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2015年1月 2日 (金)

さつまいもグルメのまち・川越

 埼玉県川越市を訪問しました。

 川越はさつまいもで有名です。さつまいもと言えば,「栗(九里)より(四里)うまい十三里(半)」という名文がありますが,この「十三(9+3)里(半)」は,江戸から川越までの距離を表しており,江戸時代から,川越がさつまいも(川越いも)の産地として有名な地域であることを物語っています。

(亀屋栄泉「芋菓子の歴史館」展示品)
Photo
 芋菓子宣伝用の絵葉書 モデルは当時の川越芸妓さん

 さつまいもの素朴な味が好きな私は,初めて訪れた川越で,様々なさつまいも料理・菓子と出会い,味わうことが出来ました。

「さつまいもミニ懐石」
 さつまいもを使った料理が堪能出来る,さつまいも好きにはたまらないミニ懐石です。

(さつまいもミニ懐石)
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(さつまいものデザート)
Photo_4

(さつまいもミニ懐石お品書き)
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 その土地のもの,自分が好きなものを存分に味わえる幸せを感じました。

「いも恋」
 地元の年配女性に勧められた郷土菓子で,寒空の中,蒸してあつあつの饅頭をその場でほおばって食べると,芋とあんこがよく合い,とても美味しかったです。

 この「いも恋」は,熊本の「いきなり団子」とよく似ています。熊本弁で「いきなり」とは,簡単・手軽とか直接という意味があり,突然の訪問客にもすぐに作ってもてなせる菓子となっています。生のさつまいもを輪切りにして,団子生地で包んで蒸すだけですぐ出来上がることが特徴です。すぐに作るわけですから,当初は手間がかかるあんこは入れられていませんでした。

 いも恋にせよ,いきなり団子にせよ,甘いものが高価で貴重だった時代は,安価で甘味を得られるさつまいもが大福の小豆あんの代わりとして用いられたのでしょう。ただ,砂糖が普及してくるにつれ,だんだんと消費者の嗜好に合わせ,より甘味が強く,和菓子としての商品価値も高くなる小豆あんが加えられるようになったのではないでしょうか。

(いも恋)
Photo_8

 ちなみに,いきなり団子といも恋の違いは皮にあるようで,いきなり団子は小麦粉で,いも恋はもち粉と山芋で作られています。そのため,お土産用のいも恋は必ず温めて食べることとされています。
 一人旅の中,地元の方と一緒に食べたことで,一層美味しく感じたように思います。

「コエドビール(紅赤)」

 
私は下戸なのですが,「いも恋」を一緒に食べてくださった地元の方が,お土産にと持たせてくれたのがこのビールです。数あるコエドビールの中で,この紅赤がおすすめとのお話でした。

(コエドビール(紅赤))
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 確かに,小江戸・川越特産の紅赤(川越いも)を使った,コエドビールの代表的なビールと言えるでしょう。実際にいただいてみると,ラガービールに比べて濃い琥珀色をしており,さつまいもの香りや甘さもある,とても美味しいビールでした。親切な地元の方の気持ちも一緒に美味しくいただきました。

 このほかにも,各種芋スイーツ(和菓子(焼き芋,せんべい,ようかん等),洋菓子(パフェ,バームクーヘン,ソフトクリーム等))や,芋おこわ,芋そうめん等,川越にはさつまいもを使った料理や菓子がたくさんあります。

 さつまいもは,水はけのよい火山灰を含んだ土地が栽培に適しており,川越など関東は関東ローム層を,鹿児島など南九州はシラス台地(姶良カルデラ等)をそれぞれ有することで,盛んに栽培されています。

 「さつまいも」と呼ばれるくらいなので,生産量や知名度で言えば,やはり本場は薩摩(鹿児島県)です。しかし,資源豊かな南国・鹿児島の郷土食は,さつまいものほかにも,焼酎,さつまあげ,黒豚,鰹(鰹節),かるかん,あくまき…と多岐に渡っており,さつまいもが主役とは言い難いところがあります。
 その点,川越は,うなぎ料理などもありますが,さつまいもを主役にし,まちを挙げてさつまいも料理・菓子に特化させているので,純粋にさつまいもを堪能出来る観光地となっています。

 さつまいも好きな方は,ぜひ川越へどうぞ!

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コメント

会社の方のお姉さんが川越で~
サツマイモが有名な事を知りました。
茨城も有名ですよね。サツマイモは~^^
男の人はあまり好きな人が居ないですよね~(笑)

ヒナタ 様

先般はさつまいもは茨城も有名だとの情報をいただき,ありがとうございました。

川越で「さつまいもミニ懐石」がどうしても食べたくて,広島から電話で予約して食べたんですよ。

私はさつまいも好きなので,長期の休みの時はさつまいも茹でて,ご飯の代わりにそれだけ食べて過ごすこともあります。

茨城の干し芋も食べてみたいです。

コウジ菌さんはサツマイモ好きなんですね(≧◇≦)
茨城の干しイモは、超感動しますよ。
なかなか、手に入らなくて~
頑張って、ネットで購入しようと思ってます。(笑)

ヒナタ 様

へぇー,茨城の干し芋はネットで購入を検討されるぐらいおいしいんですか。

こりゃ,私もいつか食べネットいけないなぁー(笑)。

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