しょうゆの研究3 -手作り醤油キットから醤油の製法を学ぶ-
通信販売で手作り醤油キットを購入しました。
本当は原材料で最初から醤油を作ってみたいのですが,大豆と小麦で「しょうゆ麹」を作る際に必要となる「種麹(たねこうじ)」(雑穀やふすまなどの中で麹菌を培養したもの)を作ることができないため,「しょうゆ麹」の段階から作る醤油キットで作ってみることにしました。
食育の教育材料としても使われているらしく,対象は小学生高学年以上とありますので,私でも大丈夫だと思います。
今回購入した和歌山の湯浅醤油・丸新本家の醤油キットの中身は,「しょうゆ麹」,「塩」,「濾布(ろふ)」そして「醤油(びん)」で構成されています。
(手作り醤油キット)
しょうゆ麹
しょうゆ麹は700g用意されています。
しょうゆ麹とは,加熱された加圧蒸気が吹き込まれた大豆と,炒って砕かれた小麦に種麹を加え,混ぜ合わされた(「製麹(せいきく)」された)もののことです。
(しょうゆ麹)
このしょうゆ麹を少し食べてみました。炒られた小麦の香ばしさと麹特有のかび臭さが混じったようなにおいです。種麹も入っているからか,小麦も大豆もしっとりとしており,ドライ納豆を食べているような風味・食感です。
塩水(えんすい)と塩分濃度
しょうゆ麹に塩水を入れて「もろみ(諸味)」を作ります。この工程を「仕込み」といいます。
塩水は塩の重さを量ってみると,225gありましたので,これを1リットル(=1,000g)の水と合わせると,塩水の塩分濃度は,
塩225g/(水1,000g+塩225g)×100=18.37
約18%となります。確かにこうした計算は小学校高学年以上向きですね。
実際に味見してみると,このまま漬物液として使えそうなほど塩辛く感じました。
(塩水(えんすい))
醤油を作るのに適した塩分濃度は,もろみの中で17%程度とされており,これより濃いと発酵や熟成が遅れ,逆に薄いともろみが変敗しやすくなります。
この手作り醤油キットも,塩分濃度が約18%なので,醤油の製造に適した塩分濃度となるよう設定されていることがわかります。
海水の塩分濃度は約3%強ですので,醤油の塩分濃度はその約5倍もあることとなりますが,様々な旨味成分のおかげで,海水ほど塩辛く感じないようです。
もろみと発酵・熟成
しょうゆ麹と塩水をペットボトルの中で混ぜ合わせ,「もろみ(諸味)」を作った状態です。これで「仕込み」が完了しました。
(もろみ)
これから半年以上かけて醤油を育てる「発酵(分解)」,「熟成」と呼ばれる工程となります。この工程で重要な作業が「攪拌」と呼ばれる,「もろみ」を混ぜ合わせる作業です。
しょうゆ麹をペットボトルの中に入れるのに,当初は調理用の漏斗を使いましたが,大豆が詰まってうまく入れられないことが判明し,説明書に従ってペットボトルで穴の大きい漏斗を作り,やっとのことでしょうゆ麹をペットボトルに納めることができました。説明書の方法はよく考えられた方法だと改めて感心しました。
(調理用漏斗を使った場合)
大豆の粒が大きく,途中で詰まってしまいます。
(ペットボトルで漏斗を作った場合)
これなら大豆の粒も楽に通り抜けます。
醤油として中身を出し,同梱の濾布でしぼるためには,中のもろみがある程度どろどろに溶ける必要があると思うのですが,果たしてどういう結果になるのか,経過が楽しみです。
仕込み完了年月日:2015年2月1日
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