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2016年12月

2016年12月24日 (土)

ドイツ・ウィーン菓子の特徴と主な菓子1 -シュトロイゼルクーヘン・レープクーヘン・バウムクーヘン-

神聖ローマ帝国とハプスブルク家

 かつてドイツやオーストリアを中心とするヨーロッパの広範囲を,約千年もの間統一していた神聖ローマ帝国。

 その神聖ローマ帝国の皇帝位をほぼ独占していたのがハプスブルク家です。

 今回御紹介するマクシミリアン1世はハプスブルク家出身の神聖ローマ帝国皇帝(1508年~1519年)として活躍した人物です。


マクシミリアン1世とインスブルック

(マクシミリアン1世)
Photo
(菊池良生『図解雑学 ハプスブルク家』)から引用)

 ヨーロッパ支配を目論んだマクシミリアン1世は,治世のほとんどを戦場で過ごしたため,「中世最後の騎士」と呼ばれています。

 そんな彼がミラノを手中に収めようとし,そのための拠点としたのが,現在のオーストリア共和国チロル州の州都インスブルックという街です。

 マクシミリアン1世は,近代郵便制度を確立したことでも知られますが,それはこのヨーロッパの要衝インスブルックでの情報インフラを構築することが目的でした。

 まさに,マクシミリアン1世によって発展したインスブルックですが,その象徴とも言える建物が「黄金の小屋根」です。

(「黄金の小屋根」)
Photo_2
(菊池良生『図解雑学 ハプスブルク家』)から引用。一部加工)

 写真右側が「黄金の小屋根」です。

 様々なイベントを見学するための王室用桟敷席として建設されたもので,出窓の上に2,657枚の金メッキの銅板で屋根が作られています。

 この「黄金の小屋根」は現在,インスブルック第一の観光スポットとなっています。


シュトロイゼルクーヘン

 広島市内のパン・洋菓子店で,「インスブルック」という名のチョコパウンドケーキが売られていました。

(「インスブルック」)
Photo_3

 その名前に興味を持ち,お店の方にお話を伺ってみると,

 「オーストリア(ウィーン)菓子では,小麦粉,バター,砂糖などをそぼろ状に混ぜ合わせた生地「シュトロイゼル」が使われることが多いのが特徴なのですが,そのシュトロイゼルを使っていることから,この名前にしました。」

 とのお話でした。

 このそぼろ状のシュトロイゼルがのせられたケーキは「シュトロイゼルクーヘン」と呼ばれるのですが,今回購入した「インスブルック」も,チョコレート生地のシュトロイゼルクーヘンと言うことができるでしょう。


シュトロイゼルとクランブル,メロンパンとの関係


 ちなみに,イギリスやアメリカには,リンゴやベリーと組み合わせた「クランブル」というお菓子がありますが,このサクサクした食感が特徴のクランブルもシュトロイゼルと同じ意味で,そぼろ状のお菓子です。

(クランブル入りアップルパイ)
Photo

 また,日本で人気のメロンパンは,パン生地にビスケット生地を薄く覆って焼き上げたものですが,この発想は,シュトロイゼルクーヘンに由来しているという説もあります。

 第一次世界大戦で日本に捕虜として連れてこられたドイツ人が,戦後,日本各地にドイツパンやドイツ菓子を広めたのですが,その1つがシュトロイゼルクーヘンで,それが後のメロンパンにつながっていったとする説です。


カール・ユーハイムとバウムクーヘン

 余談ですが,バウムクーヘンで有名な「ユーハイム」の創業者,カール・ユーハイムも,日本軍の捕虜として現在の広島市南区似島の捕虜収容所に連行されたドイツ人で,彼の焼き上げたバウムクーヘンを広島県物産陳列館(現在の原爆ドーム)でお披露目したことにより,日本にバウムクーヘンが知られるようになりました。

(広島港から似島を望む)
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 写真の左側中心部に写っている島が似島です。船は松山や江田島から広島港に入港しているフェリーです。

