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2015年5月

2015年5月29日 (金)

梨の木の耳かき -鳥取県倉吉市-

鳥取で有名な梨の木を再利用して作られた耳かきです。
平べったい形をしているのは,使用中,不意に折れることのないようにするためでしょう。
優れたアイデアで作られた,鳥取ならではの耳かきに仕上がっている思います。
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2015年5月24日 (日)

しょうゆの研究7 -しょうゆは日本独自の調味料なのか(後編)-

 「しょうゆの研究6 -しょうゆは日本独自の調味料なのか(前編)-」に続き,なぜ醤油が日本独自の調味料とされているのか,その真相を探ってみることとします。


味噌の発展と日本の醤油の誕生

 鎌倉時代に禅僧の覚心がもたらした径山寺味噌(金山寺味噌)は,米,大豆,大麦(または裸麦)に種麹を加えて作られる「金山寺麹」に,食塩,砂糖,水あめ,刻み野菜などを加えて作られます。

(金山寺味噌)
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 この径山寺味噌(金山寺味噌)の製造過程で桶の底に溜まった液が「溜醤油」の原型となりました。

 また,室町時代には,「垂れ味噌」,「薄垂れ」と呼ばれる味噌を水で薄めた調味料も料理で用いられるようになっています。

 こうした溜醤油や味噌(なめ味噌)の美味しさに目覚めた日本人は,その後改良を重ねて日本の食事に合う調味料である醤油を作ってきました。

 つまり,醤油は味噌の派生調味料ととらえることができます。

 現在の味噌の分類でも,金山寺味噌(醸造なめ味噌)は,「醤油もろみに類似していることが特徴」だと説明されています。

 日本独自の醤油の誕生は,日本での味噌製造の発展がもたらしたとも説明できるのです。


アジア各国・地域の醤油の比較

(「しょうゆ麹」で作られる日本の醤油)
 日本の醤油には,「しょうゆ麹」と呼ばれる,加熱した大豆と炒って砕いた小麦に種麹を加え,混ぜ合わされたものを用います。
 その種麹には,日本の気候風土に適合した醤油用の麹菌(Aspergillus sojae,Aspergillus oryzae)が用いられています。
 これらの麹菌は,植物タンパク質を非常によく分解するタンパク質分解酵素を多く含み,うま味の主成分であるアミノ酸を大量に生成する性質を備えていることから,醤油や味噌作りにとても適しています。
 また,これらの麹菌は,日本醸造協会により国菌に指定されています。

(麹菌の胞子(種麹))
Photo
(ニュートン別冊『食品の科学知識』から引用)

(中国の醤油)
 中国の醤油は大豆と小麦粉に麹,塩水を混ぜ,発酵させて作られたものです。
 小麦ではなく,小麦粉が使われ,しょうゆ麹ではなく米麹など日本の麹とは異なった麹が用いられています。

(朝鮮半島の醤油)
 朝鮮半島には,在来の「朝鮮醤油(チェソン・カンジャン)」があります。これはメジュと呼ばれる大豆と麹を合わせて作られた味噌玉に塩水を加え,発酵させて作られる醤油です。一方,一般的によく使われている「醸造醤油(ヤンジョ・カンジャン)」は,「倭醤油(ウェ・カンジャン,倭は日本の意味)」とも呼ばれていますが,名前のとおり,その製法は日本から伝わったとされています。

(台湾の醤油)
 台湾では,調合醤油と呼ばれる本醸造醤油とアミノ酸醤油(※)を混合した醤油が生産量の75%を占め,次いで本醸造醤油が20%,アミノ酸醤油5%となっています。
 大手メーカーの「金蘭醤油」などにみられる本醸造醤油は,日本の醸造技術が台湾に持ち込まれて製品化された醤油となっています。

※アミノ酸醤油…脱脂加工大豆や小麦グルテンなど植物性タンパク質を加水分解してアミノ酸液(うま味)を取り出した醤油。代用醤油とも呼ばれる。

(タイの醤油)
 タイには「シーユーカオ」という醤油がありますが,醤油を示す「シーユー」はバンコクの中華街に多く住む潮州人の言葉が語源とされていて,作り方も中国式に大豆,小麦粉,塩水に麹を加えて発酵させて作られます。

