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2015年8月

2015年8月25日 (火)

ケニア料理の特徴と主な料理1 -ケニアの食文化-

 ケニアは,アフリカ大陸の東海岸に位置する国です。

(アフリカ大陸とケニア)
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 ケニアを含むアフリカ大陸東海岸は,スワヒリ地域と呼ばれています。
 古くからインド洋を舞台にアラビア,ペルシア,インドと交易関係を結び,スワヒリ文化が育まれてきました。

 アラブやペルシャの商人が「ダウ船」と呼ばれる帆船を使って交易したのですが,こうした交易が盛んに行われた理由として,規則的に風向きを変える季節風(モンスーン)と海流がうまく利用されたことが挙げられます。

(アフリカ・スワヒリ地域と季節風)
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(宇佐美久美子『アフリカ史の意味』から引用)


(ダウ船)
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(宇佐美久美子『アフリカ史の意味』から引用)

 
かの有名なインド航路の開拓者バスコ・ダ・ガマも,いざインドに向けて出航する際には,現在のタンザニア・ケニアのアフリカ東海岸出身のアラブ人を水先案内人として同行させており,アラビア海を熟知している彼らから航海術も学んだようです。

 こうしたアラビア,ペルシア,インドとの交流は,ケニアの食文化においても,様々な影響を受けることとなりました。


ケニアの食文化

 ケニアの代表的な主食は,トウモロコシの粉を練って蒸したり,湯で練り上げて作られた「ウガリ」と呼ばれる団子や,小麦粉(全粒粉)を練って,薄く伸ばして焼いた「チャパティ」などで,地域によっては米飯も食べられています。

 このほかによく食べられる食材としては,豆,鶏,山羊,牛肉,スクマウィキ(ケール)などがあります。また,ビクトリア湖周辺では,ティラピアなどの魚もよく食べられるようです。

 料理では豆のシチュー「ギゼリ」や焼肉「ニャマ・チョマ」などが有名です。

 カレーやサモサも一般的な料理となっており,チャパティも含めて,インドなど南アジアの移民からの食文化の伝播があったことが伺えます。

 同様に,ケニアで一般的な料理となっている「ピラウ」や「ビリヤニ」は,元々はトルコの「ピラウ」や北インドの「プラオ」,「ビリヤニ」という米料理が,アラブ人によって,アフリカやヨーロッパに伝えられたもので,中東からも食文化の影響を受けていることが伺えます。


(メモ)
スワヒリ
 「スワヒリ」は,アラビア語の「サーヒル」(「海岸」という意味)の複数形「サワーヒル」に由来するもので,現在のソマリア南部からモザンビーク北部に至るベルト状の海岸地域をさす。

アラブ人による米料理の伝播
 米と野菜,豆,肉などを油脂で炒め,香辛料や塩で味付けして炊いた料理は,中東や北インドで盛んに食べられる米料理だが,この料理をアフリカやヨーロッパに広めたのがアラブ人である。ケニアの「ピラウ」や「ビリヤニ」のほか,ヨーロッパ全般の「ピラフ」,スペイン・バレンシア地方の「パエリア」などが挙げられる。
 「パエリア」はその後,大西洋を渡ってアメリカ南部ルイジアナのクレオール料理「ジャンバラヤ」へとつながっている。

<主な参考文献>
宇佐美久美子『アフリカ史の意味』山川出版社
ケニア共和国大使館・ケニア政府観光局日本事務所『ケニア観光公式ガイド』

2015年8月19日 (水)

ルバーブの特徴を知る(1) -ルバーブジャム・ルバーブパイ-

 6月末に,広島県廿日市市郊外のカフェに併設された青空市で,ルバーブが売られていました。

 お店の方から,酸味が強いのでジャムにするとよいと伺い,もの珍しさもあって,購入しました。


ルバーブ


 ルバーブという名前からは,おしゃれなハーブのようなイメージを持っていたのですが,実際の見た目はフキかイタドリのような植物です。

(ルバーブ)
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 手元の本では,ルバーブについて,「食用大黄(だいおう)ともいう。フキに似た赤色の葉柄は,特有の香味,酸味がある。果物のように利用する野菜で,サラダ,ジャム,コンポート,プディング,パイ,ゼリーに用いる。根は漢方で大黄と呼ばれ,消化促進,黄胆に効果がある。」とあります。

 植物の青臭さはあまり感じられず,香りが強い植物ではないようです。

 まずは外の皮をむいて,生で食べてみることとしました。昔,子供の頃,山でイタドリ(私はカッポンと呼んでいました)を食べた時の酸っぱさを想像し,かなりの酸味があるのではと覚悟をして食べましたが,意外にも,そんなに強い酸味はありませんでした。

 そこで,ものは試しと,今度は皮ごと生で食べてみると,皮に強い酸味があり,レモンを丸ごとかじったような酸っぱさを感じました。


ルバーブジャム

 生のルバーブの味を確認したところで,早速ジャムを作ってみることとしました。

 ルバーブの皮の酸味が特に強かったので,皮はむくこととしました。
 1~2cmの長さに切り,ボウルの中に入れ,どっさりと砂糖も加えて,約30分,そのままにしておきました。