 この島こそ,日本で初めてバウムクーヘンが焼かれた島なのです。

 こうした歴史を知ると,広島市に住む私としては,メロンパンのシュトロイゼルクーヘン起源説に一票投じたい気持ちになります。


黄色いシュトロイゼルと「インスブルック」


 では,なぜ今回のチョコケーキに「インスブルック」と名付けられたのでしょうか。

 その理由は,シュトロイゼルが使われていることはもちろんですが,そのシュトロイゼルがインスブルックにある「黄金の小屋根」に見えるからではないかと思います。

(「インスブルック」の中の様子)
Photo_4

 チョコケーキの上にシュトロイゼルをのせたお菓子ですが,チョコレートの茶色い生地にシュトロイゼルの黄(金)色が映えています。

 「インスブルック」という名のチョコケーキ。

 改めてまとめてみると,奥深い意味がありました。


マクシミリアン1世が好んだ菓子「レープクーヘン」

 冒頭で登場したマクシミリアン1世が好んだ菓子は,「レープクーヘン」と呼ばれる香辛料(シナモン,クローブ,ナツメグ,コショウなど)や蜂蜜入りのシンプルなクッキーだったようです。

(レープクーヘン)
Photo_3
(関田淳子『ハプスブルク家の食卓』)から引用)

 現代でも,マクシミリアン1世と縁のあるドイツ・ニュルンベルクの名菓として,またクリスマス菓子として,ドイツ・オーストリアを中心に人気のある菓子です。

(レープクーヘン(天使))
Photo_6

 こちらは神戸のパン屋「ドンク」でクリスマスシーズンに売られているレープクーヘンです。

 天使の形をしており,アーモンド,カシューナッツ,ピスタチオ,乾燥クランベリーがのせられています。
 やわらかくて厚みのあるクッキーのような食感で,シナモンやジンジャーなどの香りもきかせてあります。

 ヨーロッパでクリスマスの時期を中心に食べられる「ジンジャーマン(ジンジャーブレッド)」ともよく似ています。

 ドンクでは,この天使のほか,クリスマスツリーや星の形をしたレープクーヘンも売られており,お店の方のお話では,毎年恒例のお菓子となっているようです。


「チロル」と聞いて思い出すお菓子は・・・

 以上,マクシミリアン1世にまつわるお話を中心に,様々な地名や菓子名が登場しましたが,私が最も親しみを感じるのは「チロル」という地名です。

 そうです。「チロルチョコ」を思い浮かべるのです。

(チロルチョコ)
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 ただ,このチロルチョコも,チロルチョコ株式会社のウェブページによると,実はオーストリアのチロル地方のような,素朴な人々や大自然のさわやかなお菓子でありたいとの願いを込めたネーミングのようです。

 チロルチョコ株式会社「チロルのひみつ Vol.5 チロル地方とチロルチョコのお話


 こうした身近なお菓子からも,オーストリアやドイツの歴史や文化,自然を感じることができれば楽しいですね。

<参考文献>
 菊池良生『図解雑学 ハプスブルク家』ナツメ社
 関田淳子『ハプスブルク家の食卓』新人物往来社
 東嶋和子『メロンパンの真実』講談社
 広島市『南区七大伝説 菓子伝説(バウムクーヘン上陸秘話)』南区魅力発見委員会

2016年12月14日 (水)

広島のレモン菓子・レモンケーキ2 -レモンケーキの分類方法-

 広島で売られているレモン菓子・レモンケーキを御紹介したいと思います。

 併せて,私の考えたレモンケーキの分類方法についてもお話ししたいと思います。


アンデルセン「瀬戸田レモンケーキ」


 全国展開されている広島のパン屋「アンデルセン」で販売されている「瀬戸田レモンケーキ」です。

(アンデルセン「瀬戸田レモンケーキ(包装)」)
Photo

 白い半透明の袋に入れられ,プラスチックのトレーに上品に乗せられています。

(アンデルセン「瀬戸田レモンケーキ」)
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 開封した瞬間,レモンのさわやかな香りが広がりました。

 白いレモンチョコが印象的です。

(瀬戸田レモンケーキ(中身))
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 きめ細かいケーキ生地で,レモンピールも入っています。

