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2014年7月

2014年7月29日 (火)

土用の丑の日 -土用・うなぎの蒲焼・土用餅-

(土用)
 土用は,立春・立夏・立秋・立冬の前,約18日間をさします。春夏秋冬各季節の変わり目とも言えます。これは古代中国の「陰陽五行説」という,この世の全てのものを陰と陽2種類の「気」と,「五元素」の作用「五行」の相互作用によって説明しようという考えに基づいています。

 ○「五行配当表」(一部) [「色彩の世界地図」21世紀研究会編から抜粋,一部加工]
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 季節は,一般的に春夏秋冬の「四季」で表されますが,これを五行説で表すと,「五行配当表」の中心の「土」の箇所に「土用」という時期が設定されていることがわかります。「東西南北」の「中央」と同様,私には多少無理して5つにしているようにも思いますが(笑),この表でイメージはつかめるかと思います。
 なお,「十二支」の辰・未・戌・丑はそれぞれ旧暦の3月・6月・9月・12月のことで,各季節の最後の月であることから,「土用」を含む月となっています。

 この「土用」の時期の「丑」の日にあたる日が「土用の丑の日」となります。

(うなぎの蒲焼)
 うなぎは縄文時代から食べられており,万葉集の大伴家持の歌にも「武奈伎(むなぎ)」として登場します。

 「蒲焼」の呼び名は,
○うなぎを丸ごと(又はぶつ切りにして)長い串にさして焼いたのが,水辺に生える蒲(がま)の穂に似ているから
○樺(かば)色に焼けるから「樺焼き」
○匂いがよく香りが早く感ぜられることから「香はや(疾)き」
など諸説があります。

 土用の丑の日にうなぎを食べることを奨励し,宣伝したのは平賀源内とされています。「里のをだまき評」という本の中でうなぎが体によいことが紹介され,その後,急にうなぎが売れるようになったと言われています。平賀源内は砂糖の普及にも一役買っており(「あずきの研究5-和菓子と砂糖の歴史-」参照),食文化に大きな影響を与えたコピーライターとしての一面も伺えます。
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 土用の丑の日になると,夏バテ防止のためにうなぎを食べようというイメージが定着していますが,乱獲の影響もあり,ヨーロッパウナギがワシントン条約で輸出が禁止されたり,最近では,ニホンウナギがレッドリストの絶滅危惧種に指定されるなど,世界に流通するうなぎの7~8割を消費している日本にとっては厳しい話もあります。
 うなぎはもはや贅沢品となっていますが,これは私達の自業自得でもあるため,今のところは少し我慢して,たまの贅沢品として食べるにとどめ,また資源が回復して,気軽に食べられる日がくればと思います。

 それにしても…。土用の丑の日にうなぎを食べるようになったのは,うなぎがさっぱり売れなくて困っていたうなぎ屋が平賀源内に相談したことが発端だとすれば,過剰にうなぎを求め,希少な資源となった現在の状況は,何とも皮肉な出来事です。

(土用餅)
 和菓子屋さんで土用餅のポスターを見つけ,購入しました。土用に食べるあんころ餅です。餅で力をつけ,小豆で厄除けして,暑さを乗り切るという意味があります。餅も小豆も,様々な行事食に登場しますが,この土用餅も,その行事食の流れで定着した食べ物だと思います。
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2014年7月25日 (金)

坊っちゃんの耳かき -愛媛県松山市-

道後温泉にある「道後ハイカラ通り」で購入しました。
夏目漱石の小説「坊っちゃん」の主人公です。
坊っちゃんゆかりの地である松山には,坊っちゃん団子,坊っちゃん列車,坊っちゃんスタジアムなど坊っちゃんの名称が多く用いられています。
「道後ハイカラ通り」には,たくさんの土産物店があり,温泉につかり,この通りを散策すると楽しいです。
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2014年7月21日 (月)

