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2016年1月 2日 (土)

群馬の食文化の特徴を探る(1) -群馬県桐生市のソースカツ丼・ひもかわ-

 群馬に旅行してきました。

 その地域の郷土料理をいただき,食文化を理解することを旅行の目的の1つにしていたので,計画段階で,群馬での食事はどこにしようかと悩みました。
 そんな中,群馬のガイドブックを読んでいると,ふと目に留まる広告を発見しました。

(桐生観光広告)
Photo
(昭文社『まっぷる 群馬・草津・伊香保・みなかみ '16』から引用)

 桐生の観光向け広告ですが,その広告に「せっかくだから,桐生に寄っていけばいいのに。」という控え目な,でも寄らないともったいないような気にさせられるコピーがあったのです。

 さらに,「ひもかわ(※1)とかソースカツ丼(※2)とか ご当地グルメ(※3)がいっぱいあるし,見どころ(※4)もたくさんあるのに」と続きます。

※1 極端に幅の広いうどん。店によっては幅10cmを超えるものも。
※2 誰が何と言おうと,ソースカツ丼と言えば桐生です。
※3 子供洋食,ぎゅうてん,栗まんじゅうなどなど。どれも実際に見たら予想を裏切られます。
※4 関東で5番目に指定された重要伝統的建造物群保存地区など。産業観光でも国内トップクラスの評価を受けています。
(注釈については,広告の文字が小さいため,文章で記載しました。)


 「いいのに…」とか「あるのに…」と桐生市のマスコットキャラクター「キノピー」に言われ,それでも桐生に寄らなかったら,後で「広島からはるばる群馬まで行って,ご当地グルメの豊富な桐生に寄って帰ったらよかったのに…」と後悔しそうです。

 これはもう行くしかないと決め,桐生市を訪問しました。


ソースカツ丼

 カツ丼と言えば,全国的に玉子とじカツ丼が主流ですが,福井などソースをかけたソースカツ丼を指す地域も全国に点在しています。

 その1つが桐生のソースカツ丼です。

 「ソースカツ丼を最初に出した元祖の店」と紹介されている店でいただいてみることとしました。

(ソースカツ丼)
Photo_2

 メニューには,ご飯の上に載せるトンカツの個数が4個か6個か選べるようになっています。
 ちなみに,玉子とじのカツ丼も「玉子カツ丼」として用意されていました。

 私は4個入りのスタンダードなソースカツ丼を注文しました。

 ご飯の上に,ヒレカツが4個載せられ,ソースがかけられたカツ丼です。
 千切キャベツはカツ丼とは別の皿に盛られています。

 ヒレカツなので脂がしつこくなく,サクサクとした食感なので,食が進みます。
 ソースはさらりとしたウスターソースの味を想像していただければよいと思います。

 トンカツ,ソース,白いご飯がうまく調和し,どこか懐かしさも感じる味でした。


ひもかわ

 ひもかわは,幅広,長めのうどんのことです。

 帰路,桐生駅構内にある駅そば屋さんでいただきました。

(ひもかわ(かけ))
Photo_3

 幅3~4cmはあろうかという幅広麺ですが,厚さが薄いので,普通のうどんに比べて早く茹で上がるそうです。

 店によっては,幅約10cmもあるものもあるようですが,ここまでくると,麺と言うより,もはや生地そのものです。

 幅が広いので,1本1本(1枚1枚)適当な長さで噛み切りながら食べることとなります。
 
 表面がつるんと絹のように滑らかで,噛みしめるともちもち感があります。

 幅広の麺なので,色の濃い関東のつゆでいただく方が向いていると思いました。

 桐生は古くから織物業が盛んで,「日本の機どころ」とか「西の西陣,東の桐生」と呼ばれていることや,ひもかわに「芋川」や「紐革」という漢字があてられることから,その帯や紐にヒントを得たのではないかと思いますが,真相はよくわからないようです。

