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2014年11月

2014年11月28日 (金)

韓国・朝鮮料理の特徴と主な料理3 -薬コチュジャンと薬食同源-

(コチュジャン)
 コチュジャンは甘辛い唐辛子味噌のことで,韓国・朝鮮料理の基本的な調味料の1つです。穀物(もち米,うるち米,大麦,小麦など)のでんぷんを味噌と混ぜ合わせて糖化させ,唐辛子粉と塩を加えて熟成させて作られます。

 ビビンバ,トッポギ,タッ(鶏)カルビなど,鍋物・炒め物・和え物などあらゆる料理の調味に使われており,韓国・朝鮮料理を作る際には必須の調味料と言えるでしょう。

(薬食同源と「薬」のつく食べ物)
 韓国・朝鮮食文化は,中国からの思想である「薬食同源」(食物それぞれに薬効を求め,食を通じて健康の維持・増強を図る)という考えがベースにあります。

 薬飯(「薬食」とも呼ばれるもち米のおこわ),薬酒,薬果(伝統菓子)のように,「薬」のついた食べ物が多いのも特徴の1つです。

 韓国・朝鮮料理の基本となる調味料として「薬念(ヤンニョム)」があります。味噌(テンジャン),コチュジャン,醤油,(粉)唐辛子,にんにく,ゴマ(油)などで作られる調味料です。

(薬コチュジャン)
 今回,伺った韓国料理店で,「これを添えて食べてみて」と出していただいたのが,この薬(ヤッ)コチュジャンです。

(薬コチュジャン)
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 どういう字を書くのか伺ったところ,「薬」と書くとのお話だったので,とても興味を持ちました。

 コチュジャンに牛肉の挽き肉などを加え,炒めて作られます。

 料理に万能に使えるという意味や,材料として用いる蜂蜜が体の薬になるという意味で「薬」が用いられているようです。

 そのままご飯のおかずとしたり,サンチュ(チシャ)やシソなどの野菜と一緒に食べたり,ご飯にナムルとこのヤッコチュジャンを混ぜれば,そのままビビンパにもなると思います。

 応用範囲が広い万能味噌。そのまま食べても美味です。

2014年11月24日 (月)

バングラデシュ料理の特徴と主な料理 -プリ-

 バングラデシュはインドの東側に位置し,ベンガル湾に注ぐガンジス川を有する国です。
 イギリス領インドからの独立の際,ヒンドゥー教地域はインドとして,イスラム教地域はパキスタンとして,分離独立することとなりました。
 そのパキスタンは,インドの北西部に位置する西パキスタン(現在のパキスタン)と,西パキスタンからインドを隔てて1,000km以上東に離れた東パキスタンとで成り立っていましたが,同じイスラム国家とは言え,遠く隔てられ,経済・文化などの違いもあったことから,東パキスタンはパキスタンからも独立し,現在のバングラデシュとなりました。

 食文化は,魚と米が中心で,インド料理の影響を強く受けています。
 ただ,イスラム教の影響で,豚肉はタブーですが,ヒンドゥー教でタブーとされる牛肉が食べられていることは,特筆に値すると思います。

 今回,「国際交流・協力の日」というイベントの屋台(「ひろしま国際村」)で,プリというお菓子が売られていました。

(プリ)
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(プリの紹介文)
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 小麦粉の生地の中に砂糖とバターで炒めた刻みココナッツを入れ,油で揚げたお菓子です。揚げた生地と甘くてサクサクのココナッツがよく合い,ドーナツのようなお手軽なおやつのようです。
 インドなどで食べられている揚げパン「プーリー」がルーツとなっているお菓子ではないかと思います。

(プリの中の様子)
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 このプリを食べたバングラデシュ出身の方が美味しいと言われていたので,それだけ本場の味に近いのだろうと思いながら,私も美味しくいただきました。

2014年11月22日 (土)

イタリア料理の特徴と主な料理2 -スフォリアテッラ-

 デパートのイタリア展で,スフォリアテッラというお菓子が売られていたので,購入しました。普通の菓子パンのような感じですが,値段は378円と,デパートの出張販売であることを考慮しても,結構なお値段がします。