(フィリピンの醤油)
 フィリピンでは醤油は「トヨ」と呼ばれ,アミノ酸醤油が主体となっています。
 国産の醤油を保護する理由もあって,日本の醤油は相当高額で販売されているようです。


 アジア各国・地域の醤油の主な特徴を一覧表にまとめてみました。

(アジア各国・地域の主な醤油の特徴)
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 東南アジアでは,アミノ酸醤油が主流になりますが,これは中国や日本からもたらされた醤油の技術に魚醤の食文化が融合した結果と言えるでしょう。


そのままでも美味しい日本の醤油

 日本では,醤油を煮物や焼物に利用するだけでなく,刺身や寿司などにそのままつけたり,冷奴などにかけたりして食べます。これは,日本の醤油が,醤油そのものの味や香りを重視し,素材本来の味を引き立たせるとともに,そのまま味わっても美味しいように作られているからです。

 これに対して,他の国・地域の醤油は,炒め物や煮物などの加熱料理に用いるのが一般的であり,食材に味付け(塩味・うま味)や色付け(黒褐色)することを主な目的として作られているため,そのまま味わうのでは塩辛すぎたり,色が薄すぎたり濃すぎると感じます。


まとめ

 以上,様々な理由を考察してきました。まとめると,

○「醤油」の語源・呼び方の違い
○肉食禁止令と穀醤の発達
○肉・油脂に代わるうま味の追及
○味噌の発展と日本の醤油の誕生
○「しょうゆ麹」の利用
○原材料,製法,麹の種類等の違い
○そのままでも使えるか,加熱料理が前提か

 などを手掛かりにして,日本の醤油は日本独自の調味料だと説明できると思います。

 液体調味料としての醤は東アジア・東南アジアでみられるものの,唯一,肉食欠如の生活を送ってきた日本は,素材を美味しく食べるために,突出して醤油が発達することとなりました。
 この日本独特の醤油の発達により,様々な日本料理が生まれ,現代の日本料理の80%以上は何らかのかたちで醤油が利用されていると言われています。

2015年5月21日 (木)

博多人形(博多美人)の耳かき -福岡県福岡市-

博多人形は,博多近郊の粘土を原料とした素焼きの人形ですが,その代表的な人形が「美人もの」となるのは,美女が多いとされる博多においては,自然な流れだと思います。
「博多美人」と書かれた札を「舞妓」とすれば,京都でも売れそうな気もしますが,着物や髪飾りが福岡県の花である梅であり,やはり博多土産としてよく考えて作られた耳かきだと思います。
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2015年5月17日 (日)

チャメ -韓国の夏の定番フルーツ-

 果物売場に「チャメ」と呼ばれる聞き慣れない果物がありました。
 大きさはこぶし大,皮は黄色で,白い縞が入っています。

(チャメ)
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 袋に韓国農協と書かれており,韓国からの輸入果物でした。韓国では夏の定番フルーツとなっているようです。
 「おチャメちゃん」の茶目っ気さにも魅かれ,おチャメなフルーツ「チャメ」を購入しました。

(おチャメちゃん)
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 袋に食べ方の説明書きがありました。

(説明書き)
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 今回は,リンゴのように,まず包丁でくし切りにしてから,皮をむいていただくこととしました。実際,実の固さや皮の厚みもメロンよりはリンゴの感覚に近いように思いました。

(チャメを切った様子)
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 食感はサクサクと,少し固めのプリンスメロンのような感じです。
 中心の種の部分も,種自体がやわらかいので,(好みはありますが)一緒に食べることも可能です。これはメロンとは異なる特徴と言えるでしょう。
 写真のくし切りのチャメに種がないのは,私が最初に種だけを食べてみたからです(笑)。メロンと同様,やはり種の部分の甘みの方が強いです。

 味は,ウリなのでメロンほどの甘みはありませんが,さっぱりとした素朴な甘みがあり,暑い日に冷やしたチャメが用意されていると,いくらでもいただけそうです。

 日本のマクワウリ自体も売場で見かけることが珍しくなっているので,チャメも珍しい果物に思えたのですが,それが返って消費者にウリ(売り)なのかも知れませんね。

2015年5月14日 (木)

