包丁塚と包丁供養
宮島の大聖院(真言宗御室派)で行われた包丁供養を見学しました。
包丁供養は,包丁に感謝すると共に,包丁によって調理された尊い霊を供養する行事です。
毎年,地元広島県内の料理関係団体の方々が中心となって行われていますが,一般家庭で使われた包丁も,3,000円で供養してもらえるようです。
(包丁供養・包丁式案内)
宮島の大聖院に包丁塚があることは,この行事があることも含めて最近になって知りました。
包丁塚と言って思い出すのは,料理漫画「包丁人味平」(原作:牛次郎,漫画:ビッグ錠)の「包丁試し」で出てくる上野・不忍池の包丁塚です。包丁塚に全国から包丁人が集まって,包丁人同士が命がけで料理の腕を競う場というイメージが強いです。
(包丁塚)
宮島・大聖院の包丁塚です。私の想像していた大きさよりはるかに大きな塚で,広島にもこんな立派な包丁塚があるのかと驚きました。
(供養される包丁)
包丁塚の前に,今回供養される包丁が2本並べられています。包丁を新聞紙で包んでいるのが印象的です。
大聖院座主が読経し,包丁供養が行われました。
(包丁供養)
読経とともに使い古された包丁が供養され,包丁塚に納められました。
(包丁塚に納められている包丁の様子)
包丁塚の石碑に包丁供養についての説明書きがあります。
(包丁塚石碑)
「庖丁は 調理技術者のいのちであり 家庭においては 毎日の食生活に欠かせない大切なものである この塚は永いあいだ使いはたした 庖丁をおさめて その恩恵を感謝し あわせて調理した 鳥 獣 魚 菜の霊をなぐさめると共に 調理技術の向上と業界の繁栄 ならびに 庖丁のおかげを受けている万民のしあわせな日ぐらしを祈念して 多くの庖丁を供養するものである」
と書かれてあります。
今回の包丁供養を見学して,この供養は,使い古された包丁だけではなく,包丁によって調理された尊い霊を供養する意味もあることがよく理解出来ました。
いただいた命を人間の命と同じように心を込めて供養する。この行事からも,日本の食文化の一端を垣間見ることが出来ます。
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