(スフォリアテッラ)
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 店の広告では,イタリア・ナポリ地方のお菓子で,何層にも重なったパイ生地にオレンジ風味のクリームとありました。クリームはリコッタチーズやカスタードクリームに柑橘(レモンやオレンジ)のアクセントを加えて作られます。また,パイ生地にはバターではなくラードが用いられます。パイ生地にラードを塗りながら幾重にも重ねて焼き上げるため,固くパリパリに仕上がります。

 スフォリアテッラ(sfogliatella)は,「ひだを何枚も重ねた」という意味で,貝殻の形をしたものが多いそうです。私は,広島の人間なので余計にそう思うのかも知れませんが,貝殻の中でも,形や何層にもひだがあることから,牡蠣殻を想像してしまいます。

(スフォリアテッラの中の様子)
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 温めて,食べてみました。何層にも重なるパイ生地は思ったよりパリパリで,固い殻に覆われた貝殻のようです。食べた瞬間,「♪オレンジの香り~ほのかに漂い~(「帰れソレントへ」)」と思わずカンツォーネを口ずさみたくなるほど,口いっぱいにオレンジの香りが広がります。柑橘エキスを入れたカスタードクリーム入りパイコロネに例えられると思います。

 アマルフィ海岸に面した修道院で作られた菓子が起源とのことで,アマルフィ海岸周辺のレモンやオレンジ,貝(の形)などが盛り込まれたお菓子だと言えるでしょう。

2014年11月19日 (水)

フラダンスの耳かき -アメリカ・ハワイ州ホノルル市-

ホノルル市内のABCストアで購入しました。
ハワイのお土産としてぴったりのフラダンスの耳かきです。
花飾りや首輪,そして青い口?など,色彩豊かに表現されています。
おなかの部分の模様が色々イメージできますが,パイナップルか魚か花ではないかと思います。
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2014年11月16日 (日)

京都の和菓子作り体験 -上生菓子(菊と柿)-

 京都で和菓子作りを体験しました

 和菓子店の前を通る時には,必ず陳列されている上生菓子を確認するようにしています。その時の季節や行事が和菓子にどう表現されているか,興味があるからです。

 ただ,それがどうやって作られているのか,実際に見たことはありませんでした。そこで,和菓子の本場,京都で,和菓子作りを体験してみることにしました。

 お店の2階に案内され,手を洗い,腰で巻く白い前掛けをお借りして,準備完了です。和菓子職人の方から説明があり,今回は菊と柿を作るとのことでした。御用意いただいた材料は次のとおりです。

(和菓子作り体験の材料[練り切り])
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 「練り切り」とは,手亡豆や白小豆で作られた白あんに求肥や小麦粉,つくね芋などを混ぜて,細工や着色をしやすいように作られた上生菓子の素材を言います。この練り切りを巧みに使い,季節や行事を表現するわけです。

 ただ,この材料の段階では,どう仕上がるのか想像するのは難しく,新たな上生菓子を作る際には,まずは完成したものを思い浮かべたり,絵に描いたりして,それを仕上げるためには,どういう色の練り切りがどれくらい必要となるのか,きちんと把握しておく必要があると思いました。

 まずは,外側の菊の花や柿の皮となる練り切り(桃色と橙色の玉)をつぶして丸くのばし,中の餡となる練り切り(菊(桃色)には黒色の練り切り,柿(橙色)には白色の練り切り)を,そののばした練り切りの上に乗せ,手のひらで,回しながら徐々に中の餡を包み込んでいきます。これを包餡(ほうあん)と呼びます

 次に練り切り上部に「ぼかし」と呼ばれる色の変化を持たせます。

 まず柿については,橙色の練り切りの上部に,少量の黄色い練り切りを平たく伸ばして覆い被せ,橙色の練り切りに擦り込ませて,黄色から橙色に変化する「ぼかし」を作ります。

 菊についても,柿と同じ要領で,桃色の練り切りの上部に白色の練り切りを擦り込ませて,白色から桃色に変化する「ぼかし」を作ります。

(包餡し,ぼかしを入れた練り切り)
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 練り切りは乾燥しやすく,乾燥するとパサパサになって,成形できなくなるため,仕上げるごとに,シートで覆ったり,蓋をするなどして乾燥を防ぐようにします。実際に,細工に時間がかかればかかるほど,乾燥していくのがわかり,手早く美しく仕上げることが大切なことが理解出来ました。