 上品なレモンケーキに仕上げられています。


ボストン「レモンケーキ」

(ボストン「レモンケーキ」(包装))
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 広島の洋菓子店「ボストン」で販売されている「レモンケーキ」です。

(ボストン「レモンケーキ」)
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 黄色っぽいレモンチョコが浅めにコーティングされています。

(ボストン「レモンケーキ」(中身))
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 ケーキ生地はしっとりとしたスフレチーズケーキのような食感です。

 バターの風味よりはレモンの風味を重視したきめ細かい生地で,レモンピールも練り込まれています。


パティスリー イマージュ「瀬戸内レモンケーキ」

(パティスリー イマージュ「瀬戸内レモンケーキ」(包装))
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 広島の洋菓子店「パティスリー イマージュ」で販売されている「瀬戸内レモンケーキ」です。

(パティスリー イマージュ「瀬戸内レモンケーキ」)
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 レモンチョコが上品にコーティングされています。

 底がカステラのような焼き色,やわらかさとなっています。

(パティスリー イマージュ「瀬戸内レモンケーキ」(中身))
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 レモンチョコが厚めにコーティングされており,レモン風味も強く感じました。

 生地には米粉が使われており,しっとりときめ細やかなバターケーキに仕上げられています。そして,レモンピールも入っています。


天光堂「広島産直便 広島レモン」

(天光堂「広島産直便 広島レモン」(包装))
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 広島の和菓子店「天光堂」の「広島産直便 広島レモン」です。

(天光堂「広島産直便 広島レモン」)
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 しっとりやわらかな皮の洋風の饅頭です。

(天光堂「広島産直便 広島レモン」(中身))
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 中に白いんげん豆をベースにしたレモンあんが入っています。

 ソフトクッキーのような饅頭の皮と,ねっとりとしてレモンの酸味が強いレモンあんが特徴です。


パンフルート「広島ピースレモンケーキ」

(パンフルート「広島ピースレモンケーキ」(包装))
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 広島の洋菓子店「パンフルート」の「広島ピースレモンケーキ」です。

(パンフルート「広島ピースレモンケーキ」)
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 サイズが大きめで,長さが約8cm,横幅・高さが約4cmあります。

(パンフルート「広島ピースレモンケーキ」(中身))
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 レモンチョコのコーティングが厚めで,レモンの黄色も強調されています。

 ケーキ生地は,甘めで,バターの風味豊かな仕上がりとなっています。


レモンケーキの分類方法

 
レモンケーキをいくつか食べてみると,同じ形・味なようで,意外と違いがあることに気付きました。

 そこで,レモンケーキの特徴をとらえるための分類方法を考えてみました。


 分類するための項目としては,

 (1)レモンケーキの形・大きさ

 (2)レモンチョコのコーティングの程度(コーティングなし,ケーキ上部,ケーキ表面全体,ケーキ底まで全て)

 (3)レモンチョコのコーティングの厚み

 (4)レモンチョコの色(白色,黄色)

 (5)ケーキ生地の種類(スポンジケーキ系,バターケーキ系,焼菓子系)

 (6)ケーキ生地の風味(レモン風味重視,バター風味重視) 

 (7)レモンピールの有無

 (8)レモンジャムの有無


 などが挙げられるかと思います。

 レモンケーキをまとめて何種類か購入し,こうした観点からレモンケーキを比較してみるのも楽しいかと思います。


<関連リンク>
レモンのお菓子」(「chibiaya日記 」)
 chibiayaさんが,関東で販売されているレモンケーキを中心に,レモンケーキの情報を詳しく紹介されています。

<レモンケーキ関連記事>
レモンケーキとブランデーケーキ -レモンケーキが今も支持されている理由-

広島のレモン菓子・レモンケーキ1 -和菓子から生まれた日本独自の洋菓子-

2016年12月12日 (月)

筑波山の刀の耳かき -茨城県つくば市-

 茨城県内でご当地耳かきが売られてそうな観光地を調べたところ,筑波山が一大観光地となっていることを知り,TXつくば駅からバスで筑波山へ行き,現地のお土産店で購入したものです。