金閣寺(竹製)の耳かき -京都府京都市-

金閣寺が耳かきに比して大きめに作られている分,細部まで表現されており,左手前には池に張り出して作られた釣殿まであります。
これで十分なのですが,この金ぴか耳かきシリーズは,なぜかド派手な(ピンクや緑)色の鈴が付けられているのも特徴の1つとなっています。
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2015年5月10日 (日)

Tボーンステーキの魅力

 ホテルのイベントでステーキブッフェが行われていました。

 通常のステーキブッフェに加え,Tボーンステーキも味わえる特別企画の日があったので,これはぜひ行ってみたいと,喜び勇んで予約・訪問しました。

 Tボーンステーキは,T字型の骨の片方(小さい方)がヒレ,もう片方(大きい方)がサーロインと一度に二度楽しめる,肉好きにはたまらないステーキです。

(Tボーンステーキ[精肉])
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 私自身もこのダイナミックな肉を焼いてみたいと思いつつ,シェフのお話を伺いながら,Tボーンステーキが焼ける様子を見学しました。

(Tボーンステーキ[焼き上がり])
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 Tボーンステーキが焼き上がり,切り分けられて,大皿に盛られました。
 早速焼き立てをいただこうと切り分けられた肉を取り皿に乗せていると,シェフから,「その骨のついたヒレの部分をナイフとフォークでどうぞ」と声を掛けていただきました。
 

(Tボーンステーキ[盛り付け])
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 私はてっきり,この骨付きの大きな肉は(陳列品として)いただいてはいけないものだと思っていたので,恐る恐る,でもごっそりと大きな骨付き肉をつかみ取りました。

 なるほど,この骨付き肉を食べてはじめて,Tボーンステーキの醍醐味を知ることができました。
 サーロインとヒレが一緒に食べられるだけでなく,骨付きカルビと同様,骨の周りの美味しい肉も味わうことができるのです。

 これまで何度か,Tボーンステーキのメニューを見たことはありますが,値段もそうですが,それ以上に1人で食べるには量が多すぎるので,興味があっても諦めていました。

 今回のブッフェ企画は,Tボーンステーキの醍醐味を自分の食べられる範囲で味わうことができ,よかったと思います。

 普段,牛肉をほとんど食べない(食べられない(笑))こともあり,かつて人類が狩猟で肉を得て食べた時のような,本能的な喜びを感じながら,美味しくいただきました。

 その後も,本能に任せて,美味しい料理やデザートを食べまくり…ようやく理性が戻ったのは,自宅で体重計に乗った時でした(笑)。

2015年5月 6日 (水)

くまモンの耳かき -熊本県熊本市-

熊本県のマスコットキャラクター,くまモンの耳かきです。
くまモンの誕生で,今でこそ,熊本のみならず,全国各地にくまモンのお土産やグッズを見かけるようになりましたが,くまモン誕生以前は,熊本でご当地耳かきを見つけるだけでも難しかった思い出があります。
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2015年5月 4日 (月)

しょうゆの研究6 -しょうゆは日本独自の調味料なのか(前編)-

しょうゆは日本独自の調味料なのか

 
しょうゆの研究1 -醤(ひしお)から醤油への変遷-」で,現在の醤油は,中国や朝鮮からの醤の技術に,日本在来の肉醤や魚醤を作る技術が加わり,日本でも様々な種類の醤が作られるようになったこと,そして鎌倉時代に禅僧の覚心がもたらした径山寺味噌の液汁から本格的に醤油が作られるようになり,世界に誇る万能調味料「醤油」が完成した旨を概観しました。

 この醤油は,中国の「鼓汁」から派生したものではなく,日本の風土と日本人の知恵が生み出した日本独自の調味料とされています。

 中国や朝鮮半島,東南アジアでも醤油に似た調味料があるにもかかわらず,なぜ醤油が日本独自の調味料とされているのか,その真相を探ってみたいと思います。


醤油の語源

 醤油の語源については,味噌の派生調味料としての「醤の油(液汁)」を表し,醤,豆油などの言葉をもとに日本でつくられた造語だとする説が有力となっています。
 「醤油」と書いて「しょうゆ」と読ませる成語は,1597(慶長2)年に刊行された『易林本節用集』(えきりんぼんせつようしゅう,易林さんが書いた国語辞典)に初めて登場します。


