しょうゆの研究13 -キッコーマン まめカフェ・国際食文化研究センター訪問-
千葉県野田市にある醤油メーカー「キッコーマン」を訪問しました。
もの知りしょうゆ館の見学(「しょうゆの研究12 -キッコーマン もの知りしょうゆ館見学-」参照)の後,併設されている,わくわくしょうゆ体験コーナー「まめカフェ」を訪問しました。
まめカフェ
「まめカフェ」は,実際に醤油の味をみたり,食を通じて様々な醤油体験ができる飲食コーナーです。
私は,昼食も兼ねて,この「まめカフェ」でいろいろな醤油の味を体験させていただくこととしました。
(まめカフェ エントランス)
次にいつ来れるかわからず,昼食も兼ねているため,欲張って全てを試してみることとし,食券販売機でボタンを順番に押し続けました(笑)。
まずはせんべい焼きを体験してみることとしました。
せんべい焼き体験
せんべい焼き体験を希望する旨を申し出ると,しばらくして電熱コンロのテーブルに案内され,米粉で作られたせんべい,トング,醤油,刷毛,作り方の説明書を御用意いただきました。
最初に,真っ白い米粉のせんべいに焼き色が付くまで,そのまま焼きます。
(せんべい焼き始めの様子)
焼き色が付いたら,一旦せんべいを皿の上に取り出し,刷毛で表面に醤油(特選丸大豆しょうゆ)を塗ります。
(醤油の刷毛塗りの様子)
醤油を塗り終えたら,再び電熱コンロにのせ,表面の醤油が乾く程度に軽く焼いて完成です。
(せんべい焼きの完成)
しょうゆせんべいは,醤油を塗った後に焦げ色を付けて,さらにじっくり焼いて作るのではないかと思っていましたが,今回の体験で,焦げ色が付いたせんべい生地に醤油をさっと塗り,その水分がなくなれば出来上がりということを初めて知り,勉強になりました。
できたせんべいを早速いただきましたが,出来たてあつあつ,パリッと仕上がったせんべいの食感や,焦げたしょうゆの香ばしさを楽しむことができました。
醤油の味くらべ
「まめカフェ」のカウンターには,様々な種類の醤油が置かれていて,自由に味くらべをすることができます。
(醤油の味くらべ)
数多く用意された醤油の中から,私は「うすくち丸大豆生しょうゆ」,「超特選二段熟成生しょうゆ」,「超特選本醸造極旨しょうゆ」の3種類を選んでみました。
この3種類の醤油を,冷奴でいただきました。
「うすくち丸大豆生しょうゆ」は,見た目は薄いですが,旨味や塩味はしっかりとあるので,素材の色を生かした煮物などに向いていると思いました。
「超特選二段熟成生しょうゆ」は,「二段熟成」すなわち,通常なら醤油は食塩水を原料として作られるのですが,その食塩水の代わりに火入れしていない醤油(生揚げ)を使って作られる醤油(※)なのです。
そのため,他の醤油に比べて,ひときわ色が濃く,コクや旨味も強く,全体がまろやかな仕上がりになっていると感じました。
※JAS規格では,「さいしこみしょうゆ」と呼ばれる。
「超特選本醸造極旨しょうゆ」は,香りや旨味が強く,コクも深いので,つけ醤油や煮物に向いていると思いました。
特製もろみ豚汁・生しょうゆうどん・冷奴
(特製もろみ豚汁・生しょうゆうどん・冷奴)
(生しょうゆうどん)
生しょうゆうどんは,生醤油をかけたシンプルなうどんです。
シンプルなだけに,醤油の美味しさを直接味わうことができます。
醤油は,さいしこみしょうゆが使われているため,濃厚で深い味わいを楽しむことができました。
(特製もろみ豚汁)
特製もろみ豚汁は工場限定販売の「もろみ味」と呼ばれる「しょうゆもろみ」(醤油を搾る前の原料)が使用されているので,深い,コクのある豚汁に仕上がっていました。
その深いコクは味噌によるものではないかとも感じたため,お店の方に,「味噌も使われているのですか」と尋ねたところ,「かくし味程度に味噌と砂糖も入れていますが,大半はしょうゆもろみの味です」と教えていただきました。
しょうゆソフトクリーム
醤油(特選丸大豆しょうゆ)が入ったソフトクリームです。
(しょうゆソフトクリーム(ハーフ))
バニラソフトクリームに比べ,醤油が入っている分,若干色が褐色になっています。
醤油をほんの少し加えることで,香味が増し,少量の塩分によって甘さが引き立つ効果もあることがよくわかりました。
「まめカフェ」では,豆乳も入った「豆乳しょうゆソフトクリーム」も販売されていました。