ロシア料理の特徴と主な料理1 -アラカルト-

 ロシア料理は,帝政ロシア時代の宮廷料理や広大な国土に分布する様々な農民料理の集合体です。

(ロシア料理の特徴)
 ロシア料理は,
・厳しい冬の寒さに耐えるために,バターやチーズなど脂肪の多い濃厚な料理や,ウォッカなどアルコール度数の高い酒が好まれる。
・身体を温めるため,ボルシチに代表される具だくさんのシチュー・スープ・煮込み料理が多い。
・貯蔵可能な酢漬け・塩漬け・燻製・瓶詰・缶詰が頻繁に利用される。
・トマトやビーツ,唐辛子など赤系統の素材が好まれる。
といった特徴が挙げられます。

(ロシア式サービス)
 ロシアは寒さが厳しいため,一度に料理を出していたら,食べ終わる前に熱い料理が冷めてしまいます。そのため,熱いものは熱く,冷たいものは冷たく,一番美味しい状態で食べられるように,料理を出す順番を決めて,テーブルに運ばれ,一皿ずつサービスされるのが「ロシア式サービス」です。今日のフランス料理をはじめとするコース料理で主流のサービス方式となっています。
 ちなみに,かつての「フランス式サービス」とは,王侯貴族の宴席などで,数多くの料理を一度に並べて,常にテーブルの上を豪華絢爛に飾りたてておくサービス方式を言います。
 パリに赴任したロシアのクラーキン大使が主催する宴会で,ロシア式サービスをフランスに紹介し,フランスでも徐々に賛同者が増えていき,このロシア式サービスが広まったようです。

(ロシア料理の事例)
「ザクースカ(前菜)」
 前菜の呼び名です。このザクースカは,チーズ(カマンベール,クリーム),豚肉オーブン焼,ハム(サラミ,豚肉塩漬け)です。豚肉塩漬けはパンチェッタのような味,豚肉オーブン焼は塩・胡椒がベースのシンプルな味で,イタリア料理の前菜とよく似ています。
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「ピロシキ」
 ロシア料理の代表格です。日本ではカレーパンのような揚げたピロシキが一般的ですが,東欧諸国では焼いたピロシキの方が一般的なようです。今回は焼きピロシキで,餃子の餡のようによく練り込まれた肉や野菜が具となっています。
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「ペリメニ」
 水餃子のイメージです。小さな肉団子を小麦粉の皮で包んでブイヨンで茹でた料理です。同じ食べ物が,トルコ料理の「マントウ」,イタリア料理の「ラヴィオリ」,ネパール料理やチベット料理の「モモ」などにもみられますが,これらは全て中国料理の水餃子が起源だと思います。このペリメニには,スメタナ(サワークリーム)をつけていただきました。
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「ボルシチ」
 ウクライナの伝統料理で,トムヤムクンやブイヤベースと並ぶ世界的に有名なスープです。赤い色が印象的ですが,これはトマトと言うよりは主にビーツの色です。ビーツは甘いカブのような野菜で,少量でもスープが真っ赤になります。キャベツや玉ねぎ,じゃが芋などたっぷりの野菜にハム,ソーセージ,肉などを加え,ビーツやトマトと一緒に煮込んで,仕上げにサワークリームをのせたスープで,見た目もそうですが,食べるととても温まります。
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(自家製ボルシチ:周りの丸い紫の輪切りがビーツ)
 過去に私が作ったボルシチです。ビーツは缶詰,具はキャベツ,ソーセージ,人参で作りました。ビーツだけでも赤色のスープになることが理解できました。
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「タバカ(鶏肉のグリル)」
 スパイスが効いた鶏肉のグリルで,グルジアからロシア全土に広まった料理とされています。手羽先からもも肉までがひと塊で盛られており,この一皿で食事になるほど,食べ応え抜群でした。鶏一羽を豪快に唐揚げにするインドネシア料理の「アヤム・ゴレン(鶏肉の唐揚げ)」に似ているように思いました。鶏肉の料理では,このほかに,バターを包み込んでパン粉で揚げたウクライナの伝統料理「キエフ風カツレツ」が有名です。