(ルバーブに砂糖を加えた様子)
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 予想どおり,砂糖漬けにすることで,ルバーブに含まれていた水分がかなり出てきました。そこで,新たに水を加えることなく,このルバーブに含まれていた水分だけで煮ることにしました。

 鍋に移し替えて煮ていると,自然と繊維がやわらかくなりました。
 フキは煮ても形はあまり崩れませんが,ルバーブは手でつぶさなくても,加熱することで勝手にどろどろに溶けていくのです。

(ルバーブをしばらく加熱した様子)
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 そして,不思議とグレープフルーツのような柑橘の香りが立ち込めるようにもなりました。

 砂糖を加えているので,焦げ付きに注意しながら,約20分,弱火で煮続けました。

 蒸発で水分が減る分,とろみが増し,生で食べた時よりも酸味が強調されてきました。色も濃い緑色に変化してきました。

(ルバーブを約20分加熱した様子)
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 約20分煮たところで火を止め,冷ましてルバーブジャムの完成です。
 ルバーブは酸味や食物繊維が多く,砂糖で加熱すると自然ととろみが出るため,レモン汁を加える必要はなさそうです。

(ルバーブジャム)
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 今回は緑のルバーブを使ったので,緑色のジャムとなりましたが,赤いルバーブで作ると,赤色のルバーブジャムができます。


ルバーブパイ

 
後日,市販の冷凍パイシートにルバーブジャムをのせて,オーブンで焼き,ルバーブパイを作ってみました。

(ルバーブパイ)
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 ルバーブジャムだけだと,甘味より酸味が勝ってしまうのですが,これをバターの塩味の効いたパイ生地と一緒に食べると,その酸味がやわらぎ,逆に甘味が引き立つようになるので,とても美味しくなります。
 アップルパイを作る際,甘酸っぱいりんごを使う方がよいのと同じです。

 私にしてはまともに出来たので,ご近所にもおすそ分けを…と思ったのですが,持って出る直前で,あることに気付き,あきらめました。

 そのあることとは…。パイに照りと焼き色をつけるため,オーブンで焼く前に,卵液(黄身を水でのばした液)を刷毛でパイ生地に塗るのですが,刷毛がなかったため,あるもので代用しました。(作っている最中は,「これを思いつくとは,ナイスアイデア!」と興奮したものです。)

 その代用品とは…私が毎日使っている歯ブラシです(笑)。

 後日,同じ要領で(ただし歯ブラシは使わず,衛生には細心の注意を払った上で)アップルパイを作り,鉄板にのった焼き立てのパイをご近所におすそ分けしました。

2015年8月14日 (金)

タルトの耳かき -愛媛県今治市-

愛媛のキャラクター「タルト」の耳かきです。
名前がずばり「タルト」なので,愛媛の銘菓「タルト」との使い分けに苦労しそうです(笑)。
「郷土を愛する貴方に贈る」と自信を持った言い方があるかと思うと,「アイガフカマル?」と少し弱気な言い方もあり,裏側にも耳かきにまつわるエピソードがたくさん書かれているなど,楽しさ満載の耳かきです。
(表側)
3803152

(裏側)
38031521

2015年8月 9日 (日)

ネパール料理の特徴と主な料理3 -アルアチャール・マルプア・チャイ-

 「ネパール現地報告会」(楠那ネパール友好協会主催)で提供いただいた昼食です。
※「ネパール現地報告会」の様子は,「ネパール料理の特徴と主な料理2 -ダルバートとジャナイプルニマのクワティー-」にも掲載しています。


アルアチャール

 アルアチャールはネパール風ポテトサラダです。
 「アル」がじゃがいも,「アチャール」が漬物という意味となります。

 ゆでたじゃがいもにきゅうり,コリアンダーを加え,すりごま,ターメリック,チリパウダー,レモン汁,塩などで味を調えた料理です。仕上げに熱した油をかけても美味しいようです。

(アルアチャール)
Photo

 イメージとしては,ゆでたじゃがいもに,きゅうりのごま和えをかけたような料理です。
 

 きゅうりが塩でしんなりした感じになっていますが,これが漬物にあたるのでしょう。
 もしスパイスの香りがなかったら,日本の家庭料理とも言えそうな気がします。
 ごまの香りが豊かな,どこか懐かしさを感じる料理でした。

(きゅうりの漬物)
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 これはどこか近所のご家庭で漬けられたきゅうりの漬物だと思いますが(笑),ネパールで言えば「きゅうりのアチャール(漬物)」となるでしょう。


マルプア

 マルプアは揚げ菓子です。

 見た目からは,中にじゃがいもの入ったサモサを想像しましたが,小麦粉と砂糖,ココナッツ,レーズンをまぜた甘い生地をスプーンで油に落として揚げた,甘い揚げ菓子でした。

