アーミッシュの特徴と食文化1 -アーミッシュについて理解を深める-
アメリカ・ペンシルバニア州を中心とした地域に,アーミッシュと呼ばれる宗教集団が住んでおられます。
アーミッシュの宗派の特徴や食文化を探ってみようと思います。
アーミッシュとは
アーミッシュは,宗教改革の時代にスイスを中心としたヨーロッパで生まれたキリスト教の一派です。
幼児洗礼を認めず,成人して自らの意志で洗礼を受けることから,「再洗礼派(アナバプテスト)」とも呼ばれています。
メノナイトとアーミッシュの歴史
16世紀の宗教改革の時代,オランダのカトリック神父だったメノー・シモンズは,カトリック教会を離れ,アナバプテスト運動の指導者となりました。
彼の思想の影響を受けた一派を「メノナイト」と呼びます。
スイスのメノナイトだったヤコブ・アマンは,メノナイトの教会が本来の目的とした純粋さを失ったと考え,メノナイトを離れます。そして,聖書の教えを忠実に守って生きる宗教集団を作りました。
その後,彼に従った人たちは「アマン派(アーミッシュ)」と呼ばれるようになりました。
アーミッシュの特徴
アーミッシュには,国家と教会の分離,絶対平和主義,権威や偶像を認めないなどの特徴がありますが,よく知られているのは,アーミッシュの人々が,移動に馬車を使い,電気やガスは使わないなど,今日でも近代化を受け入れないような独特な生活を送っておられることです。
こうしたアーミッシュの特徴を表にまとめてみました。
(アーミッシュの特徴)
アーミッシュキルト
アーミッシュの人々は,控え目な無地の布で作られた服を着ていますが,そうした布を使って作られるキルトは,「アーミッシュキルト」として有名です。
(アーミッシュキルト)
日経ナショナル ジオグラフィック社『世界の食を愉しむ BEST500』から引用
(メモ)
ダッチ
「ダッチ(Dutch)」はオランダではなく,ドイツやドイツ語を意味し,これらの言葉が訛ってできた呼び方となっている。
イングリッシュ(英国人)
アーミッシュの人々は非アーミッシュの人々のことを(アメリカ人などイギリス人でなくても)「イングリッシュ(英国人)」とか「イングリッシャー(英語を話す者)」と呼ぶ。アーミッシュの人々が「ペンシルバニア・ダッチ」と呼ばれる古いドイツ語で会話することに由来している。
参考文献
ドナルド・B・クレイビル『アーミッシュの謎 宗教・社会・生活』論創社
池田智『アーミッシュの人びと 「充足」と「簡素」の文化』二玄社
菅原千代志『アーミッシュ もう1つのアメリカ』丸善ブックス
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