愛媛が誇るゼリーのような高級みかん -紅まどんな・愛媛果試第28号-
私が「紅まどんな」と初めて出会ったのは,数年前,職場の人から「紅まどんな」をおすそ分けしていただいた時です。
その時,こんなおいしいみかんがあるのかと感動しました。
「紅まどんな」の出荷時期は,11月下旬から1月上旬にかけてと,みかんの品種の中では比較的早い時期となります。
そんな「紅まどんな」の本場,愛媛県松山市にあるJAえひめ中央農産物直売所「太陽市(おひさまいち)」へ行ってきました。
太陽市と愛太陽ファーマーズマーケット
(太陽市と愛太陽ファーマーズマーケット)
この日(2016年11月23日)は,敷地内で「愛太陽(あいたいよう)ファーマーズマーケット」が開催されていたこともあり,大勢の人で賑わっていました。
「愛太陽(あいたいよう)ファーマーズマーケット」は,愛媛大学法文学部のゼミとJAえひめ中央「太陽市」が主催するイベントです。
農家と消費者が直接出会う場を創出し,「食」と「農」のつながりを地域に取り戻すことを目指す「ファーマーズマーケット(対面販売方式の農家市)」で,年数回実施されているようです。
愛媛大学の学生さんが愛媛県の地図が描かれたボードを私の前に持ってきて,「今日はどちらから来られましたか。」と尋ねられたので,私はボードからはみ出た上の方を指差し,「この地図の上の広島から船で来ました。」と答えると,少し驚いておられました。
「愛果28号」・「温室あいか28号」
「紅まどんな」は,愛媛県果樹試験場で「南香(なんこう)」と「天草(あまくさ)」を交配してつくられたみかんで,品種名は「愛媛果試第28号」といいます。
「紅まどんな」という名称はJA全農えひめの商標登録で,ほかにも「愛果28号」,「温室あいか28号」,「媛まどんな」などの名称で販売されています。
太陽市には,「紅まどんな」,「愛果28号」,「温室あいか28号」という名称で販売されていました。
(愛果28号販売の様子)
高級みかんですが,そっけなく「愛果28号」と書かれて販売されているところが,かえって「地元の人間は本物を知ってるんだぞ」と語っているようにも感じました。
写真のように,ばら売りで気軽に買えるものや,「温室あいか28号」として箱詰めされた贈答用のものなど,「紅まどんな」という名称以外でもおなじ品種の高級みかんが販売されていることは理解しておくべきでしょう。
JAえひめ中央の「紅まどんな」
JAえひめ中央の「紅まどんな」です。
(「紅まどんな」販売の様子)
「紅まどんな」は箱詰めのみで,規格別に3L,2L,Lの3種類が販売されていました。
写真は3Lの販売の様子で,2LやLも同じように箱詰めされ,積み上げられていました。
お店の方に,ばら売りされている「愛果28号」との違いを尋ねたところ,「甘味のセンサー選別がされているかどうかの違い」だと伺いました。
ただ「今の時期は十分甘味があるので,そんなに違いはないだろう」ともおっしゃっていました。
甘味の選別にあたっては,薄くデリケートな果皮を守るため,桃の選果機が利用されているようです。
せっかく広島から愛媛まで来たので,思い切って「紅まどんな(L)」を1箱買って帰りました。
購入時,お店の方が箱を開けて,1個1個,「紅まどんな」を裏返して丹念に様子を確認してくださったのがとても印象的でした。
大きな箱を持って松山市内を移動し,松山と広島を結ぶ高速船「スーパージェット」に積み込んで持って帰るのは,目立つし重いしで大変でした(笑)。
紅まどんなについて
帰宅し,箱を開けてみました。
(紅まどんな(箱詰め))
まばゆいばかりの紅まどんなです。
説明書や個数分の「紅まどんな」のロゴシールも同梱されていました。
(紅まどんな(横1/2カット))
紅まどんなを横半分に切った様子です。
赤みの濃いオレンジ色で,果皮や薄皮(小袋,じょうのう)が極限まで薄いことがわかります。
(紅まどんな(食べ方の説明書))
外皮がとても薄いため,手で皮をきれいにむいて食べることは難しいです。
食べ方の説明書には,縦にナイフを入れ,くし形にカットするのがおすすめとあったので,そのようにカットしてみました。
(紅まどんな(くし形カット))
紅まどんなを実際にいただいてみました。
みかんゼリーのようなジューシーでプルンとした食感です。
薄皮も薄いため,一緒に食べても気になりません。
種もほとんどないので,みかんゼリーが丸ごと外皮で包まれている印象を受けます。
甘味の強い,みかんとオレンジの中間のような,とても食べやすいみかんです。
糖度が高く,濃いオレンジ色をした「南香」と,やわらかい果肉でとろけるような食感の「天草」の特長がよく出ています。
「天草」はもともと「タンゴール(※)」と呼ばれるみかんとオレンジの交配品種がルーツとなっているため,オレンジの果肉・風味も強いのでしょう。
後日,今回御紹介した「くし形カット」ではなく,オレンジの一般的な切り方のいわゆる「スマイルカット」でも食べてみたのですが,「くし形カット」の方が,より薄皮を意識することなく食べることができるように思いました。
※タンゴール(tangor):みかん(tangerine)とオレンジ(orange)を交配した品種の呼称。
紅まどんなのスイーツ
紅まどんなのスイーツをいくつか御紹介します。
(紅まどんなのジェラート)
太陽市に隣接する売店で販売されていた,紅まどんなのジェラートです。
(紅まどんな入りの各種ゼリー)
太陽市で販売されていた「紅まどんなのゼリー」と「紅まどんな入り飲むゼリー」です。
(「まどんなのよろこび」)
松山市内の土産物店で販売されていたグリップコーポレイションの「まどんなのよろこび」です。
紅まどんなを贅沢に使用した柑橘系パウンドケーキです。
紅まどんなの風味豊かな,しっとりとしたケーキは,贈り物としても喜ばれると思います。
「みきゃん」と「ダークみきゃん」
(「みきゃん」と「ダークみきゃん」)
愛媛県イメージアップキャラクター「みきゃん」(写真左)と,最近出現した,みきゃんのライバルキャラクター「ダークみきゃん」です。
「ダークみきゃん」はカビが生えたみかんがモチーフとなっています。
松山三越の開店70周年を記念しての展示で,記念撮影している人も多く見かけました。
まとめ
紅まどんなが開発,栽培されるようになった背景には,地球温暖化対策の一環として,高温に強いみかんの品種を求められるようになったことも挙げられます。
環境の変化や高品質・高級化志向の消費者ニーズに合わせ,より高付加価値で農家に十分な利益をもたらす品種の開発,販売が求められていると言えるでしょう。
紅まどんなの箱に「愛媛産には愛がある」と書かれていますが,今回松山を訪問し,本当にそのとおりだと実感しました。
愛情いっぱいに育った愛媛のみかんを買い,消費者も農家も笑顔になれたらいいなと思います。
そんな笑顔に「あいたいよう(愛太陽)!」。
(関係リンク)
愛太陽ファーマーズマーケット(facebook)
https://www.facebook.com/AitaiyoFarmersmarket/
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