宮城県仙台市 「賣茶翁」のみちのくせんべいと「立ちそば処 杜」の鶏から揚げそば
2017年3月に「杜(もり)の都」仙台を訪問しました。
(仙台駅)
滞在時間が短く,駆け足での移動となりましたが,今回仙台で訪問したお店を御紹介したいと思います。
仙台の老舗和菓子店「賣茶翁」のみちのくせんべい
仙台に,電話非公開で,開店しているかどうか行ってみないとわからない老舗和菓子店があります。
仙台の老舗和菓子店「賣茶翁(ばいさおう)」です。
お店は仙台市青葉区,仙台市民会館の向かいにあります。
(「賣茶翁」入口)
(「賣茶翁」玄関)
仙台市の街中にあるとは思えない,伝統のある佇まいです。
店に入り,まず最初に店内に電話機がないかひととおり見渡しました(笑)。
お店の方に店名の由来について伺ったところ,親切に「創業者がお茶を売り歩いた賣茶翁の考えに感銘を受け,店名としていただきました。」と教えていただきました。
私は有名な「みちのくせんべい」をお土産として購入しました。
(みちのくせんべい(箱))
(みちのくせんべい)
直径約5.5cmの小さなせんべいです。
軽い食感のせんべいですが,黒糖の生地で,表面にも黒糖の蜜が塗られて結晶化しているので,小さい割にはしっかりとした甘味があり,食べ応えもあります。
お茶菓子に最適なせんべいです。
箱の中に入っていた賣茶翁の説明文を読むと,「電話 なし」と記されており,その潔さが素晴らしいと思いました。
(賣茶翁説明文)
ふと,どこかで同じようなせんべいを食べたことがあるなと思い,思い出したのが,京都祇園の和菓子店「亀屋清永」の「麩のやき」です。
(麩のやき)
「麩のやき」は小麦粉や米粉を水で溶いた生地を薄くのばして焼いたもので,味噌などで味付けされて食べられたようです。
千利休が「茶の湯」を大成した時に点心(茶の子)として重用したお菓子であり,豊臣秀吉が開催した「北野大茶会」にも出されたようです。
亀屋清永の「麩のやき」は,もち米で作られた薄焼きせんべいで,醤油味と黒砂糖風味の2種類用意されています。
黒砂糖風味は「みちのくせんべい」と同様,せんべいの表面に黒砂糖の蜜が塗られています。
私は,宇治の萬福寺で開催された「全国煎茶道大会」(「黄檗山萬福寺の全国煎茶道大会 -隠元と煎茶道-」参照)に参加する際に,煎茶道の勉強のためにこの「麩のやき」を購入しました。
その煎茶道で,私は「三癸亭賣茶流(さんきていばいさりゅう)」の先生にお世話になっているのですが,賣茶(翁)という名を冠しておられることからもわかるように,仙台の和菓子店「賣茶翁」も,「三癸亭賣茶流」も煎茶道の祖である賣茶翁を尊んでおられる点で共通しています。
ちなみにこの「麩のやき」は,現在のお好み焼の原点でもあります。
「立ちそば処 杜」の「鶏から揚げそば」
仙台駅2階改札口にある「立ちそば処 杜(もり)」です。
(「立ちそば処 杜」)
私は以前この店を訪れた際にいただいた「鶏から揚げそば」が強く印象に残っていたので,今回再訪しました。
(鶏から揚げそば)
細く透きとおるような麺と,だしのきいたつゆの上に,デーンとこぶし大の鶏から揚げ2枚が乗っかっているボリューム満点のそばです。
西日本の人間から見れば,鶏のから揚げと言うより,鶏天と言う方が合っているようにも思いますが,そんな細かいことなど考えず,豪快に味わいたいものです。
「杜(もり)の都」仙台にある「立ちそば処 杜(もり)」。
そこで出会った抜群の「盛り」が売りの「鶏から揚げそば」。
いただいた後,元気モリモリで広島に帰ったことは言うまでもありません(笑)。
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コメント
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おはようございます!
老舗っぽい~いい雰囲気のお店ですね~
仙台もいいよね~ゆっくり行きたいなぁ~(笑)
駅の立ち食いソバは、よく、利用してました。
美味しいよね~ホント、モリモリ元気でますよ(笑)
投稿: ヒナタ | 2017年4月 3日 (月) 08時41分
ヒナタ 様
こんばんは。
コメントいただき,ありがとうございます。
和菓子店「賣茶翁」。仙台の街中にあり,近くには仙台市民会館やメディアテークなど近代的で大きな建物もある中で,この店は今も昔も変わらぬ良さを持っているような気がしました。
仙台,福島から近いですね。行ってみて初めてわかりました。
広島の人間には,見ること,聞くこと,全てが新鮮で良い経験になりました。
駅の立ちそば,ヒナタさんもお好きですか!
