大葉餅
和菓子屋で大葉餅が売られていたので購入しました。
店の広告を読むと,小豆餡が入った道明寺餅を地元で採れた大葉で包んだ餅とのことでした。
これまで,大葉餅なるものを食べたことがなかったので,当初は「(道明寺)桜餅の大葉版」で,塩漬けにした桜の葉と同様,この大葉(青じその葉)も塩漬けなど加工して餅を包んでいるのだろうと思っていました。
和菓子屋で購入し,持って帰って開けてみると,外気の熱で,大葉から大量に汁がにじみ出ていました。大葉が何も手を加えられていない生のままだったからですが,少し驚きました。
(手前:大葉餅を半分に切った様子,奥:大葉餅全体)
実際にいただいてみると,大葉がとてもやわらかく,さわやかなしその香りが口いっぱいに広がり,この香りが道明寺餅や小豆餡のアクセントになり,想像以上によく合いました。生い茂った夏の草原が思い浮かびました。春に様々な桜餅を楽しめるように,初夏には大葉餅を楽しめるのだと思うと,得した気分になりました。
後になって,この風味・食感は,しその葉おにぎりとよく似ていることに気付きました。同様に,道明寺桜餅やおはぎなども,味付けや中身は異なりますが,おにぎりと同じ発想と考えることもできるのではないでしょうか。
和菓子は,春夏秋冬・花鳥風月を楽しむ嗜好品とも言えます。この大葉餅は,大葉の美味しい時期に,摘んで間もない大葉を使い,買ったらすぐに食べるという,まさに今という時を味わう和菓子だと思います。
今ある食材を,あまり手を加えず,一番美味しい状態で,新鮮なうちに味わうというのは,最高の贅沢だと思います。
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