 今回は時間の制約もあり,駅そば屋さんでいただくのみでしたが,桐生市内にはたくさんのひもかわのお店があるので,香川の讃岐うどんめぐりのように,ひもかわめぐりをするのも楽しいと思います。

 「もう少し滞在時間があればよかったのに…」と名残惜しみつつ,桐生を後にしました。

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コメント

私が昔食べた『ソース・かつ丼』は、
ご飯の上にキャベツの千切り、
その上にトンカツが乗っていました。
この違いは、地域によるものなのか、
お店の違いによるものなのか、
どっちなんでしょう?
ちなみに私がたべたのは、静岡。
今はそのお店は有りません

私は福井と桐生のキャベツがベツのソースカツ丼しか食べたことがないのですが,
手元の本(岡田哲『明治洋食事始め』)によると,ルーツは大きくは東京(のちに
福井)と長野(駒ヶ根)に分かれるようです。

そして,前者はキャベツは別,後者がキャベツをのせるタイプのようなのです。

静岡で食べられたとのお話ですが,静岡は長野のソースカツ丼の影響が強い
のかも知れませんね。
逆に桐生は東京(福井)の影響が強かったのかも知れません。

ただ,私が直感的にこれは言えると思ったのは,キャベツをのせない場合は
さらりとしたウスターソースが合い,キャベツをのせる場合はどろっとしたソース
が合うということです。

なぜなら,きゃべつなしで濃いソースだと,口の中が重くなり,さっぱりする
キャベツがないので食べるのがしんどいですし,逆にキャベツがのせられて
いるのにさらりとしたソースだと,ソースがキャベツを通過し,ご飯に達したら,
水気が出て,冷たくなり,ご飯がおいしくなくなるように思うからです。

とすると,実はソースの違いが,キャベツをのせるかどうかに違いをもたら
しているのかも知れないのではと思ったのですが,いかがでしょう。

コウジ菌

すみません。
自分で調べろよって話ですよね~
ありがとうございます。
でも、実はこの話を振れば、きっと答えていただけるのでは?
っと思っていました
ソースは仰る通りですね
キャベツが乗るか乗らないかでは
合うタイプのソースが違うかもしれません。
個人的には、トンカツには濃いソースか
おろしポン酢と決めているので、
ご飯の上にキャベツ乗せ派だな。
そして濃いめのソースで、 
そうそう、カラシも有ると嬉しいな。
そういえば、こんなデータが・・・
https://www.jmar.biz/hot/html/dai23-2_5.html
私は、広島県人だけど、中濃ソース派なんだよな~
最近では、ウスターソース使わないもの
話が脱線しつつありますね。
ホント、ありがとうございました。

食いしん坊倶楽部・海さま

とんでもない,とてもありがたかったです。
そして,鋭い御質問だなと驚きました。

なぜなら・・・
私は今回,群馬でソースカツ丼を食べた訳ですが,群馬はキャベツの生産量も
多い地域なのです。キャベツが豊富にあるなら,キャベツをご飯の上にたっぷり
のせるやり方の方が自然なのではと思えるのに,実際は逆で,キャベツはの
せないやり方だったからです。

そして,ソースカツ丼については,ネットで検索しても,「これだ!」と言える説明が
ないようにも思います。

そんな中,ふと思いついたのが,扱うソースの種類によって,キャベツの扱いにも
違いが出てくるのではないかというお話です。

ソースの嗜好について調査されたサイトも御紹介いただきありがとうございました。
時々,このサイトも見て,勉強させていただこうと思います。

広島の人は,お好みソースが好きで,フライ,天ぷら,カレーなど何でもお好みソー
スを付けて食べます。

ちなみに私は,さっぱりと醤油または塩派です。

とんかつ屋さんに行っても,さりげなーく,「おしんこ用に醤油ありますぅー?」と聞き,
あればとんかつに醤油をつけて食べると言う,とんかつ屋さんに嫌がられるタイプ
なのです(笑)。

コウジ菌

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