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2016年9月

2016年9月29日 (木)

アッタラシイ呉菓子大博覧会 -間宮最中,ドーナツケーキ,伊太利コロッケ,呉海軍工廠工員弁当-

 広島県呉市。

 かつて戦艦大和をはじめとする軍艦を建造し,横須賀,舞鶴,佐世保に並ぶ海軍の要衝として栄えたまちです。

 また,肉じゃがをはじめ,今も海軍にちなんだグルメが数多く伝承されている「海軍グルメのまち」でもあります。

 そんな呉で,2016年4月24日に,海軍のレシピを参考に当時の味を再現し,紹介するイベント「アッタラシイ呉菓子大博覧会」が開催されました。

 会場は,戦艦大和などの資料が展示されている「大和ミュージアム(呉市海事歴史科学館)」玄関前の広場でした。

(「大和ミュージアム」と「てつのくじら館」)
Photo

 写真手前左半分の建物が「大和ミュージアム」,カーブする道路を隔てて右上の潜水艦と建物が「てつのくじら館(海上自衛隊呉史料館)」です。


(「アッタラシイ呉菓子大博覧会」会場の様子)
Photo_2

 会場の「大和ミュージアム」玄関前広場の様子です。

 「アッタラシイ」は「新しい」と「あったらしい(存在したらしい)」をかけているのでしょう。

 また,後程御紹介しますが,水兵がお菓子を持って「オカシクレー」と言っているポスターが用意されていました。
 これは「クレー」と「呉」をかけているのでしょうね。

 果たしてどんなお菓子を紹介して「くれ」るのか,期待が高まります。


間宮最中

 「間宮」は,帝国海軍の各艦船に食料を供給するための給糧艦でした。

 食料を供給するだけでなく,調理も行われていたようで,嗜好品のお菓子まで艦内で製造されていたようです。

 その「間宮」で作られていた羊羹を再現し,その羊羹を餡として最中皮ではさんだものが,この「間宮最中」です。

(間宮最中説明書き)
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 写真右側が先程お話しした「アッタラシイ呉菓子大博覧会」のポスターです。

 「風月堂」のウェブページには,「大福なら1日1万個,焼きまんじゅうなら2万個,羊羹なら2千2百本(大きいので間宮の洗濯板と呼ばれた),最中なら,なんと6万個の生産能力がありました。」と説明されています。(同ウェブページ「海軍赤レンガ饅頭」の説明文から抜粋)

(間宮最中(包装))
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 原材料は,「小豆,白双(ザラメ糖),糸寒天,水飴,糯米」となっています。

 ザラメ糖や糸寒天が用いられているところに特徴がありそうです。

(間宮最中)
Photo_4

 羊羹用の小豆餡だけに,若干甘味が強く,味が濃いように思いましたが,市販されている最中とほぼ同じ味でした。


ドーナツ・ケーキ


 「間宮最中」と同様,給糧艦「間宮」で作られていたお菓子の1つです。

(ドーナツ・ケーキ説明文)
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 海軍省教育局の「海軍二等主計兵調理術教科書」に記載されているレシピを再現したドーナツと説明があります。

(ドーナツ・ケーキ(包装))
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 小麦粉,砂糖,牛乳,卵,ベーキングパウダーの生地で揚げたシンプルなドーナツです。

(ドーナツ・ケーキ)
Photo_5

 生地にバターやマーガリンといった油脂が使われてないので,ベーキングパウダーのサクッとした感じが前面に出たドーナツとなっており,しつこさがありませんでした。

 私が子供の頃,見よう見まねで作ったドーナツに似ていると言えば,当時の海軍二等主計兵殿に怒られるかも知れませんが,そんな素朴な,揚げパンのようなドーナツでした。


伊太利コロッケ

 伊太利はイタリアという意味です。

 コロッケに外国の名を冠するならば,フランスのクロケットにちなんで「仏蘭西(フランス)コロッケ」とした方が,料理の観点から言えば適していると思いますが,日独伊三国同盟などの時代背景も反映されたネーミングだったのでしょう。

(伊太利コロッケ説明書き)
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 一等巡洋艦「青葉」の兵員の評判「人気度100%大歓迎」だったと説明書きにあります。