キッコーマンは豆乳も有名なので,まさにキッコーマンの商品を生かしたソフトクリームに仕上げられています。
「まめカフェ」は,醤油や豆乳の原料である大豆にちなんで付けられた名称ではないかとも思いました。
キッコーマン国際食文化研究センター
キッコーマン国際食文化センターは,しょうゆを基本とした研究活動,情報の収集・公開などの活動を行っている機関で,キッコーマン野田本社に隣接した場所にあります。
キッコーマン国際食文化研究センターはちょうど昼休みの時間だったので,開館までの間,本社屋とその周辺の様子を拝見させていただくことにしました。
(キッコーマン野田本社)
本社屋の周りを歩いてみると,食堂がありました。
その食堂のテーブルに,卓上醤油として等間隔で置かれていたのが,この「いつでも新鮮しぼりたて生しょうゆ」です。
(いつでも新鮮しぼりたて生しょうゆ)
これは「もの知りしょうゆ館」見学のお土産としていただいたものですが,社内の食堂にも当たり前のように置かれているあたりが,さすが醤油会社だなと感心しました。
この本社屋の奥にキッコーマン国際食文化センターがあります。
(キッコーマン国際食文化研究センター)
キッコーマン国際食文化センターは,キッコーマンの創立80周年記念事業の一環として設立されました。
施設内には,しょうゆに関係する常設展示コーナーや,約1万冊の蔵書を誇る図書コーナーなどが設置されています。
特に図書コーナーの本は,「食と食文化」というテーマに特化して収集された蔵書となっており,食文化に興味のある私にとっては,まさに宝の山でした。
時間があれば何時間でも居たくなるような魅力的な施設となっています。
同センター職員の方からも親切に御説明いただき,興味を持った機関誌や食育の冊子もいただくことができました。
まとめ
千葉県野田市のキッコーマン「もの知りしょうゆ館」,「まめカフェ」,「国際食文化センター」での滞在時間はわずか2時間程度で,駆け足での移動となりましたが,醤油について多くを学び,体験できた充実したひとときを過ごすことができました。
醤油を手にした記念写真まで撮っていただきました(笑)。
お世話になったキッコーマンの皆様に,心から感謝申し上げます。
(メモ)
「特選」と「超特選」
醤油の規格は,「色度」(色の濃淡),「全窒素分(T.N)」(醤油の旨味),「無塩可溶性固形分(Ex)」(食塩を差し引いたエキス分)などを基準に,日本農林規格(JAS)により,「標準」,「上級」,「特級」という等級が定められている。
「特選」と「超特選」は「特殊規格」で,特級のT.N値(こいくち,たまり,さいしこみの場合。うすくち,しろの場合はEx値を用いる)より1割増の醤油に「特選」,2割増の醤油に「超特選」と称することができると決められている。
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コメント
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まめカフェなるものがあるのですね~試食できるとは嬉しい~
ソフト・・・美味しそう。ただ、今、食べたいだけですが~(笑)
やっぱり、うちは、キッコーマンです。昔から。
2時間で回ったのですか~それは、時間が足りなかったでしょうね。
投稿: ヒナタ | 2016年8月16日 (火) 14時11分
ヒナタ 様
工場見学で試食・体験ができるというのは嬉しい事ですよね。
しょうゆソフトクリーム,少し醤油を加えることで,香りと甘味が増すことがよくわかりました。
おすすめです。
ただ,お話のように,約2時間で工場見学,醤油体験,食事,少し離れた本社と国際食文化研究センターを回るとなると,やはり大変でした。
実際はゆっくり見学したり,味わって食べる時間などなかったのです。
がーっと口にかきこんで,次の場所へ走って移動。最後に行った国際食文化研究センターは,本当はここが一番興味を持っていたのに,帰りの電車の時間が迫っていたため,わずか10分程度の滞在でした(笑)。
汗びっしょりで,肩で息しながら,職員の方から食文化についてお話を伺い,お礼を言って,また走って駅へ向かう…。
自分でもよくこんなに行けたなぁと思います。
投稿: コウジ菌 | 2016年8月17日 (水) 01時08分