中国での醤油の呼び方

 
醤の技術を伝えた中国での醤油の呼び方はどうなのかと思い,ヒントはないかと,中国清朝の時代の食通「袁枚(えんばい)」の書いた『随園食単』(袁枚著,青木正児訳註)を読んでみました。

 『随園食単』の「〔一〕予備知識(2)調味料を知ること」に,「醤は,清(薄手)と濃(濃い手)の区分がある」と書かれてあります。
 また,日本の醤油にあたる調味料は「秋油」又は「抽油」(いずれも読み方は「チウユウ」)という表現となっていました。

 青木正児氏の注には,
  醤(チアン)=醤油のモロミと赤味噌の間のようなもの。訳文には「醤」は「みそ」と傍訓した。
  秋油(チウユウ)=醤油である。
 と説明されています。

 『随園食単』には,一度だけ「醤油」という字も出てきます。しかし,その「醤油」が日本の醤油にあたるのか,また,袁枚が書いた原著に醤油と書かれてあったのか,日本で訳された際に醤油と書かれたのかなどについては,はっきりしません。

 ただ,中国では通常,「醤油」という表現をしないことはわかりました。

 現在の中国醤油は,主に「生抽」とか「老抽」という名で売られています。


肉食禁止令と「穀醤」

 
日本は,仏教の殺生禁断思想や稲作中心の律令国家を完成させる目的から,天武天皇の肉食禁止令(675年)が発せられ,以降,明治に至るまで,肉に代わって大豆が貴重なタンパク質の補給源となり,様々な食品に活用されることとなりました。

 醤の世界においても,大豆を基本とした「穀醤」(醤油)が発達することとなりました。

 残りの醤をみてみると,まず「肉醤」は肉なので除外され,寺では魚を食べることさえも禁止されていたので「魚醤」という選択肢もなく,「草醤」は食事の主体であるご飯のおかずとして別に発展したと言えるでしょう。

(東アジア・東南アジアの調味料文化圏)
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(石毛直道『石毛直道 食の文化を語る』から引用。一部加工)

 
図を御覧いただくと,東アジア一帯は穀醤圏に位置していることがわかりますが,特に日本は肉食が欠如していたことから,突出して穀醤が発達し,日本独自の醤油が生まれたと言えるでしょう。


肉や油脂に代わる「うま味」を求めて

 肉を使用しない料理法においては,食物の味や香りを引き立てる役割以上に香辛料が自己主張すべきではなく,臭みを消す強烈なスパイス類は必要ないとされてきました。

 また,日本では,出汁に鰹節,昆布,椎茸を中心に使われますが,これらはいずれも油脂が出てきません。これは,牛・鶏・豚の肉や骨などを煮込んでエキスと油脂成分を取り出す西洋料理や中国料理とは異なる特徴です。

 上品できめ細やかな味わいを求める日本料理には,他の国の料理に比べ,より一層うま味を求める結果となったのではないでしょうか。そしてそのうま味の相乗効果をもたらすための,一番の調味料が醤油であり,日本独自の醤油が発達する理由となったのだと思います。


(メモ)
 肉食禁止令の影響で,大豆を使った調味料である醤油や味噌が発展したが,1200年後の明治時代になって,逆に肉食が奨励されるようになると,肉を食べる手段として,それまで食べ慣れた醤油や味噌で味付けしたすき焼きや牛鍋が食べられるようになったのは興味深い。

しょうゆの研究7 -しょうゆは日本独自の調味料なのか(後編)-」に続きます。

2015年5月 3日 (日)

ふくちりの耳かき -山口県下関市-

下関では,ふぐのことを福につながるなどの意味を込めて「ふく」と呼びます。
正面から見ると,鍋に「ふくちり」と書かれており,その徹底ぶりが伺えます。
ふくが豆腐やきのこ,野菜たちと一緒に気持ち良さそうに鍋の中でいっぷくしていますが,その美味しいふくを食べると,確かに口の中に福が訪れたような気持ちになります。
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