 いくら何でも100%というのは,戦時中お決まりの誇大表現だと思いますが,洋食がとびきりの御馳走だと思われていたことは確かでしょう。


(一等巡洋艦「青葉」)
Photo

 大和ミュージアムに展示されている一等巡洋艦「青葉」の模型です。

 「青葉」という艦名は,京都府舞鶴市の青葉山に由来しています。


(伊太利コロッケ(包装))
Photo_10

 イタリアのコロッケと言えば,ライスコロッケの「アランチーニ(スップリ)」を思い出します。

 では,当時の海軍が考えたイタリアのコロッケとなるとどんな料理なのでしょうか。

(伊太利コロッケ)
Photo_6

 荒めにつぶしたじゃがいもに,ベシャメルソースを加えたクリームコロッケです。

 中の具は細かく切った豚肉と玉ねぎ,ミックスベジタブル(人参,グリーンピース,とうもろこし)でした。

 ベシャメルソース中心のクリームコロッケと違い,じゃがいものコロッケにベシャメルソースを少し配合した作りとなっているため,ミックスベジタブル入りポテトグラタンという表現が近いと思います。


呉海軍工廠工員弁当

 かつて「戦艦大和」も建造された呉海軍工廠。
 そこで工員向けに販売されていた弁当が再現され,販売されていました。

(呉海軍工廠工員弁当説明書き)
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 呉海軍工廠で最盛期に約73,000人もの工員が働いておられたとは驚きです。

 その工員たちの食事は,自宅から持参する弁当のほかに,弁当部勤務の年配女性たちが作る数万食もの工員弁当があったと説明されています。

(呉海軍工廠工員弁当箱)
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 ここまでくると,食事を用意するのも一大作業です。

 その再現された工員向け弁当の中身がこちらです。

(呉海軍工廠工員弁当)
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 竹皮で作られた弁当箱の中に,麦ご飯,ひじきの煮物,小魚の佃煮(2種),沢庵が入っています。

 弁当のふたを開けた瞬間,ご飯と沢庵のぬかと佃煮が混ざったにおいが漂いました。

 現代の市販弁当にはない,周りに漂うとちょっと困るような昔の弁当のにおいです。

 麦ご飯はもちろん,ひじきの煮物や佃煮も1つ1つの量が多く,1回の食事には十分過ぎるほどの量がありました。

 麦ご飯でお腹を一杯にすることがメインで,そのご飯のおともとして常備菜のおかずが盛られているという感じです。

 今だから新鮮な気持ちでおいしいと思いますが,この内容が毎日続くと,正直な話しんどいと思います。

 当時は,ご飯と缶詰の組み合わせで食べる人も多かったと聞いたことがありますが,これは毎日の食事に変化をもたせるという意味もあったのでしょう。

 こうした思いも含め,当時の食事を忠実に再現されている弁当だと思いました。


食の世界から歴史を理解する

 今回御紹介したいずれの食べ物も,「昔はこんな味付けだったのだろうな」と思わせるような,現代人の嗜好とは少し異なる味がしました。

 それこそが高く評価できる点だと思います。

 なぜなら,現代の嗜好に合わせるのではなく,より当時の味に近い料理や菓子を再現した結果だと言えるからです。

 当時使われた材料や調理法,食事の組み合わせ,人々の嗜好などを考証し,その結果をもとに,実際に食べられていたであろう料理や菓子を再現したり,味わってみることは,味覚,触覚,嗅覚といった感覚までフル活用して理解することができるという利点もあり,歴史を深く理解する上でとても有効な方法だと思います。

2016年9月19日 (月)

愛知県東海市の「トマトde健康フェスティバル」・広島県世羅町のトマト料理・カゴメの世羅菜園

愛知県東海市とカゴメ株式会社

 ケチャップやトマトジュースで有名なカゴメ株式会社。

 発祥の地は知多半島の付け根に位置する愛知県東海市です。

 その東海市とカゴメ株式会社が2015年4月10日に「トマトde健康まちづくり協定」を締結し,食の活動拠点「とまと記念館」,「トマト給食」,果ては「トマトジュースで乾杯」の推奨や「トマトジュースの出る蛇口」の設置まで,様々な取組みが行われています。


愛知県東海市の「トマトde健康フェスティバル」


 また,2016年8月1日から同年10月31日までは,「トマトde健康フェスティバル」という食のイベントが実施されており,東海市内の飲食店やスイーツ店などで,様々なトマト料理やトマトスイーツを味わうことができるようです。