 刀の鞘を抜くと,刀の耳かきが出てくる全国で定番の耳かきです。

 刀の鞘には,ガマガエルの絵とともに「筑波山」と書かれたシールが貼られています。

 このご当地もののシールに価値があると言えるでしょう。

 筑波山に行けば,名物「ガマの油」などガマガエルにちなんだお土産はもちろん,生きた本物のガマガエルにも出会うことができます。

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2016年12月 8日 (木)

ひろこうフェスタ in 広島拘置所(後編) -革製品制作体験・刑務所製コッペパン・記念品-

 「ひろこうフェスタ in 広島拘置所(前編) -性格テスト,人権・薬物クイズ,拘置所内見学-」に続く後編です。


松江刑務所の革製品制作体験


 松江刑務所のブースに,牛革の小物入れが制作できるコーナーが設けられていたので,作ってみることにしました。

 好みの牛革を選び,小物入れの形を下書きします。

(牛革に下書きした様子)
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 ボタンを付ける箇所に穴あけ工具を置き,ハンマーで叩いて穴を開けます。

(工具とハンマー)
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 次にその穴を開けた革に金属のボタンを通し,工具とハンマーでかしめ(固く接合させ)ます。

(ボタンをかしめる様子)
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 こうした作業を経て,時間はかかりましたが,何とか小物入れが完成しました。

(革の小物入れ)
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 世界にたった1つのマイ小物入れ。

 私にとっては,ブランド物の革製品よりよっぽど価値があります。

 わずか550円で貴重な体験をさせていただきました。


刑務所製コッペパン

 今回,私が一番注目していたのは,やはり食べ物のイベントです。

 チラシで事前に「刑務所製コッペパン」が販売されることを知ったので,このパンを入手し,実際に食べてみることを一番の目的に「ひろこうフェスタ」に参加したのです。

 販売時間が近づくと,売場を訪問してみると,私と同じく,このパンを買いたい人達がたくさん集まってこられました。

 売場には,コッペパンの広告が貼られていました。

(刑務所製コッペパン広告)
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 このコッペパンは,「島根あさひ社会復帰促進センター」のパン職人養成訓練の一環として作られたものです。

 この施設は「PFI刑務所(官民協働の刑務所)(※)」と呼ばれる刑務所で,民間の資金・ノウハウを活用し,国と民間が協働で運営する手法が採用されています。

 ※PFI:Private Finance Initiative,プライベート・ファイナンス・イニシアチブ,民間資金活用による社会資本整備

 
職員の方に,「このコッペパンは普段から販売されてないのですか。」と尋ねたところ,「普段は受刑者の食事となっており,一般向けには販売していません。とても大きいパンですが,受刑者は残さず食べていますよ。」と教えていただきました。

 「へぇー,こんな大きなコッペパンを残さずですか。労働されてお腹が空くからでしょうね。」と感想を述べて,パンを1組(2本)購入しました。


 帰宅し,コッペパンの長さを測ってみたところ,約20cmもありました。

(刑務所製コッペパン(計測))
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 コッペパンには「しまね あさひ」という焼印もあります。

 「こんな大きなパンは一度には到底食べきれないな。」と思いつつ,昼食としてパンをいただくこととしました。

(刑務所製コッペパン)
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 コッペパンなので,中身もパン生地のみですが,まずはパンそのものの味を確かめるため,ちぎってそのまま何もつけずにいただきました。

 「うまい!」

 私の率直な感想です。

 香ばしく焼き上げられたクラスト(皮),しっとりふわふわのクラム(中身),程よい味付けなど,「パサパサで味気ないコッペパンではないか」というイメージを覆す美味しさでした。

