フランス料理の特徴と主な料理4 -コース料理1-
久しぶりにフランス料理のディナーを食べに行きました。
今回のメニューをもとに,フランス料理を研究したいと思います。
<アミューズ「エスカルゴのブルゴーニュ風」>
ミニサイズのカスロールに入っており,楽しませてくれます。ブルゴーニュはワインの産地として有名ですが,そのぶどうの葉を食べるエスカルゴも特産品です。エスカルゴ・バターという,エシャロット,にんにく,パセリ,塩,こしょうを加えたバターを使ってオーブンで焼いた料理です。バゲットと一緒に食べるとガーリックトーストのような感じでまた美味しいです。
<スープ「シャンピニョンのスープ カプチーノ風」>
シャンピニョン(Champignons)はきのこ全般をさします。シャンピニョンを繊維のみになるぐらい煮込んで,そのエキスだけを布でこしてスープにするとのことです。濃厚なきのこの風味をカプチーノ仕立てで味わうことができる,美味しいスープでした。
<前菜「天然鯛のムース」>
天然鯛のすり身に生クリームや卵白を加えて作られたものと思います。ファルス(Farce:詰物,まぜ物)の一種です。ブラン・マンジェ(後述)のようなふるふるとした食感で,周りに巻かれたクルジェット(courgette:ズッキーニ)がそれを支えています。ソースは「ブール・ブラン(Beurre Blanc:白いバター)」という,バター,エシャロット,白ワイン,生クリーム等を使ったソースです。スープと同様,天然鯛のエキスのみをムースでいただくという,贅沢な料理になっています。
<メイン「豚タンの香草焼き」>
もみじ豚のタンを使った香草焼きです。ペルシヤード(Persillade)という,パセリ,にんにく,オリーブ油等を混ぜたパン粉が用いられていると教えてもらいました。ペルシヤードは綴りからみて,ペルシ(Persil:パセリ)が由来だと思います。フライパンに薄く油をひいて炒め焼きするコートレット(Cotelette:カツレツ)と同じ調理法だと思います。豚タンの料理は初めてでしたが,とても軟らかくて,美味しかったです。
<メイン「牛ホホ肉赤ワイン煮込み」>
ソースがミロワール(miroir:鏡)のようにつやが出ています。これは惜しげもなく赤ワインが用いられている証拠です。フランス料理に「牛肉の煮込み,ブルゴーニュ風」という,牛肉を香味野菜(玉ねぎ,人参,セロリ),トマト,赤ワインで煮込む料理があり,私も何度か作ってみて思うのですが,このソースをそのまま使ったのでは,このような見事なつやや色になりません。少なくとも,仕上げのソースは,ソース・ヴァン・ルージュ(Sauce vin rouge:赤ワインソース)のような,ほとんど赤ワインで作られたソースだと思います。実際,シェフも1人分で何本も赤ワインを使うとおっしゃっていました。この店のこのソースに惚れ込んで,何度も家でに挑戦するのですが…。味はもちろん,ナイフなしでも切れるぐらい煮込まれており,美味しかったです。
<デザート「ブランマンジェ,コーヒー,小菓子」> 画像はありませんが,ブランマンジェ(Blanc Manger:白い食べ物)という,牛乳や生クリームを砂糖などで加えてプリン型に固めた冷菓です。ソースにはメロンが使われていました。砂糖ではなく,香川の和三盆を使っておられるそうです。前回いただいた「ピーチ・メルバ(バニラアイスクリームと桃のシロップ漬けにラズベリーソースをかけたデザート)」と同様,この店のシェフは,フランス料理の基本をきっちりおさえた上で,シェフのオリジナリティも加えられているのです。絶妙な固まりぐあいで,美味しくいただきました。
ジョエル・ロブション(Joël Robuchon)で腕を磨かれたシェフに,今回もとても美味しい料理を提供していただきました。帰宅し,フランス料理の本を開くと,そのとおりが載っているので,とても勉強になります。いつも,値段以上の感動と満足と勉強をさせていただいているシェフに感謝しています。
(研究)
1 フランス料理でハーブを多用するのは,家の周りに自生していて,使いやすいから。わざわざハーブを買わないとも。日本では,フランス料理などを作る際にはハーブを買ったり,栽培したりして入手するが,この話を伺って,「身近にある食材から料理は生まれる」と改めて思い知らされる。
2 エシャロットが売られているのをあまりみかけないことについて,シェフに尋ねたところ,そもそも日本ではあまり栽培されていないことが理由とのこと。これも①と同じく,フランスでは身近にある食材だからソースなどに多用されている事例。
3 和三盆は香川・徳島の特産品。それまで砂糖は輸入に頼っていたが,金銀の海外流出の原因となり,この事態を食い止めるため,徳川吉宗が国内生産を奨励,高松藩出身の平賀源内が栽培書を著し,香川や徳島で和三盆が特産品となり,和菓子の普及につながる。
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