 私は愛知県にお住まいのtomoさんのブログ記事を拝読し,このイベントを知りました。その記事を御紹介します。


○「tomoのブログ」

 「トマトde健康フェスティバル参戦禄① ~トマトナンとチキンカレー~

 「トマトde健康フェスティバル参戦禄② ~冷製パスタ~

 「トマトde健康フェスティバル参戦禄③ ~トマトスムージー~

 「トマトde健康フェスティバル参戦禄④+α ~若鳥のフレッシュトマトソース添え~

 こうしたイベントに参加されたブログ記事などを拝読すると,「こんな面白いイベントが地元(広島)でもあればいいのに」と羨ましく思うのですが,その後,たまたま立ち寄った広島県内の道の駅が地元野菜のトマトを使った料理に力を入れておられることを知り,興味を持って調べてみることとしました。


広島県世羅町のトマト料理・スイーツ

 高校駅伝で有名な世羅高校のある広島県世羅郡世羅町。

 その町にある交流拠点が「道の駅世羅」です。

 中国やまなみ街道(中国横断自動車道尾道松江線)世羅インターチェンジを降りてすぐの場所にあります。

 その「道の駅世羅」の飲食コーナーにトマトを使った料理・スイーツが用意されていたので,いただいてみました。


瀬戸内六穀豚のデミトマカツ丼

(瀬戸内六穀豚のデミトマカツ丼)
Photo

 「瀬戸内六穀豚」(とうもろこし,大麦,小麦,米,マイロ(こうりゃん),大豆の六穀を飼料に育てた豚)のとんかつを丼のご飯の上にのせ,地元の「せらワイン」で作られたデミグラスソースと世羅町産トマトで作られたトマトソースをかけた洋風カツ丼です。

 同じ丼の中に,トマトの輪切りを中心としたサラダも添えられています。

 とんかつの衣はカリッと,中の豚肉はジューシーでやわらかく,デミグラスソースやトマトソースとよく合いました。

 トマトソースはトマトの角切りを煮込んで作られており,甘味もあって美味しかったです。


トマトソフトクリーム

 トマト入りのソフトクリームが人気だと聞き,注文しました。

 お店の方から,ソフトクリームに塩をかけるかどうか尋ねられました。
 「トマトやスイカに塩をかけて食べるようなものか」と思いつつ,塩もかけていただきました。

 これがそのトマトソフトクリームです。

(トマトソフトクリーム)
Photo_2

 白いバニラソフトクリームに赤いトマトが混ぜられ,赤っぽく色付いたソフトクリームになっています。

 写真でははっきりわかりませんが,肉眼では表面に塩の粒を確認することができます。

 実際にいただいてみると,独特な青臭さも含め,かなりトマトに近い風味でした。

 甘さは控え目なのですが,塩をかけることによって甘さが引き立ち,生のトマトに塩をかけて食べた時と全く同じ効果を感じられました。

 トマト本来の風味を生かしたソフトクリームに仕上がっており,おいしくいただきました。


 このほか,同じ世羅町内の料理旅館「玉乃家」には,トマトづくし創作和懐石「トマト懐石」(要予約)がメニューとして用意されており,トマトが町おこしの産品として,大きな役割を担っているようです。


カゴメの世羅菜園

 世羅町の町おこし産品の1つとなっているトマト。

 世羅町内でカゴメ株式会社が運営する大規模トマト農園「世羅菜園」に行ってみることにしました。

 「道の駅世羅」で場所を教えていただき,地図を片手に車で農園に向かいましたが,それでもかなり迷いました。

 半ばあきらめかけた頃,やっと「世羅菜園」への案内看板を見つけることができ,何とかたどり着くことができました。

 世羅菜園は三原市久井町に近い,世羅町の山奥にあります。

 世羅菜園の看板がなければ,それとわからなかったと思います。

(世羅菜園入口)
Photo_3

 大きく整然とした温室ハウスが続いています。

 道をはさんだ向かい側には,「日本農園」という大規模なレタス農園もあります。

 世羅菜園全体の規模が把握したかったため,車でもう少し上に登ってみることとしました。

 すると,見渡す限り温室ハウスが続く,息を呑むような風景が目に飛び込んできました。

(世羅菜園)
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 カゴメのウェブページを拝見すると,世羅菜園は,全国に8か所ある大型菜園の1つで,規模は約8.5haとあります。