 パン職人を目指す職業訓練の一環で作られているパンですので,クオリティーの高さは当然のことなのかも知れません。

 途中からマーガリンを付けていただきましたが,これも美味しく,朝から何も食べてなかったことも手伝って,結局大きなコッペパンを2本ともペロリと食べてしまいました。

 受刑者の皆さんが残さず召し上がる理由がわかったような気がしました。


横浜刑務所製「米粉入り麺 プラチナ」

 会場で売られていた横浜刑務所製の「米粉入り麺 プラチナ」です。

 真っ白な乾麺で,240g入りです。

(横浜刑務所製米粉入り麺)
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 うどんにしては細く,そうめんにしては太く,ラーメンにしては麺の色が白い麺です。

 自宅で麺をゆで,うどんのように汁麺としていただきました。

(横浜刑務所製の米粉入り麺(調理))
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 麺に,あごだしをベースに塩と醤油で味を調えたうどんつゆをかけ,サクサクの松山揚げと刻みねぎをのせた汁麺です。

 いただいてみると,やはりうどんのような食感ですが,米粉が入っているため,つるんとした麺に仕上がりました。

 横浜刑務所は麺製品に力を入れており,御紹介した麺のほかにも,「細うどん」,「干しひらめん」,「ひやむぎ」が作られています。


ひろこうフェスタの記念品

 広島拘置所内をひととおり見学し,各ポイントでスタンプを押して記念品をいただきました。

 その記念品がこちらです。

(ひろこうフェスタ記念品)
Photo_14

 カラフルなボールペンで,クリップには広島を象徴するもみじの顔をしたかわいい女性刑務官が「敬礼」しており,ボディーには丸文字で「廣島監獄なう」と書かれています。

 国の機関なので,お堅いイメージを持っていただけに,こうした楽しい記念品をいただくと,とても親近感がわきます。

 とてもよい記念になりました。


 今回,様々なイベントに参加したり,広島拘置所内の施設を見学したり,拘置所での食事についても学べたことは,とても有意義な経験となりました。

2016年12月 5日 (月)

ひろこうフェスタ in 広島拘置所(前編) -性格テスト,人権・薬物クイズ,拘置所内見学-

 広島拘置所は,広島市の中心部,国の行政・司法機関が集まっている場所にあります。

(広島拘置所遠景)
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 私は広島拘置所の向かいの病院で生まれました。

 小学生の時,その病院に一時入院したのですが,病室の窓から眺める向かいの大きな建物は一体何なのだろうと思いながら入院生活を過ごしたものです。

 そんな思い出のある広島拘置所で,「ひろこうフェスタ」というイベントが開催されることを知り,訪問しました。

(「ひろこうフェスタ」チラシ)
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 開催時刻少し前に到着したので,表門で少し待つこととなりました。

(広島拘置所表門)
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 やがて開催時刻の9時を迎え,刑務官の「開門!」という発声とともに,重厚な扉が開けられ,少し緊張気味に構内に入りました。

 入ってすぐのメイン会場では,ステージでの演奏・合唱,広島矯正管区管内の各刑務所(鳥取・松江・岡山・山口)による刑務所作業製品の展示即売,広島県警によるパトカー・白バイ展示などがあり,開催当初から大変賑やかでした。

 私はまず建物内の矯正広報コーナーへ行き,パネル展示を見学したり,矯正医療の現状についてお話を伺ったりしました。

 特に矯正医療については,「ムショ医 女子刑務所のカルテ」(佐藤智美 芳文社コミックス)を読んだことがあるので,イメージしやすかったです。

 せっかくなので,腰を据えて,じっくり拘置所内を見学させていただくこととしました。


広島少年鑑別所による性格テスト

 拘置所の面会待合室で,広島少年鑑別所の性格テストを受けました。

 設問にマークシートで回答し,コンピュータにより即時に性格を分析してもらうものです。

 私の性格の分析結果は次のとおりです。


 「あなたは人に悪く思われたり,非難されたりすることを気にしやすく,まわりに気をつかって,自分を抑えることが多い人のようです。
 きまじめで,適当にふざけたりいいかげんにしたりすることができず,まわりからはかたくるしいと思われることがあるかもしれません。
 もっと肩の力を抜いてゆったりやってはいかがでしょうか。



