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2016年4月20日 (水)

岡山の高級野菜 黄ニラ

 黄ニラは,知る人ぞ知る岡山の特産品です。

 岡山県内で全国の約7割が生産されていますが,青ニラの生産量の1%も満たない生産量のため,なかなか販売されていない高級野菜となっています。


手間暇かかる黄ニラの栽培

 黄ニラは通常の青ニラを光合成させず,根の養分だけで育てたものです。

 簡単なようですが,実はとても手間がかかります。

 まず1年目,2年目は,しっかりした根を張らせるために,強い青ニラを育てます。

 それを収穫せず,そのまま枯らせることで,ニラの根にたっぷりの養分を含ませるのです。

 3年目にしてようやく,そのニラ畑に黒のマルチ(ビニールシート)を被せて,直接日光を当てないようにし,光合成によらず,たっぷり含んだ根の養分によってニラを成長させると黄ニラができるという流れです。

 このように黄ニラ作りは,とても手間暇がかかるので,作る農家は限られています。

 その分,出荷量も少ないため,高級野菜として扱われているのです。


黄ニラの里訪問

 黄ニラのことを知って以来,黄ニラを求めて,岡山県内のJA産直市などで何度か探し回ったり,店員の方に出荷状況を尋ねたりしたのですが,めぐり合うことはありませんでした。

 そこで,どうしても「気にら」る黄ニラとの出会いを求めて,黄ニラの本場,岡山市北区牟佐にある「黄ニラの里」を訪問しました。

(黄ニラの里)
Photo

 「黄ニラの里岡山」の看板には黄ニラの絵が描かれています。

 奥の施設が,黄ニラの選果場・洗い場です。
 私が訪問したのは昼前でしたが,既に集出荷の作業は終わった様子でした。

 次に黄ニラの畑はないか探したところ,御自宅で収穫した黄ニラを天日干しされている御夫婦がおられたので,写真を撮らせていただき,少しお話も伺いました。

(黄ニラの天日干し)
Photo_2

 黄ニラを天日で干すことにより,水分が減って甘味が凝縮したり,強い日差しに短時間あてることで黄色が映え,栄養も増す効果があると教わりました。


黄ニラを購入し,観察する

 次に,実際に黄ニラを購入してみたいと思い,売られているお店を探すこととしました。

 ネットの情報でも,どこで売られているかという情報は乏しかったので,少し不安でしたが,近隣のスーパーで売られているのではなかろうかと何件が探し回ったところ,赤磐市内のスーパーで,ついに見つけることができました。

(黄ニラが販売されている様子)
Photo_3

 普段見かける青ニラよりも一束がかなりコンパクトにまとめられています。
 やはり値段も,青ニラに比べると高価ですが,それだけ手間がかかっていることの証だと言えるでしょう。

 この「黄金の束」を1束購入し,大事に自宅まで持って帰りました。

(黄ニラ)
Photo_4

 長さは約28cmに揃えられています。

 青ニラに比べて短めですが,1本1本にハリがあって,黄金色に輝いています。

 このあと,私はおひたしと玉子炒めにして黄ニラをいただきましたが,しゃきしゃきと歯応えが良く,青ニラに比べてニラ特有のにおいが少ないような気がしました。

(黄ニラのおひたし)
Photo_5


黄ニラしょうゆ

 赤磐市内の別のスーパーで,黄ニラが使われた「黄ニラしょうゆ」が売られていました。

(黄ニラしょうゆ)
Photo_6

 鯛,昆布,椎茸エキスが入っただし醤油に細かく刻んだ黄ニラが入れられています。

 卵料理や豆腐料理などに醤油の代わりに用いると,黄ニラ独特の風味が味わえて,美味しくいただけました。


牟佐名物 黄ニラ丼

 黄ニラの里のすぐ近くの県道沿いに,牟佐名物 黄ニラ丼を味わうことができる飲食店を発見しました。

(牟佐名物 黄ニラ丼の看板)
Photo_7

 興味を持ち,お店でいただくことにしました。

(牟佐名物 黄ニラ丼)
Photo_8

 このお店は,中華料理を中心とした定食や丼ものを中心に扱っておられることから,黄ニラ丼も中華風の丼でした。

 丼の構造ですが,土台のご飯,その上に豚肉や青ニラなどの具を甜麺醤(甘味噌)で炒めた回鍋肉(ホイコーロー),その上に立派な海老の天ぷらが2本乗せられ,更にその上に炒めた黄ニラがたっぷり乗せられています。

 かなりボリュームがあり,このお店の誇りと意気込みを感じました。

 黄ニラだけでなく,青ニラもたっぷり入っていたことを興味深く感じながら,美味しくいただきました。


 帰りに岡山駅前の大型スーパーに寄ってみると,野菜コーナーに同じ黄ニラが売られていました。

 少し拍子抜けでしたが,最近は「ばら寿司」など,黄ニラを使った岡山の郷土料理を提供する店も多いので,そこで黄ニラの美味しさを知り,お土産にと買い求める方も多いのでしょう。

 黄ニラの美味しさがもっと広く知れ渡り,農業の振興につながることを期待しています。

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コメント

話には聞いてますが・・やはり、主流は緑ですよね。
ニラが苦手な方にいいかも・・・
でも、苦手な方っているかしら??(笑)

ヒナタ 様

黄ニラの里でも主流は緑のニラです。

黄ニラは緑のニラに比べ,においがソフトなので,確かに食べやすく,ニラが苦手な人にもおすすめだと思います。
ただ,手間暇かけた高級野菜であり,食べてみたい人も多いでしょうから,苦手な人が無理して食べるにはもったいないように思います(笑)。

においがある野菜なので,苦手な人も少なからずいらっしゃるはずです。

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