フランス料理の特徴と主な料理7 -ガトーバスク-
広島市内の焼菓子店でガトーバスクが売られていました。
そのネーミングに興味を持ち,店内の喫茶室でいただきました。
スペインとフランスにまたがるバスク地方
「ガトー(gâteau)」はフランス語で「お菓子」の意味なので,「バスク地方の菓子」と訳すことができます。
バスク地方と言えば,ピカソの絵画「ゲルニカ」や「バスク料理(※)」で有名なスペインの地方というイメージが強いので,私はお店の方に「スペインの焼き菓子ですか」と尋ねたところ,「フランス・バスク地方の焼き菓子となります」と教えていただき,少し意外に感じました。
※バスク地方の海と山の幸をふんだんに利用して作られる郷土料理。スペインとフランスの食文化が融合されていることが特徴で,世界の美食家を魅了し続けている。ピンチョスなどが有名。
(フランス・バスク地方の位置)
(大森由紀子『フランス菓子図鑑 お菓子の名前と由来』から引用・一部加工)
バスク地方はピレネー山脈の北側に位置し,フランスとスペインにまたがっていますが,今回のガトーバスクはフランス領バスク地方でのみ作られているお菓子のようです。
ガトーバスク
当初のガトーバスクは,小麦粉の代わりにとうもろこし粉,砂糖の代わりに蜂蜜,バターの代わりにラードが用いられ,これにいちじくやプラムなどのドライフルーツを混ぜて作られていたようです。
また,「バスク十字(ラウブル)」と呼ばれるバスク地方の独特な十字が描かれることも多いようです。
(バスク十字の描かれたガトーバスクの例)
(大森由紀子『フランス菓子図鑑 お菓子の名前と由来』から引用・一部加工)
今回いただいたガトーバスクは,液状の生地(アパレイユ)に,卵と「フランジパーヌ」と呼ばれるアーモンドクリームとカスタードクリームを合わせたクリームが使われており,このアパレイユに小麦粉,砂糖,バターなどを加えて,オーブンで焼き上げることで作られています。
(ガトーバスク)
表面はやはりバスク十字のデザインです。(カットされているので分かりづらいですが。)
ドライフルーツやジャムなどは入っておらず,シンプルな焼き菓子に仕上がっています。
実際にいただいてみると,上下の層がアーモンドクリーム中心の生地でさっくりと,はさまれた中間の層がカスタードクリーム中心の生地でしっとりと仕上がっており,アーモンドの香ばしさとカスタードの甘い風味を同時に楽しむことができました。
味や食感は,「ガレット・デ・ロワ」(「コンビニのガレット・デ・ロワ -公現祭のお菓子-」参照)や,菓子パンのアーモンドケーキに似ているように思いました。
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