○カゴメ株式会社ウェブページ
 「菜園の紹介

 奥深い山中に突如現れる大規模農園 世羅菜園は,日本でも最大級のトマト農園だと言えるでしょう。

 帰り際,道沿いに大きな池がありました。

 近くに豊かな水源があることも,この地に世羅菜園や日本農園といった大規模農園が作られた理由の1つに違いないと思いつつ,現地を後にしました。

 世羅町は確かにトマトの一大産地です。


カゴメの広島県産ラウンドレッド

 世羅町内のスーパーマーケットの野菜売場に寄りました。

 「地産地消コーナー」に,広島県産のトマト「ラウンドレッド」が売られていたので,購入しました。

(ラウンドレッド(袋))
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 ラウンドレッドは一般的なトマトに比べ,一回り小さなトマトです。

 袋の裏にラウンドレッドの3つの特徴が書かれていました。


○ラウンドレッドの特徴

 (1)色 鮮やかな赤色(リコピンの赤)

 (2)形 丸くて,使い勝手のよいサイズ

 (3)性状 しっかりとした果肉感

(ラウンドレッド)
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 確かに赤色が濃く,一回り小さな丸型で,表面にハリがあります。

 フルーツトマトのような強い甘味はありませんが,青臭さが少なく,小ぶりで,果肉がしっかりとしているので,サラダや料理など広範囲に使いやすいトマトとなっています。


 今回世羅町を訪問しましたが,まさにトマトづくしの1日となりました。

 トマトに御興味がある方は,愛知県東海市や広島県世羅町にぜひお越しください。

 最後に,愛知県東海市の「トマトde健康フェスティバル」を教えていただき,この記事への掲載をこころよく承諾してくださったtomoさんに,この場をお借りして厚くお礼申し上げます。

2016年9月15日 (木)

モリゾーの耳かき -愛知県長久手市-

 2005年,愛知県長久手市と瀬戸市をメイン会場として開催された愛知万博「愛・地球博」の公式キャラクター「モリゾー」の耳かきです。

 名古屋からリニモに乗って行きましたが,会場内を移動するだけでも大変なほどたくさんの人が来場されていました。

 いずれの施設も入場待ちの長蛇の列だったので,入場できた施設はわずかでしたが,記念グッズの売り場だけは丹念に歩いて回り,無事耳かきを入手できました。

 現在,「愛・地球博記念公園(モリコロパーク)」となっているようですが,モリゾーやキッコロに会うことができるのでしょうか。
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2016年9月12日 (月)

歴食の世界 -天平の蘇・縄文どんぐりクッキー・古代妄想-

 「歴食JAPANサミット第1回大会 in 山口市」(「歴食JAPANサミット -山口に誕生した「歴食」という新たな食の世界-」参照)で展示・販売された歴食を御紹介します。


天平の蘇

 「蘇(そ)」は,唐から遣唐使によりもたらされた「酥(そ)」に由来する乳製品で,一種の薬として,また,仏教の伝来により禁じられた肉食に代わる貴重なタンパク源として,貴族を中心に重宝されました。

 蘇は牛乳を10分の1になるまで煮詰め,固めたものです。

 今回御紹介する蘇は,奈良市の奈良パークホテルが再現し,「天平の蘇」という名で販売されていたものです。

(天平の蘇と外箱)
Photo

 金色の箱の中に蘇が2本入っています。

 それでは中身を見てみることにしましょう。


(天平の蘇)
Photo_2

 長さ7cm,幅2.5cm,高さ2cmの細長い褐色の塊です。

 牛乳を10分の1まで煮詰めているので,固くシャリシャリしたチーズのような食べ物です。

 風味は褐変していることから,キャラメルに似ていますが,当然ながら砂糖は入ってないので,キャラメルのような甘さはありません。ただ,牛乳の持つほのかな甘味は感じられました。

 チーズとキャラメルの中間のような風味・味わいの乳製品だと言えるでしょう。

 説明書を読んでみると,蘇の特徴として,

 「乳の全固形分が濃縮したものなので,乳糖が多く,口あたりはざらつきが大きい。しかし甘味料をもたなかった当時では,乳を濃縮した自然の甘味とうま味を有する蘇は貴重な食品で,上流階層では正月の大饗のデザートとして珍重されていた」(抜粋,一部加工)

 とあり,さらに蘇の薬効として,

 「日本最古の医術書である「医心方」には,「五臓」の気を補給し,大腸を良くし,口中の「潰瘍」(かいよう)を治療する主治食と記載されており,更に「陰萎縮」(いんいしゅく,男性の性的不能)を直す」(抜粋,一部加工)

