写真左列の茶色のお菓子が「珈琲(エスプレッソ)」、中央列の紫色のお菓子が「あずき」、右列の若草色のお菓子が「煎茶」です。

 丸いコイン形をした、直径約3.5cm、厚さ約0.8cmのお菓子です。

(豆紡(あずき・煎茶・珈琲))
Photo_20241005145802

 こちらの写真は、上が「あずき」で御座候(回転焼)を焼く職人の姿が、右下が「煎茶」で重箱に詰められた和菓子が、左下が「珈琲(エスプレッソ)」でお餅を搗く臼と杵がそれぞれ描かれています。

(豆紡・あずき(中身))
Photo_20241006073401

 見た目は落雁(らくがん)のようですが、落雁より甘さは控えめで、しっとりとしています。

 豆粉を氷砂糖の粉末で固めたお菓子です。

 「あずき」があるのは当然として、なぜ「珈琲(エスプレッソ)」があるのか、なぜ抹茶ではなく「煎茶」なのかと思いましたが、よく考えるとお店の喫茶のドリンクメニューと一致していることに気付きました。

 「お店の味を御家庭でも」が商品コンセプトだと思います。

 豆粉特有のホロッとした食感で、豆とそれぞれの素材の濃厚な味わいを楽しむことが出来ました。


 「御座候 書写山麓店」は、あずき好きにはたまらない、手仕事喫茶で御座候。


<関連サイト>
 「御座候 書写山麓店」(兵庫県姫路市書写1199-3)

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