仙台行かれる機会がありましたら,「立ちそば処 杜」のそばもぜひ召し上がってみてください。
う~ん,やっぱり福島のラーメンやそばも食べてみたい~。
がおってても,食べたらモリモリ元気出てきそうです(笑)
投稿: コウジ菌 | 2017年4月 3日 (月) 22時33分
こんにちは。
駅そばと言われては(笑)この店いいですよねー。駅そばの中でも優良店。
東北=味が濃いとかってないのが分かりますねー。
鳥唐そばなら、是非我孫子駅に行ってほしい(笑)
蕎麦屋で食べる蕎麦とはまた違った趣があって美味しいですねー。
駅そば、駅弁はチェックしちゃうなあ。
投稿: じもん | 2017年4月 4日 (火) 17時37分
じもん 様
こんばんは。
コメントいただき,ありがとうございます。
さすが鉄道にお詳しいじもんさん。仙台駅の名物駅そばを御存知ですね。
汁は,きちんとだしも効いていて,すっきりした仕上がりになっており,濃いだけの汁とは違いました。
そして何より唐揚げ(鶏天)が大きいのが嬉しいです!
我孫子駅の唐揚げそば,今回の杜の鶏から揚げそばよりさらに大きく,コストパフォーマンス最高ですね!
これは広島のそばになくても,食べに行きたい(笑)
気軽に食べられる値段,ザッとかき込む豪快さ,飾らないストレートな美味しさ,素早く提供される便利さなどが駅そばの魅力だと思います。
西日本だと,姫路駅構内の「えきそば」(まねき食品)が有名です。
何回か食べたことがありますが,麺が黄色い独特のそばで,初めての方はラーメンと間違われるのではないかと思います(笑)。
投稿: コウジ菌 | 2017年4月 4日 (火) 23時17分
こんにちは、懐かしく記事を拝見しました
今も昔も全然変わっていないことに驚きです。
麩のやきって、お好み焼きの原点なんですね、
食材が同じだったものが、枝分かれしていくのって面白いです。
震災後の新しい駅にはまだ降り立っていないのですが、
駅そばはお腹空いた時によく利用していました。
そうか、とり天って、そうね、唐揚げと違いますか。。
明確に違いがわかってない私でした
投稿: ここは | 2017年4月13日 (木) 17時11分
ここは 様
こんばんは。
コメントいただき,ありがとうございます。
そして「賣茶翁」の情報をいただき,ありがとうございました。
地元か,よほど仙台に詳しい人じゃないと,まず知らないお店ですね。
おかげさまで,「みちのくせんべい」を職場のお土産にして自慢することができました(笑)
麩のやき,関西人の千利休もお好み焼みたいな「粉もん」が好きだったようです(笑)
あっ,我が広島のお好み焼もそうですね!
仙台でのわずかな滞在時間をどう過ごそうか考えた結果,思いついたのがループバス「るーぷる仙台」の利用でした。
これにずっと乗っていれば,260円で効率良く仙台の名所を見て回れる訳です(笑)
このバスで仙台市内をほぼ一周した後,メディアテーク前で下車し,「賣茶翁」へ行きました。
仙台の駅そば,そばもつゆも上品で美味しいですね。
九州を中心に,西日本ではうどんにとりの天ぷらというトッピングがありまして,とりあえず地元では「とり天」と言うとります。
色とりどりの言い方はありますが,まぁ難しいとり決めなしに,また次回も「鶏から揚げそば」と注文したいと思っとります!
投稿: コウジ菌 | 2017年4月13日 (木) 23時00分
こんにちは。
仙台売茶翁への訪問記事を拝見し、懐かしくなりコメントです。
以前仙台に住んでおり、みちのくせんべいを購入しに、よく行ってました。
懐かしくなり私も「みちのくせんべい」の記事を書きましたのでぜひご覧ください♪
https://nihoncha-salon.com/wagashi/what-is-michinokusenbei-baisaou-sendai/
投稿: みんなの日本茶サロン | 2024年8月24日 (土) 00時53分
みんなの日本茶サロン 様
みんなの日本茶サロン様、こんにちは。
当記事を御覧くださり、その上コメントまでいただき、誠にありがとうございます。
仙台市の老舗和菓子屋「賣茶翁」。
仙台にお住まいの頃、よく行かれていたのですね。
都会的な建物が立ち並ぶ、アクセスが良い場所にあるので、そのお店だけ、時代が違う感じがしますよね(笑)
素朴なお菓子ですが、お店と同様に、その価値がきちんとわかる方が購入されているように思います。
「みんなの日本茶サロン」の記事、拝読しました。
私の記事より、はるかに見栄えが良く、文章構成もしっかりされていると思いました。
ほかの記事も読ませていただきますね。
今後ともよろしくお願いいたします。
投稿: コウジ菌 | 2024年8月24日 (土) 10時35分