 と説明されています。

 貴重で様々な薬効も期待された食べ物だったことが伺えます。

 奈良パークホテルでは,1984年から社内に天平料理復元のプロジェクトチームを結成し,今日に至るまで,「天平の蘇」をはじめとする天平の食文化の継承に力を入れておられます。

(「天平の宴」のメニュー例)
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 天平時代を偲ばせる,魅力的なメニューが用意されています。


縄文どんぐりクッキー

 縄文時代には,どんぐりを粉に挽いてクッキー状に焼いたものが食べられていたようです。

 今回御紹介する「縄文どんぐりクッキー」は,鹿児島県霧島市の琴鳴堂が再現し,ミニサイズの素焼きの縄文式土器に入れて販売されていたものです。

(ミニ縄文式土器のパッケージ)
Photo_4

 もともと製陶業を営んでおられる琴鳴堂さんだけあって,土器の緻密な紋様まで再現されています。

 また,この縄文どんぐりクッキーが,どんぐり粉,小麦粉,片栗粉,豆乳,サラダ油,砂糖,塩で作られていることも表示されています。

(縄文どんぐりクッキー)
Photo_5

 とても素朴で,シンプルな味のクッキーです。

 わずかに木の実の風味が感じられますが,これがどんぐりの風味なのでしょう。

 当時は小麦粉や砂糖などなかったはずですから,メインはどんぐり(粉)で,それに塩などで味を調えた程度のクッキーだったと思われます。

 灰汁抜きなど,手間暇かかる食べ物だったでしょうが,保存食品の1つとして作られ,大事に食べられていたことでしょう。


古代妄想

 奈良市のケーキ・焼菓子店「ならまち菓子工房プティマルシェ」が出店し,販売されていた焼菓子の詰合せです。

(古代妄想 外箱)
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 いきなりこのネーミングの菓子箱を渡されると,いったい何が入っているのだろうかと誇大な妄想をしてしまいます。


(古代妄想 中身)
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 箱の中は,木簡グリッシーニ,古墳クッキー,3色勾玉クッキー,それにスコップ型のスプーン(発掘スコップスプーン)の詰め合わせとなっていました。


(古代妄想の焼菓子)
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 写真右側の細長い菓子が木簡グリッシーニ,左上が古墳クッキー,左下が3色勾玉クッキーです。

 木簡グリッシーニは,奈良の老舗麹屋さんの塩麹が使用されたグリッシーニで,固めにしっかりと焼き上げられ,ほんのり塩気がある焼菓子です。

 古墳クッキーは,古墳型のプレーンクッキーと抹茶・紫芋クッキーを重ね合わせたバタークッキーです。

 3色勾玉クッキーは,抹茶・紫芋・玄米を使い,勾玉の形に仕上げたバタークッキーで,それぞれの素材の味をよく味わうことができるクッキーです。


 ならまち菓子工房プティマルシェでは,このほかにも古墳の構造とケーキの構造が似ていることに着目した「古墳型ケーキ」なども販売されています。


まとめ

 今回御紹介した歴食は,いずれも歴史好きな方にプレゼントすると大変喜ばれるでしょうし,歴史に興味がない方にも,こうした食べ物を通じて歴史に興味を持つきっかけになる可能性は十分あると思います。

 歴史という観点からその地域の食を見つめ直し,当時の食を再現してみる試みは,地域活性化の1つの手掛かりになるのではないでしょうか。

2016年9月 7日 (水)

「ワルのりスナック」から広島弁を学ぶ

広島の味付け海苔

 広島はかつて養殖海苔の一大産地として知られていました。

 戦後の工業化などにより,海苔の養殖は減少していきましたが,味付け海苔を中心とした海苔加工会社は現在でも数多く広島にあり,全国に出荷されています。

(のりすきの様子)
Photo
広島市水産まつり「のりすき体験」

 
広島の味付け海苔は,かきエキス,かき醤油,海老など魚介の旨味を生かした独自の味付けとなっており,お土産などにも好評です。


インパクトの大きい「ワルのりスナック」の包装紙

 そんな海苔加工業者が多い広島で,見た目のインパクトが大きい海苔のスナックを見つけました。

 こわもての男が,ドスをきかせて「おどりゃ,なにしょおるんならぁ!(お前,何してるんだ!)」と「声に出して読みたくない」広島弁を丸出しにしているパッケージなのです。