 アニスシードやフェンネルシードを加えるとさらに風味がよくなるとのことでした。

(マルプア)
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 今川焼きやたい焼きなどで使われる甘い小麦粉の生地にココナッツを加えて,生地だけを油で揚げたような感じで,もちもちした食感とココナッツの風味が楽しめるお菓子でした。


チャイ

 このほか,食後にチャイやスイカもいただき,大満足な食事でした。

(チャイ)
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 ネパールはインドのダージリン茶園が近く,良質の茶葉が採れる紅茶の産地でもあります。


 今回いただいた料理は,楠那ネパール友好協会の方々のみならず,佐伯区五日市のネパール交流団体や広島在住のネパール出身の方々にも応援いただき,前日から準備していただいていたとのことで,頭の下がる思いがしました。

 ネパール地震の募金を気持ちばかりさせていただき,またこうした企画があれば参加したいと思いつつ,会場を後にしました。

(ネパール国旗とジャナイプルニマ(ネパールの祭り)の飾り)
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(メモ)
ベジタリアンと豆
 ヒンドゥー教徒,ジャイナ教徒,仏教徒にはベジタリアン(菜食主義者)も多くみられるが,ベジタリアンが肉や魚を摂取しなくても生活できるのは,乳製品や植物性タンパク質の豊富な豆の恩恵によるところが大きい。

豆もやし
 インドやネパールなどでは,様々な豆を,水に浸け,少し芽を出した状態の「もやし」にしてから食べられることが多い。
これは,
(1)発芽の過程でビタミンなどの栄養分が作り出され,少し芽が出た状態で豆の栄養がピークに達する
(2)「豆もやし」にした場合,豆を煮て(蒸して)やわらかくなるまでの時間が驚異的に短くなる
などの大きなメリットが生じるためである。

2015年8月 2日 (日)

ネパール料理の特徴と主な料理2 -ダルバートとジャナイプルニマのクワティー-

ネパール現地報告会

 楠那ネパール友好協会主催の「ネパール現地報告会」に参加しました。

 2015年4月25日に発生したネパール地震の報告を中心としたイベントです。
 ネパール料理も味わえる内容だったので,とても興味深く参加させていただきました。

 午前中はネパールの自然や文化について,午後は今回のネパール地震の現状について,ネパール出身の留学生の方からの説明で学びました。

 ネパール地震については,避難住民の生活,各国の救援活動,建物や世界遺産の被災状況などを,スクリーンの画像を交えて報告されたのですが,その中で印象に残ったのは,「ネパールに観光に来てもらうのが,一番の支援となります。」というお話でした。


食事の基本「ダルバート」

 
ネパールの食文化についても説明がありました。

 食事の基本は,「ダル」(豆のスープ),「バート」(ご飯),「タルカリ」(野菜やカレーなどのおかず),「アチャール」(漬物)で構成されており,総じて「ダルバート」と呼ばれているとのことです。

 強く印象に残ったのは,「日本に来て初めて魚を食べた」というお話で,ネパールという国が改めて内陸の国だということを思い知らされました。


ネパール現地報告会の昼食

 
昼食は,弁当箱に入れて提供されました。大勢が集まった中で,1人1人が決まった量を公平に配分できる良い方法だと思いました。(参加人数が予想より多くなったと聞いていたので,少し不安に思っていました(笑)。)

(ネパール現地報告会の昼食)
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 カトマンズに居住するネワール族の料理で構成されています。

 今回提供された料理を個別に御紹介します。


クワティー

 
クワティーは9種類の豆のスープのことです。

 豆はひよこ豆,黒目豆,金時豆,レンズ豆,ムング豆などが用いられます。

 8月から9月にかけての満月の日に行われるヒンドゥー教の祭り「ジャナイプルニマ」の際に作られるスープです。

(ジャナイプリニマ・クワティプリニマとクワティー)
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「ネパール現地報告会」プレゼンテーション資料

 たくさんの豆が入ったカレー味のスープで,そのまま食べても豆の美味しさを味わえ,食べ応えがありますし,ご飯との相性も抜群でした。

(クワティー)
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 スープの中にはモモ(又はモモチャ)と呼ばれる鶏の挽き肉が入った一口水餃子も入っていました。

(クワティーとモモ)
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 ちなみにネパールでは,モモの具として水牛がよく使われるようです。
 牛は「神様」で,水牛は「悪魔」として扱われているという話も聞き,そのギャップが興味深かったです。

※「ネパール現地報告会」の様子は,「ネパール料理の特徴と主な料理3 -アルアチャール・マルプア・チャイ-」にも掲載しています。

(メモ)
ジャナイプルニマ
 8月から9月にかけての満月(プルニマ)の日に,僧侶から手首に聖紐(ジャナイ)を巻いてもらい,亡くなってからも,楽に三途の川を渡れるようにと祈る。
 もう一方の聖紐は牛の尻尾に巻きつけられるが,これは三途の川を牛に誘導してもらうという意味が込められている。

(ジャナイプルニマを祝う絵)
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