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(参考:「地名の世界地図」21世紀研究会編から引用し,一部加工)
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2014年7月17日 (木)

鎌倉大仏の耳かき -神奈川県鎌倉市-

 鎌倉大仏は,浄土宗の寺院,高徳院の本尊です。
 奈良の東大寺大仏との違いは,①東大寺大仏は大仏殿(建物)の中に納められているが,鎌倉大仏は大仏殿(建物)がない。②手の形(印相)が東大寺大仏は「施無畏(せむい)印・与願(よがん)印」(釈迦如来の印相),鎌倉大仏は「上品上生(じょうぼんじょうしょう)印」(阿弥陀如来の印相)となっていることです。

(印相の意味)
施無畏印…人々の恐れを取り去る(手のひらを正面に向けて立てる)
与願印…多くの人に限りない慈悲を与える(手のひらを下に向けて差し出す)
上品上生印…人間の9通りの往生しかたで最高の往生を表す(手のひらを上に向けて両手の親指を合わせ,両手の人差し指を曲げて親指に合わせる)

 この耳かきも,印相から鎌倉大仏だと確認することができます。
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2014年7月14日 (月)

復刻カバ車とUCCカフェSmile号

 リビング食育健康元気フェスタ in グリーンアリーナに行ってきました。

 そこで,カバヤ食品のカバ車「クッキーくん」を発見しました。
(復刻カバ車「クッキーくん」前方)
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 トヨタ・エスティマを改造して作られているとのことです。
(復刻カバ車「クッキーくん」後方)
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 また,屋外では,神戸から駆け付けてくれたUCCカフェSmile号に出会えました。
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 展示を見るのも楽しいですが,移動している様子も見てみたいです…(笑)。


 このほかにも,食品メーカーを中心に,商品の展示や試食,食の体験コーナー,健康づくりコーナーなど,盛り沢山のイベントで,楽しみ,勉強することができました。

(日本ハム「ウィンナー飾り切り」の展示)
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(マルちゃん「赤いきつねうどん カープ応援カップ」)
 赤いきつねと赤いユニフォームの「カープ坊や」が見事にマッチしています。
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2014年7月 7日 (月)

七夕の行事食

 七夕の行事食と言えば,そうめんです。確かにそうめんは織姫が織る糸のようにも見えますし,束ねると天の川のようにも見えます。

(そうめん[縒(より)つむぎ,古(ひね)])
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 そのそうめんですが,ルーツは遣唐使によって中国から伝来した唐菓子(「からくだもの」,米粉や小麦粉を油で揚げたり,焼いたもの)の「索餅」という菓子にさかのぼります。「索」は「縄」,「餅」は中国では「小麦粉で作った食品」の意味なので,索餅は「縄のように長い小麦粉食品」という意味になります。小麦粉,米粉,塩を練って縄のように伸ばし,ねじって油で揚げたもので,日本ではその形をとって「牟義縄(むぎなわ,麦縄)」と呼ばれました。酢,醤,塩,糖などをあえて食べられたようです。

(いろいろな唐菓子:岡田哲「食文化入門-百問百答-」)
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 七夕に索餅が食べられるようになったのは,「7月7日に病で亡くなった子供の好物が索餅だったので,その索餅をお供えし,病の流行を防いだ」という中国の故事に基づくようです。
 その索餅も,時を経て,だんだんと原形を失い,呼び名も「素麺(そうめん)」となり,現在に至っています。

 年に一度,7月7日だけ会うことを許された織姫と彦星ですが,その日には,天の川にカササギが橋を架けてくれます。何ともロマンチックな話ですね。

(上生菓子:「かささぎの橋」)
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2014年7月 6日 (日)