(ワルのりスナック(包装紙あり))
Photo_2

 白と黒が基調のデザイン,にらみをきかせた男の顔,筆書きの広島弁。まさに広島は怖い所だという誤解を全国に助長するような商品です。

 味は今回御紹介する白い包装紙の「お好み焼き味」と,黄色い包装紙の「瀬戸内レモン味」の2種類があります。

 いずれの商品も包装紙に「このガンボタレ,これ買おてくれんのんか?(この悪ガキ,これ買ってくれないのか?)」とか,「おそれじゃのぉ,そがぁにすいいこたぁないじゃろーがぁ!(弱虫だなぁ,そんなに酸っぱいことはないだろうが!)」など,広島で生まれ育った私でも使うことがはばかられるような広島弁が書かれています。

 この包装紙の裏側には,広島以外の人でもわかるように標準語訳も書いてあります。

(標準語訳)
Photo_3

 これは「おどりゃ,なにしょおるんならぁ!」の標準語訳として説明された文章です。

 「How do you do?」。これでは,さわやかな会話にも聞こえます。

 個人的には,冒頭に御説明した,「お前,何してるんだ!」の方がニュアンスをより適格にとらえているような気がするのですが,標準語訳だとなおさら日本語で表現したくないという理由があるのかも知れません(笑)。


包装紙を取り外す

 この白い紙の包装紙の裏側に「広島ってコワい!と思ったら,この紙をはがしてください。」と小さな字で書かれています。

 広島弁は汚いな(笑)と思いつつ,包装紙を外してみました。

(ワルのりスナック(包装紙取り外し))
Photo_4

 何と表情は一変。瞳を輝かせて笑っているではありませんか。

 「ホントはやさしい広島の味」とやさしい字で書かれてもいます。

 海苔のスナックで調子にのりにのりまくってます(笑)。

 さらに裏面には,「広島って,ワル?」と題して,広島はコワイと誤解されやすいが,本当はとってもやさしいことが強調されています。


(「広島って,ワル?」)
Photo_5

 ちなみに「われ」,「わりゃ」,「おどりゃ」はいずれも「お前」という意味ですが,後の言葉になる程,きつい言い方になります。

 また,この「ワルのりスナック」は実はヘルシーとありますが,確かに1袋12g入りで,一度に全部食べても50キロカロリーと,スナックにしてはかなり低カロリーで,ヘルシーな食べ物となっています。


ワルのりスナックの中身

 長い道のりでしたが,ようやくここで袋を開封しました。

 味付けのりと同じ透明で薄いトレーの中に,海苔スナックが入っていました。

(ワルのりスナックの標準的な形)
Photo_6

 細長い長方形をしており,1つの大きさは幅約1.5cm,長さ3~5cmとちょうど一口大になっています。


(ワルのりスナック)
Photo_7

 とても軽い食感で,パリパリしています。
 そして口の中で海苔が溶け,磯の香りを楽しむことができます。

 このパリパリした軽い食感こそが特長なので,開封したらなるべく早く食べ切る必要があります。

 広島のオタフクお好みソースなどを使用した「お好み焼き味」となっていますが,お好みソースの味が強く主張している訳ではなく,海苔の香りとお好み焼きの味がお互いうまく調和しています。

 お好み焼きにソースと青のり(あおさ)をかけて食べることを考えれば,お好み焼きと海苔の組み合わせは,実は慣れ親しんだ味だと言うこともできます。

 くどくなく,あっさりした味付けにされているため,一度食べ始めると止まらなくなるスナックでした。


広島のドキドキするお土産として

 これまで御覧いただいたように,インパクトの大きいデザインの商品なので,広島のお土産としても最適だと思います。

 実は私も,出張先へのお土産の1つとして,この「ワルのりスナック」を持参することにしました。

 ただ,お渡しするからには,自分も内容や中身を確かめておく必要があると思い,同じものを2個買って,そのうちの1個を開封し,今回御紹介しました。

 中身は間違いなく相手に薦められる一品なのですが,包装紙のワルのりした言葉をどう受け止められるのか,今から少しドキドキしています。

 一番ワルのりしたいのは私自身であり,そういう意味でも,私はやはり広島の人間ですね(笑)。

2016年9月 4日 (日)

