色が食欲に与える影響と食品マーケティング -倉敷のデニムまん-
デニムストリートのデニムまん
倉敷は国産ジーンズ発祥の地として有名です。
その倉敷に,デニムと同じ藍色の生地で作られた肉まんが売られていることを知り,倉敷美観地区にある「デニムストリート」を訪問しました。
デニムストリートには,確かにデニムまんなどが売られているテイクアウトのコーナーがあり,行列ができていました。
(メニュー)
デニムまん以外にも,藍色のソフトクリーム「デニムソフト」や,バンズが藍色の「デニムバーガー」など,普段見かけない色の食べ物が売られていました。
早速気になっていたデニムまんを買ってみました。
(デニムまん販売の様子)
「食欲をなくす色 No 1 それは青色です」と堂々と書かれたコピーが印象的です。
肉まんにしては割高で,見た目も食欲を削ぐ色となっており,一見すると商品としてはマイナス要素の方が大きく思えます。
しかし,ここまでマイナス要素ばかりが揃った商品は珍しいので,私を含め,逆に好奇心から購買意欲がかきたてられる方が多いのも事実でしょう。
自宅に持ち帰り,実食です。
(デニムまん)
自宅で改めて取り出すと,やはり強烈なインパクトのある色です。
(デニムまんの中身)
中のあんは他の一般的な肉まんと同じものだと思います。
実際にいただいてみると,「見た目を除けば,市販の肉まんとほぼ同じ」だと思いました。
色が食欲に与える影響
色と食欲の関係について,幕内秀夫氏は『子どもが野菜嫌いで何が悪い!』という著書の中で,「子どもが緑黄色野菜を好まないのは,緑や青,紫色の食べ物が,植物の未熟さ,毒性を示すことを直感的に判断するから」であり,そのことを逆手に取って,「子どもが口にしてほしくない洗剤やタバコなどは緑や青,紫色のパッケージが多い」と述べています。
経験を積んだ大人は,色以外にも多くの判断材料を持っているので,食べ物の良し悪しを総合的に判断するようになりますが,人間の持つ生理的な判断材料として,緑や青などの寒色系より赤や黄色など暖色系の方がおいしそうに見えるのは,疑いようのない事実です。
デニムまんのマーケティング
今回のデニムまん1つを取っても,地域の特産を食べ物に生かしたアイデア,観光地であることを踏まえた絶妙な価格設定,そして,あえて真逆の食欲をなくす色を使うことで好奇心から食欲を掻き立てる手法など,既存の枠にとらわれない,でも緻密に計算されたであろうマーケティング手法を垣間見ることができます。
エンターテイメントの要素が強い食べ物だと思いました。
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