新幹線500系の耳かき -大阪府大阪市-

大阪市港区にあった交通科学博物館(平成26年4月6日閉館)のお土産です。

JR西日本所有の500系は,当初は「のぞみ」として運転されていましたが,後継の700系・N700系が登場してからは,山陽新幹線の「こだま」(8両編成)として運転されています。

広島では,この500系「こだま」(グレー・青)のほかに,700系・N700系「のぞみ」・「ひかり」(白・青),700系「ひかりレールスター」(グレー・黄),九州新幹線N700系「みずほ」・「さくら」(白藍(はくあい)・藍・金),そしてドクターイエロー(黄・青)と様々なカラーの新幹線を見ることができます。
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2014年7月 4日 (金)

耳かきをするおばあさんの耳かき

メガネをかけたおばあさんが気持ち良さそうに耳かきをしています。
丸メガネを使って,裁縫し,一段落ついたところで耳かきをしている姿が目に浮かびます。
この表情を眺めると,自分も耳かきをしたくなります。
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2014年7月 3日 (木)

大葉餅

 和菓子屋で大葉餅が売られていたので購入しました。

 店の広告を読むと,小豆餡が入った道明寺餅を地元で採れた大葉で包んだ餅とのことでした。

 
これまで,大葉餅なるものを食べたことがなかったので,当初は「(道明寺)桜餅の大葉版」で,塩漬けにした桜の葉と同様,この大葉(青じその葉)も塩漬けなど加工して餅を包んでいるのだろうと思っていました。

 和菓子屋で購入し,持って帰って開けてみると,外気の熱で,大葉から大量に汁がにじみ出ていました。大葉が何も手を加えられていない生のままだったからですが,少し驚きました。

(手前:大葉餅を半分に切った様子,奥:大葉餅全体)
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 実際にいただいてみると,大葉がとてもやわらかく,さわやかなしその香りが口いっぱいに広がり,この香りが道明寺餅や小豆餡のアクセントになり,想像以上によく合いました。生い茂った夏の草原が思い浮かびました。春に様々な桜餅を楽しめるように,初夏には大葉餅を楽しめるのだと思うと,得した気分になりました。

 後になって,この風味・食感は,しその葉おにぎりとよく似ていることに気付きました。同様に,道明寺桜餅やおはぎなども,味付けや中身は異なりますが,おにぎりと同じ発想と考えることもできるのではないでしょうか。

 
和菓子は,春夏秋冬・花鳥風月を楽しむ嗜好品とも言えます。この大葉餅は,大葉の美味しい時期に,摘んで間もない大葉を使い,買ったらすぐに食べるという,まさに今という時を味わう和菓子だと思います。

 今ある食材を,あまり手を加えず,一番美味しい状態で,新鮮なうちに味わうというのは,最高の贅沢だと思います。

2014年7月 1日 (火)

山口の食文化探訪2 -岩国市「いろり山賊」のポテトチップス山賊焼味-

 先日,広島市内のスーパーでポテトチップスの山賊焼味が販売されていました。
 山賊焼きや山賊むすびで有名な「いろり山賊」とカルビーの共同開発によるポテトチップスです。

 いろり山賊は,山口県岩国市玖珂町の山中にある,巨大な飲食店で,広島の人間は「車の免許を取ったら山賊へ」と言われるぐらい,人気のあるドライブスポットです。

 このポテトチップスは,袋を開けた瞬間,山賊焼き独特の香りが漂い,味は意外とあっさりしていましたが,よく再現されており,美味しくいただきました。

(表)
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(裏)

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 「いろり山賊」は,祭りに行ったみたいな雰囲気で,野外で食事できたり,土産物店があったり,どこからともなく太鼓や笛の音が聞こえるなど,いろいろと楽しめるので,人気があります。
 外国人も多く,ジャパニーズ・カルチャーを感じることのできる名所として有名なようです。

 個人的には,カルビーポテトチップスが「カルビーポテトッチス」,店にあるメニュー表のブルーマウンテンNo1が「ブルーマンテンNo1」などと表現されていたりするところが,好きだったりします。

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