オランダせんべい -北海道・根室のお菓子-
デパートの北海道展で「オランダせんべい」という珍しい名前のお菓子があったので,購入してみました。
直径約15cmの平べったいせんべいが4枚入っており,税込で約300円でした。その大きさや見た目からは,せんべいというより,ミニワッフルのような感じがします。
(オランダせんべい・包装表)
味・食感
「そのまま食べるのが一番」とあるので,まずはそのままいただきました。しっとりした生地で,かなりの弾力があるので,見た目以上に,手で引きちぎったり,噛み切るのに力が要ります。
食感から想像される似たような食べ物は,湿めらせた「炭酸せんべい」や,アイスによってふやけた「ワッフルコーン」です。黒棒に似た,黒砂糖のほのかな香りと甘みがあり,この控え目な甘みが後を引く美味しさとなっています。
(オランダせんべい・包装裏面)
続いて,包装袋裏面に「レンジやオーブン等で温めて,バターやはちみつをつけて食べるのも美味です。」とあるので,電子レンジで少し温めて食べてみました。多少温める程度だと,しっとり感が増す程度ですが,多少カリカリになるぐらい温めると,香ばしい香りがし,食べやすくなります。ワッフルのように,バターやはちみつをつけて食べると美味しいというのも理解出来ます。
原材料に沖縄・鹿児島の黒砂糖
原材料は,「小麦粉,砂糖,黒砂糖,植物油,塩,重曹」となっています。
原材料に,沖縄や鹿児島が主産地の黒砂糖が使われているのは不思議に思いました。江戸から明治にかけ,北海道(蝦夷地)から大坂,薩摩,琉球,中国(清)に至る「こんぶロード」での交易の際,昆布と黒砂糖が交換され,黒砂糖を用いる食文化が生まれたのでしょうか。
名前の由来について推測
そもそも,名前が珍しいと思って買ったお菓子です。名前の由来について,色々と推測してみました。
(1)オランダからもたらされた南蛮菓子がルーツであるため
(2)ダッチ(オランダ)ブレッドのように,表面がひび割れているようなせんべいのため
(3)オランダで食べられるストロープワッフル(シロップ入りの薄い円形ワッフル)に似ているため
(4)オランダの干拓地又は風車に似ているため
(オランダせんべい)
先入観を排除するため,これまで何の前知識もなしに,思いや感想を述べましたが,ここで改めてオランダせんべいの販売元「端谷菓子店」のウェブサイトを拝見し,確認してみることとします。
(端谷菓子店ウェブサイトより)
「昭和40年頃から販売され,当初はパリパリした食感の煎餅でしたが,お客様のご要望などにより,現在のような少々やわらかめになりました。」
「根室を語ると必ずオランダせんべいの話が出てきます。」
以上のような説明がありますが,なぜオランダなのかについての説明はありませんでした。
続いて,ウィキペディアに掲載されていたので,こちらを見ると,
「江戸時代初期にオランダ商館が置かれていた長崎県平戸市に「オランダ煎餅」,「おらんだ焼き」という菓子があり,これが名前の由来ではないかとされている。」とあり,「模様の由来を,オランダ人の靴跡をデザインしているから,と言い伝えられて」おり,「平戸から日本海北上ルートの富山・函館・根室と同じものが伝わって」いる記録があるとのことです。
私の推測で言えば,ストレートな(1)が正解に近いようです。
感想
「やみつきになるおいしさ」とありますが,確かにシンプルな飽きのこない味はいくらでも食べることができ,北海道展でないと簡単に入手できないと思い,後日,再びデパートで購入しました。
それにしても…。私は「お客様のご要望」によりやわらかくされた煎餅を,わざわざ電子レンジでカリカリにし直して食べていたようです。なぜやわらかい食感なのかも含め,機会があれば,根室に行き,地元の方と「根室を語って」みたいです。
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