 そしていよいよ飾り付けです。
 柿については,丸い練り切りを上下から軽く押しつぶし,四隅に小指でくぼみをつけます。そして,小さな緑色の練り切りを平たく伸ばして柿の葉を作り,その上に小豆色の練り切りを木の枝の形にしたものを乗せて完成です。

 菊については,丸い練り切りを上下から軽く押しつぶした後,更に切り込みを入れて花びらを作ります。細長い三角柱の形をした木の棒(「三角べら」)の尖った部分を練り切りに押し当て,上から下,下から上と練り切りを少しずつ回転させながら花びらとなる切れ目を入れていきます。これは「返し菊」と呼ばれる技法です。最後に頂点に黄色の練り切りを乗せ,木製のスタンプで花芯を作って完成です。

(三角べらと返し菊)
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 今回教えていただいた講師の方が私の仕上がりを御覧になって,「菊の花びらが細かいですね。」との感想をいただきました。菊の花だからと何度も三角べらを上下に動かして時間をかけて作りましたが,後でよく考えてみると,商品にするには,短時間できれいに多く作ることが求められるので,確かに細かければいいというものでもないと思いました。

 それでも,仕上げた作品をケースに入れ,更に菓子箱に詰めると,和菓子らしき見栄えになりました。

(自作上生菓子)
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 柿と菊を2個ずつ作りました。柿は同じような仕上がりですが,菊は最初に作った菊(写真右奥)と後で作った菊(写真左手前)では,「返し菊」に慣れた分,後で作った菊の方がましな仕上がりになっています。

 今回の和菓子作り体験で勉強になったのは,上生菓子は「見た目の良さ」が一番に求められる一方で,それを素早く作る必要があるということです。練り切りは想像以上に乾燥するスピードが早く,もたもたしていると細工ができなくなるのです。これが出来るかどうかが,プロと素人の違いになるでしょう。

 あと,講師の方が,柿のへたの部分に使った薄茶色の練り切りの色を「しょうず(小豆)色」とおっしゃっていたのも印象的でした。「あずきの研究2 -小さい豆と書いて「あずき」と読む理由-」にも「小豆」を「しょうず」と呼ぶことについて触れていますが,やはり「しょうず」の方が呼び易かったり,聴き取り易かったりするのではないかと思います。

 当初用意されていた団子状の練り切りと,完成させた「柿」や「菊」の上生菓子は,細工したかどうかだけの違いであり,味までは(理論上)変化させていません。ですが,包み込んだり,伸ばしたり,切ったりと手を加えることによって,上生菓子という商品,更には芸術作品にまで高めているのです。

 「フランス料理は鼻で味わい,中国料理は舌で味わい,日本料理は目で味わう」と言われますが,今回の和菓子1つを見ても,日本の食文化が,いかに素材と見た目を重視しているかを理解することが出来ます。

2014年11月13日 (木)

ハチエモンの耳かき -大阪府大阪市-

関西テレビ放送(KTV)のマスコットキャラクター「ハチエモン」です。
名前は,関西テレビが8チャンネルであることに由来しています。
「口から生まれた関西人」を象徴する大きな口とテレビを観るための目が強調されており,「♪カンテーレ」というキャッチコピーとともに,関西ではおなじみのキャラクターとなっています。
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2014年11月10日 (月)

ネパール料理の特徴と主な料理1 -サモサとパコラ-

 広島市南区の楠那(くすな)公民館で開催された「楠那ふれあい広場」で,「楠那ネパール友好協会」の皆さんがネパール料理として,サモサとパコラを販売されていました。

(サモサの紹介)
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(パコラの紹介)
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 楠那町とネパールは,1994年に開催された広島アジア大会の際の,「一館一国運動」(楠那公民館)がきっかけで設立された団体で,現在も積極的に国際交流・協力の活動をされています。

 私も,ネパールの留学生の方たちとの交流会や,「シヴァラトリ」というヒンドゥー教・シヴァ神のお祭りイベントに参加させていただいたりして,いつも楽しませていただいてます。

 そんな楠那ネパール友好協会の毎年恒例の料理が,サモサとパコラです。
 いずれも,地域の人たちみんなで作る家庭的な温かみのある料理となっています。

(サモサ)
 ネパール料理店やインド料理店で出されるサモサと同じく,クミンシードも入った本格的なサモサです。手作りで,イベントの際に作られる料理であるため,毎年微妙にスパイスの調合に変化があるようにも思われますが,そこが手作りの良いところで,毎年,味わうのを楽しみにしています。