広島の洋食店「広亭タナカ」の魅力 -桃のコンポートと創作付合せ野菜-

 広島市中区土橋町にある洋食店「広亭タナカ」。

 広島の洋食店といえば「広亭タナカ」と言われる程,地元で愛され,親しまれている洋食店です。

 私もこの店のデミグラスソースの味に惚れ込み,店に通い続けています。


桃のコンポート

 その広亭タナカで季節限定のデザート「桃のコンポート」をいただきました。

(桃のコンポート)
Photo

 白桃を丸ごと1個,白ワインとシロップで煮込んだデザートです。四角いゼリーも桃のゼリーです。

 桃を丸ごと1個いただくので,ナイフ,フォーク,スプーンがずらりと用意されます。

 フォークで桃を固定し,中の種と果実を分けるようにナイフで薄くスライスして,底の赤いベリーソースも添えながらいただきました。

 甘く,ジューシーな桃を贅沢に1個,思う存分楽しむことができました。


田中恒士シェフの魅力

 どんなに忙しくても笑顔を絶やさず,客へのサービスが行き届いている田中シェフ。

 デミグラスソースだけでなく,そんな田中シェフのお人柄も大きな魅力となっています。

 ある意味,私と波長が合うと言った方がいいかも知れません。

 訪問した日も,予約で席が全て埋まり,店内は大忙しだったのですが,その合間を縫って,わざわざ私の席までお越しくださり,メニューにないこの1品をいただきました。

(創作付合せ野菜)
Photo_3

 田中シェフ:「いつも御来店ありがとうございます。これをどうぞ。」
 私:「(一瞬考えて)あっ,一に三ツ星,毛利家の家紋じゃないですか。これはありがたくいただきます。」

 付合せ野菜の人参とサヤインゲンで作られたこの一品は,かつて安芸(広島)や周防・長門(山口)で活躍した戦国大名「毛利家」の家紋に仕上げられていたのですが,田中シェフが伝えたい事がわかり,内心ホッとしました。

 この田中シェフとのやりとりが何とも楽しいのです。

 田中シェフの名言(迷言?)をいくつか御紹介します。

○名言その1
 私:「家でタンシチューを作ってみました。これがその写真です。」
 田中シェフ:「皿を回して食べるとなお美味しいですよ。」
 私:「ん・・・。」
 田中シェフ:「ターン(英語で「回す」という意味)シチューだから。」

○名言その2
 田中シェフ:「誕生日に店に来られる時は,バスでお越しくださいね。」
 私:「(しばらく必死で考え)なぜでしょう。」
 田中シェフ:「バースデー!」

○名言その3
 田中シェフ:「うちは国産中心なんです。」
 私:「へぇー,そうですか。」
 田中シェフ:「私はコックさんですから。」

 それなら「洋食店は養殖ものが多いとも言えるのでは」とつっこみたくなりますが,まぁ,いつもこんな感じなのです。

 なので,田中シェフが席に来られる際には,ある意味緊張感があります。

 以前,私も負けじと,店内でダジャレを考え,田中シェフが席にお越しになるのを待っていたことがあります。

 その日も店内は予約で一杯でしたので,お題は「予約」でいくこととし,田中シェフが来られたら,「予約で厨房がお忙しい中,よーやく(予約)お会いできて嬉しいです。」と言うことに決めました。

 (よし出来た!フフフッ,早く来い来い田中シェフ。)

 そこへ待望の田中シェフ登場。

 私:「予約で…」
  (田中シェフ間髪入れず)
 田中シェフ:「(厨房が一段落し)よーやく(予約)御挨拶に来れました。」
 私:「あーっ,私が先に言おうと思ったのにぃー。」

 ダジャレ好きな私ですが,やはり田中シェフにはかないません…。

 これからもお店に通い,田中シェフに鍛えていただく必要がありそうです。

 帰り際,私は1番テーブルに座っていたので,田中シェフをはじめとするお店の皆さんに向かって,「1番さん,大満足でお帰りでーす!」と感謝の意をお伝えし,お店を後にしました。

(関連サイト)
 「広亭タナカ」(広島市中区土橋町2-18 ダイアパレス土橋1F北側

2016年9月 3日 (土)

徳島の太鼓の耳かき -徳島県鳴門市-

 大鳴門橋近くのお土産店で購入しました。

 地名のゴム印が押された,全国でみかける太鼓の耳かきです。

 「またあった」と思うぐらい,地名が書かれた太鼓の耳かきは全国で売られています。

 ただ,地名が書かれていることにより,ご当地耳かきとしての価値もあるため,私は売られていれば必ず買うようにしています(笑)。
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