 きまじめで,適当にふざけたりいいかげんにしたりすることなく回答した結果でしょうか。適当にふざけてるところもあるのですが…(笑)。


広島法務局の人権クイズ

 私は現在,職場の人権学習に取り組んでいることもあり,人権についても理解を深めようと,クイズに参加してみました。

 人権クイズは全部で5問あり,点字ブロックの意味,ピクトグラム(絵文字)の意味,色鉛筆のうち「はだいろ」の選択,人権シンボルマークの意味,車につける身体障害者標識の選択という設問だったのですが,見事全問正解でした。

 そのうちで印象深かったのが,色鉛筆の「はだいろ」はどれかという設問で,はだいろに近い色が20種類近く用意されており,(1)○番,(2)△番と□番,(3)全部 の3択でした。

 白い肌に近い色,褐色の肌に近い色が選択肢に入っており,少し迷いましたが,「もしかして,これがはだいろですと決めつけること自体が人種差別につながるのではないか」と思い,「(3)全部」で回答したところ,考え方も含めて正解でした。


中国四国厚生局麻薬取締部のクイズ

 薬物に関するクイズに答え,銃の的当てに命中すれば記念品がもらえるというイベントでした。

 クイズは,「危険ドラッグは麻薬や覚せい剤に比べて安全だと思うか」など,下手に間違えたら,そのまま逮捕されそうな内容でしたが,無事クリアし,的当ても命中して,記念品をいただきました。

(「STOP the 薬物」記念品)
Photo_4


拘置所内見学ツアー

 受付を済ませ,広島拘置所の中を見学しました。

 厳粛な雰囲気の中,実際の運動場,洗濯場,居室などを見学することができました。

 運動場で,刑務官に「ここでタバコも吸えるのですか。」と質問したところ,「タバコどころか,火気厳禁です。」と教えていただきました。

 どうやら私は警察の留置場と混同していたようで,その留置場でも現在は禁煙とされているようです。

 居室は畳部屋で奥にトイレ部屋もありましたが,想像していたより広く明るい部屋でした。

 冬は寒そうですが,イベント当日のようにドアを開けておくことは絶対ないので,風が入ることはないそうです。

 食事についてのパネル展示もあり,性別,年齢,体格,作業内容などにより,男性が1日約1,200~1,600kcal,女性が1,100~1,400kcal,少年が1,200~1,700kcalと決められています。

 若干カロリーが少ないかなとも思うのですが,外出しない分,エネルギー消費量も少なく計算されているのかも知れないと思いました。

 食費は1人1日約530円,行事用の特別食として1人年間約600円となっています。

 行事用の特別食については,年末年始の食事代がメインになるのでしょう。

 麦ご飯の米と麦の割合は7対3と決められているそうです。

 私が普段食べている麦ご飯は,それと同じか,むしろ麦の割合が多いぐらいなのですが,私はもはやすっかりこの割合に慣れていて,たまに米だけのご飯を同じ量食べようとしてもお腹一杯になってしまいます。

 このほか,会場内に「塀の中のマルシェ」と名付けられた軽食コーナーもあり,ネーミングも含めて,よく考えられているなと思いました。


 「ひろこうフェスタ in 広島拘置所(後編) -革製品制作体験・刑務所製コッペパン・記念品-」に続きます。

2016年12月 3日 (土)

ダークみきゃんの耳かき -愛媛県松山市-

 広島から船で松山へ行った際,海の玄関口である松山観光港で見つけたのが,このダークみきゃんの耳かきです。

 ダークみきゃんの耳かきがあるなら,みきゃんの耳かきもあるだろうと松山駅,松山城,道後温泉の土産物店を探しましたが,みきゃんの耳かきはありませんでした。

 ダークみきゃんは,カビの生えたみかんをモチーフに作られたみきゃんの敵役です。
 みきゃんの明るくて好奇心旺盛な性格とは逆に,根暗で意地悪な性格のキャラクターとされています。

 額のキズとおなかの「D(ダーク)」がチャームポイントです。

 嫌われ者としてのキャラクターなのでしょうが,私は耳かきとして商品化されているダークみきゃんの方がよっぽど頑張っていると思います。
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