(パコラとサモサ)
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左上:パコラ,中央:サモサ,右上:サモサの中身

(パコラ)
 パコラは南インドでの揚げ物料理を言います。写真のパコラは,チキンパコラで,ネパール版鶏の唐揚げです。生姜やスパイスでよく下味をつけられた鶏肉にガラムマサラの入ったころもをつけて揚げられており,サモサと同様,手間暇かけた,手作り感あふれる料理となっています。

 「ネパールのおやつ」として売られていましたが,私は昼食として美味しくいただきました。

 地域の人々が,ネパールとの交流や支援を通じて,異文化に触れ,貢献し,自らの地域も活性化する素晴らしい活動だと思います。私も地元住民として,微力ながら応援していきたいと思っています。

2014年11月 8日 (土)

干し柿 -渋柿の特徴と種の繁栄方法-

 実家から自家製の干し柿をわけてもらいました。
 適度な半熟となっており,作り手の干し柿への思い入れまで感じさせる完成度の高い干し柿でした。よほど暇があったものと思われます(笑)。

(干し柿)
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 甘柿より渋柿の方が干すと甘味が強くなるため,干し柿は,渋柿から作られることが多いようです。

 柿の自然分布は東アジアに限られ,中国から渡来した品種はほとんどが渋柿でした。柿は渋柿が一般的で,甘柿は柿の中ではむしろまれな品種に該当します。

 普通に考えると,果実は,自らを甘くすることで種ごと動物に食べてもらい,その種を別の場所にまいてもらって繁栄させているので,動物が避ける渋みを持つ渋柿は,一見不利ではないかと思えます。

 ところが,渋柿はそうした考えからさらに上をいく果実でした。渋柿は,中の種が未成熟なうちは,動物に食べられないように渋みを持たせ,中の種が成熟して発芽出来る状態になってはじめて,渋みが消える(熟柿となる)しくみを持っているのです。つまり,最終的には甘くなって,他の果実と同様に繁栄させるしくみを持っていることになります。

 柿の渋みは,ポリフェノールの一種であるタンニンです。このタンニンが水に溶けると渋みを感じ,逆に固まって水に溶けなくなると(舌に渋みを感じないので)甘いと感じられるようになります。

 つまり,柿の渋抜きとは,熟柿を促す作業であり,この水溶性タンニンを不溶性に変える人為的な作業だと言うことができるでしょう。

 干し柿は,日本の旧来(唐菓子以前)の菓子であり,鑑真が砂糖をもたらすまで,飴,甘葛と並ぶ数少ない甘味料でもありました。
 こうした歴史もあってか,和菓子の世界では,干し柿の甘さが1つの基準とされることがあります。干し柿の甘味以上の甘味だと,下品な甘味になるというのがその理由のようです。

 そのままでは渋くて食べられない柿を品種改良して甘柿にしたり,干すなどして渋を抜き,更に保存性を高めるなど,干し柿1つをとっても,先人の知恵と工夫をたくさん見出すことが出来ます。

2014年11月 5日 (水)

雷門の耳かき -東京都台東区-

裏は同じデザインで「浅草」と書かれています。ちなみに浅草にある本物の雷門には「風雷神門」と書かれています。
現在の雷門は松下電器産業の創始者,松下幸之助氏から寄進されたものです。
この雷門から浅草寺までの仲見世(商店街)には,土産物店などが軒を連ね,オリジナルの耳かきを売っているお店が沢山あります。
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2014年11月 2日 (日)

尾道の小さなパン屋さん

 尾道の坂道を散策していて,何でもない細い路地の一角に,民家を改造して作られたと思われるとてもこじんまりとしたパン屋さんを見つけました。
 大人が2人も入ると一杯の店で,お客さんは店の外で順番を待ち,店内のお客さんが出てきたら,次のお客さんが店内に入るスペースができるというぐらいの小さな小さなパン屋さんです。

 路地から窓越しにパンを作っておられる様子を見ることができるのですが,その光景がとても尾道の町並みに溶け込んでいるので,写真を撮らせていただき,窓越しに話を伺いました。

