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2014年12月14日 (日)

フィリピン料理の特徴と主な料理3 -フィリピン料理に豚肉が多い理由-

フィリピン料理店でアラカルトでいただいた料理です。

「ポークアドボ(豚肉の煮込み)」
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 アドボは,酢でマリネした食材を煮込んだり,漬け焼きにした料理で,代表的なフィリピン料理の1つです。味付けは醤油やパティスでなされ,ご飯のおかずとして食べます。今回のアドボは,豚肉と玉ねぎのアドボで,スペインを起源としながらも,中国料理の影響を強く受けているアドボだと思いました。


「ボピス(豚モツ煮込み)」

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 豚のモツ(心臓や肺など)と野菜を細かく刻んで煮込んだ料理です。写真のボピスは,ハツ(心臓),玉ねぎ,パプリカ,トマトなどを細かく刻んで煮込んだボピスです。酢の酸味と唐辛子のピリ辛がアクセントになっており,ご飯のおかずにぴったりです。


「シニガン(酸味のあるスープ)」
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 シニガンとは,タマリンドを使った酸味のあるスープのことです。トムヤムクンの辛味(唐辛子)を除き,その分酸味をかなり効かせたような味です。フィリピンでは,こうしたスープ料理は,ご飯に混ぜて食べられるようです。このシニガンは豚肉のシニガンで,オクラやチンゲン菜など野菜もたくさん入っており,酸味のあるさっぱりとしたスープに仕上がっていました。


(フィリピン料理に豚肉が多い理由)

 「フィリピン料理の特徴と主な料理1 -概要と調味料-」でもお話ししたように,フィリピンはスペイン統治時代にキリスト教(カトリック)の布教が行われ,人口の約90%がカトリック教徒という,アジアでは珍しいキリスト教国です。そのため,イスラム教徒の国であるインドネシアやマレーシアとは異なり,豚肉のタブーがありません。それどころか,フィリピンの肉料理は,ほとんどが豚肉だと言えます。

 その理由は,フィリピン料理がスペイン料理と中国料理の影響を受けていることにあると言えるでしょう。

 スペイン料理については,過去にイベリア半島がイスラム勢力に征服され,キリスト勢力がこれを再征服するという「レコンキスタ(国土回復運動)」を通じて,イスラム教徒に対抗する意味で,豚肉食が推奨された歴史があります。(ただ,スペイン料理全般をみると,パエリアに代表される米料理など,イスラム教徒がもたらしたアラブ料理の影響を受けた料理が多いことが特徴となっています。)

 中国料理については,華僑などを通じてフィリピンを含む東南アジア全般に影響していますが,その中国料理には,豚肉が多用されています。

 スペインや中国で豚肉が愛好されていることは,世界三大ハムにスペインの「ハモン・セラーノ」(スペイン)と「金華火腿(金華ハム)」(中国)が位置付けられていることでも理解出来ます。(あと1つは「プロシュット・ディ・パルマ」(イタリア))

 こうした両国からの影響で,フィリピンでは,レチョン(仔豚の丸焼き)に代表される様々な豚肉料理が発達しているのです。

 今回,フィリピン料理店で,様々な料理を注文しましたが,後でまとめてみると,どれも豚肉の料理であり,改めて豚肉がフィリピン料理に欠かせない重要な食材の1つであることを認識しました。

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