 この写真は,バターの層を重ね,クロワッサンの生地を作っておられる様子です。

(尾道「ネコノテパン工場」)
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 この時は,もう少しで紅茶のスコーンが出来上がるとのお話だったので,外の椅子に腰掛けて待ち,出来上がったばかりのあつあつのスコーンを購入し,再び外の椅子に腰掛けてその場でいただきました。

(紅茶のスコーン)
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 作り立て,焼き立てのパンをその場ですぐにいただくというのは,とても贅沢な食べ方です。お店の方は,「そんなに急いで食べなくても…」という感じで,笑っておられましたが…。いただいた後,お店の方に,とても美味しかったことをお伝えしたところ,お店の方も喜んでおられました。

 料理を味わい,お店の方に「美味しかったです」と最高の笑顔で,美味しいものを作っていただいたことに感謝の意を示す。それでお互いが幸せを感じることが出来るならば,こんなに良いことはないと,私はいつも思っています。

2014年11月 1日 (土)

フィリピン料理の特徴と主な料理1 -概要と調味料-

 フィリピンは約7,000の島からなる多島国家です。

 海岸線の長さがアメリカの2倍近くあるため,魚が重要な副食物となっており,食事の基本は主食の米と魚のおかずとなっています。

 16世紀のはじめにスペイン人がやってきた当時は,様々な生活様式(狩猟採集,焼畑耕作,水田稲作等)や多数の言語,宗教が存在したため,統一された国家はなく,他国のように王朝の宮廷料理に影響を受けた食文化は形成されていませんでした。

 そのため,現在のフィリピンの代表的料理の多くは,スペイン統治時代(16世紀~19世紀末)に成立しています。また,スペインにより,キリスト教(カトリック)の布教も行われたため,他の東南アジア諸国に比べて食事制限はゆるやかで,豚肉の料理も数多く見られます。

 併せて,中国からの華僑の影響で,麺類や春巻きなど中国料理も多く取り入れられています。

 さらに,1898年(米西戦争のパリ条約)以降,第二次世界大戦に至るまでは,統治権がスペインからアメリカに移り,その影響でハンバーガーやフライドチキンなどのファストフードやコーラに代表されるソフトドリンクも普及しています。

 東南アジアの料理は,中国のほかにインドの食文化の影響を受けて,スパイスやハーブを多用するのが特徴ですが,フィリピンにおいては,インドから遠く離れた島国という地理的条件もあってか,あまり香辛料は用いられないことも大きな特徴です。

 調味料としては,パティス(魚醤),バゴーン(小海老などの塩辛),醤油といった発酵調味料や,酢(ヤシやサトウキビが原料),カラマンシ(すだちに似た果物),タマリンドなどの酸味系,ココナッツ(オイル)などが多用されています。甘味,塩味,酸味が味のベースとなっています。

「各種調味料」
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「シュガーケインビネガー(サトウキビ酢)」

 「アドボ」と呼ばれる煮込み料理やつけだれなどで使われる酢です。日本では米酢が中心ですが,フィリピンではヤシやサトウキビを原料に酢が作られます。

(シュガーケインビネガー)
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「バナナケチャップ」
 フィリピンと言えばバナナですが,ケチャップの材料にもなっています。当初は,トマトの代用としてバナナが使われたようですが,今ではトマトケチャップより人気があるようです。トマトは全く使われておらず,シロップ,バナナ,パプリカ,玉ねぎ,香辛料などで赤いケチャップに仕上げてあります。

(バナナケチャップ)
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「マン・トーマス(サルサソース)」
 酢,香辛料,豚レバーなどで作られた万能サルサソースです。フィリピンの代表的料理「レチョン(子豚の丸焼き)」のほか,揚げ物などにつけて食べます。

(マン・トーマス)
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「バゴーン(塩辛ペースト)」
 魚や小エビから作る発酵食品(魚醤油・塩辛等)は,味噌や醤油と並んで,東アジアや東南アジアの食を特徴付ける,重要な万能調味料と言えます。フィリピンでは,こうした塩辛のペーストをバゴーンと呼びます。野菜や料理の調味料として使われます。

(バゴーン)
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 これらの調味料は,フィリピン料理の店で実際に使われているものを出していただいたものなので,幅広く頻繁に利用されている調味料だと思います。

 魚をよく食べ,香辛料をあまり用いないなど,日本の食事とよく似たところがあるのは,両国がいずれもアジアの東に位置する島国であるという地理的条件も関係しているように思います。

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